液体培地中の懸濁物質を撹拌するための改善されたシステムおよび方法
1つまたは複数の試料容器を備えるシステムが提供され、この試料容器は、液体増殖培地と、磁力による影響を受けることができる撹拌要素と、1つまたは複数の試料容器を保持するための1つまたは複数の開口を有する培養および測定モジュールとを備える。
培養および測定モジュールは、各試料容器と関連づけられる少なくとも2つの駆動磁石と、少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、関連する試料容器の表面に向かいまたそこから離して反復的に動かすようになされる磁石駆動装置とを、さらに備える。
培養および測定モジュールは、各試料容器と関連づけられる少なくとも2つの駆動磁石と、少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、関連する試料容器の表面に向かいまたそこから離して反復的に動かすようになされる磁石駆動装置とを、さらに備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年3月28日出願の米国特許仮出願第60/665,692号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、液体培地中の懸濁物質を撹拌するための改善されたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医学診断では、血液試料など流体試料を、患者から採取し、増殖培地内で培養し、患者の疾病を引き起こしていると考えられる病原の存在を検査することを必要としている。増殖培地は、細菌、ウィルス、マイコバクテリウム、ほ乳類細胞など、病原の存在を検出することができるようにそれらを十分な数まで増殖させることを可能にする、栄養分を提供する。
【0004】
いくつかの例では、病原は、視覚的に検出することができるように、十分多数に増殖することができる。たとえば、培養物の一部を、顕微鏡用スライド上に配置し、目的の病原の存在を検出するために視覚的に検査することができる。
【0005】
あるいは、微生物の増殖中に発生されるその副産物の存在を検出することによって、病原または別の生物の存在を、間接的に検出することができる。たとえば、ほ乳類細胞、昆虫細胞、細菌、ウィルス、マイコバクテリウム、および真菌など、いくつかの微生物は、その増殖時および生活環の間に酸素を消費する。試料培養物中で微生物の数が増加するにつれて、それらは当然、より多くの酸素を消費する。さらに、こうした酸素を消費する生物は通常、代謝副産物として二酸化炭素を放出する。したがって、存在する生物の数が増加するにつれて、それら全体が放出する二酸化炭素の体積も、同様に増加する。
【0006】
あるいは、酸素を消費する微生物の存在を検出するために二酸化酸素の存在を測定する代わりに、目的の試料中の酸素濃度の低下を測定することが可能である。酸素を消費する生物の存在はまた、目的試料を収容する封止された試料バイアル内の、圧力変化を測定することによって検出することもできる。すなわち、閉じられた試料バイアル内の酸素が、酸素を消費する生物によって減少すると、封止された試料バイアル内の圧力が変化する。生物が二酸化炭素を放出するにつれて、試料バイアル内の圧力はさらに変化する。したがって、そのような生物の存在は、閉じられた試料バイアル内の圧力変化を監視することによって、検出することができる。
【0007】
試料中に生物が存在するかどうかを検出するために、試料中の二酸化炭素の増加を測定するための、いくつかの方法が存在する。たとえば、Becton Dickinson and Companyによって製造されるBactec(登録商標)9050は、指示薬の色の変化を検出して試料中に二酸化炭素が存在するかどうかを決定する。すなわち、二酸化炭素の存在に反応して色が変化する化学薬品を有する指示薬培地を収容する、それぞれの試料バイアル内に、各試料が収集される。次いで、試料バイアルが機器内に装填されると、光センサが、試料バイアル内の指示薬培地の色を検出する。試料が、増殖および/または代謝活性に応じて二酸化炭素を放出する生物を含む場合、二酸化炭素の存在に反応して、指示薬培地の反射または蛍光輝度が変化する。したがって光センサは、この輝度の変化を検出し、機器は、試料バイアル内に収容された試料中に生物が存在することを、操作者に指示する。試料中の二酸化炭素の変化を測定することによって試料中の生物の存在を検出するための機器の別の例が、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に記載されている。これらの特許のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
酸素検出技術を用いる機器が、内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献5に記載されている。試料バイアル内の圧力変化を検出することができる機器が、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9に記載されている。これらの特許のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれるものである。さらに、容器内の二酸化炭素濃度の変化、酸素濃度の変化、および圧力の変化を検出することができる機器が、Nicholas R.Bachurらの「System and Method for Optically Monitoring the Concentration of a Gas,or the Pressure, in a Sample Vial to Detect Sample Growth」という名称の、2001年6月26日出願の特許文献10に記載されており、容器内の二酸化炭素濃度の変化または酸素濃度の変化を検出することができる別の機器が、特許文献11に記載されている。これらの内容全体は、いずれも、参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0009】
生物の増殖が促進されて、容器内の二酸化炭素がより多量に生成され、酸素がより多量に減少し、または圧力がより大きく変化する場合に、上記で説明した生物検出技術によって得られる結果を、改善することができることに留意されたい。固体試料を懸濁状態に維持することによって、液体培地中の固体試料の生体活性を促進することができることが知られている。これは、固液混合物を連続的に撹拌することによって実現することができ、それによって、混合物中の栄養分、消耗、およびガス交換が改善される。
【0010】
撹拌技術の例が、特許文献12、特許文献13、および特許文献14に記載されている。これらの特許それぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれるものである。これらの技術のそれぞれは、試料を収容する容器内に配置され、容器内の試料を撹拌するために磁石によって操作される、磁力攪拌機を使用する。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,945,060号明細書
【特許文献2】米国特許第5,164,796号明細書
【特許文献3】米国特許第5,094,955号明細書
【特許文献4】米国特許第5,217,876号明細書
【特許文献5】米国特許第5,567,598号明細書
【特許文献6】米国特許第4,152,213号明細書
【特許文献7】米国特許第5,310,658号明細書
【特許文献8】米国特許第5,856,175号明細書
【特許文献9】米国特許第5,863,752号明細書
【特許文献10】米国特許出願第09/892,061号明細書
【特許文献11】米国特許第6,709,857号明細書
【特許文献12】米国特許第5,586,823号明細書
【特許文献13】米国特許第4,483,623号明細書
【特許文献14】米国特許第4,040,605号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの撹拌技術は、試料増殖の促進においていくらか有効となり得るが、液体培地中の懸濁物質を撹拌して試料増殖を促進し、それによって試料検出結果を改善するための改善されたシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態では、1つまたは複数の試料容器を備えるシステムが提供され、この試料容器は、液体増殖培地と、磁力による影響を受けることができる撹拌要素と、1つまたは複数の試料容器を保持するための1つまたは複数の開口を有した、培養および測定モジュールとを備える。培養および測定モジュールは、各試料容器と関連づけられる少なくとも2つの駆動磁石と、少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、関連する試料容器の表面に向かわせまたそこから離す反復的な動きができるようにされた磁石駆動装置とを、さらに備えている。開口は、容器の長手軸が水平に対して約90°未満の角度となるように、試料容器を保持するように構成されている。
【0014】
他の実施形態では、1つまたは複数の試料容器を備えるシステムが提供され、試料容器は、液体増殖培地と、磁力による影響を受けることができる撹拌要素と、試料容器を保持するための1つまたは複数の開口を有する、培養および測定モジュールとを備える。培養および測定モジュールは、上記1つまたは複数の試料容器と関連づけられる少なくとも2つの駆動磁石と、磁石駆動装置とをさらに備え、磁石駆動装置は、シャフトおよび複数の駆動磁石を有した、磁石シャフトアセンブリを備える。駆動磁石は、二つ一組でシャフトに結合され、磁石駆動装置は、少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、関連する試料容器の表面に向かわせまたそこから離す反復的に動きをするように構成されている。
【0015】
さらなる実施形態では、試料を撹拌するための方法が提供され、この方法は、液体と、磁力による影響を受けることができる撹拌要素とを備えた試料容器を提供するステップと、容器の長手軸が水平から90°未満の角度となるように、容器を傾けるステップと、撹拌要素に磁気影響力を反復的に与えるように構成された、少なくとも2つの駆動磁石を提供するステップとを含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
同じまた同様の参照番号は、同じまた同様の部分、構成要素および構造を示す。
【0017】
図1は、試料容器102内の液体培地中に懸濁される試料を撹拌するために使用される、培養および測定モジュール100を備えた、システムの一実施形態を示す。図示のように、この例の培養および測定モジュール100は、ハウジング104、および2つのパネル106を備え、パネル106は、それぞれのレール構成108に沿って、矢印Aに沿った方向で、ハウジング104から摺動式に出し入れすることができる。
【0018】
各パネル106は、それぞれ試料容器102を受けるようになされた、複数の開口110を備える。以下でより詳細に議論するように、各容器102は、液体培地中に懸濁された試料、および撹拌要素を備えている。開口110は、開口110内に受けられる試料容器102も傾けられるように、水平に対して傾けられている。一般に、開口は、容器の長手軸が水平200(図9を参照)対して角度が90°未満となるように、その容器を保持するように構成される。本実施形態では、開口110は、開口110内に受けられる試料容器102が水平に対して約15°傾けられるように、構成される。この傾斜は、直立位置の容器に比べて、より大きい空気と液体との界面202を試料容器102内に作り出している。また、開口110、したがって試料容器102は、水平に対して15°傾けられる必要はなく、むしろ約15°から約25°の範囲内の角度で傾けることができるが、約15°から約20°の範囲が有利である。ただし、開口110および試料容器102は、有用な空気と液体の界面を作り出す、水平に対するいかなる実用的な角度にも傾けることができる。
【0019】
開口110は、図示のように、複数の行および列で構成され、各パネル106は、いかなる実用的な数の開口を有することもできる。たとえば、開口110は、10行および9列で構成することができ、それによって1枚のパネル106につき開口110が合計90個となる。培養および測定モジュール100は、パネル106がハウジング104内に受けら入れられた後にハウジング104を閉じるための、1つまたは複数のドア(図示せず)をさらに備える。
【0020】
培養および測定モジュール100によって試料培養物が分析されるとき、試料培養物は、試料容器102内に配され、試料容器102は、培養および測定モジュール100内のそれぞれのパネル106内の、それぞれの開口110内へと装填される。試料容器102は、この例では閉じられた試料バイアルである。培養および測定モジュール100は、キーボード112、バーコードリーダ(図示せず)あるいは、技術者が、試料に関する情報を、培養および測定モジュール100内のメモリ内に保存されたデータベース内へと、またはモジュール100から離隔されモジュール100の動作を制御するコンピュータ(図示せず)内に入力することを可能にする、その他何らかの適当なインタフェースを、さらに備えることができる。情報はたとえば、患者情報、試料のタイプ、試料容器102が装填されている開口110の行および列などを、含むことができる。モジュール100は、上記で参照した特許文献10、および特許文献11に記載されるようなタイプの、検出装置を含むことができる。
【0021】
図2に示すように、本実施形態では、各パネル106が、複数の磁石シャフトアセンブリ116を駆動するための駆動アセンブリ114を備える。駆動アセンブリ114は、駆動モータアセンブリ118およびプーリ構成を備え、このプーリ構成は、駆動プーリ120、シャフト駆動プーリ122、アイドラプーリ124および126、ならびに蛇行ベルト128を備え、この蛇行ベルト128は、駆動プーリ120、シャフト駆動プーリ122、ならびにアイドラプーリ124および126の周りを通るものである(図4も参照)。図7に示す別の実施形態では、駆動アセンブリは、駆動モータアセンブリ118および歯車構成を備えることができ、歯車構成は、それぞれ回転運動を駆動アセンブリ118から各磁石シャフトアセンブリへと伝達するように係合される、駆動歯車121、シャフト駆動歯車123、およびアイドラ歯車125を備えたものである。駆動モータアセンブリ118は、たとえば、マイクロコントローラなど制御装置132によって制御される、駆動モータ130を備える。駆動モータ130の駆動シャフト134は通常、図6に示すように、磁石プレート136に結合される。磁石プレート136は、希土類磁石など一般に強力な磁石である、複数の磁石138を備える。駆動モータ130は、たとえば取付けブラケット140によって、ハウジング104の内側に取り付けられる。
【0022】
図2および図5に詳細に示すように、希土類磁石など複数の強力な磁石144を有する磁石プレート142が、駆動プーリ120に結合される。駆動モータ130は、それに対応するパネル106がハウジング104内に完全に挿入されるとき、磁石プレート142が磁石プレート136と位置合せされ、またはほぼ位置合せされるように、ハウジング104内に位置決めされる。駆動モータ130および磁石プレート136は、ハウジング104の内側に収容されパネル106を受け入れる培養チャンバの、後壁146の外側に配置されることに、さらに留意されたい。したがって、磁石プレート136および磁石プレート142は、培養チャンバの後壁146の両側に配置される。ただし、磁石プレート136および磁石プレート142上のそれぞれ磁石138および144は、後壁146を介して互いに磁気的に結合するほど十分に強力であり、そのため、駆動モータ130が磁石プレート136を回転させるとき、磁石プレート136の回転は、磁気結合により磁石プレート142を回転させる。磁石プレート142の回転によって、プーリ120が駆動され、それによって蛇行ベルト128が駆動されて、シャフト駆動プーリ122およびアイドラプーリ124および126を駆動する。同様のやり方で、図7の実施形態では、磁石プレート142の回転が駆動歯車121を駆動し、それによって、シャフト駆動プーリ123およびアイドラプーリ125のかみ合わされた歯車が駆動される。駆動モータ130を培養チャンバの外側に配置することによって、動作時に駆動モータ130によって放出される熱が、培養チャンバ内の温度に影響を与えないことに留意されたい。さらに、駆動モータ130は、それに損傷を与えるおそれがある、培養チャンバの熱による影響を受けない。
【0023】
本実施形態では、各シャフト駆動プーリ122は、それぞれの磁石シャフトアセンブリ116に結合される(たとえば図8を参照されたい。)。本実施形態における各駆動磁石シャフトアセンブリ116は、シャフト148を備え、シャフト148は、一端部にてそれぞれのシャフト駆動プーリ122または歯車123に結合され、パネル106の幅に沿って延び、その他端部にて取付けアセンブリに回転可能に結合される。複数の駆動磁石アセンブリが、各シャフト148に結合されており、シャフト148がそのそれぞれのシャフト駆動プーリ122または歯車123によってその長手軸の周りで回転させられるときに、シャフト148と共に回転する。
【0024】
図8に示す実施形態では、各駆動磁石アセンブリ153−nが、回転可能なシャフト148に固定された2つの強力な駆動磁石155−1および155−2を有し、それによって、各アセンブリ153の各駆動磁石155は、各開口110に対する近接位置と離隔位置との間に配置される。本実施形態では、磁石シャフトアセンブリ116の駆動磁石155の総数は、その磁石シャフトアセンブリ116に対応する行内の、開口110の数の2倍に等しい。
【0025】
図8および図9に示す実施形態では、駆動磁石155は、2つの駆動磁石が各開口に係合しまたは関連づけられる(たとえば、各容器102が開口内に配置されるときそれに係合しまたは関連づけられる)ように、各開口110の間に設けられる。図8は、図2に示すタイプのパネルの行区間を示す、拡大斜視図である。図9は、図8に示す駆動磁石構成の位置および動作と、本発明の実施形態による撹拌機を備えたそれぞれの試料容器との関係の例を示す、概念図である。
【0026】
駆動磁石155の位置決めによって、2つの駆動磁石が交互の周期で各開口110に係合することが保証される。図8にさらに詳細に示すように、本実施形態における駆動磁石155は、対153として、シャフト148に沿って各開口110の間に設けられる(各開口に2つの駆動磁石を関連づけるため、シャフト148の各端部では、単一の駆動磁石155が、最端部の開口(図示せず)とシャフト148の支持部材(図示せず)との間に設けられる。)。各開口110内の各容器102内に存在する撹拌要素と係合するために、それぞれ、各駆動磁石155−1の表面を、たとえばN極またはS極のいずれかとして設けることができ、各駆動磁石155−2の表面を、S極またはN極のいずれかとして設けることができる。駆動磁石155−1、155−2は、個別の構成要素とすることができ、あるいは、単一の機械構成要素の個別の部分とすることができる。
【0027】
本実施形態では、駆動磁石対153−nは、各対153の各駆動磁石155−1および155−2が、シャフト148のそれぞれ反対側から(たとえば互いに180°で)、シャフト148の長手軸からある角度で延びるように、シャフト148に結合される。有用な角度は、長手軸から約30°である。各駆動磁石対153−nは、通常、シャフト148に沿って同じ角度で結合される。
【0028】
図8および図9において、隣接する駆動磁石対153−nすなわちアセンブリ(たとえば磁石アセンブリ153−1および153−2)の駆動磁石155−nは、シャフト148の周りで、互いに同じ角度位置に向けられる。すなわち、図8に示すように、磁石アセンブリ153−3の駆動磁石155−1が、対応する開口110に近接して位置決めされるとき、磁石アセンブリ153−2の駆動磁石155−1もまた、対応する開口110に近接して位置決めされる。そのような位置で、各アセンブリ153−nの駆動磁石155−1は、対応する開口110に近接して位置決めされる。同様にして、各アセンブリ153−nの駆動磁石155−2は、隣接する開口110から離隔して配置される。シャフト148が回転するとき、各駆動磁石155−nの位置は変化する。通常、単一開口/単一容器に関連づけられる駆動磁石の組は、180°の回転によって、1つの磁石が、開口内に配置された容器に最も近い位置から、容器から最も遠い位置へと動かされ、第2の磁石が、容器から最も遠い位置から、容器に最も近い位置へと動かされるように、シャフト上に配置される。
【0029】
本実施形態は、1つの開口/容器について2つの磁石を使用するものを示しているが、いかなる複数の磁石であっても、撹拌上の同様の利点をもたらす。さらに、各開口/容器に関連づけられる複数の磁石は、容器内の磁気撹拌機に所望の影響をもたらすどのようなやり方でも、シャフトに取り付けることもできる。たとえば、シャフト148のそれぞれ反対側でシャフトから延びる駆動磁石対の代わりに、シャフトの同じ側から延びる磁石対156−1、156−2を使用することができ、たとえば、第1の駆動磁石アセンブリ160−1の第1の磁石156−1は、シャフトから30°の角度で延び、第2の磁石156−2は、シャフトから150°の角度にて延びる。そのような場合、隣接する駆動磁石アセンブリ160−2の磁石156−1および156−2は、通常、シャフト148の反対側から延びる。たとえば、そのような一実施形態を示す図14を参照されたい。
【0030】
図9は、一実施形態による、駆動磁石アセンブリ153−nの駆動磁石155−1および155−2と、開口110内に装填された試料容器102との関係を示す。本実施形態では、各開口110に対して、2つの駆動磁石155−nが係合しまたは関連づけられるが、図9は、開口110の片側(すなわち容器102のための駆動磁石155−2)のみを示し、また、隣接する開口110の1つの駆動磁石(すなわち図示されない隣接容器のための駆動磁石155−1)を示している。
【0031】
図8および図9に示すように、Rで示す方向にシャフト148が回転するとき、アセンブリ153−1の駆動磁石155−2は、試料容器102の外面の近くに動き、その磁力が、この例では磁化された撹拌要素162である撹拌要素を引きつけて、撹拌要素162を、試料容器102の底縁部164から離して、試料容器102の壁部166に沿って上方へと引っ張る(アセンブリ153−1の駆動磁石155−1は、図9に示す容器ではなく、隣接する容器に影響を与えることが意図されていることに留意されたい。)。駆動磁石155−2が、次に試料容器102から離れる方向に回転し続けるにつれて、撹拌要素162は、駆動磁石155−2の磁力による影響をより小さく受けるようになり、重力によって試料容器102の壁部166に沿って底縁部164へと落ちる。しかし、このとき、容器102の反対側にあるアセンブリ153−n+1の駆動磁石155−1は、試料容器102の外面の近くに動き、その磁力が、撹拌要素162を引きつけて、撹拌要素162を回転させ、試料容器102の底縁部164から離して試料容器102の壁部166に沿って上方へと引っ張る。容器102の反対側にあるアセンブリ153−n+1の駆動磁石155−1が、次に試料容器102から離れる方向に回転し続けるとき、撹拌要素162は、駆動磁石155−2の磁力による影響をより小さく受けるようになり、重力によって試料容器102の壁部166に沿って底縁部164へと落ちる。この回転および引っ張り運動は、(隣接する駆動磁石アセンブリの)駆動磁石155−1および155−2が試料容器102の外面に沿って運動するとき毎回繰り返され、また、各開口110の各容器について繰り返される。撹拌容器162の撹拌作用は、有利には、図13に示すようなアナレンマ様の運動を有するパターンに従う。
【0032】
モータ130は、たとえば、毎分150回転の速さで回転させることができ、それによって、撹拌要素162は、上記で説明した撹拌通路を通って最高で毎分150回移動することができる。ただし、モータ130は、それを制御することによって所望の撹拌作用を実現するためのいかなる実用的な速さでも回転することができる。
【0033】
撹拌要素162は、通常、磁性を有する鉄金属充填ポリマーである。本明細書で使用する「磁性」という用語は、磁性ステンレス鋼など、駆動磁石の磁界に反応する鉄金属のタイプを示す。撹拌要素において用いられる鉄材料は、それ自体が磁石である必要はなく、また磁化されている必要もない。撹拌要素は、図示のようなロッド形状または円柱状とすることができ、またはその他いかなる適当な形状を有することもできる。撹拌要素は、約13mm(約0.500インチ)から20mm(0.750インチ)の全長、および約3mm(約0.120インチ)から約5mm(約0.220インチ)の全直径を有し、通常円形端部を有する、円柱状とすることができる。
【0034】
撹拌要素162の鉄充填材含有量を増加することによって、駆動磁石154が有する撹拌要素162への磁気影響力が増大する。同様に、撹拌要素162の鉄充填材含有量を減少させることによって、駆動磁石154が有する撹拌要素162への磁気影響力が減少する。したがって、撹拌の強度は単純に、撹拌要素162を、異なる鉄充填材含有量を有する撹拌機に置き換えることによって、変えることができる。また、撹拌要素162のサイズおよび形状を変える必要はない。また、撹拌要素162を磁化することによって、駆動磁石154が有する撹拌要素162への磁気影響力を、さらに調整することができる。したがって、撹拌の強度は単純に、撹拌要素162を、異なる磁化の程度を有する撹拌要素に置き換えることによって、変えることができる。
【0035】
各実施形態で、たとえば10000ガウス以上の様々な磁力および帯磁方向を有する、駆動磁石154および155を提供することができる。磁性体および希土類磁石は、様々な構造に焼結または鋳造することができるので、それぞれの磁石は、単独または複数で提供することができ、様々なサイズおよび形状を有することができる。駆動磁石は、単独で、あるいはアレイとしてまたは複数で、各開口部に作用することができる。したがって、交互回転、横方向、縦方向など、撹拌要素の様々な物理的運動を提供することができる。また、様々な振動速度、すなわち毎分数十、数百、または数千回転を有する、それぞれの駆動磁石を提供することもできる。
【0036】
図10、図11、および図12に示されるように、様々な形状、サイズ、磁性およびポリマー充填材レベル、ならびに磁極方向を有した、撹拌要素を提供することができる。たとえば、撹拌要素の形状は、それに作用する関連した力に基づいて選択することができる。撹拌要素に作用する、液体中でその固有の運動を生じさせる主な力には、磁力、重力、浮力、および粘性が含まれる。(撹拌要素が磁化されている場合に)撹拌要素の、駆動磁石に向かう、またはそこから離れる運動を生じる磁力は、撹拌要素中の磁化された充填材の保磁度、駆動磁石の固有の強度によって変化し、または撹拌要素と駆動磁石との間の距離に反比例して変化する。したがって、撹拌要素は、(磁化されている場合)その磁極の向きを駆動磁石により近づけるようにするために、液体の体積形状を最大限に利用するような形状とすることができる。この形状は、平坦な形(矩形多面体)、線形(円筒形ロッド)、球状、または撹拌される体積および所望の撹拌強度に適した別のより複雑な形状とすることができる。重力は、撹拌要素を地球の中心へと向かって引っ張る傾向がある。撹拌要素が、撹拌している液体の体積に対して非常に大きい(重い)場合、撹拌要素は、それが小さく、すなわちより軽い場合よりも、大きい力で落ちやすくなる。また、より大きい撹拌要素質量の増大された慣性は、重力の増大に対抗する傾向がある。形状を最適化することによって撹拌要素の相対的な質量を制御することにより、要素の浮力および液体の粘度に対する、重力の平衡をとることができる。同様に、撹拌要素の長さ対直径の比によって、液体中の粘性抗力を増大あるいは低減させることができる。より大きい(またはより小さい)抗力を生み出すことによって、撹拌要素は、所与の粘度および外部から加えられた磁界に関して、液体中でより小さく(または大きく)動かされる。さらに、撹拌要素は、様々な磁極方向および強度で磁化され得る。図10、図11、および図12は、本発明の実施形態による、撹拌要素162a、162b、および162cのいくつかの磁極構成を示す。
【0037】
本発明の実施形態によれば、撹拌要素162、162a、162b、162cは、約20重量%から約80重量%のポリマーを含むことができ、残り80重量%から20重量%が鉄金属、あるいは別の磁性材料または磁化可能な材料となる。ただし、撹拌要素を一体に保持するのに十分な結合力をもたらし、また、駆動磁石154に対する十分な反応性を可能にする限り、ポリマー対鉄金属のいかなる比を用いることもできる。ポリマー材料は、好ましくは、撹拌要素の全表面硬度を低減し、したがって懸濁液中の固体試料158および試料容器102への潜在的な損傷を低減する、ナイロンまたはポリプロピレンなど生体不活性ポリマーである。本発明の実施形態では、鉄材料は、ステンレス鋼であるが、駆動磁石154からの磁気影響力に反応することができる適当な材料のどのようなものであってもよい。撹拌要素はさらに、ポリマーおよび鉄材料のタイプおよび含有率を指示するために、青、灰色、赤、緑、オレンジなどの色で符号を付けることができる。撹拌要素は、試料容器102内に設けることができ、または固体試料158および液体培地160を試料容器102内に加える前または後に、試料容器102に加えることができる。
【0038】
撹拌要素は、各容器内の液体試薬に撹拌運動をもたらすのに十分な連続的または律動的な運動を誘導するために、駆動磁石アセンブリの永久磁石の回転に反応して動くように磁化することができる材料で、作成することができる。通常、撹拌要素は、所望の運動を液体試薬に誘導するのに十分な長さおよび直径の、ほぼ円筒形を有したものである。撹拌要素は、一般に、約15〜25mmの長さ、および約2〜6mmの直径を有する。一つの好ましい実施形態では、撹拌バーは、約20mm(0.75インチ)の長さ、および5mm(0.22インチ)の直径を有する。通常、撹拌要素は、わずかに丸まった端部を有する。
【0039】
好ましい一実施形態では、撹拌要素は、成形可能なポリマーまたはコポリマーと、磁化可能な材料との混合物から製造される。適当なポリマーの例には、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)コポリマーが含まれる。これはこのコポリマーは、生体不活性であり、所望の形状およびサイズに容易に成形されるからである。別の実施形態では、撹拌要素のポリマー成分は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、およびポリスチレンからなる群から選択される。通常、ポリマー成分は、可撓性の熱可塑性ポリマーまたはコポリマーである。ポリマーまたはコポリマーは、通常、完成した撹拌要素の総重量の、約20重量%から約40重量%、好ましくは約30重量%の量が含まれる。
【0040】
磁化可能材料は、通常、完成した撹拌要素の総重量の、約60重量%から約80重量%、また好ましくは約70%の量で含まれる。磁化可能材料は、一般に、必要な撹拌効果をもたらすための適当な力を持つように磁化することができる、フェライト化合物である。磁化可能なフェライトの例には、2族金属フェライト、および特にストロンチウムフェライトが含まれる。磁性または磁化可能な構成成分は、鉄、ステンレス鋼、およびフェライト合金からなる群から選択することができる。好ましい一実施形態は、30重量%のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマーと、70重量%のストロンチウムフェライトの混合物である。構成成分は互いに混合され、溶融し円筒部材として押し出し、所定の長さに切断することによって成形される。あるいは、ポリマーとストロンチウムフェライト粒子の混合物を、所望の形状に圧縮成形することができ、あるいは、加熱して所望の形状に射出成形することができる。上記のように、本発明の特に好ましい実施形態では、撹拌要素は、約70重量%のストロンチウムフェライトと30重量%のSEBSポリマーの混合物を含み、長さ約20mm(0.75インチ)、直径約5mm(0.220インチ)の、円形端部を有した長円筒形に成形することができる。撹拌要素は、さらに、約300ガウスの磁気飽和状態まで磁化することができ、2つの磁極が、図11および図12に示すように直径上に、または図10に示すように要素の端部に、整列される。比較的軟質のSEBSポリマーは、液体培地中に懸濁されるあらゆる粒子への損傷を防ぐために適した可撓性をもたらし、かつ生体不活性である。70重量%のストロンチウムフェライトは、適度の磁力、持続的な強度、非反応性、ならびに配合および成形の容易さをもたらす。
【0041】
いくつかの実施形態では、撹拌要素は、形成され、次いで適当な撹拌効果をもたらすための所望の磁力まで磁化される。撹拌要素は、標準的な磁化手順を用いて、約200ガウスから約400ガウスの磁力まで磁化される。好ましい一実施形態では、撹拌磁石は、約300ガウスの磁力まで磁化される。ストロンチウムフェライトなどフェライト材料は、適度な磁力を、撹拌要素の企図された耐用期間のための持続的な強度と共にもたらすことができる。
【0042】
複数の磁極を、撹拌要素の形状内でパターン化することができ、磁極は、軸方向に向け、径方向に向け、周方向に向けることができ、あるいは、撹拌機に所望の誘引性(attractive)または反発性(repellent)のジオメトリを与えるための、その他多くの構成で設計することができる。そのような様々な磁極ジオメトリは、液体中で撹拌要素の様々な運動をさらに実現し、それによって、所望の効果を生み出すことができる。本発明の好ましい実施形態では、撹拌要素の円周の周りで正反対に向けられた対向磁極を有する、磁性撹拌要素が製作される。一実施形態では、図10に示すような、撹拌要素の第1の端部にあるN極および第2の端部にあるS極を有する、撹拌要素162aが形成される。別の実施形態では、各端部に1つのN極および1つのS極を有する撹拌要素162bが形成され、ここで両極は、図11に示すように、撹拌要素の円周の周りで交互になる状態で、撹拌要素のほぼ全長に沿って長手方向に延びる。さらに別の実施形態では、撹拌要素162cは、各端部に2つ以上の対向磁極の対を備え、ここで両極は、図12に示すように撹拌要素の円周の周りで交互になり、撹拌要素の長さにほぼ沿って延びる。このやり方では、磁束の線は、従来の棒磁石のように端部から端部にではなく、撹拌要素の円周の周りに延びる。
【0043】
直径方向および軸方向に向けられた磁極は、駆動磁石の運動に反応して、撹拌要素のランダムな3次元運動を誘導することができる。駆動磁石は、一般に、培養容器に関する軌道経路内で、培養容器の長手軸に平行な平面内で滑らかな曲線状に動く。駆動磁石の円形経路の軸は、撹拌要素が不規則な脈動運動を示すことができるように、駆動磁石が培養容器および撹拌要素に向かい、次いでそこから離れて動くようなものである。ほぼ曲線状の通路内の駆動磁石の円運動は、撹拌要素のランダムな運動を誘導する。撹拌要素の直径方向および軸方向に向けられた磁極は、撹拌要素をその長手軸の周りで回転させ、同時に、撹拌要素の長手軸に対してほぼ垂直の軸の周りで運動および回転させ、それによって、アナレンマ様の運動を行い、撹拌効果をもたらす。
【0044】
図11および図12に示すように、磁極は、図13に示すような複雑な、3次元の、アナレンマ様の撹拌パターンを生み出すために、直径方向に(軸方向に)磁気誘導(induce)することができる。本発明の本実施形態による撹拌要素の磁力強度は、通常、沈降した赤血球から抜け出すのに十分であるが、細胞または樹脂粒子を破裂させるほど強くはないものである。
【0045】
近年の、幅広い特性を有する多くの異なる磁性材料および熱可塑性ポリマーを利用できることが多くなることによって、上記で説明したような複雑な撹拌要素の形状の成形または押出が可能になっている。したがって、液体に与えられる運動の程度を精密に制御するために、以下でさらに詳細に説明するように、撹拌要素および駆動磁石の両方の設計をさらに調整することができる。また、上記で説明したようなフェライトが充填された撹拌要素の磁化は、電磁放電(electromagnetic discharge)ではなく強力な永久磁石フィクスチャを用いて、容易に実現することができる。したがって、エネルギーディレクタ(energy director)を有する永久磁石フィクスチャは、撹拌要素の製造のための製造体積要件を容易に満たすものである。
【0046】
上記実施形態の磁性材料の充填比を調整するために、ポリマーマトリックスと共に撹拌要素形状に成形される磁性材料は、様々な体積比率(充填比率)を有することができ、様々な材料から選択することができる。磁性材料のより高い体積充填比率は、要素の製造に使用されるもう一方の成分が軽量ポリマーである場合、撹拌要素をより巨大にする傾向がある。撹拌要素がより大きい質量を有する程、同じ粘性および粘弾性の撹拌される液体について重力が有することになる撹拌への影響力および効果が大きくなり、その運動のより大きい要因となる。
【0047】
体積比率の調整に加えて、質量および保磁力を調整するために、材料のタイプを変えることができる。たとえば、撹拌要素中の粉末金属充填材が、マルテンサイトステンレス鋼である場合、それは、ストロンチウムフェライトなど、同じ充填比率を有するがより高い保持力を有する要素よりも、大幅に小さい磁気モーメントを有する。
【0048】
磁力に関して材料のタイプを選択することができるだけでなく、生物試料中で撹拌要素を使用する場合などに必要とされる、非毒性に関して選択することもできる。また、材料のための酸化電位を、応用例に合わせて選択することができる。たとえば、光学的に調べられる(interrogated)サンプラ容器中の錆は、性能に重大な影響を及ぼすおそれがある。
【0049】
上記実施形態のポリマー充填材を調整するために、撹拌要素の製造に使用される体積または質量比率およびポリマーのタイプを、選択することができる。より高いポリマー充填材の比率は、様々な応用例環境のために撹拌機の物理的特性を変えることができる。たとえば、ポリマーが(それが軟らかいことを意味する)より低いジュロメータ値を有し、その比率が増大される場合、液体培地中に懸濁された固体に加えられる衝撃力の大きさを低減することができる。ポリマーの体積がより小さくなり、磁性充填材がより大きくなるにつれて、要素の硬度は通常上昇し、懸濁された固体への外見上の衝突損傷が、増大することがある。
【0050】
異なるタイプのポリマーを選択することによって、別の性能属性を向上させることもできる。材料の所望の可撓性が知られている場合、撹拌される内容物との固有の適合性が最高になる。いくつかのポリマーは、代謝プロセスにとって有毒であることが知られているが、いくつかは、比較的不活性であることが知られている。非毒性ポリマーを選択する場合、ポリウレタンではなくPTFEを選択することが、撹拌される液体の内容物の安定性への要素の究極的な影響を決定することがある。いくつかの場合、化学的に活性な、吸収性の、または液体の内容物に有害な試剤を破壊する、ポリマーの選択が望ましいことがある。これらの有害な、あるいは有利なポリマーを撹拌要素中に含めることは、容器の内容物の動作を調整するために使用することができる。
【0051】
本発明の様々な実施形態は、従来の撹拌装置に優るいくつかの利点を提供する。たとえば、傾けられた開口110は、試料容器102を、水平に対してある角度に維持するので、実施形態では、液相を気相に最大限に露出することが容易になる。したがってこれは、角度に応じて、溶解されるガスの交換の改善をもたらす。さらに、試料容器102の向きが角度付けされることにより、駆動磁石が撹拌要素への磁性影響力を維持する確率が上昇する。また、撹拌要素の通路が試料容器の壁部166によって制限されるので、撹拌作用は、従来の方法におけるよりも緩やかにすることができる。撹拌機システムのこれらすべての改善された特徴によって、液体培地160中の試料の増殖が促進され、したがって、試料容器中の、全二酸化炭素発生量、酸素減少量、および圧力変化が増大し、それによって、試料検出結果が改善される。
【0052】
本発明の新規技術および利点から著しく離れることなく、本発明で説明した実施形態に修正を加えることができることを、当業者は理解するであろう。したがって、それらの修正はすべて、添付の特許請求の範囲内で定義されるような本発明の範囲に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態によるシステムを示す斜視図である。
【図2】試料容器を収容するための、図1に示すシステム内のパネルの例を示す詳細斜視図である。
【図3】図2に示すパネルの側面図である。
【図4】図2に示すパネル内で使用されるベルトおよびプーリ構成を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態の駆動構成を示す詳細分解図である。
【図6】図5に示す駆動構成のモータを示す詳細図である。
【図7】図2に示すパネル内で使用される、本発明の別の実施形態による歯車構成を示す部分側面図である。
【図8】本発明の一実施形態による駆動磁石構成を有する、図2に示すパネルの行区間を示す拡大斜視図である。
【図9】図8の駆動磁石構成の位置と運動の間の関係の例を示す概念図である。
【図10】本発明の別の実施形態による、撹拌要素の磁極構成を示す図である。
【図11】本発明の別の実施形態による、撹拌要素の磁極構成を示す図である。
【図12】本発明の別の実施形態による、撹拌要素の磁極構成を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態の駆動磁石構成によって生み出される、撹拌運動の一例を示す概念図である。
【図14】本発明の一実施形態による、駆動磁石対の構成を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年3月28日出願の米国特許仮出願第60/665,692号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、液体培地中の懸濁物質を撹拌するための改善されたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医学診断では、血液試料など流体試料を、患者から採取し、増殖培地内で培養し、患者の疾病を引き起こしていると考えられる病原の存在を検査することを必要としている。増殖培地は、細菌、ウィルス、マイコバクテリウム、ほ乳類細胞など、病原の存在を検出することができるようにそれらを十分な数まで増殖させることを可能にする、栄養分を提供する。
【0004】
いくつかの例では、病原は、視覚的に検出することができるように、十分多数に増殖することができる。たとえば、培養物の一部を、顕微鏡用スライド上に配置し、目的の病原の存在を検出するために視覚的に検査することができる。
【0005】
あるいは、微生物の増殖中に発生されるその副産物の存在を検出することによって、病原または別の生物の存在を、間接的に検出することができる。たとえば、ほ乳類細胞、昆虫細胞、細菌、ウィルス、マイコバクテリウム、および真菌など、いくつかの微生物は、その増殖時および生活環の間に酸素を消費する。試料培養物中で微生物の数が増加するにつれて、それらは当然、より多くの酸素を消費する。さらに、こうした酸素を消費する生物は通常、代謝副産物として二酸化炭素を放出する。したがって、存在する生物の数が増加するにつれて、それら全体が放出する二酸化炭素の体積も、同様に増加する。
【0006】
あるいは、酸素を消費する微生物の存在を検出するために二酸化酸素の存在を測定する代わりに、目的の試料中の酸素濃度の低下を測定することが可能である。酸素を消費する生物の存在はまた、目的試料を収容する封止された試料バイアル内の、圧力変化を測定することによって検出することもできる。すなわち、閉じられた試料バイアル内の酸素が、酸素を消費する生物によって減少すると、封止された試料バイアル内の圧力が変化する。生物が二酸化炭素を放出するにつれて、試料バイアル内の圧力はさらに変化する。したがって、そのような生物の存在は、閉じられた試料バイアル内の圧力変化を監視することによって、検出することができる。
【0007】
試料中に生物が存在するかどうかを検出するために、試料中の二酸化炭素の増加を測定するための、いくつかの方法が存在する。たとえば、Becton Dickinson and Companyによって製造されるBactec(登録商標)9050は、指示薬の色の変化を検出して試料中に二酸化炭素が存在するかどうかを決定する。すなわち、二酸化炭素の存在に反応して色が変化する化学薬品を有する指示薬培地を収容する、それぞれの試料バイアル内に、各試料が収集される。次いで、試料バイアルが機器内に装填されると、光センサが、試料バイアル内の指示薬培地の色を検出する。試料が、増殖および/または代謝活性に応じて二酸化炭素を放出する生物を含む場合、二酸化炭素の存在に反応して、指示薬培地の反射または蛍光輝度が変化する。したがって光センサは、この輝度の変化を検出し、機器は、試料バイアル内に収容された試料中に生物が存在することを、操作者に指示する。試料中の二酸化炭素の変化を測定することによって試料中の生物の存在を検出するための機器の別の例が、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に記載されている。これらの特許のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
酸素検出技術を用いる機器が、内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献5に記載されている。試料バイアル内の圧力変化を検出することができる機器が、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9に記載されている。これらの特許のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれるものである。さらに、容器内の二酸化炭素濃度の変化、酸素濃度の変化、および圧力の変化を検出することができる機器が、Nicholas R.Bachurらの「System and Method for Optically Monitoring the Concentration of a Gas,or the Pressure, in a Sample Vial to Detect Sample Growth」という名称の、2001年6月26日出願の特許文献10に記載されており、容器内の二酸化炭素濃度の変化または酸素濃度の変化を検出することができる別の機器が、特許文献11に記載されている。これらの内容全体は、いずれも、参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0009】
生物の増殖が促進されて、容器内の二酸化炭素がより多量に生成され、酸素がより多量に減少し、または圧力がより大きく変化する場合に、上記で説明した生物検出技術によって得られる結果を、改善することができることに留意されたい。固体試料を懸濁状態に維持することによって、液体培地中の固体試料の生体活性を促進することができることが知られている。これは、固液混合物を連続的に撹拌することによって実現することができ、それによって、混合物中の栄養分、消耗、およびガス交換が改善される。
【0010】
撹拌技術の例が、特許文献12、特許文献13、および特許文献14に記載されている。これらの特許それぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれるものである。これらの技術のそれぞれは、試料を収容する容器内に配置され、容器内の試料を撹拌するために磁石によって操作される、磁力攪拌機を使用する。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,945,060号明細書
【特許文献2】米国特許第5,164,796号明細書
【特許文献3】米国特許第5,094,955号明細書
【特許文献4】米国特許第5,217,876号明細書
【特許文献5】米国特許第5,567,598号明細書
【特許文献6】米国特許第4,152,213号明細書
【特許文献7】米国特許第5,310,658号明細書
【特許文献8】米国特許第5,856,175号明細書
【特許文献9】米国特許第5,863,752号明細書
【特許文献10】米国特許出願第09/892,061号明細書
【特許文献11】米国特許第6,709,857号明細書
【特許文献12】米国特許第5,586,823号明細書
【特許文献13】米国特許第4,483,623号明細書
【特許文献14】米国特許第4,040,605号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの撹拌技術は、試料増殖の促進においていくらか有効となり得るが、液体培地中の懸濁物質を撹拌して試料増殖を促進し、それによって試料検出結果を改善するための改善されたシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態では、1つまたは複数の試料容器を備えるシステムが提供され、この試料容器は、液体増殖培地と、磁力による影響を受けることができる撹拌要素と、1つまたは複数の試料容器を保持するための1つまたは複数の開口を有した、培養および測定モジュールとを備える。培養および測定モジュールは、各試料容器と関連づけられる少なくとも2つの駆動磁石と、少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、関連する試料容器の表面に向かわせまたそこから離す反復的な動きができるようにされた磁石駆動装置とを、さらに備えている。開口は、容器の長手軸が水平に対して約90°未満の角度となるように、試料容器を保持するように構成されている。
【0014】
他の実施形態では、1つまたは複数の試料容器を備えるシステムが提供され、試料容器は、液体増殖培地と、磁力による影響を受けることができる撹拌要素と、試料容器を保持するための1つまたは複数の開口を有する、培養および測定モジュールとを備える。培養および測定モジュールは、上記1つまたは複数の試料容器と関連づけられる少なくとも2つの駆動磁石と、磁石駆動装置とをさらに備え、磁石駆動装置は、シャフトおよび複数の駆動磁石を有した、磁石シャフトアセンブリを備える。駆動磁石は、二つ一組でシャフトに結合され、磁石駆動装置は、少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、関連する試料容器の表面に向かわせまたそこから離す反復的に動きをするように構成されている。
【0015】
さらなる実施形態では、試料を撹拌するための方法が提供され、この方法は、液体と、磁力による影響を受けることができる撹拌要素とを備えた試料容器を提供するステップと、容器の長手軸が水平から90°未満の角度となるように、容器を傾けるステップと、撹拌要素に磁気影響力を反復的に与えるように構成された、少なくとも2つの駆動磁石を提供するステップとを含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
同じまた同様の参照番号は、同じまた同様の部分、構成要素および構造を示す。
【0017】
図1は、試料容器102内の液体培地中に懸濁される試料を撹拌するために使用される、培養および測定モジュール100を備えた、システムの一実施形態を示す。図示のように、この例の培養および測定モジュール100は、ハウジング104、および2つのパネル106を備え、パネル106は、それぞれのレール構成108に沿って、矢印Aに沿った方向で、ハウジング104から摺動式に出し入れすることができる。
【0018】
各パネル106は、それぞれ試料容器102を受けるようになされた、複数の開口110を備える。以下でより詳細に議論するように、各容器102は、液体培地中に懸濁された試料、および撹拌要素を備えている。開口110は、開口110内に受けられる試料容器102も傾けられるように、水平に対して傾けられている。一般に、開口は、容器の長手軸が水平200(図9を参照)対して角度が90°未満となるように、その容器を保持するように構成される。本実施形態では、開口110は、開口110内に受けられる試料容器102が水平に対して約15°傾けられるように、構成される。この傾斜は、直立位置の容器に比べて、より大きい空気と液体との界面202を試料容器102内に作り出している。また、開口110、したがって試料容器102は、水平に対して15°傾けられる必要はなく、むしろ約15°から約25°の範囲内の角度で傾けることができるが、約15°から約20°の範囲が有利である。ただし、開口110および試料容器102は、有用な空気と液体の界面を作り出す、水平に対するいかなる実用的な角度にも傾けることができる。
【0019】
開口110は、図示のように、複数の行および列で構成され、各パネル106は、いかなる実用的な数の開口を有することもできる。たとえば、開口110は、10行および9列で構成することができ、それによって1枚のパネル106につき開口110が合計90個となる。培養および測定モジュール100は、パネル106がハウジング104内に受けら入れられた後にハウジング104を閉じるための、1つまたは複数のドア(図示せず)をさらに備える。
【0020】
培養および測定モジュール100によって試料培養物が分析されるとき、試料培養物は、試料容器102内に配され、試料容器102は、培養および測定モジュール100内のそれぞれのパネル106内の、それぞれの開口110内へと装填される。試料容器102は、この例では閉じられた試料バイアルである。培養および測定モジュール100は、キーボード112、バーコードリーダ(図示せず)あるいは、技術者が、試料に関する情報を、培養および測定モジュール100内のメモリ内に保存されたデータベース内へと、またはモジュール100から離隔されモジュール100の動作を制御するコンピュータ(図示せず)内に入力することを可能にする、その他何らかの適当なインタフェースを、さらに備えることができる。情報はたとえば、患者情報、試料のタイプ、試料容器102が装填されている開口110の行および列などを、含むことができる。モジュール100は、上記で参照した特許文献10、および特許文献11に記載されるようなタイプの、検出装置を含むことができる。
【0021】
図2に示すように、本実施形態では、各パネル106が、複数の磁石シャフトアセンブリ116を駆動するための駆動アセンブリ114を備える。駆動アセンブリ114は、駆動モータアセンブリ118およびプーリ構成を備え、このプーリ構成は、駆動プーリ120、シャフト駆動プーリ122、アイドラプーリ124および126、ならびに蛇行ベルト128を備え、この蛇行ベルト128は、駆動プーリ120、シャフト駆動プーリ122、ならびにアイドラプーリ124および126の周りを通るものである(図4も参照)。図7に示す別の実施形態では、駆動アセンブリは、駆動モータアセンブリ118および歯車構成を備えることができ、歯車構成は、それぞれ回転運動を駆動アセンブリ118から各磁石シャフトアセンブリへと伝達するように係合される、駆動歯車121、シャフト駆動歯車123、およびアイドラ歯車125を備えたものである。駆動モータアセンブリ118は、たとえば、マイクロコントローラなど制御装置132によって制御される、駆動モータ130を備える。駆動モータ130の駆動シャフト134は通常、図6に示すように、磁石プレート136に結合される。磁石プレート136は、希土類磁石など一般に強力な磁石である、複数の磁石138を備える。駆動モータ130は、たとえば取付けブラケット140によって、ハウジング104の内側に取り付けられる。
【0022】
図2および図5に詳細に示すように、希土類磁石など複数の強力な磁石144を有する磁石プレート142が、駆動プーリ120に結合される。駆動モータ130は、それに対応するパネル106がハウジング104内に完全に挿入されるとき、磁石プレート142が磁石プレート136と位置合せされ、またはほぼ位置合せされるように、ハウジング104内に位置決めされる。駆動モータ130および磁石プレート136は、ハウジング104の内側に収容されパネル106を受け入れる培養チャンバの、後壁146の外側に配置されることに、さらに留意されたい。したがって、磁石プレート136および磁石プレート142は、培養チャンバの後壁146の両側に配置される。ただし、磁石プレート136および磁石プレート142上のそれぞれ磁石138および144は、後壁146を介して互いに磁気的に結合するほど十分に強力であり、そのため、駆動モータ130が磁石プレート136を回転させるとき、磁石プレート136の回転は、磁気結合により磁石プレート142を回転させる。磁石プレート142の回転によって、プーリ120が駆動され、それによって蛇行ベルト128が駆動されて、シャフト駆動プーリ122およびアイドラプーリ124および126を駆動する。同様のやり方で、図7の実施形態では、磁石プレート142の回転が駆動歯車121を駆動し、それによって、シャフト駆動プーリ123およびアイドラプーリ125のかみ合わされた歯車が駆動される。駆動モータ130を培養チャンバの外側に配置することによって、動作時に駆動モータ130によって放出される熱が、培養チャンバ内の温度に影響を与えないことに留意されたい。さらに、駆動モータ130は、それに損傷を与えるおそれがある、培養チャンバの熱による影響を受けない。
【0023】
本実施形態では、各シャフト駆動プーリ122は、それぞれの磁石シャフトアセンブリ116に結合される(たとえば図8を参照されたい。)。本実施形態における各駆動磁石シャフトアセンブリ116は、シャフト148を備え、シャフト148は、一端部にてそれぞれのシャフト駆動プーリ122または歯車123に結合され、パネル106の幅に沿って延び、その他端部にて取付けアセンブリに回転可能に結合される。複数の駆動磁石アセンブリが、各シャフト148に結合されており、シャフト148がそのそれぞれのシャフト駆動プーリ122または歯車123によってその長手軸の周りで回転させられるときに、シャフト148と共に回転する。
【0024】
図8に示す実施形態では、各駆動磁石アセンブリ153−nが、回転可能なシャフト148に固定された2つの強力な駆動磁石155−1および155−2を有し、それによって、各アセンブリ153の各駆動磁石155は、各開口110に対する近接位置と離隔位置との間に配置される。本実施形態では、磁石シャフトアセンブリ116の駆動磁石155の総数は、その磁石シャフトアセンブリ116に対応する行内の、開口110の数の2倍に等しい。
【0025】
図8および図9に示す実施形態では、駆動磁石155は、2つの駆動磁石が各開口に係合しまたは関連づけられる(たとえば、各容器102が開口内に配置されるときそれに係合しまたは関連づけられる)ように、各開口110の間に設けられる。図8は、図2に示すタイプのパネルの行区間を示す、拡大斜視図である。図9は、図8に示す駆動磁石構成の位置および動作と、本発明の実施形態による撹拌機を備えたそれぞれの試料容器との関係の例を示す、概念図である。
【0026】
駆動磁石155の位置決めによって、2つの駆動磁石が交互の周期で各開口110に係合することが保証される。図8にさらに詳細に示すように、本実施形態における駆動磁石155は、対153として、シャフト148に沿って各開口110の間に設けられる(各開口に2つの駆動磁石を関連づけるため、シャフト148の各端部では、単一の駆動磁石155が、最端部の開口(図示せず)とシャフト148の支持部材(図示せず)との間に設けられる。)。各開口110内の各容器102内に存在する撹拌要素と係合するために、それぞれ、各駆動磁石155−1の表面を、たとえばN極またはS極のいずれかとして設けることができ、各駆動磁石155−2の表面を、S極またはN極のいずれかとして設けることができる。駆動磁石155−1、155−2は、個別の構成要素とすることができ、あるいは、単一の機械構成要素の個別の部分とすることができる。
【0027】
本実施形態では、駆動磁石対153−nは、各対153の各駆動磁石155−1および155−2が、シャフト148のそれぞれ反対側から(たとえば互いに180°で)、シャフト148の長手軸からある角度で延びるように、シャフト148に結合される。有用な角度は、長手軸から約30°である。各駆動磁石対153−nは、通常、シャフト148に沿って同じ角度で結合される。
【0028】
図8および図9において、隣接する駆動磁石対153−nすなわちアセンブリ(たとえば磁石アセンブリ153−1および153−2)の駆動磁石155−nは、シャフト148の周りで、互いに同じ角度位置に向けられる。すなわち、図8に示すように、磁石アセンブリ153−3の駆動磁石155−1が、対応する開口110に近接して位置決めされるとき、磁石アセンブリ153−2の駆動磁石155−1もまた、対応する開口110に近接して位置決めされる。そのような位置で、各アセンブリ153−nの駆動磁石155−1は、対応する開口110に近接して位置決めされる。同様にして、各アセンブリ153−nの駆動磁石155−2は、隣接する開口110から離隔して配置される。シャフト148が回転するとき、各駆動磁石155−nの位置は変化する。通常、単一開口/単一容器に関連づけられる駆動磁石の組は、180°の回転によって、1つの磁石が、開口内に配置された容器に最も近い位置から、容器から最も遠い位置へと動かされ、第2の磁石が、容器から最も遠い位置から、容器に最も近い位置へと動かされるように、シャフト上に配置される。
【0029】
本実施形態は、1つの開口/容器について2つの磁石を使用するものを示しているが、いかなる複数の磁石であっても、撹拌上の同様の利点をもたらす。さらに、各開口/容器に関連づけられる複数の磁石は、容器内の磁気撹拌機に所望の影響をもたらすどのようなやり方でも、シャフトに取り付けることもできる。たとえば、シャフト148のそれぞれ反対側でシャフトから延びる駆動磁石対の代わりに、シャフトの同じ側から延びる磁石対156−1、156−2を使用することができ、たとえば、第1の駆動磁石アセンブリ160−1の第1の磁石156−1は、シャフトから30°の角度で延び、第2の磁石156−2は、シャフトから150°の角度にて延びる。そのような場合、隣接する駆動磁石アセンブリ160−2の磁石156−1および156−2は、通常、シャフト148の反対側から延びる。たとえば、そのような一実施形態を示す図14を参照されたい。
【0030】
図9は、一実施形態による、駆動磁石アセンブリ153−nの駆動磁石155−1および155−2と、開口110内に装填された試料容器102との関係を示す。本実施形態では、各開口110に対して、2つの駆動磁石155−nが係合しまたは関連づけられるが、図9は、開口110の片側(すなわち容器102のための駆動磁石155−2)のみを示し、また、隣接する開口110の1つの駆動磁石(すなわち図示されない隣接容器のための駆動磁石155−1)を示している。
【0031】
図8および図9に示すように、Rで示す方向にシャフト148が回転するとき、アセンブリ153−1の駆動磁石155−2は、試料容器102の外面の近くに動き、その磁力が、この例では磁化された撹拌要素162である撹拌要素を引きつけて、撹拌要素162を、試料容器102の底縁部164から離して、試料容器102の壁部166に沿って上方へと引っ張る(アセンブリ153−1の駆動磁石155−1は、図9に示す容器ではなく、隣接する容器に影響を与えることが意図されていることに留意されたい。)。駆動磁石155−2が、次に試料容器102から離れる方向に回転し続けるにつれて、撹拌要素162は、駆動磁石155−2の磁力による影響をより小さく受けるようになり、重力によって試料容器102の壁部166に沿って底縁部164へと落ちる。しかし、このとき、容器102の反対側にあるアセンブリ153−n+1の駆動磁石155−1は、試料容器102の外面の近くに動き、その磁力が、撹拌要素162を引きつけて、撹拌要素162を回転させ、試料容器102の底縁部164から離して試料容器102の壁部166に沿って上方へと引っ張る。容器102の反対側にあるアセンブリ153−n+1の駆動磁石155−1が、次に試料容器102から離れる方向に回転し続けるとき、撹拌要素162は、駆動磁石155−2の磁力による影響をより小さく受けるようになり、重力によって試料容器102の壁部166に沿って底縁部164へと落ちる。この回転および引っ張り運動は、(隣接する駆動磁石アセンブリの)駆動磁石155−1および155−2が試料容器102の外面に沿って運動するとき毎回繰り返され、また、各開口110の各容器について繰り返される。撹拌容器162の撹拌作用は、有利には、図13に示すようなアナレンマ様の運動を有するパターンに従う。
【0032】
モータ130は、たとえば、毎分150回転の速さで回転させることができ、それによって、撹拌要素162は、上記で説明した撹拌通路を通って最高で毎分150回移動することができる。ただし、モータ130は、それを制御することによって所望の撹拌作用を実現するためのいかなる実用的な速さでも回転することができる。
【0033】
撹拌要素162は、通常、磁性を有する鉄金属充填ポリマーである。本明細書で使用する「磁性」という用語は、磁性ステンレス鋼など、駆動磁石の磁界に反応する鉄金属のタイプを示す。撹拌要素において用いられる鉄材料は、それ自体が磁石である必要はなく、また磁化されている必要もない。撹拌要素は、図示のようなロッド形状または円柱状とすることができ、またはその他いかなる適当な形状を有することもできる。撹拌要素は、約13mm(約0.500インチ)から20mm(0.750インチ)の全長、および約3mm(約0.120インチ)から約5mm(約0.220インチ)の全直径を有し、通常円形端部を有する、円柱状とすることができる。
【0034】
撹拌要素162の鉄充填材含有量を増加することによって、駆動磁石154が有する撹拌要素162への磁気影響力が増大する。同様に、撹拌要素162の鉄充填材含有量を減少させることによって、駆動磁石154が有する撹拌要素162への磁気影響力が減少する。したがって、撹拌の強度は単純に、撹拌要素162を、異なる鉄充填材含有量を有する撹拌機に置き換えることによって、変えることができる。また、撹拌要素162のサイズおよび形状を変える必要はない。また、撹拌要素162を磁化することによって、駆動磁石154が有する撹拌要素162への磁気影響力を、さらに調整することができる。したがって、撹拌の強度は単純に、撹拌要素162を、異なる磁化の程度を有する撹拌要素に置き換えることによって、変えることができる。
【0035】
各実施形態で、たとえば10000ガウス以上の様々な磁力および帯磁方向を有する、駆動磁石154および155を提供することができる。磁性体および希土類磁石は、様々な構造に焼結または鋳造することができるので、それぞれの磁石は、単独または複数で提供することができ、様々なサイズおよび形状を有することができる。駆動磁石は、単独で、あるいはアレイとしてまたは複数で、各開口部に作用することができる。したがって、交互回転、横方向、縦方向など、撹拌要素の様々な物理的運動を提供することができる。また、様々な振動速度、すなわち毎分数十、数百、または数千回転を有する、それぞれの駆動磁石を提供することもできる。
【0036】
図10、図11、および図12に示されるように、様々な形状、サイズ、磁性およびポリマー充填材レベル、ならびに磁極方向を有した、撹拌要素を提供することができる。たとえば、撹拌要素の形状は、それに作用する関連した力に基づいて選択することができる。撹拌要素に作用する、液体中でその固有の運動を生じさせる主な力には、磁力、重力、浮力、および粘性が含まれる。(撹拌要素が磁化されている場合に)撹拌要素の、駆動磁石に向かう、またはそこから離れる運動を生じる磁力は、撹拌要素中の磁化された充填材の保磁度、駆動磁石の固有の強度によって変化し、または撹拌要素と駆動磁石との間の距離に反比例して変化する。したがって、撹拌要素は、(磁化されている場合)その磁極の向きを駆動磁石により近づけるようにするために、液体の体積形状を最大限に利用するような形状とすることができる。この形状は、平坦な形(矩形多面体)、線形(円筒形ロッド)、球状、または撹拌される体積および所望の撹拌強度に適した別のより複雑な形状とすることができる。重力は、撹拌要素を地球の中心へと向かって引っ張る傾向がある。撹拌要素が、撹拌している液体の体積に対して非常に大きい(重い)場合、撹拌要素は、それが小さく、すなわちより軽い場合よりも、大きい力で落ちやすくなる。また、より大きい撹拌要素質量の増大された慣性は、重力の増大に対抗する傾向がある。形状を最適化することによって撹拌要素の相対的な質量を制御することにより、要素の浮力および液体の粘度に対する、重力の平衡をとることができる。同様に、撹拌要素の長さ対直径の比によって、液体中の粘性抗力を増大あるいは低減させることができる。より大きい(またはより小さい)抗力を生み出すことによって、撹拌要素は、所与の粘度および外部から加えられた磁界に関して、液体中でより小さく(または大きく)動かされる。さらに、撹拌要素は、様々な磁極方向および強度で磁化され得る。図10、図11、および図12は、本発明の実施形態による、撹拌要素162a、162b、および162cのいくつかの磁極構成を示す。
【0037】
本発明の実施形態によれば、撹拌要素162、162a、162b、162cは、約20重量%から約80重量%のポリマーを含むことができ、残り80重量%から20重量%が鉄金属、あるいは別の磁性材料または磁化可能な材料となる。ただし、撹拌要素を一体に保持するのに十分な結合力をもたらし、また、駆動磁石154に対する十分な反応性を可能にする限り、ポリマー対鉄金属のいかなる比を用いることもできる。ポリマー材料は、好ましくは、撹拌要素の全表面硬度を低減し、したがって懸濁液中の固体試料158および試料容器102への潜在的な損傷を低減する、ナイロンまたはポリプロピレンなど生体不活性ポリマーである。本発明の実施形態では、鉄材料は、ステンレス鋼であるが、駆動磁石154からの磁気影響力に反応することができる適当な材料のどのようなものであってもよい。撹拌要素はさらに、ポリマーおよび鉄材料のタイプおよび含有率を指示するために、青、灰色、赤、緑、オレンジなどの色で符号を付けることができる。撹拌要素は、試料容器102内に設けることができ、または固体試料158および液体培地160を試料容器102内に加える前または後に、試料容器102に加えることができる。
【0038】
撹拌要素は、各容器内の液体試薬に撹拌運動をもたらすのに十分な連続的または律動的な運動を誘導するために、駆動磁石アセンブリの永久磁石の回転に反応して動くように磁化することができる材料で、作成することができる。通常、撹拌要素は、所望の運動を液体試薬に誘導するのに十分な長さおよび直径の、ほぼ円筒形を有したものである。撹拌要素は、一般に、約15〜25mmの長さ、および約2〜6mmの直径を有する。一つの好ましい実施形態では、撹拌バーは、約20mm(0.75インチ)の長さ、および5mm(0.22インチ)の直径を有する。通常、撹拌要素は、わずかに丸まった端部を有する。
【0039】
好ましい一実施形態では、撹拌要素は、成形可能なポリマーまたはコポリマーと、磁化可能な材料との混合物から製造される。適当なポリマーの例には、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)コポリマーが含まれる。これはこのコポリマーは、生体不活性であり、所望の形状およびサイズに容易に成形されるからである。別の実施形態では、撹拌要素のポリマー成分は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、およびポリスチレンからなる群から選択される。通常、ポリマー成分は、可撓性の熱可塑性ポリマーまたはコポリマーである。ポリマーまたはコポリマーは、通常、完成した撹拌要素の総重量の、約20重量%から約40重量%、好ましくは約30重量%の量が含まれる。
【0040】
磁化可能材料は、通常、完成した撹拌要素の総重量の、約60重量%から約80重量%、また好ましくは約70%の量で含まれる。磁化可能材料は、一般に、必要な撹拌効果をもたらすための適当な力を持つように磁化することができる、フェライト化合物である。磁化可能なフェライトの例には、2族金属フェライト、および特にストロンチウムフェライトが含まれる。磁性または磁化可能な構成成分は、鉄、ステンレス鋼、およびフェライト合金からなる群から選択することができる。好ましい一実施形態は、30重量%のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマーと、70重量%のストロンチウムフェライトの混合物である。構成成分は互いに混合され、溶融し円筒部材として押し出し、所定の長さに切断することによって成形される。あるいは、ポリマーとストロンチウムフェライト粒子の混合物を、所望の形状に圧縮成形することができ、あるいは、加熱して所望の形状に射出成形することができる。上記のように、本発明の特に好ましい実施形態では、撹拌要素は、約70重量%のストロンチウムフェライトと30重量%のSEBSポリマーの混合物を含み、長さ約20mm(0.75インチ)、直径約5mm(0.220インチ)の、円形端部を有した長円筒形に成形することができる。撹拌要素は、さらに、約300ガウスの磁気飽和状態まで磁化することができ、2つの磁極が、図11および図12に示すように直径上に、または図10に示すように要素の端部に、整列される。比較的軟質のSEBSポリマーは、液体培地中に懸濁されるあらゆる粒子への損傷を防ぐために適した可撓性をもたらし、かつ生体不活性である。70重量%のストロンチウムフェライトは、適度の磁力、持続的な強度、非反応性、ならびに配合および成形の容易さをもたらす。
【0041】
いくつかの実施形態では、撹拌要素は、形成され、次いで適当な撹拌効果をもたらすための所望の磁力まで磁化される。撹拌要素は、標準的な磁化手順を用いて、約200ガウスから約400ガウスの磁力まで磁化される。好ましい一実施形態では、撹拌磁石は、約300ガウスの磁力まで磁化される。ストロンチウムフェライトなどフェライト材料は、適度な磁力を、撹拌要素の企図された耐用期間のための持続的な強度と共にもたらすことができる。
【0042】
複数の磁極を、撹拌要素の形状内でパターン化することができ、磁極は、軸方向に向け、径方向に向け、周方向に向けることができ、あるいは、撹拌機に所望の誘引性(attractive)または反発性(repellent)のジオメトリを与えるための、その他多くの構成で設計することができる。そのような様々な磁極ジオメトリは、液体中で撹拌要素の様々な運動をさらに実現し、それによって、所望の効果を生み出すことができる。本発明の好ましい実施形態では、撹拌要素の円周の周りで正反対に向けられた対向磁極を有する、磁性撹拌要素が製作される。一実施形態では、図10に示すような、撹拌要素の第1の端部にあるN極および第2の端部にあるS極を有する、撹拌要素162aが形成される。別の実施形態では、各端部に1つのN極および1つのS極を有する撹拌要素162bが形成され、ここで両極は、図11に示すように、撹拌要素の円周の周りで交互になる状態で、撹拌要素のほぼ全長に沿って長手方向に延びる。さらに別の実施形態では、撹拌要素162cは、各端部に2つ以上の対向磁極の対を備え、ここで両極は、図12に示すように撹拌要素の円周の周りで交互になり、撹拌要素の長さにほぼ沿って延びる。このやり方では、磁束の線は、従来の棒磁石のように端部から端部にではなく、撹拌要素の円周の周りに延びる。
【0043】
直径方向および軸方向に向けられた磁極は、駆動磁石の運動に反応して、撹拌要素のランダムな3次元運動を誘導することができる。駆動磁石は、一般に、培養容器に関する軌道経路内で、培養容器の長手軸に平行な平面内で滑らかな曲線状に動く。駆動磁石の円形経路の軸は、撹拌要素が不規則な脈動運動を示すことができるように、駆動磁石が培養容器および撹拌要素に向かい、次いでそこから離れて動くようなものである。ほぼ曲線状の通路内の駆動磁石の円運動は、撹拌要素のランダムな運動を誘導する。撹拌要素の直径方向および軸方向に向けられた磁極は、撹拌要素をその長手軸の周りで回転させ、同時に、撹拌要素の長手軸に対してほぼ垂直の軸の周りで運動および回転させ、それによって、アナレンマ様の運動を行い、撹拌効果をもたらす。
【0044】
図11および図12に示すように、磁極は、図13に示すような複雑な、3次元の、アナレンマ様の撹拌パターンを生み出すために、直径方向に(軸方向に)磁気誘導(induce)することができる。本発明の本実施形態による撹拌要素の磁力強度は、通常、沈降した赤血球から抜け出すのに十分であるが、細胞または樹脂粒子を破裂させるほど強くはないものである。
【0045】
近年の、幅広い特性を有する多くの異なる磁性材料および熱可塑性ポリマーを利用できることが多くなることによって、上記で説明したような複雑な撹拌要素の形状の成形または押出が可能になっている。したがって、液体に与えられる運動の程度を精密に制御するために、以下でさらに詳細に説明するように、撹拌要素および駆動磁石の両方の設計をさらに調整することができる。また、上記で説明したようなフェライトが充填された撹拌要素の磁化は、電磁放電(electromagnetic discharge)ではなく強力な永久磁石フィクスチャを用いて、容易に実現することができる。したがって、エネルギーディレクタ(energy director)を有する永久磁石フィクスチャは、撹拌要素の製造のための製造体積要件を容易に満たすものである。
【0046】
上記実施形態の磁性材料の充填比を調整するために、ポリマーマトリックスと共に撹拌要素形状に成形される磁性材料は、様々な体積比率(充填比率)を有することができ、様々な材料から選択することができる。磁性材料のより高い体積充填比率は、要素の製造に使用されるもう一方の成分が軽量ポリマーである場合、撹拌要素をより巨大にする傾向がある。撹拌要素がより大きい質量を有する程、同じ粘性および粘弾性の撹拌される液体について重力が有することになる撹拌への影響力および効果が大きくなり、その運動のより大きい要因となる。
【0047】
体積比率の調整に加えて、質量および保磁力を調整するために、材料のタイプを変えることができる。たとえば、撹拌要素中の粉末金属充填材が、マルテンサイトステンレス鋼である場合、それは、ストロンチウムフェライトなど、同じ充填比率を有するがより高い保持力を有する要素よりも、大幅に小さい磁気モーメントを有する。
【0048】
磁力に関して材料のタイプを選択することができるだけでなく、生物試料中で撹拌要素を使用する場合などに必要とされる、非毒性に関して選択することもできる。また、材料のための酸化電位を、応用例に合わせて選択することができる。たとえば、光学的に調べられる(interrogated)サンプラ容器中の錆は、性能に重大な影響を及ぼすおそれがある。
【0049】
上記実施形態のポリマー充填材を調整するために、撹拌要素の製造に使用される体積または質量比率およびポリマーのタイプを、選択することができる。より高いポリマー充填材の比率は、様々な応用例環境のために撹拌機の物理的特性を変えることができる。たとえば、ポリマーが(それが軟らかいことを意味する)より低いジュロメータ値を有し、その比率が増大される場合、液体培地中に懸濁された固体に加えられる衝撃力の大きさを低減することができる。ポリマーの体積がより小さくなり、磁性充填材がより大きくなるにつれて、要素の硬度は通常上昇し、懸濁された固体への外見上の衝突損傷が、増大することがある。
【0050】
異なるタイプのポリマーを選択することによって、別の性能属性を向上させることもできる。材料の所望の可撓性が知られている場合、撹拌される内容物との固有の適合性が最高になる。いくつかのポリマーは、代謝プロセスにとって有毒であることが知られているが、いくつかは、比較的不活性であることが知られている。非毒性ポリマーを選択する場合、ポリウレタンではなくPTFEを選択することが、撹拌される液体の内容物の安定性への要素の究極的な影響を決定することがある。いくつかの場合、化学的に活性な、吸収性の、または液体の内容物に有害な試剤を破壊する、ポリマーの選択が望ましいことがある。これらの有害な、あるいは有利なポリマーを撹拌要素中に含めることは、容器の内容物の動作を調整するために使用することができる。
【0051】
本発明の様々な実施形態は、従来の撹拌装置に優るいくつかの利点を提供する。たとえば、傾けられた開口110は、試料容器102を、水平に対してある角度に維持するので、実施形態では、液相を気相に最大限に露出することが容易になる。したがってこれは、角度に応じて、溶解されるガスの交換の改善をもたらす。さらに、試料容器102の向きが角度付けされることにより、駆動磁石が撹拌要素への磁性影響力を維持する確率が上昇する。また、撹拌要素の通路が試料容器の壁部166によって制限されるので、撹拌作用は、従来の方法におけるよりも緩やかにすることができる。撹拌機システムのこれらすべての改善された特徴によって、液体培地160中の試料の増殖が促進され、したがって、試料容器中の、全二酸化炭素発生量、酸素減少量、および圧力変化が増大し、それによって、試料検出結果が改善される。
【0052】
本発明の新規技術および利点から著しく離れることなく、本発明で説明した実施形態に修正を加えることができることを、当業者は理解するであろう。したがって、それらの修正はすべて、添付の特許請求の範囲内で定義されるような本発明の範囲に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態によるシステムを示す斜視図である。
【図2】試料容器を収容するための、図1に示すシステム内のパネルの例を示す詳細斜視図である。
【図3】図2に示すパネルの側面図である。
【図4】図2に示すパネル内で使用されるベルトおよびプーリ構成を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態の駆動構成を示す詳細分解図である。
【図6】図5に示す駆動構成のモータを示す詳細図である。
【図7】図2に示すパネル内で使用される、本発明の別の実施形態による歯車構成を示す部分側面図である。
【図8】本発明の一実施形態による駆動磁石構成を有する、図2に示すパネルの行区間を示す拡大斜視図である。
【図9】図8の駆動磁石構成の位置と運動の間の関係の例を示す概念図である。
【図10】本発明の別の実施形態による、撹拌要素の磁極構成を示す図である。
【図11】本発明の別の実施形態による、撹拌要素の磁極構成を示す図である。
【図12】本発明の別の実施形態による、撹拌要素の磁極構成を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態の駆動磁石構成によって生み出される、撹拌運動の一例を示す概念図である。
【図14】本発明の一実施形態による、駆動磁石対の構成を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体増殖培地と、磁力の影響を受けることができる撹拌要素と、を備えた複数の試料容器と、
培養および測定モジュールであって、前記試料容器を保持するための複数の開口を備え、前記開口の数の少なくとも2倍に等しい数の駆動磁石をさらに備え、前記1つまたは複数の開口がそれぞれ、少なくとも2つの前記駆動磁石と関連づけられる、モジュールと、
複数の駆動磁石を備えた磁石駆動装置であって、前記関連する開口内に関連する試料容器が配置されるとき、前記少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、前記関連する試料容器の表面に向かいまたそこから離して反復的に動かすようになされ、前記開口は、前記容器の前記長手軸が水平から90°未満の角度となるように、前記1つまたは複数の試料容器を保持するように構成される、磁石駆動装置と、
を具えたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記磁石駆動装置の動作中に、前記前記試料容器のうちの1つと結合される少なくとも2つの駆動磁石が、別々の時点に、前記関連する試料容器の前記表面の最も近くへと動き、前記少なくとも2つの駆動磁石の前記運動が、前記関連する試料容器内の前記撹拌要素に磁気影響力を与えて前記撹拌要素を動かすことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つまたは複数の開口がそれぞれ、第1および第2の駆動磁石の組と関連づけられ、前記磁石駆動装置が、
シャフトおよび前記複数の前記駆動磁石を備えた磁石シャフトアセンブリと、
モータであって、第1の回転位置で、前記第1の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面に最も近づき、前記第2の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面から離れ、第2の回転位置で、前記第2の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面に最も近づき、前記第1の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面から離れるように、前記磁石シャフトアセンブリを回転させ前記複数の駆動磁石を動かすために、前記シャフトと係合されるモータと、を備えたことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記磁石駆動装置が、
シャフトと前記複数の前記駆動磁石とを有する磁石シャフトアセンブリを備え、
前記複数の駆動磁石が、対で前記シャフトに結合され、前記対が、個別の構成要素、または単一構成要素の個別の部品、あるいはそれらの組合せであり、
前記対が、前記シャフトに結合されそこから第1の角度で延びる第1の駆動磁石、および前記シャフトに結合されそこから第2の角度で延びる第2の駆動磁石を備え、
前記第1の駆動磁石が、前記1つまたは複数の開口のうちの第1の開口と関連づけられ、前記第2の駆動磁石が、前記1つまたは複数の開口のうちの第1の開口に隣接する、前記1つまたは複数の開口のうちの第2の開口と関連づけられることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1および第2の駆動磁石が、それぞれ前記シャフト上の第1および第2の位置から延び、前記第1および第2の位置が、互いに前記シャフトのほぼ反対側にあることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1および第2の回転位置が、約180°離れていることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2の角度が、約30°であることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記各駆動磁石対が、前記試料容器開口のうちの2つの間にくるように、前記磁石シャフトアセンブリが、前記モジュール内に配置されることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記磁石駆動装置の動作時に、前記磁気影響力によって、前記撹拌要素が前記試料容器の壁部に沿って動くことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記磁石駆動装置の動作時に、前記磁気影響力によって、前記撹拌要素が、前記試料容器内でアナレンマパターンで動くことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記駆動磁石の前記運動の一部の間に、重力によって前記撹拌要素が前記試料容器の底部に向かって動かされるように、前記磁石駆動装置および駆動磁石が構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記角度が、約15°から約25°であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記試料容器が、細長い試料バイアルであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
液体増殖培地と、磁力の影響を受けることができる撹拌要素と、を備えた複数の試料容器と、
培養および測定モジュールであって、前記1つまたは複数の試料容器を保持するための複数の開口を備え、前記1つまたは複数の開口がそれぞれ、少なくとも2つの前記駆動磁石と関連づけられる、モジュールと、
複数の駆動磁石を備える磁石駆動装置であって、前記関連する開口内に関連する試料容器が配置されるとき、前記少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、試料容器の表面に向かいまたそこから離して反復的に動かすようになされ、磁石シャフトアセンブリを備える、磁石駆動装置と、を備え、
前記磁石シャフトアセンブリが、シャフトおよび複数の駆動磁石を備え、
前記複数の駆動磁石が、対で前記シャフトに結合され、前記対が、個別の構成要素、または単一構成要素の個別の部品、あるいはそれらの組合せであることを特徴とするシステム。
【請求項15】
前記磁石駆動装置の動作時に、前記試料容器のうちの1つと結合される少なくとも2つの駆動磁石が、別々の時点で、前記関連する試料容器の前記表面に最も近づき、前記少なくとも2つの駆動磁石の前記運動が、前記撹拌要素を動かすために、前記関連する試料容器内の前記撹拌要素に磁気影響力を与えることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記磁石駆動装置が、モータをさらに備え、第1の回転位置で、前記第1の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面に最も近づき、前記第2の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面から離れ、第2の回転位置で、前記第2の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面に最も近づき、前記第1の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面から離れるように、前記磁石シャフトアセンブリを回転させ前記複数の駆動磁石を動かすために、前記モータが前記シャフトと係合されることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記駆動磁石の各対が、
前記シャフトに結合されそこから第1の角度で延びる第1の駆動磁石、および前記シャフトに結合されそこから第2の角度で延びる第2の駆動磁石を備え、前記第1の駆動磁石が、前記1つまたは複数の開口のうちの第1の開口と関連づけられ、前記第2の駆動磁石が、前記1つまたは複数の開口のうちの第1の開口と隣接する、前記1つまたは複数の開口のうちの第2の開口と関連づけられることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1および第2の駆動磁石が、それぞれ前記シャフト上の第1および第2の位置から延び、前記第1および第2の位置が、互いに前記シャフトのほぼ反対側にあることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1および第2の回転位置が、約180°離れていることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1および第2の角度が、約30°であることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記各駆動磁石対が、前記試料容器開口のうちの2つの間にくるように、前記磁石シャフトアセンブリが、前記モジュール内に配置されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
試料を撹拌するための方法であって、
液体と、磁力の影響を受けることができる撹拌要素と、を備えた試料容器を提供するステップと、
前記容器の長手軸が水平から90°未満の角度になるように、前記容器を傾けるステップと、
前記撹拌要素に磁気影響力を定期的に与えるように構成された、少なくとも2つの駆動磁石を提供するステップと、
を有したことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記少なくとも2つの駆動磁石を、前記試料容器の外面に向かいまたそこから離して反復的に動かすステップをさらに有したことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記磁気影響力を、前記少なくとも2つの駆動磁石それぞれから、別々の時点で前記撹拌要素に与えるステップをさらに有したことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも2つの駆動磁石がそれぞれ、別々の時点で、前記試料容器の前記表面に最も近くへと動かされることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記動かすステップは、第2の駆動磁石が前記試料容器の前記外面に向かって動かされるとき、第1の駆動磁石を前記試料容器の前記外面から離して動かすことを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第1および第2の駆動磁石が、前記試料容器の前記外面上の異なる位置に向かい、またはそこから離れて動くことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記磁気影響力によって、前記撹拌要素が、前記試料容器の側壁に沿って動くことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記動かすステップの一部の間に、重力によって前記撹拌要素が前記試料容器の前記底部に向かって動かされることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記磁気影響力によって、前記撹拌要素がアナレンマパターンで動くことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記撹拌要素が、約200ガウスから約400ガウスの間で磁化されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記撹拌要素が、約300ガウスまで磁化されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項1】
液体増殖培地と、磁力の影響を受けることができる撹拌要素と、を備えた複数の試料容器と、
培養および測定モジュールであって、前記試料容器を保持するための複数の開口を備え、前記開口の数の少なくとも2倍に等しい数の駆動磁石をさらに備え、前記1つまたは複数の開口がそれぞれ、少なくとも2つの前記駆動磁石と関連づけられる、モジュールと、
複数の駆動磁石を備えた磁石駆動装置であって、前記関連する開口内に関連する試料容器が配置されるとき、前記少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、前記関連する試料容器の表面に向かいまたそこから離して反復的に動かすようになされ、前記開口は、前記容器の前記長手軸が水平から90°未満の角度となるように、前記1つまたは複数の試料容器を保持するように構成される、磁石駆動装置と、
を具えたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記磁石駆動装置の動作中に、前記前記試料容器のうちの1つと結合される少なくとも2つの駆動磁石が、別々の時点に、前記関連する試料容器の前記表面の最も近くへと動き、前記少なくとも2つの駆動磁石の前記運動が、前記関連する試料容器内の前記撹拌要素に磁気影響力を与えて前記撹拌要素を動かすことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つまたは複数の開口がそれぞれ、第1および第2の駆動磁石の組と関連づけられ、前記磁石駆動装置が、
シャフトおよび前記複数の前記駆動磁石を備えた磁石シャフトアセンブリと、
モータであって、第1の回転位置で、前記第1の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面に最も近づき、前記第2の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面から離れ、第2の回転位置で、前記第2の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面に最も近づき、前記第1の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面から離れるように、前記磁石シャフトアセンブリを回転させ前記複数の駆動磁石を動かすために、前記シャフトと係合されるモータと、を備えたことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記磁石駆動装置が、
シャフトと前記複数の前記駆動磁石とを有する磁石シャフトアセンブリを備え、
前記複数の駆動磁石が、対で前記シャフトに結合され、前記対が、個別の構成要素、または単一構成要素の個別の部品、あるいはそれらの組合せであり、
前記対が、前記シャフトに結合されそこから第1の角度で延びる第1の駆動磁石、および前記シャフトに結合されそこから第2の角度で延びる第2の駆動磁石を備え、
前記第1の駆動磁石が、前記1つまたは複数の開口のうちの第1の開口と関連づけられ、前記第2の駆動磁石が、前記1つまたは複数の開口のうちの第1の開口に隣接する、前記1つまたは複数の開口のうちの第2の開口と関連づけられることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1および第2の駆動磁石が、それぞれ前記シャフト上の第1および第2の位置から延び、前記第1および第2の位置が、互いに前記シャフトのほぼ反対側にあることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1および第2の回転位置が、約180°離れていることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2の角度が、約30°であることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記各駆動磁石対が、前記試料容器開口のうちの2つの間にくるように、前記磁石シャフトアセンブリが、前記モジュール内に配置されることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記磁石駆動装置の動作時に、前記磁気影響力によって、前記撹拌要素が前記試料容器の壁部に沿って動くことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記磁石駆動装置の動作時に、前記磁気影響力によって、前記撹拌要素が、前記試料容器内でアナレンマパターンで動くことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記駆動磁石の前記運動の一部の間に、重力によって前記撹拌要素が前記試料容器の底部に向かって動かされるように、前記磁石駆動装置および駆動磁石が構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記角度が、約15°から約25°であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記試料容器が、細長い試料バイアルであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
液体増殖培地と、磁力の影響を受けることができる撹拌要素と、を備えた複数の試料容器と、
培養および測定モジュールであって、前記1つまたは複数の試料容器を保持するための複数の開口を備え、前記1つまたは複数の開口がそれぞれ、少なくとも2つの前記駆動磁石と関連づけられる、モジュールと、
複数の駆動磁石を備える磁石駆動装置であって、前記関連する開口内に関連する試料容器が配置されるとき、前記少なくとも2つの駆動磁石をそれぞれ、試料容器の表面に向かいまたそこから離して反復的に動かすようになされ、磁石シャフトアセンブリを備える、磁石駆動装置と、を備え、
前記磁石シャフトアセンブリが、シャフトおよび複数の駆動磁石を備え、
前記複数の駆動磁石が、対で前記シャフトに結合され、前記対が、個別の構成要素、または単一構成要素の個別の部品、あるいはそれらの組合せであることを特徴とするシステム。
【請求項15】
前記磁石駆動装置の動作時に、前記試料容器のうちの1つと結合される少なくとも2つの駆動磁石が、別々の時点で、前記関連する試料容器の前記表面に最も近づき、前記少なくとも2つの駆動磁石の前記運動が、前記撹拌要素を動かすために、前記関連する試料容器内の前記撹拌要素に磁気影響力を与えることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記磁石駆動装置が、モータをさらに備え、第1の回転位置で、前記第1の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面に最も近づき、前記第2の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面から離れ、第2の回転位置で、前記第2の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面に最も近づき、前記第1の駆動磁石が、前記関連する試料容器の前記外面から離れるように、前記磁石シャフトアセンブリを回転させ前記複数の駆動磁石を動かすために、前記モータが前記シャフトと係合されることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記駆動磁石の各対が、
前記シャフトに結合されそこから第1の角度で延びる第1の駆動磁石、および前記シャフトに結合されそこから第2の角度で延びる第2の駆動磁石を備え、前記第1の駆動磁石が、前記1つまたは複数の開口のうちの第1の開口と関連づけられ、前記第2の駆動磁石が、前記1つまたは複数の開口のうちの第1の開口と隣接する、前記1つまたは複数の開口のうちの第2の開口と関連づけられることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1および第2の駆動磁石が、それぞれ前記シャフト上の第1および第2の位置から延び、前記第1および第2の位置が、互いに前記シャフトのほぼ反対側にあることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1および第2の回転位置が、約180°離れていることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1および第2の角度が、約30°であることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記各駆動磁石対が、前記試料容器開口のうちの2つの間にくるように、前記磁石シャフトアセンブリが、前記モジュール内に配置されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
試料を撹拌するための方法であって、
液体と、磁力の影響を受けることができる撹拌要素と、を備えた試料容器を提供するステップと、
前記容器の長手軸が水平から90°未満の角度になるように、前記容器を傾けるステップと、
前記撹拌要素に磁気影響力を定期的に与えるように構成された、少なくとも2つの駆動磁石を提供するステップと、
を有したことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記少なくとも2つの駆動磁石を、前記試料容器の外面に向かいまたそこから離して反復的に動かすステップをさらに有したことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記磁気影響力を、前記少なくとも2つの駆動磁石それぞれから、別々の時点で前記撹拌要素に与えるステップをさらに有したことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも2つの駆動磁石がそれぞれ、別々の時点で、前記試料容器の前記表面に最も近くへと動かされることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記動かすステップは、第2の駆動磁石が前記試料容器の前記外面に向かって動かされるとき、第1の駆動磁石を前記試料容器の前記外面から離して動かすことを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第1および第2の駆動磁石が、前記試料容器の前記外面上の異なる位置に向かい、またはそこから離れて動くことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記磁気影響力によって、前記撹拌要素が、前記試料容器の側壁に沿って動くことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記動かすステップの一部の間に、重力によって前記撹拌要素が前記試料容器の前記底部に向かって動かされることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記磁気影響力によって、前記撹拌要素がアナレンマパターンで動くことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記撹拌要素が、約200ガウスから約400ガウスの間で磁化されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記撹拌要素が、約300ガウスまで磁化されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−534012(P2008−534012A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504209(P2008−504209)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/010997
【国際公開番号】WO2006/104962
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/010997
【国際公開番号】WO2006/104962
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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