説明

液体容器用キャップおよび液体用容器

【課題】ヒンジキャップ型の液体容器用キャップにおいて、ノズル部を閉止するための栓部の強度低下を伴うことなく、ノズル部から液体が出過ぎることを抑制できるようにする。
【解決手段】液体容器用キャップ14は、容器本体に固定され、かつ液体注出用のノズル部22を備えるキャップ本体16と、ノズル部22を覆う閉止位置とこの位置から外側に展開した開放位置とに亘って変位可能な蓋体18とを備える。ノズル部22は、液体注出用の通路32を有し、蓋体18は、閉止位置にある状態で前記通路32に嵌入されて当該通路32を塞ぐ栓部44を備える。ノズル部22の通路32は、蓋体18の栓部44を嵌入させることが可能な内径を有する第1通路部33aと、この第1通路部33aよりも奥側に位置し、第1通路部33aよりも内径が小さい第2通路部33bとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧液等を収容するための液体用容器に適した液体容器用キャップおよびこの液体容器用キャップを備える液体用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧液等の液体を収容するための液体用容器として、例えば特許文献1に記載されたものが公知である。この液体用容器は、上部開口を有する有底の容器本体と、この容器本体の上端部に装着されるヒンジキャップ(液体容器用キャップ)とを備える。
【0003】
前記ヒンジキャップは、化粧液の注ぎ口となるノズル部を備えかつ前記容器本体の上端部に固定されるキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジを介して連結される蓋体とを備えている。蓋体は、ノズル部を覆う閉止位置とこの位置から外側に展開した開放位置とに変位可能であり、前記閉止位置に配置されることで、当該蓋体が備える栓部がノズル部の開口に嵌入されて当該ノズル部を閉止する。従って、化粧液を使用する際には、ヒンジキャップの蓋体を開放位置に展開し、容器全体を傾けて化粧液をノズル部から注出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3160981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような液体用容器は、その傾きに応じて適量の化粧液が注出されるのが好ましい。従って、化粧水のように流動性に富んだ化粧液を収容する容器については、乳液等、比較的粘度の高い化粧液を収容するものに比べてノズル部の孔径を小さく形成し、これにより、容器を大きく傾けても化粧液が出過ぎることがないようにする必要がある。
【0006】
ところが、ノズル部の孔径を小さくすると、これを閉止するための蓋体側の栓部もその分細くする必要があり、栓部の強度を確保することが難しくなる。そのため、蓋体の開閉操作中に栓部が変形し、あるいは折れるといった弊害をもたらすおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、いわゆるヒンジキャップ型の液体容器用キャップにおいて、ノズル部を閉止するための栓部の強度低下を伴うことなく、液体の注出量を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、上向きに開口する容器本体に装着されることにより、当該容器本体と共に液体を収容するための液体用容器を構成する液体容器用キャップであって、液体注出用のノズル部を備える天壁部およびこの天壁部から垂下する筒状の側壁部を有し、前記天壁部が前記開口を塞ぐように前記容器本体の上端部に外嵌されることで当該容器本体に固定されるキャップ本体と、前記ノズル部を覆うことが可能な形状を有しかつ前記天壁部に重なる閉止位置とこの閉止位置から外側に展開して前記ノズル部を開放する開放位置とに亘って変位可能となるように前記キャップ本体に連結される蓋体と、を備え、前記ノズル部は、その内部に液体導出用の通路を有し、前記蓋体は、前記閉止位置に配置されることにより前記ノズル部の通路に嵌入されて当該通路を塞ぐ栓部を備えており、前記ノズル部の通路は、前記ノズル部の先端側に位置し、前記蓋体の栓部が嵌入することが可能な内径を有する第1通路部と、この第1通路部よりも奥側に位置し、前記第1通路部よりも内径の小さい第2通路部とを含むものである。
【0009】
また、本発明は、上向きに開口する容器本体とこの容器本体の上端部に装着されるキャップとを備える液体用容器であって、前記キャップとして上述のような液体容器用キャップを備えているものである。
【0010】
上記の液体容器用キャップおよび液体用容器によれば、液体注出用のノズル部の通路が、蓋体の栓部が嵌入することが可能な内径を有する第1通路部と、この第1通路部よりも奥側に位置し、第1通路部よりも内径の小さい第2通路部とを含むため、第2通路部の内径に応じた量の液体を導出させながら、この第2通路部の内径よりも大きな外径をもつ栓部よって当該ノズル部の通路を塞ぐことができる。従って、第2通路部で液体の導出量を抑えて当該液体が出過ぎることを防止するようにしながら、その一方で、栓部の必要径を確保してその強度を保つことが可能となる。
【0011】
なお、上記の液体容器用キャップにおいて、前記ノズル部は、その特定位置に、基端部側の外形寸法よりも大きな外形寸法をもつ鍔部を備えているのが好適である。この構成によれば、容器を傾けた際、鍔部の位置で液体が流下することとなり、ノズル部を伝って当該鍔部の位置より基端部側(天壁部の表面側)へ液体が流れることが阻止される。つまり、鍔部の位置で良好に液切りが行われる。そのため、ノズル部から注出される液体が当該ノズル部を伝ってキャップ本体や容器本体を汚すことを防止することが、可能であり、流動性に富んだ液体を収容する場合には特に有用である。なお、この場合、ノズル部の先端に前記鍔部が備えられている構成によれば、ノズル部の先端で液切りが行われるためより効果的である。
【0012】
また、上記の液体容器用キャップにおいて、前記蓋体は、前記栓部の周囲に位置する拘束部を備え、この拘束部は、前記蓋体が前記閉止位置に配置されたときに、前記ノズル部の鍔部に対してその外側から当接することにより前記蓋体と前記ノズル部との前記天壁部に沿った方向への相対変位を阻止するものであるのが好適である。
【0013】
この構成によれば、閉止位置に蓋体が配置された状態、すなわち、栓部がノズル部の前記通路に嵌入された状態で当該蓋体に外力(天壁部に沿った方向の外力)が作用した場合に、前記栓部に剪断力が作用することを抑制することが可能となる。そのため、当該剪断力により栓部が変形等することを有効に防止することが可能となる。
【0014】
この場合、前記拘束部は、内向きに突出する係止部を備え、前記開放位置から閉止位置への前記蓋体の変位に伴い前記係止部が前記鍔部の位置を通過する際に径方向外側に弾性変形し、前記蓋体が前記閉止位置に達すると弾性復帰して前記係止部が前記鍔部に係合するように形成されているのが好適である。この構成によれば、蓋体を閉止位置に配置した状態を安定的に保つことが可能となる。しかも、蓋体を開放位置から閉止位置に戻す際、拘束部がその径方向に弾性変形しつつ復帰することで、蓋体が閉止位置に配置されたことを強いクリック感によりユーザに感知させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の液体容器用キャップおよびこれを備えた液体用容器によれば、いわゆるヒンジキャップ型の液体容器用キャップおよびこれを備えた液体用容器にについて、ノズル部を閉止するための栓部の強度低下を伴うことなく、液体の注出量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る液体用容器(本発明に係る液体容器用キャップが適用された液体用容器)を示す正面図である。
【図2】液体用容器の断面図(図1のII−II線断面図)である。
【図3】蓋体を開いた状態の液体容器用キャップの上面図である。
【図4】蓋体を開いた状態の液体容器用キャップの断面図(図3のIV−IV線断面図)である。
【図5】液体容器用キャップの要部断面図であり、(a)は蓋体を開いた状態を、(b)は蓋体を閉じた状態をそれぞれ示す断面図である。
【図6】液体注出時の状態を示す液体用容器の側面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0018】
図1及び図2は、本発明に係る液体用容器を概略的に示しており、図1は正面図で、図2は断面図でそれぞれ液体用容器を示している。
【0019】
同図に示す液体用容器(以下、単に容器と略す)は、化粧液、具体的には、化粧水を収容するためのものである。この容器は、容器本体10と、これに装着されるヒンジキャップ14(本発明に係る液体容器用キャップに相当する)とを備える。
【0020】
容器本体10は、化粧水を収容することが可能な硝子製又は合成樹脂製の上向きに開口する上下方向に細長の有底容器であり、底部を備える断面略正方形の本体部11と、断面円形の口頸部12と、これら本体部11と口頸部12とを繋ぐ段差部(ショルダ部13という)とを備える。前記口頸部12の外周面には、前記ヒンジキャップ14を装着するための雄ねじ12aが形成されている。
【0021】
前記ヒンジキャップ14は、前記容器本体10の上端部、すなわち口頸部12に固定されるキャップ本体16と、蓋体18と、この蓋体18をキャップ本体16に連結するヒンジ部17とを有する。
【0022】
図3及び図4に示すように、キャップ本体16は、容器本体10の前記本体部11の輪郭と同等の輪郭を有しかつ化粧水注出用のノズル部22を備える天壁部20と、この天壁部20の外周に沿って当該天壁部20から垂下する外壁部28と、この周壁部28の内側の位置で前記天壁部20から垂下する円筒状の内壁部26(本発明の側壁部に相当する)と、この内壁部26よりもさらに内側の位置で前記天壁部20から垂下する円筒状のシール用壁部24とを備えている。
【0023】
前記内壁部26の内周面には雌ねじ26aが形成されており、前記キャップ本体16は、この内壁部26の内側に前記口頸部12が螺合挿入されることにより、前記容器本体10に固定されている。つまり、キャップ本体16の内壁部26が容器本体10(口頸部12)に外嵌されることによりヒンジキャップ14が当該容器本体10に固定されている。なお、前記シール用壁部24及び内壁部26は、天壁部20の中心位置を中心とした同心円上に形成されている。
【0024】
キャップ本体16の前記外壁部28は、図1に示すように、容器本体10の口頸部12が内壁部26に対して特定位置まで螺合挿入されることにより当該容器本体10の前記ショルダ部13に当接し、かつ、この当接状態で当該外壁部28の外側面と容器本体10の前記本体部11の外側面とがほぼ面一となるように形成されている。また、前記シール用壁部24は、容器本体10の口頸部12が前記内壁部26に対して前記特定位置まで螺合挿入されることにより容器本体10の前記口頸部12の内側に入り込み、当該シール用壁部24の外周面と前記口頸部12の内周面との間をシールするように形成されている。
【0025】
前記ノズル部22は、前記シール用壁部24の内側であって当該シール用壁部24の中心よりも天壁部20の一辺側(図3、図4では左側)に偏った位置に備えられている。
【0026】
このノズル部22は、図5に示すように、天壁部20の表面から突出しており、容器本体10の内外を上下方向に連通する、化粧水導出用の通路32を有する。
【0027】
ノズル部22の前記通路32は、3つの通路部33a〜33cにより構成されている。具体的には、前記通路32は、突出部分30の先端側に開口して化粧水の注ぎ口を形成する第1通路部33aと、容器本体10側に開口して化粧水の導出口を形成する第3通路部33cと、これら第1通路部33aと第2通路部33bとの間に位置する第2通路部33bとにより構成されている。
【0028】
第1通路部33aは、蓋体18に形成される後記栓部44を内嵌させることが可能な内径を有している。この第1通路部33aのうち突出部分30の先端近傍は、栓部44を第1通路部33a内に誘い込むために、第2通路部33bの側から外側に向かって内径が漸増するテーパ状に形成されている。また、第2通路部33bは、第3通路部33c側から第1通路部33a側に向かって内径が漸増し、かつ、その最大径が第1通路部33aの内径よりも小さくなるように形成されている。また、第3通路部33cは、第2通路部33b側から容器本体10側に向かって内径が漸増し、かつ、最小径が第1通路部33aの最大径よりも大きくなるように形成されている。
【0029】
なお、ノズル部22の通路32は、上記の通り第2通路部33bの内径が最も小さく、従って、ノズル部22からの化粧水の注出量は、この第2通路部33bの内径に応じた量となる。当実施形態では、例えば第2通路部33bの内径(最大径)は略0.3mm〜1mmとされ、このように第2通路部33bの内径が比較的小さく設定されることにより化粧水の導出量が抑えられ、容器を傾けたときに化粧水が出過ぎることが防止されるようになっている。
【0030】
ノズル部22は、その先端部に、他の部分よりも外形寸法が大きい鍔部36を備えている。この鍔部36は略円形の輪郭を有する。この鍔部36は、化粧液の注出時に液切りを行うもの、つまり、化粧液がノズル部22を伝ってその基端部側へ流れることを防止するためのものである。
【0031】
前記蓋体18は、図3及び図4に示すように、全体としてキャップ本体16(天壁部20)と同等の輪郭を有しており、略正方形の覆壁部40とその外周に沿って形成される周壁部42とを備えている。この蓋体18は、天壁部20に重って前記ノズル部22を覆う閉止位置(図4の二点鎖線(又は図1)に示す位置)と、この位置からキャップ本体16の側方に展開して前記ノズル部22を開放する開放位置(図4の実線鎖線に示す位置)とに亘って変位することが可能となるように、ヒンジ部17を介してキャップ本体16に対して連結されている。なお、以下の説明では、蓋体18が閉止位置にある状態を蓋体18の閉止状態(又は蓋体18を閉止した状態)とよび、蓋体18が開放位置にある状態を蓋体18の開放状態(又は蓋体18を開放した状態)とよぶ。
【0032】
前記ヒンジ部17は、天壁部20の一辺に沿った軸回りに蓋体18(周壁部42)が回動可能となるようにキャップ本体16と蓋体18とを連結する一対の第1ヒンジ部17aと、これら第1ヒンジ部17aの間の位置でキャップ本体16と蓋体18とを連結しかつ蓋体18の付勢する第2ヒンジ部17bとを含む。この第2ヒンジ部17bは、断面L字型をなし、蓋体18が閉止位置から開放位置に変位するに伴い弾性変形し、天壁部20と蓋体18(周壁部42)との成す角度が鋭角となる状態ではその弾発力により蓋体18を前記閉止位置側に付勢する一方で、天壁部20と蓋体18(周壁部42)との成す角度が鈍角となる状態ではその弾発力により蓋体18を前記開放位置側に付勢する。
【0033】
前記蓋体18は、その内天面40a、すなわち覆壁部40のうち蓋体18が閉じられた状態で前記天壁部20に対向する面(本発明における蓋体の対向面に相当する)に、内天面40aから略直交する方向にそれぞれ突出する中空軸状の栓部44及び円筒状の拘束部46を備えている。
【0034】
栓部44は、ノズル部22の前記通路32を閉止するものであり、図5(b)に示すように、前記蓋体18が閉止状態とされることによりノズル部22の先端から前記通路32(第1通路部33a)に嵌入されて当該通路32を閉止する。従って、この栓部44は、前記第1通路部33a(テーパ部分以外)に内嵌することが可能な軸長及び外径を有する。なお、当実施形態では、栓部44の必要強度を確保し得る寸法として、栓部44の軸長は略3mm〜5mm、外径は略2mmとされている。
【0035】
拘束部46は、栓部44を保護するとともに蓋体18をキャップ本体16に係止するものである。この拘束部46は、前記栓部44を中心としてその同心円状に形成されており、その内径は、鍔部36の外径と略同等に形成されている。つまり、拘束部46は、蓋体18が閉止状態とされると、図5(b)に示すように、ノズル部22の鍔部36に対して外側から当接し、これにより蓋体18をキャップ本体16(ノズル部22)に対して天壁部20に沿った方向に拘束する。
【0036】
なお、この拘束部46の前記内天面40aからの突出寸法は、前記栓部44の同突出寸法よりも小さい。具体的には、蓋体18の閉止状態において、拘束部46の先端がノズル部22の鍔部36と天壁部20との間に位置するように拘束部46が形成されている。
【0037】
拘束部46は、その先端部分の内周面に、互いに対向して内向きに突出する一対の係止部46aを備えている。つまり、蓋体18が閉止状態とされると、図5(b)に示すように、各係止部46aが天壁部20の表面側からノズル部22の前記鍔部36に係合し、これにより蓋体18がノズル部22(キャップ本体16)に係止される。
【0038】
なお、蓋体18とキャップ本体16とはその輪郭が略同等であり、蓋体18の閉止状態では、図1及び図2に示すように、蓋体18の周壁部42とキャップ本体16の外壁部28が略面一となる。従って、蓋体18の開操作を容易に行えるように、キャップ本体16の外壁部28のうち、ヒンジ部17と反対側の位置には、同図及び図3、図4に示すように、指掛け用の凹み部29が形成されている。
【0039】
上記容器は、化粧水を使用する際には、前記蓋体18を開けて容器全体を傾け、これによりノズル部22から化粧水を注出し、使用後は、蓋体18を閉止状態に戻してノズル部22を栓部44で閉止しておくものであるが、上記のような構成を有するため、次のような作用効果を奏する。
【0040】
まず、この容器によれば、ヒンジキャップ14のノズル部22の通路32が、蓋体18の栓部44が嵌入する第1通路部33aと、これよりも奥側に位置し当該第1通路部33aよりも内径の小さい第2通路部33bとを含んでおり、上記の通り、化粧水の導出量が所定量に抑えられるように第2通路部33bの内径(略0.3mm〜1mm)が設定された上で、この第2通路部33bの内径よりも大きな外径寸法(略2mm)をもつ栓部44が第1通路部33aに嵌入されてノズル部22が閉止されるようになっている。従って、この容器によれば、当該容器を傾けたときに化粧水が出過ぎることを防止することができる一方で、蓋体18の栓部44の必要径を確保してその強度を保つことができる。換言すれば、ノズル部22のを閉止するための栓部44の強度低下を伴うことなく、化粧水の注出量を抑制することができる。
【0041】
また、この容器によれば、ノズル部22の先端に鍔部36が設けられているため、化粧水を注出する際に容器を傾けると、図6に示すように、鍔部36に沿って化粧水が流下し、これにより化粧水が鍔部36の位置よりも基端部側(天壁部20の表面側)に流動することが阻止される。つまり、ノズル部22の先端で良好に液切りが行われる。従って、ノズル部22から注出される化粧水が当該ノズル部22を伝ってキャップ本体16や容器本体10を汚すことを、防止することができる。
【0042】
また、この容器によれば、蓋体18が栓部44を囲む位置に拘束部46を備え、蓋体18が閉止された状態では、この拘束部46がノズル部22の鍔部36に対して外側から当接し、前記天壁部20に沿った方向の蓋体18とノズル部22(キャップ本体16)との相対変位が阻止されるので、蓋体18に外力(天壁部20に沿った方向の外力)が作用した場合でも、前記栓部44に剪断力が作用することが抑制される。そのため、当該剪断力により栓部44が変形し、あるいは切断されることを有効に防止することができる。
【0043】
また、拘束部46の内側に係止部46aが形成されており、蓋体18が閉止された状態では、この係止部46aが前記鍔部36に係合することにより、蓋体18がノズル部22を介してキャップ本体16に係止される。そのため、蓋体18の閉止状態を安定的に保持することができる。しかも、蓋体18を閉止するときには、係止部46aが鍔部36の位置を通過する際に拘束部46が径方向外側に弾性変形し、蓋体18が閉止位置に達して係止部46aが鍔部36の位置を超えると拘束部46が弾性復帰するため、ユーザは、蓋体18が完全な閉止状態となったことを強いクリック感により感知することができる。従って、蓋体18が不完全な閉止状態のまま放置されることを防止することが可能となる。
【0044】
なお、上述した容器は、本発明に係る液体用容器(本発明に係る液体容器用キャップが適用された液体用容器)の好ましい実施形態の一例であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態のヒンジキャップ14では、ノズル部22は、その先端に液切り用の鍔部36を備えているが、この鍔部36の位置は、必ずしもノズル部22の先端である必要はなく、ノズル部22の途中部分であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態のヒンジキャップ14では、蓋体18の拘束部46に係止部46aが形成され、当該拘束部46がノズル部22に係止される構成であるが、係止部46aを省略し、拘束部46をノズル部22(鍔部36)に外嵌させるだけの構成としてもよい。また、栓部44について比較的大きな外径寸法を確保できるような場合には、前記拘束部46を省略するようにしてもよい。また、栓部44については、栓部の基端部を肉厚にする、若しくはリブ等の補強部を設ける等適宜補強をしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態の容器は、断面の輪郭が略正方形でかつ容器本体10の側面とヒンジキャップ14の側面が略面一となる、全体として角柱状の形状を有するが、容器の形状はこれに限定されるものではない。例えば、容器の形状は全体として円柱状をなすものであってもよい。また、容器本体10およびヒンジキャップ14は、それらの側面同士が面一ある必要はなく、これら容器本体10及びヒンジキャップ14の形状も種々の形状が採用可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、容器の内容物として化粧水の場合について説明したが、この容器は、特に粘度が低い液体の収容に適していることから、化粧水以外の化粧液の容器としても使用可能である。勿論、化粧液に限らず、薬液用の容器としても使用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 容器本体
14 ヒンジキャップ
16 キャップ本体
18 蓋体
20 天壁部
22 ノズル部
32 通路
33a 第1通路部
33b 第2通路部
33c 第3通路部
36 鍔部
44 栓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きに開口する容器本体に装着されることにより、当該容器本体と共に液体を収容するための液体用容器を構成する液体容器用キャップであって、
液体注出用のノズル部を備える天壁部およびこの天壁部から垂下する筒状の側壁部を有し、前記天壁部が前記開口を塞ぐように前記容器本体の上端部に外嵌されることで当該容器本体に固定されるキャップ本体と、
前記ノズル部を覆うことが可能な形状を有しかつ前記天壁部に重なる閉止位置とこの閉止位置から外側に展開して前記ノズル部を開放する開放位置とに亘って変位可能となるように前記キャップ本体に連結される蓋体と、を備え、
前記ノズル部は、その内部に液体導出用の通路を有し、
前記蓋体は、前記閉止位置に配置されることにより前記ノズル部の通路に嵌入されて当該通路を塞ぐ栓部を備えており、
前記ノズル部の通路は、前記ノズル部の先端側に位置し、前記蓋体の栓部が嵌入することが可能な内径を有する第1通路部と、この第1通路部よりも奥側に位置し、前記第1通路部よりも内径の小さい第2通路部とを含むことを特徴とする液体容器用キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の液体容器用キャップにおいて、
前記ノズル部は、その特定位置に基端部側の外形寸法よりも大きな外形寸法をもつ鍔部を備えていることを特徴とする液体容器用キャップ。
【請求項3】
請求項2に記載の液体容器用キャップにおいて、
前記ノズル部は、その先端に前記鍔部を備えていることを特徴とする液体容器用キャップ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の液体容器用キャップにおいて、
前記蓋体は、前記栓部の周囲に位置する拘束部を備え、この拘束部は、前記蓋体が前記閉止位置に配置されたときに、前記ノズル部の鍔部に対してその外側から当接することにより前記蓋体と前記ノズル部との前記天壁部に沿った方向への相対変位を阻止することを特徴とする液体容器用キャップ。
【請求項5】
請求項4に記載の液体容器用キャップにおいて、
前記拘束部は、内向きに突出する係止部を備え、前記開放位置から閉止位置への前記蓋体の変位に伴い前記係止部が前記鍔部の位置を通過する際に径方向外側に弾性変形し、前記蓋体が前記閉止位置に達すると弾性復帰して前記係止部が前記鍔部に係合するように形成されていることを特徴とする液体容器用キャップ。
【請求項6】
上向きに開口する容器本体とこの容器本体の上端部に装着されるキャップとを備える液体用容器であって、
前記キャップとして請求項1乃至5の何れか一項に記載の液体容器用キャップを備えていることを特徴とする液体用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−188128(P2012−188128A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51568(P2011−51568)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】