説明

液体容器

【課題】一定の必要量の薬液を点眼できるとともに、不自然な滴下姿勢を取らずに点眼でき、しかも低コストで加工容易に製造できる液体容器を提供する。
【解決手段】液体が充填された主容器部11を内方に押圧したときに、前記主容器部11の先端に設けられた管状部12から一定量の液体を射出するようにした液体容器10において、前記管状部12の内周に、液体の表面張力によって一定量の液体を保持可能な液体保持部13を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体が充填された主容器部を内方に押圧したときに、前記主容器部の先端に設けられた管状部から一定量の液体を射出するようにした液体容器に関し、特に、目薬容器として使用するのに適した液体容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、点眼用目薬は樹脂製の容器に入っており、容器の上部にある射出口を下に向け、容器の側面を押すことにより中の薬液が押出され、しずくとなって落下するものであった。このとき、目薬容器内の薬液は容器が押される圧力により押出されるが、指の圧力により量が一定でなかったり、落ちるタイミングも制御ができなかったりという問題があった。
【0003】
また、薬を点眼する時は上を向いて、目薬の容器を持った手を目の上まで持ち上げるような不自然な体勢を取る必要があった。
【0004】
このような問題点を解決すべく、例えば特許文献1にはスプレー式の目薬容器が提案されている。このようなスプレー式の目薬容器によれば、薬液を水平方向に噴霧できるので、前を向いたままで点眼することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−125139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記したようなスプレー式の目薬容器は滴下型の安価な目薬容器と比べて構造が格段に複雑であるため、製造コストの増加や加工の困難性という観点から実用化に大きなハードルがあった。
【0007】
そこで、本発明は、一定の必要量の薬液を点眼できるとともに、不自然な滴下姿勢を取らずに点眼でき、しかも低コストで加工容易に製造できる液体容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の液体容器は、液体が充填された主容器部を内方に押圧したときに、前記主容器部の先端に設けられた管状部から一定量の液体を射出するようにした液体容器であって、前記管状部の内周には、液体の表面張力によって一定量の液体を保持可能な液体保持部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0012】
すなわち、前記液体保持部は、前記管状部の内径を局所的に縮径させる突起によって構成されていることを特徴とする。
【0013】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、前記液体保持部は、前記管状部に張設されたネットによって構成されていることを特徴とする。
【0015】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、前記液体保持部は、前記管状部の内径に施された表面加工によって構成されていることを特徴とする。
【0017】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、前記管状部は、前記液体保持部よりも先端側に液体流路を備えていることを特徴とする。
【0019】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、前記管状部の先端は液体の射出口を備えたノズルとなっており、前記ノズルの外周部には、前記ノズルを正面から所定範囲の角度で見たときにのみ視認可能なマークが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、液体が充填された主容器部を内方に押圧したときに、前記主容器部の先端に設けられた管状部から一定量の液体を射出するようにした液体容器であって、前記管状部の内周には、液体の表面張力によって一定量の液体を保持可能な液体保持部が設けられている。このため、液体保持部に保持された一定量の液体が押圧により射出されるため、一回で射出される液体量を一定に保つことができる。
【0022】
また、液体保持部に保持される液体は表面張力によって保持されているため、管状部を横にした場合でも保持されることとなる。このため、管状部を横にして液体を射出すれば、水平方向に液体を飛ばすことができる。すなわち、この液体容器を目薬容器に使用すれば、一定の必要量の薬液を点眼できるとともに、不自然な滴下姿勢を取らずに点眼できる。
【0023】
また、この液体容器は管状部に液体保持部を設けただけであるので、低コストで加工容易に製造することができる。
【0024】
なお、液体保持部は、前記管状部の内径を局所的に縮径させる突起によって構成してもよい。このように形成すれば、縮径部の表面張力によって液体を保持することができる。
【0025】
また、液体保持部は、前記管状部に張設されたネットによって構成してもよい。このように形成すれば、ネットの表面張力によって液体を保持することができる。
【0026】
また、液体保持部は、前記管状部の内径に施された表面加工によって構成してもよい。このように形成すれば、表面加工の表面張力によって液体を保持することができる。
【0027】
また、前記管状部は、前記液体保持部よりも先端側に液体流路を備えていることが望ましい。これにより、主容器部が多少押圧されたとしても、液体保持部が液体流路の容積を満たすまでは液体が排出されないため、意図しない液だれ等を防ぐことができる。
【0028】
また、前記管状部の先端のノズルの外周部に、前記ノズルを正面から所定範囲の角度で見たときにのみ視認可能なマークを設けてもよい。このようなマークを設ければ、マークが見えていることでノズルが眼に向いていることを確認でき、確実に点眼を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】液体容器の使用状態図である。
【図2】液体容器の(a)側面図、(b)正面図である。
【図3】液体保持部の第1の例を説明する図であって、(a)液体容器の断面図、(b)管状部の背面図である。
【図4】液体保持部の第2の例を説明する図であって、(a)液体容器の断面図、(b)管状部の背面図である。
【図5】液体保持部の第3の例を説明する図であって、(a)液体容器の断面図、(b)管状部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0031】
本実施形態に係る液体容器10は、目薬の容器として使用されるものであり、図1に示すように、液体が充填された主容器部11を内方に押圧したときに、前記主容器部11の先端に設けられた管状部12から一定量の液体を射出するようにしたものである。
【0032】
主容器部11は指で押圧したときに変形可能な程度の弾性をもった樹脂で成形されている。この主容器部11の内部は中空であり、目薬の薬液を所定量収容できるように形成されている。
【0033】
また、管状部12は、主容器部11の取付口11aに嵌め込み固定される樹脂性の部材である。この管状部12の先端は液体の射出口16を備えたノズル15となっている。また、ノズル15の基端部には、図2に示すように、鍔部17が設けられている。管状部12が主容器部11の取付口11aに嵌め込み固定されるときには、この鍔部17の背面が主容器部11の取付口11aの開口縁に当接するように深く差し込まれる。
【0034】
本実施形態に係る液体容器10はノズル15を水平方向に向けて使用可能となっており、すなわち、図1に示すように、前を向いた状態の眼球にノズル15の射出口16を向け、この状態で指などで主容器部11を内方に押圧することで射出口16から薬液を飛ばして点眼ができるように形成されている。なお、本実施形態においては、管状部12の液体流路14(後述)を細くすることで、主容器部11を指で押さえた際の空気圧により射出された薬液が直線的に少なくとも10mmの距離を飛ぶように設定されている。
【0035】
なお、図2に示すように、前記した鍔部17には4つのマーク18が等間隔で表示されている。これにより、ノズル15を正面から見たときに、ノズル15の外周部にマーク18が視認できるようになっている。すなわち、このマーク18は、ノズル15を所定範囲よりも斜めの角度から見たときには、ノズル15に隠れて見えなくなるようになっている。このため、射出口16を眼球に向けたときにマーク18がすべて見える状態であれば、射出口16が正確に眼に向いていることを確認でき、確実に点眼を行うことができるようになっている。
【0036】
ところで、前記した管状部12の内周には、図3に示すように、液体の表面張力によって一定量の液体を保持可能な液体保持部13が設けられている。また、この液体保持部13よりも先端側には液体流路14が形成されている。
【0037】
具体的には、図3に示すように、管状部12は、主容器部11に挿入される側が漏斗状の液体保持部13となっており、先端に行くに従って縮径するようになっている。この液体保持部13には、管状部12の内径を局所的に縮径させるリブ状の隆状突起13aが周方向に所定間隔で配置されている(本実施形態においては4つの隆状突起13aを設けている)。
【0038】
また、図3に示すように、液体保持部13と外部とを連通させるように、液体保持部13の先端側に液体流路14が設けられている。このため、主容器部11内の薬液は、液体保持部13から液体流路14を通って外部へと射出できるように形成されている。
【0039】
このような態様によれば、主容器部11内の薬液が液体保持部13に一旦付着すると、液体容器10をどのように傾けたとしても薬液が表面張力によって液体保持部13に一定量保持される。そして、この状態で主容器部11を押圧すると、液体保持部13に保持された一定量の液体が空気圧によって射出されるため、一回で射出される液体量を一定に保つことができる。
【0040】
また、液体保持部13に保持される液体は表面張力によって保持されているため、管状部12を横にした場合でも保持されることとなる。このため、管状部12を横にして液体を射出すれば、水平方向に液体を飛ばすことができるので、一定の必要量の薬液を点眼できるとともに、不自然な滴下姿勢を取らずに点眼できる。
【0041】
また、この液体容器10は管状部12に液体保持部13を設けただけであるので、低コストで加工容易に製造することができる。
【0042】
また、前記管状部12は、前記液体保持部13よりも先端側に液体流路14を備えている。このため、主容器部11が多少押圧されたとしても、液体保持部13が液体流路14の容積を満たすまでは液体が排出されないため、意図しない液だれ等を防ぐことができる。
【0043】
なお、この実施形態においては、液体保持部13は、前記管状部12の内径を局所的に縮径させる隆状突起13aによって構成した。これにより、縮径部の表面張力によって液体を保持するようにした。
【0044】
しかしながら、本発明の実施形態としてはこれに限らない。
【0045】
例えば、図4に示すように、隆状突起13aの代わりにリング状突起13bを管状部12の内周に設けてもよい。このようにリング状突起13bを設けた場合でも、前記管状部12の内径を局所的に縮径させることができるので、縮径部の表面張力によって液体を保持することができる。
【0046】
また、図5に示すように、隆状突起13aの代わりに管状部12に張設されたネット13cを設けてもよい。このようにネット13cを設けた場合でも、ネットの表面張力によって液体を保持することができる。
【0047】
また、隆状突起13aを設ける代わりに薬液をその表面張力で保持できるような表面処理(改質、ざらざらにする等)を施してもよい。このように表面処理を施した場合でも、表面処理の表面張力によって液体を保持することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 液体容器
11 主容器部
11a 取付口
12 管状部
13 液体保持部
13a 隆状突起
13b リング状突起
13c ネット
14 液体流路
15 ノズル
16 射出口
17 鍔部
18 マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填された主容器部を内方に押圧したときに、前記主容器部の先端に設けられた管状部から一定量の液体を射出するようにした液体容器であって、
前記管状部の内周には、液体の表面張力によって一定量の液体を保持可能な液体保持部が設けられていることを特徴とする、液体容器。
【請求項2】
前記液体保持部は、前記管状部の内径を局所的に縮径させる突起によって構成されていることを特徴とする、請求項1記載の液体容器。
【請求項3】
前記液体保持部は、前記管状部に張設されたネットによって構成されていることを特徴とする、請求項1記載の液体容器。
【請求項4】
前記液体保持部は、前記管状部の内径に施された表面加工によって構成されていることを特徴とする、請求項1記載の液体容器。
【請求項5】
前記管状部は、前記液体保持部よりも先端側に液体流路を備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の液体容器。
【請求項6】
前記管状部の先端は液体の射出口を備えたノズルとなっており、
前記ノズルの外周部には、前記ノズルを正面から所定範囲の角度で見たときにのみ視認可能なマークが設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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