説明

液体搬送用車両

【課題】 中小ロットの物流であっても効率よく化学溶剤を搬送することができる液体搬送用車両10とする。
【解決手段】 トラック1の荷台2に複数の液体コンテナ5が着脱自在に設置される架台3を備えると共に、分岐配管を介して液体コンテナ5に接続される主配管6を備え、主配管6を介して液体コンテナ5に貯蔵された化学溶剤を搬出もしくは液体コンテナ5内に化学溶剤を搬入するギヤポンプを設け、液体コンテナ5と貯留設備の間で、主配管6及びギヤポンプを介して化学溶剤を直接に搬入・搬出するか、もしくは、液体コンテナ5自体の積み降ろしを行って化学溶剤を搬入・搬出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、化学溶剤等の液体の輸送に適用される液体搬送用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の輸送業務にかかる技術としては、例えば、液化ガスを包含する液体を輸送するためのタンクローリー車が提案されている(特許文献1参照)。従来から、例えば、化学溶剤等の危険物の搬送業務では、タンクローリー車を用いて大量の液体を搬送し、必要量の積み降ろしを実施していた。また、ドラム缶等に化学溶剤を充填し多数のドラム缶を車両に搭載して必要個数の積み降ろしを実施していた。
【0003】
タンクローリー車を用いた場合、一度に大量の化学溶剤を搬送できるものの、搬入及び搬出に際しては搬入設備及び搬出設備によっては直接積み降ろしができないこともあり、中小ロットの物流には適用し難いのが現状であった。多数のドラム缶を車両に搭載して搬送する場合、小ロットの物流では適用できるが、化学溶剤をドラム缶へ移し替える等の作業が必要となり、効率が非常に悪いのが現状であった。また、ドラム缶を保管する場所を確保する必要がある等の問題もあり、危険物としての化学溶剤の搬送に適用するためには設備コスト等の問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2000−238573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、中小ロットの物流であっても効率よく液体を搬送することができる液体搬送用車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、車両の荷台に複数の液体容器が着脱自在に設置される架台を備えると共に、液体容器に接続される配管を備え、配管を介して液体容器に貯蔵された液体を搬出もしくは液体容器内に液体を搬入するポンプを設けたことを特徴とする液体搬送用車両にある。
【0007】
本発明の第1の態様では、液体容器と貯留設備の間で、配管及びポンプを介して液体を直接に搬入・搬出することができると共に、液体容器自体の積み降ろしを行って液体を搬入・搬出することができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、ポンプは車両の内燃機関により駆動されるギヤポンプであることを特徴とする液体搬送用車両にある。
【0009】
本発明の第2の態様では、車両の内燃機関により駆動されるギヤポンプにより液体容器に対して液体を搬入・搬出することができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1または2の態様において、配管はポンプ側に向かい下り傾斜が設けられていることを特徴とする液体搬送用車両にある。
【0011】
本発明の第3の態様では、配管に傾斜が設けられていることにより、配管内に液体が滞留することがない。
【0012】
本発明の第4の態様は、第1〜3のいずれかの態様において、配管と液体容器の接続部はワンタッチ継手により接続されることを特徴とする液体搬送用車両にある。
【0013】
本発明の第4の態様では、液体容器の配管への接続が容易に行える。
【0014】
本発明の第5の態様は、第1〜4のいずれかの態様において、ポンプの吐出側に流量計を備えたことを特徴とする液体搬送用車両にある。
【0015】
本発明の第5の態様では、液体の積み降ろし量を計量することができる。
【0016】
本発明の第6の態様は、第1〜5のいずれかの態様において、液体容器に貯留される液体は化学溶剤であることを特徴とする液体搬送用車両にある。
【0017】
本発明の第6の態様では、化学溶剤の搬送に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態例を図面に基づいて説明する。本実施形態例では、液体として化学溶剤を搬送する液体搬送用車両を例に挙げて説明してある。尚、液体としては化学溶剤に限らず液体燃料等の各種液体製品を適用することも可能である。
【0019】
図1には本発明の一実施形態例に係る液体搬送用車両の平面視状態、図2には側面視状態、図3には荷台前部の要部側面外観、図4には荷台後部の要部側面外観、図5には車両前方側から見た荷台の全体状況の外観を示してある。
【0020】
図1、図2に示すように、液体搬送用車両10の車両であるトラック1の荷台2には架台3が備えられ、架台3には6箇所のコンテナ載置枠部4が設けられている。載置枠部4には液体容器としての液体コンテナ5が着脱自在に設置可能とされている。液体コンテナ5は、例えば、容量が1tonのSUS304製とされ、内部に液体として化学溶剤が積み込まれるようになっている。
【0021】
図1〜図5に示すように、架台3の下部にはトラック1の前後方向に配設され前端が荷台2の前側に延びる主配管6が設けられ、主配管6には各載置枠部4の下部に対応して分岐配管7がそれぞれ設けられている。各分岐配管7には開閉バルブ8が設けられ、各分岐管7の先端には継手9がそれぞれ設けられている。継手9は液体コンテナ5側の搬出入口のフレキシブルホースの先端に取り付けられた継手に対してワンタッチで着脱されるワンタッチ継手とされている。
【0022】
主配管6の前方側は荷台2の左右側に分岐されて出入口管11、12とされ、出入口管11、12の先端にはそれぞれ出入口バルブ13,14が設けられている。出入口管11、12が荷台2の左右側に分岐されていることで、積荷(化学溶剤)の搬入・搬出をトラック1の左右どちらからでも行うことができる。
【0023】
一方の出入口管11の出入口バルブ13の上流側には分岐バルブ15が設けられ、分岐バルブ15には補助配管16が接続されている。補助配管16にはフィルタ17が設けられ、補助配管16の先端はホース収納箱18に臨んでいる。また、フィルタ17と先端との間における補助配管16(ポンプの吐出側)には流量計19が備えられ、流量計19により化学溶剤の積み降ろし量を計量することができる。異物を除去した状態で化学溶剤を搬入・搬出する場合、及び、積み降ろし量を計量して化学溶剤を搬入・搬出する場合、フィルタ17及び流量計19が備えられた補助配管16を通して行うようになっている。
【0024】
図2、図4、図5に示すように、荷台2の前側に位置する主配管6にはポンプとしてのギヤポンプ21が設けられ、ギヤポンプ21はトラック1の走行駆動を行う内燃機関(エンジン)により駆動されるようになっている。ギヤポンプ21はハンドル22の操作により吐出方向が切り換えられ、化学溶剤の搬入・搬出が切り換えられる。そして、主配管6は荷台2の後側からギヤポンプ21に向かい下り傾斜が設けられている。また、出入口管11,12、主配管6、分岐配管7及び補助配管16もギヤポンプ21に向かい下り傾斜が設けられている。このため、配管内に化学溶剤が滞留することがなくなり、配管内の液溜まりを防止することが可能になる。
【0025】
上述した主配管6、分岐配管7、出入口管11,12、補助配管16は、液体コンテナ5と同じ材質のSUS304製とされている。
【0026】
上述した液体搬送用車両10による化学溶剤の搬送状況の一例を説明する。
【0027】
分岐配管7の開閉バルブ8、出入口管11、12の出入口バルブ13、14が閉じられた状態で、荷台2に設けられた架台3のコンテナ載置枠部4に液体コンテナ5がそれぞれ設置される。設置時には液体コンテナ5側の継手が分岐配管7の継手9に接続される。この時、液体コンテナ5は空の状態もしくは所定量の化学溶剤が積載された状態のいずれかとされている。
【0028】
液体コンテナ5が空の状態の場合、コンテナ載置枠部4に設置された状態で液体コンテナ5内に化学溶剤が搬入される。例えば、出入口管11の出入口バルブ13が開状態にされると共に出入口管12の出入口バルブ14が閉状態にされる。出入口管11に供給用の配管を接続すると共に、ハンドル22を操作して主配管6におけるギヤポンプ21の吐出側を分岐配管7側とする。搬入する液体コンテナ5に対応する開閉バルブ8を開き、ギヤポンプ21を駆動することにより、出入口管11、主配管6、分岐配管7を介して所定のコンテナ5に化学溶剤が搬入される。開閉バルブ8の開閉をそれぞれ行い、全ての液体コンテナ5に化学溶剤を搭載する。
【0029】
化学溶剤の搬入が終了すると、出入口バルブ13を閉じてトラック1を走行させて所定の場所に化学溶剤を搬送する。所定の搬送場所では、化学溶剤が積載された液体コンテナ5自体をコンテナ載置枠部4から降ろすか、もしくは、搬入の逆の動作によりギヤポンプ21の吐出側を逆にして液体コンテナ5を設置したまま化学溶剤を搬出する。
【0030】
このため、液体コンテナ5自体の積み降ろし、もしくは、液体コンテナ5を設置した状態(液体コンテナ5を搭載したまま)での化学溶剤の搬入・搬出の両方が可能になり、従来の大容量のタンクローリーと同じ機能を果たすことができると共に、ドラム缶を用いた少ないロットの積み降ろしの機能を果たすことができる。従って、中小ロットの物流であっても効率よく化学溶剤を搬送することができる液体搬送用車両10となる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、例えば、化学溶剤等の液体の輸送に適用される液体搬送用車両の産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態例に係る液体搬送用車両の平面視図である。
【図2】本発明の一実施形態例に係る液体搬送用車両の側面図である。
【図3】荷台前部の要部側面外観図である。
【図4】荷台後部の要部側面外観図である。
【図5】車両前方側から見た荷台の全体状況の外観図である。
【符号の説明】
【0033】
1 トラック
2 荷台
3 架台
4 コンテナ載置枠部
5 液体コンテナ
6 主配管
7 分岐配管
8 開閉バルブ
9 継手
10 液体搬送用車両
11、12 出入口管
13、14 出入口バルブ
15 分岐バルブ
16 補助配管
17 フィルタ
18 ホース収納箱
21 ギヤポンプ
22 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に複数の液体容器が着脱自在に設置される架台を備えると共に、液体容器に接続される配管を備え、配管を介して液体容器に貯蔵された液体を搬出もしくは液体容器内に液体を搬入するポンプを設けたことを特徴とする液体搬送用車両。
【請求項2】
請求項1において、ポンプは車両の内燃機関により駆動されるギヤポンプであることを特徴とする液体搬送用車両。
【請求項3】
請求項1または2において、配管はポンプ側に向かい下り傾斜が設けられていることを特徴とする液体搬送用車両。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、配管と液体容器の接続部はワンタッチ継手により接続されることを特徴とする液体搬送用車両。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、ポンプの吐出側に流量計を備えたことを特徴とする液体搬送用車両。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、液体容器に貯留される液体は化学溶剤であることを特徴とする液体搬送用車両。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−298179(P2006−298179A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123246(P2005−123246)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年(平成17年)3月8日 「化学工業日報」に発表
【出願人】(504333307)ケミカルトランスポート株式会社 (3)
【Fターム(参考)】