説明

液体散布装置

【課題】 散布作業終了時に、作業者が散布用ポンプ3等を停止させる前に、全ての条止めバルブ18,19,20を閉操作しようとした場合であっても、前記液体散布装置の流路中に薬液等が高圧のまま残されることがなく、流路の途中に設けられた制御機器、計器等の損傷及びその後の誤作動等を防止でき、さらに薬液が循環させられることによる薬液の温度上昇等を防止する。
【解決手段】 複数の散布ノズル部4a,4b,4cを有し、該複数の散布ノズル部4a,4b,4cに対応してそれぞれ条止めバルブ18,19,20が設けられた液体散布装置であって、前記条止めバルブ18,19,20を開閉するための開閉操作レバー18a,19a,20aのうちの一部の閉操作を規制する規制手段30を設けた液体散布装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体散布装置、詳しくは、複数の散布ノズル部を有する液体散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の散布ノズル部を有する液体(薬液)散布装置の一例として、特許文献1に記載の液体散布装置が提案されている。該液体散布装置は、液体散布車の一つとしてのスピードスプレーヤとして開示され、その散布ノズル部は、全体が円弧状に形成され、さらに、通常、上部散布ノズル部、右部散布ノズル部及び左部散布ノズル部に三分割され、液体散布を必要とする作物の配置、地形等に合わせて、前記いずれかの散布ノズル部からの液体散布を、それぞれのバルブ(以下「条止めバルブ」という。)を開閉するために運転席に設けられた開閉操作レバー(以下「操作レバー」という。)を操作して任意に止める(以下「条止め」という。)ことができるように構成されている。
【0003】
前記液体散布装置の構成は、ブームスプレーヤも同様であり、該ブームスプレーヤは、走行作業車の後部等に中央ブーム、走行作業車の右側に展張される右ブーム、同左側に展張される左ブームが設けられ、前記各ブームに散布ノズルが設けられて、散布を必要とする作物の配置、地形等に合わせて条止めバルブを開閉するために運転席に設けられた操作レバーを操作して前記条止めが可能に構成されている。
【0004】
なお、前記特許文献1に表された液体散布装置の具体的構成は以下の通りである。すなわち、清水タンクと、薬液タンクと、散布用ポンプと、前記清水タンク内の清水と前記薬液タンク内の薬液の合流部と、該合流部から前記散布用ポンプの吸入口へと連通する混合流路と、前記散布用ポンプの吐出口に連通する吐出流路と、該吐出流路に介装された切換弁と、該切換弁から前記混合流路へと散布液を戻すための戻し流路と、散布液の流量を検知する流量センサと、該流量センサから得られる信号に基づいて前記合流部への前記薬液の繰り出し量を自動制御する制御装置と、複数の散布用ノズル部を備えている薬液散布装置である。
【特許文献1】特開2004−216205公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような条止め可能な液体散布装置において、散布作業の終了時に、作業者が散布用ポンプ等を停止させる前に、全ての条止めバルブの操作レバーを閉操作方向(以下「全条止め」という。)に操作する場合があった。
【0006】
前記散布用ポンプ等を停止させる前に、前記全条止めが行われると、前記液体散布装置を構成している流路(管路)中に薬液が高圧のまま残された状態となり、その結果、前記流路の途中に設けられた制御機器、計器等の損傷及びその後の誤作動を招く場合があり、また、薬液が前記流路中を循環させられることにより、該薬液の温度が上昇させられる等の不具合が生じるものであった。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、散布作業の終了時に、作業者が前記全条止めをすることを物理的に不可能にして、前記液体散布装置を構成する流路中に薬液を高圧のまま残すことがなく、前記制御機器、計器等の損傷及びその後の誤作動、さらに、薬液の温度上昇等を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る液体散布装置は、複数の散布ノズル部を有し、該複数の散布ノズル部に対応してそれぞれ条止めバルブが設けられた液体散布装置であって、前記条止めバルブの操作部に、前記条止めバルブの操作レバーのうちの一部の閉操作を規制する規制手段を設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0009】
前記構成の本発明によれば、散布作業の終了時に、作業者が散布用ポンプを停止させる前に、前記全条止めを行った場合であっても、前記条止めバルブの一部の操作レバーの閉操作が規制され、該一部の操作レバーの開状態が維持されるため、全条止めにはならず、したがって、前記液体散布装置を構成している流路中に薬液が高圧のまま残されることがない。
【0010】
したがって、前記流路の途中に設けられた制御機器、計器等を損傷及びその後の誤作動を招くことが防止され、さらに、薬液が循環させられることがなく薬液の温度上昇が回避される。同時に、作業者は散布用ポンプ等の停止操作を続いて行うことになる。なお、前記全条止めを不可能とする一部の操作レバーの数は、一本で十分であるが複数本であってもよい。
【0011】
本発明の実施の一形態は、前記操作レバーのうちの一部の閉操作を規制する規制手段が、該操作レバーの閉操作方向ガイド孔に配置したストッパー部材であることを特徴とする請求項1に記載の液体散布装置である(請求項2)。
【0012】
前記実施の一形態によれば、散布作業の終了時に、作業者が散布用ポンプを停止させる前に、前記全条止めを行った場合であっても、前記操作レバーのうちの一部が該操作レバーの閉方向ガイド孔に配置させられた前記ストッパー部材に係止してその後の閉操作ができず、したがって全条止めが行なわれず、前記請求項1と同様の効果が得られる。
【0013】
本発明の実施の一形態は、前記ストッパー部材が、それぞれの操作レバーの閉操作方向ガイド孔間を移動自在としたことを特徴とする請求項2に記載の液体散布装置である(請求項3)。
【0014】
前記実施の一形態によれば、前記ストッパー部材を任意の閉操作用ガイド孔部に移動及び配置することができる。なお、前記ストッパー部材は、移動位置で必ずしも固定する必要はないものである。
【0015】
本発明の実施の一形態は、前記操作レバーのうちの一部の閉操作を規制する規制手段が、前記操作レバーの開操作方向ガイド孔の数に対して閉操作方向ガイド孔の数を少なくしたことを特徴とする請求項1に記載の液体散布装置である(請求項4)。
【0016】
前記実施の一形態によれば、複数の開閉操作レバーを、開操作方向ガイド孔から閉操作方向ガイド孔へ順次操作した場合に、閉操作方向ガイド孔の数が開操作方向ガイド孔の数よりも少ないため、一部の開閉操作レバーの閉操作できず、したがって全条止めにはならず、前記請求項1と同様の効果が得られる。
【0017】
本発明の実施の一形態は、前記開閉操作レバーのうちの一部の閉操作を規制する規制手段が、前記開閉操作レバーを案内するガイド孔の両側のガイド孔内にスライド自在に設けられたスライダーと、該スライダー間に前記開閉操作レバーの開操作方向ガイド孔方向へ膨出させたばね部材であることを特徴とする請求項1に記載の液体散布装置である(請求項5)。
【0018】
前記実施の一形態によれば、前記ばね部材が前記開閉操作レバーの開操作方向ガイド孔方向へ膨出させられているため、該ばね部材の働きによって、前記スライダーの一方が他方のガイド孔の上方にスライドさせられて該ガイド孔内の開閉操作レバーの閉操作を規制する。また、前記両スライダーが、ともに両側のガイド孔の閉操作方向端にある時には、前記ばね部材の中央が盛り上がり、中央のガイド孔内の開閉操作レバーの閉操作を規制して全条止めを防止する。
【0019】
本発明の実施の一形態は、前記開閉操作レバーを案内するガイド孔のうちの中央のガイド孔の閉操作方向ガイド孔部に前記ばね部材の反対方向への膨出を阻止するストッパーを設けたことを特徴とする請求項5に記載の液体散布装置である(請求項6)。
【0020】
前記実施の一形態によれば、誤って、前記ばね部材が反対方向への膨出させられることがなく、全条止めが防止される。
【0021】
本発明の実施の一形態は、前記操作レバーのうちの一部の閉操作を規制する規制手段が、中央のガイド孔の下方に中央部が枢支された略V字形の回動部材であり、外側の開閉操作レバーの一方の閉操作時に一端が押し下げられるとともに、他端が押し上げられて外側他方の開閉操作レバーのガイド孔に位置させられて、該他方の開閉操作レバーの閉操作が規制されることを特徴とする請求項1に記載の液体散布装置である(請求項7)。
【0022】
前記実施例によれば、前記略V字形の回動部材が、前記外側の開閉操作レバーの操作により、シーソと同様に両端が反対方向に回動させられ、したがって、一方の開閉操作レバーが閉操作状態にある時には、他方の開閉操作レバーは開操作方向となり、全条止めが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明を説明するための液体散布装置の配管図であり、前記特許文献1の内容と基本的に同一である。すなわち、1は清水タンク、2は薬液タンク、3は散布用ポンプ、4a,4b,4cは散布用ノズル部である。前記清水タンク1内の清水Wは、逆止弁5が介装された吸水流路6を介して前記散布用ポンプ3の吸入口7に導かれる。
【0025】
前記薬液タンク2の薬液Kは、薬液ポンプ8により送液流路9を介して前記吸水流路6における前記逆止弁5より下流側部分に送り込まれ、清水W中に混合せしめられる。
【0026】
前記薬液ポンプ8としては、駆動源として直流電動モータ(ステッピングモータ)10を備えたバルブレスポンプであるチューブポンプが用いられている。前記薬液ポンプ8は、前記直流電動モータ10の回転数の上昇に応じて吐出量を増大させるようになっている。
【0027】
また、前記散布用ポンプ3では、前記吸水流路6を介して吸入される清水W及び薬液Kを十分に攪拌混合して、その混合液である希釈薬液K´を、吐出口11及び吐出流路12を介して前記散布用ノズル部4a,4b,4cに送り込む。
【0028】
前記吐出流路12には、上流側から順次、電動式調圧弁13、三方コック14、流量センサあるいは圧力計等15が介装されている。前記電動式調圧弁13からの余水は、余水流路16を介して前記散布用ポンプ3の吸入側(前記吸水流路6)に戻され、また、前記三方コック14を非散布作業位置に操作すると、前記散布用ポンプ4から吐出された希釈薬液K´が戻し流路17を介して前記散布用ポンプ3の吸入側(前記吸水流路6)に戻される。
【0029】
前記散布用ノズル部4a,4b,4cへの液体の供給、停止は、図示しない走行作業車の運転席の条止めコックを開閉するための操作部Sに集合させられた条止めバルブとしての手動コック(以下「条止めコック」という。)18,19,20の開閉操作により行われる。
【0030】
前記条止めコック18,19,20は、操作レバー18a,19a,20aを有し、図2に示すように、前記操作レバー18a,19a,20aを、図において、上方に操作した状態が前記条止めコック18,19,20の開状態とされ、下方に操作した状態が前記条止めコック18,19,20の閉状態とされている。
【0031】
前記構成は、ブームスプレーヤに適用した場合には、例えば、前記散布ノズル部4bが中央ブーム21とされ、前記散布ノズル部4cが右側ブーム22とされ、前記散布ノズル部4aが左側ブーム23とされ、該各ブーム21,22,23に所定間隔をあけて噴霧ノズル24が設けられる。
【0032】
前記構成において、前記散布用ポンプ3を停止させる前に、前記条止めコック18,19,20の操作レバー18a,19a,20aを作業者が閉操作して全条止めを行うと、前記吐出流路12、前記流量センサあるいは圧力計15及び前記三方コック14内に薬液が高圧のまま残される。
【0033】
同時に、前記散布用ポンプ3の吐出口11から吐出される薬液は、前記余水流路16から前記電動式調圧弁13を介して前記薬液ポンプ3の吸水流路6に至り、再び前記散布用ポンプ3に循環させられる。すなわち、図示の清水と薬液を混合しつつ薬液を散布する装置にあっては、余水を清水タンクに戻すことは薬液濃度に変更を生じることになり許されず、前記薬液の循環が継続される。
【0034】
前記の現象に伴い、前記流量センサあるいは圧力計15の数値は原状に復帰させられることなくそのままの数値に維持され、また、前記薬液の循環の継続により該薬液の温度が上昇させられる等の不具合が生じるものである。
【0035】
前記現象は、前記散布用ポンプ3を停止した後も、前記薬液散布装置の各流路中に薬液を高圧のまま残すことになり次の手段を講ずる必要がある。
【0036】
本発明は、前記事情に鑑み、散布作業の終了時に、作業者が全条止めをすることを物理的に不可能とするものである。
【0037】
図3には、前記条止めコック18,19,20の操作部S及び全条止めを不可能にする操作レバー18a,19a,20aのうちの一部、具体的には、操作レバー20aの閉操作を規制する規制手段の一実施例が示されている。
【0038】
図中、25,26,27は、それぞれ前記操作レバー18a,19a,20aを案内するガイド孔であり、上半分が前記操作レバー18a,19a,20aの開操作方向ガイド孔25a,26a,27aとされ、下半分が前記操作レバー18a,19a,20aの閉操作方向ガイド孔25b,26b,27bとされている。なお、前記ガイド孔25,26,27の前記閉操作方向ガイド孔25b,26b,27b間は連結孔28によって連結されている。
【0039】
図面実施例では、前記操作レバー20aの閉操作方向ガイド孔にストッパー部材30を配置し、前記操作レバー20aの閉方向操作を不可能としている。すなわち、前記条止めコック20の操作レバー20aが位置するガイド孔27の閉操作方向ガイド孔27b部に、ストッパー部材30を配置している。
【0040】
したがって、前記条止めコック20の操作レバー20aを下方に操作することができず、前記操作レバー20aによる閉操作は規制され、開状態が維持されるものである。したがって、散布作業の終了時に、作業者による全条止めが防止される。
【0041】
図4は、前記ストッパー部材30を、前記それぞれのガイド孔25,26,27の閉操作方向ガイド孔25b,26b,27b間に設けられた前記連結孔28内を移動自在に取付ける場合の一例を示す分解図である。
【0042】
すなわち、前記ストッパー部材30は、前記条止め18,19,20を開閉するためのコック操作部Sを内側と外側から挟持するように取付けられる。
【0043】
すなわち、該条止めコック18,19,20を開閉するための操作部Sの内側には、ストッパー板30a、握り用ボルト31、複数の固定用ナット32を配置し、前記条止めコック18,19,20を開閉するための操作部Sの外側には、前記ガイド孔25,26,27内に適合する複数のカラー33、ストッパー板30b、複数の固定用スプリングワッシャ34、握り用ナット35、複数の固定用ボルト36及び前記握り用ボルト31に螺合される握り部37を配置してなる。
【0044】
そして、前記握り用ボルト31に前記握り用ナット35及び握り部37を螺合し、同時に、前記固定用ボルト36と前記固定用ナット32を螺合することによって内側部材と外側部材が一体化され、前記ガイド孔25,26,27の閉操作方向ガイド孔25b,26b,27b間に設けられた前記連結孔28内を移動自在に取付けられている。また、前記握り用ボルト31の働きで前記ガイド孔25,26,27の上方への抜け脱が防止される構成になっている。
【0045】
なお、図5(A)は、中央ブーム21、右側ブーム22、左側ブーム23の散布ノズル部4b,4c,4aから薬液散布が行われている場合であり、前記図3と同様に、操作レバー20aの閉操作方向への操作が前記ストッパー部材30によって規制されている。
【0046】
同図(B)は、左側ブーム23の散布ノズル部4aから薬液散布が行われている場合であり、前記ストッパー部材30は前記ガイド孔25部に移動させられ、前記操作レバー18aの閉操作方向への操作が前記ストッパー部材30によって規制されている。
【0047】
同図(C)は、中央ブーム21の散布ノズル部4bから薬液散布が行われている場合であり、前記ストッパー部材30が前記ガイド孔26部に移動させられ、前記操作レバー19aの閉操作方向への操作が前記ストッパー部材30によって規制されている。
【0048】
同図(D)は、右側ブーム22の散布ノズル部4cから薬液散布が行われている場合であり、この場合には、前記ストッパー部材30が前記ガイド孔27部に移動させられ、前記操作レバー20aの閉操作方向への操作が前記ストッパー部材30によって規制されている。
【0049】
図6は、他の実施の一形態であり、前記操作レバー18a,19a,20aののうちの一部の閉操作を規制する規制手段が、前記操作レバー18a,19a,20aの開方向ガイド孔25a,26a,27aの数に対して閉方向ガイド孔25b,26bの数を少なくした実施例である。すなわち、前記操作レバー18a,19a,20aの閉操作方向ガイド孔を25bと26bの二条として一条少なく形成した実施例である。
【0050】
この実施例の場合には、例えば、図7に示すように、前記操作レバー18a,19a,20aの適位置に、それぞれ該操作レバー18a,19a,20aをそれぞれ定められた横方向にスライドさせるための関節部38を形成する必要がある。
【0051】
前記実施例では、前記操作レバー18a,19a,20aを、順次、閉操作方向ガイド孔25b及び26bへ適合させた場合には、図8に示すように、前記操作レバー20aの閉操作が出来ず、したがって、散布作業終了時に、作業者による全条止めが防止される。
【0052】
図9は、他の実施の一形態であり、前記開閉操作レバー18a,19a,20aのうちの一部の閉操作を規制する規制手段30が、前記開閉操作レバー18a,19a,20aを案内するガイド孔25,26,27の両側ガイド孔25,27内にスライド自在に設けられたスライダー38,39と、該スライダー38,39間に前記開閉操作レバー18a,19a,20aの開操作方向ガイド孔25a,26a,27aの方向へ膨出させたばね部材40と、で構成したことを特徴とする。
【0053】
なお、前記ばね部材40は、板状のもの、線状ものなど、いずれであってもよい。また、前記スライダー38,39は、その詳細を図示しないが、前記図4と同様に、前記両側ガイド孔25,27にカラーを適合させ、その一側に前記ばね部材40を重合してそれらの両側にワッシャを配置してボルト、ナットにより止着し、前記両側ガイド孔25,27内をスライド自在となるように構成されている。
【0054】
前記実施例では、前記ばね部材40が、前記開閉操作レバー18a,19a,20aの開操作方向ガイド孔25a,26a,27a方向へ膨出させられているため、該ばね部材40の働きで、例えば、図9(A)に示すように、一方のスライダー38が閉操作位置にある時には、他方のスライダー39が前記ガイド孔27の開操作方向ガイド孔27a側へスライドさせられ、前記ガイド孔27の開閉操作レバー20aの閉操作が出来ず、したがって、散布作業終了時に、作業者による全条止めが防止される。
【0055】
図9(B)は、前記開閉操作レバー18a,20aの閉操作により、前記スライダー38,39が閉操作位置にある時の状態を示す。この場合には、前記ばね部材40の中央部が盛り上がり、中央の開閉操作レバー19aの閉操作を行なうことが出来ず、したがって、作業終了時に、作業者による全条止めが防止される。図中、41は、前記ばね部材33の反対方向への膨出を阻止するストッパーである。
【0056】
図10は、他の実施の一形態であり、前記開閉操作レバー18a,19a,20aのうちの一部の閉操作を規制する規制手段30が、中央のガイド孔26の下方に中央部を軸42により枢支した略V字形の回動部材43を設けたものであり、さらに、該回動部材43が、外側の開閉操作レバー18a,20aの一方の閉操作時に一端が押し下げられるとともに、他端が押し上げられて他方の外側開閉操作レバー20a,18aのガイド孔27,25部に位置するように構成したものである。
【0057】
図10(A)は、前記開閉操作レバー18a,19a,20aのいずれもが開操作された状態であり、前記回動部材36は、前記開閉操作レバー18a,20aの影響を受けることなく、所定の位置に停止させられている。
【0058】
つぎに、外側の開閉操作レバー18a,20aの一方、例えば、前記開閉操作レバー20aを閉操作すると、前記回動部材43の一端43aが押し下げられるとともに、他端43bが押し上げられて前記ガイド孔25部に位置させられて、該ガイド孔25の開閉操作レバー18aの閉操作を行なうことが出来ず、したがって、作業終了時に、作業者による全条止めが防止される。
【0059】
なお、前記本発明は、前記手動コックに代えて、前記条止めコック18,19,20をケーブルやリンク機構で遠隔操作する場合にもそのまま適用できるとともに、電磁バルブ開閉用のトグルスイッチを用いる場合にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、液体散布装置の一例を示す概略図である。
【図2】条止めコックの側面図である。
【図3】条止めコックの操作部を示す正面図である。
【図4】ストッパー部材の分解斜視図である。
【図5】条止めコックの操作部を示す正面図である。
【図6】他の実施の一形態を示す条止めコックの操作部を示す正面図である。
【図7】他の実施の一形態を示す条止めコックの側面図である。
【図8】他の実施の一形態を示す条止めコックの操作部を示す正面図である。
【図9】他の実施の一形態を示す条止めコックの操作部を示す正面図である。
【図10】他の実施の一形態を示す条止めコックの操作部を示す正面図である。
【符号の説明】
【0061】
4a,4b,4c 散布ノズル部
18,19,20 条止めコック(条止めバルブ)
18a,19a,20a 操作レバー
30 閉操作規制手段(ストッパー部材)
38,39 スライダー
40 ばね部材
41 ストッパー
43 回動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の散布ノズル部(4a,4b,4c)を有し、該複数の散布ノズル部(4a,4b,4c)に対応してそれぞれ条止めバルブ(18,19,20)が設けられた液体散布装置であって、前記条止めバルブ(18,19,20)を開閉するための操作部(S)に、前記条止めバルブ(18,19,20)を開閉するための開閉操作レバー(18a,19a,20a)のうちの一部の閉操作を規制する規制手段(30)を設けたことを特徴とする液体散布装置。
【請求項2】
前記開閉操作レバー(18a,19a,20a)のうちの一部の閉操作を規制する規制手段(30)が、該開閉操作レバー(18a,19a,20a)の閉操作方向ガイド孔(25b,26b,27b)に配置したストッパー部材(30)であることを特徴とする請求項1に記載の液体散布装置。
【請求項3】
前記ストッパー部材(30)が、それぞれの開閉操作レバー(18a,19a,20a)の閉操作方向ガイド孔(25b,26b,27b)間を移動自在としたことを特徴とする請求項2に記載の液体散布装置。
【請求項4】
前記開閉操作レバー(18a,19a,20a)のうちの一部の閉操作を規制する規制手段(30)が、前記開閉操作レバー(18a,19a,20a)の開操作方向ガイド孔(25a,26a,27a)の数に対して閉操作方向ガイド孔(25b,26b)の数を少なくしたことを特徴とする請求項1に記載の液体散布装置。
【請求項5】
前記開閉操作レバー(18a,19a,20a)のうちの一部の閉操作を規制する規制手段(30)が、前記開閉操作レバー(18a,19a,20a)を案内するガイド孔(25,26,27)の両側のガイド孔(25,27)内にスライド自在に設けられたスライダー(38,39)と、該スライダー(38,39)間に前記開閉操作レバー(18a,19a,20a)の開操作方向ガイド孔(25a,26a,27a)の方向へ膨出させたばね部材(40)と、であることを特徴とする請求項1に記載の液体散布装置。
【請求項6】
前記開閉操作レバー(18a,19a,20a)を案内するガイド孔(25,26,27)のうちの中央のガイド孔(26)の閉操作方向ガイド孔(26b)部に前記ばね部材(40)の反対方向への膨出を阻止するストッパー(41)を設けたことを特徴とする請求項5に記載の液体散布装置。
【請求項7】
前記開閉操作レバー(18a,19a,20a)のうちの一部の閉操作を規制する規制手段(30)が、中央のガイド孔(26)の下方に中央部が枢支された略V字形の回動部材(43)であり、外側の開閉操作レバー(18a,20a)の一方の閉操作時に一端(43a)が押し下げられるとともに他端(43b)が押し上げられて外側他方の開閉操作レバー(20a,18a)のガイド孔(27,25)に位置させられて、該外側他方の開閉操作レバー(20a,18a)の閉操作が規制されることを特徴とする請求項1に記載の液体散布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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