説明

液体柔軟剤

【課題】 柔軟性、吸水性および配合安定性に優れ、かつ水量が少ない場合においても良好な再汚染防止性能を有する液体柔軟剤を提供することである。
【解決手段】 一般式(1)で示されるカチオン性界面活性剤(A1)、一般式(2)で示されるカチオン性界面活性剤(A2)および一般式(3)で示されるカチオン性界面活性剤(A3)からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性界面活性剤(A)、並びに(メタ)アクリル酸(塩)(b1)および一般式(4)で示されるビニルモノマー(b2)を必須構成単量体としてなるビニルポリマー(B)を含有する液体柔軟剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣料または繊維用柔軟剤に関する。更に詳しくは、家庭用の液体柔軟剤に関する。
【背景技術】
【0002】
市販されている家庭用柔軟剤は、大部分が1分子中に2個の長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩を主成分とした組成物である。
例えば、ジ(硬化牛脂アルキル)ジメチルアンモニウムクロライドは、優れた柔軟性と帯電防止能を有するため広く使用されているが、これらを使用した場合、繊維表面が撥水化されてしまうため、繊維の吸水性が悪くなり、着用の際に汗の吸い取りが悪いなどの欠点を有していた。一方、吸水性の優れた柔軟基剤の一つとして知られているジオレイルジメチル第4級アンモニウム塩は、吸水性は改良されたが柔軟性が不十分であり、柔軟性を改良するためにタンパク質を加水分解して得られたペプチドを含む柔軟性組成物(例えば特許文献1参照)や柔軟剤成分とセリシンからなる柔軟剤(例えば特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−18576号公報
【0004】
【特許文献2】特開2001−192970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、風合い、柔軟性、吸水性および配合安定性の全てを満足させるものは得られていない。また、従来の衣料用柔軟剤では、洗濯中の水量が少ない(衣料4〜5kgに対して約8L程度以下)場合、再汚染が顕著に発生するという問題がある。例えば、節水や省エネ等の観点からドラム型洗濯機が使用されるようになってきたが、従来の縦型水槽洗濯機に比べて洗濯中の水量が少なく、柔軟剤を使用した場合に再汚染が顕著に発生するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、一般式(1)で示されるカチオン性界面活性剤(A1)、一般式(2)で示されるカチオン性界面活性剤(A2)および一般式(3)で示されるカチオン性界面活性剤(A3)からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性界面活性剤(A)、並びに(メタ)アクリル酸(塩)(b1)および一般式(4)で示されるビニルモノマー(b2)を必須構成単量体としてなるビニルポリマー(B)を含有する液体柔軟剤である。
【化5】

【化6】

【化7】

[式中、R1、R4、R5およびR6は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基または炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基、R2、R3、R7およびR8は炭素数6〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアルケニル基、炭素数8〜24のアルカポリエニル基またはベンジル基であり、2個のR2は同一でも異なっていてもよく、Z1は水素原子または式:R3CO−で表される基、Qは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基または式:R3CO−OCH2CH2−で表される基、fは1〜5の整数であり、Xf-は、f価の対イオンである。]
【化8】

{式中、R9は水素原子又はメチル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、pは2〜200の整数、Yは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜24のアリール基又はアルキルアリール基を表す。}
【発明の効果】
【0007】
本発明の液体柔軟剤組成物は、柔軟性および吸水性に優れ、かつ再汚染防止能を有する。したがって、本発明の液体柔軟剤は、少量の水で洗濯した場合においても再汚染しにくいという特長を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明における一般式(1)〜(3)において、R1、R4、R5およびR6は直鎖もしくは分岐の炭素数1〜24、好ましくは炭素数1〜8、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、直鎖もしくは分岐の炭素数2〜24、好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基、又はアルキル基の炭素数2〜24、好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数2〜4のβ−ヒドロキシアルキル基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−エチルヘキシル基、ペンチル基、オクチル、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基およびヘプタデシル基など、アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、アリル基、メタリル基、オクテニル基、ウンデセニル基、トリデセニル基、ペンタデセニル基およびヘプタデセニル基などが挙げられる。また、β−ヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシラウリル基、2−ヒドロキシパルミチル基、2−ヒドロキシステアリル基などが挙げられる。こららのうち好ましいのは、アルキル基およびβ−ヒドロキシアルキル基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基および2−ヒドロキシプロピル基であり、最も好ましいのはメチル基である。
【0009】
2、R3、R7およびR8は炭素数6〜24、好ましくは炭素数8〜24の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数6〜24、好ましくは炭素数8〜24の直鎖もしくは分岐のアルケニル基、炭素数8〜24、好ましくは炭素数10〜24の直鎖もしくは分岐のアルカポリエニル基(リノレイル基などのアルカジエニル基、およびアルカトリエニル基など)またはベンジル基である。好ましい例はR1で例示したアルキル基およびアルケニル基のうち炭素数6〜24の直鎖のもの、さらに好ましいのはペンタデシル基、ヘプタデシル基、トリデセニル基、ペンタデセニル基、ヘプタデセニル基およびこれらの混合物である。
一般式(1)における2個のR2は同一であっても異なっていてもよい。
【0010】
一般式(2)におけるZ1は水素原子または式:R3CO−(なお、R3は前述のR3として挙げた基と同様の基が挙げられ、1分子中に2個以上のR3を含む場合は同一でも異なっていてもよい)で表される基、例えばオクタノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基およびオレオイル基があげられ、好ましくはパルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基およびこれらの混合物である。
Qは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基または式:R3CO−OCH2CH2−(なお、R3は前述のR3として挙げた基と同様の基が挙げられ、1分子中に2個以上のR3を含む場合は同一でも異なっていてもよい)で表される基であり、これらのうち好ましいのは、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数2〜4のβ−ヒドロキシアルキル基および式:R3CO−OCH2CH2−で表される基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、並びにパルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基およびこれらの混合物である式:R3CO−OCH2CH2−で表される基である。
【0011】
一般式(1)〜(3)中のfは1〜5、好ましくは1〜3の整数であり、Xf-はf価の対イオンであり、ハロゲンイオン(クロルイオン、フッ素イオン、臭素イオンおよびヨウ素イオン)、OH-、無機酸アニオン(炭酸アニオン、燐酸アニオンおよび硫酸アニオンなど)、および有機酸アニオンが挙げられる。有機酸アニオンを構成する有機酸としては、1価または2価〜5価のカルボン酸類[炭素数1〜18の1価の脂肪族カルボン酸(蟻酸、酢酸、酪酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸およびドデカン酸など)、2〜5価の脂肪族カルボン酸(しゅう酸、アジピン酸、クエン酸、イタコン酸など)、並びに芳香族カルボン酸(安息香酸、フタル酸およびトリメリット酸など)]、スルホン酸類(炭素数1〜18のアルキル基を有するスルホン酸、例えばメチルスルホン酸およびエチルスルホン酸など、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル置換芳香族スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸など、ナフタレンスルホン酸並びにp−フェノールスルホン酸など)、硫酸エステル類(炭素数1〜12のアルキルもしくはアルケニル基を有する硫酸エステル、たとえばメチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、オクチル硫酸エステル、2−エチルヘキシル硫酸エステル、デシル硫酸エステルおよびドデシル硫酸エステルなど)、リン酸エステル類(炭素数1〜12のアルキルもしくはアルケニル基を有する燐酸エステル、たとえばオクチル燐酸エステル、2−エチルヘキシル燐酸エステル、デシル燐酸エステルおよびドデシル燐酸エステルなど)、並びに炭素数6〜36の1〜4価のフェノール類(フェノール、p−クロロフェノール、β−ナフトール、o−およびp−ニトロフェノール、p−アミノフェノール、カテコールおよびレゾルシンなど)などが含まれる。Xf-のうち好ましいのはクロルイオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンおよびメチル炭酸イオンで、特に好ましいのは、メチル硫酸イオンおよびエチル硫酸イオンである。
【0012】
本発明における(A)は、好ましくは、分子中に少なくとも1種(好ましくは1〜3種、さらに好ましくは1種)のアルケニル基を有するカチオン性界面活性剤の1種以上を含有する。
(A1)は、一般式(1)におけるR2のうちの少なくとも一部が炭素数8〜24のアルケニル基、特に、ヘプタデセニル基、ペンタデセニル基またはトリデセニル基であることが好ましく、ヘプタデセニル基であることがとりわけ好ましい。(A2)は、一般式(2)におけるR3のうちの少なくとも一部、またはZ1を構成するR3のうちの少なくとも一部が炭素数8〜24のアルケニル基、特に、ヘプタデセニル基、ペンタデセニル基またはトリデセニル基であることが好ましく、ヘプタデセニル基であることがとりわけ好ましい。
(A)は、ヨウ素価が、通常0〜140、好ましくは20〜120、さらに好ましくは40〜100、特に好ましくは50〜90である。 ヨウ素価が20以上であれば吸水性がさらに良好になり、120以下であれば、さらに柔軟性が向上しやすい。
【0013】
一般式(1)で表されるカチオン性界面活性剤(A1)のうち好ましいものの例としては、R1がメチル、エチル、ブチルまたはβ−ヒドロキシエチル基で、R2がペンタデシル、ヘプタデシル、ヘプタデセニルおよび/または2−ヒドロキシオクチル基のもの、具体的には以下に示す(A11)〜(A15)等があげられる。
(A11)R1=メチル基、R2=ヘプタデセニル基、Xf-=CH3SO4- 、f=1
(A12)R1=メチル基、R2=ヘプタデセニル基/ヘプタデシル基(60/40質量%;以下において特に限定しない限り、%は質量%を表す)、Xf-=CH3SO4- 、f=1
(A13)R1=β−ヒドロキシエチル基、R2=ペンタデシル基/ヘプタデセニル基(30/70%)、Xf-=CH3SO4- 、f=1
(A14)R1=メチル基、R2=ペンタデシル基/ヘプタデシル基(40/60%)、Xf-=Cl- 、f=1
(A15)R1=エチル基、R2=ペンタデシル基、Xf-=C25SO4- 、f=1
一般式(2)で示されるカチオン性界面活性剤(A2)のうち好ましいものの例としては、R3がメチル、エチル、ブチルまたはβ−ヒドロキシエチル基、R3がペンタデシル、ヘプタデシル、ヘプタデセニルおよび/または2−ヒドロキシオクチル基、Z1が水素、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイルおよび/またはオレオイル基、並びにQがメチル、エチルまたはβ−ヒドロキシエチル基のもの、具体的には以下に示す(A21)〜(A24)があげられる。
(A21)R4=メチル基、R3=ヘプタデシル基/ヘプタデセニル基(37/63%)、Z1=ステアロイル基/オレオイル基(37/63%)、Q=β−ヒドロキシエチル基、Xf-=CH3SO4- 、f=1
(A22)R4=メチル基、R3=ヘプタデセニル基、Z1=オレオイル基、Q=β−ヒドロキシエチル基、Xf-=CH3SO4- 、f=1
(A23)R4=エチル基、R3=ペンタデシル基、Z1=ステアロイル基、Q=メチル基、Xf-=C25SO4- 、f=1
(A24)R4=メチル基、R3=ペンタデシル基/ヘプタデシル基(40/60%)、Z1=パルミトイル基/ステアロイル基(40/60%)、Q=β−ヒドロキシエチル基、Xf-=Cl-
一般式(3)で示されるカチオン性界面活性剤(A3)のうち好ましいものの例としては、R5およびR6がメチル、エチル、ブチルまたはβ−ヒドロキシエチル基、R7およびR8がペンタデシル、ヘプタデシル、ヘプタデセニルおよびステアリル、および/またはオレイル基のもの、具体的には以下に示す(A31)〜(A33)があげられる。
(A31)R5=メチル基、R6=メチル基、R7=ステアリル基、R8=ステアリル基、Xf-=CH3SO4- 、f=1
(A32)R5=メチル基、R6=エチル基、R7=オレオイル基、R8=オレイル基、Xf-=CH3CH2SO4- 、f=1
(A33)R4=メチル基、R5=メチル基、R7=ステアリル/オレイル(50/50%)R8=ステアリル/オレイル(50/50%)、Xf-=Cl- 、f=1
【0014】
(A1)は、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数6〜24の脂肪酸にジエチレントリアミンとを150〜200℃で加熱縮合させて得られたアミド型の第3級アミンを塩酸、酢酸などの酸で中和する方法、又は該アミド型の第3級アミンをメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのアルキル化剤を加圧下、加熱して反応する方法などで得られる。
【0015】
(A2)は、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数6〜24、好ましくは8〜24の脂肪酸とトリエタノールアミンを150〜200℃で加熱縮合させてエステル型の第3級アミンを作り、これに塩酸、酢酸などの酸で中和する方法や、前記のアルキル化剤を加圧下、加熱して反応する方法などで得ることができる。
【0016】
(A3)は、例えば、ジオレイルメチルアミン、ジステアリルメチルアミンなどの3級アミンに前記のアルキル化剤を加圧下、加熱して反応する方法などで得ることができる。
【0017】
(A)のうち、好ましいものは(A1)または(A1)と(A2)の併用であり、併用の場合の(A1)/(A2)の好ましい質量比率は、40/60〜98/2、さらに好ましくは50/50〜80/20である。
【0018】
本発明において、「(メタ)アクリ・・・」は、「アクリ・・・」及び/又は「メタクリ・・・」を意味する。
また、本発明において、 「・・・酸(塩)」は、「・・・酸」及び/又は「・・・酸塩」を意味する。
塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩及び有機アミン塩等が含まれる。これらは2種以上の混合でもよい。
【0019】
本発明におけるビニルポリマー(B)の必須構成単量体のうちの1つである(メタ)アクリル酸(塩)(b1)としては、公知(特開2005−154266号公報)の(メタ)アクリル酸(塩)等が使用できる。
公知の(メタ)アクリル酸(塩)のうち、再汚染防止性等の観点から、(メタ)アクリル酸塩が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩及び(メタ)アクリル酸アンモニウム塩、特に好ましくは(メタ)アクリル酸ナトリウム塩及び(メタ)アクリル酸第4級アンモニウム塩、最も好ましくはメタクリル酸ナトリウム塩及びメタクリル酸第4級アンモニウム塩(第4級アンモニウム塩のうち、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム及びトリエチルオクチルアンモニウムが好ましい。)である。
【0020】
本発明におけるビニルポリマー(B)の必須構成単量体のうちの1つであるビニルモノマー(b2)を表す一般式(4)において、R9のうち好ましいのは水素またはメチル基である。
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(AO)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが含まれる。これらのうち、再汚染防止性等の観点から、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましく、さらに好ましくはオキシエチレンである。
(AO)pは、オキシアルキレン基の1種類でも2種類以上の混合でもよい。2種類以上の混合のとき、この結合形態はブロック状、ランダム状及びこれらの混合のいずれでもよい。
【0021】
pは、再汚染防止性等の観点から、2〜200の整数であり、好ましくは5〜190の整数、さらに好ましくは10〜180の整数、特に好ましくは20〜150の整数である。
【0022】
水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基(X)のうち、炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖アルキル基{メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル及びn−オクチルデシル等}及び分岐アルキル{イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、イソデシル及びイソドデシル等}が含まれる。
炭素数2〜18のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、オクテニル基、ドデセニル基、オレイル基等が含まれる。
炭素数6〜24のアリール基又はアルキルアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基等が含まれる。
Xのうち、アルキル基が好ましく、さらに好ましくは直鎖アルキル基、特に好ましくはメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル及びn−オクチルである。
【0023】
一般式(4)で表されるビニルモノマー(b2)としては、アルキルポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート及びポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが含まれ、公知のビニルモノマー(特開2005−289844号公報等)等をそのまま使用できる。
公知のビニルモノマーのうち、再汚染防止性等の観点から、アルキルポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートが好ましく、さらに好ましくはアルキルポリオキシアルキレン(炭素数2〜3)(メタ)アクリレート、次にさらに好ましくはアルキル(炭素数1〜12)ポリオキシアルキレン(炭素数2〜3)(メタ)アクリレート、特に好ましくはアルキル(炭素数1〜10)ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、最も好ましくはアルキル(炭素数1〜8)ポリオキシエチレン(メタ)アクリレートである。
【0024】
ビニルモノマー(b2)は、公知の方法(特開2005−289844号公報等)等で製造できるが、市販品を用いてもよい。なお、通常、式(4)で表されるビニルモノマーの混合物(pに分布のある混合物)として製造されるが、経済性等の観点から混合物のまま用いることが好ましい{以下、市販品について、pの値はカタログ値として記載する。}。
市販品としては、以下のビニルモノマーが好ましく例示できる。
【0025】
日本油脂株式会社製ブレンマー(登録商標)PMEシリーズ{PME−100(メチルポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=2、Y=メチル)、PME−200(メチルポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=4、Y=メチル)、PME−400(メチルポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=9、Y=メチル)、PME−1000(メチルポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=23、Y=メチル)及びPME−4000(メチルポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=90、Y=メチル)等}。
【0026】
日本油脂株式会社製ブレンマー(登録商標)PEシリーズ{PE−90(ポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=2、X=水素原子)、PE−200(ポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=4.5、Y=水素原子)、PE−350(ポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=8、Y=水素原子)等}。
【0027】
日本油脂株式会社製ブレンマー(登録商標)AEシリーズ{AE−90(ポリオキシエチレンアクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=2、Y=水素原子)、AE−200(ポリオキシエチレンアクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=4.5、Y=水素原子)、AE−350(ポリオキシエチレンアクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=8、Y=水素原子)等}。
【0028】
日本油脂株式会社製ブレンマー(登録商標)PPシリーズ{PP−1000(ポリオキシプロピレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシプロピレン、p=6、Y=水素原子)、PP−500(ポリオキシプロピレンメタクリレート:式(1)において、AO=オキシプロピレン、p=9、Y=水素原子)、PP−800(ポリオキシプロピレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシプロピレン、p=13、Y=水素原子)等}。
【0029】
日本油脂株式会社製ブレンマー(登録商標)APシリーズ{AP−400(ポリオキシプロピレンアクリレート:式(4)において、AO=オキシプロピレン、p=6、Y=水素原子)等}。
【0030】
日本油脂株式会社製ブレンマー(登録商標)シリーズその他{50POEP−800B(オクチルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン及びオキシプロピレン、p=14、Y=オクチル)、70PEP−350B(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアクリレート:式(1)において、AO=オキシエチレン及びオキシプロピレン、p=7、Y=水素原子)、10PEP−550B(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン及びオキシプロピレン、p=10、Y=水素原子)等}。
【0031】
共栄社化学株式会社製ライトエステルシリーズ{041MA(メチルポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=30、Y=メチル)、130MA(メチルポリオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=9、Y=メチル)、MC(メチルジオキシエチレンメタクリレート:式(4)において、AO=オキシエチレン、p=2、Y=メチル)}。
【0032】
ビニルポリマー(B)における(メタ)アクリル酸(塩)(b1)の単位の含有量(モル%)は、再汚染防止性等の観点から、(メタ)アクリル酸(塩)(b1)単位及びビニルモノマー(b2)単位の合計モル数に基づいて、50〜99.5モル%が好ましく、さらに好ましくは70〜99.3モル%、特に好ましくは90〜99モル%である。
【0033】
ビニルモノマー(b2)の単位の含有量(モル%)は、再汚染防止性等の観点から、(メタ)アクリル酸(塩)(b1)単位及びビニルモノマー(b2)単位の合計モル数に基づいて、0.5〜50.0モル%が好ましく、さらに好ましくは0.7〜30モル%、特に好ましくは1〜10モル%である。
【0034】
ビニルポリマー(B)は(メタ)アクリル酸(塩)(b1)及びビニルモノマー(b2)以外に、他のビニルモノマー(b3)を構成単量体としてもよい(他のビニルモノマー(b3)を含まないことが好ましい。)。
他のビニルモノマー(b3)としては、(メタ)アクリル酸(塩)(b1)及びビニルモノマー(b2)と共重合可能であれば特に制限はないが、(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、カチオン性(メタ)アクリレート、スチレン及びマレイン酸等が含まれる。これらのビニルモノマーとしては、公知の単量体(特開2005−154266号公報等)等が使用できる。これらのうち、再汚染防止性等の観点から、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びカチオン性(メタ)アクリレートが好ましく、さらに好ましくはアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである。
【0035】
他のビニルモノマー(b3)を構成単位とする場合、他のビニルモノマー(b3)の単位の含有量(モル%)は、再汚染防止性等の観点から、(メタ)アクリル酸(塩)(b1)単位及びビニルモノマー(b2)単位の合計モル数に基づいて、0.1〜49.5モル%が好ましく、さらに好ましくは0.2〜29モル%、次にさらに好ましくは0.3〜18.5モル%、特に好ましくは0.4〜8モル%である。
【0036】
ビニルポリマー(B)の重量平均分子量(Mw)は、再汚染防止性等の観点から、1万〜200万が好ましく、さらに好ましくは2万〜100万、特に好ましくは3万〜80万である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(標準物質:ポリエチレングリコール)により測定される。
【0037】
ビニルポリマー(B)は取り扱いやすさ等の観点から、水溶性のポリマーであることが好ましい。 本発明において、水溶性とは、25℃(1気圧)において、水70gに溶質{ビニルポリマー(B)又は後述する溶媒}が少なくとも30g溶解する性質を意味する。
【0038】
ビニルポリマー(B)は、公知の重合方法{溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合又は乳化重合等}等により容易に得られる。
公知の重合方法のうち、溶液重合、懸濁重合、逆相懸濁重合及び乳化重合が好ましく、さらに好ましくは溶液重合、逆相懸濁重合及び乳化重合、特に好ましくは溶液重合及び乳化重合、最も好ましくは溶液重合である。
重合には、公知の重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は溶媒等が使用できる。
溶媒を使用する場合、得られたビニルポリマー(B)の溶液(懸濁液及び乳化液)をそのまま本発明の液体柔軟剤と使用してもよい。一方、溶液、懸濁液又は乳化液から溶媒を留去して本発明の液体柔軟剤として使用してもよく、また、溶媒を他の溶媒(たとえば、水)と置換して、本発明の液体柔軟剤として使用してもよい。
ビニルポリマー(B)が塩の場合、(メタ)アクリル酸塩を使用してビニルポリマー(B)を製造してもよいし、(メタ)アクリル酸を使用してビニルポリマーを得た後、アルカリと混合して塩としてもよい(たとえば、特開2001−152199号公報)。これらの方法のうち、後者が好ましい。
【0039】
本発明の液体柔軟剤は、(A)および(B)以外に、非イオン界面活性剤(D)、親水性溶剤(E)および水溶性無機塩(F)からなる群から選ばれる1種以上を配合することが配合安定性の観点から好ましい。
【0040】
非イオン界面活性剤(D)としては、アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤(D1)およびアルキルアミンオキシドなどが挙げられる。
【0041】
(D1)としては、高級アルコール(炭素数8〜24)アルキレン(炭素数2〜8)オキサイド(活性水素1個当たりの付加モル数1〜100)付加物、アルキル(炭素数1〜12)フェノールEO(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)付加物、脂肪酸(炭素数8〜18)EO(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)付加物、高級アミン(炭素数8〜24)アルキレン(炭素数2〜8)オキサイド(活性水素1個当たりの付加モル数1〜100)付加物、ポリプロピレングリコール(分子量200〜4000)EO(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)付加物およびポリオキシエチレン(活性水素1個当たりの付加モル数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、好ましいのは高級アルコールアルキレンオキサイド付加物および高級アミンアルキレンオキサイド付加物である。
【0042】
親水性溶剤(E)としては、炭素数1〜4のアルコールおよびグリコール系溶剤からなる群から選ばれる1種以上であり、炭素数1〜4のアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールおよびt−ブチルアルコール等が挙げられ、グリコール系溶剤としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブチレングリコールおよび1,3−ブチレングリコー等のグリコール、モノアルキルエーテル{エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルなど}、並びにジアルキルエーテル{エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、およびジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルなど}が挙げられ、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコール、さらに好ましくはプロピレングリコールである。また、2種以上を併用する場合の比率は特に限定されない。
【0043】
水溶性無機塩(F)としては、25℃での100gの水に対して10g以上溶解することのできる無機塩が含まれ、例えばアルカリ金属塩[ハロゲン化物(塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、フッ化ナトリウムなど)、硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなど)およびリン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなど)]、アルカリ土類金属塩[ハロゲン化物(塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)および硫酸塩(硫酸マグネシウムなど)]並びにアンモニウム塩[ハロゲン化物(塩化アンモニウムなど)および硫酸塩(硫酸アンモニウムなど)]があげられる。
これらのうち好ましくは、アルカリ金属塩、特に塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムである。
【0044】
本発明の液体柔軟剤の質量に基づく(A)の含有量は、好ましくは2〜25%、さらに好ましくは3〜20%、特に好ましくは5〜18%である。(B)の含有量は、好ましくは0.1〜15%、さらに好ましくは1〜12%、特に好ましくは2〜10%である。(D)の含有量は、好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは0.2〜7%、特に好ましくは0.5〜5%である。(E)の含有量は、好ましくは0.5〜20%、さらに好ましくは1〜15%、特に好ましくは2〜10%である。(F)の含有量は、好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%、特に好ましくは0.2〜2%である。この範囲であると柔軟性、吸水性および配合安定性が特に優れる。
【0045】
本発明の液体柔軟剤は、アニオン界面活性剤(G)および両性界面活性剤(H)のいずれの界面活性剤を含有してもよい。
【0046】
(G)としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸またはその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウムなど]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウムなど]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩[スルホコハク酸モノもしくはジアルキルエステルのジもしくはモノナトリウム塩、スルホコハク酸(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)モノもしくはジアルキルエステルのジもしくはモノナトリウム塩等]、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、エーテルカルボン酸またはその塩、脂肪酸塩およびアシル化アミノ酸塩である。
【0047】
(H)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイロアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]などが挙げられる。
【0048】
(G)および/または(H)の合計の含有量は、液体柔軟剤の質量に基づいて好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜8%、特に好ましくは0.5〜5%である。
【0049】
本発明の液体柔軟剤には、必要に応じて、液体柔軟剤の質量に基づいて、それぞれ0.01〜5%の量の抗菌剤(イソチアゾリン系、カーバニド系、イミダゾール系、ビグアナイド系、チアゾール系抗菌剤等)、香料(d−リモネン、シンアミックアルデヒド、メチルヨノン等)、着色剤(青色1号、緑色3号、赤色1号等)、および(D)以外の保湿成分(オリーブ油、アボガド油、ヒアルロン酸、レシチン、アルギン酸塩、ラノリン等)等を必要により含有せせることができる。
【0050】
本発明の液体柔軟剤は、20℃で液体であり、乳化液または透明均一液である。
また、本発明の液体柔軟剤の有効成分[液体柔軟剤の質量に基づく、水以外の成分の質量百分率]は、好ましくは5〜60%、さらに好ましくは10〜40%である。
【0051】
本発明の液体柔軟剤の25℃における粘度は、好ましくは5〜1,000mPa・s、さらに好ましくは10〜500mPa・s、特に好ましくは10〜300mPa・sである。
【0052】
本発明の液体柔軟剤は、天然繊維、合繊繊維およびこれらの混紡交編繊繊維の柔軟性付与に特に有用である。
天然繊維としては、木綿、麻、羊毛などが挙げられ、化合繊繊維としてはレーヨン、アセテートなどの再生セルロース繊維、ポリエステル、ポリアミド繊維、アクリル、スパンデックスなどの合成繊維が挙げられる。これらの混紡交編繊繊維としては、木綿や麻と他の繊維(羊毛、ポリエステル、ポリアミド、アクリルなど)、羊毛と他の繊維(ポリエステル、ポリアミド、アクリルなど)、ポリエステル繊維と他の繊維(レーヨン、アセテート、ポリアミド、アクリル、スパンデックスなど)、ポリアミド繊維と他の繊維(レーヨン、アセテート、アクリル、スパンデックスなど)が挙げられる。
繊維の形態としては、布、不織布、編織物および衣服などが挙げられる。
【0053】
本発明の液体柔軟剤は、通常1ppm〜0.5%の範囲の濃度(有効成分)に希釈されて使用される。
【0054】
浴比は特に限定されないが通常1:4〜1:40、好ましくは1:6〜1:30である。
【0055】
本発明の液体柔軟剤の使用温度は適用する繊維の種類によって任意に選択できるが、通常5〜80℃、好ましくは20〜50℃である。
【0056】
[実施例]
以下、実施例および製造例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、部は質量部を示す。
【0057】
製造例1
[一般式(1)において、R1=メチル基、R2=ヘプタデセニル基、Xf-=CH3SO4- およびf=1であるカチオン性界面活性剤(A11)の製造]
耐圧容器にオレイン酸メチル600部とジエチレントリアミン104部、次亜燐酸1部を仕込み、液中に窒素を通じながら150℃まで昇温する。徐々に減圧にした後、メタノールおよび水を留去しながら反応を行い、イミダゾリン化合物を合成し、さらにプロピレングリコール243部を仕込み、75〜85℃でジメチル硫酸129部を徐々に滴下して、一般式(1)のカチオン性界面活性剤(A11)の75%プロピレングリコール溶液(A11−P)を得た。(A11)のヨウ素価は99であった。
【0058】
製造例2
[一般式(2)において、R4=メチル基、R3=ヘプタデシル基/ヘプタデセニル基(37/63%)、Z1=ステアロイル基/オレオイル基(37/63%)、Q=β−ヒドロキシエチル基、Xf-=CH3SO4- およびf=1であるカチオン性界面活性剤(A21)の製造]
耐圧容器にトリエタノールアミン104部とオレイン酸186部、ステアリン酸321部、次亜燐酸1部を仕込み、窒素を流しながら180℃まで昇温し、水を留去しながら反応を行い、エステル化合物を合成する。さらにプロピレングリコール245部を仕込み、ジメチル硫酸107部を徐々に滴下して4級化を行い、前述のカチオン性界面活性剤(A21)の75%プロピレングリコール溶液(A21−P)を得た。(A21)のヨウ素価は90であった。
【0059】
[ビニルモノマー(b2)の製造]
<製造例1>
温度計、攪拌機を備えたSUS製オートクレーブに、メタノール(ナカライテスク株式会社製 JIS試薬特級)53部及び水酸化ナトリウム0.7部を仕込み、容器内を十分に窒素置換した後、密閉し、100℃に昇温した。エチレンオキシド720部を100℃で1時間かけて吹き込み反応した後、180℃に昇温し180℃でエチレンオキシド730部を1時間かけて吹き込み反応した。さらに180℃で1時間熟成した後、25℃に冷却した。温度計、攪拌機、生成水分離器、還流冷却管を備えたガラス製反応器に内容物を移し替え、ハイドロキノン2.3部、硫酸16部、メタクリル酸360部及びトルエン340部を仕込み、115℃に昇温した。この温度で、生成水分離器に生成水が分離しなくなるまで、反応を継続した後、0.1kPa、115℃でトルエンを留去した。次いで25℃まで冷却して、メチルポリオキシエチレン(付加モル数20モル)メタクリレート{ビニルモノマー(b21)}を得た。
【0060】
<製造例2>
「メタノール53部」、「エチレンオキシド720部」、「エチレンオキシド730部」及び「メタクリル酸360部」を、「ヘキサノール38部」、「エチレンオキシド730部」、「エチレンオキシド730部」及び「メタクリル酸80部」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、ヘキシルポリオキシエチレン(付加モル数90モル)メタクリレート{ビニルモノマー(b22)}を得た。
【0061】
[ビニルポリマー(B)の製造]
<製造例3>
反応容器に、水2250部及びイソプロピルアルコール(以後、IPAと略す)1200部を仕込み、窒素置換した後、80℃に昇温し、80℃で撹拌下環流させながら(環流は熟成終了まで継続)、メタクリル酸300部[98モル%{「モル%」は、(メタ)アクリル酸(塩)(b1)及びビニルモノマー(b2)の合計モル数に基づく濃度を意味し、以下同様である。}]及びビニルモノマー(b22)300部(2モル%)を混合したモノマー溶液と、過硫酸ナトリウム5%水溶液800部(2.4モル%)とを同時に3時間かけて滴下し反応した。引き続き、80℃で2時間熟成した後、80℃でIPAを留去した。その後40℃まで冷却し、40℃で10分間かけて水酸化ナトリウム48%水溶液295部(80モル%)を加えて中和した後、25℃まで冷却した。下記の方法によって(以下同様)濃度を測定した後、25℃で水を加えて、ビニルポリマー(B1)の30%水溶液(B1−W)を得た。共重合体の重量平均分子量は75,000であった。
【0062】
<製造例4>
反応容器に、水2250部及びイソプロピルアルコール(以後、IPAと略す)1200部を仕込み、窒素置換した後、80℃に昇温し、80℃で撹拌下環流させながら(環流は熟成終了まで継続)、メタクリル酸490部[90モル%{「モル%」は、(メタ)アクリル酸(塩)(b1)及びビニルモノマー(b2)の合計モル数に基づく濃度を意味し、以下同様である。}]及びビニルモノマー(b21)710部(10モル%)を混合したモノマー溶液(1)と、過硫酸ナトリウム5%水溶液720部(2.4モル%)とを同時に3時間かけて滴下し反応した。引き続き、80℃で2時間熟成した後、80℃でIPAを留去した。その後40℃まで冷却し、40℃で10分間かけて水酸化ナトリウム48%水溶液480部(80モル%)を加えて中和した後、25℃まで冷却した。下記の方法によって(以下同様)濃度を測定した後、25℃で水を加えて、ビニルポリマー(B2)の30%水溶液(B2−W)を得た。共重合体の重量平均分子量は278,000であった。
【0063】
<濃度の測定方法>
共重合体水溶液約2gを秤量し、ガラス製シャーレに採取した。このガラス製シャーレを130℃の循風乾燥機で1時間加熱した後、循風乾燥機から取り出しデシケータ内に入れ25℃まで冷却した。ガラス製シャーレ上に残っている残さを秤量し、次式により共重合体水溶液の濃度を算出した。
【0064】
共重合体水溶液濃度(%)=[残さ量(g)/共重合体水溶液サンプリング量(g)]×100
【0065】
<重量平均分子量>
測定機器;Waters社製 GPCシステム[ポンプ;Model510、 検出器;waters410]
溶離液 ;種類 水/メタノール(70/30(体積比))+酢酸ナトリウム
{5g/リットル(対水/メタノール)}
流速 1.0(ml/min)
カラム ;TSKgel G3000PWXL+TSKGel G50000PWXL
7.8mlI.D×30cm
カラム温度;40℃
標準物質 :ポリエチレングリコール{重量平均分子量:2.4×104、5.0×104、1.07×105、2.5×105、5.4×105,9.0×105(東ソー株式会社製 TSK標準ポリエチレンオキシド SE−2、SE−5、SE−8、SE−30、SE−70、SE−150)}
【0066】
実施例1〜16
(A11−P)、(A21−P)、及び前述の(A31)の75%プロピレングリコール溶液(A31−P);(B1−W)及び(B2−W);下記表1記載の非イオン界面活性剤(D1〜D3);を、表3および表4に記載の部数使用し、プロピレングリコール、硫酸ナトリウムおよび水を加えて全量を100部となるように配合し液体柔軟剤を作製した。なお、(A31)のヨウ素価は83であった。
なお、表3および表4中の( )内の数値は、(A)または(B)の液体柔軟剤中の有効成分換算の含有量(%)並びにプロピレングリコールもしくは水の液体柔軟剤中の含有量(%)を示した計算値である。
【0067】
比較例1〜4
(A11−P)、(A21−P)及び(A31−P);表1に記載の非イオン界面活性剤(D1〜D3);を表4に記載の部数使用し、プロピレングリコール、硫酸ナトリウムおよび水を加えて全量を100部となるように配合して比較のための液体柔軟剤を作製した。
【0068】
【表1】

【0069】
表1において、(EO)/(PO)はランダム付加、−(EO)はブロック付加を示す。
【0070】
<配合安定性>
実施例1〜16および比較例1〜4の液体柔軟剤を40℃の恒温槽にて1カ月静置し、配合安定性を評価した。その結果を表3および表4に示した。
(評価基準)
各試料を下記基準で評価した。
○:均一に乳化 △:わずかに不均一層あり ×:二層に完全分離
【0071】
<柔軟性>
実施例1〜16および比較例1〜4の液体柔軟剤について、下記の試験条件で柔軟性の評価を行った。その結果を表3および表4に示した。
(処理条件)
上述の共重合体水溶液濃度の測定方法と同様に求めた有効成分濃度が0.03%になるように液体柔軟剤を水で希釈し、試験液1,000部を作成した。それに試布(綿ブロード24×24cm)を入れ5分間浸せきした(浴比1:30)。次いで、遠心脱水機で絞り(絞り率100%)、さらに風乾して試料とした。
(評価基準)
各試料を、水のみで処理した試布と比較し、触感にて下記基準で評価した。 ◎:弾力性および柔軟性に優れる
○:弾力性および柔軟性が良好
△:弾力性および柔軟性が水で処理したものよりわずかに良好
×:弾力性および柔軟性不良(水で処理したものと同レベル)
【0072】
<吸水性評価>
柔軟性評価に用いた試布を1×24cmに裁断し、垂直につるして底部を端から1cm、25℃の水溶液に漬けた状態で10分後の上昇した水の高さ(mm)を測定した。
その結果を表3及び表4に示す。数値が大きいものほど吸水性が良好であることを示す。
【0073】
<再汚染防止性>
布{綿金巾3号(JIS L0803−1980)}を20cm×20cmに裁断したもの)3枚、評価試料(衣料洗浄剤)25部、汚垢{表2に示す成分(それぞれ、対応する使用量)を使用する以外、JIS C9606−1993に準拠して調製した}550部、水50000部、並びに洗浄用衣料5000部(ワイシャツ2000部、肌シャツ2000部及びバスタオル1000部)を、洗濯機(松下電器産業(株)製 NA−V81)を用いて、水温30℃で15分間洗浄した後、水ですすぎを3分間2回行い、脱水を3分間行なった。その後、3枚の布を洗濯機から取り出し、ギヤーオーブン(TABAI製、GPS−222)を用いて70℃、60分間で乾燥し、試験布を得た。
ついで、分光式色差計(日本電色工業(株)製、SpectroPhotometer SD5000)を使用して、この試験布の540nmの反射率を、試験布1枚ごとに表裏2個所ずつ計4個所(試験布3枚で合計12個所)測定し、この平均値を求め、表2及び表3に示した。
数値が大きい方が再汚染防止性が良好であることを示す。
【0074】
【表2】

【0075】
表3および表4の結果より、本発明の組成物を用いた各実施例は、いずれも各比較例と比べると配合安定性、柔軟性、吸水性及び再汚染防止性が優れている。
【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の衣料用の液体柔軟剤は、布地への柔軟性、吸水性および帯電防止性付与効果を有し、また、少ない水量で洗濯した場合でも、再汚染防止性に優れている。
上記効果を有することから、本発明の柔軟剤組成物は、家庭用をはじめ各種繊維製品の柔軟仕上剤、特にタオル、肌着等の吸水性を要求される各種繊維製品の柔軟仕上剤として極めて有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるカチオン性界面活性剤(A1)、一般式(2)で示されるカチオン性界面活性剤(A2)および一般式(3)で示されるカチオン性界面活性剤(A3)からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性界面活性剤(A)、並びに(メタ)アクリル酸(塩)(b1)および一般式(4)で示されるビニルモノマー(b2)を必須構成単量体としてなるビニルポリマー(B)を含有する液体柔軟剤。
【化1】

【化2】

【化3】

[式中、R1、R4、R5およびR6は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基または炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基、R2、R3、R7およびR8は炭素数6〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアルケニル基、炭素数8〜24のアルカポリエニル基またはベンジル基であり、2個のR2は同一でも異なっていてもよく、Z1は水素原子または式:R3CO−で表される基、Qは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基または式:R3CO−OCH2CH2−で表される基、fは1〜5の整数であり、Xf-は、f価の対イオンである。]
【化4】

{式中、R9は水素原子又はメチル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、pは2〜200の整数、Yは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜24のアリール基又はアルキルアリール基を表す。}
【請求項2】
カチオン性界面活性剤(A)が、分子中に少なくとも1種のアルケニル基を有するカチオン性界面活性剤の1種以上を含有する請求項1記載の液体柔軟剤。
【請求項3】
カチオン性界面活性剤(A)が、20〜120のヨウ素価を有する請求項1または2記載の液体柔軟剤。
【請求項4】
ビニルポリマー(B)が、(メタ)アクリル酸(塩)(b1)の単位及びビニルモノマー(b2)の単位の合計モル数に基づいて、(メタ)アクリル酸(塩)(b1)の単位を50〜99.5モル%含有し、ビニルモノマー(b2)の単位を0.5〜50モル%含有するビニルポリマーである、請求項1〜3のいずれかに記載の液体柔軟剤。
【請求項5】
ビニルポリマー(B)の数平均分子量が1万〜200万である請求項1〜4のいずれか記載の液体柔軟剤
【請求項6】
さらに非イオン界面活性剤(D)、親水性溶剤(E)および水溶性無機塩(F)からなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜5のいずれか記載の液体柔軟剤。

【公開番号】特開2008−196070(P2008−196070A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30676(P2007−30676)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】