説明

液体検出および信頼度判定

1つまたはそれ以上の生物学的および/または化学的反応を備え、微小流体装置のマイクロチャネル構造(101a)において実行される実験結果の信頼度を格付けする方法ならびにシステムであって、信頼度判定は、i)マイクロチャネル構造(101a)の少なくとも1つの液体検出器セグメントのそれぞれ内で、液体および/または気体がセグメント内で存在するおよび/または存在しないかどうかを認識する期間中に、液体および/または気体の存在および/または不在を判定するステップと、ii)ステップ(i)で発見される液体および/または気体の存在および/または不在がそうあるべきである内容から逸脱している場合、結果に低い信頼度を割り当てるステップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小流体システムにおけるプロセスに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、微小流体装置のマイクロチャネル構造内で実行される実験性能の品質評価方法に関する。さらに、本発明は、信頼度判定方法、微小流体システムのマイクロチャネル構造内の液体検出方法、コンピュータプログラム製品およびコンピュータ使用可能媒体上のコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
「微小流体(マイクロフルーイディック:microfluidic)」という用語は、微小寸法、たとえば、約500μmなどの約0.1μm〜約1μm(奥行きおよび/または幅)の少なくとも1つの断面積を有するチャンバおよび/またはチャネルを備えるシステムまたは装置、あるいはそのチャンバおよび/またはチャネルのネットワークを指す。その用語は、μl−範囲の液体体積(アリコート:aliquot)がネットワーク内で移送されるという事実も指す。μl−範囲はnl−範囲とピコリットル(picolitre)範囲とを含む。少なくとも1つのアリコートは、たとえば、分析物および/または試薬から選択された少なくとも1つの反応物を含む。更には以下を参照のこと。
【0004】
微小流体基板および/または装置は、フォトリソグラフィ、湿式化学エッチング、射出成形、型付け、およびその他の半導体業界で採用される手法と類似の手法を用いて作製される場合が多い。その結果生じる装置は、サンプル内の様々な分析物の特徴検査を含む各種高度な化学的および生物学的実験、精製実験などの分離実験、ならびに生物有機化合物などの有機および/または無機化合物の合成実験を実行するのに使用することができる。
【0005】
微小流体分析システムは、従来の化学的または物理的実験手法を越える利点を多数有する。たとえば、微小流体システムは、通常、ナノリットル、さらにはピコリットル程度のサンプルを利用して、微小なサンプル寸法を分析するのに特に適している。微小流体装置は比較的低コストで製造でき、同じ微小流体装置上での混合、分注、弁での調整、反応、検出、電気泳動などの多数の分析動作を実行するようにチャネルを配置することができる。微小流体システムおよび装置の分析性能は通常、ネットワークチャネル、反応チャンバなどの数や複雑度を増すことにより向上する。
【0006】
最近、フロー制御や、サンプルとサポートする分析構造間の物理的相互作用などの一般的分野で大きな進歩が見られる。
【0007】
フロー制御管理は、(たとえば、界面動電フローや電気泳動分離を低減および/または制御するために)電圧、電流、または電力の基板へのパターン化適用を含め、様々な機構を利用することができる。あるいは、差圧、音響エネルギーなどを印加して、機械的に液体フローを促してもよい。所望の化学的および/または生物学的相互作用を促進するため、選択的加熱、冷却、露光もしくはその他の放射、またはその他の入力を、基板に関して配分された選択位置に提供することができる。同様に、光やその他の放出物、電気/電気化学信号、およびpHの測定値を微小流体装置から取り出し、たとえば、分析結果を提供することもできる。こうした各分野での研究の進歩に伴い、チャネルの寸法は次第に減少し、チャネルネットワークは複雑性を増し、微小流体システム全体の性能は大幅に向上してきている。
【0008】
微小流体技術/装置は、化学的および生物学的検査およびプロセスを小規模に統合および実行できるように、少量の液体を制御し移送することができる。微小流体とは、掌に収まるほど小さな「チップ(chip)」で複数の「実験」を実行可能にする、化学的および/または生物学的分離、合成、および検査手法の小型化である。少量の溶媒、サンプル、および試薬はチップ上の細いチャネルを通じて操向され、そこで電気泳動、蛍光検出、免疫検定、またはほぼ任意の古典的な実験方法などの手法を用いて混合および分析される。
【0009】
今日、様々な点で異なる多数の製品が入手可能である。実験チップは、プラスチック、ガラス、石英、またはシリコンからですら製造することができる。流体は、遠心力、毛管力、機械的圧力または真空ポンプによって、慣性力によって、あるいはいくつかの電気的方法のうちの1つによって駆動させることができる。流体フローは、機械バルブ、毛管バルブ、表面張力、電圧勾配、または電磁力によってチップ周辺を迂回させることもできる。
【0010】
遠心力を用いて流体を駆動する手法では、微小流体装置は通常、スピン可能なディスクである。このようなディスクは好ましくは円形で、通常は従来のCD(直径が約12cm)と同じ物理的フォーマットを有するものか、あるいは矩形である。スピン軸に対して内側の位置に配置される液体サンプルは、ディスクが回転するときに生じる遠心力によって外側の位置に移送され、高度な動電的または機械的ポンプ構造を設計する必要がなくなる。毛管力の利用によっても、液体を容易に外側位置から内側位置へと移送することができる。
【0011】
以下の説明から明確になるように、本発明は、回転可能な、普通はプラスチック製の「ラボオンチップ(lab on a chip)」と呼ばれることの多いディスクまたはCDに形成される微小チャネルに基づく微小分析システム(に限定はされないが)に特に適用可能である。そのようなディスクは、少量の流体を含む分析および/または分離、無機及び有機化合物の合成を実施するために使用することができる。コスト削減のため、ディスクは1種類のみの試薬/反応物または流体を伴う使用に限定されず、様々な流体および反応物とともに作用できることが望ましい。
【0012】
さらに、このディスクによって、サンプルの調合中、ユーザがディスクを修正せずに所定量の所望の組み合わせの流体またはサンプルを分配できることが望ましい場合が多い。回転可能なディスクに設けられる流体用の適切な微小分析チャネル構造は、たとえば、特許文献1−3(Gyros AB)、特許文献4−7(Gamera)、特許文献8−9(Abaxis)などに記載されている。液体移送ステーションは、少なくとも1つのサンプルまたはその他の所定の液体アリコートを、サンプルおよび試薬ステーションからたとえばスピン可能なディスクの形状の微小流体装置に1度に移送するロボットを有する。ステーションは液体サンプルの移送手段を有し、その他の液体、たとえば、シリンジポンプ(syringe pump)に接続される多数の注射針、または多数のソリッドなピンをサンプルの移送のために使用することができる。上記針とピンとは、両方向の先端間の距離が異なる様々な数の行と列とを成すように構成することができる。たとえば、特許文献4(Gamera)、特許文献10(Aclara)、およびGyrolab Workstation(Gyros AB)で使用される分配システム(特許文献11(Gyros AB)に要約)を参照されたい。別の選択肢は、特許文献12に記載される微小ディスペンサ、および特許文献13(Alexion)、特許文献14(Gyros AB)に記載される分配システムなどがある。
【0013】
微小流体ディスクは様々な設計が可能で、製造工程および/または用途により個々に異なってよい。該ディスクは、ディスク表面の任意部分、たとえば、後述する液体流入口、検出領域、液体検出セグメント(segment)などの各マイクロチャネル構造の重要部分の位置座標をそれに対して与えることのできる定位置マークを備えていてもよい。円形ディスクの場合、これらの座標は定位置マークに対する角度位置、および対称軸(スピン軸)の周辺またはディスク上のその他の任意固定位置に対する半径位置であってもよい。たとえば、特許文献15−16(Gyros AB)などを参照されたい。
【特許文献1】国際公開第0146465号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02074438号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02075312号パンフレット
【特許文献4】国際公開第9721090号パンフレット
【特許文献5】国際公開第9853311号パンフレット
【特許文献6】国際公開第0079285号パンフレット
【特許文献7】国際公開第9828623号パンフレット
【特許文献8】米国特許第675296号明細書
【特許文献9】米国特許第5693233号明細書
【特許文献10】国際公開第0119518号パンフレット
【特許文献11】国際公開第02075775号パンフレット
【特許文献12】国際公開第9701085号パンフレット
【特許文献13】米国特許第6338820号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2003/00965402号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2003/0054563号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2003/0094502号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
最良の状態では、分析工程は、どのように設計されたかに応じて機能する。しかし、工程は、サンプル組成、試薬挙動、洗浄手順などの変動により生じる可能性のある検査の異常挙動に敏感である場合がある。異常な結果がどのようにして発生するかに関する知識とその原因とが、そのようなエラーを特定し、最終結果を可/不可とする可能性を生じる方法を学ぶためにも使用できる。よって、データ生成工程における有意な特徴を判定することにより、結果が基準に従い生成されたものであると思われるかどうかを判別することができるだろう。変に思われる結果は、基準外れの質のため目印を付けておく必要がある。
【0015】
どの分析手順も、その後の判断を要求される、あるいは必要とする情報を生成する目的で実行される。有用であるためには、情報は特定の品質目標を満たす必要がある。低品質な検査は有益な情報を生成するのに数回の繰り返しを要し、顧客(カスタマ:customer)にとっては実行するのにコストが嵩む。
【0016】
信頼値は通常、データ信頼性の測定値、および結果がどのくらい予測される完全な結果に近いかに関する予想、たとえば、各検出領域での信号分布がどのくらい予測される結果に近いかに関する予想である。分析工程に対する高い信頼値は、データ結果の品質と信頼性の高さを示す。逆に、低い信頼値は品質が低く、特定の工程または実験から得られるデータが、工程での1つまたはそれ以上の障害に応じて容認不能であることを示す。微小流体装置のマイクロチャネル構造の検出領域において測定された信号の分布から得られる結果に対して信頼値を割り当てる方法は、国際特許出願PCT/SE2004/01066(Gyros AB)に記載されている。
【0017】
本明細書に引用されるすべての特許および特許出願は、言及することにより全文が本明細書に組み込まれる。
【0018】
(発明の概要)
本発明者は、液体の取扱が常に予めプログラムされたプロトコル(protocol)に従い行われるように確保される微小流体システムを構成することが困難で費用がかかることを認識していた。これは、液体の微小流体装置への分配、および装置の個々のマイクロチャネル構造内での液体の移送にも当てはまる。
【0019】
したがって、微小流体装置内で実行される、あるいは実行された実験の遂行の質を保証することは難しい。液体の取扱に失敗する場合、得られる結果は信頼できず、大抵は放棄されるか、場合によっては低い信頼値を割り当てられるべきである。
【0020】
したがって、不適当な液体の取扱は普通、結果の信頼度を低下させるため、実際の液体の取扱に基づく実験の質は実験に対して得られる結果の信頼度の判定に際しても使用することができる。
【0021】
本発明の目的は、微小流体システムにおける1つまたはそれ以上の生物学的および/または化学的反応を含む実験の遂行の質を評価する方法を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、微小流体装置のマイクロチャネル構造内で実行される実験の液体取扱の質を評価するために、微小流体装置のマイクロチャネル構造の1つまたはそれ以上の所定のセグメント(液体検出セグメント)における液体検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
これらの目的は、請求項1による方法、請求項22によるシステム、請求項41によるコンピュータプログラム製品、および請求項42によるコンピュータプログラムによって達成される。
【0024】
本発明の別の変形は従属請求項に提示される。
【0025】
主要な特徴の1つは、液体および/または気体が、使用されたマイクロチャネル構造の選択セグメントに存在するか、しないかを正確な時点で判定することである。
【0026】
本発明で最も大きな利点の一つは、液体の取扱の失敗による個々の実験の不要な繰り返しを最小限に抑えられることである。これは、実験を何回も繰り返す代わりに、本発明では、液体の取扱に失敗した実験結果を容易に特定し、目印を付ける(フラッグを立てる)ことにより、失敗した実験の結果をさらなる検討から除くことが簡単になるのを意味する。微小流体装置が、複数のマイクロチャネル構造における複数の実験の開始後、液体分配のコンピュータ/ソフトウェアベースでの自動化、およびマイクロチャネル構造内での液体の移送と組み合わせて、後述するように複数のマイクロチャネル構造を含む場合、この利点は最大になる。この状況での自動化は通常、実験結果の検出および表示にも及び、実験性能の品質評価および少なくとも低品質の実験のフラッグを立てることを好ましくは含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、微小流体システムに関する。
【0028】
様々な微小流体システムが既知である。ある種類のシステムは、コントローラユニットと微小流体機器とを備える。このようなシステムはスタンドアロンシステム(Stand Alone System)と呼ばれる。各システムは独自のデータを有し、完全に独立して機能する。システムとの交信は、関連付けられるパソコン(PC)で実行することができる。
【0029】
別のシステムは、共通の永続的な記憶場所、たとえば、データベースを加えた機器群とみなすことができる。多くの機器は、同一のデータセット(方法データ、微小流体データなど)に基づき動作することができる。システムとのすべての交信は、コンピュータに接続される機器であるコントローラで行う必要がある。この第2のシステムは、分散データベースソリューションと呼ばれることが多い。
【0030】
第3のソリューションである分配ソリューションでは、システムは機器、共通の永続的な記憶場所(データベース)、および多数のクライアントの群としてみなされる。このソリューションでは、上記分散データベースソリューションの場合と同様の機能が達成される。さらに、コンピュータに接続される非機器からシステムに交信する可能性がある。追加に提供される機能の例は、
−機器の遠隔モニタリング、
−機器特有でない機能(開発方法、処理データの評価など)の実行
である。
この第3のソリューションでは、遠隔で、すなわち、コンピュータに接続される非機器からの処理(開始、休止、中止)を制御することができる。
【0031】
オペレータ/ユーザは、コントローラから微小流体機器の遂行を制御し監視することができる。微小流体機器は、多数の異なるステーションを備え、各ステーションは1つまたは複数の定義された動作を実行することができる。各種微小流体機器は各種ステーションまたは多数のステーションから成る。したがって、いくつかの動作は、ある種類の微小流体機器では提供されない、あるいは適用可能ではない。
【0032】
動作はコントローラから始動される。
【0033】
図1は、
a)コントローラ110としても示される制御ユニットと、
b)1つ又はそれ以上の以下のアイテムと、
i)サンプルおよび試薬ステーション130、
ii)液体移送または分配器を洗浄する洗浄ステーション140、
iii)液体サンプルを微小流体装置に移送する液体移送ステーション150、
iv)微小流体装置内の液体の移送を実行する、少なくとも1つのステーション160、例えばスピナステーション(spinner station)、
v)セグメントを含むマイクロチャネル構造内での適切な液体の取扱の表示として、液体相および/または気体相の存在/不在を検出する液体検出器ステーション175、ならびに
vi)マイクロチャネル構造と関連付けられる検出領域を介して微小流体装置のマイクロチャネル構造で実行される実験の結果を反映する信号を回収する検出器ステーション170、
を有する機器120と、を備える微小流体システム100の概略を示すブロック図である。
ステーションのいくつかは互いに一体化させることができる。たとえば、液体検出器ステーション175は通常、装置内で液体移送を実行するステーションおよび/または検出器ステーション170と一体化させることができる。本発明による機器は少なくとも、液体検出器ステーション175と液体移送実行ステーション160とを備える。円形および/または回転可能な微小流体装置の場合、液体検出器ステーション175および/または検出器ステーション170はスピナ/回転機能を組み込むことができる。
【0034】
検出器ステーションに集められる信号は通常、放射線である。
【0035】
コントローラ110は、機器外の1つまたはそれ以上のコンピュータおよび/または機器内の1つまたはそれ以上の中央処理装置であってもよい。コントローラは、導体またはデータバス180を介して機器120およびその様々なステーションに接続され、動作命令は通常、ステーション間に配分されるハードウェア回路に対して、電気信号または光学信号として伝送されるか、あるいは適切な所定のプロトコルに含まれる。
【0036】
コントローラは様々な制御手段、例えば、オペレータのインタフェースを有する電子的なプログラム可能制御手段を備えることができる。さらに開示されないが、ソフトウェアを、
(i)上述の液体検出器セグメントにおいて液体相および/または気体相の存在または不在を検出すること、および/または
(ii)上記検出領域を介して実験結果を表す信号を収集すること、
を制御するために使用される検出器アレンジメントに割り当てることができる。
【0037】
これらの制御手段は、
a)利用される検出原理が放射を必要とする場合に放射する、および/もしくは所望の信号を収集するために1つまたはそれ以上の開始/停止位置の対(装置が回転可能および/または円形である場合、角度および/もしくは半径)を認識する、
b)液体取扱の失敗を検出するために使用される上記セグメントの場合のように、検出領域内の個々の副領域またはディスク面内の別の場所を特定する、
c)微小流体装置と検出ヘッドとの間の相対的運動、たとえば、微小流体装置の同時回転や、上述の2つの検出器アレンジメントのいずれかと関連付けられる検出ヘッドの増分横方向/放射方向移動(装置が回転可能および/もしくは円形である場合)を制御する、
d)検出領域/検出マイクロキャビティ/液体検出セグメントから信号データを収集する、
e)収集データを処理し表示する、ならびに/または
f)特定の角度位置が、検出ヘッドの対物レンズの前にある時間を回転速度(装置が回転可能な場合)から判定する
際に利用することができる。
【0038】
機器の様々な部品はコントローラ110と通信可能である。好適な変形例では、たとえば、検出器ステーションが特許文献15(Gyros AB)による場合、コントローラはディスク面の異なる予め選択された部分からの信号を連続的に収集するように検出ヘッドに指示する。通常、コントローラは、意図する検出領域/液体検出セグメントの前の位置で信号の収集を開始し、同じ検出領域/セグメントの後の位置で収集を終了するようにプログラムされる。収集された信号が放射を要する場合、検出器アレンジメント/ヘッドまたはその他の手段を放射のために設ける必要もある。それは、蛍光、吸光、反射などが測定される場合である。後者の場合、さらに制御手段は、放射の開始および停止位置の設定を定義する必要もある。これらの後者の設定は通常、信号の収集の場合と本質的に同じである。
【0039】
実験結果または液体検出セグメントにおける液体および/または気体の存在を示す信号を収集するための開始および停止信号は、好ましくは、微小流体装置内の位置に直接関連し、その位置で信号の収集がそれぞれ開始および終了される。これは、システムに内在する、あるいは予め設定される場合のある遅延を考慮に入れることを含む。すなわち、検出ヘッドが開始および停止位置の正面に位置する前に、開始および停止信号を始動させなければならない場合がある。微小流体装置が円形および/または回転可能である場合、スピナ機能内の角度調整システムはエンコーダを含むことができ、開始位置および停止位置に対応するエンコーダ信号が、信号を収集する期間を定義するのに使用される。もしくは、信号を収集する開始および停止は、予め設定される回転速度と関連付けられる、すなわち、コントローラは、開始および停止位置が検出ヘッドの正面にあるべき時間を予め設定される回転速度から算出する。
【0040】
さらに、現システムはサンプルと、サンプル,試薬またはその他の液体を保管する手段を有する試薬ステーション130と、を備えている。サンプル,試薬またはその他の液体は、マイクロプレートまたはマルチウェル(multiwell)プレート、試験管ラックまたは試験管などの容器に保管される。このプレートは、小型の容器またはウェルのマトリックスとして設計される。プレートはウェルの数に応じて様々な寸法を取ることができる。容器は、たとえば、円形の回転プレートである、いわゆる円形コンベアなどの容器ホルダに緩やかに固定される。
【0041】
液体移送ステーション150は、少なくとも1つのサンプルまたはその他の所定の液体アリコートを、サンプルおよび試薬ステーション130からたとえばスピン可能なディスクの形状の微小流体装置に1度に移送するロボット150aを有する。ステーションは液体サンプルの移送手段を有し、その他の液体、たとえば、シリンジポンプに接続される多数の注射針または多数のソリッドピンをサンプルの移送のために使用することができる。当該針およびピンは、両方向の先端間の距離が異なる様々な数の行と列とを成すように構成することができる。他の選択肢は「発明の背景」の部分で説明している。
【0042】
上記針およびピンは、サンプルと試薬との移送間に洗浄液で洗浄してもしなくてもよい。洗浄は、洗浄ステーション140に配置される手段によって行われる。
【0043】
微小流体装置に分配される液体は、液体移送実行ステーション160に関連付けられる手段によって装置内に移送される。このステーションは、微小流体装置がスピンによって生じる液体移送を可能にするように適応される場合、スピナステーションであってもよい。微小流体装置内で実行される工程の結果は、検出器ステーション170に配置される検出手段(検出器)を用いて判定される。
【0044】
検出器ステーション170のアレンジメントは、実験結果を反映する信号を測定するように適応される。信号は通常、微小流体装置の面上の検出領域を介して測定され、典型的にはマイクロチャネル構造の一部である基礎の検出マイクロキャビティから得られる。有用な検出器機構は特許文献15(Gyros AB)に記載されており、
(a)焦点領域を有する検出ヘッドと、ディスクホルダ上にディスクが置かれたときに、検出ヘッド、すなわち、焦点領域がディスク面を横断することを可能にする手段に連結されるディスクホルダと、
(b)特定の時間、焦点領域によって覆われる部分領域の位置を認識し、円形および/または回転可能な微小流体ディスクのために角度調整の部分を備える調整システムと、特定の時間、焦点領域によって覆われる部分領域の半径位置を認識する任意の半径調整システムと、および
(c)以下を制御するコントローラ、たとえば、ソフトウェアを有するコンピュータと
を備える。
(i)微小流体ディスク/装置の検出領域を含む区域、たとえば、円形および/または回転可能なディスクの環状区域に焦点領域を横断させる装置と、
(ii)区域の検出領域のうち少なくとも1つ内で、焦点領域とほぼ同寸法の個々の小領域から予め選択された方法で信号を連続的に回収する検出ヘッド。
【0045】
図1に示されるように、各ステーションはコントローラ110に接続され、いくつかの動作によりコントローラ110から制御および監視される。ソフトウェア動作は、以下の機能を達成するために実行されるハードウェア命令の論理群として定義される。
−液体の移送の実行、たとえば、装置が液体の流れを促すためにスピンさせることが可能なディスク状である場合は装置のスピン、
−特定の共通分配チャネルまたは特定の微小構造へのサンプルの移送、
−特定の共通分配チャネルまたは特定の微小構造への試薬の移送、
−微小流体装置の位置決め、
−特定の期間における微小構造内の特定位置での液体の培養、
−検出、すなわち、微小流体装置内で実行される方法の結果、あるいは上述されるように1つまたはそれ以上の予め選択された液体検出セグメント内の液体相および/または気体相の存在および/または不在の検出。
【0046】
動作はいくつかのステップから成る。1つのステップは、スピン動作中の傾斜など、分離不能な命令である。1セットは、これらの動作を所望の順序でまとめることにより構成することができる。そのようなセットは方法と定義され、機器内で実行されるすべての部分を制御する。その方法は、微小流体装置の種類を規定し、1セットの行為、動作を定義する。機器外のステップ、たとえば、方法が細胞の培養に関連する場合は一定温度での培養など、を実行するための休止も規定することができる。
【0047】
図2は、本発明による微小流体システム(回転可能な微小流体装置)内のスピナ機能とともに配置される液体検出器ステーションを示す。典型的な変形例では、ディスクホルダ205を担持する回転可能なシャフト204を有するモータ203(たとえば、スピナ)が、フレーム構造213に支持される。モータ203は、たとえば、60rpm超など0〜15、000rpmの間隔内で変更可能な回転速度を制御する。ディスク201の回転は段階的であってよい。ディスクホルダ205は好ましくは、ディスクを載置できるプレートである。ディスクホルダは、外周にディスクを保持する装置であってもよい。好適な変形例では、ディスクは、ディスクに面するプレート側を介して印加される真空によってホルダ上に保持される。たとえば、米国特許出願公開第2003/0082075号(Gyros AB)および米国特許出願公開第2003/0064004号(Gyros AB)を参照されたい。液体検出セグメント内の液体/気体の検出に使用される方式に応じて、液体検出器ステーションは液体検出セグメントに物理的に直接接触するセンサユニット175、たとえば、液体検出ヘッド(放射線に基づく検出方式)またはセンサ(図示せず)(導電等に基づく検出方式)を備えることができる。
【0048】
原則的に、a)液体相と気体相とを判別し、および/またはb)微小チャネル内の液体メニスカス(meniscus)を検出することのできるいずれの種類の検出方式でも使用することができる。本発明の文脈では、「メニスカス」という用語は、微小流体装置内のあらゆる種類の気体相と液体相との境界面を含む。典型的な検出方式は液体相と気体相との差異、たとえば、不可視光、可視光、またはその他の放射線の導電度、吸光度、または散乱、光の放射、反射率の差などに基づく。たとえば、米国特許第6444173号(Orchid)(導電度の差)、米国特許第6774616号(EppendorfおよびAgilent)(反射率)、国際公開第03102559号(Gyros AB)(表面プラズモン共鳴/反射率)、およびその他多くの文献を参照されたい。最も興味を引く方法は、1つまたはそれ以上のマイクロチャネル構造の1つまたはそれ以上の液体検出セグメントを1度に撮像する画像検出装置である。他の選択肢は、微小チャネル構造の関連液体検出セグメントの拡大と結びつく場合のある視覚検査である。上記の差異は、塩、吸光溶質、蛍光溶質、微粒子などの適切な薬剤の添加によって、使用される薬剤が実験そのものおよび実験結果の測定に混乱をきたさないことを十分考慮に入れた上で増幅させることができる。
【0049】
国際公開第031002559号(Gyros AB)に記載のシステムでは、液体検出セグメント内の液体および/または気体の存在/不在を検出する方式と同様に、検出マイクロキャビティから実験結果を測定する方式が使用される。そのシステムは、液体検出器ステーションのセンサユニット175を検出器ステーション170と高度に一体化する可能性を示す。
【0050】
画像検出/記録ステップは、検出素子(デジタルビデオカメラ、ウェブカム(webcam)など)に入射する放射光から始めて、デジタルフォーマットで直接画像を生成できるセンサユニット内の検出ヘッド装置と、対応アナログ画像を処理することによりデジタルフォーマットで画像を取得可能な適切なコンバータと関連付けられるセンサユニット(たとえば、テレビカメラまたはビデオカメラ)内のアナログ検出装置との両方を用いて実行することができる。画像検出は他の技術と比較して、製造コストが低く、テレビカメラに必要な機能をすべて同じチップに統合可能であり、消費量が少なく、高動力および高取得速度を有するC−MOS装置を用いて実行可能である。液体検出ヘッド装置は、比較的高い解像度を有する必要がある。
【0051】
液体検出器ステーションは、システムのコントローラ110の一部であるコントローラ機能とも関連付けられる。このコントローラ機能は、以下の任務(タスク:task)のうち1つまたはそれ以上のタスクのために使用することができる。
1)実験プロトコルの所定のステージで特定の微小チャネルセグメントとの調整および/または該微小チャネルセグメント内での測定の制御。所定のステージは、液体が上流位置からセグメントに入る直前、途中、直後、および/または液体移送がセグメントから実行される直前、途中、直後のいずれであってもよい。
2)実験プロトコルから予想されるものと測定結果との(液体相/気体相の存在もしくは不在および/またはセグメント内の液体メニスカス)との関係付け。
3)液体の取扱に失敗した場合、実験を低品質実験としてフラグを立てる。この制御機能部分は、当該実験の結果が破棄される、および/または低信頼度を割り当てられることを含んでもよい。
【0052】
システムは、微小流体装置またはディスクの所定の位置が針または検出器対物レンズの正面にあるときを判定する位置決め装置(図2では209で示される)を含む必要がある。様々な位置決め装置が市場で既知である。回転可能な微小流体装置の場合、エンコーダ、絶対位置エンコーダなどがある。簡単だが正確さに劣る代替案は、所定の回転速度および、所定の位置と定位置マークとの間の角距離(すなわち、所定の回転速度と角度位置の座標)から必要な時間を演算する演算手段を含むことである。この種の計算手段はコントローラに関連付けることができる。矩形の非回転微小流体装置の場合、従来のX−Y位置決め装置を使用することができる。
【0053】
回転可能な微小流体装置における液体の分配や検出領域からの放射の検出などのために上記の種類の位置決め装置を使用することは、Gyrolab Workstation(Gyros AB、Uppsala Sweden)で利用されている。例えば、特許文献16(Gyros AB)、特許文献15(Gyros AB)を参照されたい。ラベル表示された検出領域とラベル表示された液体流入口とを組み合わせて、位置決め機能を有する検出ヘッドおよび分配ヘッドを使用する代替の変形例が、特許文献13(Alexion)および国際公開第9609548号(グラスゴー大学)に記載されている。
【0054】
絶対エンコーダは、ディスクが回転している間、定位置マークからの角距離を漸進的に与える位置決め装置である。
【0055】
図2の位置決め装置209は通常、モータ203、シャフト204、およびディスクホルダ205に関連付けられ、コントローラの位置制御手段に接続される。位置決め装置を直接ディスク201と関連付けることによって、最も正確な位置判定が達成されると思われる。この種の位置決め装置は通常、シャフトの各回転を>10000、>20000、または>30000などの、解像度グレードとして示される多数のグレード、たとえば>5000に分割する。位置決め装置は、定位置マーク検出器の正面にあるディスク部分の角度位置座標を±0.1度または±0.01度以内などの±1度の精度および解像度で(1回転あたり360度を前提とする)与えることができる必要がある。必要とされる精密な精度はディスクサイズ、検出領域の半径位置、必須の感度、検出領域の寸法などに依存する。
【0056】
コントローラ110の位置制御手段220は、位置決め装置209の種類に依存する位置信号Pを用いて結線215上で各種データを送受信する。位置決め装置が各解像度グレードに対してパルスを生成するエンコーダである場合、位置制御手段は開始位置または定位置に対するディスクの現在位置を示すパルス合計値を記録するパルスカウンタと、検出器とを備える。位置決め装置が絶対エンコーダである場合、位置制御手段は開始位置または定位置からの角距離の絶対測定値を送受信する。いずれにせよ、コントローラの位置制御手段は、位置決め装置を制御することができる。位置制御手段は所望の位置を設定し、位置決め装置に所望の値を送信し、位置決め装置はその位置を受信して、所望の位置にディスクを設定するようにモータ203、シャフト204、およびディスクホルダ205を制御する。
【0057】
液体検出ヘッドの位置決め装置に関する上述のことは適宜、検出器ステーション170の検出ヘッドや液体移送ステーション150などにも適用される。
【0058】
図3は、本発明の様々な態様で使用可能な微小流体装置のマイクロチャネル構造のサブセットを示す。各装置は、液体のアリコート(=液滴)が移送および/または処理される複数のマイクロチャネル構造を備える。この状況での複数とは、1つの装置につき>5、たとえば、>25、>50、または>100のマイクロチャネル構造を意味する。上限は1つの装置につき200、たとえば、400または1000のマイクロチャネル構造であってよい。
【0059】
装置は通常、1つまたはそれ以上の面に配向するマイクロチャネル構造を有するディスクの形状をとる。内部が別々の流入および/または流出開口部および/または孔を介して周囲大気と接触するという意味で、構造は密封されている。
【0060】
微小流体装置のマイクロチャネル構造(101a〜hの各々)は下流方向に:
a)流入機能(構造101aに関しては102+105a+105b+103a)、
b)反応マイクロキャビティ(104a)、
c)検出マイクロキャビティ(104a)、および
d)流出機能(113a+115a+112)
を備える。
【0061】
流入機能(102+105a+105b+103a)は、マイクロチャネル構造(たとえば、101a)に液体を導入するために必要である。流入機能は1つまたはそれ以上の物理的に分離された流入アレンジメント(IA)を主に有し、各流入機構が少なくとも1つの流入口、および典型的には1つまたはそれ以上の量規定ユニット(108a〜hまたは102)も含む。各量規定ユニット(マイクロチャネル構造(101a)の場合)は、
i)少なくとも1つの量測定マイクロキャビティ(121a、106a)と、
ii)上流方向で流入口(105a〜b、107a)と連通し、下流方向で量測定マイクロキャビティ(121a、106a)と連通する少なくとも1つの流入マイクロコンジット(122a〜b、123a)と、
iii)量測定マイクロキャビティの流出端に接続される流出マイクロコンジット(122a〜b、126a)と、
iv)典型的には、廃棄機能に余分な液体を排出するマイクロコンジット(122a〜b、124a)(溢れマイクロコンジット=超過マイクロコンジット)と
を備える。
【0062】
図3は、2種類の流入アレンジメント(IA)を示す。1種類目(たとえば、103a)は、サブユニットi〜iv(それぞれ、121a、123a、126a、124a)を有し、下流方向で単独のマイクロチャネル構造(101a)と上流方向で単独の流入口(107a)と連通する量規定ユニット(たとえば、108a)を備える。2種類目(102)は、複数のマイクロチャネル構造(101a〜h)に共有される。8個の量測定マイクロキャビティ(106a〜h)を有する量規定ユニット(102)であって、各量測定マイクロキャビティは、下流方向でマイクロチャネル構造(101a〜h)に、上流方向で量測定マイクロキャビティ(106a〜h)の全部に共通する2つまたはそれ以上の流入マイクロコンジット(122a,b)に連通する流出マイクロコンジット(それぞれ、126a〜h)を備える。図3に示されるように、量規定ユニットの流入マイクロコンジット(122a〜b)は、少なくとも1つの量測定マイクロキャビティ(106a〜h)に対する溢れ(オーバフロー)マイクロコンジット(=量規定ユニット(102)に対する溢れマイクロコンジット)としても機能するという意味で、2重の機能を有することができる。
【0063】
各マイクロチャネル構造は、1つまたはそれ以上の反応マイクロキャビティ(104)(=反応区域)、1つまたはそれ以上の検出マイクロキャビティ(104)(=検出区域)、およびこれらの部分を互いに接続するマイクロコンジットを備える。様々な種類の構造ユニットは、マイクロチャネル構造の反応区域および検出区域も割り込むことができる。従って、反応区域の第1の反応マイクロキャビティには検出マイクロキャビティが続き、次には第2の反応マイクロキャビティが続く。反応は通常、化学的および/または生物学的である。実験結果および/または実験の1つもしくはそれ以上の反応の検出は通常、本明細書の他の部分で説明される検出マイクロキャビティから回収される信号(以下、物理パラメータ値とも称する)から判定される。図3は、反応マイクロキャビティ(104)が検出マイクロキャビティ(104)と一致することができることを示す。別の変形例では、反応マイクロキャビティは通常、検出マイクロキャビティ(図示せず)の上流に配置することができる。
【0064】
マイクロチャネル構造(101a)の流出機能は通常、液体移送中に生成されるとすれば、周囲大気に加圧を逃がす少なくとも1つの流出口(128a)をそれぞれ含む1つまたはそれ以上の流出アレンジメント(OA)を備える。多くの場合、流出口は、構造を通過した液体の出口としての役目も果たす。流出アレンジメントは通常、最も下流のマイクロキャビティ(104a)からの流出マイクロコンジット(113a)、おそらくは流出口、廃棄マイクロコンジット(115a〜h)および/または廃棄チャンバ(112)を含む排気機能なども含む。図3に示されるように、流出アレンジメント(OA)は、複数のマイクロチャネル構造(101a〜h)に共通する部分(112、128a〜h)またはそのような構造(101a)の1つのうちの部分のみ(113a、115a)を備えていてもいなくてもよい。
【0065】
微小流体装置のマイクロチャネル構造内での液状アリコート(液滴)の移送は通常、様々な方法、たとえば、界面動電および/または非界面動電力によって駆動される。後者の力は毛管力、遠心力などの慣性力、流体静力などを含む。マイクロチャネル構造内で、液体アリコートの移送は、閉鎖でも非閉鎖でもよい弁で中断させることができる。閉鎖弁が機械的であるということは、液体の移送が弁を有するマイクロコンジットを物理的に閉じることによって止められることを意味する。非閉鎖弁では、液体アリコートの移送は、マイクロコンジットを閉じずに停止する。通常、非閉鎖弁は、親水性マイクロコンジット内で前進する液体が、マイクロコンジットの断面積の急増および/または疎水性表面の破面箇所で停止させられる、いわゆる毛管バルブである。移送を駆動する力を増加させることにより、液体アリコートが弁を通過し、移送が再開される。「非閉鎖」および「閉鎖」弁は、特許文献2(Gyros AB)で定義されている。マイクロチャネル構造での弁の機能は通常、マイクロキャビティ、マイクロコンジットなどの流出口と関連付けられて含まれる。図3では、弁(110a〜h、109a〜h、127a〜h)は、各量測定マイクロキャビティ(106a〜h、121a〜h)および溢れマイクロコンジット(127a〜h)の流出口に示されている。弁は、別の種類のマイクロコンジットの流入口または流出口内あるいは流入口または流出口において、および/または別の種類のマイクロキャビティ、たとえば、混合マイクロキャビティ、検出マイクロキャビティ、反応マイクロキャビティ、回収マイクロキャビティ、予混合マイクロキャビティ、液体保管マイクロキャビティなどのいわゆる保持マイクロキャビティの流出口においても存在する。たとえば、特許文献11(Gyros AB)、特許文献2(Gyros AB)、特許文献3(Gyros AB)、国際公開第03018198号(Gyros AB)、国際公開第03025498号、米国特許出願第60/557,850号(Gyros AB)、GY60/508.508号(Gyros AB)、2004年10月1日に提出された対応する通常出願、国際特許出願PCT/SE2004/001424号(Gyros AB)、国際特許出願PCT/SE2004/000795号(Gyros AB)、および2004年5月19日に提出された対応する非仮出願(Gyros AB)などを参照されたい。
【0066】
いくつかのマイクロチャネル構造に共通のマイクロコンジット、マイクロキャビティ、流入口、流出口、配分マニホルド、廃棄マイクロコンジットなどは、それらが共通するすべてのマイクロチャネル構造の一部である。
【0067】
「微小チャネル」、「マイクロコンジット」などの用語は、チャネル構造が≦10μm、好ましくは≦10μm(深さおよび/または幅)の断面積を有する1つまたはそれ以上のキャビティおよび/またはチャネル/コンジットを備えることを意図している。マイクロキャビティ/マイクロチャンバの体積は通常、≦1000nl、≦500nl、≦100nl、≦50nl、≦25nlなどの≦5000nlであって、特に検出マイクロキャビティに適用される。マイクロフォーマットは、装置内で移送される1つ、2つ、3つまたはそれ以上の液状アリコートが、μl−範囲の体積、すなわち、≦1000nl、≦500nl、≦100nl、または≦50nlなどのnl−範囲(ナノフォーマット)を含むがそれに限定されない、例えば、≦1000μ、≦100μ、または≦50μなどの≦5000μlの体積を有することを意味する。
【0068】
マイクロチャネル構造で実行される実験は通常、
1.1つまたはそれ以上の液状アリコート(アリコート1、アリコート2など)を流入機能(102+105a+105b+103)に導入するステップと、
2.マイクロチャネル構造(101a)内の1つまたはそれ以上のアリコートを移送し処理するステップと、
3.検出マイクロキャビティ(104)内の実験結果を判定するステップと
を備える。
処理とは、1つまたはそれ以上の化学的および/または生物学的反応が、本明細書の他の部分で定義されるように、少なくとも1つの反応マイクロキャビティ(104)で実行されることを意図する。液体取扱(ステップ(1)および(2))は通常、異なるおよび/または等しい量および/または組成の1つまたはそれ以上の液状アリコートが、同じおよび/または異なる実験のステージで導入されることを含む。移送と処理との間、1つまたはそれ以上のアリコートは、別の量および/または別の組成のアリコートに変換することができる。これは通常、液体アリコート(アリコート1)を、マイクロチャネル構造の流入開口部に分配し、たとえば上述の量規定ユニット/分配マニホルドを用いて1つまたはそれ以上の規定されたサブパート(サブアリコート1、2...)に分けることにより、下流に、たとえば停止または処理される第1の弁位置に移送することを意味する。次に、一部の量(サブアリコート1、2...)を、下流に、たとえば、各マイクロチャネル構造への一部の量とともに、量規定ユニットと連結するマイクロチャネル構造に移送することができる。マイクロチャネル構造内でのさらなる移送は、本明細書の他の部分に記載されるように、マイクロキャビティ内またはマイクロキャビティ下流のいわゆる制限手段によって、液体保持マイクロキャビティの流出口端の弁位置で移送を停止すること、あるいは移送を遅延させることを意味する場合がある。アリコートの移送が停止するたび、固定上側(上流)を、非閉鎖弁で停止している場合は下側(下流)メニスカスも観察することができる。メニスカスの存在および/または不在は、停止が生じる構造ユニットへ、および/または構造ユニットからの移送の失敗または成功の表示として使用することができる。これらの移送停止は工程実験プロトコルによって制御されるため、メニスカスの存在および/または不在は実験の遂行の成功または失敗も示す。これは、液体の存在/不在自体が検出され、本明細書に記載される実験の実行の質の表示として利用されることを排除するものではない。
【0069】
よって、上述の液体検出セグメントは通常、弁を終端とする、マイクロキャビティとマイクロコンジットとを含む構造ユニットを包含する。典型的な例が、液体保持マイクロキャビティや、液体を内部に保持するマイクロコンジットなどである。より具体的な例は、混合マイクロキャビティ、検出マイクロキャビティ、反応マイクロキャビティ、溢れマイクロコンジット、量測定マイクロキャビティ、配分マニホルド、たとえば、上述の各種マイクロキャビティからの、ならびに/または周囲大気への出入口(たとえば、単独気体流出口(孔))もしくは液体および過圧混合流出口への流出マイクロコンジットなどである。上記と特許文献11(Gyros AB)、特許文献2(Gyros AB)、特許文献3(Gyros AB)、国際公開第03018198号(Gyros AB)、国際公開第03025498号、米国特許出願第60/557,850号(Gyros AB)、GY60/508.508号(Gyros AB)、2004年10月1日に出願された対応する通常出願、国際特許出願第PCT/SE2004/001424号(Gyros AB)、国際特許出願第PCT/SE2004/000795号(Gyros AB)、および2004年5月19日に出願された対応する非仮出願(Gyros AB)などを参照されたい。
【0070】
本発明の別の変形例では、アリコートの移送自体が、たとえばメニスカスの移動として検出され、気体相または液体相の存在および/または不在の表示として解釈される。移送が起こる速度は、いくつかの変形例では、実行される実験プロトコルに従って起こるはずの移送速度と比較することができる。次に、その偏差を、実験の遂行の質の評価および/または結果の信頼度の判定における変数として使用することができる。移送それ自体の検出は、液体移送マイクロコンジット、反応マイクロコンジット、およびコンジット/キャビティに保持され、不動の反応物を含む場合のある固体相間で反応が生じる反応マイクロキャビティにおいて使用することができる。後者の場合、固体相自体が、結果としてフローの遅延を招く制限を引き起こすことがある。もしくは、反応マイクロコンジット/マイクロキャビティは制限マイクロコンジットとして機能する、あるいは、流出口端で制限マイクロコンジットに直接連結される。制限マイクロコンジットは通常、制限マイクロコンジットへの入口前に液体アリコートを含むマイクロコンジット/マイクロキャビティ部より狭いおよび/または長いか、あるいは多孔性ベッド、膜、または凸部などの制限手段を含む。多孔ベッドは上述の固体相であってもよい。多孔性ベッドは上述の固体相であってよい。制限マイクロコンジットおよびフローの遅延を引き起こす手段(制限手段)は、GY02075312号(Gyros AB)および国際公開第03018198号(Gyros AB)に詳細に記載される。
【0071】
よって、構造ユニットにおける気体相/液体相の存在/不在、および構造ユニットにおいて液体を満たすことおよび/または空にすることは、リアルタイムで追いかけることができる。構造ユニットが実際の実験プロトコルに従い液体相または気体相を含むべきである所望の時点で比較を行うことができる。異常な偏差は、満たすこと/空にすること/移送がマイクロチャネル構造、特に当該液体検出セグメントに関連付けられる構造の一部において適切に起こっていないことを意味する。また、実験の遂行に失敗したため、このような偏差が手元にない実験と比べて低い品質を有することも意味する。この種の情報は、結果の信頼度レベルの判定のため、すなわち、たとえば偏差が受入不能である場合(失敗実験)には結果に信頼度ゼロを割り当てるために使用することができる。よって、実験は低品質実験および/または失敗と評価することができる。このため、実験結果に低信頼度を割り当てる、および/または得られた結果を単に破棄することが可能となる。同様に、偏差が受入可能および/または非検出可能である場合、実験中の液体取扱に関して高品質と評価されて、得られた結果に高信頼度を(たとえば、0〜1評価で1)(低信頼度を指し示す別の信頼度変数が優先されない場合)与えることができる。
【0072】
液体取扱において発見される偏差の意義は、以下のような移送される種類の液体に特に依存する。
a)洗浄液、
b)調整液、
c)1つまたはそれ以上の反応物を含む液体を希釈する希釈液、
d)当該実験の反応を実行するために使用される1つまたはそれ以上の反応物を含む液体。反応物は分析物と試薬とを含む。したがって、液体検出セグメントで検出されるアリコートは、洗浄アリコート、調整アリコート、希釈アリコート、たとえば分析物(アリコート=分析物サンプル)や試薬(アリコート=試薬サンプル)等の反応物を含むアリコートの中から選択することができる。
【0073】
微小流体システムのコントローラ110は、上記の流入口、キャビティ、セグメントへの針、ピン、または検出ヘッドなどを数μmの精度で制御し、操作できなければならない。コントローラは正確な定位置を有する各ディスクの、様々な流入口、流出口、孔、検出位置毎に精密な位置データを有していなければならない。上記位置データは保管され、コントローラが記憶から検索することができる、もしくは、コントローラが位置データを計算することができる。したがって、ディスク上に正確な定位置マークを高精度で発見することがしばしば重要である。
【0074】
コントローラは、処理される微小流体装置の各マイクロチャネル構造内での液状アリコートの移送を制御することができる。ステップの順番、各種工程ステップの開始および停止時間、液体移送の適切な駆動力の印加などが、コントローラに接続されるデータ記憶媒体からコントローラにより検索可能である。これには、液体−気体境界面(メニスカス)などの、液体検出セグメントにおける液体相および/または気体相の存在および/または不在をチェックするのに適する時間も含まれる。
【0075】
正確な定位置マークを発見し、ディスクホルダに載置される現行ディスク上の精密な定位置を判定する方法は、既に国際公開第03087779号(Gyros AB)に記載されている。上記工程は、「ホーミング工程」と称されることが多い。
「物理パラメータ値」という用語は一般的には、液体相および/または気体相が液体検出セグメントに存在するかどうかを検出するために使用される検出原理に従い測定される信号の大きさ(不在または存在を含む)を指す。
【0076】
マイクロチャネル構造の液体検出セグメントの様々な部分や地点での物理パラメータ値は、コンピュータベースの記憶媒体などの適切なデータ記憶媒体のセグメント指標に保管される。通常、処理される微小流体装置の各マイクロチャネル構造の各液体検出セグメントには、特定の1つのセグメント指標がある。物理パラメータおよびセグメント指標に関しては、以下より詳細に説明する。
【0077】
図2にあるような画像検出器ユニットを備えるセンサユニット175を用いてマイクロチャネル構造内の液体を検出する本発明の方法の様々な変形例を以下説明する。微小流体装置は、図3に示されるようなマイクロチャネル構造を有する円形状である。本発明によると、各マイクロチャネル構造の少なくとも1つのセグメント内で液体検出を実行する、すなわち、液体および/または気体がセグメント内に存在しているかどうかが判定される期間に液体および/または気体の存在または不在を検出するとき、セグメントのために割り当てられたセグメント指標が変更される。各セグメント指標は、微小流体装置のセグメント指標のすべてまたは一部のみを含む指標マトリックスに含まれ、個々にまたはグループで処理することができる。指標マトリックスの寸法は、微小流体装置の各マイクロチャネル構造の各液体検出器セグメントの位置および幾何学的寸法を規定するマスクフィルタに相当し、該マスクフィルタにより定義される。セグメント指標の解像度は、検出ユニットの解像度に依存する。セグメント指標は、多数の物理パラメータ値(解像度の各点、たとえば画素に対して1つの値)、物理パラメータ値のベクトルマトリックス、すなわち、行マトリックスおよび列マトリックス、あるいは単独のパラメータ値(たとえば、1地点または1画素で測定される値)を備えるマトリックスとして表すことができる。液体および/または気体の不在および/または存在を判定するのに使用される方法に応じて、通常は、同一セグメントの複数のセグメント指標、ひいては1つの指標マトリックスが各液体およびサブランを指す複数の指標マトリックスが生成される。セグメント指標は、1つの物理パラメータまたは複数の様々な物理パラメータによっても表すことができる。したがって、セグメント表示パラメータは、液体検出方法に依存する。たとえば、様々な物理的な検出可能な強度を表示パラメータとして選択することができる。画像検出ユニットが使用される場合、表示パラメータとして画素強度を選択することができる。
【0078】
すべての表示マトリックスは、コンピュータ手段や、データプロセッサ、コンピュータ、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、ニューラルネットワークなどのデジタル処理手段と組み合わせたソフトウェアプログラムによって分析される。デジタル処理手段は、マトリックス指標内の各セグメント指標を分析するようにプログラムされ、セグメント指標の変化の度合いに応じて、デジタル処理手段は、ソフトウェアプログラムにおける指示ステップとして実行される信頼度判定手段により格付けされる信頼度を設定することができるようにプログラムされる。デジタル処理手段は自立型ユニットとして実装されても、コントローラ110に含めてもよい。
【0079】
本発明の方法のステップを、図4のフローチャートを参照してより詳細に説明する。最初のステップであるステップAでは、画像検出器ユニットおよび最終照射ユニットを用いて、取り出された微小流体要素から情報(物理パラメータ値)を回収し取得する、すなわち、この場合、定位置n=0において取り出された微小流体装置の全部または一部の背景画像を撮像し記録して、背景画像を背景マトリックスに変換する。背景画像は、画像およびマトリックスデジタルデータ/情報を記憶するために指定されたデータ記憶装置である画像メモリに保管される画素および画素値、たとえば画素強度を備えるデジタル画像である。背景画像は、たとえば、背景光度、背景ノイズなどの背景情報を含み、それらは実験ラン中に同じ微小流体装置の以下の全画像に存在する。
【0080】
以下の説明では、(画素/地点で測定または検出される)強度は、物理パラメータの例として選択される。しかし、他の物理パラメータが本発明の方法では適用可能であるため、強度は限定とみなすべきではない。微小流体装置を特定する任意のステップであるステップabを実行しなければならない。微小流体ディスクの特徴データが既に製造者によって用意され、定位置マークと別の位置、たとえば、円形微小流体ディスクの回転軸との間の、定位置マークまたはラインに関係する、複数のマイクロチャネル構造とその微小流体装置上の位置を含んでいてもよい。各マイクロチャネル構造の流入口の位置を提供する、あるいは計算によって判定することもできる。当該特徴データは、マイクロチャネル構造の様々な部分の寸法データ、角度データ、曲率データなど、またはそれらの部分とその寸法データ、角度データ、曲率データなどを載せた表を参照する識別名のいずれかである、マイクロチャネル構造の設計に関する情報を含む。特徴データまたは識別名は、微小流体装置の各マイクロチャネル構造の少なくとも1つのセグメントおよび対応するセグメント指標を定義する対応マスクフィルタを識別するために使用することができる。マスクフィルタは好ましくは、コントローラ(110)などのデータ処理手段(コンピュータおよび類似装置)に挿入される際、マトリックスアルゴリズムおよびマトリックス処理を扱うことのできるコンピュータプログラムソフトウェアとして実装される。
【0081】
背景画像は、背景マトリックスを生成する上述のマスクフィルタで処理される。背景マトリックスは、微小流体装置の各液体検出セグメントの各画素の強度値を含んでいるだけである。セグメント画素は、微小チャネルのセグメント内の画像領域に属する画素である。マスクフィルタはまた、微小流体装置の画像内の各セグメントの形状、寸法および位置も定義する。図3に定義されるマイクロチャネル構造を含む装置では、これは、液体検出セグメントが、量規定ユニット(108a〜h;102)の少なくとも特定の部分、特に弁位置(109a〜hおよび/または127a〜h;110a〜h)および/または量測定マイクロキャビティ(121a〜h;106a〜h)を含む部分、ならびにおそらくは検出/反応区域(104a〜h)および/または制限マイクロコンジット(113a〜h)のすぐ上流の量に関して定義されることを意味する。マスクフィルタは、検出情報を使用済みマトリックスの正しいアドレスに分配するソート機能を有する。マスクフィルタは、セグメント外の不要な情報をすべて、すなわち、この例では、マイクロチャネル構造のセグメント外の全画素値を削除する。
【0082】
次のステップであるステップBは、反応物を含む液体アリコート、洗浄液、または調整液を、1つの微小流体装置の「実験ラン」に含まれる決定されたマイクロチャネル構造(110a〜h)のそれぞれの所定流入口(107a〜hまたは105aまたはbのそれぞれ)に導入することと、液状アリコートの前部を第1の弁位置(109a〜h+127a〜hまたは110a〜h)に移送することとを備える。図3に示され、出願人によって製造されるタイプの装置は自己吸引により受動的に各マイクロチャネル構造をこれらの弁位置まで満たすことのできる、濡れ性のある内表面を有するため、遠心力またはその他の保持力は必要ではない。次のステップのステップCは論理的には、検出器ユニットおよび最終照射ユニットにより、搭載された(試薬または洗浄液の液体アリコートとともに)微小流体要素から情報を回収および取得し、すなわち、この場合、定位置、n=0において、搭載された微小流体装置の全部または一部の画像を走査、検出、および記録し、上述したように、液体検出セグメントを画定するマスクフィルタによって画像を画像マトリックスに変換することである。円形微小流体装置上にある低位置マークが通過するとき、ラップカウンタは定位置マーク検出器からの各パルスを記録する。ラップカウンタおよび/またはコントローラは、ラップ総計1sumが所定の画像トリガ値Ltrigに等しくなるたびに、カメラなどの検出器ユニットに画像トリガパルス(itp)を生成することができる。当該画像トリガ値Ltrigは、適切な整数値Ltrig=1、2、3、4、5...に予め設定することができる。カメラは各画像トリガパルスに対して、微小流体装置全体の表面の画像を記録する。ラップカウンタがトリガパルスを生成すると、カメラは現行のラップ総計1sumをゼロに再設定する。
【0083】
カメラが画像を記録するたび、画像は画像マトリックスを生成し、セグメントに焦点を当てて不要な画素および画素情報を排除するマスクフィルタを用いて処理される。
【0084】
カメラが画像を記録する時点は、所定の画像トリガ値Ltrigと組み合わせて、適宜データ記憶メモリに記憶されるプロトコル情報を用いてコントローラにより制御される。ステップDでは、現画像マトリックスの全セグメントが、結果として差異マトリックスとなる背景マトリックスの対応セグメントで処理される。差異マトリックスは以下、各セグメントおよびセグメント指標に関する情報の更新を含む更新マトリックスと称される。たとえば、変更され、所定の閾値強度を超える背景マトリックス内の対応画素の画素強度値と異なる、画像マトリックス内のセグメント(セグメント指標)の各画素強度値は、結果として更新マトリックス内でゼロと異なる絶対強度値(常に正)となる。
【0085】
ステップEでは、強度値が時間的に順次記録される画像間の許容可能な強度変動に対応する所定の閾値強度値を超える場合、非ゼロの画素強度値を二値「1」に変換する二値フィルタを用いて更新マトリックスのセグメント指標を処理することによって、二値更新マトリックスが生成される。この変換動作によって、セグメントを通過する検出液体アリコートとは他の理由に依存し、少なくとも1つのセグメント画素での強度変化を招く強度の変動が可能になる。
【0086】
次のステップであるステップFでは、二値更新マトリックスのセグメント指標の二値が、新たな指標マトリックスを生成するモジュロ二加算演算によって、もしあれば、前の画像の生成された指標マトリックスの対応する二値(同一のアドレスまたは位置で)と結合される。第1のラップでは、すべての画素値は二値「0」に予め設定される。
【0087】
実験のサブランが終了すると、新たなトリガまたはitpが生成され、コントローラがステップGを実行して、サブランの結果である指標マトリックスを記憶する。実験ラン全体が終了すれば(はい)、コントローラがステップHで、すべての記憶された指標マトリックスを用いて信頼値の判定と格付けを開始する。各指標マトリックスは実験ランの特定のサブランに関係付けられる。
【0088】
使用される流入口の種類に応じて、最初に導入された液体アリコートはI)配分マニホルド(102)または各量規定ユニット(108a〜h)を満たす。
【0089】
変形例I)では、さらなる移送は、
a)まず、2つの結合された溢れ/流入マイクロコンジット(122a、b)内の余分な液体を2つの結合された流入口/流出口(105a、b)を通じて強制的に排出するには十分だが、出口弁(110a〜h)を通じて量測定マイクロキャビティ(106a〜h)を空にさせるには不十分である遠心力に調整される速度でディスクをスピンさせ、次に
b)量測定マイクロキャビティ(106a〜h)内の液体を出口弁(109a〜h)を通じて強制的に排出するのに十分な速度まで、たとえば短パルスによってスピンを増大させる
ことによって行われる。
【0090】
この2ステップの手順の最後に、液体アリコートは反応マイクロキャビティ(104a〜h)内の多孔ベッドの上に重ねられる。
【0091】
変形例IIは同様に、2つのステップ、a)溢れマイクロコンジット(124a〜h)を空にした後に、量測定マイクロキャビティ(121a〜h)を空にすることを備える。さらに、この変形例では、量測定マイクロキャビティ内の液体が反応マイクロキャビティ(104a〜h)の多孔ベッドの上に重ねられる。
【0092】
最後に、各反応マイクロキャビティ/多孔ベッド(104a〜h)上に重ねられた液体アリコートが所定の速度でベッドを通過し、制限マイクロコンジット(113a〜h)を通じて排出されるように、スピン速度が調整される。
【0093】
ステップ(C)では、液体アリコートが弁位置で停止する、多孔ベッドで速度を落とす、あるいは制限マイクロコンジット(=液体検出器セグメント)を通過するたびに、画像が記録される。画像ごとに、ステップDでは新たな更新マトリックスが生成され、ステップEでは二値更新マトリックスが更新マトリックスから生成され、ステップFでは新たな更新マトリックスがモジュロ二加算によって前の画像からの前の指標マトリックスと結合される。更新マトリックスが対応するセグメント画素位置において「1」を有する場合、二値「1」は変更されず、二値「0」は「1」に変更される。液体アリコートは、セグメント内にとどまらずにセグメントを通過するだけなので、これが必要である。したがって、セグメントに属する画素の強度値は、背景画像の強度値に戻るか、その強度値に極めて近い。二値「1」は指標マトリックスにとどまるため、セグメントの画素位置の二値「1」は、液体アリコートが少なくともセグメントを通過したことを示す。
【0094】
実験のサブランが終了すると、新たなトリガまたはitpは生成されず、コントローラがステップGを実行して、サブランの結果である指標マトリックスを記憶する。実験ラン全体が終了すれば(はい)、コントローラがステップHで、すべての記憶された指標マトリックスを用いて信頼値の判定と格付けとを開始する。各指標マトリックスは実験ランの特定のサブランに関係付けられる。
【0095】
各実験ランは普通、それぞれがたとえば、試薬、洗浄液などの所定の液体の搭載/分配を含む異なるサブランである、多数のサブランを備える。ラン、すなわち、実験が停止されると、すべての指標マトリックスが、信頼度判定ステップであるステップHで信頼度判定手段によって分析される。記憶されたセグメント指標の地点/画素値は、各サブランの記憶された対応指標マトリックスのセグメント指標の対応する地点/画素値のモジュロ二加算により、最終指標マトリックスの最終セグメント指標の最終値に処理される(地点/画素値は、特定の画素または地点で検出および/または判定される、二値、デジタル値、またはパラメータ値を意味する)。指標マトリックス内の全地点/画素位置が二値「1」を含む場合、ランは成功しており、信頼度判定手段はそのサンプルに対して「1」に設定される信頼値を生成する。セグメントに対応する画素位置が二値「0」のみを含む、あるいは二値画素値「1」が明らかにわずかにしか含まれない場合、アリコートは適切に微小チャネルセグメントを通過しなかった。二値「0」の場合、二値「1」が指標マトリックスにおいて全画素位置に対して取得された実験/マイクロチャネル構造と比較して、対応するマイクロチャネル構造で実行される実験の性能は信頼度が低いと評価される。二値「0」実験の結果に対する信頼度は、二値「1」実験の場合よりも低くされ、使用される基準に応じて、対応する液体検出セグメントでの液体取扱の失敗が重大であるとみなされる場合、品質値/信頼値はゼロに設定されてよい。
【0096】
指標マトリックス内の画素位置のいくつかが二値「1」を含み、別のいくつかが二値「0」を含む場合、これは液体検出セグメントに液体相と気体相との両方が存在していることを示す。この場合、液体検出セグメントでの異なる値の分布は、実験遂行の異常および低品質の表示と解釈することも、実験で得られた結果の信頼度を判定するために使用することもできる。指標セグメントでのこのような多様な二値は、溢れマイクロコンジットや量測定マイクロキャビティなどの対応する液体検出器セグメントでの異常を示すことができる。一方、このような多様な二値が反応マイクロキャビティ/多孔ベッド(104a〜h)上の空間に相当する指標マトリックスの部分に存在し、二値1(液体の存在)が下部に、二値0(気体の存在)が上部に選択的に配分される場合、これは、ベッドを通じて実際に生じる流速に従い多孔ベッドを通って下流に移動する液体メニスカスを表す。この種の液体移送間にステップ(C)〜(F)に従い画像を繰り返し撮像および処理することにより、適切なソフトウェアを有するシステムは、各マイクロチャネル構造(101a〜h)の多孔ベッドを介する液体移送の信頼度を判定できると予想することができる。この後者の変形例では、ラップカウンタは画像記録にとって特に有用な可能性が高い。しかし、コントローラ(たとえば、図1の110)は、ラップカウンタを用い、または用いず、実験ランのすべてのステップを制御することができる。
【0097】
上記信頼値/レベルは液体検出信頼値/レベルとして定義することができ、液体検出信頼値/レベルは最終実験信頼値/レベルを判定する同じ実験の別の信頼値と組み合わされる。信頼値の格付けを実行する信頼度判定手段は好ましくは、コントローラ(110)などのデータ処理手段(コンピュータおよびその類似装置)に挿入されると、マトリックスアルゴリズムおよびマトリックス処理を扱うことのできるコンピュータプログラムソフトウェアとして実装される。
【0098】
指標セグメントのうち1つが流入口である場合、代替の調整方法を使用することができる。微小流体装置はその定位置で停止する。すべてのマイクロチャネル構造を備えるデジタル画像は、画像検出器ユニット、すなわち、カメラによって記録され、背景画像に処理される。マイクロチャネル構造の搭載後、ディスクのスピンが開始される前に(ステップB)、新たな画像がステップCで記録される。新たな画像は、開始マトリックスを生成するマスクフィルタで処理される。開始マトリックスは、実験ランで使用されないすべてのマイクロチャネル構造を排除するための背景マトリックスで処理される。これにより、その方法で使用される各種マトリックスの寸法が低減され、画像処理速度が向上する。
【0099】
上述の方法および原理は、画像検出器以外の検出用途と組み合わせる、およびその検出用途において使用することができる。以下、他の検出アレンジメント用に適合された上述の方法の変形を説明する。
【0100】
国際公開第03/102559−A1号では、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく検出器アレンジメントを説明する。検出器アレンジメントは、回転可能な微小流体ディスクと分光検出器ユニットとを備える。微小流体ディスクは、遠心力(スピン)により微小チャネル内の液体移送を駆動するように適合される。したがって、ディスクは、スピン軸およびマイクロチャネル構造と一致する対称軸を有し、各マイクロチャネル構造は下流の機能部よりも短い半径位置の上流機能部を有する。ディスクは、マイクロチャネル構造の少なくとも一部に検出マイクロキャビティ(DMC)があることと、各DMCが内壁上のSPR面とSPR面からディスク面に延在する検出ウィンドウとを有することで特徴付けられる。上述の検出器アレンジメントおよび微小流体ディスクは、a)DMCの1つまたはそれ以上における液体相および/もしくは気体相の存在もしくは不在、ならびに/またはb)DMCの1つまたはそれ以上で存在する液体内に存在する分析物の特徴を判定するために使用される。液体相および/または気体相の存在または不在の検出に使用される検出マイクロキャビティは、本発明に記載される微小チャネルの液体検出セグメントに匹敵する。
【0101】
微小流体要素内の液体を検出するシステムが、Huhnらによる米国特許出願公開第2002/0145121 A1号に記載されている。その要素は、移送領域の微小チャネルに対面する、鋭角で互いに向かって傾斜する2つの表面を有する制限壁を含む少なくとも1つの微小チャネルを有する。該システムはフォトトランスミッタおよびフォトレシーバをさらに含み、フォトトランスミッタおよびフォトレシーバは要素外に配置されていて、気体が2つの面上の微小チャネルで待機する場合、フォトトランスミッタにより放射される光線がフォトレシーバに衝突し2つの面の総反射を追い、液体が微小チャネルで待機する場合、光線が2つの面のうち少なくとも1つで微小チャネルに入る結果、フォトレシーバへの光の入射が低減あるいは制止されるように、制限壁の透明領域において傾斜されている面である。
【0102】
上述の既知のシステム(国際公開第03/102559−A1号;米国特許出願公開第2002/30145121−A1号)では、検出器ユニットはマイクロチャネル構造の1つまたはそれ以上の液体検出セグメントからの信号を検出、登録、および記録するために使用される。微小流体ディスク/要素の回転中、照射または放射システムはマイクロチャネル構造または1つもしくはそれ以上のマイクロチャネル構造のうちの1つもしくはそれ以上の液体検出セグメントを走査し、検出器ユニットは各構造に関する物理パラメータ値/レベルを表す測定された信号を登録する。したがって、液体検出の信頼値を自動的に判定する本発明の上述の方法は、液体検出方法に適用可能である。このような用途を、上述の実施形態を参照しつつより詳細に説明する。
【0103】
最初のステップのステップAでは、検出器ユニットおよび照射/放射ユニットにより(液体検出を行うべき)未搭載のマイクロチャネル構造からの情報を回収および取得する、すなわち、この場合、未搭載の微小流体装置の、上述された方法で変換された背景画像に対応する背景マトリックスを検出および記録する。上記マスクフィルタ機能は、本実施形態でも使用される。背景マトリックスは、上記画像マトリックスメモリに相当する画像マトリックスメモリに記憶される。
【0104】
ステップBでは、液体を導入し、第1の弁位置にマイクロチャネル構造を満たすことは、上述した本発明による方法と同じように行われる。次のステップのステップCは、論理的には、検出器ユニットおよび最終照射/放射ユニットにより、搭載された(試薬または洗浄液の液体アリコートとともに)微小流体要素から情報を回収および取得し、すなわち、この場合、搭載された微小流体装置の走査セグメントの検出強度を有する物理パラメータマトリックスを示す信号を走査および記録する。
【0105】
低位置マークが通過するとき、ラップカウンタは定位置マーク検出器からの各パルスを記録する。システムのラップカウンタおよびコントローラは、ほぼ上述のように使用される。
【0106】
各物理パラメータは、上述の画像マトリックスと類似の物理パラメータマトリックス内の、最新走査マイクロチャネル構造のセグメントに対応する所定のアドレスで処理され記憶される。マスクフィルタは、物理パラメータマトリックスのそれぞれの一意のアドレスまたは地点を管理し、後述のマトリックスは、ディスク上のマイクロチャネル構造の特定の、所定の液体検出セグメントに関する。
【0107】
ステップDでは、物理パラメータマトリックスの最新の検出および記憶セグメントの物理パラメータ値は、上述したように、更新マトリックスの対応アドレスまたは地点に記憶される差異値を生成する背景マトリックスの対応物理パラメータ値で処理される。変更され、所定の閾値物理パラメータ値を超える背景マトリックス内の対応物理パラメータ値と異なる各物理パラメータ値は、結果として更新マトリックス内でゼロと異なる絶対物理パラメータ値(常に正)となる。
【0108】
ステップEでは、物理パラメータ値が所定の物理パラメータ値、すなわち、閾値物理パラメータを超える場合、絶対的に非ゼロの物理パラメータセグメント値を二値「1」に変換する二値フィルタを用いて更新マトリックスの物理パラメータ値を処理することによって、二値更新マトリックスが生成される。この変換動作は、閾値より低い物理パラメータの変動をすべて無視する。このような変動は常に存在し、セグメントを通過する検出液体アリコートとは他の理由に依存し、少なくとも1つの微小チャネルセグメントでの物理パラメータ変動を招く。
【0109】
次のステップであるステップFでは、二値更新マトリックスの二値が、新たな指標マトリックスを生成するモジュロ二加算演算によって、先のitp/ラップからの指標マトリックスの二値と結合される。第1のラップでは、すべての画素値は二値「0」に予め設定される。二値更新マトリックスのそれぞれ1つの値は、モジュロ二加算演算によって指標マトリックスの対応する値と結合される。更新マトリックスが対応する画素位置において「1」を有する場合、指標マトリックスの二値「1」は変更されず、二値「0」は「1」に変更される。液体アリコートは、セグメントを通過するだけで、セグメントにおける画素の物理パラメータ値は、背景マトリックスの物理パラメータ値に戻るか、その物理パラメータ値に極めて近いため、これが必要である。二値「1」は指標マトリックスにとどまるため、セグメントの画素位置の二値「1」は、液体アリコートが少なくともセグメントを通過したことを示す。
【0110】
新たなラップ毎に、ステップCで各セグメントの新たな走査が記録され、ステップDで新たな更新マトリックスが生成され、ステップEで二値更新マトリックスが更新マトリックスから生成され、ステップFで新たな更新マトリックスが結合される。前の(最新の)ラップからの指標マトリックスは、モジュロ二加算演算によって、二値「1」を変更せず、更新マトリックスが対応する画素位置で「1」を有する場合、二値「0」を「1」に変更する。液体アリコートは、セグメント内にとどまらずセグメントを通過するだけで、セグメントにおける画素の物理パラメータ値は、背景マトリックスの物理パラメータ値に戻るか、その物理パラメータ値に極めて近いため、これが必要である。二値「1」は指標マトリックスにとどまるため、セグメントの画素位置の二値「1」は、液体アリコートが少なくともセグメントを通過したことを示す。
【0111】
実験のサブランが終了すると、ステップGでサブランの最終指標マトリックスがコントローラにより記憶される。ランまたは実験がコントローラにより停止されると、サブランから記憶された指標マトリックスが、画像を用いる本発明の方法の実施形態で既に説明したように、信頼度判定ステップであるステップHにおいて信頼度判定手段により分析される。
【0112】
上記信頼値/レベルは、液体検出信頼値/レベルとして定義することができ、それは最終実験信頼値/レベルを判定する同じ実験の別の信頼値と組み合わされる。
【0113】
本発明の好適な実施形態を以下説明する。
【0114】
図5には、本発明による微小流体システム内のアレンジメントの好適な実施形態が示される。図5による本発明の微小流体システムおよびアレンジメントの大部分は、図1、2および3を参照して既に本明細書に記載されているため、共通する部分の説明は繰り返さない。
【0115】
図5のアレンジメントは、上述の部分に加えて照射ユニット220を示す。このような照射ユニットは本発明のシステムおよびアレンジメントの一部であるように上で説明されているが、上で説明した図面には示されていない。照射ユニットはフラッシュを生成することができ、あるいは制御された光度および色(または電磁周波数インターバル)の光を継続させることができ、装置基板、微小流体チャネル構造、微小流体チャネル構造内の気体および液体を判別するために使用済みの液体検出器ステーション175のために最善の条件を提供する。どんな光源でも照射ユニット220として選択できるが、好ましくはフラッシュ生成装置、たとえば、ストロボランプ、フラッシュガン、再搭載可能なフォトフラッシュなどが使用される。
【0116】
照射ユニット220は、微小流体装置と関係して様々な様式で配置することができる。図5では、照射ユニットは、検出装置175と微小流体装置201との間に配置される半透過性ミラーに向かって、微小流体装置の面に平行なフラッシュを送るように位置決めされる。
【0117】
半透過性ミラー225は、微小流体装置と関係して様々な様式で配置することができる。本実施形態では、ミラーは微小流体装置の一部を照射するように配置されるが、微小流体の全領域が照射されるようにミラーを配置することも可能である。検出装置によって画像として検出および/または再生される全領域が、全領域にわたって等しく分布されるフラッシュ強度(すなわち、同一強度)で照射されることが望ましい。フラッシュ(強度)の一部がミラー225を通過し、残りは検出される微小流体装置に向かってミラーにより方向付けられる。
【0118】
微小流体装置領域に当たるフラッシュ強度の一部は、微小流体ディスクを通過できるという事実、または散乱により失われる。しかし、十分な強度がミラーに反射し返される。光がある材料から次の材料へと通過し、反射されて伝送されるとき、強度は反射する物質および材料、たとえば、装置基板(プラスチック)、気体または液体の反射率の差に依存する。気体または液体に関しては、反射強度は微小流体チャネルの内壁で反射する光により異なる。したがって、領域が気体または液体を含む、あるいは微小流体装置の基板であるのいずれにせよ、画像を解釈する際に、反射強度の差異が特徴的かつ有効である。異なる領域からの反射強度の一部は半透過性ミラーを通過し、検出器トランスデューサ素子に当たる。本実施形態では、トランスデューサ素子が画像トランジスタ素子、いわゆる画素であるデジタルカメラが使用され、各素子は振幅/高さ/長さが電磁強度に比例する電気信号/パルスに入射強度を転換することができる。画像の解像度は画素の量に依存する。
【0119】
上記のフラッシュユニット220、半透過性ミラー225、およびカメラ175は既知であり、多数の様々な半透過性ミラーおよびカメラが市場で入手可能である。当業者にとっては、最善の結果、すなわち、最高の画像をもたらす適切なフラッシュユニット、半透過性ミラー、およびカメラを検査し選択することは問題とはみなされない。
【0120】
本発明の方法の好適な実施形態を以下詳細に説明する。この方法はマスクフィルタと、画像の各セグメント領域がディスク上の対応する微小流体構造の既知の量をあらわすという事実とを利用する。
【0121】
以下の説明では、多数のセクタ画像が微小流体装置、この場合、実験ラン中にスピンするディスク201、の領域全体をカバーするのに必要とされる方法の実施形態を扱う。各画像は、ディスクのセクタ部分のみまたはディスク全体を含む。5つの画像が1ラップ間に登録される場合、5つのセクタ画像がディスクの当該領域全体をカバーする。したがって、1ラップはスピンラップを、結果として微小流体チャネル構造の数とセクタ内での位置に関して同一のセクタとなるセクタに分割する適切な整数値を用いて分割される。この方法は結果として、同一のセクタ画像をもたらす。セクタ画像のうち1つにマスクフィルタを調整することによって、他のすべてのセクタ画像にも同じマスクフィルタを使用することができる。別の場合、セクタ毎にマスクフィルタを用意しなければならない。よって、同一のセクタを使用することは、時間とコンピュータ処理を大幅に節減する。
【0122】
図6を参照して、本発明の方法の好適な実施形態に含まれるステップを以下説明する。セクタ画像およびマスクフィルタは、マスクフィルタのセクタ画像中のセグメントがディスクのセクタ領域の対応量全体に同一に配置されるように正しく位置決めする必要がある。ステップA1は、照射ユニット、カメラ、コントローラ、およびマスクフィルタがディスクの対応する液体検出セグメント領域、すなわち、各微小流体チャネル構造の当該量を含む領域に、定義されたセグメントを正確にマップできるように同期および較正される較正ステップである。位置決めは、定位置マークとディスクの中心軸とによって定義される局所座標系を用いて定義される。ディスク上の位置座標は、中心からの半径と、中心と低位置マークとの間に定義される線からの角度とによって定義される。
【0123】
ディスク上のセクタ内の既知の座標を測定し、セクタ画像内の対応座標と比較することにより、画像の座標系と異なるオフセット、角度、および倍率をディスクの座標系から算出することができる。当該オフセット、角度、および倍率は、ディスクの位置座標を画像の画素座標に変換するために使用される。当該変換は、セグメントのマスクフィルタの設定に使用される。
【0124】
較正ステップの実行後、微小流体システムが実験の遂行のために準備される。好適な実施形態は、上述のステップA、すなわち、背景マトリックスの検出および記録の遂行を除外する。
【0125】
微小流体ディスク上の微小流体チャネルに液体を搭載する搭載ステップB1は、上述のステップBと同様である。
【0126】
ステップC1では、実験に使用されるすべての微小流体チャネル構造の搭載後、ディスクは非常にゆっくりと回転させられ、各セクタがitpを生成し、セクタ画像、すなわち、各セクタの画像を記録するための正確な位置にあるとき、セクタが1つずつカメラをゆっくりと通過するたびにセクタ毎にカメラによって記録される。
【0127】
ステップD1では、記録された各セクタ画像がマスクフィルタで処理され、結果として各セクタに対するマスクセクタ(指標)マトリックスとなる(マスクセクタマトリックスは、マスクセクタ指標マトリックスと称することができる)。コントローラソフトウェアは、液体セグメント検出器に対応する1つまたはそれ以上のセグメント指標のそれぞれにおいて、ステップC1で検出される液体および/または気体の存在および/または不在を示す物理パラメータ値を適切なデータ記憶媒体に記憶する。各セグメント指標は特定の液体検出器セグメントに関係する。
【0128】
ステップE1では、マスクセクタ(指標)マトリックスは、上記ステップEに記載される二値機能で処理される。その結果、セクタにセグメント指標を含む二値マスクセクタマトリックスとなる。
【0129】
閾値機能がステップE1で使用される。閾値強度値よりも低い強度を有する画素は画素強度「0」を受け取り、閾値強度値よりも高い強度を有する画素は画素強度「1」を受け取る。したがって、二値「0」は液体を、二値「1」は気体(または空空間)を示す。しかし、二値「0」を気体、二値「1」を液体と定義することも可能である。なお、画素強度を「0」と「1」以外の二値、たとえば、「01」または「10」、またはさらに大きいビットに符号化できることに注意されたい。
【0130】
ステップF1では、微小流体チャネル構造に属するマスクセクタ指標マトリックスのセグメント指標は、各セグメント指標での液体量および気体量を判定するために使用される。ステップF1は、実験の使用済みチャネル毎に繰り返される。ステップF1を以下より詳細に説明する。
【0131】
構造の各セグメントの構造深度dは既知であると想定する。各画素は特定セグメントの総セグメント領域の部分領域ΔAに対応し、部分領域はチャネル内の特定液体検出セグメントの総部分量のうちの部分量d・ΔAに対応する。部分量d・ΔAは以下、セグメント画素量係数cvと称する。
=d・ΔA
【0132】
特定の画素値を有する画素の数nと、画素nと係数cv=d・ΔAの乗数とをカウントすることにより、対応する量Vが得られる。
V=n・c=n・d・ΔA
【0133】
微小流体チャネルの第1のセグメントは、微小流体チャネルの第1の量などに対応する。微小流体チャネルの第2のセグメントは、微小流体チャネルの第2の量に対応する。第1の量の総深度ds1は、第2の量の総深度ds2と異なっていてもよい。したがって、第1のセグメント画素量係数cv1は、第2のセグメント画素量係数cv2と異なる。
【0134】
したがって、各セグメントでは、画素強度「0」(または「1」)を有する画素nliquidの数は液体量に対応し、画素強度「1」(または「0」)を有する画素ngasの数は気体量(または液体量)に対応する。
liquid1=nliquid・cv1=nliquid・ds1・ΔA;
gas1=ngas・cv1=ngas・ds1・ΔA
【0135】
よって、正しいセグメント画素量係数に、画素強度値「0」を有する画素の数と画素強度値「1」を有する画素の数とをそれぞれ掛けることによって、各セグメント/量内の液体量および気体量を算出することができる。
【0136】
ステップG1では、各セグメント/量内の液体量および気体量の算出結果がセクタ指標マトリックスに記憶される。
【0137】
全セクタが第1のラップ間に撮像されると、ディスクのスピン処理が開始され、ディスクがコントローラに予めプログラムされた手順に従いスピンする。この予めプログラムされた手順の間、新たなセクタ指標マトリックスを生じさせる所望の回数、ステップC1〜G1を繰り返すことができる。ステップC1に記載されるように、ディスクの速度を落とすことなく全速で新たなセクタ画像を登録できる。
【0138】
スピン処理が終了すると、ステップC1〜G1が繰り返される。
【0139】
スピン処理中、微小流体チャネル構造の第1のセグメントに対応する第1の量の液体が、最後のセグメントに対応する最後の量に移送され、最後の量が第1の量から液体によって満たされる。
【0140】
したがって、第1のラップおよび最後のスピンラップに属するセクタ指標マトリックスが特に関係する。ステップH1では、微小流体チャネル構造に属する指標マトリックスが、微小流体チャネル構造の実験の信頼値を判定するのに使用される。以下、ステップH1をより詳細に説明する。
【0141】
各微小流体チャネルの記憶された算出量をセクタ指標マトリックスにおいて1つずつ分析することによって、最初および最後のセグメント指標内の予想される液体Vliquidおよび気体Vgasの量が予想所定量の値からどの程度外れているかを判定することができる。微小流体チャネルにおけるセグメント内の気体および液体の算出量が予想値から外れるほど、その微小流体チャネルに対する信頼値が低く設定される。
【0142】
本発明の方法の別の実施形態では、ステップF1およびステップG1を、ステップH1のサブステップとして含めることができる。
【0143】
本発明は、コンピュータ使用可能媒体と、微小流体システムのコントローラ内のデータ処理ユニットの内部記憶装置に搭載可能なソフトウェアコード手段とを備えるコンピュータプログラム製品として実行され、該製品は、ソフトウェアコード手段が微小流体システムコントローラ内のデータ処理ユニットにより実行される際に、請求項1ないし21のいずれかのステップを遂行することができる。
【0144】
さらに、本発明は、コンピュータ使用可能媒体に記憶されるソフトウェアコード手段を備えるコンピュータプログラムに関し、コンピュータ手段によってソフトウェアコード手段をコンピュータ使用可能媒体から読み出すことができ、ソフトウェアコード手段は、微小流体システムのコンピュータ手段のデータ処理ユニットに、請求項1ないし21のいずれかのステップの実行を制御し遂行させることができる。
【0145】
コンピュータ使用可能媒体は以下の記憶および担持装置:記録媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、フロッピーディスクドライブ、光学ディスクドライブ、コンピュータメモリ、読出し専用メモリ、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ、または電気搬送波信号のいずれであってもよい。
【0146】
本発明は、上述の好適な実施形態に限定されない。様々な代替物、改変物、および等価物を使用することができる。したがって、上記実施形態は、添付の請求項によって定義される発明の範囲を制限するものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】微小流体システムの概略を示すブロック図である。
【図2】微小流体システムにおける本発明のアレンジメントを示す図である。
【図3】ディスク形状の微小流体装置の概略図である。
【図4】本発明の方法の実施形態を示すフローチャートである。
【図5】本発明による微小流体システムにおけるアレンジメントの好適な実施形態の説明図である。
【図6】本発明の方法の好適な実施形態に含まれるステップを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたはそれ以上の生物学的および/または化学的反応を備え、微小流体装置のマイクロチャネル構造(101a)で実行される実験の結果の信頼度を格付けする方法であって、
実験が
a)1つまたはそれ以上の液状アリコートをマイクロチャネル構造(101)の流入機能(102+105a+105b+103)に導入し、
b)マイクロチャネル構造(101a)内での処理中にそこから取り出されたこれらのアリコートおよび/または1つもしくはそれ以上のアリコート(=取り出されたアリコート)を移送して処理し、
c)マイクロチャネル構造(101a)の検出区域(104a)での実験結果を判定する
液体処理ステップを備え、
信頼度判定が
i)液体および/または気体がセグメント内に存在および/または不在であるかどうかが認識される期間に、マイクロチャネル構造(101a)の少なくとも1つの液体検出器セグメントの各々において液体および/または気体の存在または不在を判定し、
ii)ステップ(i)で分かった液体および/または気体の存在および/または不在があるべき姿から外れている場合、その結果に低い信頼度を割り当てる
ステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(ii)が
−ステップ(i)で検出された液体および/または気体の存在および/または不在を表す物理パラメータ値を、適切なデータ記憶媒体の1つまたはそれ以上のセグメント指標の各々に記憶し、各セグメント指標が特定の液体検出器セグメントに関係するステップと、
−セグメント指標の1つまたはそれ以上から信頼度を判定するステップと
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(ii)が、少なくとも1つのセグメント指標が液体および/もしくは気体の存在を示す1つもしくはそれ以上の物理パラメータ値を有し、ならびに/または液体および/もしくは気体の不在を示す1つもしくはそれ以上の物理パラメータ値を有する信頼度判定を備えることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
信頼度判定が、
−1つまたはそれ以上のパラメータ値を有する1つまたはそれ以上のセグメント指標から信頼度を判定するステップであって、セグメント指標が液体−気体境界面(メニスカス)の存在を示す、たとえば、少なくとも1つのセグメント指標が、対応する液体検出器セグメントにおいて気体の存在を示す物理パラメータ値と液体の存在を示す物理パラメータ値との両方を備えるステップを含むことを特徴とする、請求項2ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
信頼度判定が、
−液体および/もしくは気体の存在を示す1つもしくはそれ以上の量の値、Vliquidおよび/もしくはVgas、ならびに/または液体および/もしくは気体の不在を示す1つもしくはそれ以上の物理パラメータ値を有する1つもしくはそれ以上のセグメント指標から信頼度を判定するステップを備えることを特徴とする、請求項2ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
信頼度判定が、
−1つまたはそれ以上の信頼度を用いて最終実験信頼度を判定するステップであって、請求項1ないし5のいずれかにおけるステップに従い判定された信頼度が少なくとも、使用された信頼度のうちの1つであるステップを備えることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
物理パラメータ値が強度値/レベルであることを特徴とする、請求項2ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
信頼度判定が、
−各セグメント指標の寸法、位置、および解像度を判定するマスクフィルタ機能を用いるステップを備えることを特徴とする、請求項2ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
マイクロチャネル構造が下流方向に、
a)流入機能(102+105a+105b+103)と、
b)生物学的および/または化学的である反応を実行する区域(反応区域)(104a)と、
c)反応/実験の結果が検出される区域(検出区域)(104a)と、
d)流出機能(113a+115a+112)と
を備え、検出区域および反応区域が完全に、または部分的に一致することができることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの各セグメントが流入機能(102+105a+105b+103)の一部であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
a)流入機能が流入アレンジメント(IA)(105a+105b+102または103a)を備え、
b)各セグメントの少なくとも1つがIAに存在する
ことを特徴とする、請求項9ないし10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
セグメントの少なくとも1つが、
a)流入機能と反応区域との間、
b)反応区域内、
c)反応区域と検出区域との間、
d)検出区域内、
e)検出区域と流出機能との間、あるいは
f)流出機能内
に配置されることを特徴とする、請求項9ないし11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
a)微小流体装置が、マイクロチャネル構造のサブセットに通常分割される複数のマイクロチャネル構造を備え、1つのサブセット内のマイクロチャネル構造は流入機能および/または流出機能の共通部分、たとえば、共通IA、および/または共通廃棄機能によって連結され、
b)少なくとも1回の実験とステップ(i)および(ii)とを、2つまたはそれ以上のマイクロチャネル構造、たとえば少なくとも1つのサブセットのマイクロチャネル構造において並行して実行する
ことを特徴とする、請求項9ないし12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
不在および/または存在がステップ(ii)で検出される液体は、
a)洗浄液、
b)調整液、および
c)反応区域で反応する1つまたはそれ以上の反応物を含む液体
から選択されることを特徴とする、請求項1ないし13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
a)ステップ(ii)の液体が1つまたはそれ以上の反応物を含むこと、
b)少なくとも1つのセグメントが流入機能の一部であること、および
c)少なくとも1つの反応物は、実験間の変動が±30%の精度の実験で任意に必要とされること
を特徴とする、請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの反応物が試薬であることを特徴とする、請求項14ないし15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
(a)少なくとも1つの反応物が、特徴付けられる実体、たとえば、分析物であること、および
(b)実験が分析物を特徴付けるための評価であること
を特徴とする、請求項14ないし16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
a)微小流体装置、および微小流体装置を処理する装置と、
b)検出区域での結果を検出する検出器ユニット(170)と、
c)ステップ(i)を実行するセンサユニット(175)と、
d)ステップ(ii)を実行するソフトウェアおよびコンピュータと
を備えるシステムで実行することを特徴とする、請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
センサユニット(175)が、たとえば、画像分析による、液体と気体との境界面あるいは気体および/または液体の存在および/または不在の検出に基づくことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
センサユニット(175)は気体および液体に対する反射率の差異に基づくことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
センサユニット(175)が、ビデオ信号、テレビ信号、またはデジタル画像信号を生成することのできる画像検出ユニットであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
1つまたはそれ以上の生物学的および/または化学的反応を備え、微小流体装置のマイクロチャネル構造(101a)で実行される実験の結果の信頼度を格付けするシステムであって、
信頼度判定のシステムが
i)液体および/または気体がセグメント内に存在および/または不在であるかどうかが認識される期間に、各セグメントにおいて液体および/または気体の存在または不在を判定する手段と、
ii)ステップ(i)で分かった液体および/または気体の存在および/または不在があるべき姿から外れている場合、その結果に低い信頼度を割り当てる手段と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
1つまたはそれ以上の物理パラメータ値を有する1つまたはそれ以上のセグメント指標から信頼度を判定する手段を備えることを特徴とする、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
1つまたはそれ以上のセグメント指標から信頼度を判定する手段を備え、各セグメント指標が、液体および/もしくは気体がセグメントに存在するはずと予想される期間に、液体および/もしくは気体の存在を示す1つもしくはそれ以上のパラメータ値、ならびに/または、液体および/もしくは気体がセグメントに存在するはずと予想される期間に、液体および/もしくは気体の不在を示す1つもしくはそれ以上のパラメータ値を含むことを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
1つまたはそれ以上のパラメータ値を有する1つまたはそれ以上のセグメント指標から信頼度を判定する手段であって、セグメント指標が液体−気体境界面(メニスカス)の存在を示す、たとえば、少なくとも1つのセグメント指標が、対応する液体検出器セグメントにおいて気体の存在を示す物理パラメータ値と液体の存在を示す物理パラメータ値との両方を有する手段を備えることを特徴とする、請求項23ないし24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
液体および/もしくは気体の存在を示す1つもしくはそれ以上の量の値、Vliquidおよび/もしくはVgas、ならびに/または液体および/もしくは気体の不在を示す1つもしくはそれ以上の物理パラメータ値を有する1つまたはそれ以上のセグメント指標から信頼度を判定する手段を備えることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
1つまたはそれ以上の信頼度を用いて最終実験信頼度を判定する手段であって、請求項1ないし5のいずれかにおけるステップに従い判定された信頼度が少なくとも、使用された信頼度のうちの1つである手段を備えることを特徴とする、請求項22ないし26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
物理パラメータ値が強度値/レベルであることを特徴とする、請求項23ないし27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
各セグメント指標の寸法、位置、および解像度を判定するマスクフィルタ機能を備えることを特徴とする、請求項23ないし28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
マイクロチャネル構造が下流方向に、
a)流入機能(102+105a+105b+103)と、
b)生物学的および/または化学的である反応を実行する区域(反応区域)(104a)と、
c)反応/実験の結果が検出される区域(検出区域)(104a)と、
d)流出機能(113a+115a+112)と
を備え、検出区域および反応区域が完全に、または部分的に一致することができることを特徴とする、請求項22ないし29のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
少なくとも1つのセグメントが流入機能(102+105a+105b+103)の一部であることを特徴とする、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
a)流入機能が流入アレンジメント(IA)(105a+105b+102または103a)を備え、
b)少なくとも1つのセグメントがIAに存在する
ことを特徴とする、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
セグメントの少なくとも1つが、
a)流入機能と反応区域との間、
b)反応区域内、
c)反応区域と検出区域との間、
d)検出区域内、
e)検出区域と流出機能との間、あるいは
f)流出機能内
に配置されることを特徴とする、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
a)微小流体装置が、マイクロチャネル構造のサブセットに通常分割される複数のマイクロチャネル構造を備え、1つのサブセット内のマイクロチャネル構造は流入機能および/または流出機能の共通部分、たとえば、共通IA、および/または共通廃棄機能によって連結され、
b)少なくとも1回の実験とステップ(i)および(ii)とを2つまたはそれ以上のマイクロチャネル構造、たとえば少なくとも1つのサブセットにおいて並行して実行する
ことを特徴とする、請求項29ないし33のいずれかに記載のシステム。
【請求項35】
a)微小流体装置、および微小流体装置を処理する装置と、
b)検出区域での結果を検出する検出器ユニット(170)と、
c)マイクロチャネル構造(101a)のセグメント内で液体および/または気体の存在または不在を検出する手段であって、ステップ(i)を実行するセンサユニット(175)である手段と、
d)発見された液体および/または気体の存在および/または不在が、請求項1のステップ(ii)を実行するコンピュータ手段に記憶されるソフトウェアコード手段として実行される場合、その結果に信頼度を割り当てる手段と
を備えることを特徴とする、請求項28ないし34のいずれかに記載のシステム。
【請求項36】
センサユニットが、たとえば、画像分析による液体と気体との境界面の検出に基づくことを特徴とする、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
センサユニットが、コンピュータ手段およびソフトウェアコード手段によるさらなる処理のために、画像記憶装置/メモリ内のセグメント指標に記憶される物理パラメータ値を生成することができる画像検出装置(202)であることを特徴とする、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
検出器ユニットが、気体および液体に関する反射率の差異に基づくことを特徴とする、請求項35ないし37のいずれかに記載のシステム。
【請求項39】
検出器ユニットが分光(SPR)検出器であることを特徴とする、請求項35ないし37のいずれかに記載のシステム。
【請求項40】
センサユニット(175)および/または検出器ユニット(170)が、ビデオ信号、テレビ信号、またはデジタル画像信号を生成することができる画像検出ユニットであることを特徴とする、請求項35ないし37のいずれかに記載のシステム。
【請求項41】
コンピュータ使用可能媒体と、微小流体システムのコントローラ内のデータ処理ユニットの内部記憶装置に搭載可能なソフトウェアコード手段とを備えるコンピュータプログラム製品であって、ソフトウェアコード手段が微小流体システムのコントローラ内のデータ処理ユニットにより実行される際に、請求項1ないし21のいずれかのステップを遂行することができるコンピュータプログラム製品。
【請求項42】
コンピュータ使用可能媒体に記憶されるソフトウェアコード手段を備えるコンピュータプログラムであって、コンピュータ手段によってソフトウェアコード手段をコンピュータ使用可能媒体から読み出すことができ、ソフトウェアコード手段は、微小流体システムのコンピュータ手段のデータ処理ユニットに、請求項1ないし21のいずれかのステップの実行を制御し遂行させることができることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項43】
コンピュータ使用可能媒体が、記録媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、フロッピーディスクドライブ、光学ディスクドライブ、コンピュータメモリ、読出し専用メモリ、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ、または電気搬送波信号のいずれかであることを特徴とする、請求項42に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−519978(P2008−519978A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541141(P2007−541141)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001691
【国際公開番号】WO2006/052200
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(505358004)ユィロス・パテント・アクチボラグ (22)
【氏名又は名称原語表記】Gyros Patent AB
【Fターム(参考)】