説明

液体残量検出システム

【課題】液体噴霧装置において、差動アンプへの入力信号に混入するノイズを好適に除去し、液体収容容器における液体の充填状況を精度良く検出する
【解決手段】プリンター20に接続されるインクカートリッジCR1のセンサ80の電極82は、調整回路57を介して、差動アンプ54に接続され、センサ80の電極81は、可変容量回路53を介して、差動アンプ54に接続される。副制御回路52は、インク有り時のセンサ80の出力信号と同じ周波数H1の信号と、インク無し時のセンサ80の出力信号と同じ周波数H2の信号とを較正用信号源TNを用いて、差動アンプ54に入力させ、いずれの信号に対しても、差動アンプ54への2つの入力経路のフィルタ特性の差が小さくなるように、可変容量回路53の容量を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴霧装置に供給する液体を収容する液体収容容器内に設けられたセンサからの出力信号を用いて、液体収容容器における液体の充填状況を検出する液体残量検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターに搭載されるインクカートリッジにおけるインクの有無を検出するためのインク検出装置が開発されている。こうしたインク検出装置として、例えば、インクカートリッジのインク流路の途中に設けた圧電素子に所定の駆動電圧を印加して圧電素子に歪みを生じさせ、駆動電圧を解放した際に生じる逆起電力の信号の周波数を検出して、インク流路がインクで満たされた状態であるか否かを判断する技術が知られている。
【0003】
こうしたインク検出装置においては、圧電素子の出力インピーダンスが高いため、逆起電力へのノイズの混入が問題となる。そこで、圧電素子の両端の電極から逆相の検出信号を出力させ、差動アンプに入力する技術が開発されている(例えば、下記特許文献1)。この場合、両電極に同相で混入するコモンモードノイズは、差動アンプによって除去でき、精度の高いインク量レベル検出を行うことができる。
【0004】
ところが、インク量レベル検出においては、インクカートリッジに収容されるインクを介して、圧電素子の両端の電極から混入するノイズの影響が比較的大きい。かかるノイズについては、圧電素子はキャパシタとしての性質を有するため、圧電素子の収容インク側の電極からの出力は、当該キャパシタを通過しないものとなり、収容インクと反対側の電極からの出力は、当該キャパシタを通過するものとなる。そのため、両電極から差動アンプへの入力経路におけるフィルタ特性に違いが生じるため、差動アンプを用いてもノイズを完全には除去できず、検出精度向上の余地を残していた。そこで、特許文献1では、圧電素子を通過しない出力経路に、圧電素子と同等の容量の較正用キャパシタを設けて、両電極から差動アンプに至る2つの入力経路におけるフィルタ特性を均一化して、インクを介して混入するノイズの影響を低減する技術についても開示している。
【0005】
しかしながら、かかる構成のインク検出装置においても、圧電素子のキャパシタとしての容量は、個体間でバラツキが大きいため、圧電素子のキャパシタとしての容量と、較正用キャパシタの容量とを完全に同一にすることはできず、未だ検出精度向上の余地を残している状況であった。かかる問題は、上述したインク検出装置に限らず、センサからの出力信号を用いて、液体の残量を検出する種々の液体残量検出システムに共通して生じる問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−268057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題を踏まえ、本発明が解決しようとする課題は、液体噴霧装置において、差動アンプへの入力信号に混入するノイズを好適に除去し、液体収容容器における液体の充填状況を精度良く検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]液体噴霧装置に供給する液体を収容する液体収容容器内に設けられたセンサからの出力信号を用いて、該液体収容容器における前記液体の充填状況を検出する液体残量検出システムであって、
前記センサと電気的に接続するための端子と、
前記センサから前記端子を介して入力される前記出力信号の差分を出力する差動アンプと、
容量を変更可能な容量可変キャパシタであって、該容量可変キャパシタの一方が前記端子から前記差動アンプに至る信号ラインに接続され、他方がグランドに接続された容量可変キャパシタと、
前記センサから前記差動アンプに至る2つの入力経路における、キャパシタとしてのフィルタ特性の差異を較正するための較正キャパシタと、
前記較正キャパシタと前記端子との間に接続され、較正用信号を生成し、前記差動アンプに入力する較正用信号源と、
前記容量可変キャパシタの容量を変化させながら、前記差動アンプに前記較正用信号を入力し、該差動アンプの出力が相対的に小さくなるように、前記容量可変キャパシタの容量を設定する制御部と
を備えた液体残量検出システム。
【0010】
かかる構成の液体残量検出システムは、差動アンプへの2つの入力経路に、較正キャパシタと容量可変キャパシタと較正用信号源とが接続されており、制御部が、容量可変キャパシタの容量を変化させながら、差動アンプに前記較正用信号を入力し、差動アンプの出力が相対的に小さくなるように、容量可変キャパシタの容量を設定する。したがって、2つの入力経路のキャパシタとしてのフィルタ特性の違いを較正することができる。その結果、フィルタ特性が異なる2つの経路から差動アンプに入力されるノイズを好適に除去し、液体残量の検出精度を向上させることができる。
【0011】
[適用例2]適用例1記載の液体残量検出システムであって、前記容量可変キャパシタは、前記信号ラインとグランドとの間に介装される複数のキャパシタと、前記複数のキャパシタの各々に設けられ、前記信号ライン及び前記グランドとの接続の少なくとも一方を入切するスイッチとを備え、前記制御部は、前記スイッチの接続状態を制御して、容量の制御を行う液体残量検出システム。
かかる構成の液体残量検出システムは、容量可変キャパシタは、複数のキャパシタとスイッチとで構成されているので、スイッチを制御して、容量を容易に変更することができる。
【0012】
[適用例3]適用例2記載の液体残量検出システムであって、前記複数のキャパシタの個数は、N(Nは2以上の整数)個であり、前記N個のキャパシタは、n(nは1からNの整数)番目のキャパシタの静電容量が、n=1のキャパシタの静電容量である最小静電容量に2のn−1乗を乗じた値である液体残量検出システム。
【0013】
かかる構成の液体残量検出システムは、スイッチの制御によって、接続された状態のキャパシタの合計の容量を、少ないキャパシタの数で効率的に調整することができる。また、最小静電容量を単位として、精度良くフィルタ特性の較正を行うことができる。
【0014】
[適用例4]前記容量可変キャパシタは、集積回路内に設けられた適用例1ないし適用例3のいずれか記載の液体残量検出システム。
かかる構成の液体残量検出システムは、容量可変キャパシタが集積回路内に設けられるので、集積回路外部に設ける場合と比べて、低コスト化することができる。
【0015】
[適用例5]前記較正用信号源は、周波数の異なる複数の信号を生成可能である適用例1ないし適用例4のいずれか記載の液体残量検出システム。
かかる構成の液体残量検出システムは、較正用信号の周波数を変えることができるので、差動アンプへの2つの入力経路のキャパシタとしてのフィルタ特性の違いを柔軟に較正することができる。
【0016】
[適用例6]適用例5記載の液体残量検出システムであって、前記複数の信号は、前記液体収容容器に前記液体が充填されている場合の前記センサの固有振動数と略等しい第1の周波数の信号と、前記液体収容容器に前記液体が充填されていない場合の前記センサの固有振動数と略等しい第2の周波数の信号である液体残量検出システム。
【0017】
かかる構成の液体残量検出システムは、液体収容容器における液体の充填状況に応じてセンサから出力される周波数に合わせた較正用信号を用いて、フィルタ特性の較正を行えるので、液体残量の検出精度を向上させることができる。
【0018】
[適用例7]適用例5または適用例6記載の液体残量検出システムであって、前記較正用信号は、周波数の異なる複数の信号であり、前記制御部は、前記複数の信号の各々に対して、前記容量可変キャパシタの容量を変化させながら、前記差動アンプに前記較正用信号を入力し、前記複数の信号のいずれに対しても、該差動アンプの出力が相対的に小さくなるように、前記容量可変キャパシタの容量を設定する液体残量検出システム。
【0019】
かかる構成の液体残量検出システムは、液体収容容器における液体の充填状況に応じてセンサから出力される2つの周波数に合わせた較正用信号を用いて、いずれの較正用信号に対しても、差動アンプの出力が相対的に小さくなるように容量可変キャパシタの容量を設定する。したがって、液体収容容器に液体が充填されている場合と、充填されていない場合のいずれに対しても、差動アンプへの2つの入力経路のキャパシタとしてのフィルタ特性の違いを好適に較正することができる。
【0020】
[適用例8]適用例5ないし適用例7のいずれか記載の液体残量検出システムであって、前記較正用信号は、周波数の異なる複数の信号であり、前記制御部は、前記複数の信号のうちの第1の信号を入力した場合に、前記差動アンプの出力が相対的に小さくなる前記容量可変キャパシタの容量である第1の容量と、前記複数の信号のうちの第2の信号を入力した場合に、前記差動アンプの出力が相対的に小さくなる前記容量可変キャパシタの容量である第2の容量とを所定の重み付けで合成した容量に、前記容量可変キャパシタの容量を設定する液体残量検出システム。
【0021】
かかる構成の液体残量検出システムは、第1の容量と第2の容量とを所定の重み付けで合成した容量に、容量可変キャパシタの容量を設定するので、複数の周波数の信号に対する、差動アンプへの2つの入力経路のキャパシタとしてのフィルタ特性の違いを、所望の程度で較正することができる。
【0022】
[適用例9]適用例8記載の液体残量検出システムであって、前記第1の信号の周波数は、前記液体収容容器に前記液体が充填されている場合の前記センサの固有振動数と略等しく、前記第2の信号の周波数は、前記液体収容容器に前記液体が充填されていない場合の前記センサの固有振動数と略等しく、前記所定の重み付けは、前記第1の容量が前記第2の容量よりも重い液体残量検出システム。
かかる構成の液体残量検出システムは、液体収容容器に液体が充填されている場合を、液体が充填されていない場合よりも優先して、容量可変キャパシタの容量を設定する。液体が充填されている場合の方が、充填されていない場合と比べて、ノイズが差動アンプへ入力されやすいので、かかるノイズの除去性能を向上させることができる。
【0023】
[適用例10]前記較正用信号の周波数は、2のP乗(Pは整数)で表される適用例1ないし適用例9のいずれか記載の液体残量検出システム。
[適用例11]前記較正用信号は、方形波である適用例1ないし適用例10のいずれか記載の液体残量検出システム。
【0024】
かかる構成の液体残量検出システムは、較正用信号をデジタルパルスとすることができるので、較正用信号源が較正用信号を容易に生成することができる。また、較正用信号源の構成を簡単にすることができる。
【0025】
[適用例12]前記制御部は、前記液体残量検出システムの使用環境が変化する可能性があることを少なくとも推認可能なイベントを検知した際に、前記容量可変キャパシタの容量の設定を行う適用例1ないし適用例11のいずれか記載の液体残量検出システム。
かかる構成の液体残量検出システムは、使用環境が変化する可能性がある場合に、制御部が、容量可変キャパシタの容量の設定を行うので、使用環境の変化によって、差動アンプへの2つの入力経路のキャパシタとしてのフィルタ特性の違いが変化しても、その変化に追随することができる。したがって、使用環境が変化しても、液体残量の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例としてのプリンター20の概略構成を示す説明図である。
【図2】インクカートリッジCR1〜CR6及び印刷ヘッドユニット60の概略構成を示す説明図である。
【図3】インクカートリッジCR1〜RC6のインク残量を検出するためのプリンター20の構成を示す説明図である。
【図4】従来のインク残量検出処理の詳細を示す説明図である。
【図5】インク受信ノイズ源Nから端子114及び115に至る経路の等価回路図である。
【図6】インク受信ノイズ源Nから差動アンプ54に至るまでの2つの入力経路についてのフィルタ等価回路図である。
【図7】容量較正処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明のインク残量検出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施例について説明する。
A.実施例:
A−1.プリンター20の構成:
図1は、本発明の実施例としてのプリンター20の概略構成図である。プリンター20は、シリアル式インクジェットプリンターであり、図示するように、プリンター20は、紙送りモーター31によって印刷媒体Pを搬送する機構と、キャリッジモーター33によってキャリッジ30をプラテン32の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、これらの紙送りモーター31、キャリッジモーター33、印刷ヘッドユニット60及び操作パネル92との信号のやり取りを司る主制御部40とから構成されている。また、プリンター20は、インターフェース93を介してコンピュータPCに接続されている。
【0028】
キャリッジ30をプラテン32の軸方向に往復動させる機構は、プラテン32の軸と並行に架設され、キャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモーター33との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリー38等から構成されている。
【0029】
キャリッジ30には、カラーインクとして、シアンインクC、マゼンタインクM、イエロインクY、ブラックインクK、ライトシアンインクLc、ライトマゼンタインクLmをそれぞれ収容したインクカートリッジCR1〜CR6が搭載されている。
【0030】
印刷ヘッドユニット60は、図1に示すキャリッジ30の裏面に、インクカートリッジCR1〜CR6に関連する処理を実行する回路であるサブ制御部50を備えている。印刷ヘッドユニット60のその他の構成については、インクカートリッジCR1〜CR6の構成と共に図2を用いて説明する。図2に示すように、インクカートリッジCR1〜CR6は、上述したカラーインクの収容体であり、内部にインクを収容するインク収容室が形成された筐体71と、プリンター20にインクを供給するためのインク供給口74と、インク残量の検出に用いられるセンサ80と、端子114及び115を備えた端子板110とを備えている。インク供給口74は、筐体71の下部に設置され、センサ80は、筐体71の側部に設置されている。端子114及び115は、図示しない信号線によりセンサ80と接続されている。
【0031】
また、印刷ヘッドユニット60は、上述したサブ制御部50(図2では図示せず)のほかに、図2に示すように、カートリッジ装着部62、インク導入部66、印刷ヘッド68、端子板100を備えている。カートリッジ装着部62には、インクカートリッジCR1〜CR6が装着される。印刷ヘッド68は、複数のノズルと、各ノズルに備えられた圧電素子とを有し、電圧が圧電素子に印加されることによって、インク滴をノズルから吐出する。インク導入部66は、インクカートリッジCR1〜CR6がカートリッジ装着部62に装着される際に、インクカートリッジCR1〜CR6のインク供給口74に挿入され、インクを印刷ヘッド68に導入する。
【0032】
端子板100は、インクカートリッジCR1〜CR6の端子板110の端子114及び115に対応する端子104及び105を備えている。端子104及び105は、インクカートリッジCR1〜CR6がカートリッジ装着部62に装着された際に、上述した端子114及び115とそれぞれ接触して、インクカートリッジCR1〜CR6のセンサ80と、プリンター20とを電気的に接続する。なお、印刷ヘッドユニット60は、インク導入部66及び端子板100を、装着可能なインクカートリッジ数(ここでは6個)と同数だけ備えている。また、端子板100の端子104、105及び107は、サブ制御部50に接続されている。
【0033】
以上のようなハードウェア構成を有するプリンター20は、キャリッジモーター33を駆動することによって、印刷ヘッドユニット60を印刷媒体Pに対して主走査方向に往復動させ、また、紙送りモーター31を駆動することによって、印刷媒体Pを副走査方向に移動させる。主制御部40は、キャリッジ30が往復動する動き(主走査)や、印刷媒体Pの紙送りの動き(副走査)に合わせて、印刷データに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷媒体P上の適切な位置に適切な色のインクドットを形成する。こうすることによって、プリンター20は、インターフェース93を介してコンピュータPCからから入力されたカラー画像を印刷することが可能となっている。
【0034】
A−2.インク残量検出システム25の構成:
プリンター20におけるインク残量検出システム25について図3を用いて説明する。インク残量検出システム25は、主制御部40、サブ制御部50、端子104及び105を備えている。また、インク残量検出システム25は、上述した端子104,105及と、インクカートリッジCR1の端子114,115とを介して、インクカートリッジCR1と電気的に接続されている。なお、プリンター20は、実際には、CR1インクカートリッジCR1〜CR6と接続されているが、説明を簡単にするため、インクカートリッジCR2〜CR6との接続関係は省略している。
【0035】
主制御部40は、CPU、ROM、RAM、EEPROMを備えており、ROMやEEPROMに記憶されたプログラムをRAMに展開し、実行することにより、プリンター20の動作全般の制御のほか、駆動信号生成部41、インク残量判断部42としても機能する。この機能部の詳細については後述する。
【0036】
サブ制御部50は、インクカートリッジCR1〜CR6に関連する処理、主に、インク残量の検出を行うためのASIC(Application Specific Integrated Circuit)51と調整回路57とを備えている。ASIC51は、副制御回路52、可変容量回路53、差動アンプ54、スイッチSW11,SW12、較正用信号源TNを備えている。副制御回路52は、主制御部40とのやり取りを行いつつ、スイッチSW11〜SW12のON/OFF制御を行うことで、インク残量の検出結果を主制御部40に出力する。副制御回路52の機能の詳細は、後述するインク残量検出処理において明らかにする。
【0037】
スイッチSW11,SW12は、サブ制御部50における回路の接続状態を切り替えるアナログスイッチである。スイッチSW11は、グランド(GND)と端子105との接続状態を切り替えるスイッチであり、スイッチSW11の一方は、GNDに接続され、他方は調整回路57を介して端子105に接続されている。スイッチSW12は、主制御部40と端子104との接続状態を切り替えるスイッチであり、スイッチSW12の一方は、主制御部40に接続され、他方は、可変容量回路53を介して端子104に接続されている。
【0038】
可変容量回路53は、n個(nは2以上の整数)のキャパシタC1〜Cnと、n個のスイッチSW1〜SWnとによって構成される。キャパシタC1〜Cnの一端は、GNDに接続されており、他の一端は、スイッチSW1〜SWnを介して、スイッチSW12と端子104との間の信号線に接続されている。本実施例においては、スイッチSW1〜SWnは、アナログスイッチ、例えば、FET(Field Effect Transistor)であり、n=4としている。キャパシタC1〜Cnの容量は、キャパシタC1が最も小さく、キャパシタC2、C3となるにしたがって、2C、4Cと、2の倍数で増加していく。つまり、i番目(iは、1〜nの整数)のキャパシタCiの容量は2(i-1)Cである。可変容量回路53は、スイッチSW1〜SWnのON/OFFを切り替えることで、接続されたキャパシタの合計の容量を、値0(スイッチSW1〜SWnの全てをOFF)から値2×2(n-1)−1(スイッチSW1〜SWnの全てをON)までの全ての整数にCを乗じた値のいずれかに制御可能である。以降、ONとなったスイッチSW1〜SWnに対応するキャパシタを総称してキャパシタCb2とも呼ぶ。なお、スイッチSW1〜SWnは、キャパシタC1〜CnとGNDとの間に介装されていてもよいし、信号線とキャパシタC1〜Cnの間と、キャパシタC1〜CnとGNDとの間の両方に介装されていてもよい。
【0039】
かかる可変容量回路53は、信号源から差動アンプ54に入力する2つの入力経路におけるキャパシタとしてのフィルタ特性を補正するための回路であり、その詳細は後述する。キャパシタのフィルタ特性とは、例えば、入力経路に存在する、キャパシタ(キャパシタとしての性質を有する部材や寄生容量を含む)の構成や容量に起因するフィルタ特性をいう。
【0040】
差動アンプ54は、2つの入力の差分を増幅して、副制御回路52に出力する。差動アンプ54への2つの入力は、可変容量回路53とスイッチSW12との間の信号線と、調整回路57とスイッチSW11との間の信号線とに接続されている。本実施例では、端子104から差動アンプ54に至る信号線を第1の信号線L1とも呼び、端子105から差動アンプ54に至る信号線を第2の信号線L2とも呼ぶ。
【0041】
また、第2の信号線L2は、ASIC51の外部を経由しており、当該外部において、調整回路57が直列的に接続されている。調整回路57は、キャパシタCaとキャパシタCbとから構成される。キャパシタCaは、差動アンプ54と端子105との間に直列的に接続されている。キャパシタCbの一端は、差動アンプ54とキャパシタCaとの間で第2の信号線L2に接続され、他の一端は、GNDに接続されている。調整回路57は、可変容量回路53と同様に、フィルタ特性を較正するための回路であり、その詳細は後述する。なお、第2の信号線L2がASIC51の外部で調整回路57と接続しているのは、調整回路57のキャパシタ容量が比較的大きく、ASIC51の内部には設けにくいからである。
【0042】
較正用信号源TNは、パルス生成回路であり、ASIC51の内部において、調整回路57と端子105との間の第2の信号線L2に接続されている。本実施例では、較正用信号源TNは、副制御回路52からの制御信号を受けて、方形波のデジタルパルスを生成するものである。ただし、較正用信号源TNは、アナログパルスを生成するものであってもよい。較正用信号源TNが生成するデジタルパルスの周波数は、2p(Pは任意の整数)に調整することができる。なお、較正用信号源TNは、副制御回路52に含まれてもよい。また、較正用信号源TNは、調整回路57と端子105との間、すなわち、キャパシタCAの端子105側と同一電位の箇所に接続されていればよく、ASIC51の外部に設けられていてもよい。
【0043】
かかる構成のインク残量検出システム25に接続されるインクカートリッジCR1は、上述のとおり、センサ80と、端子114及び115とを備えている。センサ80は、公知の技術であるため、詳しい説明は省略するが、インクカートリッジCR1のインク収容室からインク供給口74に至るインク流路の途中に設けられ、後述するインク残量検出処理に用いられる。センサ80は、プラス(P)電極である電極81と、マイナス(N)電極である電極82と、その間に配された圧電素子83とからなり、電極81は端子114に、電極82は端子115に接続されている。本実施例では、電極81及び電極82のうちの電極82側にインク収容室が設けられている。また、電極82とインク収容室との間には、絶縁体84が挿入されている。
【0044】
また、上述のサブ制御部50において、可変容量回路53とインクカートリッジCR1用の端子104との間との間には、6チャネルのアナログスイッチ(第1の切り替えスイッチという)が接続されており、また、調整回路57とインクカートリッジCR1用の端子105との間とには、6チャネルのアナログスイッチ(第2の切り替えスイッチという)が接続されている(図示せず)。第1及び第2のアナログスイッチを切り替えることで、第1の信号線L1及び第2の信号線L2の接続先を、インクカートリッジCR1〜CR6用の各々の端子104,105の間で切り替え可能な構成となっている。また、較正用信号源TNは、調整回路57と第2の切り替えスイッチとの間で、第2の信号線L2に接続されている。これにより、第1及び第2の切り替えスイッチを切り替えれば、較正用信号源TNに接続されるインクカートリッジCR1〜CR6も、同時に切り替わることとなる。
【0045】
A−3.従来のインク残量検出処理:
本発明のインク残量処理について説明する前に、プリンター20を用いて従来のインク残量処理を行う場合の手順について、図3及び図4を用いて説明する。インク残量検出処理とは、インク残量検出システム25を用いて、インクカートリッジCR1〜CR6に収容されたインクの残量が残り僅かであるか否かを検出する処理である。以下、インクカートリッジCR1に対してのインク残量検出処理として説明する。この処理は、本実施例においては、所定のタイミング、例えば、インクカートリッジCR1が交換されたとき、プリンター20の電源投入時、印刷を一定量実行した後(例えば、1ページ分の印刷を実行した後)、印刷ヘッド68が備えるノズルを清掃する処理(いわゆるフラッシング処理)を実行した後、主制御部40が印刷データに基づいてカウントする各カラーインクの使用量が所定量に達したときに実行される。
【0046】
インク残量検出処理が開始されると、主制御部40は、図4に示すように、サブ制御部50の副制御回路52に対して、測定コマンドを送信する。副制御回路52は、測定コマンドを受信すると、測定コマンドに含まれる情報により指定された検出対象カートリッジ(ここではインクカートリッジCR1)を認識する。そして、主制御部40が副制御回路52に制御信号P1を送信すると、副制御回路52は、上述した6チャネルのスイッチで、サブ制御部50とインクカートリッジCR1とを電気的に接続する。そして、副制御回路52は、スイッチSW11及びSW12をONにする。こうすることで、主制御部40とインクカートリッジCR1の端子114とが電気的に接続されると共に、インクカートリッジCR1の端子115の電位が基準電位(GND)にされ、後述するセンサ駆動電圧DSを、端子114を介して圧電素子83に印加可能となる。
【0047】
かかる状態で、主制御部40は、駆動信号生成部41の処理として、センサ駆動電圧DSを出力する。本実施例においては、センサ駆動電圧DSは、最大36Vの電圧を有する台形のパルス信号である。ここでは、センサ駆動電圧DSは、駆動電圧の最大電位差ΔVcの中間の電位Vmidから1/2×ΔVcだけ上昇して最大電位Vmaxに達し、所定の維持期間を経てΔVcだけ下降して最小電位Vminに至り、さらに、所定の維持期間を経て再び1/2×ΔVcだけ上昇して電位Vmidに戻る波形を有している。ただし、センサ駆動電圧DSの波形は、このような波形に限るものではなく、例えば、最小電位VminからΔVc分上昇して最大電位Vmaxに達し、所定の維持期間を経てΔVc分下降して最小電位Vminに戻る波形であってもよい。こうして、圧電素子83には、センサ駆動電圧DSが印加される。センサ駆動電圧DSの印加が終了した後、主制御部40は、制御信号P2を発生させる。制御信号P1が発生されるタイミングから制御信号P2が発生されるまでの期間を駆動電圧印加期間T1と呼ぶ。
【0048】
副制御回路52は、制御信号P2を受信したタイミングで、スイッチSW11,SW12をOFFにする。これにより、端子114及び115は、主制御部40またはGNDと切り離され、解放状態となる。その結果、圧電素子83は振動を励起される。
【0049】
駆動電圧印加期間T1終了後、センサ駆動電圧DSによって振動を励起された圧電素子83は、振動に伴う歪みに応じて、逆起電力を発生する。圧電素子83は、発生した逆起電力を、端子114及び端子115を介して出力信号SG1,SG2として出力する。端子114から出力される出力信号SG1と、端子115から出力される出力信号SG2とは、図4に示すように、逆位相である。
【0050】
制御信号P2の出力後、待機期間T2をおいて、主制御部40は、制御信号P3を発生させる。副制御回路52は、制御信号P3を受信したタイミングで、差動アンプ54をONにする。この結果、出力信号SG1は、可変容量回路53が接続された第1の信号線L1を介して差動アンプ54に入力され、出力信号SG2は、調整回路57が接続された第2の信号線L2を介して差動アンプ54に入力される。
【0051】
出力信号SG1,SG2が入力されると、差動アンプ54は、入力された出力信号SG1及びSG2の差分を増幅した出力信号SGを副制御回路52に出力する。副制御回路52は、差動アンプ54から出力された出力信号SGをAD変換し、デジタル信号を生成する。副制御回路52は、デジタル化された出力信号SGが所定回数立ち上がるのに要する期間T3(以下、測定期間T3という。)を測定する。測定期間T3の測定は、測定期間T3に含まれるクロック信号のパルス数をカウントすることによって実行される。そして、副制御回路52は、測定された測定期間T3に基づいて、出力信号SGの周波数Hを算出する。周波数Hは、圧電素子83が振動する固有振動数に等しい。副制御回路52は、算出した周波数Hを主制御部40に出力する。
【0052】
主制御部40は、周波数Hを取得すると、インク残量判断部42の処理として、取得した周波数Hに基づいて、インクカートリッジCR1のインク残量を判定する。ここで、圧電素子83は、センサ80が設置されるインク流路にインクが充填された状態と、インクが無い状態とでは、異なる固有振動数で振動する。すなわち、ここでいう圧電素子83の固有振動数とは、圧電素子83ごとに1つに定まる値ではなく、センサ80が設置されるインク流路の影響を受けて定まる値であり、インクの有無に応じて変化する値である。例えば、本実施例におけるインクカートリッジCR1において、センサ80は、インク有り時において第1の固有振動数H1(例えば、約30KHz)で振動し、インク無し時において第2の固有振動数H2(例えば、約110KHz)で振動する。このような振動特性は、インクカートリッジの形状、材質、インクの材質等、種々の要因によって変化するものであって、上述の値に限られるものではない。主制御部40は、こうした特性を利用して、取得した周波数Hが、第1の固有振動数H1とほぼ等しい場合には、インクカートリッジCR1のインク残量は所定量以上である(インク有り)と判断し、取得した周波数Hが、第2の固有振動数H2とほぼ等しい場合には、インク残量は所定量未満(インク無し)であると判断するのである。
【0053】
このようにして、インクカートリッジCR1のインク残量を判断し、その結果がインク無しであれば、主制御部40は、操作パネル92のディスプレイにインクカートリッジCR1の交換をユーザーに促すためのメッセージを表示する。また、主制御部40は、その結果をコンピュータPCに送信する。これを受けて、コンピュータPCは、同様のメッセージをディスプレイに表示する。
【0054】
A−4.可変容量回路53及び調整回路57の詳細:
可変容量回路53及び調整回路57の詳細について説明する前に、上述したインク残量検出処理の課題について説明する。プリンター20においては、インクジェット式プリンター特有の問題として、インクカートリッジCR1に充填されたインクがアンテナとなって、センサ80の電極81及び82からノイズが混入することが想定される。こうしたノイズ源を本願では、インク受信ノイズ源Nという。
【0055】
インク受信ノイズ源Nから電極81を介して端子114に至る第1の経路(P極側)の等価回路を図5(a)に示す。第1の経路では、図示するように、インク受信ノイズN源は、絶縁体84及び圧電素子83を介して、端子114に接続される。ここで、絶縁体84及び圧電素子83は誘電体であるため、キャパシタとしての性質を有している。したがって、第1の経路の等価回路は、インク受信ノイズ源Nと端子114との間に、絶縁体84に相当するキャパシタCpと、圧電素子83に相当するキャパシタCAとが直列に接続された構成となる。一方、インク受信ノイズ源Nから電極82を介して端子115に至る第2の経路(N極側)の等価回路を図5(b)に示す。第2の経路では、図示するように、圧電素子83が存在しない。したがって、第2の経路の等価回路は、インク受信ノイズ源Nと端子115との間に、絶縁体84に相当するキャパシタCpのみが直列に接続された構成となる。
【0056】
このように、インク受信ノイズ源Nから混入するノイズに対しては、差動アンプ54の入力のうちの、P極側の経路とN極側の経路とでは、キャパシタとしてのフィルタ特性が異なることとなる。その結果、インク受信ノイズ源Nから混入するノイズを差動アンプ54で完全に除去することができず、精度の良いインク残量の検出が行えないという課題を生じることとなる。
【0057】
以上の課題を踏まえ、可変容量回路53及び調整回路57の詳細について説明する。本実施例のプリンター20における、インク受信ノイズ源Nから差動アンプ54に至るまでの2つの入力経路についてのフィルタ等価回路を図6に示す。P極側の経路では、インク受信ノイズ源Nから差動アンプ54の入力の間に、インク受信ノイズ源N側から順に、キャパシタCp、キャパシタCAが直列に接続され、キャパシタCAと差動アンプ54との間に、キャパシタCBpとキャパシタCb2とが、その一端がGNDに接続されるように接続されている。キャパシタCBpは、ASIC51の寄生容量である。
【0058】
一方、N極側の経路では、インク受信ノイズ源Nから差動アンプ54の入力の間に、インク受信ノイズ源N側から順に、キャパシタCp、調整回路57のキャパシタCaが直列に接続されている。また、キャパシタCpとキャパシタCaの間には、キャパシタCBnが、その一端がGNDに接続されるように接続されており、キャパシタCaと差動アンプ54との間には、調整回路57のキャパシタCbが、その一端がGNDに接続されるように接続されている。キャパシタCBnは、ASIC51の寄生容量である。
【0059】
本実施例における各キャパシタの容量は、Cpが82pF、キャパシタCAが100〜500pF程度、キャパシタCBp及びCBnが18pFである。キャパシタCAの容量を所定の範囲で例示しているのは、キャパシタCAの容量は、個体差が比較的大きいからである。ここで、調整回路57を構成するキャパシタCaの容量は、P極側のキャパシタCAとほぼ同一と想定される容量となっており、キャパシタCbの容量はP極側のキャパシタCBpとほぼ同一と想定される容量となっている。このように、調整回路57(キャパシタCa及びキャパシタCb)を設けることで、プリンター20が可変容量回路53を備えていない場合において、差動アンプ54に入力される2つの経路のフィルタ特性を極力均一にして、すなわち、インク受信ノイズ源Nから混入するノイズへの影響を両経路で同じにして、上述の課題を解決することができる。なお、かかる等価回路において、キャパシタCBnのGNDと反対側の一端は、キャパシタCpのインク受信ノイズ源Nと反対側の一端と同一電位であるため、ノイズへの影響を考慮する必要は無いので、キャパシタCaの容量がキャパシタCAと同一であり、キャパシタCbの容量がキャパシタCBpと同一の容量であれば、P極側の経路及びN極側の経路のフィルタ特性は、同一となる。
【0060】
しかし、このように、調整回路57を設けたとしても、上述したように、キャパシタCAの容量は個体差が比較的大きいために、キャパシタCAの容量を正確に想定することは困難である。すなわち、P極側の経路及びN極側の経路のフィルタ特性を完全に同一にすることはできない。こうしたことから、本実施例においては、主に、キャパシタCAの実際の容量と想定容量との誤差を較正するために、可変容量回路53が設けられている。具体的には、可変容量回路53のスイッチSW1〜SWnの接続状態を制御して、P極側の経路におけるキャパシタCA、CBp及びCb2の合計の容量と、N極側の経路におけるキャパシタCa及びCbの容量の合計とをほぼ同じとするために、可変容量回路53が設けられている。かかるスイッチSW1〜SWnの接続状態の制御は、後述する容量較正処理及び本発明のインク残量検出処理において明らかにする。
【0061】
本実施例においては、キャパシタCAの容量は200%程度のばらつきがあるため、キャパシタCb2の最大容量(SW1〜SWnの全てがONの場合)である{2×2(n-1)-1}Cが、そのばらつきに対応可能な値となるように、スイッチSW1の容量Cを設定する。なお、本実施例では、可変容量回路53が備えるキャパシタ及びスイッチの数nはn=4としたが、nを大きくすれば、容量Cを小さくできるので、すなわち、キャパシタCb2の設定可能な容量の各値のピッチを小さくすることができるので、P極側の経路及びN極側の経路のフィルタ特性の違いを、より細かく制御することができる。nの値は、求められる検出精度とコスト、実装スペースの制約などに応じて、適宜設定すればよい。また、キャパシタCbの容量は、キャパシタCBpの容量よりも大きいと想定される値で設定する。このように設定するのは、N極側のキャパシタCa及びCbの容量を、P極側のキャパシタCA及びCBpの容量よりも大きくするためである。
【0062】
A−5.容量較正処理:
インク残量検出システム25における容量較正処理について、図7を用いて説明する。容量較正処理とは、差動アンプ54への2つの入力経路におけるフィルタ特性の違いを較正するために、インクカートリッジCR1〜CR6の8センサ80の特性に応じて可変容量回路53のスイッチSW1〜SWnの接続状態を設定する処理、すなわち、キャパシタCb2の容量を設定する処理である。この処理は、プリンター20の電源が投入された時点で開始される。容量較正処理が開始されると、副制御回路52は、所定のイベントの発生を待機する(ステップS210)。
【0063】
所定のイベントとは、プリンター20の使用環境が変化する可能性があることを少なくとも推認可能なイベントである。ここでの使用環境とは、キャパシタのフィルタ特性が変化する環境条件、例えば、温度、湿度などをいう。本実施例では、所定のイベントは、プリンター20の電源投入、プリンター20の省電力モードからの復帰とし、副制御回路52は、主制御部40から所定の信号を受け取ることで、当該イベントを検知することとした。
【0064】
所定のイベントを検知すると(ステップS210:YES)、副制御回路52は、装着されたインクカートリッジCR1〜CR6の中から1つのインクカートリッジを選択し、第1及び第2の切り替えスイッチを制御して、当該選択したインクカートリッジとサブ制御部50とを電気的に接続する(ステップS220)。本実施例では、最初に選択されるインクカートリッジは、インクカートリッジCR1とした。
【0065】
インクカートリッジと接続すると、副制御回路52は、メモリに記憶された第1の固有振動数H1を示す情報を含む制御信号を較正用信号源TNに与え、較正用信号源TNに、周波数H1の較正用信号を発信させる(ステップS230)。周波数H1の較正用信号を発信させると、副制御回路52は、スイッチSW1〜SWnにスイッチ制御信号を与え、その接続状態を順次切り替えながら、差動アンプ54の出力値をそれぞれ記憶する(ステップS240)。本実施例では、スイッチSW1〜SWnは、各スイッチのON/OFFについての全ての組み合わせについて接続が切り替えられる。例えば、n=4であれば、16通りの接続状態が切り替えられることとなる。
【0066】
そして、副制御回路52は、記憶した出力値の中で、最も小さな最小出力値を判断し、当該最小出力値を出力した際のスイッチSW1〜SWnの接続状態に対応するキャパシタCb2の容量Cb21を記憶する(ステップS250)。容量Cb21は、インク有り時にセンサ80から出力される出力信号SG1,SG2の周波数である周波数H1の信号が差動アンプ54に入力される際に、差動アンプ54への2つの入力経路におけるフィルタ特性を最も均一にできるキャパシタCb2の容量である。
【0067】
容量Cb21を記憶すると、副制御回路52は、メモリに記憶された第2の固有振動数H2を示す情報を含む制御信号を較正用信号源TNに与え、較正用信号源TNに、周波数H2の較正用信号を発信させる(ステップS260)。なお、本実施例では、ステップS220及びS250において、較正用信号源TNに発信させる較正用信号は、インク受信ノイズ源Nからの混入が想定されるノイズよりも十分に大きな信号である。こうすれば、容量較正処理の途中で、インク受信ノイズ源Nからノイズが混入しても、その影響を小さくできるからである。
【0068】
周波数H2の較正用信号を発信させると、副制御回路52は、上記ステップS230と同様に、スイッチSW1〜SWnの接続状態を順次切り替えながら、差動アンプ54の出力値をそれぞれ記憶する(ステップS270)。そして、副制御回路52は、ステップS260で記憶した出力値の中で、最も小さな最小出力値を判断し、当該最小出力値を出力した際のスイッチSW1〜SWnの接続状態に対応するキャパシタCb2の容量Cb22を記憶する(ステップS280)。容量Cb22は、インク無し時にセンサ80から出力される出力信号SG1,SG2の周波数である周波数H2の信号が差動アンプ54に入力される際に、差動アンプ54への2つの入力経路におけるフィルタ特性を最も均一にできるキャパシタCb2の容量である。
【0069】
容量Cb22を記憶すると、副制御回路52は、記憶した容量Cb21,Cb22及び調整係数αを用いて、次式(1)により、合成容量Cb23を算出する(ステップS290)。ここで、調整係数α(0≦α≦1)は、容量Cb21及びCb22の重み付けを表す係数である。なお、合成容量Cb23が整数でない場合には合成容量Cb23の値の小数点以下を四捨五入したり、切捨てしたりして、整数化処理を行う。
Cb23=α×Cb21+(1−α)×Cb22・・・(1)
【0070】
本実施例においては、調整係数αは、0.5<α<1の範囲、例えば、α=0.7で設定するものとした。要するに、容量Cb21の重み付けを容量Cb22よりも重くするのである。換言すれば、インク有り時における差動アンプ54への2つの入力経路のフィルタ特性の均一性を、インク無し時におけるそれよりも重視するのである。こうして、合成容量Cb23は、容量Cb21と容量Cb22との間の容量Cb21に近い側の値で設定されることとなる。容量Cb21の重み付けを容量Cb22よりも重くするのは、インク有り時の方が、インク無し時よりも、インク受信ノイズ源Nから差動アンプ54の入力経路にノイズが混入しやすいからである。
【0071】
合成容量Cb23を算出すると、副制御回路52は、キャパシタCb2の容量が合成容量Cb23となるスイッチSW1〜SWnの接続状態を示す情報(以下、スイッチ制御情報という)を、カートリッジの識別情報(例えば、インクカートリッジCR1であることを示す情報)と対応付けて、副制御回路52のメモリに記憶する(ステップS300)。なお、スイッチ制御情報は、スイッチごとのON/OFF情報であってもよいし、合成容量Cb23の値であってもよい。また、スイッチ制御情報の記憶場所は、副制御回路52のメモリに限らず、副制御回路52は、スイッチ制御情報を主制御部40に出力し、主制御部40がスイッチ制御情報をEEPROMなどに記憶してもよい。
【0072】
スイッチ制御情報を記憶すると、副制御回路52は、全てのインクカートリッジについて、ステップS220〜S300の処理を繰り返す(ステップS310)。こうして、容量較正処理は終了となり、副制御回路52は、処理を元に戻す。なお、スイッチSW1〜SWnは寄生容量として作用するが、上述の容量較正処理によれば、当該寄生容量の影響も反映させて、P極側とN極側のフィルタ特性を均一化できるスイッチSW1〜SWnの接続状態を求めることができる。
【0073】
A−6.本発明のインク残量検出処理:
インク残量検出システム25を用いた本発明のインク残量処理について図8を用いて説明する。本発明のインク残量検出処理は、従来のインク残量処理と同様のタイミングで開始される。本発明のインク残量処理が開始されると、主制御部40は、まず、インクカートリッジCR1〜CR6の中から検出対象カートリッジを選択する(ステップS410)。インクカートリッジを選択すると、副制御回路52は、上述した容量較正処理のステップS300で記憶した、選択したインクカートリッジに対応するスイッチ制御情報を読み込む(ステップS420)。
【0074】
スイッチ制御情報を読み込むと、主制御部40は、副制御回路52にスイッチ制御信号を与えて、可変容量回路53のスイッチSW1〜SWnの接続状態を、ステップS420で読み込んだスイッチ制御情報に対応する状態に設定する(ステップS430)。スイッチSW1〜SWnの接続状態を設定すると、主制御部40は、選択したインクカートリッジに対して、上述した従来のインク残量検出処理により、インク残量の検出を行う(ステップS440)。そして、副制御回路52は、全てのインクカートリッジについて、ステップS410〜S440の処理を繰り返す(ステップS450)。こうして、本発明のインク残量検出処理は終了となる。
【0075】
A−7.効果:
上述したインク残量検出システム25において、差動アンプ54の入力には、2つの入力経路のフィルタ特性を較正するための調整回路57と可変容量回路53とが接続されている。また、インク残量検出システム25には、調整回路57と端子105との間に、較正用信号源TNが接続されている。インク残量検出システム25は、容量較正処理によって、較正用信号源TNから差動アンプ54に較正用信号を入力しながら、可変容量回路53のスイッチSW1〜SWnを順次ON/OFFし、差動アンプ54の出力が相対的に小さくなるようにスイッチSW1〜SWnの接続状態(キャパシタCb2の容量)を設定するので、調整回路57だけが接続されている場合と比べて、2つの入力経路のフィルタ特性の較正精度を高めることができる。その結果、インク残量検出処理によって、インク受信ノイズ源Nから混入し、フィルタ特性が異なる2つの経路を介して差動アンプ54に入力されるノイズを好適に除去し、インク残量検出処理における検出精度を高めることができる。
【0076】
また、インク残量検出システム25は、インク有り時のセンサ80からの出力信号SG1,SG2の周波数である周波数H1の較正用信号や、インク無し時のセンサ80の出力信号SG1,SG2の周波数である周波数H2の較正用信号を用いて、すなわち、インク残量検出処理における周波数条件を反映させて、容量較正処理を行うので、インク残量検出処理における検出精度を向上させることができる。また、2種類の周波数の信号が差動アンプ54に入力される場合を考慮して、2つの入力経路のフィルタ特性を均一化するので、インク有り時、インク無し時のいずれに対しても、インク残量検出処理における検出精度を高めることができる。
【0077】
また、インク受信ノイズ源Nからノイズが相対的に混入しやすいインク有り時の検出精度を、インク受信ノイズ源Nからノイズが相対的に混入しにくいインク無し時の検出精度よりも重視して、スイッチSW1〜SWnの接続状態を設定するので、好適にノイズの影響を除去することができる。
【0078】
また、インク残量検出システム25は、較正用信号源TNを備えているので、プリンター20の工場出荷段階のみならず、プリンター20によるユーザーの使用段階においても、容量較正処理を行うことができる。したがって、プリンター20の使用環境、例えば、温度や湿度が大きく変化して、キャパシタのフィルタ特性が変化したとしても、その使用環境に応じて適切に、差動アンプ54の2つの入力経路のフィルタ特性を均一化することができる。
【0079】
また、可変容量回路53は、可変容量回路53を構成するキャパシタC1〜Cnの容量が比較的小さく、集積回路であるASIC51内に設けられているので、集積回路外部に設ける場合と比べて、低コスト化することができる。
【0080】
また、インク残量検出システム25において、可変容量回路53を構成するキャパシタC1〜Cnの容量は、i番目のキャパシタCiの容量が2(i-1)Cとなるように設定されている。したがって、スイッチSW1〜SWnのON/OFFを切り替えることで、接続されたキャパシタの合計の容量を、値0から値2×2(n-1)−1までの全ての整数にCを乗じた値のいずれかに効率的に制御可能である。また、キャパシタC1〜Cnの最小容量Cを単位として、精度良く、フィルタ特性の較正を行うことができる。
【0081】
また、インク残量検出システム25において、較正用信号源TNの発信する較正用信号は、方形波であり、その周波数は、値2pで構成されるので、簡単な較正用信号源TNの構成で、容易に、デジタルパルスを生成することができる。
【0082】
また、インク残量検出システム25は、プリンター20の使用環境が変化する可能性がある場合に、副制御回路52が容量較正処理を行うので、使用環境の変化によって差動アンプ54への2つの入力経路のキャパシタとしてのフィルタ特性の違いが変化しても、その変化に追随することができる。したがって、使用環境が変化しても、液体残量の検出精度を向上させることができる。
【0083】
B.変形例:
上述の実施形態の変形例について説明する。
B−1.変形例1:
上述の実施形態においては、可変容量回路53は、第1の信号線L1(P極)側に接続する構成について示したが、キャパシタCb及びCBpの容量の大小関係やキャパシタCaの容量の設定値によっては、第2の信号線L2(N極)側に接続してもよい。もちろん、P極側とN極側の両方に可変容量回路53が接続されていても差し支えない。各キャパシタの容量を考慮して、P極側及びN極側のフィルタ特性が均一化できる側に、可変容量回路53を接続すればよいのである。また、調整回路57についても、第1の信号線L1側、第2の信号線L2側の両方に接続されていてもよい。
【0084】
また、可変容量回路53がN極側に接続される場合、可変容量回路53は、差動アンプ54と調整回路57との間に接続されるから、較正用信号源TNは、上述の実施形態と同様に、調整回路57と端子105との間に接続されていればよい。較正用信号源TNは、較正用信号源TNから差動アンプ54に至る2つのフィルタ等価回路の構成が同一になる位置に接続できればよいのである。
【0085】
B−2.変形例2:
上述の実施形態においては、可変容量回路53を構成するキャパシタC1〜Cnの容量は、i番目のキャパシタCiの容量が2(i-1)Cとなるように設定したが、キャパシタCiの容量は、かかる例に限らず、適宜設定すればよい。例えば、キャパシタC1〜Cnの容量は、全て同一としてもよい。
【0086】
B−3.変形例3:
上述の実施形態においては、インク残量検出システム25は、液体残量検出システムの使用環境が変化する可能性があることを少なくとも推認可能なイベントを検知した際に、容量較正処理を実行する構成について示したが、容量較正処理の実行契機は、かかる例に限るものではない。例えば、操作パネル92を用いたユーザー操作を受け付けて実行してもよいし、インク残量検出処理を行う前に実行してもよい。また、プリンター20が温度センサや湿度センサを備えている場合には、これらのセンサによって直接的に使用環境の変化を検知したとき、例えば、温度や湿度が所定範囲を超えて変化したことを検知したときに実行してもよい。なお、インク残量検出処理を行う前に容量較正処理を実行する場合には、カートリッジごとに、容量較正処理を行って、続けてインク残量算出処理を行ってもよい。こうすれば、副制御回路52は、スイッチ制御情報を記憶する必要が無い。
【0087】
B−4.変形例4:
上述の実施形態においては、周波数の異なる2種類の信号を用いて、容量較正処理を行う較正について示したが、用いる信号は1種類であってもよい。例えば、インク受信ノイズ源Nからノイズが混入しやすい、インク有り時のセンサ80出力信号SG1,SG2と同じ周波数である周波数H1の信号のみを用いてもよい。こうすれば、より簡単な較正で容量較正処理を行えるので、サブ制御部50の演算負荷の低減、処理時間の短縮化などに資する。
【0088】
また、インク残量検出処理において、インク有り、またはインク無しのいずれかの検出結果を得た場合に、当該検出結果に対応する1つの周波数を用いて、容量較正処理を行った後、再度、インク残量検出処理を行ってもよい。例えば、インク有りに対応する周波数H1の信号のみを用いて容量較正処理を行った後に、インク残量検出処理においてインク無しの検出結果を得た場合には、再度、インク無しに対応する周波数H2の信号のみを用いて容量較正処理を行い、インク残量検出処理をやり直して、1回目の検出結果を検証してもよい。こうすれば、インク残量処理の検出精度を高めることができる。
【0089】
また、プリンター20に装着されるインクカートリッジCR1〜CR6が、ICチップなどの記憶媒体を備え、当該記憶媒体に、インクカートリッジの型式、インクの種類等の識別情報が記憶されている場合には、主制御部40が記憶媒体から識別情報を読み取って、当該識別情報に対応する1種類または2種類の周波数の信号を較正用信号源TNに発信させてもよい。この場合、主制御部40は、EEPROMに、識別情報と振動数とを対応付けたテーブルを記憶していてもよい。また、インクカートリッジの記憶媒体に、容量較正処理で用いる信号の周波数を示す情報を記憶しておき、主制御部40は、これを読み込んで、当該周波数の信号を較正用信号源TNに発信させてもよい。
【0090】
B−5.変形例5:
上述の実施形態においては、容量較正処理において、キャパシタCb2の容量は、容量Cb21及びCB22を所定の重み付けで合成した合成容量Cb23に設定したが、かかる重み付けは、必須ではない。例えば、キャパシタCb2の容量は、容量Cb21及びCB22の間の任意の値に設定してもよい。
【0091】
B−6.変形例6:
上述の実施形態では、容量較正処理において、センサ80の第1の固有振動数H1及び第2の固有振動数H2と等しい周波数である周波数H1及び周波数H2の較正用信号を用いたが、較正用信号源の周波数は、これに限られるものではない。例えば、周波数H1,H2から10%の変動範囲にある周波数を用いてもよいし、任意の周波数を用いてもよい。こうしても、一定の効果を得ることができる。
【0092】
B−7.変形例7:
上述の実施形態においては、可変容量回路53は、ASIC51に含まれる構成としたが、ASIC51の外部に設けてもよい。また、可変容量回路53は、複数のキャパシタとスイッチとから構成されることに限らず、1つの可変コンデンサなどとしてもよい。可変容量回路53は、一端がGNDに接続された、容量の変更が可能なキャパシタであればよい。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態における本発明の構成要素のうち、独立クレームに記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、本発明はこうした実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、本発明は、実施例に示したインクジェット式プリンターとしての構成のほか、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体を含む)を噴霧する液体噴霧装置としての構成も可能である。
【符号の説明】
【0094】
20…プリンター
30…キャリッジ
31…紙送りモーター
32…プラテン
33…キャリッジモーター
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリー
40…主制御部
41…駆動信号生成部
42…インク残量判断部
50…サブ制御部
51…ASIC
52…副制御回路
53…可変容量回路
54…差動アンプ
57…調整回路
60…印刷ヘッドユニット
62…カートリッジ装着部
66…インク導入部
68…印刷ヘッド
71…筐体
74…インク供給口
80…センサ
81,82…電極
83…圧電素子
84…絶縁体
92…操作パネル
93…インターフェース
100,110…端子板
104,105,114,115…端子
P…印刷媒体
PC…コンピュータ
CR1〜CR6…インクカートリッジ
N…インク受信ノイズ源
C1〜Cn,CA,CB,CBp,CBn,Ca,Cb,Cp,Cb2…キャパシタ
SW11,SW12,SW1〜SWn…スイッチ
TN…信号源
DS…センサ駆動電圧
SG,SG1,SG2…出力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴霧装置に供給する液体を収容する液体収容容器内に設けられたセンサからの出力信号を用いて、該液体収容容器における前記液体の充填状況を検出する液体残量検出システムであって、
前記センサと電気的に接続するための端子と、
前記センサから前記端子を介して入力される前記出力信号の差分を出力する差動アンプと、
容量を変更可能な容量可変キャパシタであって、該容量可変キャパシタの一方が前記端子から前記差動アンプに至る信号ラインに接続され、他方がグランドに接続された容量可変キャパシタと、
前記センサから前記差動アンプに至る2つの入力経路における、キャパシタとしてのフィルタ特性の差異を較正するための較正キャパシタと、
前記較正キャパシタと前記端子との間に接続され、較正用信号を生成し、前記差動アンプに入力する較正用信号源と、
前記容量可変キャパシタの容量を変化させながら、前記差動アンプに前記較正用信号を入力し、該差動アンプの出力が相対的に小さくなるように、前記容量可変キャパシタの容量を設定する制御部と
を備えた液体残量検出システム。
【請求項2】
請求項1記載の液体残量検出システムであって、
前記容量可変キャパシタは、
前記信号ラインとグランドとの間に介装される複数のキャパシタと、
前記複数のキャパシタの各々に設けられ、前記信号ライン及び前記グランドとの接続の少なくとも一方を入切するスイッチと
を備え、
前記制御部は、前記スイッチの接続状態を制御して、容量の制御を行う
液体残量検出システム。
【請求項3】
請求項2記載の液体残量検出システムであって、
前記複数のキャパシタの個数は、N(Nは2以上の整数)個であり、
前記N個のキャパシタは、n(nは1からNの整数)番目のキャパシタの静電容量が、n=1のキャパシタの静電容量である最小静電容量に2のn−1乗を乗じた値である
液体残量検出システム。
【請求項4】
前記容量可変キャパシタは、集積回路内に設けられた請求項1ないし請求項3のいずれか記載の液体残量検出システム。
【請求項5】
前記較正用信号源は、周波数の異なる複数の信号を生成可能である請求項1ないし請求項4のいずれか記載の液体残量検出システム。
【請求項6】
請求項5記載の液体残量検出システムであって、
前記複数の信号は、前記液体収容容器に前記液体が充填されている場合の前記センサの固有振動数と略等しい第1の周波数の信号と、前記液体収容容器に前記液体が充填されていない場合の前記センサの固有振動数と略等しい第2の周波数の信号である
液体残量検出システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6記載の液体残量検出システムであって、
前記較正用信号は、周波数の異なる複数の信号であり、
前記制御部は、前記複数の信号の各々に対して、前記容量可変キャパシタの容量を変化させながら、前記差動アンプに前記較正用信号を入力し、前記複数の信号のいずれに対しても、該差動アンプの出力が相対的に小さくなるように、前記容量可変キャパシタの容量を設定する
液体残量検出システム。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれか記載の液体残量検出システムであって、
前記較正用信号は、周波数の異なる複数の信号であり、
前記制御部は、前記複数の信号のうちの第1の信号を入力した場合に、前記差動アンプの出力が相対的に小さくなる前記容量可変キャパシタの容量である第1の容量と、前記複数の信号のうちの第2の信号を入力した場合に、前記差動アンプの出力が相対的に小さくなる前記容量可変キャパシタの容量である第2の容量とを所定の重み付けで合成した容量に、前記容量可変キャパシタの容量を設定する
液体残量検出システム。
【請求項9】
請求項8記載の液体残量検出システムであって、
前記第1の信号の周波数は、前記液体収容容器に前記液体が充填されている場合の前記センサの固有振動数と略等しく、
前記第2の信号の周波数は、前記液体収容容器に前記液体が充填されていない場合の前記センサの固有振動数と略等しく、
前記所定の重み付けは、前記第1の容量が前記第2の容量よりも重い
液体残量検出システム。
【請求項10】
前記較正用信号の周波数は、2のP乗(Pは整数)で表される請求項1ないし請求項9のいずれか記載の液体残量検出システム。
【請求項11】
前記較正用信号は、方形波である請求項1ないし請求項10のいずれか記載の液体残量検出システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記液体残量検出システムの使用環境が変化する可能性があることを少なくとも推認可能なイベントを検知した際に、前記容量可変キャパシタの容量の設定を行う請求項1ないし請求項11のいずれか記載の液体残量検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−210562(P2010−210562A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59363(P2009−59363)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】