説明

液体注入装置および給湯機

【課題】簡単な構成で、一方の液体を他の液体に持続的に注入することのできる液体注入装置およびこれを備えた給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の液体注入装置は、第1の液体が流れる第1の流路1の内部で回転可能に設置され、第2の流路2から供給される第2の液体で満たされる内部空間を有するローター301と、ローター301を回転させる駆動手段と、を備え、ローター301の少なくとも一部は、第2の液体が浸透可能な多孔質体で構成されており、ローター301の回転の遠心力により、内部空間の第2の液体が多孔質体からローター301の外側にしみ出て第1の流路1内に注入されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体注入装置およびこれを備えた給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる複数の液体の一方の液体(主液体)にもう一方の液体(注入液体)を混合する場合には、攪拌棒を回しながら注入液体を滴下混合する方法が簡便には実施されているが、長時間に渡って一定量の注入液体を注入する場合には、ホースポンプを搭載した注入装置、あるいはノズルと電磁弁とを複雑に制御する注入装置が必要である。これらの注入装置は、装置を構成するモーターやノズル、電磁弁が高価であり、電源と制御回路も必要であることや、大きな設置スペースが必要なことなどから、一般向けの家電機器への搭載は難しいと考えられる。
【0003】
下記特許文献1には、第1液を透過可能な多孔質の透過材により構成され内部を第2液の流路とした管状の透過部材と、この透過部材の外周に形成され、第1液を収納する第1液収納部とを備え、第1液収納部内の圧力と透過部材内の圧力との差によって、第1液を透過材を内側に浸入させて第2液に混合させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−309247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された従来の装置では、透過部材の第1液側の圧力が第2液側の圧力より高くないと、第1液を第2液に注入することができない。そこで、この装置では、第1液のヘッド(水頭)により第1液側の圧力を第2液側の圧力より高くしている。このため、第1液が消費されて減少したり、補給されて増加したりして、第1液のヘッドが変化すると、第1液側の圧力と第2液側の圧力との差が変化するので、第2液への第1液の注入速度が変化してしまう。この問題に対し、特許文献1には、第1液のタンクと第1液収納部との間にバルブを設け、第1液のヘッドが変化しても第1液側の圧力が一定となるように該バルブを制御することにより、注入速度を一定に保つことができる旨が記載されている。しかしながら、そのような制御を行うためには、バルブと圧力センサと制御装置とを設ける必要があり、構造が複雑化し、コストが増大する。また、第1液のヘッドが大きく低下した場合には、バルブを全開にしても、所望の注入速度が得られなかったり、注入が停止したりするおそれがある。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で、一方の液体を他の液体に持続的に注入することのできる液体注入装置およびこれを備えた給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液体注入装置は、第1の液体が流れる第1の流路の内部で回転可能に設置され、第2の流路から供給される第2の液体で満たされる内部空間を有するローターと、ローターを回転させる駆動手段と、を備え、ローターの少なくとも一部は、第2の液体が浸透可能な多孔質体で構成されており、ローターの回転の遠心力により、内部空間の第2の液体が多孔質体からローターの外側にしみ出て第1の流路内に注入されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成で、確実に、一方の液体を他の液体に持続的に注入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の液体注入装置の実施の形態1を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の液体注入装置の実施の形態1を示す模式的な斜視図である。
【図3】図1および図2に示す液体注入装置が備えるローターの斜視図である。
【図4】本発明の液体注入装置の実施の形態2を示す模式的な断面図である。
【図5】本発明の液体注入装置の実施の形態2を示す模式的な斜視図である。
【図6】図4および図5に示す液体注入装置が備えるローターの斜視図である。
【図7】本発明の液体注入装置の実施の形態3を示す模式的な断面図である。
【図8】本発明の液体注入装置の実施の形態3を示す模式的な平面図である。
【図9】図7および図8に示す液体注入装置が備えるローターの斜視図である。
【図10】本発明の液体注入装置の実施の形態4を示す模式的な平面図である。
【図11】図10に示す液体注入装置が備えるローターの斜視図である。
【図12】本発明の液体注入装置の実施の形態4を示す模式的な断面図である。
【図13】本発明の液体注入装置の実施の形態4を示す模式的な断面図である。
【図14】本発明の液体注入装置の実施の形態5を示す模式的な断面図である。
【図15】本発明の液体注入装置の実施の形態5を示す模式的な斜視図である。
【図16】本発明の液体注入装置の実施の形態6を示す模式的な断面図である。
【図17】本発明の液体注入装置の実施の形態7を示す模式的な斜視図である。
【図18】本発明の液体注入装置を備えた給湯機の実施の形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の液体注入装置の実施の形態1を示す模式的な断面図である。図2は、本発明の液体注入装置の実施の形態1を示す模式的な斜視図である。これらの図に示す本実施形態の液体注入装置10Aは、主液体(第1の液体)が流れる主配管1(第1の流路)の内部で回転可能に設置されたローター301を有している。ローター301を収納する部分の主配管1の径は、その前後における主配管1の径より大きくされている。
【0012】
ローター301は、一端が閉じられた有底の略円筒形状をなしている。ローター301の内部空間は、注入配管2に連通している。注入配管2は、主配管1の外部から主配管1の管壁を貫通して主配管1の内部に入り、ローター301の開放端側に接続されている。ローター301の内部空間は、注入配管2から供給される第2の液体(以下、「注入液体」と称する)で満たされている。注入配管2とローター301との接続部分には、メカニカルシール5が設けられている。このメカニカルシール5により、注入配管2に対してローター301が回転可能に支持されているとともに、注入配管2とローター301との接続部分の液密性が確保されている。
【0013】
ローター301は、注入液体が浸透可能な多孔質体で構成されている。本実施形態では、ローター301の全体が多孔質体で構成されているが、本発明では、ローター301の少なくとも一部が多孔質体で構成されていればよい。その場合、ローター301の円筒面部分の壁を多孔質体で構成することが望ましい。ローター301の内部空間に満たされている注入液体は、毛細管現象により、ローター301を構成する多孔質体中に浸透し、吸収保持される。
【0014】
図3は、ローター301の斜視図である。図3に示すように、ローター301の外周面側には、羽根401が設けられている。図示の構成では、羽根401は螺旋状に形成されている。主配管1内を主液体が流れると、その流れを羽根401が受けることにより、ローター301が回転する。このローター301の回転の遠心力により、ローター301を構成する多孔質体中に吸収保持されていた注入液体がローター301の外側にしみ出す。このようにして、注入液体が主配管1内に注入され、主液体と接触、混合される。
【0015】
このように、本実施形態の液体注入装置10Aによれば、主配管1内を主液体が流れるのに伴って、ローター301が回転することにより注入液体を持続的に注入することができる。また、バルブや制御装置などが不要な簡単な構造であり、低コストで実現することができる。特に、本実施形態では、ローター301を回転させる電気モータ等のアクチュエータが不要であるので、構造が極めて簡単であり、低コストで、且つ、故障のおそれも少ない。
【0016】
また、本実施形態は、羽根401が主配管1内の主液体の流れを受けることによってローター301を回転させるので、ローター301は主液体の流速に応じて回転する。すなわち、主液体の流速が速くなるにつれて、ローター301の回転速度も速まる。ローター301の回転速度が速くなるほど、遠心力が強くなるので、ローター301からしみ出る注入液体の量が多くなる。このように、主液体の流速(流量)が高くなるほど、注入液体の注入量が多くなる。このため、主液体の流速にかかわらず、主液体に対して注入液体をほぼ一定の濃度で注入することができる。
【0017】
図1および図2に示すように、ローター301の底部側(閉塞端側)には、複数の永久磁石602が周方向に沿って間隔をあけて設置されている。また、主配管1の外側には、永久磁石602に対して反発する位置に、リング状の永久磁石601が設置されている。本実施形態では、ローター301の一方の端部のみがメカニカルシール5によって支持されている。これに対し、メカニカルシール5によって支持されていない側のローター301の端部では、永久磁石602と、主配管1側に設置された永久磁石601との間に反発力が作用することにより、ローター301と主配管1の内面との間隔を確実に保持することができる。すなわち、ローター301と主配管1の内面との接触を確実に防止することができる。
【0018】
実施の形態2.
次に、図4乃至図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0019】
図4は、本発明の液体注入装置の実施の形態2を示す模式的な断面図である。図5は、本発明の液体注入装置の実施の形態2を示す模式的な斜視図である。これらの図に示す本実施形態の液体注入装置10Bが備えるローター302は、両端が開放した略円筒形状をなしている。主配管1内には、2本の注入配管2が引き込まれている。一方の注入配管2はローター302の一端に対しメカニカルシール5を介して接続され、他方の注入配管2はローター302の他端に対しメカニカルシール5を介して接続されている。
【0020】
図6は、ローター302の斜視図である。図6に示すように、ローター302の外周面側には、ブレード状をなす複数の羽根402が間隔をあけて配置されている。この羽根402の機能は、実施の形態1の羽根401と同様である。
【0021】
本実施形態によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、次のような効果が得られる。本実施形態では、ローター302に2本の注入配管2が接続されているので、一方の注入配管2を入り側とし、他方の注入配管2を出側とすることにより、注入液体を循環させることが可能となる。このため、注入液体に含まれる微少な異物などがローター302の内部に溜まることを確実に防止することができる。また、ローター302の両端がメカニカルシール5によって支持されているので、実施の形態1における永久磁石601,602に相当するような部材を設ける必要がなく、ローター302を正確な位置に確実に保持することができる。
【0022】
実施の形態3.
次に、図7乃至図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0023】
図7は、本発明の液体注入装置の実施の形態3を示す模式的な断面図である。図8は、本発明の液体注入装置の実施の形態3を示す模式的な平面図である。これらの図に示す本実施形態の液体注入装置10Cが備えるローター303は、全体形状として、直径が回転軸方向の長さより大きい円盤状をなしている。ローター303は、両端が開放した円筒形状の多孔質体303aの一方の端面に円板形状の天板303bが接合され、他方の端面に円板形状の底板303cが接合された構成となっている。天板303bおよび底板303cは、多孔質体で構成されていてもよいし、多孔質体ではない材料(注入液体が浸透しない材料)で構成されていてもよい。
【0024】
図8に示すように、主配管1の途中には、ローター303を収納するための略円柱形状のケーシング1cがローター303と同心的に形成されている。図7に示すように、注入配管2は、ケーシング1cの上面の中心を貫通して主配管1の内部に入り、ローター303の天板303bの中央に形成された開口と接続されている。注入配管2とローター303との接続部分には、メカニカルシール5が設けられている。ローター303の底板303cの外面側には、複数の羽根403が設置されている。羽根403は、主配管1内の主液体の流れに当たり得る位置に設けられている。図9は、ローター303の斜視図である。図9に示すように、複数の羽根403は、周方向に沿って等間隔で配置されている。
【0025】
主配管1内を主液体が流れると、その流れを羽根403が受けることにより、ローター303が図8中の矢印方向に回転する。このローター303の回転の遠心力により、多孔質体303a中に吸収保持されていた注入液体がローター303の外側にしみ出し、主配管1内に注入される。主液体の流速が速くなるにつれて、ローター303の回転速度も速まり、ローター303からしみ出る注入液体の量が多くなる。このため、主液体の流速にかかわらず、主液体に対して注入液体をほぼ一定の濃度で注入することができる。
【0026】
このように、本実施形態の液体注入装置10Cによれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。また、本実施形態では、ローター303の形状が、直径が回転軸方向の長さより大きい扁平な形状とされている。このため、円筒面部分に配置された多孔質体303a中に吸収保持された注入液体に遠心力がより強く作用する。このため、ローター303の回転速度が低い場合であっても、多孔質体303aから注入液体がしみ出し易いので、注入量をより多くすることができる。
【0027】
実施の形態4.
次に、図10乃至図13を参照して、本発明の実施の形態4について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0028】
図10は、本発明の液体注入装置の実施の形態4を示す模式的な平面図である。図11は、本発明の液体注入装置の実施の形態4が備えるローター304の斜視図である。図12および図13は、それぞれ、本発明の液体注入装置の実施の形態4を示す模式的な断面図である。
【0029】
これらの図に示す本実施形態の液体注入装置10Dが備えるローター304は、全体形状として、直径が回転軸方向の長さより大きい円盤状をなしている。図11に示すように、ローター304の外周面側には、複数の羽根404が等間隔で設置されている。図10に示すように、主配管1の途中には、略馬蹄形をなすケーシング1dが形成され、このケーシング1d内にローター304が収納されている。
【0030】
図12に示すように、ローター304は、有底円筒形状の多孔質体304aの開放端に円板形状の天板304bが接合された構成となっている。天板304bは、多孔質体で構成されていてもよいし、多孔質体ではない材料(注入液体が浸透しない材料)で構成されていてもよい。注入配管2は、ケーシング1dの上面を貫通して主配管1の内部に入り、ローター304の天板304bの中央に形成された開口に接続されている。注入配管2は、ローター304の回転軸としての機能を併せ持っており、ローター304と一体となって回転する。注入配管2は、メカニカルシール5を介して、ケーシング1dに対し回転可能かつ液密に支持されている。また、注入配管2は、ケーシング1d(メカニカルシール5)に対し、軸方向に摺動可能になっている。液体注入装置10Dは、注入配管2を軸方向に移動させる移動機構(図示せず)を備えている。その移動機構によって注入配管2をケーシング1d(メカニカルシール5)に対して軸方向に移動させることにより、ケーシング1d内でのローター304の位置を変化させることができる。
【0031】
ローター304が図12に示す位置にあるときには、羽根404の位置は、主液体の流れが弱い位置(淀み位置)になる。このため、羽根404が受ける力が弱く、ローター304の回転が停止するので、多孔質体304aからの注入液体のしみ出し(注入)も停止する。
【0032】
これに対し、ローター304が図13に示す位置にあるときには、羽根404の位置は、主液体の流れが強い位置になる。このため、ローター304が回転し、その遠心力により、多孔質体304a中に吸収保持されていた注入液体がローター304の外側にしみ出し、主配管1内に注入される。
【0033】
このように、本実施形態の液体注入装置10Dによれば、羽根404の位置を、主液体の流れが強い位置と弱い位置とに移動させることにより、注入液体の注入と停止とを切り替えることができる。また、羽根404の位置を、主液体の流れが強い位置と弱い位置との間で段階的または連続的に変化させるようにすれば、ローター304の回転速度を段階的または連続的に変化させることができるので、注入液体の注入速度を段階的または連続的に調節することができる。
【0034】
実施の形態5.
次に、図14および図15を参照して、本発明の実施の形態5について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0035】
図14は、本発明の液体注入装置の実施の形態5を示す模式的な断面図である。図15は、本発明の液体注入装置の実施の形態5を示す模式的な斜視図である。これらの図に示す本実施形態の液体注入装置10Eが備えるローター305は、実施の形態3のローター303とほぼ同様の構造である。ただし、本実施形態のローター305には、実施の形態3とは異なり、羽根が設けられていない。図14に示すように、ローター305の底面の中心には、駆動軸6の一端が接続されている。駆動軸6の他端側は、主配管1の途中に形成された、ローター305を収納するケーシング1eの下面を貫通してケーシング1eの外部に出ている。この駆動軸6の他端は、モーター7(外部動力)に接続されている。ケーシング1eと駆動軸6との軸受部は、メカニカルシール5により、回転可能かつ液密に構成されている。モーター7は、モーター7の回転速度を制御するモーター制御回路8に電気的に接続されている。
【0036】
このような本実施形態の液体注入装置10Eによれば、モーター7によってローター305を回転させることにより、ローター305の多孔質体部分から注入液体をしみ出させて主配管1内に注入することができる。このため、実施の形態1と同様の効果が得られる。更に、本実施形態では、ローター305を回転させるための羽根が不要であるので、ケーシング1eを小型化することができる。また、主液体の流れを羽根が妨げることがないので、主液体の圧力損失を小さくすることができる。また、モーター7の回転速度を制御することによってローター305の回転速度を調節することができるので、主液体の流速と無関係に注入液体の注入速度を制御することができる。
【0037】
実施の形態6.
次に、図16および図17を参照して、本発明の実施の形態6について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0038】
図16は、本発明の液体注入装置の実施の形態6を示す模式的な断面図である。図17は、本発明の液体注入装置の実施の形態6を示す模式的な斜視図である。これらの図に示す本実施形態の液体注入装置10Fが備えるローター306は、実施の形態3のローター303とほぼ同様の構造である。ただし、本実施形態のローター306には、実施の形態3とは異なり、羽根が設けられていない。ローター306の上面には、複数の永久磁石604が周方向に沿って間隔をあけて設置されている。主配管1の途中に形成された、ローター306を収納するケーシング1fの上方には、ローター306と同心的に回転可能な円板9が設けられている。円板9の下面には、複数の永久磁石603が周方向に沿って間隔をあけて設置されている。ローター306の永久磁石604と、円板9の永久磁石603とは、互いに磁力を作用することが可能な位置に配置されている。円板9は、モーター7の出力軸に取り付けられた円板11と接触している。モーター7により円板11が回転すると、その回転が円板9に伝達し、円板9が回転する。円板9および10は、摩擦伝動ではなく、歯車になっていてもよい。円板9が回転すると、その回転力が永久磁石603,604間の磁力を介して非接触でローター306に伝達し、ローター306が回転する。
【0039】
このような本実施形態の液体注入装置10Fによれば、モーター7によってローター306を回転させることにより、ローター306の多孔質体部分から注入液体をしみ出させて主配管1内に注入することができる。このため、実施の形態1と同様の効果が得られる。更に、本実施形態では、動力を非接触でローター306に伝達するので、駆動軸をケーシング1fに貫通させることが不要となる。
【0040】
実施の形態7.
次に、以上説明した本発明の液体注入装置を備えた給湯機の実施の形態について説明する。図18は、本発明の液体注入装置を備えた給湯機の実施の形態を示す構成図である。図18に示すヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプユニット21とタンクユニット22とを備えている。ヒートポンプユニット21には、圧縮機23、放熱器24、膨張弁25、および蒸発器26を冷媒配管27で接続して構成される冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)が設けられている。
【0041】
タンクユニット22は、貯湯タンク50と、浴槽35内の湯水を加熱するための追焚熱交換器31とを内蔵している。貯湯タンク50としては、上部に高温水が下部に低温水が温度層ごとに分離して蓄えられる積層式貯湯タンクが使用される。
【0042】
貯湯タンク50には、上部に温水導出口501および温水導入口503が、下部に水導入口502および水導出口504が、それぞれ設けられている。貯湯タンク50の下部の水導出口504からの水は、沸き上げ用送水ポンプ39により配管40を通ってヒートポンプユニット21の放熱器24に供給され、放熱器24で加熱された後、配管41を通って貯湯タンク50の上部の温水導入口503から貯湯タンク50内に戻される。沸き上げ用送水ポンプ39、配管40、放熱器24および配管41により貯湯回路を構成する。三方弁42はヒートポンプユニット21からの配管に温水を循環し凍結を防止する。混合弁43および44は、それぞれ、貯湯タンク50の温水導出口501から取り出されて供給される高温水と、水道等の水源から供給される低温水とを混合することにより、温度調節した湯を生成する。混合弁43から出た湯は、注水配管46、戻り配管37および往き配管38を通って、浴槽35に注入される。混合弁44から出た湯は、給湯口47へ供給される。
【0043】
追焚熱交換器31には、貯湯タンク50の温水導出口501から取り出された高温水が配管32を通って供給され、追焚熱交換器31で熱交換後、排出される。排出された水はタンク側送水ポンプ33により配管34を通って貯湯タンク50内に戻される。配管32、追焚熱交換器31、タンク側送水ポンプ33および配管34により追焚熱交換器31の一次側送水回路が形成される。追焚熱交換器31には、浴槽35からの湯水が風呂側送水ポンプ36により浴槽戻り配管37を通って供給され、追焚熱交換器31で熱交換されて加温された温水となる。その後、排出された温水は浴槽往き配管38を通って浴槽35内に戻される。浴槽戻り配管37、風呂側送水ポンプ36、追焚熱交換器31および浴槽往き配管38により追焚熱交換器31の二次側送水回路が形成される。
【0044】
注水配管46の途中には、本発明の液体注入装置48が配置されている。この液体注入装置48の構造は、例えば、前述した液体注入装置10A〜10Fの何れでもよい。液体注入装置48には、図示しない除殺菌液タンクまたは除殺菌液生成装置から、除殺菌効果を有する液体(以下、「除殺菌液」と称する)が供給される。液体注入装置48は、注水配管46を通る主液体としての湯水に対し、上記除殺菌液を注入液体として注入する。このようにして液体注入装置48から注水配管46を通る湯水に除殺菌液を持続的に注入することにより、除殺菌液と混合された湯水が、持続的に、浴槽戻り配管37、浴槽往き配管38を通って浴槽35内に供給される。これにより、浴槽戻り配管37、浴槽往き配管38の内部や、浴槽35内に、除殺菌液を含む湯水を持続的に接触させることができるので、これらを確実に除殺菌することができる。
【符号の説明】
【0045】
10A,10B,10C,10D,10E,10F 液体注入装置
1 主配管
1c,1d,1e,1f ケーシング
2 注入配管
5 メカニカルシール
6 駆動軸
7 モーター
8 モーター制御回路
9,11 円板
21 ヒートポンプユニット
22 タンクユニット
23 圧縮機
24 放熱器
25 膨張弁
26 蒸発器
27 冷媒配管
31 追焚熱交換器
33 タンク側送水ポンプ
35 浴槽
36 風呂側送水ポンプ
39 沸き上げ用送水ポンプ
42 三方弁
43 混合弁
44 混合弁
46 注水配管
47 給湯口
48 液体注入装置
50 貯湯タンク
301,302,303,304、305,306 ローター
303a,304a 多孔質体
303b,304b 天板
303c 底板
401,402,403,404 羽根
501 温水導出口
502 水導入口
503 温水導入口
504 水導出口
601,602,603,604 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体が流れる第1の流路の内部で回転可能に設置され、第2の流路から供給される第2の液体で満たされる内部空間を有するローターと、
前記ローターを回転させる駆動手段と、
を備え、
前記ローターの少なくとも一部は、前記第2の液体が浸透可能な多孔質体で構成されており、
前記ローターの回転の遠心力により、前記内部空間の前記第2の液体が前記多孔質体から前記ローターの外側にしみ出て前記第1の流路内に注入される液体注入装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記第1の流路内の前記第1の液体の流れを受けて前記ローターを回転させる羽根で構成される請求項1記載の液体注入装置。
【請求項3】
前記羽根を、前記第1の液体の流れが強い位置と、前記第1の液体の流れが弱い位置とに移動させる移動機構を備える請求項2記載の液体注入装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、外部動力により前記ローターを回転させる請求項1記載の液体注入装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記外部動力の力を磁力を介して前記ローターに伝えることにより前記ローターを非接触で回転させる請求項4記載の液体注入装置。
【請求項6】
前記ローターは、略円筒形状をなしており、
前記多孔質体は、少なくとも前記ローターの円筒面部分に配置されている請求項1乃至5の何れか1項記載の液体注入装置。
【請求項7】
前記ローターの直径は、前記ローターの回転軸方向の長さより大きい請求項1乃至6の何れか1項記載の液体注入装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項記載の液体注入装置を備え、
所定の液体を前記液体注入装置により所定箇所に注入可能である給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−135732(P2012−135732A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290360(P2010−290360)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】