説明

液体混注具

【課題】 内部に液体や空気が滞留し難くなる液体混注具を提供すること。
【解決手段】 チャンバー部11と、主上流分岐管12と、下流分岐管13と、副上流分岐管と、チャンバー部11と主上流分岐管12との間またはチャンバー部11と下流分岐管13との間をそれぞれ連通・遮断する活栓30とで液体混注具Aを構成した。そして、主上流分岐管12から下流分岐管13に向う液体流路におけるチャンバー部11内の部分を、液体が主上流分岐管12からチャンバー部11に向う進行方向から進行方向に略直交する一方側に延びたのちに、液体がチャンバー部11から下流分岐管13に向う進行方向側に延びる迂回流路で構成した。さらに、迂回流路に、上流側部分が一方側に位置し、下流側部分が一方側よりも液体がチャンバー部11から下流分岐管13に向う進行方向側に位置する傾斜面17を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療に用いられる複数の輸液チューブ等に連結されて、各輸液チューブ間に薬液等の液体を流す液体混注具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の輸液チューブを用いて患者の体内に所定の薬液や生理食塩水等を供給することが行われており、このような場合に、医療用活栓等の液体混注具を用いて、各輸液チューブ間を連通したり遮断したりすることが行われている(例えば、特許文献1参照)。この三方活栓(液体混注具)は、三つの分岐開口部を備えた本体部と、各分岐開口部にそれぞれ接続された第1の分岐管(主上流分岐管)、第2の分岐管(下流分岐管)および混注口(副上流分岐管)を備えている。
【0003】
そして、第1の分岐管から第2の分岐管にかけて形成された流路は、第1の分岐管側に設けられた第1の流体流路と、第2の分岐管側に設けられ第1の流体流路よりも上方に位置する第2の流体流路と、混注口側に設けられ第1の流体流路の下流端と第2の流体流路の上流端とを接続する流路とで構成されている。このため、第1の流体流路から導入された流体は、上側に位置する第2の流体流路側に流れることになり、流路内の空間に流体が滞留することがなくなる。
【特許文献1】特許第3945480号公報
【発明の開示】
【0004】
前述した従来の三方活栓では、第1の流体流路よりも第2の流体流路が上方に位置するように三方活栓を配置した場合には、流路内の空間に流体が滞留することを防止できる。しかしながら、前述した従来の三方活栓を、第1の流体流路よりも第2の流体流路が下方に位置するように配置した場合には、第1の流体流路から導入された流体は、下側に位置する第2の流体流路側に流れることになり、この場合には、流路内の空間に流体が滞留しやすくなる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的は、内部に液体や空気が滞留し難くなる液体混注具を提供することにある。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係る液体混注具の構成上の特徴は、チャンバー部と、チャンバー部にそれぞれ接続された主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管とを備え、主上流分岐管からチャンバー部を介して下流分岐管まで形成された液体流路内に所定の液体を流すことができるとともに、副上流分岐管からチャンバー部にかけて形成された副液体流路を介して液体流路に他の液体を流すことができる液体混注具であって、液体流路におけるチャンバー部内の部分を、液体が主上流分岐管からチャンバー部に向う進行方向から屈曲して副上流分岐管側に延びたのちに、チャンバー部から下流分岐管に向う進行方向側に延びる迂回流路で構成し、迂回流路に、上流側部分が副上流分岐管側に位置し、下流側部分が副上流分岐管側よりもチャンバー部から下流分岐管に向う進行方向側に位置する傾斜面を形成したことにある。
【0007】
前述したように構成した本発明の液体混注具では、主上流分岐管からチャンバー部を介して下流分岐管に向う液体流路が、直線状または一箇所だけが屈曲した折れ線状に延びるのではなく、チャンバー部内で進行方向から屈曲して副上流分岐管側に一旦延びたのちに再度、屈曲または湾曲して、元の進行方向の延長線側またはその延長線とは異なる方向に沿ったチャンバー部から下流分岐管に向う進行方向側に向かって延びるようにしている。そして、このように形成された迂回流路の途中に、上流側部分が副上流分岐管側(進行方向から屈曲した方向)に位置し、下流側部分が副上流分岐管側よりもチャンバー部から下流分岐管に向う進行方向側に位置する傾斜面を形成している。
【0008】
例えば、主上流分岐管からチャンバー部に向う液体流路と、チャンバー部から下流分岐管に向う液体流路とが、一つの直線上に位置し、副上流分岐管からチャンバー部に向う副液体流路が、液体流路に対して直交する場合には、迂回流路はその直線から一旦離れて、下流側で元の直線上に戻る液体流路になる。そして、傾斜面は、迂回流路の内周面の一部を構成する面となる。この傾斜面は平面でも曲面でもよい。なお、主上流分岐管からチャンバー部に向う液体流路と、チャンバー部から下流分岐管に向う液体流路とは、直線上になくてもよく、それぞれが平行する二つの線の一方の線上にあってもよいし、所定の角度で配置されていてもよい。
【0009】
本発明によると、傾斜面の上流側部分は、副上流分岐管の内壁側に向かって突出した状態になり、これによって、副上流分岐管の内壁と傾斜面との間の空間部が狭くなる。このため、液体混注具を、副上流分岐管側が上方になるように配置したときには、主上流分岐管からチャンバー部を介して下流分岐管に流れる液体は、主上流分岐管からチャンバー部内に入るときに、一旦上方に向って流れ傾斜面の上端部から傾斜面を下ってチャンバー部から下流分岐管に流れていく。この結果、液体は、チャンバー部内の空間の上部側を通過して流れるようになり、チャンバー部内に空気が滞留することがなくなるとともに、液体流路に沿って流れずにチャンバー部内に滞留する液体もなくなる。これによって、チャンバー部内に滞留した空気を除去するために面倒な操作をする必要がなくなるとともに、チャンバー部内に菌が発生することを抑制することができる。
【0010】
また、液体混注具を、副上流分岐管側が下方になるように配置したときには、主上流分岐管からチャンバー部を介して下流分岐管に流れる液体は、主上流分岐管からチャンバー部内に入るときに、一旦下方に向って流れる。そして、チャンバー部の底部と傾斜面との間、すなわち、傾斜面の下端部から傾斜面を上るようにして傾斜面に沿ってチャンバー部から下流分岐管に流れていく。この場合も、傾斜面の上流側部分が、チャンバー部の下端内壁側に向かって突出しているため迂回流路は狭い流路になり、チャンバー部内に空気が溜まる空間や、液体の一部が流れずに滞留する空間はなく、液体のすべてがスムーズに流れるようになる。
【0011】
また、液体混注具を、副上流分岐管側が主上流分岐管や下流分岐管に対して水平になるように配置したときであって、傾斜面の上流側を上方に位置させた場合には、液体は傾斜面の上流側から下流側に落下するが、傾斜面の上流端と副上流分岐管の内壁との間隔が狭くなるため、傾斜面の上流端と副上流分岐管の内壁との間には、空気が溜まる空間や、液体が流れずに滞留する空間はできない。さらに、液体混注具を、副上流分岐管側が主上流分岐管や下流分岐管に対して水平になるように配置したときであって、傾斜面の上流側を下方に位置させた場合には、液体は、傾斜面の下部側(上流側)から上部側(下流側)に向って流れるため、チャンバー部内に空気が溜まる空間や、液体が流れずに滞留する場所はできず、液体はスムーズに流れるようになる。
【0012】
同様に、液体混注具を、副上流分岐管側が主上流分岐管や下流分岐管に対して水平になるように配置したときであって、傾斜面を水平方向に向けた場合には、液体は、チャンバー部内の下部側から上部側に向ってチャンバー部内の空間を満たしながら流れるため、チャンバー部内に空気が溜まる空間や、液体が流れずに滞留する空間はできず、液体はスムーズに流れるようになる。このように、本発明によると、液体混注具をどの方向に向けても内部に液体や空気が滞留し難くなる。さらに、本発明によると、主上流分岐管からチャンバー部を介して下流分岐管に所定の液体を流すことができるとともに、副上流分岐管からチャンバー部を介して下流分岐管に他の液体を流すことができる。
【0013】
また、他の液体は、チャンバー部内で主上流分岐管から供給される所定の液体と混合させてもよいし、他の液体だけをチャンバー部を介して下流分岐管に流してもよい。また、副上流分岐管をゴム栓等からなる天井部を備えた管体で構成し、傾斜面の上流側部分に近接する副上流分岐管の内壁を天井部とすることもできる。なお、この場合の他の液体とは、主上流分岐管から供給される液体ではないの意味で、主上流分岐管から供給される液体と同種類の液体であってもよい。
【0014】
また、本発明に係る液体混注具のさらに他の構成上の特徴は、迂回流路における主上流分岐管側の部分が主上流分岐管とチャンバー部との接続部分から傾斜面の上流側部分に向って延びるとともに、迂回流路における下流分岐管側の部分が傾斜面の下流側部分からチャンバー部と下流分岐管との接続部分に向って延び、副上流分岐管とチャンバー部とを連通する他液流路が副上流分岐管と傾斜面との間の空間部で構成されていることにある。これによると、二種類の液体を流すことのできる液体混注具のチャンバー部や副上流分岐管の内部に空気や液体の一部が滞留することを防止できる。
【0015】
また、本発明に係る液体混注具のさらに他の構成上の特徴は、副上流分岐管を、断面形状が円形の環状部で構成したことにある。これによると、副上流分岐管の形成が容易になる。
【0016】
また、本発明に係る液体混注具のさらに他の構成上の特徴は、副上流分岐管を、断面形状が楕円形の環状部を備えた筒状に形成したことにある。この場合、副上流分岐管は、一体からなる部分で構成してもよいし、複数の部分からなるもので構成してもよく、複数の部分からなるもので構成する場合には、一部の断面形状が楕円形になっていればよい。これによると、副上流分岐管が手で持ち易くなり操作が容易になる。
【0017】
また、本発明に係る液体混注具のさらに他の構成上の特徴は、副上流分岐管に、他の液体をチャンバー部内に注入するための液体注入器の注入部を挿入できる弁体を設けたことにある。この弁体としては、例えば、スリットを備えたゴム栓で構成することができる。これによると、液体注入器の注入部を雄ルアー部で構成し、この雄ルアー部をゴム栓のスリットに挿通させて液体注入器内に充填した他の液体をチャンバー部内に注入することができる。また、弁体としてスリットのないゴム栓を用いてもよく、この場合には、液体注入器の注入部を穿刺針で構成し、この穿刺針をゴム栓に刺し込んで液体注入器内に充填した他の液体をチャンバー部内に注入することができる。他の液体の供給が終わり液体注入器の注入部をゴム栓から抜いたときには、ゴム栓は復元力によって元の形状に戻るため副上流分岐管は閉塞される。
【0018】
また、本発明に係る液体混注具のさらに他の構成上の特徴は、チャンバー部との間に迂回流路を形成するとともに所定の方向に回転することによりチャンバー部と主上流分岐管との間、チャンバー部と下流分岐管との間およびチャンバー部と副上流分岐管との間をそれぞれ遮断することのできる活栓をチャンバー部内に設けたことにある。これによると、液体混注具が備える各分岐管間の連通・遮断の状態を任意に切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る液体混注具を図面を用いて詳しく説明する。図1ないし図5は、同実施形態に係る液体混注具Aを示しており、この液体混注具Aは、混注具本体10、蓋部材20を介して混注具本体10に取り付けられたゴム栓25(本発明に係る弁体)および活栓30で構成されている。そして、混注具本体10は、軸方向を前後に向けて配置された略円筒状のチャンバー部11(以下、図3を正面とし、上下方向および左右方向は図3を基準にして説明する。)と、チャンバー部11の左右両側に180度の角度を保って略同軸に沿って延びる主上流分岐管12および下流分岐管13と、主上流分岐管12と下流分岐管13とに対して直交してチャンバー部11の上部に設けられた連結用分岐管14(図6参照)とで構成されている。
【0020】
連結用分岐管14と蓋部材20とで、本発明に係る副上流分岐管が構成される。チャンバー部11の後部開口は、図6に示したように、キャップ部材15で閉塞されている。キャップ部材15は、前端面が閉塞され、前部側よりも後部側の方が大径になった段付き円筒体15aの後部開口の周縁部に外部側に突出するフランジ状の係止部15bを設けた形状に形成されている。係止部15bの外径はチャンバー部11の外径と略等しくなり、段付き円筒体15aの大径部分の外径はチャンバー部11の内径よりもやや小さくなっている。そして、段付き円筒体15aの外周面とチャンバー部11の内周面との間には、後述する活栓30の後端部が嵌合している。
【0021】
また、チャンバー部11の軸方向の略中央には、円周に沿って90度間隔で三つの連通穴(図示せず)が形成されており、これらの連通穴にそれぞれ主上流分岐管12、連結用分岐管14および下流分岐管13の内部に形成された流路が連通している。連結用分岐管14とチャンバー部11とを連通する連通穴の直径は、他の連通穴の直径よりも大きく設定されている。また、図6および図7に示したように、チャンバー部11と連結用分岐管14とを連通する連通穴の内壁における左右方向の両側(図6では紙面の表側から裏側にかけての部分)には主上流分岐管12から下流分岐管13に向う流路を前後に仕切る仕切り壁16が掛け渡された状態で形成されている。
【0022】
主上流分岐管12から下流分岐管13に向う流路は、図7に矢印aで示したように、主上流分岐管12からチャンバー部11の後部側上方に延びたのちに、仕切り壁16の上面を通ってチャンバー部11の前部側に延び、チャンバー部11の前部側下方から下流分岐管13に延びている。そして、仕切り壁16の上面は、後部側が高く前部側が低くなった傾斜面17に形成されており、傾斜面17の高い部分の上方空間は、主上流分岐管12の流路に連通し、傾斜面17の低い部分の上方空間は、下流分岐管13の流路に連通している。また、主上流分岐管12は、チャンバー部11と一体的に形成されており、内部には、上流開口部よりもチャンバー部11側の方が細径になったテーパ状の穴部からなる流路が形成されている。そして、主上流分岐管12の開口部の外周面には、連結用のねじ部12aが形成されている。
【0023】
下流分岐管13は、チャンバー部11と一体的に形成されており、チャンバー部11側の基端部13aと、基端部13aよりも細く形成された先端側の雄ルアー部13bとで構成されている。また、雄ルアー部13bは基端部13a側部分よりも先端側部分の方が細くなった先細り状に形成されている。連結用分岐管14は、チャンバー部11の上部に設けられた軸方向の長さが短い円筒部で構成されており、この連結用分岐管14の外周面には、連結用分岐管14とでゴム栓25を固定するための蓋部材20が取り付けられている。
【0024】
蓋部材20は、直径の異なる段違い状の略円筒状に形成されており、上部21が連結用分岐管14よりもやや直径が小さく、下部22が連結用分岐管14よりも直径が大きい略キャップ状に形成されている。そして、蓋部材20は、下部22の下端内周面を連結用分岐管14の外周面に係合させることにより、連結用分岐管14に着脱可能に取り付けられている。また、蓋部材20の下部22と連結用分岐管14との係合部の上部には所定の隙間が形成されている。この隙間は、ゴム栓25の下端部を蓋部材20に固定するために利用される。
【0025】
ゴム栓25は、天然ゴム、合成ゴムまたはエラストマーなどの伸縮性を備えた弾性部材からなっており、肉厚円板状のゴム栓本体26と、ゴム栓本体26の上部に形成されたフランジ状係合部27と、ゴム栓本体26の下部に形成された略円筒状の固定片28とで構成されている。フランジ状係合部27は、ゴム栓本体26の上部両側部分との間に切り込み27a,27bが形成されて中央部分でゴム栓本体26と繋がった略円板状に形成されており、直径がゴム栓本体26の直径よりもやや大きくなっている。固定片28は、ゴム栓本体26の下部から突出する突出片で構成されている。
【0026】
そして、図6に示したように、ゴム栓25におけるゴム栓本体26と固定片28とを蓋部材20の内部に押し込み、フランジ状係合部27を蓋部材20の開口縁部に係合させるとともに、固定片28を蓋部材20の下部22と連結用分岐管14とで挟み込むことにより、ゴム栓25は蓋部材20に固定される。このように、フランジ状係合部27が蓋部材20の開口縁部に係合することによって、ゴム栓25が蓋部材20の内部側に入り込むことが防止され、固定片28が蓋部材20の下部22と連結用分岐管14とで固定されることにより、ゴム栓25が蓋部材20の上方に抜け出ることが防止される。
【0027】
これによって、ゴム栓本体26は強く押圧されることによりフランジ状係合部27が伸長して蓋部材20の上部21から下部22の内部側に移動できる。また、ゴム栓本体26が下方に移動する際には、固定片28およびゴム栓本体26と固定片28との連結部近傍部分も伸長する。また、このゴム栓25のゴム栓本体26には、連結用分岐管14の内部側と蓋部材20の外部側との間を貫通し、連結用分岐管14内の流路を外部に連通するためのスリット29が設けられている。
【0028】
このスリット29は、連結用分岐管14(副上流分岐管)内の流路を使用しない時には、ゴム栓本体26の弾性によって閉塞された状態になる。また、連結用分岐管14内の流路を使用する時には、ゴム栓25のスリット29に、例えば、本発明に係る液体注入器としてのシリンジ35の雄ルアー部35b(図9参照)を差し込むことによりシリンジ35の薬液収容部35aと連結用分岐管14の流路と連通することができる。その際、雄ルアー部35bとスリット29の周面との間は、ゴム栓本体26の弾性によって密着状態になる。連結用分岐管14内の空間と、ゴム栓25のスリット29とで、副上流分岐管の流路が形成される。
【0029】
活栓30は、図8に示したように、略円筒状の栓本体31と、栓本体31の前端部に連結された操作部32とで構成されている。そして、栓本体31は、先端部(後端部)をチャンバー部11の内周面とキャップ部材15の段付き円筒体15aの外周面との間に挿し込んだ状態でチャンバー部11内に設置されており、操作部32を回転操作することによりチャンバー部11の軸周り方向に回転する。また、栓本体31の外周面には、二つの溝部33,34が軸方向に並んで形成されている。溝部33は、栓本体31の外周面における軸方向の中心よりもやや後部側の部分で円周に沿って略半周にわたって延びる凹部で構成されている。
【0030】
また、溝部34は、栓本体31の外周面における軸方向の中心よりもやや前部側の部分で溝部33と平行して栓本体31の外周面に沿って延びる周方向溝部34aと、周方向溝部34aの一方の端部から屈曲して軸方向の後部側に向って延びる軸方向溝部34bとからなる略L字状の凹部で構成されている。溝部34の軸方向溝部34bは、溝部33の一方の端部と所定間隔を保った位置に設けられており、溝部34の周方向溝部34aの他方の端部は、溝部33の他方の端部よりも円周方向に沿った一方側(図8における手前側)に位置している。
【0031】
溝部33と溝部34との栓本体31の円周方向に沿った長さはともに円周の略半周で等しく設定されており、溝部33と溝部34の周方向溝部34aとの間隔および溝部33と溝部34の軸方向溝部34bとの間隔は略等しく設定されている。そして、溝部33と溝部34の周方向溝部34aとの間には、栓本体31の外周面に沿った堰部35が形成されている。また、チャンバー部11内に設置された栓本体31は、外周面における溝部33および溝部34の軸方向溝部34bが形成された部分を、チャンバー部11と主上流分岐管12との連通穴およびチャンバー部11と下流分岐管13との連通穴の位置に合わせ、溝部34の周方向溝部34aをチャンバー部11の内周面における前部側部分に対向させた状態になる。
【0032】
また、栓本体31の外周面における堰部35が形成された部分は、チャンバー部11の内周面における仕切り壁16の内面前端側部分に対向した状態になる。このため、図7に示したように、堰部35が上方に向くように栓本体31を位置させたときには、溝部33が主上流分岐管12(図7の手前側に位置する。)内の流路と対向してチャンバー部11の内部と主上流分岐管12の流路とは溝部33を介して連通する。また、溝部34における軸方向溝部34bの後部側(図7では溝部33の裏面側に位置する。)が下流分岐管13内の流路と対向してチャンバー部11の内部と下流分岐管13の流路とは溝部34を介して連通する。
【0033】
この場合、堰部35の上方には、仕切り壁16が位置して、堰部35の上面と仕切り壁16の下面とは略密着状態で接触する。そして、仕切り壁16の上方には、連結用分岐管14の流路となる空間部が位置しているため、溝部33と溝部34とは連結用分岐管14の流路を介して連通する。したがって、この状態では、主上流分岐管12からチャンバー部11および連結用分岐管14を介して下流分岐管13に薬液等の液体を流すことができる。この場合、図8に矢印bで示したように、主上流分岐管12から溝部33内に流れてくる薬液等は、上方の仕切り壁16(矢印bの上部の部分に位置する)を乗り越えて溝部34に流れていく。
【0034】
このとき、仕切り壁16の上面に形成された傾斜面17は、後部側が高く前部側が低くなっているため、薬液等はチャンバー部11の上方の空間内を迂回して通過するようになり、チャンバー部11や連結用分岐管14の内部に空気や薬液等の一部が滞留することを抑制できる。その状態から活栓30を一方に回転させて、溝部33を下流分岐管13の流路に対向させるとともに、栓本体31の外周面を主上流分岐管12の流路に対向させたときには、チャンバー部11内と下流分岐管13との間は連通し、チャンバー部11内と主上流分岐管12との間は遮断される。
【0035】
また、図6の状態から、活栓30を他方に回転させて、溝部33の一方の端部側部分を主上流分岐管12の流路に対向させて連通状態を維持するとともに、栓本体31の外周面を下流分岐管13の流路に対向させたときには、チャンバー部11内と下流分岐管13との間は遮断され、チャンバー部11内と主上流分岐管12との間は連通する。このように、活栓30を回転操作することにより、主上流分岐管12と下流分岐管13との双方をチャンバー部11内に連通したり、一方だけをチャンバー部11内に連通したりすることができる。
【0036】
なお、操作部32は、3個の操作片32a,32b,32cを備えており、この操作片32a,32b,32cは、それぞれ主上流分岐管12、連結用分岐管14および下流分岐管13に対応するように、90度の角度を保って形成されている。すなわち、図3のように、操作片32aが主上流分岐管12を、操作片32bが連結用分岐管14(副上流分岐管)を、操作片32cが下流分岐管13をそれぞれ指す位置にあるときには、主上流分岐管12、連結用分岐管14および下流分岐管13のすべてがチャンバー部11を介して連通した状態になる。
【0037】
また、図3の状態から、操作部32を時計周り方向に90度回転して、操作片32bが主上流分岐管12を指し、操作片32cが連結用分岐管14を指す位置になったときには、主上流分岐管12と連結用分岐管14とが連通し、連結用分岐管14と下流分岐管13との間は遮断された状態になる。さらに、図3の状態から、操作部32を反時計周り方向に90度回転して、操作片32aが連結用分岐管14を指し、操作片32bが下流分岐管13を指す位置になったときには、連結用分岐管14と下流分岐管13とが連通し、主上流分岐管12と連結用分岐管14との間は遮断された状態になる。
【0038】
また、図9に示したように、副上流分岐管の蓋部材20にはゴム栓25を介して、シリンジ35を着脱可能に取り付けることができる。このシリンジ35は、薬液等を収容する薬液収容部35aと細径円筒状の雄ルアー部35bとを備えており、雄ルアー部35bを、ゴム栓25のスリット29内に差し込むことにより薬液収容部35aの内部と連結用分岐管14の流路とを連通させることができる。この雄ルアー部35bを、ゴム栓25のスリット29内に差し込んでいくときに、雄ルアー部35bは、ゴム栓本体26を連結用分岐管14の内周面に押し付けて移動させながらスリット29を広げていく。このとき、ゴム栓本体26と固定片28との連結部は下方に延びていく。
【0039】
これによって、ゴム栓本体26は、雄ルアー部35bの押圧力によって連結用分岐管14の内周面に押さえ付けられて、連結用分岐管14の内周面に密着した状態で下降していく。そして、雄ルアー部35bがスリット29内に適正状態まで挿入されたときには、ゴム栓本体26の下面は仕切り壁16の傾斜面17に接近した状態になる。また、連結用分岐管14の内周面とゴム栓本体26との間および雄ルアー部35bとスリット29の周面との間は、ゴム栓25の弾性によって密着状態になる。このため、主上流分岐管12と下流分岐管13とを連通させて主上流分岐管12側から下流分岐管13側に向けて薬液等を流しながら、その薬液等にシリンジ35から他の薬液等を混合させることができる。また、チャンバー部11内と主上流分岐管12との間を遮断した状態で、シリンジ35から下流分岐管13に他の薬液等を流すこともできる。
【0040】
この構成において、2種類の薬液を患者(図示せず)の体内に供給する場合には、まず下流分岐管13に、患者に穿刺して留置するための留置針が接続された輸液チューブ(図示せず)の後端部を接続する。ついで、主上流分岐管12に、患者に供給する一方の薬液を収容する容器等から延びる輸液チューブの先端部に設けられた雄ルアー部を接続する。つぎに、シリンジ35の薬液収容部35a内に他方の薬液を吸引した状態で、雄ルアー部35bをゴム栓25のスリット29に貫通させる。
【0041】
そして、一方の薬液をチャンバー部11を含む輸液ライン内に通して、輸液ライン内の空気をすべて外部に放出したのちに、留置針を患者の体に穿刺して留置した状態で容器等の薬液を患者に向けて送り出すことにより患者への薬液の供給を行う。また、シリンジ35の薬液収容部35a内の他方の薬液も、適宜、連結用分岐管14の流路を介してチャンバー部11内に注入する。この場合には、連結用分岐管14の内周面とゴム栓本体26との間および雄ルアー部35bとスリット29の周面との間は、それぞれ密着状態になる。また、ゴム栓本体26の下面が仕切り壁16の傾斜面17に接近するため、チャンバー部11や連結用分岐管14の内部には僅かな空間しかできず、チャンバー部11や連結用分岐管14の内部には、空気や薬液の一部が滞留する場所が生じ難くなる。
【0042】
すなわち、チャンバー部11と連結用分岐管14との内部の空間部はすべて薬液の流路になるため空気が溜まり難くなる。これによって、患者に供給される薬液に空気が混入することが抑制される。また、チャンバー部11と連結用分岐管14との内部に薬液の一部が滞留することもなくなる。そして、シリンジ35からの薬液の供給が終わり、雄ルアー部35bをスリット29から引き抜くときには、ゴム栓本体26は雄ルアー部35bによる押圧から解放されるとともに、フランジ状係合部27や固定片28の復元力によって図6の状態に戻る。また、この液体混注具Aによると、連結用分岐管14に取り付けられた蓋部材20内をゴム栓25で閉塞したため、副上流分岐管からチャンバー部11内に空気が入って菌が繁殖することも抑制できる。
【0043】
このように、本実施形態に係る液体混注具Aでは、主上流分岐管12からチャンバー部11を介して下流分岐管13に向う流路が、チャンバー部11内で一旦上方に向い仕切り壁16の上面に延びたのちに、仕切り壁16の上面に形成された傾斜面17を下って下流分岐管13の流路に連通している。このため、主上流分岐管12からチャンバー部11を介して下流分岐管13に流れる薬液は、主上流分岐管12からチャンバー部11内に入るときには、一旦上方に向って流れ傾斜面17の上端部から傾斜面17を下ってチャンバー部11の下部側部分から下流分岐管13に流れていく。
【0044】
この結果、薬液は、チャンバー部11や連結用分岐管14内の空間の上部側を通過して流れるようになり、チャンバー部11や連結用分岐管14の内部に空気が滞留することがなくなるとともに、チャンバー部11や連結用分岐管14の内部に滞留する薬液もなくなる。この結果、チャンバー部11や連結用分岐管14の内部に溜まった空気を除去するために面倒な操作をする必要がなくなるとともに、チャンバー部11や連結用分岐管14の内部に菌が発生することを抑制できる。
【0045】
また、液体混注具Aを上下方向に反転させて、連結用分岐管14がチャンバー部11の下方になるようにしたときには、主上流分岐管12からチャンバー部11を介して下流分岐管13に流れる薬液は、主上流分岐管12からチャンバー部11内に入るときに、一旦下方に向って流れる。そして、その薬液は、チャンバー部11の下端部と傾斜面17との間を、傾斜面17の下端部から傾斜面17を上るようにして上方に流れチャンバー部11の上部側部分から下流分岐管13に流れていく。
【0046】
この場合も、傾斜面17の上流側部分が、チャンバー部11の内壁側に向かって突出しているため、チャンバー部11内に空気が溜まる空間や、薬液が流れずに滞留する空間はなく、薬液はスムーズに流れるようになる。また、同様に、液体混注具Aを、横にして連結用分岐管14が主上流分岐管12や下流分岐管13に対して水平になるように配置したときにも、チャンバー部11内に空気が溜まる空間や、薬液が流れずに滞留する空間はできず、薬液はスムーズに流れるようになる。このように、液体混注具Aをどのように配置しても、内部に空気や薬液が滞留することを防止できる。
【0047】
また、液体混注具Aには、連結用分岐管14等からなる副上流分岐管が備わっているため、主上流分岐管12からチャンバー部11を介して下流分岐管13に所定の薬液を流すことができるだけでなく、連結用分岐管14からチャンバー部11を介して下流分岐管13に他の薬液を流すことができる。また、液体混注具Aでは、連結用分岐管14に取り付けた蓋部材20の内部にスリット29を備えたゴム栓25を設けたため、シリンジ35の雄ルアー部35bをゴム栓25のスリット29に挿通させてシリンジ35内に充填した他の薬液をチャンバー部11内に注入することができる。さらに、液体混注具Aには、活栓30が備わっているため、チャンバー部11と主上流分岐管12との間およびチャンバー部11と下流分岐管13との間をそれぞれ任意に連通させたり、遮断させたりすることができる。
【0048】
(第1変形例)
図10は、前述した液体混注具Aの第1変形例に係る液体混注具Bを示している。この液体混注具Bでは、仕切り壁46の上面に形成された傾斜面47が単に後部側が高く前部側が低くなった平面でなく、左右の両側部分にも傾斜部が形成されている。すなわち、傾斜面47の左側部分(下流分岐管側の部分)には、左側に行くほど徐々に高くなった2段状の補助傾斜面47a,47bが形成され、傾斜面47の右側部分(主上流分岐管側の部分)には、右側に行くほど徐々に高くなった2段状の補助傾斜面(図示せず)が形成されている。
【0049】
補助傾斜面47a,47bと傾斜面47の右側部分に形成された2段状の補助傾斜面とは左右対称に形成されており、下方に位置する補助傾斜面47a等は、傾斜面47の中央の平面部分の縁部から連結用分岐管44の内周面に向う上り傾斜になっている。上方に位置する補助傾斜面47b等は、補助傾斜面47a等の上縁部から連結用分岐管44の内面に向って延びており、補助傾斜面47b等の傾斜角度は、補助傾斜面47a等の傾斜角度よりも大きくなっている。この液体混注具Bのそれ以外の部分の構成については、前述した液体混注具Aと同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0050】
この液体混注具Bによると、連結用分岐管44内の空間がさらに小さくなるため、チャンバー部11や連結用分岐管44の内部に空気が溜まる空間や、薬液が流れずに滞留する空間がより確実になくなる。また、傾斜面47の左右両側に、補助傾斜面47a,47b等を設けたため、傾斜面47上を流れる薬液等は、傾斜面47の中央側に集まるようになり、薬液等の流れがスムーズになる。また、補助傾斜面47a,47bを設けることによって、傾斜面47と連結用分岐管44の内周面との間に急な角度(直角またはそれに近い角度)が生じることを防止している。これによって、傾斜面47と連結用分岐管44の内周面との間に気泡や薬液の滞留が生じにくくなる。この液体混注具Bのそれ以外の作用効果は、前述した液体混注具Aの作用効果と同様である。
【0051】
(第2変形例)
図11は、前述した液体混注具Aの第2変形例に係る液体混注具Cを示している。この液体混注具Cでは、仕切り壁56の上面が、後部側に形成された傾斜面57と、前部側に形成された水平面58とで構成されている。そして、傾斜面57と水平面58との左右両側部分にそれぞれ傾斜部が形成されている。すなわち、傾斜面57の左側部分(下流分岐管側の部分)には、左側に行くほど徐々に高くなった2段状の補助傾斜面57a,57bが形成され、傾斜面57の右側部分(主上流分岐管側の部分)には、右側に行くほど徐々に高くなった2段状の補助傾斜面(図示せず)が形成されている。
【0052】
また、水平面58の左側部分(下流分岐管側の部分)には、左側に行くほど徐々に高くなった2段状の補助傾斜面58a,58bが形成され、水平面58の右側部分(主上流分岐管側の部分)には、右側に行くほど徐々に高くなった2段状の補助傾斜面(図示せず)が形成されている。補助傾斜面57a,57bは、前後方向および左右方向に傾斜しており、補助傾斜面58a,58bは左右方向だけに傾斜している。また、補助傾斜面57a,57bと傾斜面57の右側部分に形成された2段状の補助傾斜面とは左右対称に形成されており、補助傾斜面58a,58bと水平面58の右側部分に形成された2段状の補助傾斜面とは左右対称に形成されている。
【0053】
そして、補助傾斜面57a等は、傾斜面57の中央部分の縁部から連結用分岐管54に向う上り傾斜になっている。補助傾斜面57b等は、補助傾斜面57a等の上縁部から連結用分岐管54の内面に向って延びており、補助傾斜面57b等の傾斜角度は、補助傾斜面57a等の傾斜角度よりも大きくなっている。同様に、補助傾斜面58a等は、水平面58の中央部分の縁部から連結用分岐管54に向う上り傾斜になっている。補助傾斜面58b等は、補助傾斜面58a等の上縁部から連結用分岐管54の内面に向って延びており、補助傾斜面58b等の傾斜角度は、補助傾斜面58a等の傾斜角度よりも大きくなっている。この液体混注具Cのそれ以外の部分の構成については、前述した液体混注具Aと同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0054】
この液体混注具Cによると、傾斜面57の左右両側に、補助傾斜面57a,57b等を設けたため、前述した液体混注具Bと同様の効果、すなわち、傾斜面57上を流れる薬液等は、傾斜面57の中央側に集まるようになり、薬液等の流れがスムーズになるという効果が生じる。また、補助傾斜面57a,57bおよび補助傾斜面58a,58bを設けることによって、傾斜面57および水平面58と連結用分岐管54の内周面との間に急な角度(直角またはそれに近い角度)が生じることを防止している。また、副上流分岐管を備えてなく、分岐管を主上流分岐管12と下流分岐管13だけで構成した液体混注具を用いることもできる。
【0055】
これによって、傾斜面57および水平面58と連結用分岐管54の内周面との間に気泡や薬液の滞留が生じにくくなる。さらに、仕切り壁56の上面に水平面58を設けたことにより、シリンジ35の雄ルアー部35bをゴム栓25のスリット29に挿入したときに、ゴム栓25が開くための空間を確保しながら、傾斜面57を設けることができる。この液体混注具Cのそれ以外の作用効果は、前述した液体混注具Aの作用効果と同様である。
【0056】
また、本発明に係る液体混注具は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更実施が可能である。例えば、前述した実施形態では、液体混注具として活栓30を備えたものを用いているが、本発明に係る液体混注具としては、活栓30を備えず、主上流分岐管12から常時連通した下流分岐管13に薬液等を流せるとともに、副上流分岐管から他の薬液等をチャンバー部11に流すことのできるものを用いてもよい。
【0057】
また、前述した各実施形態では、蓋部材20を平面視が円形の略キャップ状に形成しているが、この蓋部材は平面視が楕円形や長円形のキャップ状に形成してもよい。これによると、液体混注具が手で持ち易くなる。この場合、連結用分岐管を円筒状にし、蓋部材を平面視が楕円形や長円形のキャップ状にしてもよい。さらに、ゴム栓25として、スリット29のないものを用い、穿刺針を備えたシリンジでチャンバー部内に他の薬液等を供給するようにしてもよい。また、仕切り壁の上面に形成する傾斜面の形状も適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体混注具を示した斜視図である。
【図2】液体混注具の平面図である。
【図3】液体混注具の正面図である。
【図4】液体混注具の左側面図である。
【図5】液体混注具の右側面図である。
【図6】液体混注具の断面図である。
【図7】液体混注具の内部を示した切り欠き断面図である。
【図8】活栓を示した斜視図である。
【図9】液体混注具にシリンジを取り付けた状態を示した正面図である。
【図10】第1変形例に係る液体混注具を示した断面図である。
【図11】第2変形例に係る液体混注具を示した断面図である。
【符号の説明】
【0059】
11…チャンバー部、12…主上流分岐管、13…下流分岐管、14,44,54…連結用分岐管、16,46,56…仕切り壁、17,47,57…傾斜面、20…蓋部材、25…ゴム栓、30…活栓、35…シリンジ、35b…雄ルアー部、47a,47b,57a,57b,58a,58b…補助傾斜面、58…水平面、A,B,C…液体混注具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー部と、前記チャンバー部にそれぞれ接続された主上流分岐管、下流分岐管および副上流分岐管とを備え、前記主上流分岐管から前記チャンバー部を介して前記下流分岐管まで形成された液体流路内に所定の液体を流すことができるとともに、前記副上流分岐管から前記チャンバー部にかけて形成された副液体流路を介して前記液体流路に他の液体を流すことができる液体混注具であって、
前記液体流路における前記チャンバー部内の部分を、前記液体が前記主上流分岐管から前記チャンバー部に向う進行方向から屈曲して前記副上流分岐管側に延びたのちに、前記チャンバー部から前記下流分岐管に向う進行方向側に延びる迂回流路で構成し、
前記迂回流路に、上流側部分が前記副上流分岐管側に位置し、下流側部分が前記副上流分岐管側よりも前記チャンバー部から前記下流分岐管に向う進行方向側に位置する傾斜面を形成したことを特徴とする液体混注具。
【請求項2】
前記迂回流路における前記主上流分岐管側の部分が前記主上流分岐管と前記チャンバー部との接続部分から前記傾斜面の上流側部分に向って延びるとともに、前記迂回流路における前記下流分岐管側の部分が前記傾斜面の下流側部分から前記チャンバー部と前記下流分岐管との接続部分に向って延び、前記副上流分岐管と前記チャンバー部とを連通する他液流路が前記副上流分岐管と前記傾斜面との間の空間部で構成されている請求項1に記載の液体混注具。
【請求項3】
前記副上流分岐管を、断面形状が円形の環状部で構成した請求項1または2に記載の液体混注具。
【請求項4】
前記副上流分岐管を、断面形状が楕円形の環状部を備えた筒状に形成した請求項1または2に記載の液体混注具。
【請求項5】
前記副上流分岐管に、前記他の液体を前記チャンバー部内に注入するための液体注入器の注入部を挿入できる弁体を設けた請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載の液体混注具。
【請求項6】
前記チャンバー部との間に前記迂回流路を形成するとともに所定の方向に回転することにより前記チャンバー部と前記主上流分岐管との間、前記チャンバー部と前記下流分岐管との間および前記チャンバー部と前記副上流分岐管との間をそれぞれ遮断することのできる活栓を前記チャンバー部内に設けた請求項1ないし5のうちのいずれか一つに記載の液体混注具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−22453(P2010−22453A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184582(P2008−184582)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000228888)日本シャーウッド株式会社 (170)
【Fターム(参考)】