説明

液体燃料およびその製造システム並びにその製造方法

【課題】限りのある油を効率よく燃焼させることで、地球の環境問題の解消に寄与することができる液体燃料およびその製造システム並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】ブラウンガス製造システムは、ブラウンガスを供給するブラウンガス供給装置(100)と、このブラウンガス供給装置(100)からのブラウンガスを水に溶解させてORPが−300mV以下とした水を生成する水製造装置(200)と、油を供給する油タンク(50)と、水製造装置(200)からの水および油タンク(50)からの油を、体積比の合計が100の割合となる組み合わせとなるように10〜30:90〜70の割合で混合させて、水と油とを化学的に結合させるウォータオイル製造装置(400)とを備えている。このウォータオイル製造システムにより生成されたウォータオイルは、代替エネルギーとして高い効率で燃焼させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラウンガスを利用した液体燃料およびその製造システム並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球上に存在する石炭や石油などの化石燃料をエネルギーとするには限界があり、約20年後には需給不均衡、約50年後には枯渇状態という状況が予想されている。従って、代替エネルギーの開発は急務の課題である。特に、最近の石油価格の急騰などエネルギー不足が現実的に現れている状態では事態は深刻である。
【0003】
代替エネルギーとは、太陽エネルギー、バイオマス、風力、水力、燃料電池、石炭の液化、ガス化、海洋エネルギー、廃棄物エネルギーに区分けされている。また、これら以外にも地熱、水素、石炭による物質を混合した流動性燃料を意味する。しかし、実質的に代替エネルギーというのは、広い意味では石油に変わるエネルギーであり、狭い意味では新・再生エネルギーを意味する。
【0004】
現在、先進各国で活発に技術開発が進行し、実用段階に入った代替エネルギーでは、太陽エネルギー、風力エネルギーを主とし、バイオマス、地熱、波力、潮力を従とした開発が活発に進行している。例えば、1998年アメリカ合衆国のジョージワシントン大学で発表された「アメリカの未来技術」によれば、アメリカ合衆国では2010年頃にエネルギー消費量の10%が代替エネルギーとなることが予測されている。また、ヨーロッパ連合(EU)が1997年に発刊した「エネルギー100」では、2010年までに代替エネルギーの比率を現在の2倍の12%まで引き上げようとする計画を持っている。また、風力発電のメッカであるデンマークの場合、4900台の風力タービンで1135MWを発電し、消費量の7%を当てているし、「エネルギー21計画」によれば、2010年に10%、2030年に50%を風力で切り替える目標を立て、代替エネルギー開発の活性化に努力している。
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許登録10−0761099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、限りのある油を効率よく燃焼させることで、地球の環境問題の解消に寄与することができる液体燃料およびその製造システム並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体燃料は、油にブラウンガスを混合させたことを特徴とする。このブラウンガスは、水に溶解させた状態で混合させたものとすることができる。
また、本発明の液体燃料製造システムは、油にブラウンガスを混合する液体燃料製造装置を備えたことを特徴とする。この液体燃料製造システムは、前記液体燃料製造装置に注入するブラウンガスを、予め水に溶解させる水製造装置を備えるのが望ましい。
また、本発明の液体燃料の製造方法は、油にブラウンガスを混合することを特徴とする。この製造方法においては、ブラウンガスを水に溶解させる段階と、前記ブラウンガスが溶解した水を油に混合する段階とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブラウンガスを混合させた油を用いることで、効率よく燃焼させることができるので、地球の環境問題の解消に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下に本発明の実施の形態1に係るブラウンガスを利用した液体燃料およびその製造システム並びにその製造方法を、図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態1では、液体燃料をウォータオイル(Water oil)と称する。ウォータオイルは、本願発明者が付けた名称である。
【0010】
本発明の実施の形態1に係るウォータオイルは、水にブラウンガスを溶解させることで油と化学的に結合させた化合物とすることを特徴とするものである。
ここで、ブラウンガスとは、水を電気分解することで得られた気体として、水素と酸素の当量比が2:1である混合気体を示す。通常、水を電気分解すれば負極では水素が得られ、正極では酸素が得られる。この発生したガスを分離採集せずに一度に採集したガスをブラウンガスを呼ぶ。これはブルガリア出身であるユル ブラウン(Yull Brown)博士の名前を取って付けられたガスの名称である。
【0011】
全世界の企業では、ブラウンガスと呼ぶ代わりにアクアガスまたはウォータガスなどと呼ぶこともある。このようなブラウンガスを水に溶解させれば、油と化学的な結合をさせることができる。なお、本実施の形態1における油としては、灯油、重油、軽油などを採用することができる。
【0012】
一般的に水(H2O)と油とは単純に物理的に混合させることはできても、化学的な結合による化合物を生成させることができない。混合物は、二種類以上の物質が化学的な反応を起こさずに、物理的に単純に混じり合っている状態か、成分物質同士が選択的に混じり合っている状態かによって、均一混合物と不均一混合物とに分類される。これらの混合物の分離には、混合された物質の比重差を利用する方法や、溶解度差を利用する方法、クロマトグラフィーを利用する方法などがある。
【0013】
例えば、鉄粉(鉄パウダー)は黒色の物質で磁石に付く性質がある。硫黄粉(硫黄パウダー)は、黄色の物質で鼻を突く臭いがある。この鉄粉と硫黄粉とを混ぜた後に加熱すれば、二つの物質は化学的結合を生じて硫化鉄という新たな物質が生じる。この物質は磁石に付くことはなく無臭である。つまり、二つの物質が化学的結合を通じて全く新しい物質となっている。このような物質を化合物(Compound)と呼ぶ。
【0014】
しかし、鉄粉と硫黄粉とを単に混ぜ合わせただけでは、磁石を当てると鉄粉は磁石にくっつき、鼻を突く臭いもする。すなわち二つの物質は混じり合ってはいるが、鉄粉と硫黄粉はそれぞれ自体の性質をそのまま維持している。このような化学的な反応を生じずに単にお互いが混ざっている物質を混合物(Mixture)と呼ぶ。
【0015】
このように、一般的に純粋な水と油は、単に物理的に混じり合っても化学的な結合による化合物とすることができない。その理由としては、水分子は分子内にある電荷が偏りを有している極性分子である。一般的に油分子は対称構造である極性がない非極性分子である。極性分子と非極性分子とは、化学的にお互いがなじまないから水と油とを混ぜ合わせて化合物を生成することができない。水と油とが単に混合した状態では、重力によって比重の大きい水は下に沈み、比重の軽い油は浮き上がってそれぞれが分離した状態となって区分される。
【0016】
もし、水と油とに化学的な結合を生じさせることができ、これを代替エネルギーとして燃焼させた場合に、油のみを燃焼させる場合より多くの熱量を発生させることができれば、地球上に残存する油をもっと効率的に利用することができるので、この代替エネルギーを活用して天然エネルギー資源の問題を解決することができる。
【0017】
多量の硫黄(S)または炭素(C)などを含む油を燃焼させると、多量の二酸化炭素(CO2)や硫酸化物が発生する。二酸化炭素は温室効果ガスとなり、地球温暖化現象などの異常気象の主な原因と指摘されている。また、硫酸化物は大気汚染物質として酸性雨の原因となり、人体の粘膜に作用して呼吸器疾患を引き起こす原因となる。もし水と油とが化学的に結合でき液体燃料として燃焼できれば、水(H2O)は水素と酸素とから構成され、硫黄および炭素を含まないから、液体燃料に含まれた水の量ほど、二酸化炭素の排出量を削減することができ、環境汚染を減らすことができる。
【0018】
すなわち、水と油とは通常では極性を異にしているので、化学的に結合することができない。ところが、ブラウンガスが溶解した水は多量の水素イオン(H)が存在することで、油と水の化学的な結合が可能である。例えば、水はH2Oとして極性分子であるが、水素イオン(H)の結合によって無極性の性質に近くなるようになれば無極性分子である油と化学的な結合が可能である。
【0019】
このとき、ブラウンガスが溶解した水には多量の水素イオン(H)が存在するので、酸化還元電位(Oxidation reduction Potential,以下、ORPと称す。)が−300mV以下である場合には、化合物であるウォータオイルを安定的な状態で得ることができる。例えば、本実施の形態1では、ブラウンガスが溶解した水は、ORPが−300mV,−400mVまたは−500mVなどとすることができる。
【0020】
このときのORPは、酸化力または還元力の尺度として使用されている。ORPは元々、金属類固有の電極電位を表示するときに使用される。従って、金属のORPを測定するORPメータは、従来は材料分析室や電気化学工業(電池・写真フィルム、メッキなど)工場で使用される場合が多かったが、最近では無機化合物や半導体関連など各種水溶液の分析手段の一つとして使用されている。
【0021】
OPRは、測定単位が「mV」で、マイナス(−)絶対値が大きいほど還元力が大きいことを意味する。次に、ブラウンガスが溶解した水と油との体積は10〜30:90〜70(但し、体積比の合計が100の割合となる組み合わせ)とすることができる。
【0022】
例えば、ブラウンガスが10Lと油90Lとを混合させるとか、水30Lと油70Lとを混合させるとかすることができる。
【0023】
図1は、ウォータオイルに対して、大韓民国石油品質管理研究センターに依頼して測定された発熱量および硫黄成分に対する試験成績書である。この図1に示す試験成績書の内容を表1〜3に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
大韓民国石油品質管理研究センターに依頼した物質は三種類である。試料名「重油0」(比較品)は重油100%の場合であり、試料名「重油1」(発明品1)は重油とブラウンガスが溶解した水との体積比が90:10の場合であり、試料名「重油2」(発明品2)は重油とブラウンガスが溶解した水との体積比が80:20の場合である。試験では重油を使用したが、前述したように油は重油に限定されるものではない。
【0028】
このような試料を利用して公認された大韓民国品質管理研究センターで秘密に実験したところ、試料名「重油0」の場合には発熱量が41,450J/gで、硫黄成分は0.36wt%発生した。ところが試料名「重油1」の場合には発熱量が38,860J/gで、硫黄成分は0.35wt%発生し、試料名「重油2」の場合には発熱量が36,480J/gで、硫黄成分は0.32wt%発生した。このような発熱量のデータを分析した結果を、表4に示す。下記表4は、実際発熱量と理論的な発熱量の予想値およびその差に対する分析表である。
【0029】
【表4】

【0030】
表4からもわかるように、試料名「重油0」の実際発熱量が41,450J/gに対して、試料名「重油1」は実際発熱量が38,860J/gである。これは理論的な発熱量の予想値(「重油0」に対する90%)が37,050J/gと比べると、1,810J/gも多い熱量が発生している。これは理論的な発熱量の予想値37,050J/gより約5%も大きい発熱量である。
【0031】
また、試料名「重油0」は実際の発熱量が41,450J/gであるのに対して、試料名「重油2」は発熱量が33,160J/gである。これは理論的な発熱量の予想値33,160J/gより約10%ほど大きい発熱量である。
【0032】
すなわち、本実施の形態1に係るブラウンガスを利用したウォータオイルによれば、水と油との化合物であるウォータオイルを燃焼させると、油だけを燃焼した場合の熱量より多い熱量を得ることができる。従って、地球上に残存する油を、有効かつ効率的に利用するとができるので、代替エネルギーとして天然エネルギー資源の問題を解決することができる。このようなウォータオイルによる燃焼が、油だけによる燃焼より高い発熱量を得られるということは、予測できない効果である。
【0033】
そして、図1に示す試験成績書によれば、硫酸化物が発生に関し、試料名「重油0」では0.36wt%であるのに比べ、試料名「重油1」では0.35wt%、試料名「重油2」では0.32wt%であるので、硫酸化物が減少しているのがわかる。つまり、ウォータオイルは、発熱量を確保しつつ、硫酸化物を減少させることができるので、地球上に残存する油を有効、かつ効率的に利用することができ、天然エネルギー資源の問題を解決することができると共に、従来の油より環境汚染を防止する効果がある。
【0034】
すなわち、多量の硫黄(S)または炭素(C)などを含む油を燃焼させると、多量の二酸化炭素(CO2)や硫酸化物が発生する。二酸化炭素は地球温暖化現象などの異常気象の主な原因と指摘されている。また、硫酸化物は大気汚染物質として酸性雨の原因となり、人体の粘膜に作用して呼吸器疾患を引き起こす原因となる。本実施の形態1に係る水と油とを化学的に結合させたウォータオイルを燃焼させれば、水(H2O)は水素と酸素とから構成され、硫黄および炭素を含まないため、ウォータオイルに含まれた水の量ほど二酸化炭素の排出量を削減することができ、環境汚染を減らせることができる。
【0035】
以下、図2および図3を参照して、本発明の実施の形態1によるブラウンガスを利用した液体燃料製造システムおよびその製造方法を説明する。
図1に示すブラウンガスを利用した液体燃料製造システムは、ブラウンガスが溶解した水製造装置(200)と、油とこのブラウンガスが溶解した水を化学的に結合させる液体燃料製造装置(400)とを含むことができる。
【0036】
まず、ブラウンガスが溶解した水製造装置(200)から、ブラウンガスが溶解した水(250)が液体燃料製造装置(400)へ第1管(410)を通じて供給される。また、油タンク(300)から油(350)が液体燃料製造装置(400)へ第2管(420)を通じて供給される。第1管(410)および第2管(420)にはそれぞれ第1定量ポンプ(415)および第2定量ポンプ(425)が設けられているので、ブラウンガスが溶解した水や油の供給量を調節することができる。
【0037】
ウォータオイルは、ブラウンガスが溶解した水(250)と油(350)との体積比を、10〜30:90〜70(但し、体積比の合計が100の割合となる組み合わせ)とすることができる。例えば、ブラウンガスが溶解した水10Lと油90Lとを混合させるとか、ブラウンガスが溶解した水30Lと油70Lとを混合させることができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
このようにして、供給されたブラウンガスが溶解した水(250)と油(350)とを撹拌機によって撹拌することで、化学的に均一な化合物であるウォータオイル(450)を生成することができる。
【0039】
撹拌機は、液体をかき乱して混ぜるための器具である。本実施の形態1では図2に示すようにプロペラ型としているが、これに限定されない。すなわち、撹拌機は撹拌用羽の形状によってプロペラ型とする以外に、タービン型、螺旋型などとすることが可能である。
【0040】
次に、ブラウンガスが溶解した水製造装置(200)を説明する。図2に示すようにブラウンガスが溶解した水製造装置(200)は、ブラウンガス製造装置(100)と水供給装置(50)とを含むことができる。
水供給装置(50)からの水は、水ポンプ(55)によりブラウンガスが溶解した水製造装置(200)へ第3管(220)を通じて供給される。以後、ブラウンガスが溶解した水製造装置(200)へ供給された水に対してブラウンガスがブラウンガス製造装置(100)から第4管(46)を通じて注入されることで、ブラウンガスが溶解した水(250)が製造される。
【0041】
ブラウンガスは、どのような名称で呼ばれたとしても、水の電気分解よって得られる気体として水素と酸素の当量比が2:1の混合気体を全て含む概念で、後述するブラウンガス製造装置(100)は一実施例に過ぎず、ブラウンガスを製造することができる全ての装置およびブラウンガスを製造することができる全ての方法を含むものである。
【0042】
ブラウンガスが溶解した水(250)は、ORPのマイナス(−)絶対値が大きいにも関わらず、弱アルカリ性に近いことを特徴とするものである。具体的には、ブラウンガスが溶解した水(250)はORPが−300mV〜−500mVで、pHが6.0〜8.4である。すなわち、従来技術によるアルカリ電解還元水は電気分解が進めば進むほど水中の水素が多くなることでORP値の(−)絶対値が大きくなり、相対的に水素イオン濃度[H+]が低くなることでpH値が高くなって強アルカリになる。従って、従来技術によるアルカリ電解還元水では強アルカリとなってしまうため、アルカリ電解還元水と接触するポンプ、配管などを腐食させてしまうという不都合が発生する。
【0043】
ブラウンガスを注入する前の水はpH値にほとんど変化がないので、ORPはマイナス(−)で絶対値は大きくなるが、強アルカリでないことを特徴とするものである。
混合ガスであるブラウンガスを水に注入すれば、一部の水素が金属ナノコロイドに吸着されて気体にならず安定した状態で存在することができるので、水に溶解しない水素と酸素とを外部に放出することができる。
【0044】
次に、図3を参照しながらブラウンガス製造装置(100)を説明する。ブラウンガス製造装置(100)は、水および電解質(KOHまたはNaOHなど)などである電解液(44)を貯留してブラウンガスを発生させる電解槽(14)と、この電解液(44)を交換したり、不足した電解液(44)を補充する電解液調整部(図示せず)と、電解液(44)の温度を自動で冷却する冷却部(図示せず)とを含むことができる。
【0045】
以下、この電解槽(14)の構成について、詳細に説明する。図3に示すように、電解槽(14)内部には、電極管(20)の上端と下端とを固定して間隔を一定に維持する上部固定板(34)と下部固定板(35)とが設けられている。また、電解槽(14)の上部には、ガス採集部(30)とガス吐出口とで第4管(46)が構成されている(なお、図2においてはガス採集部(30)は図示していない。)。また電解槽(14)の上部に第1電気引入装置(40)が、側面には第2電気引入装置(41)が設けられている。
【0046】
次に、このように構成されたブラウンガス発生装置(100)の動作を説明する。ブラウンガス発生装置(100)は、上記電極管(20)が電極として機能をする。各電極管(20)は等しい間隔に配置、締結されている。この決まった所定の間隔で維持された電極管(20)と上部固定板(34)および下部固定板(35)とが一つの単位を成して、それぞれが独立してブラウンガスを生成する。
【0047】
印加された電圧によって対応される上記電極管(20)は、電気的損失なしに対応される上記電極管(20)の間に存在する上記電解液を電気分解して、效率的にブラウンガスを生成することができるようになる。
また、電解槽(14)の側面には冷却部(図示せず)が設けられているので、電解槽(14)内の電解液(44)を熱交換器(図示せず)で循環させると共に冷却部によって熱交換器を冷却させることで、結果的に電解液(44)の温度を低下させることができるので、電解槽(14)内の温度をいつも決まった状態に維持することができる。
【0048】
また、ブラウンガスが溶解した水と油とを混合させたものに、ブラウンガスを直接注入して混合させた場合には、ORPのマイナス(−)絶対値が更に高くなって、ウォータオイルという化合物を更に効果的に生成することができる。
【0049】
ブラウンガスが溶解した水と、油とを混合させたものに、ブラウンガスを直接注入して混合させる液体燃料製造システムおよびその製造方法は、本実施の形態1に係るブラウンガスが熔解した水と油の化合物である液体燃料製造システム、およびその製造方法の技術的な特徴を採用することができる。
【0050】
例えば、液体燃料製造(400)にブラウンガスを追加で注入して撹拌することで、より効果的にウォータオイルを製造することができる。これは、ORPの絶対値が大きければ大きいほど水素イオンが数多く存在するので、化学的な反応を更に促進させることができるからである。
【0051】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るブラウンガスを利用した液体燃料製造システムを、図4に基づいて説明する。なお、図4においては、図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0052】
実施の形態1では、ブラウンガスが溶解した水と油とを化学的に結合させた化合物について説明したが、実施の形態2は、ブラウンガスを油に直接溶解させることで、新たな化合物を生成することを特徴とするものである。
【0053】
本実施の形態2に係る液体燃料製造システムは、液体燃料製造装置(400)にブラウンガス製造装置(100)に接続する第4管(46)が直結している。
従って、油タンク(300)から送られた油に、直接ブラウンガスを注入することができる。油に注入されたブラウンガスは、撹拌機によって撹拌することで化学的に均一な化合物である液体燃料(460)となる。
【0054】
この液体燃料(460)は、油にブラウンガスが混合されているので、油を効率よく燃焼させることができる。また、この液体燃料製造システムは、ブラウンガスを一旦水に溶解させずに直接油にブラウンガスを溶解しているので、装置規模を簡素化することができる。
【0055】
なお、撹拌機は本実施の形態2においてはプロペラ型としているが、本実施の形態1と同様にこれに限定されない。すなわち、撹拌機は撹拌用羽の形状によってプロペラ型とする以外に、タービン型、螺旋型などとすることが可能である。
【0056】
なお、本発明は、本明細書中に記載された実施例および図面によって限定されるものではなく、請求項の権利範囲に属する範囲内で、多様な実施例が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1に係るブラウンガスを利用したウォータオイルに対する試験成績書である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るブラウンガスを利用した液体燃料製造システムを示す概略図である。
【図3】図2に示す液体燃料製造システムのブラウンガス製造装置の概略図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るブラウンガスを利用した液体燃料製造システムを示す概略図である。
【符号の説明】
【0058】
14 電解槽
20 電極管
30 ガス採集部
34 上部固定板
35 下部固定板
40 第1電気引入装置
41 第2電気引入装置
44 電解液
46 第4管
50 水供給装置
55 水ポンプ
100 ブラウンガス製造装置
200 水製造装置
220 第3管
250 ブラウンガスが溶解した水
300 油タンク
350 油
400 液体燃料製造装置
410 第1管
415 第1定量ポンプ
420 第2管
425 第2定量ポンプ
450 ウォータオイル
460 液体燃料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油にブラウンガスを混合させたことを特徴とする液体燃料。
【請求項2】
前記ブラウンガスは、水に溶解させた状態で混合させたものである請求項1記載の液体燃料。
【請求項3】
前記ブラウンガスが溶解した水は、ORPが−300mV以下である請求項2記載の液体燃料。
【請求項4】
前記ブラウンガスが溶解した水と油との体積比は10〜30:90〜70で、体積比の合計が100の割合となる組み合わせである請求項2または3記載の液体燃料。
【請求項5】
油にブラウンガスを混合する液体燃料製造装置を備えたことを特徴とする液体燃料製造システム。
【請求項6】
前記液体燃料製造装置に注入するブラウンガスを、予め水に溶解させる水製造装置を備えた請求項5記載の液体燃料製造システム。
【請求項7】
前記ブラウンガスが溶解した水は、ORPが−300mV以下である請求項6記載の液体燃料製造システム。
【請求項8】
前記ブラウンガスが溶解した水と油との体積比は10〜30:90〜70で、体積比の合計が100の割合となる組み合わせである請求項6または7記載の液体燃料製造システム。
【請求項9】
前記液体燃料製造装置には、ブラウンガスを供給するブラウンガス供給装置が設けられている請求項5から8のいずれかの項に記載の液体燃料製造システム。
【請求項10】
前記液体燃料製造装置は、撹拌機を備えている請求項5から9のいずれかの項に記載の液体燃料製造システム。
【請求項11】
油にブラウンガスを混合することを特徴とする液体燃料の製造方法。
【請求項12】
前記ブラウンガスを水に溶解させる段階と、
前記ブラウンが溶解した水を油に混合する段階とを含むことを特徴とする請求項11に記載の液体燃料の製造方法。
【請求項13】
前記ブラウンガスが溶解した水は、ORPが−300mV以下である請求項12記載の液体燃料製造方法。
【請求項14】
前記ブラウンガスが溶解した水と油との体積比は10〜30:90〜70で、体積比の合計が100の割合となる組み合わせである請求項12または13記載の液体燃料製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−102600(P2009−102600A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326117(P2007−326117)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(502013023)イーアンドイー・コーポレーション (3)
【氏名又は名称原語表記】E&E Corporation
【Fターム(参考)】