説明

液体現像剤および液体現像剤の製造方法

【課題】トナー粒子間での特性(例えば、帯電特性)のばらつきが小さく、十分な光学濃度(OD値)を有する印刷物の製造に好適に用いることのできる液体現像剤を提供すること。
【解決手段】本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、トナー粒子とを含み、前記トナー粒子は、体積平均粒径(D50)が2μm以上4μm以下であり、微粒子側からの質量累積分布率10%での粒径(D10)が0.8μm以上1.8μm以下であり、かつ、微粒子側からの質量累積分布率90%での粒径(D90)が3μm以上7μm以下の一峰性分布を持つことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤および液体現像剤の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤には、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを乾式状態で用いる乾式トナーによる方法と、トナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤を用いる方法とがある(例えば、特許文献1参照)。
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
【0003】
一方、液体現像剤を用いる方法では、液体現像剤中におけるトナー粒子の凝集が比較的少ないため、乾式トナーと比較して微細なトナー粒子を用いることが可能であり、また、結着樹脂として、乾式トナーで用いる樹脂材料よりも低軟化点(低軟化温度)のものを用いることができる。その結果、液体現像剤を用いる方法では、細線画像の再現性が良く、階調再現性が良好で、カラーの再現性に優れており、また、高速での画像形成方法としても優れているという特徴を有している。
しかしながら、従来の液体現像剤では、液体現像剤を構成するトナー粒子間での特性(例えば、帯電特性)のばらつきが大きいという問題があった。また、比較的粒径の大きいトナー粒子を比較的高い割合で含むものとした場合、十分な光学濃度(OD値)を得るのが困難であるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−258541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、トナー粒子間での特性(例えば、帯電特性)のばらつきが小さく、十分な光学濃度(OD値)を有する印刷物の製造に好適に用いることのできる液体現像剤を提供すること、また、前記液体現像剤を効率よく製造することができる液体現像剤の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、トナー粒子とを含み、
前記トナー粒子は、体積平均粒径(D50)が2μm以上4μm以下であり、微粒子側からの体積累積分布率10%での粒径(D10)が0.8μm以上1.8μm以下であり、かつ、微粒子側からの体積累積分布率90%での粒径(D90)が3μm以上7μm以下の一峰性分布を持つことを特徴とする。
これにより、トナー粒子間での特性(例えば、帯電特性)のばらつきが小さく、十分な光学濃度(OD値)を有する印刷物の製造に好適に用いることのできる液体現像剤を提供することができる。
【0007】
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子の粒度分布における半値幅が、2μm以下であることが好ましい。
これにより、トナー粒子間での特性(例えば、帯電特性)のばらつきを特に小さいものとすることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法は、絶縁性液体およびトナー粒子を含む液体現像剤の製造方法であって、
樹脂材料および着色剤を含む混練物を粗粉砕して粗粉砕物を得る粗粉砕工程と、
前記絶縁性液体中で前記粗粉砕物を湿式粉砕法により微粉砕する微粉砕工程と、
前記樹脂材料のガラス転移温度をTg[℃]、前記樹脂材料の軟化点をTm[℃]としたとき、Tg以上の温度でかつTm以下の温度で熱処理を施す熱処理工程とを有し、
前記トナー粒子を、体積平均粒径(D50)が2μm以上4μm以下であり、微粒子側からの体積累積分布率10%での粒径(D10)が0.8μm以上1.8μm以下であり、かつ、微粒子側からの体積累積分布率90%での粒径(D90)が3μm以上7μm以下の一峰性分布を持つものとすることを特徴とする。
これにより、トナー粒子間での特性(例えば、帯電特性)のばらつきが小さく、十分な光学濃度(OD値)を有する印刷物の製造に好適に用いることのできる液体現像剤を効率よく製造することができる液体現像剤の製造方法を提供することができる。
【0008】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記微粉砕工程は、アクリル系ポリマーとポリシロキサンとのグラフト共重合体を含む前記絶縁性液体中で行うものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0009】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記アクリル系ポリマーは、アクリル酸アルキルエステルをモノマー成分として含むものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0010】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記ポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0011】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記ポリシロキサンは、前記ジメチルポリシロキサンにアクリル酸化合物が付加したものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0012】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記微粉砕工程は、ポリアルキレンイミンを含む前記絶縁性液体中で行うものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性および正帯電の帯電特性を特に優れたものとすることができる。
【0013】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記樹脂材料として、ロジン系樹脂を含むものを用いることが好ましい。
これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、特に、微粉砕工程を、ポリアルキレンイミンを含む絶縁性液体中で行う場合には、ポリアルキレンイミンによる表面改質をより好適に行うことができ、液体現像剤の正帯電の帯電特性も特に高いものとすることができる。
【0014】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記絶縁性液体として、シリコーンオイルおよびシロキサン化合物のうち少なくとも一方を含むものを用いることが好ましい。
これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、特に、微粉砕工程を、アクリル系ポリマーとポリシロキサンとのグラフト共重合体を含む絶縁性液体中で行う場合には、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す模式図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。
<トナー粒子>
[トナー粒子の形状]
本発明において、トナー粒子は、体積平均粒径(D50)が2μm以上4μm以下であり、微粒子側からの体積累積分布率10%での粒径(D10)が0.8μm以上1.8μm以下であり、かつ、微粒子側からの体積累積分布率90%での粒径(D90)が3μm以上7μm以下の一峰性分布を持つことを特徴とする。このような条件を満足することにより、トナー粒子間での特性(例えば、帯電特性)のばらつきを十分に小さいものとすることができ、液体現像剤を用いて製造される印刷物の印刷部における光学濃度(OD値)を十分に高いものとすることができる。このような優れた効果は、上記のような条件を全て満足することにより得られるものであって、上記のうち1つの条件でも満足しないものがある場合には、上記のような優れた効果は得られない。すなわち、体積平均粒径(D50)が前記下限値未満である場合には、帯電量が不安定な粒子が増え現像効率が低下するという問題が生じる。また、体積平均粒径(D50)が前記上限値を超える場合には、埋まり率が低下しOD値が低下するという問題が生じる。また、微粒子側からの質量累積分布率10%での粒径(D10)が前記下限値未満である場合には、カブリが増え現像効率が低下するという問題が生じる。また、微粒子側からの体積累積分布率10%での粒径(D10)が前記上限値を超える場合には、OD値が低下するという問題が生じる。また、微粒子側からの体積累積分布率90%での粒径(D90)が前記下限値未満である場合には、現像効率が低下するという問題が生じる。また、微粒子側からの体積累積分布率90%での粒径(D90)が前記上限値を超える場合には、OD値が低下するという問題が生じる。また、一峰性分布を有さない場合には、粒子の帯電量に差ができ、クリーニングの際には帯電量の低い微粒子が多く回収され、リサイクルに問題が生じる。なお、本発明において、「一峰性分布」とは、粒度分布を規格化した際に、唯一の極値ではない停留点と唯一の極大値とを有する粒度分布であり、かつ、その極大値の強度が0.7以上という条件を満たすことを言う。
【0017】
なお、体積平均粒径とは、以下のようにして得られる値である。すなわち、分散媒中の粒子に光を照射し、前記分散媒の前方・側方・後方に配置されたディテクターによって、発生する回折散乱光を測定する。前記測定値を利用して、本来は不定形である粒子を、球形であると仮定し、該粒子の体積と等しい球に換算された粒子集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その際の累積値が50%となる点を、体積平均粒径とする。測定装置としては、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分析計 マイクロトラックMT−3000(日機装社製)などが挙げられる。
【0018】
上記のように、本発明において、トナー粒子の体積平均粒径(D50)は、2μm以上4μm以下であるが、2.0μm以上3.0μm以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。また、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。
【0019】
また、本発明において、トナー粒子の微粒子側からの体積累積分布率10%での粒径(D10)は、0.8μm以上1.8μm以下であるが、0.9μm以上1.6μm以下であるのが好ましく、1.0μm以上1.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本発明において、トナー粒子の微粒子側からの体積累積分布率90%での粒径(D90)は、3μm以上7μm以下であるが、3.1μm以上6.5μm以下であるのが好ましく、3.2μm以上5.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、トナー粒子の粒度分布における半値幅は、3μm以下であるのが好ましく、1μm以上2.5μm以下であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子間での特性(例えば、帯電特性)のばらつきを特に小さいものとすることができる。
【0020】
[トナー粒子の構成材料]
トナー粒子は、少なくとも、樹脂材料と着色剤とを含むものである。
1.樹脂材料(結着樹脂)
トナー粒子は、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂材料(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、公知の樹脂を用いることができるが、特に、カルボニル基、カルボキシル基等の極性の高い官能基を有する樹脂を用いることが好ましい。これにより、例えば、液体現像剤が、後に詳述するようなアクリル系ポリマーとポリシロキサンとのグラフト共重合体を含むものである場合に、当該グラフト共重合体を十分にトナー粒子の周囲に付着させることができ、その機能をより効果的に発揮させることができる。
【0021】
このような樹脂としては、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。特に、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。また、ポリエステル樹脂は、後述するポリアルキレンイミンとの反応性が高い官能基(酸性基)を比較的多数有する材料であることから、液体現像剤がポリアルキレンイミンを含むものである場合に、ポリアルキレンイミンによる表面改質を好適に行うことができ、液体現像剤の正帯電の帯電特性を高いものとすることができる。
【0022】
また、樹脂材料は、ロジン系樹脂を含んでいるのが好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、ロジン系樹脂は、後述するポリアルキレンイミンとの反応性が高い官能基(酸性基)を多数有する材料であることから、後述する液体現像剤の製造方法での微粉砕工程を、ポリアルキレンイミンを含む絶縁性液体中で行う場合には、ポリアルキレンイミンによる表面改質をより好適に行うことができ、液体現像剤の正帯電の帯電特性も特に高いものとすることができる。
【0023】
ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂、フマル酸変性ロジン樹脂、エステルガム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500以上100000以下であるのが好ましく、1000以上80000以下であるのがより好ましく、1000以上50000以下であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
【0024】
また、ロジン系樹脂の酸価は、40mgKOH/g以下であるのが好ましく、30mgKOH/g以下であるのがより好ましく、5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、トナー粒子を構成する樹脂材料中におけるロジン系樹脂の含有率は、1質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、5質量%以上40質量%以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
【0025】
樹脂材料の軟化点は、特に限定されないが、50℃以上140℃以下であるのが好ましく、50℃以上130℃以下であるのがより好ましく、60℃以上120℃以下であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化点とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mm、圧力1.96MPaで規定される軟化開始温度のことを指す。また、ガラス転移温度(Tg)とは、示差走査熱量計(島津製作所社製 DSC−60)を用いて、昇温速度5℃/minでの昇温測定によって得られる示差熱曲線において、ガラス転移開始温度前のベースラインと、ガラス転移変曲点での接線と、の交点となる温度のことを指す。
【0026】
2.着色剤
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.ポリアルキレンイミン
トナー粒子は、その表面がポリアルキレンイミンにより改質されているのが好ましい。なお、ポリアルキレンイミンによる改質とは、ポリアルキレンイミンのアミノ基の少なくとも一部と、トナー粒子の表面の樹脂材料に由来する酸性基(主にカルボキシル基)の少なくとも一部とが化学反応し、共有結合(アミド結合)をなしていること、または、樹脂材料の酸性基とポリアルキレンイミンのアミノ基とがイオン結合をなしていることをいう。
【0027】
ポリアルキレンイミンは、多数のアミノ基を有している。このようなポリアルキレンイミンがトナー粒子の表面に化学的に付着(結合)していることにより、トナー粒子表面にアミノ基が多数存在することとなる。そして、ポリアルキレンイミンのアミノ基が、液体現像剤が後に詳述するアクリル系ポリマーとポリシロキサンとのグラフト共重合体(アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体)を含む場合に、当該アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体のアクリル系ポリマー部位のカルボニル基を引き付け、トナー粒子の表面付近にアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体が存在しやすくなることから、トナー粒子の分散安定性が特に優れたものとなる。また、ポリアルキレンイミンは、アミノ基がカチオンを引きつけることにより、高い正帯電性を示すことができる。そして、ポリアルキレンイミンのアミノ基とアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体のカルボニル基とが電気的に引き付け合うことから、アミノ基やカルボニル基がさらに分極する結果、トナー粒子の正帯電の帯電特性が特に優れたものとなる。
【0028】
さらに、絶縁性液体にハイドロジェン変性シリコーンが含まれる場合、このアミノ基がハイドロジェン変性シリコーン化合物由来のプロトンを効率よく引きつけ、トナー粒子の正帯電の帯電特性をさらに向上させることができる。
また、このようなポリアルキレンイミンは、化学的にトナー粒子表面に付着しているので、トナー粒子表面から脱離しづらく、トナー粒子の正帯電の帯電特性を長期にわたって優れたものとすることができるとともに、長期にわたってトナー粒子を絶縁性液体中に安定して分散させることができる。
【0029】
ポリアルキレンイミンとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソプロピレンイミン等が挙げられる。中でも、ポリエチレンイミンを用いるのが好ましい。これにより、トナー粒子の表面を、より好適に改質することができ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
【0030】
ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、10000以上70000以下であるのが好ましい。ポリアルキレンイミンの重量平均分子量がこのような範囲であると、トナー粒子表面をより効果的に改質(化学修飾)することができるとともに、ポリアルキレンイミンの比較的長い分子鎖による立体障害によって、トナー粒子同士の凝集を効果的に防止することができ、トナー粒子の分散安定性を効果的に向上させることができる。
【0031】
4.その他の成分
また、トナー粒子は、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10質量%以上60質量%以下であるのが好ましく、20質量%以上50質量%以下であるのがより好ましい。
【0032】
<絶縁性液体>
次に、絶縁性液体について説明する。
絶縁性液体は、上述したようなトナー粒子を分散する分散媒として機能する。
また、絶縁性液体は、画像形成時において帯電したトナー粒子を転写させるために、高い絶縁性を有する。
【0033】
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1×10Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
絶縁性液体としては、例えば、KF−99、KF−96、KF−995(以上、信越化学工業)、AK35、AK50、AK100、AK350、AK1000(以上、Wacker Chemie AG)、SH200、SH510、SH8400(以上、東レダウコーニング)等のジメチルシリコーンオイルや、ハイドロジェン変性シリコーン化合物等の重合度が20より大きいシリコーンオイル;シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン化合物やメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等の重合度が20以下の低分子シロキサン化合物;アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン化学社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)等の鉱物油(炭化水素系液体);脂肪酸グリセリド、脂肪酸モノエステル、中鎖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルまたはそれらを含む植物油;オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、酢酸ブチル、イソプロパノール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
上述した中でも、絶縁性液体は、シリコーンオイルおよび低分子シロキサン化合物のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。これにより、液体現像剤が後に詳述するアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を含む場合において、絶縁性液体とアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体との親和性が高いものとなり、この結果、トナー粒子が絶縁性液体中により安定して分散しやすくなる。
【0035】
また、低分子シロキサン化合物としては、環状シロキサン化合物が好ましく、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンがより好ましい。絶縁性液体として、このような化合物を含むことにより、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性が特に優れたものとなる。
また、絶縁性液体が、ハイドロジェン変性シリコーン化合物を含有するシリコーンオイルを含む場合、以下のような効果が得られる。ハイドロジェン変性シリコーン化合物は、ポリシロキサンの側鎖や末端の一部に水素基を有している。この水素の一部が、水素イオン(プロトン)として遊離し、このプロトンがトナー粒子の表面に存在する樹脂材料由来の官能基(酸性基)に引きつけられる。その結果、トナー粒子は、優れた正帯電性を示すものとなり、現像効率、転写効率に優れたものとなる。
【0036】
ところで、ハイドロジェン変性シリコーン化合物から遊離する水素イオンは、一般に、水素分子として液体現像剤から揮発しやすい。この結果、ハイドロジェン変性シリコーン化合物が低分子化したり、化学変性したりすることにより、絶縁性液体の特性が変化し、この結果、液体現像剤におけるトナー粒子の分散安定性や帯電特性の低下をもたらす問題があった。しかしながら、液体現像剤が後に詳述するアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を含む場合においては、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体のアクリル系ポリマー部分が、水素イオンを捕獲(トラップ)し、水素イオンが水素分子に変化することを防止することができる。このため、液体現像剤は、ハイドロジェン変性シリコーンを含んでいても、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体をともに含むことにより、特性の変化が少なく、トナー粒子の優れた分散安定性、帯電特性が長期にわたって維持される。
【0037】
なお、ここで、「側鎖または末端の一部に水素基を有している」とは、ハイドロジェン変性シリコーン化合物のポリシロキサン骨格のSi部分に直接水素基が結合していることをいう。
ハイドロジェン変性シリコーン化合物としては、例えば、ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(エチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(フェニルハイドロジェ
ンシロキサン)等が挙げられる。
【0038】
ハイドロジェン変性シリコーン化合物は、そのポリシロキサン骨格が分岐鎖状であってもよいし、直鎖状であってもよい。
また、水素基は、上述したように、ポリシロキサン骨格の側鎖または末端に結合しているが、側鎖に結合している場合、水素イオンを放出しやすくなる結果、トナー粒子の正帯電の帯電特性を特に優れたものとすることができる。一方で、末端に水素基が結合している場合、水素イオンの放出が比較的緩やかに起こる結果、ハイドロジェン変性シリコーン化合物が劣化しにくいものとなり、液体現像剤の物性の変化が長期にわたって少ないものとなる。
【0039】
このようなハイドロジェン変性シリコーン化合物の25℃における動粘度は、20mm/s以上500mm/s以下であるのが好ましく、20mm/s以上80mm/s以下であるのがより好ましく、20mm/s以上40mm/s以下であるのがさらに好ましい。これにより、正帯電の帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の分散性をより優れたものとすることができる。
【0040】
<アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体>
液体現像剤は、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を含むものであるのが好ましい。
一般に、液体現像剤においては、画像形成時において、感光体上に帯電した潜像を形成し、潜像にトナー粒子を付着させて、トナー画像を得る。このため、トナー粒子には、帯電性が必要とされ、かつ、トナー粒子が泳動する絶縁性液体には絶縁性が必要とされる。このような場合、構成材料の極性が大きいトナー粒子は、構成材料の極性が小さい絶縁性液体と十分な親和性を有せず、絶縁性液体中でトナー粒子が凝集してしまう結果、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性が十分なものとならない問題があった。
【0041】
これに対し、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を含むことにより、上記のような問題の発生を効果的に防止することができることを、鋭意研究の結果、本発明者は見出した。すなわち、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体中の(メタ)アクリル部分は、その骨格にあるカルボニル基によって比較的大きな極性を有している。一方で、ポリシロキサン部分は、比較的極性が小さい。このため、このような各部分を有することにより、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、(メタ)アクリル部分がトナー粒子と親和性が高いものとなり、ポリシロキサン部分が絶縁性液体と親和性が高いものとなる。そして、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体が、トナー粒子と絶縁性液体との間に存在することにより、トナー粒子の絶縁性液体への分散安定性が優れたものとなる。
【0042】
また、このようなアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を後に詳述する製造方法の微粉砕工程で用いることにより、トナー粒子の粒度分布が上述したような所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。
また、このようなアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を液体現像剤が含むことにより、帯電性の比較的高いトナー粒子と、絶縁性の比較的高い絶縁性液体とを含んでいても、トナー粒子の凝集が防止される。すなわち、液体現像剤の現像、転写特性(トナー粒子の帯電特性に大きく依存)とトナー粒子の分散安定性とを同時に優れたものとすることができる。
【0043】
また、絶縁性液体が後述するようなハイドロジェン変性シリコーン化合物を含む場合、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、ハイドロジェン変性シリコーン化合物の劣化を防止して、液体現像剤の特性の変化を好適に防止することができる。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
また、上述したモノマー成分で構成されたアクリル系ポリマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらのアルキルエステルの中から選ばれる1種以上のモノマーであって、そのアルキル基の炭素数が4以下であるモノマー(アクリレーツ)で構成されたポリマーが挙げられる。
また、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、複数種のアクリル系ポリマーを含んで構成されていてもよい。
【0045】
アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を構成するアクリル系ポリマーは、アクリレーツおよびアクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、アクリレーツおよびアクリル酸エチルヘキシルであることがより好ましい。これにより、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、後に詳述する製造方法を用いて液体現像剤を製造した場合に、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。
なお、アクリル系ポリマーは、上記以外のモノマー成分を含んで構成されていてもよい。
【0046】
また、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を構成するポリシロキサンとしては、特に限定されず、例えば、ジメチルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のジアリールポリシロキサン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でもポリシロキサンとしては、ジアルキルシロキサンを含むことが好ましく、ジメチルポリシロキサンを含むことがより好ましい。これにより、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述する製造方法を用いて液体現像剤を製造した場合に、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。
【0047】
また、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を構成するポリシロキサンは、その側鎖または末端が、他の官能基等によって置換されていてもよい。例えば、ポリシロキサンの側鎖または末端に対し、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸化合物が付加していてもよい。これにより、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述する製造方法を用いて液体現像剤を製造した場合に、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。
また、上記ポリシロキサンは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
【0048】
また、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、アクリル系ポリマーとポリシロキサンとがグラフト重合することによって得られる。これにより、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、分岐鎖を多く有するものとなり、嵩高いものとなる。そして、この結果、極性が比較的大きな部分(アクリル系ポリマー部分)と極性が比較的小さな部分(ポリシロキサン部分)とが、十分にその機能を発揮できるものとなる。
上述したようなアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体としては、より具体的には、例えば、KP−541、KP−575、KP−543、KP−545、KP−549等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、トナー粒子:100質量部に対し、10質量部以上50質量部以下含まれていることが好ましく、15質量部以上45質量部以下含まれていることがより好ましい。これにより、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体の効果を十分に得ることができるとともに、液体現像剤の粘度を適正なものとすることができる。これに対し、液体現像剤中のアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体のトナー粒子に対する含有量が前記下限値未満だと、十分にアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体の効果を得ることができない場合がある。一方、液体現像剤中のアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体のトナー粒子に対する含有量が前記上限値を超えると、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体の種類によっては、液体現像剤の粘度が極端に低下してしまう場合があり、後述するような画像形成装置において、塗布ローラー等からの液体現像剤の液だれ等の問題が起こる可能性がある。
また、液体現像剤中には、上述した成分以外に、例えば、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体以外の分散剤、外添剤、公知の酸化防止剤、帯電制御剤等を含んでいてもよい。
【0050】
絶縁性液体の粘度は、特に限定されないが、5mPa・s以上1000mPa・s以下であるのが好ましく、50mPa・s以上800mPa・s以下であるのがより好ましく、50mPa・s以上500mPa・s以下であるのがさらに好ましい。絶縁性液体の粘度が前記範囲内の値であると、液体現像剤が現像剤容器から塗布ローラーにくみ出された場合において、適量の絶縁性液体がトナー粒子に付着し、トナー画像の現像性、転写性を特に優れたものにできる。また、トナー粒子の分散性をより高いものとすることができるとともに、後述するような画像形成装置において、塗布ローラーに液体現像剤をより均一に供給することができ、また、塗布ローラー等からの液体現像剤の液だれ等をより効果的に防止することができる。加えて、トナー粒子の凝集、沈降をより効果的に防止でき、絶縁性液体中におけるトナー粒子の分散性をより高いものとすることができる。これに対し、絶縁性液体の粘度が前記下限値未満であると、後述するような画像形成装置において、塗布ローラー等からの液体現像剤の液だれ等の問題が起こる可能性がある。一方、絶縁性液体の粘度が前記上限値を超えると、トナー粒子の分散性を十分高くできず、後述するような画像形成装置において、塗布ローラーに液体現像剤をより均一に供給することができない場合がある。ただし、本明細書における粘度とは25℃において測定した値を指すものとする。
【0051】
≪液体現像剤の製造方法≫
次に、上述したような液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、樹脂材料および着色剤を含む混練物を粗粉砕して粗粉砕物を得る粗粉砕工程と、絶縁性液体中で粗粉砕物を湿式粉砕法により微粉砕する微粉砕工程と、樹脂材料のガラス転移温度をTg[℃]、樹脂材料の軟化点をTm[℃]としたとき、Tg以上の温度でかつTm以下の温度で熱処理を施す熱処理工程とを有する。これにより、上述したような粒度分布を有するトナー粒子を含む液体現像剤を、効率よくかつ確実に製造することができる。
【0052】
以下、液体現像剤の製造方法を構成する各工程について詳細に説明する。
[粗粉砕工程]
まず、樹脂材料および着色剤を含む混練物を粗粉砕して粗粉砕物を得る。
混練物の粉砕には、例えば、ハンマーミル、ロールミル等を用いることができる。
混練物を構成する樹脂材料および着色剤としては、上述したようなものを用いることができるが、混練物が樹脂材料として、ロジン系樹脂を含むものを用いるものであると、特に、以下のような効果が得られる。すなわち、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、特に、後の微粉砕工程を、ポリアルキレンイミンを含む絶縁性液体中で行う場合には、ポリアルキレンイミンによる表面改質をより好適に行うことができ、液体現像剤の正帯電の帯電特性も特に高いものとすることができる。
本工程で得られる粗粉砕物の粒径は、5mm以上20mm以下であるのが好ましい。これにより、後の微粉砕工程を効率よく行うことができるとともに、より確実に、最終的に得られる液体現像剤を、上述したようなより好ましい条件の粒度分布を有するトナー粒子を含むものとすることができる。
【0053】
[微粉砕工程]
粗粉砕工程の後に、絶縁性液体中で粗粉砕物を湿式粉砕法により微粉砕する。
本工程は、例えば、遊星ボールミルにより行うことができる。
本工程は、上述したようなアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を含む絶縁性液体中で行うものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0054】
上述したように、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を構成するアクリル系ポリマーは、アクリル酸アルキルエステルをモノマー成分として含むものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0055】
また、上述したように、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を構成するポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサンであるのが好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0056】
また、上述したように、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を構成するポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサンにアクリル酸化合物が付加したものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0057】
また、微粉砕工程は、ポリアルキレンイミンを含む絶縁性液体中で行うものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性および正帯電の帯電特性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程では、絶縁性液体として、シリコーンオイルおよびシロキサン化合物のうち少なくとも一方を含むものを用いるのが好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布が所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができる。また、特に、微粉砕工程を、アクリル系ポリマーとポリシロキサンとのグラフト共重合体を含む絶縁性液体中で行う場合には、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、液体現像剤の保存安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。このような効果は、特に、ジメチルシリコーンを用いた場合に、特に顕著に発揮される。
【0058】
[熱処理工程]
その後、微粉砕工程が施された組成物に対し、熱処理を施す。特に、本工程では、樹脂材料のガラス転移温度をTg[℃]、樹脂材料の軟化点をTm[℃]としたとき、Tg以上の温度でかつTm以下の温度で熱処理を施す。
これにより、液体現像剤を構成するトナー粒子の粒度分布が上述したような所定の条件を満足するものとなるように、確実に制御することができ、得られる液体現像剤を、トナー粒子間での特性(例えば、帯電特性)のばらつきが小さく、十分な光学濃度(OD値)を有する印刷物の製造に好適に用いることのできるものとすることができる。また、上記のような方法を用いることにより、上記のような液体現像剤を効率よく製造することができる。
【0059】
上記のように、本工程での処理温度は、Tg[℃]以上Tm[℃]以下であればよいが、(Tg+5)[℃]以上(Tm−10)[℃]以下であるのが好ましく、(Tg+10)[℃]以上(Tm−35)[℃]以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布が上述したような所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができるとともに、液体現像剤の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、粗粉砕物を構成する樹脂材料が複数種の成分(樹脂成分)で構成されるものである場合には、TgおよびTmとしては、これらの混合物全体としてのガラス転移温度および軟化点を採用するものとする。
【0060】
本工程での熱処理時間は、10分以上180分以下であるのが好ましく、15分以上60分以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の粒度分布が上述したような所定の条件を満足するものとなるように、より確実に制御することができるとともに、液体現像剤の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程は、せん断をかけながら行うものであるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。また、絶縁性液体中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、各トナー粒子の帯電特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
本工程をせん断をかけながら行う場合、300rpm以上1200rpm以下のせん断をかけるのが好ましく、400rpm以上900rpm以下のせん断をかけるのがより好ましい。
【0061】
≪画像形成装置≫
次に、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
画像形成装置1000は、図1、図2に示すように、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kと、転写部(中間転写部40および2次転写ユニット(2次転写部)60)と、定着部(定着装置)F40と、4つの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kとを有している。
【0062】
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Y、30M、30C、30Kの構成は同様であるので、以下、現像部30Yについて説明する。
【0063】
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラー11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラー51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
【0064】
感光体10Yは、円筒状の基材とその外周面に形成され、例えばアモルファスシリコン等の材料で構成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図2中の矢印で示すように時計回りに回転する。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
【0065】
帯電ローラー11Yは、感光体10Yを帯電するための装置であり、露光ユニット12Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y上に照射する。
【0066】
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラー13Yと、該感光体スクイーズローラー13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
【0067】
1次転写バックアップローラー51Yは、感光体10Yに形成された単色像を、後述する中間転写部40に転写するための装置である。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラー51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラー51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
【0068】
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラー41および一対の従動ローラー44、45に張架されている。また、中間転写部40は、1次転写バックアップローラー51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラー41により反時計回りに回転駆動される。
【0069】
さらに、中間転写部40は、テンションローラー49によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。このテンションローラー49は、一方の従動ローラー44より中間転写部40の回転(移動)方向下流側でかつ他方の従動ローラー45より中間転写部40の回転(移動)方向上流側に配設されている。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラー51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
【0070】
中間転写部40には、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、後述する2次転写ユニット60において一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5にトナー画像を転写するに当たって、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
【0071】
また、中間転写部40には、中間転写部クリーニングブレード46、現像剤回収部47、非接触式バイアス印加部材48からなるクリーニング装置が配置されている。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラー45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上にトナー画像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
【0072】
非接触式バイアス印加部材48はテンションローラー49に対向する位置に中間転写部40から離間して配設されている。この非接触式バイアス印加部材48は、二次転写後に中間転写部40上に残留する液体現像剤のトナー(固形分)に、このトナーと逆極性のバイアス電圧を印加するものである。これにより、トナーが除電されて中間転写部40へのトナーの静電付着力が低減されるようにしている。この例では、非接触式バイアス印加部材48として、コロナ帯電器が用いられている。
【0073】
なお、非接触式バイアス印加部材48は、必ずしもテンションローラー49に対向する位置に配設する必要はなく、例えば従動ローラー44とテンションローラー49との間の位置等、従動ローラー44より中間転写部の移動方向下流側で、かつ、従動ローラー45より中間転写部の移動方向上流側の任意の位置に配設することができる。また、非接触式バイアス印加部材48はコロナ帯電器以外の公知の非接触式帯電器を用いることもできる。
【0074】
また、1次転写バックアップローラー51Yより中間転写部40の移動方向下流側に、中間転写部スクイーズ装置52Yが配されている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
【0075】
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部スクイーズローラー53Yと、中間転写部スクイーズローラー53Yに押圧摺接して表面をクリーニングする中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yと、中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yで除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部56Yとから構成される。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
【0076】
2次転写ユニット60は、互いに転写材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の2次転写ローラーを備えている。これらの一対の2次転写ローラーのうち、中間転写部40の移動方向の上流側に配置される2次転写ローラーが上流側2次転写ローラー64である。この上流側2次転写ローラー64は、ベルト駆動ローラー41に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
【0077】
また、一対の2次転写ローラーのうち、転写材の移動方向の下流側に配置される2次転写ローラーが下流側2次転写ローラー65である。この下流側2次転写ローラー65は、従動ローラー44に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
すなわち、上流側2次転写ローラー64、下流側2次転写ローラー65は、それぞれ、ベルト駆動ローラー41および従動ローラー44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
【0078】
この場合、ベルト駆動ローラー41および従動ローラー44は、それぞれ上流側2次転写ローラー64、下流側2次転写ローラー65のバックアップローラーとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラー41は、2次転写ユニット60において従動ローラー44より記録媒体F5の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラーとして兼用される。また、従動ローラー44は、2次転写ユニット60においてベルト駆動ローラー41より記録媒体F5の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラーとして兼用される。
【0079】
したがって、2次転写ユニット60に搬送されてきた記録媒体F5は、上流側2次転写ローラー64とベルト駆動ローラー41との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側2次転写ローラー65と従動ローラー44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの転写材の所定の移動領域で中間転写部40に密着される。これにより、中間転写部40上のフルカラーの中間転写像が、中間転写部40に密着した状態の記録媒体F5に所定時間にわたって2次転写されるので、良好な2次転写が行われる。
【0080】
また、2次転写ユニット60は、上流側2次転写ローラー64に対して、2次転写ローラークリーニングブレード66と、現像剤回収部67とを備えている。また、2次転写ユニット60は、下流側2次転写ローラー65に対して、2次転写ローラークリーニングブレード68と、現像剤回収部69とを備えている。各2次転写ローラークリーニングブレード66、68は、それぞれ2次転写ローラー64、65に当接されて2次転写後に各2次転写ローラー64、65の表面に残留する液体現像剤を掻き落として除去する。また、各現像剤回収部67、69は、それぞれ各2次転写ローラークリーニングブレード66、68によって各2次転写ローラー64、65から掻き落とされた液体現像剤を回収して貯留する。
【0081】
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)は、定着部(定着装置)F40に送られ、加熱および加圧されて、記録媒体F5上に定着される。
なお、定着温度(設定温度)は、具体的には、80℃以上160℃以下であるのが好ましく、100℃以上150℃以下であるのがより好ましく、100℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。
【0082】
次に、現像ユニット100Y、100M、100C、100Kについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Yについて説明する。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラー32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤撹拌ローラー34Y、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラー20Yと、現像ローラークリーニングブレード21Yとを有している。
【0083】
液体現像剤貯留部31Yは、感光体10Yに形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えており、液体現像剤を現像部に供給する供給部31aYと、供給部31aY等で発生した余剰の液体現像剤を回収する回収部31bYと、供給部31aYと回収部31bYとを仕切る仕切31cYとを備えている。
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラー32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラー34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤混合槽93Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
【0084】
回収部31bYは、供給部31aYに過剰に供給された液体現像剤や現像剤回収部15Y、24Yで生じた余剰な液体現像剤を回収するものである。回収された液体現像剤は、後述する液体現像剤混合槽93Yに搬送され、再利用される。また、回収部31bYは、凹状の部分を有し、その底付近に回収スクリュー36Yが設置されている。
供給部31aYと回収部31bYとの境界には、壁状の仕切31cYが設けられている。仕切31cYは、供給部31aYと回収部31bYとを仕切り、回収された液体現像剤の新鮮な液体現像剤への混入を防ぐことができる。また、供給部31aYに過剰の液体現像剤が供給された際に、過剰分の液体現像剤は、仕切31cYを超えて供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。このため、供給部31aYの液体現像剤の量が一定に保持されることができ、塗布ローラー32Yに供給される液体現像剤の液量を一定に維持することができる。このため、最終的に形成される画像の画質が安定したものとなる。
【0085】
また、仕切31cYには、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。
塗布ローラー32Yは、液体現像剤を現像ローラー20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラー32Yは、鉄等金属性のローラーの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラーを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラー32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラー32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラー20Yへ搬送する。
【0086】
規制ブレード33Yは、塗布ローラー32Yの表面に当接して、塗布ローラー32Y上の液体現像剤の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Yは、塗布ローラー32Y上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラー20Yに供給する塗布ローラー32Y上の液体現像剤を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Yは、塗布ローラー32Yが回転して液体現像剤から進出する側(すなわち、図2中右側)に設けられている。なお、規制ブレード33Yのゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Yの、塗布ローラー32Y表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラー20Yの弾性体の層の塗布ローラー32Y表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。また、掻き取られた余剰の液体現像剤は、供給部31aYに回収され、再利用される。
【0087】
現像剤撹拌ローラー34Yは、液体現像剤を一様分散状態に撹拌する機能を備えたものである。これにより、複数個のトナー粒子が凝集した場合であっても、トナー粒子同士を好適に分散させることができる。
供給部31aY内において、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラー34Yにより撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラー32Yが回転することによって、液体現像剤貯留部31Yから汲み上げられ、規制ブレード33Yによって液体現像剤量が規制されて現像ローラー20Yに供給される。また、現像剤撹拌ローラー34Yによって撹拌されることにより、仕切31cYを超えて回収部31bY側に液体現像剤を安定して溢れさせることができ、液体現像剤が滞留し圧縮することを防ぐことができる。
【0088】
さらに、現像剤撹拌ローラー34Yは、連通部35Y付近に設けられている。このため、連通部35Yから供給された液体現像剤が素早く拡散することができ、液体現像剤が供給部31aYに補給されている場合であっても、供給部31aYの液面を安定したものとすることができる。このような現像剤撹拌ローラー34Yが連通部35Y付近に設けられることにより、連通部35Yが負圧になり、自然に液体現像剤が吸い上げられることができる。
【0089】
連通部35Yは、現像剤撹拌ローラー34Y鉛直下方に対して設けられ、液体現像剤貯留部31Yと連通し、液体現像剤混合槽93Yから液体現像剤を供給部31aYへ吸い上げる部分である。
連通部35Yを現像剤撹拌ローラー34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤撹拌ローラー34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラー32Yに安定して現像剤を供給できる。
【0090】
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
現像ローラー20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
【0091】
現像ローラー20Yは、その表面に、前述した塗布ローラー32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層を形成するものである。
この現像ローラー20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラー20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラー32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
【0092】
また、現像ローラー20Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラー20Yは、感光体10Yの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラー20Yと感光体10Yとの間に電界が形成される。
【0093】
なお、現像ユニット100Yにおいて、塗布ローラー32Yと現像ローラー20Yとは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラー32Yと現像ローラー20Yと回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラー20Y上に供給される液体現像剤の量を調整することができる。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラー20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラークリーニングブレード21Yと、現像剤回収部24Yとを有している。この現像ローラークリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラー20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラークリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、現像剤回収部24Y内に回収される。
【0094】
また、図1、図2に示すように、画像形成装置1000は、液体現像剤を現像部30Y、30M、30C、30Kに補給する液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kを備えている。これらの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kは、それぞれ、液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kと、絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kと、液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kとを備えている。
【0095】
各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kには、それぞれ各色に対応した高濃度の液体現像剤が収納されている。また、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kには、それぞれ絶縁性液体が収納されている。さらに、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kには、各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kからの所定量の各高濃度液体現像剤と、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kからの所定量の各絶縁性液体とが供給されるようになっている。
【0096】
そして、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体現像剤および各絶縁性液体をそれぞれ備え付けられた撹拌装置により混合撹拌して、各供給部31aY、31aM、31aC、31aKで使用する各色に対応した液体現像剤を作製する。各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kでそれぞれ作製された各液体現像剤は、それぞれ各供給部31aY、31aM、31aC、31aKに供給されるようになっている。
また、液体現像剤混合槽93Yには、回収部31bYで回収された液体現像剤が回収され、再利用される。液体現像剤混合槽93M、93C、93Kも同様である。
【0097】
なお、上記装置を用いた画像形成は、色の異なる複数の液体現像剤(本発明の液体現像剤)を用いて、感光体10Y、10M、10C、10Kに、各色に対応する複数の単色像を形成する現像工程と、感光体に形成された複数の単色像を記録媒体F5に転写し、記録媒体F5上に複数の単色像を重ね合わせてなる未定着のトナー画像を形成する転写工程と、未定着のトナー画像を記録媒体F5上に定着する定着工程とにより行う。このような方法を用いることにより、発色性に優れた画像を容易に形成することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、前述した実施形態では、粗粉砕工程と、微粉砕工程と、熱処理工程とを有する方法を用いて液体現像剤を製造する場合について代表的に説明したが、本発明の液体現像剤は、このような方法を用いて製造されたものでなくてもよい。また、粗粉砕工程、微粉砕工程、熱処理工程以外の工程を有する方法を用いて製造してもよい。例えば、微粉砕工程の後(微粉砕工程と熱処理工程との間や、熱処理工程後)に、微粉砕工程で用いた絶縁性液体とは異なる組成の絶縁性液体を混合する工程を有していてもよい。すなわち、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体は、組成が異なるものであってもよい。このような工程を有することにより、微粉砕工程の処理効率を特に高いものとしつつ、最終的に得られる液体現像剤の組成を特に好ましいものとすることができる。
【実施例】
【0099】
[1]液体現像剤の製造
以下のようにして、液体現像剤を製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(実施例1)
[粗粉砕工程]
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移温度:55℃、軟化点:120〜130℃):60質量%を用意した。
【0100】
次に、上記樹脂材料と、着色剤としてのブラック系顔料(デグサ社製、Printex L 15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押し出し口から押し出された混練機を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした、混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
【0101】
上記着色剤マスターバッチ:15質量%、上記ポリエステル樹脂:68質量%、ロジン変性マレイン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「マルキードNo.1」、酸価:25mgKOH/g以下、ガラス転移温度:55℃、軟化点:120〜130℃、重量平均分子量:3100):17質量%を2軸混練押出機を用いて混練した。そして、2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。得られた混練物をハンマーミルで粉砕し、平均粒径:10mmの粗粉砕物を得た。
【0102】
[微粉砕工程]
上記の方法で得られた粗粉砕物:32質量%、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(KP−545、信越化学工業社製、共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:シクロペンタシロキサン、固形分:30質量%):14質量%、絶縁性液体としてのジメチルシリコーンオイル(KF−96−50cs:信越化学工業社製):80質量%、ポリエチレンイミン(数平均分子量;1800):1.2質量%をセラミック製ポット(内容物1600ml)にいれ、さらにジルコニアボール(ボール直径:2mm)を体積充填率40%になるようにセラミック製ポットに入れ、遊星ボールミルにて回転速度200rpmで24時間湿式粉砕を行った。
得られた組成物(微粉砕工程が施された組成物)中に含まれる微粒子の体積平均粒径(D50)は3.2μmであった。なお、組成物中に含まれる微粒子の粒径はマイクロトラックMT−3000(日機装株式会社製)にて測定を行った。また、以下に説明する各実施例、各比較例で得られた粒子についても同様にして粒径を求めた。
【0103】
[熱処理工程]
微粉砕工程が施された組成物をビーカーに移し、ホットスターラーにのせ54℃で熱した。その際、600rpmのせん断をかけた。熱処理は2時間行った。その後、室温まで自然冷却し液体現像剤を得た。得られた液体現像剤の25℃における粘度は155mPa.sであった。また、トナー粒子の体積平均粒径(D50)は2.1μmであり、微粒子側からの質量累積分布率10%での粒径(D10)が1.0μmであり、微粒子側からの質量累積分布率90%での粒径(D90)が3.5μmであり、一峰性分布を持つものであった。また、トナー粒子の粒度分布における半値幅は1.9μmであった。なお、液体現像剤の25℃における粘度はE型粘度計を用いて、10mm/sの条件での測定により求めた。
(実施例2〜13)
液体現像剤の製造に用いる材料を表1に示すようにするとともに、熱処理工程での熱処理条件を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
【0104】
(比較例1〜6)
液体現像剤の製造に用いる材料を表1に示すようにするとともに、熱処理工程での熱処理条件を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例7)
熱処理工程を省略した以外は、前記比較例1と同様にして液体現像剤を製造した。
以上の各実施例および各比較例について、液体現像剤の組成等を表1に示した。
なお、表中、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移温度:55℃、軟化点:120〜130℃)をPES1、ロジン変性マレイン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「マルキードNo.1」、酸価:25mgKOH/g以下、ガラス転移温度:54℃、軟化点:120〜130℃、重量平均分子量:3100)をRM1、ロジン変性ポリエステル樹脂(荒川化学工業社製、商品名「TFS−015」、酸価:11.8mgKOH/g、ガラス転移温度:76℃、軟化点:120〜130℃、重量平均分子量:1300)をRPES1、ロジン変性ポリエステル樹脂(荒川化学工業社製、商品名「トラフィックス4102」、酸価:15mgKOH/g、ガラス転移温度:55℃、軟化点:94〜105℃、重量平均分子量:1600)をRPES2と、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル135」、酸価:18mgKOH/g以下、ガラス転移温度:52℃、軟化点:130〜140℃、重量平均分子量:15000)をRPH1と、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(KP−545、信越化学工業社製、共重合体成分:(アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン)コポリマー、溶媒:シクロペンタシロキサン、固形分:30質量%)に含まれるアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体成分をKP−545、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(KP−575、信越化学工業社製、共重合体成分:アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチルポリシロキサン、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン、固形分:30質量%)に含まれるアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体成分をKP−575、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(KP−543、信越化学工業社製、共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:酢酸ブチル、固形分:50質量%)に含まれるアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体成分をKP−543、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(KP−550、信越化学工業社製、共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:イソドデカン、固形分:40質量%)に含まれるアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体成分をKP−550、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(KP−541、信越化学工業社製、共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:イソプロパノール、固形分:60質量%)に含まれるアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体成分をKP−541、ジメチルシリコーンオイル(KF−96−50cs、信越化学工業社製)をKF−96−50cs、ポリアルキレンイミン(数平均分子量:1800)をPEI、と示した。
【0105】
【表1】

【0106】
[2]評価
以上のようにして得られた液体現像剤に関して、以下のような評価を行った。
[2.1]トナー粒子の帯電特性の均一性評価
空間電荷測定装置(PEA)により、電極間での電荷の偏りを測定した。装置に300Vの電圧を印加した際の波形を測定し、電極間の電荷分布を観測した。その分布を、以下の三段階の基準に従い評価した。
A :電荷を持つ粒子が電極の近傍に集中している
B :電荷をもつ粒子が電極の半分以内に存在している
C :電荷を持つ粒子が半分以上に拡散している
これらの結果を表2に示す。
【0107】
[2.2]印刷物の画像濃度の評価
図1、図2に示すような画像形成装置に液体現像剤を適用して、厚さが5μmとなるように、記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に印刷部を形成した。
このようにして形成された印刷部について、画像濃度をX−Rite(Inc社製「X−Rite model 404」)にて測定した。
【0108】
[2.3]現像残り(カブリ)の評価
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。
次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
【0109】
A :現像効率が90%以上(カブリが非常に少ない)
B :現像効率が80%以上90%未満(カブリが少ない)
C :現像効率が70%以上80%未満(普通)
D :現像効率が60%以下(カブリが多い)
これらの結果を表2に示す。
【0110】
【表2】

【0111】
表2から明らかなように、本発明の液体現像剤では、トナー粒子間での特性のばらつきが小さく、十分な光学濃度の印刷物の製造に好適に用いることができた。また、本発明の液体現像剤では、現像残り(カブリ)の発生を効果的に防止することができた。これに対し、各比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。
【符号の説明】
【0112】
1000…画像形成装置 10Y、10M、10C、10K…感光体 11Y…帯電ローラー 12Y、12M、12C、12K…露光ユニット 13M、13Y…感光体スクイーズローラー 14M、14Y…クリーニングブレード 15M、15Y…現像剤回収部 16Y…除電ユニット 17Y…感光体クリーニングブレード 18Y…現像剤回収部 20Y、20M、20C、20K…現像ローラー 21Y…現像ローラークリーニングブレード 24Y…現像剤回収部 30Y、30M、30C、30K…現像部 31Y…液体現像剤貯留部 31aY…供給部 31bY…回収部 31cY…仕切 32Y…塗布ローラー 33Y…規制ブレード 34Y…現像剤撹拌ローラー 35Y…連通部 36Y…回収スクリュー 40…中間転写部 41…ベルト駆動ローラー 44、45…従動ローラー 46…中間転写部クリーニングブレード 47…現像剤回収部 48…非接触式バイアス印加部材 49…テンションローラー 51Y、51M、51C、51K…1次転写バックアップローラー 52Y…中間転写部スクイーズ装置 53Y…中間転写部スクイーズローラー 55Y…中間転写部スクイーズクリーニングブレード 56Y…現像剤回収部 60…2次転写ユニット 64…上流側2次転写ローラー 65…下流側2次転写ローラー 66、68…2次転写ローラークリーニングブレード 67、69…現像剤回収部 90Y、90M、90C、90K…液体現像剤補給部 91Y、91M、91C、91K…液体現像剤タンク 92Y、92M、92C、92K…絶縁性液体タンク 93Y、93M、93C、93K…液体現像剤混合槽 100Y…現像ユニット 101Y…感光体スクイーズ装置 F40…定着部(定着装置) F5…記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性液体と、トナー粒子とを含み、
前記トナー粒子は、体積平均粒径(D50)が2μm以上4μm以下であり、微粒子側からの体積累積分布率10%での粒径(D10)が0.8μm以上1.8μm以下であり、かつ、微粒子側からの体積累積分布率90%での粒径(D90)が3μm以上7μm以下の一峰性分布を持つことを特徴とする液体現像剤。
【請求項2】
前記トナー粒子の粒度分布における半値幅が、2μm以下である請求項1に記載の液体現像剤。
【請求項3】
絶縁性液体およびトナー粒子を含む液体現像剤の製造方法であって、
樹脂材料および着色剤を含む混練物を粗粉砕して粗粉砕物を得る粗粉砕工程と、
前記絶縁性液体中で前記粗粉砕物を湿式粉砕法により微粉砕する微粉砕工程と、
前記樹脂材料のガラス転移温度をTg[℃]、前記樹脂材料の軟化点をTm[℃]としたとき、Tg以上の温度でかつTm以下の温度で熱処理を施す熱処理工程とを有し、
前記トナー粒子を、体積平均粒径(D50)が2μm以上4μm以下であり、微粒子側からの体積累積分布率10%での粒径(D10)が0.8μm以上1.8μm以下であり、かつ、微粒子側からの体積累積分布率90%での粒径(D90)が3μm以上7μm以下の一峰性分布を持つものとすることを特徴とする液体現像剤の製造方法。
【請求項4】
前記微粉砕工程は、アクリル系ポリマーとポリシロキサンとのグラフト共重合体を含む前記絶縁性液体中で行うものである請求項3に記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項5】
前記アクリル系ポリマーは、アクリル酸アルキルエステルをモノマー成分として含むものである請求項4に記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項6】
前記ポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサンである請求項4または5に記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項7】
前記ポリシロキサンは、前記ジメチルポリシロキサンにアクリル酸化合物が付加したものである請求項4ないし6のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項8】
前記微粉砕工程は、ポリアルキレンイミンを含む前記絶縁性液体中で行うものである請求項3ないし7のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂材料として、ロジン系樹脂を含むものを用いる請求項3ないし8のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁性液体として、シリコーンオイルおよびシロキサン化合物のうち少なくとも一方を含むものを用いる請求項3ないし9のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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