説明

液体現像装置

【課題】 絶縁性の液体中にトナーと添加剤とが含有された液体現像剤を用いて、像担持体に形成された静電潜像を現像する液体現像装置において、像担持体に形成された静電潜像の電荷がトナー以外の添加剤によって消去されるのを抑制し、十分な画像濃度を有する画像が得られるようにする。
【解決手段】 絶縁性の液体中にトナーと添加剤とが含有された液体現像剤11を薄層状態にして現像剤担持体13により像担持体1と対向する現像領域に搬送させて、像担持体における静電潜像を現像する液体現像装置10において、現像剤担持体により液体現像剤を像担持体と対向する現像領域に搬送させる途中において、液体現像剤を帯電させる帯電装置15を設けると共に、トナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が絶縁性の液体に対して0.1重量%以下になった液体現像剤を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機やプリンター等の画像形成装置において、絶縁性の液体中にトナーと分散安定剤や荷電制御剤等の添加剤とが含有された液体現像剤を用いて、像担持体に形成された静電潜像を現像する液体現像装置に係り、特に、像担持体に形成された静電潜像における電荷がトナー以外の添加剤によって消去されるのを抑制するようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置においては、一般に、感光体等の像担持体に画像情報に応じた静電潜像を形成し、現像装置によりこの静電潜像にトナーを供給して現像し、現像されたトナー画像を記録紙等の記録媒体に転写し、これを定着させて画像を得るようになっている。
【0003】
そして、上記のように静電潜像にトナーを供給して現像を行う現像装置としては、トナー或いはトナーとキャリアとを混合させた粉体の現像剤を用いた乾式の現像装置の他に、絶縁性の液体中にトナーと分散安定剤や荷電制御剤等の添加剤とを含有させた液体現像剤を用いた液体現像装置が知られている。
【0004】
ここで、粉体の現像剤を用いた乾式の現像装置の場合、トナー等が周囲の大気中に飛散して空気中に浮遊するおそれがあるため、トナーの大きさを微細にすることができず、通常は、平均粒径が5〜10μm程度のものが用いられており、このため高繊細で高解像度の画像を得ることが困難であった。
【0005】
一方、絶縁性の液体中に分散安定剤や荷電制御剤等の添加剤を加えてトナーを分散させた液体現像剤を使用した液体現像装置の場合、トナーが大気中に飛散するおそれがなく、トナーを微細にすることができ、高解像度で階調性に優れた画像が得られる等の利点がある。
【0006】
そして、このような液体現像装置としては、上記のような液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させると共に、この液体現像剤を帯電させて、像担持体に形成された静電潜像を現像するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかし、上記のような液体現像装置の場合、液体現像剤中にトナーに吸着されずに遊離している分散安定剤や荷電制御剤等の添加剤が存在しているため、上記のように液体現像剤を帯電させると、トナーの他にこのように遊離している添加剤も帯電されるようになり、このように遊離して帯電された添加剤が像担持体に形成された静電潜像の部分に付与されて静電潜像の電荷が消費され、これにより静電潜像に対するトナーの付着が阻害されて、十分な画像濃度を有する画像が得られなくなる等の問題があった。
【0008】
また、近年においては、装置を小型化させたり、高速で画像を形成することが要望されており、このため、液体現像剤中におけるトナーの移動速度を速めて、現像時間を短縮させることが要求されている。
【0009】
ここで、上記のように液体現像剤中におけるトナーの移動速度を速めるためには、トナーの帯電量を高くすることが必要となり、このため、液体現像剤に添加させる荷電制御剤等の添加剤の量を増加させて、トナーに吸着させる荷電制御剤等の添加剤の量を増やして、トナーの帯電量を高くすることが行われている。
【0010】
しかし、このように液体現像剤に添加させる荷電制御剤等の添加剤の量を増加させると、液体現像剤中において遊離している添加剤の量も増加し、これに伴い、上記のように遊離している添加剤によって消費される静電潜像の電荷が増加し、十分な画像濃度を有する画像が得られなくなる等の問題が多く発生した。
【特許文献1】特開平10−319725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、絶縁性の液体中にトナーと分散安定剤や荷電制御剤等の添加剤とが含有された液体現像剤を用いて、像担持体に形成された静電潜像を現像する液体現像装置における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、像担持体に形成された静電潜像における電荷がトナー以外の添加剤によって消去されるのを抑制し、装置を小型化させたり、高速で画像を形成するようにした場合においても、十分な画像濃度を有する画像が得られるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明における第1の液体現像装置においては、上記のような課題を解決するため、絶縁性の液体中にトナーと添加剤とが含有された液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させて、像担持体に形成された静電潜像を現像する液体現像装置において、上記の液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させる途中において、この液体現像剤を帯電させる帯電装置を設けると共に、上記の液体現像剤として、トナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が上記の絶縁性の液体に対して0.1重量%以下になった液体現像剤を用いるようにした。
【0013】
なお、上記の第1の液体現像装置においては、上記のようにトナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が、上記の絶縁性の液体に対して0.08重量%以下になった液体現像剤を用いることがより好ましく、0.05重量%以下になった液体現像剤を用いることがさらに好ましい。
【0014】
また、この発明における第2の液体現像装置においては、上記のような課題を解決するため、絶縁性の液体中にトナーと添加剤とが含有された液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させて、像担持体に形成された静電潜像を現像する液体現像装置において、上記の液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させる途中において、この液体現像剤を帯電させる帯電装置を設けると共に、上記の液体現像剤に含まれるトナーによって上記の静電潜像の電荷が消去される比率を90%以上にした。
【0015】
なお、上記の第2の液体現像装置においては、上記のように液体現像剤に含まれるトナーによって静電潜像の電荷が消去される比率を95%以上にすることがより好ましい。
【発明の効果】
【0016】
ここで、この発明における液体現像装置のように、液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させる途中に帯電装置を設け、この帯電装置により液体現像剤を帯電させるようにすると、現像に使用される液体現像剤を効率よく十分に帯電させることができるようになる。
【0017】
そして、この発明における第1の液体現像装置のように、上記の液体現像剤として、トナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が上記の絶縁性の液体に対して0.1重量%以下になった液体現像剤を用いると、トナーから遊離して帯電されている添加剤の量が少なくなり、このように遊離して帯電された添加剤が像担持体に形成された静電潜像の部分に付与されるのが抑制されて、静電潜像の電荷が添加剤によって消費されるのが防止され、トナーによって消去される静電潜像の電荷の比率が高くなり、この発明における第2の液体現像装置のように、液体現像剤に含まれるトナーによって静電潜像の電荷が消去される比率を90%以上にすることができるようになる。
【0018】
この結果、この発明における液体現像装置においては、装置を小型化させたり、高速で画像を形成するようにした場合においても、十分な画像濃度を有する画像が得られるようになると共に、低電位でも安定した現像が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態に係る液体現像装置を使用した画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る液体現像装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0020】
この実施形態の液体現像装置を用いた画像形成装置においては、図1に示すように、感光体ドラムからなる像担持体1を回転させ、この像担持体1の表面を帯電器2によって帯電させた後、このように帯電された像担持体1の表面に露光装置3により画像情報に応じた露光を行って、この像担持体1の表面に画像情報に応じた静電潜像を形成するようにしている。
【0021】
そして、このように静電潜像が形成された像担持体1の表面に、液体現像装置10により液体現像剤11中に含まれるトナーを供給して現像を行い、像担持体1の表面に静電潜像に対応したトナー像を形成するようにしている。
【0022】
次いで、このように像担持体1の表面に形成されたトナー像を転写装置4の位置に導くと共に、この転写装置4と像担持体1との間に記録紙等の記録媒体(図示せず)を導き、転写装置4により像担持体1の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写させた後、このように転写されたトナー像を定着装置(図示せず)により記録媒体に定着させて、記録媒体に画像を形成するようにしている。
【0023】
一方、転写後における像担持体1については、その表面に残留しているトナーをクリーニング部材5によって像担持体1の表面から除去した後、除電装置6により像担持体1の表面に残留する電位を除電させ、次の画像形成を行うようにしている。
【0024】
ここで、この実施形態における液体現像装置10においては、絶縁性の液体中にトナーと分散安定剤や荷電制御剤等の添加剤とが含有された液体現像剤11を現像槽12内に収容させると共に、この液体現像剤11に現像ローラからなる現像剤担持体13の一部を浸漬させ、この現像剤担持体13を回転させて、この現像剤担持体13の表面に上記の液体現像剤11を保持させて像担持体1と対向する現像領域に搬送させるようにしている。
【0025】
そして、上記のように液体現像剤11を現像剤担持体13の表面に保持させて現像領域に搬送させる途中において、規制部材14と帯電装置15とを設け、規制部材14により現像剤担持体13の表面に保持されて搬送される液体現像剤11の量を規制して、現像剤担持体13の表面に保持されて搬送される液体現像剤11を薄層状態にすると共に、このように薄層状態になった液体現像剤11を上記の帯電装置15によって帯電させるようにしている。
【0026】
そして、上記のように薄層状態になって帯電された液体現像剤11を現像剤担持体13の表面に保持させて像担持体1と対向する現像領域に導き、この液体現像剤11中において帯電されたトナーを、上記のように静電潜像が形成された像担持体1の表面に供給して現像を行うようにしている。
【0027】
また、このようにして現像を行った後は、この現像剤担持体13の表面に残った液体現像剤11を現像槽12内に導き、クリーニング部材16により現像剤担持体13の表面に残った液体現像剤11を現像剤担持体13から離脱させて、現像槽12内に戻すようにしている。
【0028】
ここで、この実施形態における液体現像装置10においては、上記の液体現像剤11として、トナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が絶縁性の液体に対して0.1重量%以下になったものを用いるようにしている。
【0029】
そして、このようにトナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が絶縁性の液体に対して0.1重量%以下になった液体現像剤11を用いると、上記のように現像剤担持体13の表面において薄層状態になった液体現像剤11を帯電装置15によって帯電させ、この液体現像剤11を像担持体1と対向する現像領域に導いて、像担持体1の表面に形成された静電潜像を現像する場合に、像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分に、トナーから遊離して帯電された添加剤が付着して、静電潜像の電荷が消去されるということが少なくなり、帯電されたトナーが速やかに静電潜像の部分に供給されて、十分な量のトナーが静電潜像に付与されるようになり、十分な画像濃度を有する画像が得られるようになる。
【0030】
ここで、上記のようにトナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が絶縁性の液体に対して0.1重量%以下になった液体現像剤11を調製するにあたっては、ある程度の粒径に粉砕させたトナーを、分散剤等の添加剤の濃度を0.1重量%以下にした絶縁性の液体中において分散させて、上記のトナーをさらに所定の粒径になるように粉砕させると共に、このトナーに上記の添加剤を付着させるようにして調製することができる。
【0031】
また、ある程度の粒径に粉砕させたトナーを、分散剤等の添加剤の濃度が高い絶縁性の液体中において分散させて、上記のトナーを所定の粒径になるように粉砕させると共に、このトナーに上記の添加剤を付着させた後、このように添加剤が付着されたトナーを分散剤等の添加剤が多く含まれる絶縁性の液体から分離させ、このように分離させたトナーを絶縁性の液体中に分散させて、遊離した添加剤の量を減少させるようにすることもできる。なお、上記のようにある程度の粒径に粉砕させたトナーを、分散剤等の添加剤の濃度が高い絶縁性の液体中において分散させるようにすると、トナーが速やかに適切に分散されるようになると共に、トナーに吸着されていない遊離した添加剤の量を絶縁性の液体に対して0.1重量%以下になるように調製することが簡単に行えるようになる。また、トナーに吸着されていない遊離した添加剤の量の下限値は特に制限がないが、この量を非常に少なくすることは、その調製が困難になるだけではなく、あまり少なくしても、それ以上の効果が得られないので、0.05重量%以上にするとよい。
【0032】
また、上記の液体現像剤11に用いる絶縁性の液体としては、高電気絶縁性、低引火性、低臭気性等の特性を満たす液体、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等を用いることができ、その中でも、流動パラフィン、シリコーンオイルを用いることが好ましい。
【0033】
また、トナーとしては、顔料等の着色剤及びバインダー樹脂を含む着色樹脂粒子を用いることができ、その体積平均粒径が0.1μm〜5μmのものを用いることが好ましい。また、上記の液体現像剤11におけるトナー濃度は10〜40質量%であることが好ましい。
【0034】
また、上記の液体現像剤11の粘度は0.2Pa・s〜10000Pa・s(25℃)であることが好ましい。これは、液体現像剤11の粘度が低くなりすぎると、像担持体1と対向する現像領域に液体現像剤11を十分に導くことが困難になる一方、液体現像剤11の粘度が高くなりすぎると、現像速度が遅くなるためである。
【0035】
また、上記の液体現像剤11に用いる分散剤としては、例えば、ゴム系樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル系樹脂、アルキル変性ポリビニルピロリドン、水添ロジンエステル、変性アルキド樹脂、ポリエステル系樹脂、各種の界面活性剤等を用いることができる。
【0036】
(実験例)
次に、絶縁性の液体において遊離している添加剤の量を変化させた場合において、像担時体に形成された静電潜像に与える影響を調べる実験を行った。
【0037】
この実験においては、絶縁性の液体として、脂肪族炭化水素からなるモレスコホワイトP−120[(株)松村石油研究所社製]を用いると共に、添加剤として、ポリエステル系樹脂からなる分散剤のソルスパース13940(アビシア社製)を用い、上記の絶縁性の液体に添加させる添加剤の量を変更させ、添加剤の濃度が1重量%〜0.01重量%の範囲になった5種類の試験液A1〜A6を用いるようにした。
【0038】
また、この実験においては、試験装置として、図2に示すように、直径が100mmのアルミニウム製ドラム21の表面に、厚みが5mmになったNBRからなる導電性ゴム層22を形成した現像剤搬送ローラ20と対向するようにして、直径が100mmのアルミニウム製ドラム31の表面にPETからなる絶縁層32が形成された絶縁ローラ30を設け、上記の現像剤搬送ローラ20と絶縁ローラ30とをそれぞれアースさせたものを用い、上記の現像剤搬送ローラ20と絶縁ローラ30とが対向する部分において、現像剤搬送ローラ20と絶縁ローラ30とが同方向に移動するようにして、現像剤搬送ローラ20と絶縁ローラ30とをそれぞれ周速200mm/secの速度で回転させるようにした。
【0039】
そして、上記の各試験液A1〜A6を使用し、それぞれ現像剤搬送ローラ20の表面に試験液A1〜A6の厚みが約7μmになるように塗布し、このように塗布された試験液A1〜A6が絶縁ローラ30に導かれる前に、開口幅が90mmのコロトロンチャージャ23を用い、+10μAの電流を作用させて試験液A1〜A6を帯電させる一方、上記の絶縁ローラ30の表面にスコロトロンチャージャ33により−300Vの静電潜像を形成した。
【0040】
そして、上記のように帯電された試験液A1〜A6を、−300Vの静電潜像が形成された絶縁ローラ30の表面に接触させた後、この絶縁ローラ30の表面における電位Vaを表面電位計34(TREK社製:MODEL304)によって測定し、各試験液A1〜A6が接触した後における潜像電位の減少率を下記の式により算出し、その結果を下記の表1に示した。なお、下記の式におけるVoは、上記のようにスコロトロンチャージャ33により絶縁ローラ30の表面に形成した静電潜像の電位をあらわす。
【0041】
潜像電位の減少率(%)=[(Vo−Va)/Vo]×100
【0042】
【表1】

【0043】
この結果、絶縁性の液体に添加させる上記の添加剤の濃度が0.1重量%以下になった試験液A3〜A6を用いた場合には、潜像電位の減少率が大きく低下しており、遊離した添加剤による静電潜像の電位の減少が抑制され、添加剤の濃度が0.08重量%以下になった試験液A4〜A6を用いた場合には、潜像電位の減少率がさらに低くなった。特に、添加剤の濃度が0.05重量%以下になった試験液A5,A6を用いた場合には、潜像電位の減少率が非常に低くなり、遊離した添加剤によって静電潜像の電位が減少するのがさらに抑制されるようになった。
【0044】
次に、実施例に用いる液体現像剤と比較例に用いる液体現像剤とにおいて、上記の潜像電位の減少率を測定する実験を行った。
【0045】
(実施例1)
実施例1においては、液体現像剤を調製するにあたり、熱可塑性ポリエステル樹脂(軟化点121℃、ガラス転移点67℃)を100重量部、銅フタロシアニンブルー系シアン顔料(C.I.PigmentBlue15:1)を20重量部、負荷電制御剤のサリチル酸亜鉛錯体(オリエント化学社製:ボントロンE−84)を5重量部の割合にして、これらをヘンシェルミキサーにより十分に混合させた後、これを2軸押し出し機により混練させ、この混練物を冷却させた。
【0046】
そして、このように冷却させた混練物をカッターミルにより粗粉砕し、さらにジェットミル[日本ニューマチック工業(株)]を用いて微粉砕して、体積平均粒径が10μm程度になった着色トナー粗粒子を得た。
【0047】
次いで、脂肪族炭化水素からなる絶縁性の液体[(株)松村石油研究所社製:モレスコホワイトP−120]に、添加剤としてポリエステル系樹脂からなる分散剤(アビシア社製:ソルスパース13940)を0.05重量%の割合で添加させた分散剤溶液70重量部に、上記の着色トナー粗粒子を30重量部混合し、サンドグラインダー(IGARASHI KIKAI SEIZO CO.,Ltd製)を使用すると共にメディアとして直径が1mmのガラスビーズを150cc使用し、ウオータージャケット付1/8ガロンベッセルにより、冷却水温度20℃、ディスク回転数2000rpmの条件で上記の混合溶液を15時間湿式グラインディング処理して、体積平均粒径が3.66μmになったトナーが分散された液体現像剤用原液を得た。なお、トナーの体積平均粒径については、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製:SALD−2200)を用いて測定した。
【0048】
そして、この液体現像剤用原液に上記の絶縁性の液体[(株)松村石油研究所社製:モレスコホワイトP−120]を加え、液体現像剤用原液の固形分が20重量%になるように希釈して液体現像剤を調製した。ここで、上記の液体現像剤の粘度を、25℃の環境温度の下でARES社製の粘度測定装置(ARES FR−100)を用いて測定した結果、この液体現像剤の粘度は5.34Pa・sであった。
【0049】
(実施例2)
実施例2においては、液体現像剤を調製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして調製した液体現像剤用原液に、上記の絶縁性の液体[(株)松村石油研究所社製:モレスコホワイトP−120]に添加剤の分散剤(アビシア社製:ソルスパース13940)を0.05重量%の割合で添加させた分散剤溶液を加え、液体現像剤用原液の固形分が20重量%になるようにして液体現像剤を調製した。そして、この液体現像剤についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の環境温度の下での粘度を測定した結果、この液体現像剤の粘度は5.21Pa・sであった。
【0050】
(実施例3)
実施例3においては、液体現像剤を調製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして着色トナー粗粒子を得た後、絶縁性の液体[(株)松村石油研究所社製:モレスコホワイトP−120]に添加剤の分散剤(アビシア社製:ソルスパース13940)を2重量%の割合で添加させた分散剤溶液70重量部に、上記の着色トナー粗粒子を30重量部混合させ、その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この混合溶液を15時間湿式グラインディング処理し、体積平均粒径が3.59μmになったトナーが分散された第1の液体現像剤用原液を得た。
【0051】
そして、この第1の液体現像剤用原液を、遠心分離器(コクサン社製:H−9R)を用いて15000rpmで10分間回転させて、固形分と液体分とに分離し、この固形分を取り出し、この固形分が20重量%になるように上記の絶縁性の液体[(株)松村石油研究所社製:モレスコホワイトP−120]を加えて、第2の液体現像剤用原液を得た。
【0052】
次に、この第2の液体現像剤用原液を、再び上記のように遠心分離器(コクサン社製:H−9R)を用いて固形分と液体分とに分離し、この固形分を取り出し、この固形分が20重量%になるように上記の絶縁性の液体[(株)松村石油研究所社製:モレスコホワイトP−120]を加えて、液体現像剤を得た。そして、この液体現像剤についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の環境温度の下での粘度を測定した結果、この液体現像剤の粘度は5.01Pa・sであった。
【0053】
(比較例1)
比較例1においては、液体現像剤を調製するにあたり、上記の実施例3の場合と同様にして調製した第1の液体現像剤用原液に、上記の絶縁性の液体[(株)松村石油研究所社製:モレスコホワイトP−120]を加え、第1の液体現像剤用原液の固形分が20重量%になるようにして液体現像剤を調製した。そして、この液体現像剤についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の環境温度の下での粘度を測定した結果、この液体現像剤の粘度は3.51Pa・sであった。
【0054】
次に、上記の実施例1〜3及び比較例1において調製した各液体現像剤を、それぞれ上記の遠心分離器(コクサン社製:H−9R)を用いて15000rpmで10分間回転させて、固形分と液体分とに分離させ、各液体現像剤における液体分をそれぞれ採取し、各液体分について、上記の絶縁性の液体に対して遊離している上記の添加剤の量を測定し、その結果を下記の表2に示した。
【0055】
また、上記のように採取した実施例1〜3及び比較例1の各液体現像剤における液体分を用い、上記の実験例における試験液A1〜A5の場合と同様にして、それぞれ潜像電位の減少率を測定し、その結果を下記の表2に示した。
【0056】
【表2】

【0057】
この結果、絶縁性の液体に対する添加剤の濃度が0.1重量%以下になった実施例1〜3のものは、絶縁性の液体に対する添加剤の濃度が0.1重量%を超える比較例1のものに比べて、潜像電位の減少率が大きく低下しており、遊離した添加剤による静電潜像の電位の減少が抑制され、特に、添加剤の濃度が0.05重量%以下になった実施例1,2のものにおいては、潜像電位の減少率が非常に低くなり、遊離した添加剤によって静電潜像の電位が減少するのがさらに抑制されるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の実施形態に係る液体現像装置を用いた画像形成装置の概略説明図である。
【図2】この発明の実験例、実施例および比較例において、潜像電位の減少率を測定するのに使用した試験装置の概略説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 像担持体
2 帯電器
3 露光装置
4 転写装置
5 クリーニング部材
6 除電装置
10 液体現像装置
11 液体現像剤
12 現像槽
13 現像剤担持体
14 規制部材
15 帯電装置
16 クリーニング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の液体中にトナーと添加剤とが含有された液体現像剤を用い、この液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させて、像担持体に形成された静電潜像を現像する液体現像装置において、上記の液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させる途中において、この液体現像剤を帯電させる帯電装置を設けると共に、上記の液体現像剤として、トナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が上記の絶縁性の液体に対して0.1重量%以下になった液体現像剤を用いたことを特徴とする液体現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載した液体現像装置において、トナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が上記の絶縁性の液体に対して0.08重量%以下になった液体現像剤を用いたことを特徴とする液体現像装置。
【請求項3】
請求項1に記載した液体現像装置において、トナーに吸着されていない遊離した添加剤の量が上記の絶縁性の液体に対して0.05重量%以下になった液体現像剤を用いたことを特徴とする液体現像装置。
【請求項4】
絶縁性の液体中にトナーと添加剤とが含有された液体現像剤を用い、この液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させて、像担持体に形成された静電潜像を現像する液体現像装置において、上記の液体現像剤を薄層状態にして現像剤担持体により像担持体と対向する現像領域に搬送させる途中において、この液体現像剤を帯電させる帯電装置を設けると共に、上記の液体現像剤に含まれるトナーによって上記の静電潜像の電荷が消去される比率を90%以上にしたことを特徴とする液体現像装置。
【請求項5】
請求項4に記載した液体現像装置において、液体現像剤に含まれるトナーによって静電潜像の電荷が消去される比率を95%以上にしたことを特徴とする液体現像装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−178417(P2006−178417A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312079(P2005−312079)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】