説明

液体用の運搬および貯蔵容器

【課題】 液体用容器において、液体を残留させないように最適に排出する。
【解決手段】 容器後壁(11)から容器前壁(8)まで軽度の傾斜で延在する流出溝(13)が配設される液体用の運搬および貯蔵容器の内側容器(2)の底部(12)は、抜取り栓用の排出用はめ管(9)を収容するための容器前壁(8)内のドーム状のアーチ部(26)の両側に、容器前壁(8)と、それぞれ隣接する角部領域(27、28)とに向かって上昇する2つの前部底部部分(29、30)を具備し、この前部底部部分は、運搬および貯蔵容器の残留液排出の際に内側容器(2)の前部底部空間(33)から底部槽(14)を介して内側容器(2)の排出用はめ管(9)内に残留液を誘導するための流出面(31、32)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製の内側容器であって、充填用はめ管付きの頂部と、2つの側壁と、抜取り栓を接続するための下方周辺領域に配設された排出用はめ管付きの前壁と、後壁と、後壁から底部に形成された内側容器の前壁内の排出用はめ管に隣接する底部槽まで軽度の傾斜で延在する平坦な中心の流出溝付きの流出底部として形成された底部とを備える前記プラスチック製の内側容器と、さらに金属格子または板金製の外殻と、内側容器を支持するための角部および中央脚部上に位置する底部が装備されると共にフォークリフトを用いて取り扱うために棚用操作ユニットまたは同様の運搬手段が装備されたパレット状の台座とを有する液体用の運搬および貯蔵容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から公知の液体用のこの種類の運搬および貯蔵容器のプラスチック製内側容器は、容器前壁の下部領域に排出用はめ管と抜取り栓とを収容するためのドーム状の中心のアーチ部を備える。容器前壁内のこのアーチ部によって、容器前壁のアーチ部と下方周辺領域とに隣接する内側容器の底部の部分に液体の集まりができ、この中に、容器を空にする際およびを容器を洗浄する際に残留液が集まり、この残留液が、運搬および貯蔵容器を新たに充填する際に、新規に充填される液体の許容し得ない汚染をもたらす可能性があり、この結果、特に容器は、ジュースおよびシロップのような液体食品の運搬および貯蔵に適用される衛生規則を十分には達成できない。
【特許文献1】ドイツ国特許第4206945号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、最適な残留液排出性を考慮して、液体用の一般型の運搬および貯蔵容器をさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、本発明により請求項1、2または3に記載の運搬および貯蔵容器によって解決される。
【0005】
排出用はめ管と抜取り栓とを収容するための容器前壁内のアーチ部両側の、本発明による運搬および貯蔵容器の第1の実施形態の内側容器の底部
の前部底部部分であって、内側容器の後壁から前壁に軽度に下降する容器底部の傾斜と正反対の傾斜を有する前記前部底部部分によって、運搬および貯蔵容器の残留液排出の際に内側容器の前部底部空間から底部槽を介して内側容器の排出用はめ管内に残留液を誘導するための流出面が形成される。この底部構造によって、運搬および貯蔵容器の非常に優れた残留液排出が可能になる。
【0006】
内側容器の前壁が、底部領域に抜取り栓を接続するための中心の排出用はめ管付きの壁幅全体にわたって延在するアーチ部を備える、前記内側容器を有する本発明による運搬および貯蔵容器のさらなる実施形態は、液体集合の形成を回避し、この結果、最適な残留液排出が保証されるが、内側容器の前壁内のアーチ部により、甘受すべきことは運搬および貯蔵容器の僅かな容積減少に過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による液体用の運搬および貯蔵容器の種々の実施形態について、以下に示す図面を参照して詳しく説明する。
【0008】
図1〜図3による液体用の使い捨ておよび繰返し使用容器として使用される運搬および貯蔵容器1は、主構造部として、ねじカバー5によって閉鎖可能な充填用はめ管4付きの頂部3と2つの側壁6、7と好ましくはフラップまたはボールコックの抜取り栓10を接続するための下方周辺領域に配設された排出用はめ管9付きの前壁8と後壁11と後壁11から底部12に形成された内側容器2の前壁8内の排出用はめ管9に隣接する底部槽14まで軽度の傾斜で延在する平坦な中心の流出溝13付きの流出底部として形成された底部12とを有するプラスチック製の内側容器2と、さらに金属格子または板金製の外殻15と、内側容器2を支持するための角部脚部17〜20および中央脚部21〜24上に位置する平坦な桶状の底部25が装備されると共にフォークリフトを用いて取り扱うために棚用操作ユニットまたは同様の運搬手段が装備されたパレット状の台座16とを具備する。
【0009】
図1〜図3による内側容器2の底部12は、排出用はめ管9と抜取り栓10とを収容するための前壁8のドーム状のアーチ部26の両側に、運搬および貯蔵容器の残留液排出の際に内側容器2の前部底部空間33から底部槽14を介して内側容器の排出用はめ管9内に残留液を誘導するための、容器前壁8と、それぞれ隣接する角部領域27、28とに向かって上昇する搬送面31、32(流出面とも称する)付きの2つの前部底部部分29、30を備える。下部底部12と残留液用の両方の流出面31、32を形成する前部底部部分29、30との間の結合縁部34は、底部12の中心の流出溝13に直角に延在する。
【0010】
図4に示した内側容器2では、底部12は、容器前壁8内のアーチ部26の両側に、容器前壁8と、内側容器2のそれぞれ隣接する角部および側壁領域27、35;28、36とに向かって上昇する2つの前部底部部分29、30を備える。内側容器2の底部12と前部底部部分29、30との間の結合縁部37は、底部12の中心の流出溝13に向かって斜めに延在する。
【0011】
図1〜図4に示した運搬および貯蔵容器1の内側容器2の両方の実施形態の場合、前部底部部分29、30には、内側容器2の前壁8内のアーチ部26の両側にプラスチック製の支持要素38が張り付けられ、この支持要素は運搬および貯蔵容器1の台座16の底部25上に載置される。
【0012】
図5に示した液体用の運搬および貯蔵容器1の場合、内側容器2の前壁8内のアーチ部26の両側の前部底部部分29、30を支持するための2つの外部支持部39a、39bと、2つの支持部39a、39bを互いに結合する中央部39cとを有する、台座16の底部25上に位置するプラスチック製の下敷き部分39が使用され、前記中央部は、台座16の底部25から形成された前部中央脚部21を、覆い、また抜取り栓10から滴下する特に刺激性の液体に対する保護部を形成する。
【0013】
図6と図7による液体用の運搬および貯蔵容器1には、底部12を有する内側容器2が設けられ、容器後壁11から容器前壁8に配設された排出用はめ管9までのその傾斜は台座16の底部25の傾斜よりも大きく、また前記内側容器2には、それと台座16の底部25との間に配設されたプラスチック製の挿入底部40が設けられ、この挿入底部は、内側容器2の流出底部として形成された底部12に適合された傾斜した上側41と、残留液用の両方の流出面31、32を支持するための傾斜した上側44を有する2つの前部底部部分42、43を形成しており、内側容器2の底部12の前部底部部分29、30を支持する。
【0014】
図8に示した運搬および貯蔵容器1の内側容器2の前壁8は、底部12の領域に壁幅全体にわたって延在するアーチ部45を備え、このアーチ部は、軽度に傾斜した段部46と、抜取り栓を接続するための中心の排出用はめ管9付きの前記段部に続く後ろに置かれた垂直の下方壁部47とによって形成される。
【0015】
図8による液体用の運搬および貯蔵容器1の内側容器2の前壁8内のアーチ部45は、台座16の底部25の上に位置する1つまたは複数部分のプラスチック製の挿入部48によって支持することができる。
【0016】
運搬および貯蔵容器1の内側容器2の前部および後部角部領域27、28、49、50の下方部は、角部保護部51によって保護し、内張りすることができる(図1と図2)。
【0017】
特にシロップのような粘性液体の場合に残留液排出行程を速めるために、運搬および貯蔵容器1のパレット状の台座16の背部、または外殻15から取り出される内側容器2の後部は、下敷き部分、例えば角材52によって持ち上げることができる(図3と図4)。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】内側容器の第1の実施形態を有する運搬および貯蔵容器の正面図
【図2】図1による容器の側面図
【図3】図1と図2による液体容器の内側容器の内部斜視図
【図4】内側容器のさらなる実施形態の内部斜視図
【図5】図1〜図4による容器仕様に対して修正した内側容器の支持部を有する運搬および貯蔵容器の正面図
【図6】内側容器の第3の実施形態を有する運搬および貯蔵容器の正面図
【図7】図6による容器の側面図
【図8】内側容器の第4の実施形態を有する運搬および貯蔵容器の側面図
【符号の説明】
【0019】
1 運搬および貯蔵容器
2 内側容器
3 頂部
4 充填用はめ管
5 ねじカバー
6,7 側壁
8 前壁
9 排出用はめ管
10 抜取り栓
11 後壁
12 底部
13 流出溝
14 底部槽
15 外殻
16 台座
17〜20 角部脚部
21〜24 中央脚部
25 桶状の底部
26 アーチ部
27,28 角部領域
29,30 前部底部部分
31,32 流出面
33 前部底部空間
34 結合縁部
35,36 側壁領域
37 結合縁部
38 支持要素
39 下敷き部分
39a,39b 外部支持部
39c 結合中央部
40 挿入底部
41 傾斜した上側
42,43 前部底部部分
44 傾斜した上側
45 アーチ部
46 傾斜した段部
47 下方壁部
48 挿入部
49,50 後部角部領域
51 角部保護部
52 角材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の内側容器であって、
(a)充填用はめ管付きの頂部と、(b)2つの側壁と、(c)抜取り栓を接続するための前壁であって、排出用はめ管が、その下方周辺領域に配設された前壁と、(d)後壁と、(e)流出用の底部であって、該底部に形成され、前記後壁から、前記前壁内の前記排出用はめ管に隣接する底部槽まで傾斜して延在する中央部の平坦な流出溝を有する流出用底部とを、備えるプラスチック製の内側容器;
金属格子または板金製の外殻;および
桶状の底部を有するパレット状の台座であって、前記内側容器の流出用底部を支持するために角部脚部および中央脚部を有してなり、前記台座が、フォークリフト或いは棚用操作ユニットを用いて取り扱われるように構成された台座;
を有する液体用の運搬および貯蔵容器において、
前記排出用はめ管(9)と前記抜取り栓(10)とを収容するために、前記内側容器の前壁(8)がドーム状のアーチ部(26)を形成し、前記内側容器(2)の流出用底部(12)が、前記内側容器の前壁(8)と、各々が前記流出用底部に隣接する角部領域(27、28)またはそれら角部領域および側壁領域(27、35;28、36)とに向かって上昇する2つの前部底部部分(29、30)を有してなり、該2つの前部底部部分が、運搬および貯蔵容器(1)の残留液排出の際に前記内側容器(2)の前部底部空間(33)から前記底部槽(14)を介して前記内側容器(2)の排出用はめ管(9)内に残留液を誘導するための流出面(31、32)を形成し、
前記前部底部部分(29、30)の、前記内側容器の流出用底部(12)と前記2つの流出面(31、32)との間に形成される結合縁部(34)が、前記内側容器の流出用底部(12)の中央部の流出溝(13)に直角にまたはほぼ直角に延在するか、或いは、前記内側容器の流出用底部(12)の中央部の流出溝(13)に向かって斜めに延在し、
さらに、前記2つの前部底部部分(29、30)を支えるために、前記台座(16)の底部(25)上に載置されるプラスチック製の支持要素(38)が形成されていることを特徴とする液体用の運搬および貯蔵容器。
【請求項2】
プラスチック製の内側容器であって、
(a)充填用はめ管付きの頂部と、(b)2つの側壁と、(c)抜取り栓を接続するための前壁であって、排出用はめ管が、その下方周辺領域に配設された前壁と、(d)後壁と、(e)流出用の底部であって、該底部に形成され、前記後壁から、前記前壁内の前記排出用はめ管に隣接する底部槽まで傾斜して延在する中央部の平坦な流出溝を有する流出用底部と、を備えるプラスチック製の内側容器;
金属格子または板金製の外殻;および
桶状の底部を有するパレット状の台座であって、前記内側容器の流出用底部を支持するために角部脚部および中央脚部を有してなり、前記台座が、フォークリフト或いは棚用操作ユニットを用いて取り扱われるように構成された台座;
を有する液体用の運搬および貯蔵容器において、
前記排出用はめ管(9)と前記抜取り栓(10)とを収容するために、前記内側容器の前壁(8)がドーム状のアーチ部(26)を形成し、前記内側容器(2)の流出用底部(12)が、前記内側容器の前壁(8)と、各々が前記流出用底部に隣接する角部領域(27、28)またはそれら角部領域および側壁領域(27、35;28、36)とに向かって上昇する2つの前部底部部分(29、30)を有してなり、該2つの前部底部部分が、運搬および貯蔵容器(1)の残留液排出の際に前記内側容器(2)の前部底部空間(33)から前記底部槽(14)を介して前記内側容器(2)の排出用はめ管(9)内に残留液を誘導するための流出面(31、32)を形成し、
前記前部底部部分(29、30)の、前記内側容器の流出用底部(12)と前記2つの流出面(31、32)との間に形成される結合縁部(34)が、前記内側容器の流出用底部(12)の中央部の流出溝(13)に直角にまたはほぼ直角に延在するか、或いは、前記内側容器の流出用底部(12)の中央部の流出溝(13)に向かって斜めに延在し、
前記貯蔵容器が、さらに、前記台座の底部(16)と前記内側容器(2)の前記流出用底部(12)との間に配設されたプラスチック製の挿入底部(40)を有してなり、
前記内側容器の前記流出用底部(12)が、前記内側容器の後壁(11)から前記内側容器の前壁(8)に配設された排出用はめ管(9)まで、第1の傾斜を有しており、前記台座の底部が第2の傾斜を有しており、前記第1の傾斜が前記第2の傾斜よりも大きく、
前記プラスチック製の挿入底部(40)の上面(41)が、前記内側容器(2)の前記流出用底部(12)に適合し、
前記プラスチック製の挿入底部(40)が、前記内側容器の前記前部底部部分(29、30)を支持するように形成されている傾斜した上面(44)を有する2つの前部挿入底部部分(42、43)を有してなることを特徴とする液体用の運搬および貯蔵容器。
【請求項3】
プラスチック製の内側容器であって、
(a)充填用はめ管付きの頂部と、(b)2つの側壁と、(c)抜取り栓を接続するための前壁であって、排出用はめ管が、その下方周辺領域に配設された前壁と、(d)後壁と、(e)流出用の底部であって、該底部に形成され、前記後壁から、前記前壁内の前記排出用はめ管に隣接する底部槽まで傾斜して延在する中央部の平坦な流出溝を有する流出用底部とを備えるプラスチック製の内側容器;
金属格子または板金製の外殻;および
桶状の底部を有するパレット状の台座であって、前記内側容器の流出用底部を支持するために角部脚部および中央脚部を有してなり、前記台座が、フォークリフト或いは棚用操作ユニットを用いて取り扱われるように構成された台座;
を有する液体用の運搬および貯蔵容器において、
前記排出用はめ管(9)と前記抜取り栓(10)とを収容するために、前記内側容器の前壁(8)がドーム状のアーチ部(26)を形成し、前記内側容器(2)の流出用底部(12)が、前記内側容器の前壁(8)と、各々が前記流出用底部に隣接する角部領域(27、28)またはそれら角部領域および側壁領域(27、35;28、36)とに向かって上昇する2つの前部底部部分(29、30)を有してなり、該2つの前部底部部分が、運搬および貯蔵容器(1)の残留液排出の際に前記内側容器(2)の前部底部空間(33)から前記底部槽(14)を介して前記内側容器(2)の排出用はめ管(9)内に残留液を誘導するための流出面(31、32)を形成し、
前記前部底部部分(29、30)の、前記内側容器の流出用底部(12)と前記2つの流出面(31、32)との間に形成される結合縁部(34)が、前記内側容器の流出用底部(12)の中央部の流出溝(13)に直角にまたはほぼ直角に延在するか、或いは、前記内側容器の流出用底部(12)の中央部の流出溝(13)に向かって斜めに延在し、
前記貯蔵容器が、前記内側容器(2)の角部領域(27、28、49、50)を保護かつ内張りするための角部保護部(51)を有することを特徴とする液体用の運搬および貯蔵容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−151517(P2006−151517A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54410(P2006−54410)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【分割の表示】特願2001−382914(P2001−382914)の分割
【原出願日】平成13年12月17日(2001.12.17)
【出願人】(595152726)プロテクナ エスアー (1)
【Fターム(参考)】