液体用包装容器
【課題】容器上部の一方の隅部を切断するに際して、鋏などの用具も用いなくとも設定位置で切断が行えるようにし、程よい切り口が簡単な手操作で用意に得られるようにする。
【解決手段】容器上部6の一方の隅部に正面シート2と背面シート3とを貼り合わせてなる開封用つまみ代9を設け、該開封用つまみ代9における容器内方との境界縁を、容器上部6側から該開封用つまみ代9が位置する容器側辺部7側に向けて直線状にして傾斜させた。
【解決手段】容器上部6の一方の隅部に正面シート2と背面シート3とを貼り合わせてなる開封用つまみ代9を設け、該開封用つまみ代9における容器内方との境界縁を、容器上部6側から該開封用つまみ代9が位置する容器側辺部7側に向けて直線状にして傾斜させた。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液体洗剤や液体柔軟剤などを収容する液体用包装容器に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来から、合成樹脂製などによりなるボトルタイプの容器においてはその不要時における廃棄処理を行うことでゴミの増大や環境破壊を招き易いという点が問題となってきている。このような状況から近年、一般家庭での使用量が大きい台所用液体洗剤や洗濯用液体洗剤、液体柔軟剤、シャンプー、リンス、ボディーソープなどの商品に対しては、詰め替え用として環境への影響を考慮した素材を選択した容器であって、嵩張り難い形状の液体用包装容器を用いて提供されるようになってきた。図10はこのような要望に答えるべくなされたスタンディングパウチと称される液体用包装容器1を示していて、それぞれ積層構成とした正面シート2と背面シート3と底シート4からなり、容器底部5では底シート4を介在させた状態で正面シート2と背面シート3とを貼り合わせ(例えば、ヒートシール)、容器底部の正面シート2の下辺と背面シート3の下辺との間を広げるようにして自立できる形態としている。そして、空容器に内容物を移し替えるに際しては容器上部6を横方向に切断してその切り口から空容器などに注ぎ入れるようにしている。
【0003】また、開封後に液体を注ぎ出し易いように、上端を直線状の形態とした容器上部6に沿って横に切断するのではなくその容器上部6の一方の隅部を斜めにカットし、程よい大きさの切り口を得るようにすることも行われる。しかしながら、容器の隅部を斜めにカットする場合、容器側辺部7に切欠き8を設けてこれを切断始端として手操作で開封しても、容器に対する切断力の加え方が不安定で正面シートや背面シートの成形時に生じた筋目などの影響を受け易くなって切断方向をコントロールし難くなり、例えば、図11の(イ)に示すように、液体用包装容器1の幅方向に必要以上に大きく切断したり、(ロ)に示すように、液体用包装容器1の容器側辺部7に沿って上方側に短く切断されることがあるなど、その切断により得られる切り口の形状のばらつきが大きいという不都合があり、現状で安定した切り口を得ようとすると、鋏などの切断用具を用いて切断するという手間を要していた。そこで、本発明は上記した事情に鑑み、容器上部の一方の隅部を切断するに際して、鋏などの用具も用いなくとも設定位置でその切断が行えるようにすることを課題とし、程よい切り口が簡単な手操作で用意に得られるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を考慮してなされたもので、容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる開封用つまみ代を設け、該開封用つまみ代における容器内方との境界縁を、容器上部側から該開封用つまみ代が位置する容器側辺部側に向けて直線状にして傾斜させたことを特徴とする液体用包装容器を提供して、上記課題を解消するものである。そして、本発明において、上記開封用つまみ代の境界縁に沿うようにして、かつ、該つまみ代の領域外の位置に直線状の開封位置表示線を設けることが良好であり、また、上記開封用つまみ代における上記境界縁の容器上部側が、該容器上部の長さ方向と直交する容器上下方向に縦にして設けられていることが良好である。さらに、もう一つの発明は、容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に、容器上部から容器側辺部に向けて傾斜した直線状の開封位置表示線を設けるとともに、該開封位置表示線の延長線上における容器側辺部に開封用切欠きを設け、前記容器側辺部における容器内方との境界縁を前記開封位置表示線と直交するように傾斜させたことを特徴とする液体用包装容器であり、この液体用包装容器を提供して上記課題を解消するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】つぎに本発明を図1から図9に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、図10と図11に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。液体用包装容器1にあっては、図示されているように、正面シート2の上辺2aと背面シート3の上辺3aとをヒートシールにより貼り合わせて上端を直線状とした容器上部6の一方の隅部に、前記正面シート2と背面シート3とを直接ヒートシールしてなる略三角状の開封用つまみ代9が設けられている。そして、この正面シート2と背面シート3との三角領域を一体化してなる前記開封用つまみ代9では、容器内方との境界縁10が傾斜していて、容器上部6側からこの開封用つまみ代9が位置する容器側辺部7側に向けて直線状にして傾斜している。このように開封用つまみ代9は、正面シート2と背面シート3とが容器上部6における一隅でヒートシールによる貼り合わせで一体化されたものとなるために硬くなり、容器1の収容空間を形成しているシート部分より硬いものとなる。よって、この開封用つまみ代9を持って千切るようにすれば切断時の切断縁がその境界縁10に案内されながら直線状に進むようになり、大きさや形状にバラ付きのない切り口が得られるようになる。さらに、この液体用包装容器1では、切り口にする位置をより明確にするために、開封用つまみ代9の境界縁10に沿うようにして、かつ、該つまみ代9の領域外の位置で境界縁10に接近するようにして直線状の開封位置表示線11を設けており、この開封位置表示線11を備えることで、上記開封用つまみ代9を持ちながら引き千切る際にも、この開封位置表示線11を確認しながら切断を進め易くなり、より適正な切り口を形成できるようになる。この傾斜した開封位置表示線11の延長線11a上であって容器1の容器側辺部7には従来例と同じように切断時の切断始端を形成し易くするための切欠き8があり、図2に示すように、その切欠き8の内では切断方向に一つの切欠き縁12を揃えて切断始端が進む方向付けを行うようにしている。
【0006】上記開封用つまみ代9を設け、該つまみ代9の境界縁10を上述のように容器側辺部7側に向けて直線状にして傾斜させる点は、図1と図2に示した例に限定されるものではない。例えば、図3から図6に示したように、容器上部6の一方の隅部に、容器1の側方視したときの略矩形領域から突出しない範囲(即ち、容器上部の上端位置から上方に突出せず、容器側辺部の側端位置から側方に突出しない範囲)で、上方と側方の凹部13の間に位置してくちばし状に突出した注出口部14を設けた容器1においても実施できる。図3の例にあっては、その容器1の注出口部14の先端位置に開封用つまみ代9を設け、境界縁10を上述のように容器側辺部7側に向けて直線状にして傾斜させており、そして、前記開封用つまみ代9の上縁側に、切欠き8の切断縁形成をより簡便に、かつ、小さな力で行えるようにするための張出片15を延設しており、つまみ代9の挟み持つことのできる面積を上方側に大きくしている。同様に図4は、開封用つまみ代9の側方下部側に張出片15を延設した例を示しており、図5は、上方と側方とに大きさの異なる張出片15を延設した例であり、図6は三方に張り出し片15を延設した例を示している。なお、図3から図6において16は注出口部14の内部に位置して注出時における注出口部の開放形状を維持するための部品を示している。ぞして、この部品16の一例を図7に示していて、三つの片材16aが折り部16bを介して断面略コ字状に折り起こし可能に設けられているものであり、平らに並んだ状態(図7(イ)参照)から開封後に折り起こすことで樋状となり(図7(ロ)参照)、注出口部の開きを維持するようにしたものである。
【0007】図8に示される容器上部6の上端が直線状とした例の容器1においては、開封用つまみ代9における境界縁10の容器上部6側が容器上下方向に縦にして設けられていて、容器上部6の長さ方向と直交するようにしている。液体用包装容器1では、容器底部と両容器側辺部とをヒートシールにて形成して正面シートと背面シートとの上辺側を開放した状態で予め形成し、その未シールの上辺側から内容物の充填を行った後にこの上辺をヒートシールして閉じた容器上部を得るようにしている。そこで、前述したようにこの例では予めヒートシールにより形成される開封用つまみ代9において境界縁10の容器上部側に容器収納空間に対応する領域から立ち上がる縦の縦縁17を備えるようにしているため、内容物充填時の開口幅18を広く確保することができるように設けられている。なお、図において、6aは閉じた容器上部を得るためのシール領域を示している。
【0008】図8において示されているように、液体用包装容器1では、容器上部6の一方の隅部に、上記直線状の開封位置表示線11を設けるとともに、その開封位置表示線11の延長線11a上に開封用の切欠き8を設けているが、前記容器側辺部7において前記開封位置表示線11や延長線11aが通る箇所を幅広のヒートシール部19としている。そして、そのヒートシール部19における容器内方との境界縁であって、開封位置表示線11やその延長線11aと交差する境界縁20が、その開封位置表示線11やその延長線と直交するように傾斜している。このように切欠き8から切断縁が進む開封位置表示線11やその延長線11aと前記境界縁20とが直交するようにしているため、切欠き8で生じた切断縁がヒートシールされている容器側辺部7からヒートシールされていない正面シート2と背面シート3との収納空間領域に入り込むとき、即ち、前記境界縁20を切るときに、その切断縁の進行に対する抵抗が最も小さいとともに、切断縁の進行方向のブレを生じさせる要因(正面シートと背面シートの歪みや伸びなど)が最も少なくなり、適正に切断縁が開封位置表示線11上を進む。よって、収納空間領域のシート部分に切断縁が入ったときにも二股裂け(正面シートと背面シートとのそれぞれの切断縁がズレる状態)などが生じ難くなる。図8に示された例では開封位置表示線11やその延長線と交差する境界縁20を、容器側辺部7における幅広のヒートシール部19に形成したが、図9に示すように、容器側辺部7に幅狭のヒートシール部21を形成して、その幅狭のヒートシール部21において境界縁20を設けるようにしてもよい。即ち、容器側辺部7のシール強度を損なわない限り、前記境界縁20は容器側辺部7の内側に位置するようにしてよい。なお、開封位置表示線11やその延長線11aと交差する境界縁20を容器側辺部7に設ける点は、図8や図9に示した縦縁17を有する容器1に限定されるものではなく、図1に示す容器においても実施でき、また、つまみ代を形成しない容器においても実施できる。
【0009】本発明に使用する材料構成としては、下記のものを例として挙げることができる。
(1)正面シート、背面シート:(外面)ポリエチレンテレフタレート(12μm)/アルミ箔(7μm)/延伸ナイロン(15μm)/線状低密度ポリエチレン(100μm)
底シート:(外面)ナイロン(25μm)/アルミ箔(7μm)/線状低密度ポリエチレン(120μm)
(2)正面シート、背面シート:(外面)内面に蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレート(12μm)/延伸ナイロン(15μm)/線状低密度ポリエチレン(100μm)
*蒸着層としてはアルミニウムなどの金属蒸着、アルミナ、シリカなどの無機化合物蒸着などを挙げることができる。
底シート:(外面)ナイロン(25μm)/線状低密度ポリエチレン(120μm)
(3)正面シート、背面シート:(外面)ポリエチレンテレフタレート(12μm)/外面に蒸着層を設けた延伸ナイロン(15μm)/線状低密度ポリエチレン(120μm)
底シート:(外面)ナイロン(25μm)/線状低密度ポリエチレン(120μm)
(4)正面シート、背面シート:(外面)延伸ナイロン(25μm)/線状低密度ポリエチレン(150μm)
底シート:(外面)延伸ナイロン(25μm)/線状低密度ポリエチレン(150μm)
【0010】本発明の液体用包装容器では、つぎの構成を付加することができる。正面シートや背面シートの収納空間領域を形成しているシート部分に、開封位置表示線へ向けて求心状に伸びる一本以上の溝を形成することができる。この溝は、容器の内部へ窪ませることも容器の外部へ突出させることもでき、これらの窪み、突出を組み合わせるようにしてもよい。そして前記溝は雌雄の成形金型による押圧加工、及び又は雌雄成形金型に熱と圧力を加えた成形加工で設けることができる。この溝を設けることにより、開封後の注出部分の不慮の折り曲がりを防止でき、注ぎ出し時に、内容物が流れ易くなるという効果がある。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる開封用つまみ代を設け、該開封用つまみ代における容器内方との境界縁を、容器上部側から該開封用つまみ代が位置する容器側辺部側に向けて直線状にして傾斜させたことを特徴とするものである。そして、もう一つの発明は、容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に、容器上部から容器側辺部に向けて傾斜した直線状の開封位置表示線を設けるとともに、該開封位置表示線の延長線上における容器側辺部に開封用切欠きを設け、前記容器側辺部における容器内方との境界縁を前記開封位置表示線と直交するように傾斜させたことを特徴とするものである。このように、正面シートと背面シートとの貼り合わせによりなる開封用つまみ代の境界縁を、容器上部側から容器側辺部側に向けて直線状にして傾斜させたり、開封用切欠きから開封位置表示線に亘る位置にその開封位置表示線の延長線上での容器側辺部の境界縁を直交するように傾斜させたので、容器を手操作にて開封するに際し、容易に、かつ、適正に切断縁を傾斜した開封位置表示線上へ進めさせることができ、適正な切り口が得られるようになる。よって、開封後の容器の外観を損なうことがないとともに、予め設定した位置にある適正な大きさの切り口を備えるようになるため、内容物の移し替えなどでの注出流も適正な状態の流れとすることができる。さらに、開封に際し、容器側部側に向けて下り傾斜となる切り口が得られ、注出に際して相手の容器口部平面に対して比較的覆い被せるような切り口にて、内容物の飛び出しを抑えながら安全に注出を行わせることができる。また、手操作においても大きな力を要することなく適正な状態の開封が行えるため、収納空間部分に内圧を高めるような力が加わらず、内容物の飛び出しを抑えながら安全に切断を行わせることができるようになるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体用包装容器の一例を示す説明図である。
【図2】一例の要部を示す説明図である。
【図3】他の例の要部を示す説明図である。
【図4】他の例の要部を示す説明図である。
【図5】他の例の要部を示す説明図である。
【図6】他の例の要部を示す説明図である。
【図7】注出口部に設ける部材を示す説明図である。
【図8】開封用つまみ代に縦縁を有する例を示す説明図である。
【図9】他の例を示す説明図である。
【図10】従来例を示す説明図である。
【図11】従来例の開封状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…液体用包装容器
2…正面シート 3…背面シート
6…容器上部 7…容器側辺部
8…切欠き 9…開封用つまみ代
10…境界縁 11…開封位置表示線
17…縦縁 20…境界縁
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液体洗剤や液体柔軟剤などを収容する液体用包装容器に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来から、合成樹脂製などによりなるボトルタイプの容器においてはその不要時における廃棄処理を行うことでゴミの増大や環境破壊を招き易いという点が問題となってきている。このような状況から近年、一般家庭での使用量が大きい台所用液体洗剤や洗濯用液体洗剤、液体柔軟剤、シャンプー、リンス、ボディーソープなどの商品に対しては、詰め替え用として環境への影響を考慮した素材を選択した容器であって、嵩張り難い形状の液体用包装容器を用いて提供されるようになってきた。図10はこのような要望に答えるべくなされたスタンディングパウチと称される液体用包装容器1を示していて、それぞれ積層構成とした正面シート2と背面シート3と底シート4からなり、容器底部5では底シート4を介在させた状態で正面シート2と背面シート3とを貼り合わせ(例えば、ヒートシール)、容器底部の正面シート2の下辺と背面シート3の下辺との間を広げるようにして自立できる形態としている。そして、空容器に内容物を移し替えるに際しては容器上部6を横方向に切断してその切り口から空容器などに注ぎ入れるようにしている。
【0003】また、開封後に液体を注ぎ出し易いように、上端を直線状の形態とした容器上部6に沿って横に切断するのではなくその容器上部6の一方の隅部を斜めにカットし、程よい大きさの切り口を得るようにすることも行われる。しかしながら、容器の隅部を斜めにカットする場合、容器側辺部7に切欠き8を設けてこれを切断始端として手操作で開封しても、容器に対する切断力の加え方が不安定で正面シートや背面シートの成形時に生じた筋目などの影響を受け易くなって切断方向をコントロールし難くなり、例えば、図11の(イ)に示すように、液体用包装容器1の幅方向に必要以上に大きく切断したり、(ロ)に示すように、液体用包装容器1の容器側辺部7に沿って上方側に短く切断されることがあるなど、その切断により得られる切り口の形状のばらつきが大きいという不都合があり、現状で安定した切り口を得ようとすると、鋏などの切断用具を用いて切断するという手間を要していた。そこで、本発明は上記した事情に鑑み、容器上部の一方の隅部を切断するに際して、鋏などの用具も用いなくとも設定位置でその切断が行えるようにすることを課題とし、程よい切り口が簡単な手操作で用意に得られるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を考慮してなされたもので、容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる開封用つまみ代を設け、該開封用つまみ代における容器内方との境界縁を、容器上部側から該開封用つまみ代が位置する容器側辺部側に向けて直線状にして傾斜させたことを特徴とする液体用包装容器を提供して、上記課題を解消するものである。そして、本発明において、上記開封用つまみ代の境界縁に沿うようにして、かつ、該つまみ代の領域外の位置に直線状の開封位置表示線を設けることが良好であり、また、上記開封用つまみ代における上記境界縁の容器上部側が、該容器上部の長さ方向と直交する容器上下方向に縦にして設けられていることが良好である。さらに、もう一つの発明は、容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に、容器上部から容器側辺部に向けて傾斜した直線状の開封位置表示線を設けるとともに、該開封位置表示線の延長線上における容器側辺部に開封用切欠きを設け、前記容器側辺部における容器内方との境界縁を前記開封位置表示線と直交するように傾斜させたことを特徴とする液体用包装容器であり、この液体用包装容器を提供して上記課題を解消するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】つぎに本発明を図1から図9に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、図10と図11に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。液体用包装容器1にあっては、図示されているように、正面シート2の上辺2aと背面シート3の上辺3aとをヒートシールにより貼り合わせて上端を直線状とした容器上部6の一方の隅部に、前記正面シート2と背面シート3とを直接ヒートシールしてなる略三角状の開封用つまみ代9が設けられている。そして、この正面シート2と背面シート3との三角領域を一体化してなる前記開封用つまみ代9では、容器内方との境界縁10が傾斜していて、容器上部6側からこの開封用つまみ代9が位置する容器側辺部7側に向けて直線状にして傾斜している。このように開封用つまみ代9は、正面シート2と背面シート3とが容器上部6における一隅でヒートシールによる貼り合わせで一体化されたものとなるために硬くなり、容器1の収容空間を形成しているシート部分より硬いものとなる。よって、この開封用つまみ代9を持って千切るようにすれば切断時の切断縁がその境界縁10に案内されながら直線状に進むようになり、大きさや形状にバラ付きのない切り口が得られるようになる。さらに、この液体用包装容器1では、切り口にする位置をより明確にするために、開封用つまみ代9の境界縁10に沿うようにして、かつ、該つまみ代9の領域外の位置で境界縁10に接近するようにして直線状の開封位置表示線11を設けており、この開封位置表示線11を備えることで、上記開封用つまみ代9を持ちながら引き千切る際にも、この開封位置表示線11を確認しながら切断を進め易くなり、より適正な切り口を形成できるようになる。この傾斜した開封位置表示線11の延長線11a上であって容器1の容器側辺部7には従来例と同じように切断時の切断始端を形成し易くするための切欠き8があり、図2に示すように、その切欠き8の内では切断方向に一つの切欠き縁12を揃えて切断始端が進む方向付けを行うようにしている。
【0006】上記開封用つまみ代9を設け、該つまみ代9の境界縁10を上述のように容器側辺部7側に向けて直線状にして傾斜させる点は、図1と図2に示した例に限定されるものではない。例えば、図3から図6に示したように、容器上部6の一方の隅部に、容器1の側方視したときの略矩形領域から突出しない範囲(即ち、容器上部の上端位置から上方に突出せず、容器側辺部の側端位置から側方に突出しない範囲)で、上方と側方の凹部13の間に位置してくちばし状に突出した注出口部14を設けた容器1においても実施できる。図3の例にあっては、その容器1の注出口部14の先端位置に開封用つまみ代9を設け、境界縁10を上述のように容器側辺部7側に向けて直線状にして傾斜させており、そして、前記開封用つまみ代9の上縁側に、切欠き8の切断縁形成をより簡便に、かつ、小さな力で行えるようにするための張出片15を延設しており、つまみ代9の挟み持つことのできる面積を上方側に大きくしている。同様に図4は、開封用つまみ代9の側方下部側に張出片15を延設した例を示しており、図5は、上方と側方とに大きさの異なる張出片15を延設した例であり、図6は三方に張り出し片15を延設した例を示している。なお、図3から図6において16は注出口部14の内部に位置して注出時における注出口部の開放形状を維持するための部品を示している。ぞして、この部品16の一例を図7に示していて、三つの片材16aが折り部16bを介して断面略コ字状に折り起こし可能に設けられているものであり、平らに並んだ状態(図7(イ)参照)から開封後に折り起こすことで樋状となり(図7(ロ)参照)、注出口部の開きを維持するようにしたものである。
【0007】図8に示される容器上部6の上端が直線状とした例の容器1においては、開封用つまみ代9における境界縁10の容器上部6側が容器上下方向に縦にして設けられていて、容器上部6の長さ方向と直交するようにしている。液体用包装容器1では、容器底部と両容器側辺部とをヒートシールにて形成して正面シートと背面シートとの上辺側を開放した状態で予め形成し、その未シールの上辺側から内容物の充填を行った後にこの上辺をヒートシールして閉じた容器上部を得るようにしている。そこで、前述したようにこの例では予めヒートシールにより形成される開封用つまみ代9において境界縁10の容器上部側に容器収納空間に対応する領域から立ち上がる縦の縦縁17を備えるようにしているため、内容物充填時の開口幅18を広く確保することができるように設けられている。なお、図において、6aは閉じた容器上部を得るためのシール領域を示している。
【0008】図8において示されているように、液体用包装容器1では、容器上部6の一方の隅部に、上記直線状の開封位置表示線11を設けるとともに、その開封位置表示線11の延長線11a上に開封用の切欠き8を設けているが、前記容器側辺部7において前記開封位置表示線11や延長線11aが通る箇所を幅広のヒートシール部19としている。そして、そのヒートシール部19における容器内方との境界縁であって、開封位置表示線11やその延長線11aと交差する境界縁20が、その開封位置表示線11やその延長線と直交するように傾斜している。このように切欠き8から切断縁が進む開封位置表示線11やその延長線11aと前記境界縁20とが直交するようにしているため、切欠き8で生じた切断縁がヒートシールされている容器側辺部7からヒートシールされていない正面シート2と背面シート3との収納空間領域に入り込むとき、即ち、前記境界縁20を切るときに、その切断縁の進行に対する抵抗が最も小さいとともに、切断縁の進行方向のブレを生じさせる要因(正面シートと背面シートの歪みや伸びなど)が最も少なくなり、適正に切断縁が開封位置表示線11上を進む。よって、収納空間領域のシート部分に切断縁が入ったときにも二股裂け(正面シートと背面シートとのそれぞれの切断縁がズレる状態)などが生じ難くなる。図8に示された例では開封位置表示線11やその延長線と交差する境界縁20を、容器側辺部7における幅広のヒートシール部19に形成したが、図9に示すように、容器側辺部7に幅狭のヒートシール部21を形成して、その幅狭のヒートシール部21において境界縁20を設けるようにしてもよい。即ち、容器側辺部7のシール強度を損なわない限り、前記境界縁20は容器側辺部7の内側に位置するようにしてよい。なお、開封位置表示線11やその延長線11aと交差する境界縁20を容器側辺部7に設ける点は、図8や図9に示した縦縁17を有する容器1に限定されるものではなく、図1に示す容器においても実施でき、また、つまみ代を形成しない容器においても実施できる。
【0009】本発明に使用する材料構成としては、下記のものを例として挙げることができる。
(1)正面シート、背面シート:(外面)ポリエチレンテレフタレート(12μm)/アルミ箔(7μm)/延伸ナイロン(15μm)/線状低密度ポリエチレン(100μm)
底シート:(外面)ナイロン(25μm)/アルミ箔(7μm)/線状低密度ポリエチレン(120μm)
(2)正面シート、背面シート:(外面)内面に蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレート(12μm)/延伸ナイロン(15μm)/線状低密度ポリエチレン(100μm)
*蒸着層としてはアルミニウムなどの金属蒸着、アルミナ、シリカなどの無機化合物蒸着などを挙げることができる。
底シート:(外面)ナイロン(25μm)/線状低密度ポリエチレン(120μm)
(3)正面シート、背面シート:(外面)ポリエチレンテレフタレート(12μm)/外面に蒸着層を設けた延伸ナイロン(15μm)/線状低密度ポリエチレン(120μm)
底シート:(外面)ナイロン(25μm)/線状低密度ポリエチレン(120μm)
(4)正面シート、背面シート:(外面)延伸ナイロン(25μm)/線状低密度ポリエチレン(150μm)
底シート:(外面)延伸ナイロン(25μm)/線状低密度ポリエチレン(150μm)
【0010】本発明の液体用包装容器では、つぎの構成を付加することができる。正面シートや背面シートの収納空間領域を形成しているシート部分に、開封位置表示線へ向けて求心状に伸びる一本以上の溝を形成することができる。この溝は、容器の内部へ窪ませることも容器の外部へ突出させることもでき、これらの窪み、突出を組み合わせるようにしてもよい。そして前記溝は雌雄の成形金型による押圧加工、及び又は雌雄成形金型に熱と圧力を加えた成形加工で設けることができる。この溝を設けることにより、開封後の注出部分の不慮の折り曲がりを防止でき、注ぎ出し時に、内容物が流れ易くなるという効果がある。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる開封用つまみ代を設け、該開封用つまみ代における容器内方との境界縁を、容器上部側から該開封用つまみ代が位置する容器側辺部側に向けて直線状にして傾斜させたことを特徴とするものである。そして、もう一つの発明は、容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に、容器上部から容器側辺部に向けて傾斜した直線状の開封位置表示線を設けるとともに、該開封位置表示線の延長線上における容器側辺部に開封用切欠きを設け、前記容器側辺部における容器内方との境界縁を前記開封位置表示線と直交するように傾斜させたことを特徴とするものである。このように、正面シートと背面シートとの貼り合わせによりなる開封用つまみ代の境界縁を、容器上部側から容器側辺部側に向けて直線状にして傾斜させたり、開封用切欠きから開封位置表示線に亘る位置にその開封位置表示線の延長線上での容器側辺部の境界縁を直交するように傾斜させたので、容器を手操作にて開封するに際し、容易に、かつ、適正に切断縁を傾斜した開封位置表示線上へ進めさせることができ、適正な切り口が得られるようになる。よって、開封後の容器の外観を損なうことがないとともに、予め設定した位置にある適正な大きさの切り口を備えるようになるため、内容物の移し替えなどでの注出流も適正な状態の流れとすることができる。さらに、開封に際し、容器側部側に向けて下り傾斜となる切り口が得られ、注出に際して相手の容器口部平面に対して比較的覆い被せるような切り口にて、内容物の飛び出しを抑えながら安全に注出を行わせることができる。また、手操作においても大きな力を要することなく適正な状態の開封が行えるため、収納空間部分に内圧を高めるような力が加わらず、内容物の飛び出しを抑えながら安全に切断を行わせることができるようになるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体用包装容器の一例を示す説明図である。
【図2】一例の要部を示す説明図である。
【図3】他の例の要部を示す説明図である。
【図4】他の例の要部を示す説明図である。
【図5】他の例の要部を示す説明図である。
【図6】他の例の要部を示す説明図である。
【図7】注出口部に設ける部材を示す説明図である。
【図8】開封用つまみ代に縦縁を有する例を示す説明図である。
【図9】他の例を示す説明図である。
【図10】従来例を示す説明図である。
【図11】従来例の開封状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…液体用包装容器
2…正面シート 3…背面シート
6…容器上部 7…容器側辺部
8…切欠き 9…開封用つまみ代
10…境界縁 11…開封位置表示線
17…縦縁 20…境界縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる開封用つまみ代を設け、該開封用つまみ代における容器内方との境界縁を、容器上部側から該開封用つまみ代が位置する容器側辺部側に向けて直線状にして傾斜させたことを特徴とする液体用包装容器。
【請求項2】上記開封用つまみ代の境界縁に沿うようにして、かつ、該つまみ代の領域外の位置に直線状の開封位置表示線を設けた請求項1に記載の液体用包装容器。
【請求項3】上記開封用つまみ代における上記境界縁の容器上部側が、該容器上部の長さ方向と直交する容器上下方向に縦にして設けられている請求項1または2に記載の液体用包装容器。
【請求項4】容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に、容器上部から容器側辺部に向けて傾斜した直線状の開封位置表示線を設けるとともに、該開封位置表示線の延長線上における容器側辺部に開封用切欠きを設け、前記容器側辺部における容器内方との境界縁を前記開封位置表示線と直交するように傾斜させたことを特徴とする液体用包装容器。
【請求項1】容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる開封用つまみ代を設け、該開封用つまみ代における容器内方との境界縁を、容器上部側から該開封用つまみ代が位置する容器側辺部側に向けて直線状にして傾斜させたことを特徴とする液体用包装容器。
【請求項2】上記開封用つまみ代の境界縁に沿うようにして、かつ、該つまみ代の領域外の位置に直線状の開封位置表示線を設けた請求項1に記載の液体用包装容器。
【請求項3】上記開封用つまみ代における上記境界縁の容器上部側が、該容器上部の長さ方向と直交する容器上下方向に縦にして設けられている請求項1または2に記載の液体用包装容器。
【請求項4】容器底部に底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせてなる液体用包装容器において、容器上部の一方の隅部に、容器上部から容器側辺部に向けて傾斜した直線状の開封位置表示線を設けるとともに、該開封位置表示線の延長線上における容器側辺部に開封用切欠きを設け、前記容器側辺部における容器内方との境界縁を前記開封位置表示線と直交するように傾斜させたことを特徴とする液体用包装容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開平11−310276
【公開日】平成11年(1999)11月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−121366
【出願日】平成10年(1998)4月30日
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【公開日】平成11年(1999)11月9日
【国際特許分類】
【出願日】平成10年(1998)4月30日
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
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