説明

液体用吐出容器及び容器入り液体洗浄剤

【課題】容器の保持姿勢のいかんにかかわらず、内容液を吐出できる液体用吐出容器を提供する。
【解決手段】吐出経路40に接続され、容器本体3の内底面に向かって伸びる流通パイプ5が設けられ、流通パイプ5には、吐出経路40との接続位置近傍に、第一のシリンダ60とこれに上下可動に収納された第一の弁体62とを備える第一の逆止弁6が設けられると共に、先端部分に、第二のシリンダ70とこれに上下可動に収納された第二の弁体72とを備える第二の逆止弁7が設けられ、第二の逆止弁7は、容器本体3の内底面に近接かつ内側面に近接して位置され、第二の弁体72が軸線O1と略平行に可動とされ、第一の逆止弁6は、第一の弁体6の可動方向F1が軸線O1と交差するものとされ、第一の弁体62の可動方向F1は、交差点P1から内底面に到る領域が、軸線O1を基準として、第二の逆止弁7と同一側に位置することよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用吐出容器及び容器入り液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体洗浄剤、除草剤、殺虫剤、機械油等の液体を内容液として収容し、内容液を塗布対象に吐出する容器が知られている。
例えば、トイレ用、排水管用、浴室用等の液体洗浄剤や、除草剤、機械油等、狭い範囲に塗布する用途には、容器の胴部を持ち手で押圧して、吐出孔から内容液を吐出するスクイズタイプの容器が用いられる。このスクイズタイプの容器は、内容液を収容する容器本体と、容器本体の口部に設けられ、吐出孔が形成されたノズルとを備えるものが一般に知られている。
一方、ガラス用、家具用等の液体洗浄剤や殺虫剤等、広い範囲に塗布する用途には、トリガースプレータイプの容器やエアゾールタイプの容器が用いられる。
【0003】
スクイズタイプの容器は、ノズルの頂部に吐出孔が形成されている。このため、スクイズタイプの容器は、吐出孔が下方に向けられた状態(倒立状態)とされ、容器本体の胴部が押圧されることで内容液を吐出するものの、吐出孔が上方に向けられた状態(正立状態)で内容液を吐出できなかった。
【0004】
また、トリガースプレータイプの容器は、容器本体内に垂下されたディップチューブにより内容液を吸い上げるため、正立状態で内容液を吐出できるものの、倒立状態で内容液を吐出できなかった。エアゾールタイプの容器は、内容液を吐出するバルブが上方に位置する正立状態で内容液を吐出できるものの、倒立状態にされると、噴射剤のみが吐出され、内容液を吐出できなかった。
【0005】
こうした問題に対し、パイプの上部と下部とに、送油口と送油口を開閉する円筒形スプールを設けた注油器が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、吸入パイプの側面に噴射パイプを設け、吸入パイプの両端に、吸入口と該吸入口の外側の側面に水取り口を形成し、吸入パイプの両端の中に吸入弁を設けた容器が提案されている(例えば、特許文献2)。
あるいは、容器本体内に、バルブの噴出経路につながり容器の底面へ向かって延びる流通パイプを有し、該パイプは、容器の底部へ向かって延びるその先端部分に第1のチェック弁を有し、バルブの接続位置近傍域に第2のチェック弁を備え、第2のチェック弁は、容器の姿勢が正位状態にあるとき、第2のチェック弁の弁体を弁座に押しつけて閉状態とし、容器の姿勢が反転状態にあるとき内容物によって該弁体が押し上げられて開状態とするコイルスプリングを有するエアロゾル容器が提案されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭56−173293号公報
【特許文献2】特開2000−237647号公報
【特許文献3】特許第415463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3の技術は、正立状態又は倒立状態のいずれの姿勢においても内容液を吐出できるものの、容器本体の軸線が水平となるような姿勢(水平状態)では、内容液を吐出しにくいという問題がある。
そこで、本発明は、容器の姿勢のいかんにかかわらず、内容液を吐出できる液体用吐出容器を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体用吐出容器は、正立状態にて上端に開口部を有し、内容液を収納する有底筒状の容器本体と、前記開口部に設けられ、内容液を吐出する吐出孔が形成された吐出体とを備え、前記容器本体内には、前記吐出孔の吐出経路に接続され、前記容器本体の内底面に向かって伸びる流通パイプが設けられ、該流通パイプには、前記吐出孔の吐出経路との接続位置近傍に、第一のシリンダ及び該第一のシリンダに上下可動に収納された第一の弁体を備える第一の逆止弁が設けられると共に、先端部分に、第二のシリンダ及び該第二のシリンダに上下可動に収納された第二の弁体を備える第二の逆止弁が設けられ、正立状態の時、第一の逆止弁が閉状態、第二の逆止弁が開状態となり、前記開口部を下方とした倒立状態の時、第一の逆止弁が開状態、第二の逆止弁が閉状態となる液体用吐出容器において、前記第二の逆止弁は、前記容器本体の内底面に近接かつ内側面に近接して位置され、前記第二の弁体が前記容器本体の軸線と略平行に可動とされ、前記第一の逆止弁は、前記第一の弁体の可動方向が前記軸線と交差するものとされ、前記第一の弁体の可動方向は、前記交差する部分から前記内底面に到る領域が、前記軸線を基準として、前記第二の逆止弁と同一側に位置することを特徴とする。
前記第一の弁体及び前記第二の弁体は、球体であることが好ましい。
【0009】
本発明の容器入り液体洗浄剤は、本発明の前記液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体用吐出容器によれば、容器本体内に、底面に向かって伸びる流通パイプが設けられ、該流通パイプには、吐出孔の吐出経路との接続位置近傍に、第一のシリンダ及び該第一のシリンダに上下可動に収納された第一の弁体を備える第一の逆止弁が設けられると共に、先端部分に、第二のシリンダ及び該第二のシリンダに上下可動に収納された第二の弁体を備える第二の逆止弁が設けられ、前記第二の逆止弁は、前記容器本体の内底面に近接かつ内側面に近接して位置され、前記第二の弁体が前記容器本体の軸線と略平行に可動とされ、前記第一の逆止弁は、前記第一の弁体の可動方向が前記軸線と交差するものとされ、前記第一の弁体の可動方向は、前記交差する部分から前記内底面に到る領域が、前記軸線を基準として、前記第二の逆止弁と同一側に位置するため、容器の姿勢のいかんにかかわらず、内容液を吐出できる。
本発明の液体用吐出容器によれば、前記第一の弁体及び前記第二の弁体が球体であるため、第一の逆止弁及び第二の逆止弁を円滑に開閉できる。
【0011】
本発明の容器入り液体洗浄剤によれば、本発明の前記液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されているため、容器の姿勢のいかんにかかわらず、液体洗浄剤を吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図5】従来の液体用吐出容器の断面図である。
【図6】従来の液体用吐出容器の断面図である。
【図7】従来の液体用吐出容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態にかかる液体用吐出容器について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる液体用吐出容器1の正立状態を示す断面図である。液体用吐出容器1は、吐出体2と、内容液を収納する容器本体3とを備えるスクイズタイプの容器である。
【0014】
容器本体3は、底面部36の周縁から立設された胴部34と、胴部34の上方に延設された略円筒状の口部32とを備え、口部32の上端を周縁とする開口部30を有するものである。口部32の外周には、蓋体(不図示)と螺合する雄ネジ33が形成されている有底筒状のものである。正立状態とは、容器本体3の開口部30を鉛直方向上方とした状態をいう。
【0015】
吐出体2は、開口部30を塞ぐ円盤状の平板部22の略中央に、内容液を容器本体3外に吐出する吐出孔20が形成されたものである。吐出孔20の大きさは、内容液の種類に応じて決定でき、例えば、φ0.5〜8mmとされる。
【0016】
容器本体3内には、吐出体2に接続された連結部4が設けられ、連結部4内には、吐出孔20と連通する吐出経路40が形成されている。連結部4の下端には、底面部36に向かって伸びる流通パイプ5が接続されている。流通パイプ5には、連結部4との接続位置近傍に、第一の逆止弁6が設けられ、先端部分に第二の逆止弁7が設けられている。第二の逆止弁7は、底面部36の内面(内底面)に近接し、かつ胴部34の内面(内側面)に近接して位置するものとされている。
本実施形態においては、連結部4と、流通パイプ5と、第一の逆止弁6と、第二の逆止弁7とで吐出ユニット10が構成されている。
【0017】
第一の逆止弁6は、流通パイプ5の上端から略水平に突出した筒状体である連絡部66と、連絡部66の突端から上方に伸びる第一のシリンダ60と、第一のシリンダ60内に上下可動に収納された球体である第一の弁体62とを備えるものである。「上下可動」とは、正立状態における上下方向を含む領域を可動することである。第一のシリンダ60は、第一のシリンダ60内と容器本体3内とを連通する第一の連通孔64が形成され、開口部30から底面部36に向かい縮径する形状とされたものである。そして、第一のシリンダ60は、連絡部66との接続部分の内径が、第一の弁体62の直径よりも小さいものとされている。
また、第一のシリンダ60は、第一の弁体62の可動方向F1が、開口部30の中心を通り、かつ開口部30から底面部36に向かう軸線O1と交差する形状とされている。可動方向F1は、軸線O1との交差点P1から底面部36に到る領域が、軸線O1を基準として、第二の逆止弁7と同一側に位置するものとされている。可動方向F1と軸線O1とのなす角度(交差角度)θ1は、0°超90°未満であり、10〜60°が好ましく、30〜45°がより好ましい。
【0018】
第二の逆止弁7は、有底筒状の第二のシリンダ70と、第二のシリンダ70内に上下可動に収納された球体である第二の弁体72とを備え、第二のシリンダ70の上端開口部76に流通パイプ5の下端50が嵌入されて、流通パイプ5の先端部に設けられたものである。第二のシリンダ70は、第二のシリンダ70内と容器本体3内とを連通する第二の連通孔74が形成され、底面部から上端開口部76に向かうに従い縮径する形状とされたものである。第二のシリンダ70は、流通パイプ5との接続部分近傍の内径が、第二の弁体72の直径よりも小さいものとされている。
本実施形態において、第二の弁体72は、可動方向F2で移動し、可動方向F2は、軸線O1と略平行とされている。
【0019】
容器本体3は、手指で押圧した際に、胴部34が変形する程度の可撓性を有し、かつ手指での押圧を解除した際、押圧前の形状に復元できるものであればよい。
容器本体3の材質は、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等、従来、スクイズタイプの容器に用いられる樹脂が挙げられる。
加えて、容器本体3は、外面から内部を視認できるような透明又は半透明の材質であるか、あるいは第二の逆止弁7の位置を示す表示等が外面に形成されているものが好ましい。第二の逆止弁7の位置を認識できるようにすることで、水平状態における液体用吐出容器1の姿勢を適切なものとできる。
【0020】
吐出体2の材質は、特に限定されず、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等の樹脂が挙げられる。
【0021】
流通パイプ5の材質は、特に限定されず、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等の樹脂が挙げられる。
【0022】
第一のシリンダ60は、連結部4と一体成形されたものであってもよいし、連結部4と別部材とされていてもよい。
第一のシリンダ60の材質は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等の樹脂が挙げられる。
第一の弁体62は、容器本体3に収納する内容液の比重よりも大きな比重の材質であれば特に限定されず、例えば、ステンレス等の金属、樹脂に金属粉を混合して成形したもの等が挙げられる。
【0023】
第二のシリンダ70の材質は、第一のシリンダ60の材質と同様である。
第二の弁体72の材質は、第一の弁体62の材質と同様である。
【0024】
液体用吐出容器1に収納される内容液としては、例えば、浴室、トイレ、排水管等の洗浄に用いられる液体洗浄剤、液体の機械油等が挙げられる。内容液の物性は、用途に応じて決定でき、塗布対象に付着滞留し、かつ胴部34を手指で押圧した際に、容易に吐出孔20から吐出できるものとされる。例えば、内容液は、25℃における粘度が、好ましくは10〜500mPa・s、より好ましくは10〜100mPa・sである。
【0025】
次に、本実施形態の液体用吐出容器1の使用方法を図1〜4を用いて説明する。図2は、正立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器1の断面図であり、図3は、倒立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器1の断面図である。図4は、容器本体3の軸線O1を水平として(水平状態)内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器1の断面図である。
【0026】
まず、吐出体2を開口部30から外し、吐出ユニット10を容器本体3内から取り出す。次いで、容器本体3内に、任意の量の内容液を収納し、吐出ユニット10を容器本体3内に位置させ、吐出体2を開口部30に嵌合する。こうして、液体用吐出容器1は、容器本体3に液体洗浄剤を収納した容器入り液体洗浄剤、容器本体3に機械油を収納した容器入り機械油を製造できる。
【0027】
図2を用いて、正立状態での液体用吐出容器1の使用方法を説明する。内容液90を収納した液体用吐出容器1を正立状態にすると、第一の弁体62は、第一のシリンダ60と連絡部66との接続部分を塞ぎ、第一のシリンダ60から吐出経路40への流路を閉じる。即ち、第一の逆止弁6は、閉状態となる。一方、第二の弁体72は、第二のシリンダ70の内底面に接して位置し、第二のシリンダ70から流通パイプ5への流路を確保する。即ち、第二の逆止弁7は、開状態となる。
【0028】
正立状態の液体用吐出容器1の胴部34を押圧して、容器本体3内の体積を減少させると、内容液90は、第二の連通孔74から第二のシリンダ70内に流入し、流通パイプ5の下端50から流通パイプ5内と、吐出経路40とを順に通流し、吐出孔20から吐出される。この際、第一の逆止弁6が閉状態であるため、第一の連通孔64から第一のシリンダ60内に流入した気体(空気)は、第一の弁体62を第一のシリンダ60と連絡部66との接続部分に押し付けるように作用する。そして、第一の弁体62は、第一のシリンダ60内に流入した空気が吐出経路40へ流入するのを防止する。こうして、本実施形態の液体用吐出容器1は、吐出経路40で内容液90と空気とが混在するのを防止し、正立状態で内容液90のみを吐出孔20から吐出できる。
【0029】
図3を用いて、倒立状態での液体用吐出容器1の使用方法を説明する。内容液90を収納した液体用吐出容器1を倒立状態にすると、第一の弁体62は、第一のシリンダ60から連絡部66への流路を確保する。即ち、第一の逆止弁6は、開状態となる。一方、第二の弁体72は、第二のシリンダ70における上端開口部76側に位置し、第二のシリンダ70から流通パイプ5への流路を塞ぐ。即ち、第二の逆止弁7は、閉状態となる。
【0030】
倒立状態の液体用吐出容器1の胴部34を押圧して、容器本体3内の体積を減少させると、内容液90は、第一の連通孔64から第一のシリンダ60内に流入し、連絡部66と吐出経路40とを順に通流して、吐出孔20から吐出される。この際、第二の逆止弁7が閉状態であるため、第二の連通孔74から第二のシリンダ70内に流入した空気は、第二の弁体72を第二のシリンダ70の上端開口部76方向に押し付けるように作用する。そして、第二の弁体72は、第二のシリンダ70内に流入した空気が、流通パイプ5を通流し、吐出経路40内に流入するのを防止する。こうして、本実施形態の液体用吐出容器1は、吐出経路40で内容液90と空気とが混在するのを防止し、倒立状態で内容液90のみを吐出孔20から吐出できる。
【0031】
図4を用いて、水平状態での液体用吐出容器1の使用方法を説明する。図4に示すように、内容液90を収納した液体用吐出容器1を、第二の逆止弁7が軸線O1の下方となるように水平状態とする。
ここで、第一の弁体62の可動方向F1は、軸線O1と交差し、かつ交差点P1から底面部36に到る領域が、軸線O1を基準として第二の逆止弁7と同一側に位置している。このため、液体用吐出容器1を水平状態にすると、第一の弁体62の可動方向F1は、開口部30から底面部36に向かうに従い、鉛直方向下方に傾斜することとなる。そして、第一の弁体62は、その可動方向F1に従って移動し、第一の逆止弁6を閉状態とする。一方、第二の弁体72は、その可動方向F2が軸線O1と略平行であるため、液体用吐出容器1を水平状態にしても、第二のシリンダ70と流通パイプ5との流路を塞がない。即ち、第二の逆止弁7は、開状態である。
【0032】
水平状態の液体用吐出容器1の胴部34を押圧して、容器本体3内の体積を減少させると、内容液90は、第二の連通孔74から第二のシリンダ70内に流入し、流通パイプ5の下端50から流通パイプ5内と、吐出経路40とを順に通流し、吐出孔20から吐出される。この際、第一の逆止弁6が閉状態であるため、第一の連通孔64から第一のシリンダ60内に流入した空気は、第一の弁体62を第一のシリンダ60と連絡部66との接続部分に押し付けるように作用する。そして、第一の弁体62は、第一のシリンダ60内に流入した空気が吐出経路40へ流入するのを防止する。こうして、本実施形態の液体用吐出容器1は、吐出経路40で内容液90と空気とが混在するのを防止し、水平状態で内容液90のみを吐出孔20から吐出できる。
【0033】
従来の液体用吐出容器は、正立状態又は倒立状態のいずれの姿勢でも内容液を吐出できるものの、水平状態の姿勢で内容液を吐出できなかった。このような従来の液体用吐出容器について、図5〜7を用いて説明する。なお、本発明の一実施形態にかかる液体用吐出容器1と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0034】
図5に示す液体用吐出容器900は、液体用吐出容器1の吐出ユニット10に換えて、吐出ユニット910を設けたものであり、吐出ユニット910は、連結部4と、流通パイプ905と、第一の逆止弁906と、第二の逆止弁7とで構成されたものである。
容器本体3内には、吐出体2に接続された連結部4が設けられ、連結部4の下端には、底面部36に向かって伸びる流通パイプ905が接続されている。流通パイプ905には、連結部4との接続位置近傍に、第一の逆止弁906が設けられ、先端部分に第二の逆止弁7が設けられている。第二の逆止弁7は、容器本体3の内底面に近接し、かつ軸線O1の近傍、即ち底部36の中央近傍に位置するものとされている。
【0035】
第一の逆止弁906は、流通パイプ905の上端から略水平に突出した筒状体である連絡部66と、連絡部66の突端から略垂直に立ち上がる第一のシリンダ960と、第一のシリンダ960内に上下可動に収納された球体である第一の弁体62とを備えるものである。第一のシリンダ960は、第一のシリンダ960内と容器本体3内とを連通する第一の連通孔64が形成され、開口部30から底面部36に向かい縮径する形状とされたものである。そして、第一のシリンダ960は、連絡部66との接続部分の内径が、第一の弁体62の直径よりも小さいものとされている。
また、第一の弁体62の可動方向f1は、軸線O1と略平行とされている。即ち、第一の弁体62の可動方向f1と、第二の弁体72の可動方向F2とは略平行とされている。
第二の逆止弁7は、第二のシリンダ70の上端開口部76に流通パイプ905の下端950が嵌入されて、流通パイプ905の先端部に設けられたものである。
【0036】
次に、液体用吐出容器900の使用方法を説明する。
図5に示すように、内容液90を収納した液体用吐出容器900を正立状態にすると、第一の逆止弁906は、閉状態となり、第二の逆止弁7は、開状態となる。
【0037】
正立状態の液体用吐出容器900の胴部34を押圧すると、内容液90は、第二の連通孔74から第二のシリンダ70内に流入し、流通パイプ905の下端950から流通パイプ905内と、吐出経路40とを順に通流し、吐出孔20から吐出される。この際、第一の弁体62は、第一のシリンダ960内に流入した空気が吐出経路40へ流入するのを防止する。こうして、液体用吐出容器900は、正立状態で内容液90のみを吐出孔20から吐出できる。
【0038】
図6に示すように、内容液90を収納した液体用吐出容器900を倒立状態にすると、第一の逆止弁906は、開状態となり、第二の逆止弁7は、閉状態となる。
【0039】
倒立状態の液体用吐出容器900の胴部34を押圧して、容器本体3内の体積を減少させると、内容液90は、第一の連通孔64から第一のシリンダ960内に流入し、連絡部66と吐出経路40とを順に通流して、吐出孔20から吐出される。この際、第二の弁体72は、第二のシリンダ70内に流入した空気が、流通パイプ5を通流し、吐出経路40内に流入するのを防止する。こうして、液体用吐出容器900は、正立状態で内容液90のみを吐出孔20から吐出できる。
【0040】
図7に示すように内容液90を収納した液体用吐出容器900を水平状態にすると、第一の弁体62は、可動方向f1が軸O1と略平行、即ち略水平であるため、第一の逆止弁906を閉状態にできない。加えて、第二の弁体72は、可動方向F2が軸線O1と略平行、即ち略水平であるため、第二の逆止弁7を閉状態にできない。即ち、水平状態において、第一の逆止弁906及び第二の逆止弁7は、共に開状態となる。
【0041】
水平状態とした液体用吐出容器900は、第一の連通孔64から第一のシリンダ960に内容液90及び空気が流入すると共に、第二の連通孔74から第二のシリンダ70に空気が流入し、吐出ユニット910内に多量の空気が存在した状態となる。この状態で液体用吐出容器900の胴部34を押圧すると、第一の連通孔64及び第二の連通孔74から吐出ユニット910内に空気が優先して流入するため、吐出孔20から空気を優先的に吐出し、内容液90を吐出できない。
【0042】
このように、従来の液体用吐出容器900は、正立状態及び倒立状態で内容液90を吐出できるものの、水平状態で内容液90を吐出できなかった。
【0043】
上述したように、本実施形態の液体用吐出容器によれば、吐出孔の吐出経路に流通パイプが接続され、流通パイプと吐出流路との接続位置近傍に第一の逆止弁が設けられ、流通パイプの先端部分に第二の逆止弁が設けられているため、正立状態及び倒立状態のいずれの姿勢でも内容液を吐出できる。
加えて、本実施形態の液体用吐出容器によれば、第二の逆止弁は、容器本体の内底面に近接かつ内側面に近接して位置され、第二の弁体が容器本体の軸線と略平行に可動とされ、第一の逆止弁は、第一の弁体の可動方向が軸線と交差するものとされ、第一の弁体の可動方向は、前記の交差する部分から内底面に到る領域が、軸線を基準として、第二の逆止弁と同一側に位置するため、水平状態でも、内容液を吐出することができる。
【0044】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、第一の弁体が球体とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第一の弁体が円柱体、角柱体等とされていてもよい。ただし、第一の逆止弁の開閉を円滑に行う点から、第一の弁体は球体が好ましい。
また、上述の実施形態では、第二の弁体が球体とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第二の弁体が円柱体、角柱体等とされていてもよい。ただし、第二の逆止弁の開閉を円滑に行う点から、第二の弁体は球体が好ましい。
【0045】
上述の実施形態では、本発明の吐出ユニットをスクイズタイプの容器に適用したものであるが、本発明はこれに限定されず、例えば、吐出ユニットをエアゾールタイプの容器又はトリガースプレータイプの容器に適用したものであってもよい。即ち、吐出体を、ノズルと噴射釦とを備えるエアゾール用の噴射装置としてもよいし、トリガーポンプを備えたトリガースプレー用の噴射装置としてもよい。
エアゾールタイプの容器は、圧縮ガスにより内容液を加圧して吐出するため、水平状態でも内容液を吐出できる場合がある。また、トリガースプレータイプの容器は、ポンプ機構により内容液を吸い上げるため、水平状態でも内容液を吐出できる場合がある。
ただし、エアゾールタイプの容器又はトリガースプレータイプの容器を水平状態とし、内容液の吐出を試みると、吐出経路に空気が流入する場合がある。
本発明を適用することで、エアゾールタイプの容器又はトリガースプレータイプの容器においても、水平状態で内容液を良好に吐出できる。
なお、本発明は、上述のスクイズタイプの容器のように、内容液を加圧する機構や、内容液を吸い上げる機構を備えていない容器において、その効果が顕著に発揮される。
【0046】
上述の実施形態では、流通パイプが吐出経路に直結されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第一のシリンダと流通パイプとが直結され、流通パイプの上端から突出した連絡部によって、流通パイプと吐出経路とが接続されていてもよい。具体的には、図1において、第一のシリンダ60と連絡部66との接続部分の鉛直方向下方に、流通パイプ5が接続された形態である。
ただし、正立状態又は水平状態で内容液を吐出する際、流通パイプを通流した内容液が第一の弁体を押し上げたりしないように、流通パイプは吐出経路と直結されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
1 液体用吐出容器
2 吐出体
3 容器本体
5 流通パイプ
6 第一の逆止弁
7 第二の逆止弁
20 吐出孔
30 開口部
34 胴部
36 底面部
40 吐出経路
60 第一のシリンダ
62 第一の弁体
70 第二のシリンダ
72 第二の弁体
90 内容液
F1、F2 可動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正立状態にて上端に開口部を有し、内容液を収納する有底筒状の容器本体と、前記開口部に設けられ、内容液を吐出する吐出孔が形成された吐出体とを備え、前記容器本体内には、前記吐出孔の吐出経路に接続され、前記容器本体の内底面に向かって伸びる流通パイプが設けられ、該流通パイプには、前記吐出孔の吐出経路との接続位置近傍に、第一のシリンダ及び該第一のシリンダに上下可動に収納された第一の弁体を備える第一の逆止弁が設けられると共に、先端部分に、第二のシリンダ及び該第二のシリンダに上下可動に収納された第二の弁体を備える第二の逆止弁が設けられ、正立状態の時、第一の逆止弁が閉状態、第二の逆止弁が開状態となり、前記開口部を下方とした倒立状態の時、第一の逆止弁が開状態、第二の逆止弁が閉状態となる液体用吐出容器において、
前記第二の逆止弁は、前記容器本体の内底面に近接かつ内側面に近接して位置され、前記第二の弁体が前記容器本体の軸線と略平行に可動とされ、
前記第一の逆止弁は、前記第一の弁体の可動方向が前記軸線と交差するものとされ、
前記第一の弁体の可動方向は、前記交差する部分から前記内底面に到る領域が、前記軸線を基準として、前記第二の逆止弁と同一側に位置することを特徴とする液体用吐出容器。
【請求項2】
前記第一の弁体及び前記第二の弁体は、球体であることを特徴とする、請求項1に記載の液体用吐出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されたことを特徴とする容器入り液体洗浄剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−106757(P2012−106757A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256092(P2010−256092)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】