説明

液体用吐出容器及び容器入り液体洗浄剤

【課題】正立状態又は倒立状態のいずれにおいても、安定して内容液を吐出できる液体用吐出容器を提供する。
【解決手段】吐出流路に連通する外筒体4と、外筒体4に上下可動に収納された弁体6とを備え、外筒体4は、同軸的に連通する外筒上部40及び外筒上部40よりも小さい内径の外筒下部44からなり、外筒上部40を貫通する外筒貫通孔41が形成され、弁体6は、同軸的に連通する略筒状の弁体上部60及び弁体上部60よりも小さい外径の略筒状の弁体下部64からなり、弁体上部60を貫通する弁体貫通孔61が形成され、正立状態の時には、弁体段差部62が外筒段差部42に当接すると共に、弁体貫通孔61が外筒貫通孔41とずれて位置し、弁体6が外筒貫通孔41を閉じ、倒立状態の時には、弁体6が自重により下降すると共に、外筒貫通孔41を開くことよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用吐出容器及び容器入り液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体洗浄剤、除草剤、殺虫剤、機械油等の液体を内容液として収容し、内容液を塗布対象に吐出する容器が知られている。
例えば、トイレ用、排水管用、浴室用等の液体洗浄剤や、除草剤、機械油等、狭い範囲に塗布する用途には、容器の胴部を持ち手で押圧して、吐出孔から内容液を吐出するスクイズタイプの容器が用いられる。このスクイズタイプの容器は、内容液を収容する容器本体と、容器本体の開口部に設けられ、吐出孔が形成されたノズルとを備えるものが一般に知られている。
一方、ガラス用、家具用等の液体洗浄剤や殺虫剤等、広い範囲に塗布する用途には、トリガースプレータイプの容器やエアゾールタイプの容器が用いられる。
【0003】
スクイズタイプの容器は、ノズルの頂部に吐出孔が形成されている。このため、スクイズタイプの容器は、吐出孔が下方に向けられた状態、即ち容器本体の開口部が下方に向けられた状態(倒立状態)とされ、容器本体の胴部が押圧されることで内容液を吐出する。
一方、スクイズタイプの容器は、吐出孔が上方に向けられた状態、即ち、容器本体の開口部が上方に向けられた状態(正立状態)で内容液を吐出できなかった。
【0004】
また、トリガースプレータイプの容器は、容器本体内に垂下されたディップチューブにより内容液を吸い上げるため、正立状態で内容液を吐出できるものの、倒立状態で内容液を吐出できなかった。エアゾールタイプの容器は、内容液を吐出するバルブが上方に位置する正立状態で内容液を吐出できるものの、倒立状態にされると、噴射剤のみが吐出され、内容液を吐出できなかった。
【0005】
こうした問題に対し、容器の姿勢に応じて内容液の流路を制御し、正立状態又は倒立状態のいずれでも内容液を吐出できる吐出容器が提案されている。
例えば、吸入パイプの側面に噴射パイプを設け、吸入パイプの両端に、吸入口と該吸入口の外側の側面に水取り口を形成し、吸入パイプの両端の中に吸入弁を設けた容器が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、外筒部材と、外筒部材の中に収容された状態で上下方向に移動可能なピストン部材とからなる通路切替弁を設けたディスペンサーが提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−237647号公報
【特許文献2】特開平10−324358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、正立状態、倒立状態のいずれにおいても内容液を吐出できるものの、吐出時に、容器に振動が加わったりすると、閉状態の逆止弁における弁体の状態が不安定になり、良好に吐出できない場合があった。
また、特許文献2の技術をスクイズタイプの容器に単に適用しても、前述の吐出の不具合を解消できない。
そこで、本発明は、正立状態又は倒立状態のいずれにおいても、安定して内容液を吐出できる液体用吐出容器を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体用吐出容器は、正立状態で上端が本体開口部とされ、内容液を収納する有底筒状の容器本体と、前記本体開口部に設けられ、内容液を吐出する吐出孔が形成された吐出体とを備え、前記容器本体内には、前記吐出孔の吐出経路に接続され、前記吐出経路への内容液の流入を制御する制御体と、該制御体の下端から前記容器本体の内底面に向けて伸びる通流パイプとが設けられた液体用吐出容器において、前記制御体は、前記吐出流路に連通する外筒体と、該外筒体に上下可動に収納された弁体とを備え、前記外筒体は、同軸的に連通する外筒上部及び該外筒上部よりも小さい内径の外筒下部からなり、前記外筒上部と前記外筒下部との間に外筒段差部が形成されると共に、前記吐出経路との接続部の近傍に前記外筒上部を貫通する外筒貫通孔が形成され、前記弁体は、上端及び下端が開口し、同軸的に連通する略筒状の弁体上部及び該弁体上部よりも小さい外径の略筒状の弁体下部からなり、前記弁体上部と前記弁体下部との間に弁体段差部が形成されると共に、前記弁体上部を貫通する弁体貫通孔が形成され、正立状態の時には、前記弁体段差部が前記外筒段差部に当接すると共に、前記弁体貫通孔が前記外筒貫通孔とずれて位置し、前記弁体が前記外筒貫通孔を閉じ、内容液が通流パイプから前記制御体内を経て前記吐出経路に通流する流路が形成され、前記本体開口部を下方とした倒立状態の時には、前記弁体が自重により下降すると共に、前記外筒貫通孔を開き、内容液が前記外筒貫通孔から前記弁体貫通孔と前記弁体内とを経て前記吐出流路に通流する流路が形成されることを特徴とする。
前記外筒上部は、上端に向かうに従い内径が拡径する内径拡径部が形成されると共に、該内径拡径部に前記外筒貫通孔が形成され、前記弁体上部は、上端に向かうに従い外径が拡径する外径拡径部が前記弁体貫通孔の上方に形成されていることが好ましく、前記制御体は、前記通流パイプとの接続部における開口面積が、前記吐出孔の開口面積よりも大きいことが好ましい。
【0009】
本発明の容器入り液体洗浄剤は、本発明の前記液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体用吐出容器によれば、容器本体内に制御体が設けられ、該制御体は、吐出経路に連通する外筒体と、該外筒体に上下可動に収納された弁体とを備え、前記外筒体は、同軸的に連通する外筒上部及び該外筒上部よりも小さい内径の外筒下部からなり、前記外筒上部と前記外筒下部との間に外筒段差部が形成されると共に、前記外筒上部を貫通する外筒貫通孔が形成され、前記弁体は、上端及び下端が開口し、同軸的に連通する略筒状の弁体上部及び該弁体上部よりも小さい外径の略筒状の弁体下部からなり、前記弁体上部と前記弁体下部との間に弁体段差部が形成されると共に、前記弁体上部を貫通する弁体貫通孔が形成され、正立状態の時には、内容液が通流パイプから前記制御体内を経て前記吐出経路に通流する流路が形成され、倒立状態の時には、前記弁体が自重により下降し、内容液が前記外筒貫通孔から前記弁体貫通孔と前記弁体内とを経て前記吐出流路に通流する流路が形成されるため、正立状態又は倒立状態のいずれにおいても、安定して内容液を吐出できる。
本発明の液体用吐出容器によれば、前記外筒上部は、上端に向かうに従い内径が拡径する内径拡径部が形成されると共に、該内径拡径部に前記外筒貫通孔が形成され、前記弁体上部は、上端に向かうに従い外径が拡径する外径拡径部が前記弁体貫通孔の上方に形成されているため、正立状態において、より安定して内容液を吐出できる。
本発明の液体用吐出容器によれば、前記制御体は、前記通流パイプとの接続部における開口面積が、前記吐出孔の開口面積よりも大きいため、正立状態において、より安定して内容液を吐出できる。
【0011】
本発明の容器入り液体洗浄剤によれば、本発明の前記液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されているため、正立状態又は倒立状態のいずれにおいても液体洗浄剤を吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器1の断面図である。液体用吐出容器1は、吐出体2と、内容液を収納する容器本体3とを備えるスクイズタイプの容器である。図中、符号O1は、本体開口部30の中心を通り、かつ本体開口部30から底面部36に向かう、容器本体の軸線(本体軸線)を示す。
【0014】
容器本体3は、底面部36の周縁から立設された胴部34と、胴部34の上方に延設された略円筒状の口部32とを備え、口部32の上端を周縁とする本体開口部30を有する、有底筒状のものである。図1において、液体用吐出容器1は、本体開口部30が鉛直方向上方に位置する正立状態とされている。
【0015】
吐出体2は、本体開口部30を塞ぐ円盤状の平板部22と、平板部22の周縁から下方に延設された略円筒状の下筒部24とを備えるものであり、平板部22の略中央には、内容液を容器本体3外に吐出する吐出孔20が形成されている。本実施形態において、吐出経路は、吐出孔20により構成されている。吐出孔20の大きさは、内容液の種類に応じて決定でき、例えば、φ0.5〜8mmとされる。
【0016】
容器本体3内には、吐出体2に接続された制御体10と、制御体10に接続され、容器本体3の底面部36の内面(本体内底面)に向かって伸びる通流パイプ8とが設けられている。
【0017】
制御体10は、吐出体2の内面に接続された外筒体4と、外筒体4の内部に上下可動に収納された弁体6とを備えるものである。「上下可動」とは、正立状態における上下方向を含む領域を可動することを意味する。
【0018】
外筒体4は、外筒上部40と、外筒段差部42と、外筒下部44と、外筒下端部46とを備え、上端(本体開口部30側)及び下端(底面部36側)が開口されたものである。外筒体4は、上端の開口部が平板部22により塞がれ、軸線が本体軸線O1と略一致するものとされている。
【0019】
外筒上部40は、吐出体2と接続され、内部が吐出孔20と連通する略円筒状のものであり、本体開口部30に向かうに従い内径が拡径する、内径拡径部48が形成されたものである。内径拡径部48には、外筒上部40を貫通する外筒貫通孔41が形成されている。
【0020】
外筒下部44は、外筒上部40と同軸的に連通する略円筒状のものであり、本体開口部30から本体内底面に向かう方向にかけて、内径が略同等とされたものである。外筒下部44の内径は、外筒上部40の内径よりも小さいものとされている。
【0021】
外筒段差部42は、外筒上部40と外筒下部44とを連結するものであり、外筒下部44から外筒上部40に向かうに従い内径及び外径が拡径する形状とされている。
【0022】
外筒下端部46は、外筒下部44の下端から本体内底面に向かって伸びる略円筒状のものであり、外筒下端部46には通流パイプ8が接続されている。制御体10において、通流パイプ8との接続部12の開口面積、即ち外筒下部44の下端の開口面積が、吐出孔20の開口面積よりも大きいものとされている。
【0023】
通流パイプ8は、略円筒状のものであり、その先端80が本体内底面に近接するものとされている。
【0024】
弁体6は、弁体上部60と弁体段差部62と弁体下部64とを備え、上端(本体開口部30側)及び下端(底面部36側)が開口されたものである。弁体6は、軸線が本体軸線O1と略一致するものとされている。
【0025】
弁体上部60は、略円筒状のものであり、弁体上部60を貫通する弁体貫通孔61が形成されたものである。弁体貫通孔61は、正立状態の時、外筒貫通孔41とずれて位置するように形成されている。弁体上部60には、本体開口部30に向かうに従い外径が拡径する外径拡径部68が、弁体貫通孔61の上方、即ち本体開口部30側に形成されている。外径拡径部68の外面の形状は、内径拡径部48の内面の形状に対応する形状であり、正立状態の時、外径拡径部68の外面と内径拡径部48の内面とが当接する。本実施形態において、外径拡径部68は、本体開口部30に向かうに従い内径が拡径する形状とされている。
【0026】
弁体下部64は、弁体上部60と同軸的に連通する略円筒状のものであり、本体開口部30から本体内底面に向かう方向にかけて、外径及び内径が略同等とされたものである。弁体下部64の外径は、弁体上部60の外径よりも小さいものとされ、外筒下部44の内面に摺動可能な大きさとされている。
【0027】
弁体段差部62は、弁体上部60と弁体下部64とを連結するものであり、弁体下部64から弁体上部60に向かうに従い外径及び内径が拡径する形状とされている。弁体段差部62の外面の形状は、外筒段差部42の内面の形状に対応する形状であり、正立状態の時、弁体段差部62の外面と外筒段差部42の内面とが当接する。
【0028】
外筒体4の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、塩化ビニル等の樹脂が挙げられる。
【0029】
弁体6は、容器本体3に収納する内容液の比重を勘案して決定できる。例えば、ステンレス等の金属、金属粉を混合した樹脂等、内容液の比重よりも大きい比重の材質で成形したものが挙げられる。金属粉を混合した樹脂としては、タングステン入りのナイロン(MC312K081、株式会社カネカ製)等が挙げられる。
あるいは、図2に示す弁体6aのように、樹脂で成形した弁体下部64a内にステンレス製等の金属筒70を設けたものでもよい。
【0030】
容器本体3は、手指で押圧した際に、胴部34が変形する程度の可撓性を有し、かつ手指での押圧を解除した際、押圧前の形状に復元できるものであればよい。
容器本体3の材質は、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等、従来、スクイズタイプの容器に用いられる樹脂が挙げられる。
【0031】
吐出体2の材質は、特に限定されず、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等の樹脂が挙げられる。
【0032】
吸入パイプ8の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等の樹脂、ステンレス等の金属等が挙げられる。
【0033】
液体用吐出容器1に収納される内容液としては、例えば、浴室、トイレ、排水管等の洗浄に用いられる液体洗浄剤、液体の機械油等が挙げられる。内容液の物性は、用途に応じて決定でき、塗布対象に付着滞留し、かつ胴部34を手指で押圧した際に、容易に吐出孔20から吐出できるものとされる。例えば、内容液は、25℃における粘度が、好ましくは10〜500mPa・s、より好ましくは10〜100mPa・sである。
【0034】
次に、本実施形態の液体用吐出容器1の使用方法を説明する。
まず、吐出体2を口部32から外し、制御体10と制御体10に接続された通流パイプ8とを容器本体3内から取り出す。次いで、容器本体3内に、任意の量の内容液を収納し、通流パイプ8が接続された制御体10を容器本体3内に位置させ、吐出体2を口部32に装着する。こうして、液体用吐出容器1に液体洗浄剤を収納した容器入り液体洗浄剤、液体用吐出容器1に機械油を収納した容器入り機械油を製造できる。
【0035】
図3〜4を用いて、正立状態での液体用吐出容器1の使用方法を説明する。図3は、正立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器1の断面図である。図4は、正立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器1の部分断面図である。
正立状態の液体用吐出容器1の胴部34を押圧して、容器本体3の体積を減少させると、内容液90は、矢印F1のように、通流パイプ8と制御体10内とを順に通流し、吐出孔20から吐出される(図3)。
内容液90が吐出される様子について、図4を用いて、操作手順に従って説明する。
【0036】
図4(a)に示すように、内容液を収納した液体用吐出容器1を正立状態にすると、弁体6が下降して、弁体段差部62の外面が外筒段差部42の内面に当接すると共に、外径拡径部68が内径拡径部48に当接して、弁体6が外筒貫通孔41を閉じる。この際、弁体貫通孔61は、外筒貫通孔41とずれて位置する。
そして、液体用吐出容器1には、図3に示す矢印F1のように、通流パイプ8の先端80から通流パイプ8内に内容液90を流入させ、次いで、弁体6内を経て吐出孔20に通流させる流路が形成される。一方、外筒貫通孔41が弁体6で閉じられているため、容器本体3内の気体(空気)は、制御体10内に流入できない。
【0037】
正立状態の液体用吐出容器1の胴部34を押圧して、容器本体3の体積を減少させると、図4(b)に示すように、内容液90が、通流パイプ8内を通流し、制御体10内に流入する。この際、内容液90は、制御体10内を上昇する力により、弁体6を本体開口部30側に押し上げるように作用する。
さらに、胴部34を押圧すると、図4(c)に示すように、制御体10内が内容液90で満たされる。この際、通流パイプ8から制御体10内に流入した内容液は、吐出体2の平板部22の内面に衝突して矢印F2の下降流を生じ、この下降流が弁体段差部62又は外径拡径部68に衝突して、弁体6を本体内底面側に押し下げるように作用する。
【0038】
そして、図4(d)に示すように、弁体段差部62の外面が外筒段差部42の内面に当接すると共に、外径拡径部68の外面が内径拡径部48の内面に当接して、弁体6が外筒貫通孔41を閉じる。また、弁体貫通孔61は、外筒貫通孔41とずれて位置する。
通流パイプ8内と制御体10内とを順に通流した内容液90は、吐出孔20から吐出される。この際、制御体10は、外筒貫通孔41が弁体6で閉じられているため、容器本体3内の空気が制御体10内に流入したり、外筒貫通孔41から内容液が漏出するのを防止する。このため、内容液90のみが吐出孔20から安定して吐出される。
【0039】
図5を用いて、倒立状態での液体用吐出容器1に使用方法を説明する。図5は、倒立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器1の断面図である。
内容液90を収納した液体用吐出容器1を倒立状態にすると、弁体6は、下降、即ち本体開口部30側に移動して、吐出体2の平板部22の内面に当接し、弁体段差部62の外面は、外筒段差部42の内面から離間する。加えて、外径拡径部68の外面が内径拡径部48の内面から離間して、外筒上部40と弁体上部60との間に空隙Sを形成すると共に、外筒貫通孔41を開く。本実施形態では、倒立状態において、外筒貫通孔41と弁体貫通孔61とが、水平方向において概略重なるものとされている。このため、倒立状態とした時、制御体10には、外筒貫通孔41と、空隙Sと、弁体貫通孔61とで、制御体10内外を連通する流路が形成される。
【0040】
倒立状態の液体用吐出容器1の胴部34を押圧して、容器本体3の体積を減少させると、内容液90は、矢印F3のように、外筒貫通孔41と空隙Sと弁体貫通孔61とを順に通流して制御体10内に流入し、次いで吐出孔20から吐出される。この際、通流パイプ8の先端80は、容器本体3内の空気相に露出されているものの、先端80から通流パイプ8内に流入した空気は、通流パイプ8内の内容液90を押圧するのみで、吐出孔20に至らない。このため、内容液90のみが吐出孔20から吐出される。
【0041】
本実施形態によれば、吐出流路に連通する外筒体と、外筒体に上下可動に収納された弁体とを備える制御体を備え、正立状態の時に、外筒体に形成された外筒貫通孔を弁体で閉じ、倒立状態の時に、外筒体に形成された外筒貫通孔が開かれるため、正立状態又は倒立状態のいずれの姿勢でも、内容液を吐出できる。
加えて、弁体には弁体段差部が形成されているため、正立状態で胴部を押圧すると、吐出体内部に衝突した内容液が下降流となって、弁体段差部に衝突して弁体を押し下げるように作用する。このため、正立状態において、安定して内容液を吐出できる。
【0042】
本実施形態によれば、弁体には外径拡径部が形成され、外筒体には内径拡径部が形成され、かつ内径拡径部に外筒貫通孔が形成されているため、正立状態において、外筒貫通孔の密閉性の向上が図れる。
【0043】
本実施形態によれば、制御体は、通流パイプとの接続部の開口面積が、吐出孔の開口面積よりも大きいため、内容液を吐出する際に、制御体内の圧力が高まり、内容液をより良好に吐出できる。特に、正立状態の時、通流パイプとの接続部の開口面積が、吐出孔の開口面積よりも大きいため、強い下降流が生じ、弁体をより容易に押し下げることができる。
【0044】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器について、以下に図面を参照して説明する。なお、第一の実施形態にかかる液体用吐出容器1と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図6は、本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器100を示す断面図である。液体用吐出容器100は、吐出体2と、内容液を収納する容器本体3とを備える、スクイズタイプの容器である。図6において、液体用吐出容器100は、本体開口部30が鉛直方向上方に位置する正立状態とされている。
【0045】
容器本体3内には、吐出体2に接続された制御体110と、制御体110に接続され、本体内底面に向かって伸びる通流パイプ108とが設けられている。
【0046】
制御体110は、吐出体2の内面に接続された外筒体104と、外筒体104の内部に上下可動に収納された弁体106とを備えるものである。
【0047】
外筒体104は、外筒上部40と、外筒段差部42と、外筒下部144とを備え、上端及び下端が開口されたものであり、上端の開口部が平板部22により塞がれている。外筒体104は、軸線が本体軸線O1と略一致するものとされている。
【0048】
外筒下部144は、外筒上部40と同軸的に連通する略円筒状のものであり、本体開口部30から本体内底面に向かう方向にかけて、内径が略同等とされたものである。外筒下部144の内径は、外筒上部40の内径よりも小さいものとされている。
【0049】
外筒段差部42は、外筒上部40と外筒下部144とを連結するものであり、外筒下部144から外筒上部40に向かうに従い内径及び外径が拡径する形状とされている。
【0050】
弁体106は、弁体上部60と、弁体段差部62と、弁体下部164とを備え、上端及び下端が開口されたものである。弁体106は、軸線が本体軸線O1と略一致ものとされている。
【0051】
弁体下部164は、弁体上部60と同軸的に連通する略円筒状のものであり、本体開口部30から本体内底面に向かう方向にかけて、外径が略同等とされたものである。弁体下部164の外径は、弁体上部60の外径よりも小さいものとされ、外筒下部144の内面に摺動可能な大きさとされている。弁体下部164には、通流パイプ108が接続されている。
制御体110において、通流パイプ108との接続部112の開口面積、即ち弁体下部164の下端の開口面積が、吐出孔20の開口面積よりも大きいものとされている。
【0052】
外筒体104の材質は、第一の実施形態における外筒体4の材質と同様である。弁体106の材質は、第一の実施形態における弁体6の材質と同様である。
【0053】
通流パイプ108は、特に限定されないが、例えば、ステンレス製のパイプや、金属粉を混合した樹脂等、内容液の比重よりも大きい比重の材質で成形したものが好ましい。
【0054】
本実施形態の液体用吐出容器100の使用方法を説明する。
図6に示すように、液体用吐出容器100を正立状態にすると、弁体106が下降して、弁体段差部62の外面が外筒段差部42の内面に当接すると共に、外径拡径部68が内径拡径部48に当接して、弁体106が外筒貫通孔41を閉じる。また、弁体貫通孔61は、外筒貫通孔41とずれて位置する。こうして、液体用吐出容器100には、通流パイプ108の先端180から通流パイプ108内に内容液を流入させ、次いで、弁体106内を経て吐出孔20に通流させる流路が形成される。一方、外筒貫通孔41が弁体106で閉じられている。
【0055】
正立状態の液体用吐出容器100の胴部34を押圧して、容器本体3の体積を減少させると、内容液は、通流パイプ108と制御体110内とを順に通流し、吐出孔20から吐出される。この際、弁体106は、通流パイプ108が接続されているため、通流パイプ108内を通流した内容液によって押し上げられにくい。
従って、内容液を吐出する際に、外径拡径部68の外面が内径拡径部48の内面から離間するのを防止し、内容液のみを安定して吐出できる。
【0056】
液体用吐出容器100を倒立状態にすると、弁体106が下降、即ち本体開口部30側に移動し、外筒貫通孔41を開く。
倒立状態の液体用吐出容器100の胴部34を押圧して、容器本体3の体積を減少させると、内容液は、外筒貫通孔41から制御体110内に流入し、次いで吐出孔20から吐出される。
【0057】
本実施形態の液体用吐出容器によれば、弁体に通流パイプが接続されているため、正立状態で内容液を吐出する際、内容液によって弁体が押し上げられにくい。このため、弁体による外筒貫通孔の密閉性が向上し、内容液のみをより安定して吐出できる。
【0058】
(その他の実施形態)
第一及び第二の実施形態では、外筒体が、略円筒状の外筒上部と略円筒状の外筒下部とを備えているが、本発明はこれに限定されず、外筒上部及び外筒下部が、略多角筒状とされていてもよい。
また、第一及び第二の実施形態では、同軸的に設けられた弁体上部及び弁体下部が略円筒状とされているが、本発明はこれに限定されず、弁体の形状は外筒体の形状に応じて決定できる。
【0059】
第一及び第二の実施形態では、外筒体に内径拡径部が形成されているが、本発明はこれに限定されず、外筒体は、内径拡径部を備えない形状、即ち、本体開口部から本体内底面に向かって、外筒上部の内径が略同等のものであってもよい。
また、第一及び第二の実施形態では、弁体に外径拡径部が形成されているが、本発明はこれに限定されない。弁体は、外筒体の内部形状に応じて決定でき、例えば、外径拡径部を備えない形状、即ち、本体開口部から本体内底面に向かって、弁体上部の内径が略同等のものであってもよい。
ただし、正立状態で内容液をより安定して吐出する観点から、制御体は、内径拡径部が形成された外筒体と外径拡径部が形成された弁体とで構成されていることが好ましい。
なお、内径拡径部を備えない外筒部と外径拡径部を備えない弁体とで制御体を構成する場合、倒立状態において、外筒貫通孔と弁体貫通孔とが重なるように、それぞれが形成されることを要する。
【0060】
第一及び第二の実施形態では、内径拡径部は、本体開口部に向かうに従い内径のみが拡径する形状とされているが、本発明は、これに限定されず、内径拡径部は、本体開口部に向かうに従い内径及び外径が拡径する形状であってもよい。
また、第一及び第二の実施形態では、外径拡径部は、本体開口部に向かうに従い内径及び外径が拡径する形状とされているが、本発明は、これに限定されず、外径拡径部は、本体開口部に向かうに従い外径のみが拡径する形状であってもよい。
【0061】
第一及び第二の実施形態では、外筒段差部が、外筒下部から外筒上部に向かうに従い内径及び外径が拡径する形状とされているが、本発明はこれに限定されず、外筒段差部は、外筒下部から外筒上部に向かうに従い内径のみが拡径する形状であってもよいし、正立状態において、水平方向に延設されたものであってもよい。
また、第一及び第二の実施形態では、弁体段差部が、弁体下部から弁体上部に向かうに従い内径及び外径が拡径する形状とされているが、本発明はこれに限定されず、弁体段差部は、弁体下部から弁体上部に向かうに従い外径のみが拡径する形状であってもよいし、正立状態において、水平方向に延設されたものであってもよい。
【0062】
第一及び第二の実施形態は、本発明の制御体をスクイズタイプの容器に適用したものであるが、本発明はこれに限定されず、例えば、制御体をエアゾールタイプの容器又はトリガースプレータイプの容器に適用したものであってもよい。即ち、吐出体を、ノズルと噴射釦とを備えるエアゾール用の噴射装置としてもよいし、トリガーポンプを備えたトリガースプレー用の噴射装置としてもよい。
エアゾールタイプの容器は、圧縮ガスにより内容液を加圧して吐出するため、正立状態又は倒立状態のいずれでも、内容液を吐出できる。また、トリガースプレータイプの容器は、ポンプ機構により内容液を吸い上げるため、正立状態又は倒立状態のいずれでも、内容液を吐出できる。
従来、エアゾールタイプの容器又はトリガースプレータイプの容器を正立状態とし、内容液の吐出を試みると、内容液によって弁体が押し上げられて吐出経路に空気が流入し、内容液を安定して吐出できない場合がある。
そこで、本発明を適用することで、エアゾールタイプの容器又はトリガースプレータイプの容器においても、正立状態で内容液をより良好に吐出できる。
なお、本発明は、上述のスクイズタイプの容器のように、内容液を加圧する機構や、内容液を吸い上げる機構を備えていない容器において、その効果が顕著に発揮される。
【符号の説明】
【0063】
1、100 液体用吐出容器
2 吐出体
3 容器本体
4、104 外筒体
6、106 弁体
8、108 通流パイプ
10、110 制御体
12、112 接続部
20 吐出孔
30 本体開口部
40 外筒上部
41 外筒貫通孔
42 外筒段差部
44、144 外筒下部
48 内径拡径部
60 弁体上部
61 弁体貫通孔
62 弁体段差部
64、164 弁体下部
68 外径拡径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正立状態で上端が本体開口部とされ、内容液を収納する有底筒状の容器本体と、前記本体開口部に設けられ、内容液を吐出する吐出孔が形成された吐出体とを備え、前記容器本体内には、前記吐出孔の吐出経路に接続され、前記吐出経路への内容液の流入を制御する制御体と、該制御体の下端から前記容器本体の内底面に向けて伸びる通流パイプとが設けられた液体用吐出容器において、
前記制御体は、前記吐出流路に連通する外筒体と、該外筒体に上下可動に収納された弁体とを備え、
前記外筒体は、同軸的に連通する外筒上部及び該外筒上部よりも小さい内径の外筒下部からなり、前記外筒上部と前記外筒下部との間に外筒段差部が形成されると共に、前記吐出経路との接続部の近傍に前記外筒上部を貫通する外筒貫通孔が形成され、
前記弁体は、上端及び下端が開口し、同軸的に連通する略筒状の弁体上部及び該弁体上部よりも小さい外径の略筒状の弁体下部からなり、前記弁体上部と前記弁体下部との間に弁体段差部が形成されると共に、前記弁体上部を貫通する弁体貫通孔が形成され、
正立状態の時には、前記弁体段差部が前記外筒段差部に当接すると共に、前記弁体貫通孔が前記外筒貫通孔とずれて位置し、前記弁体が前記外筒貫通孔を閉じ、内容液が通流パイプから前記制御体内を経て前記吐出経路に通流する流路が形成され、
前記本体開口部を下方とした倒立状態の時には、前記弁体が自重により下降すると共に、前記外筒貫通孔を開き、内容液が前記外筒貫通孔から前記弁体貫通孔と前記弁体内とを経て前記吐出流路に通流する流路が形成されることを特徴とする液体用吐出容器。
【請求項2】
前記外筒上部は、上端に向かうに従い内径が拡径する内径拡径部が形成されると共に、該内径拡径部に前記外筒貫通孔が形成され、
前記弁体上部は、上端に向かうに従い外径が拡径する外径拡径部が前記弁体貫通孔の上方に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の液体用吐出容器。
【請求項3】
前記制御体は、前記通流パイプとの接続部における開口面積が、前記吐出孔の開口面積よりも大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体用吐出容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されたことを特徴とする容器入り液体洗浄剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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