液体試料分割のための装置および方法
液体化試料を個別の容積に分割する装置(100)を提供する。装置(100)は、下部部材(110)と、下部部材(110)に隣接して配置される上部部材(112)とを含み、この下部部材(110)および上部部材(112)によって、少なくとも1つのチャネル部材(120)が少なくとも部分的に規定され、第1および第2端部を有する。少なくとも1つのチャネルの第1端部(118)は、液体を受容する開口を有し、少なくとも1つのチャネル部材の第2端部は、反応区画(122)および通気孔を有する。したがって、第1端部(118)に液体化試料が導入されると、毛管現象によって、液体化試料が第1端部から第2端部へと移動させられ、液体化試料の少なくとも一部が反応区画(122)内に残留させられる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2003年8月26日付米国仮出願番号60/497,767に基づく優先権を主張した2004年7月26日付米国出願番号10/899,217に基づく優先権を主張する。これらの出願内容は、すべて本明細書に参照によって組込まれる。
【0002】
背景
技術分野
本発明の開示内容は、試料中の生物学的物質の定量化方法、および定量化中、生物学的物質を分割して保持する装置に関する。
【0003】
先行技術の検討
微生物濃度の決定および計数は、水道、食品、化粧品、製薬業界など、様々な業界における微生物分析の根幹である。生物学的物質の検出および定量化の従来の方法は、半流動普通寒天培地(混釈平板法、メンブランフィルタ法など)または液体栄養培地(最確数法など)を使用して行われる。混釈平板法が行われる場合、微生物汚染に関する被験試料は、まずシャーレで調剤される。この試料の上から適切な栄養培地15mlが注入される。シャーレは、約20分間常温で放置されて固まると、特定の温度で特定の時間インキュベートされ、現れたコロニーが計数される。混釈平板法の欠点は、試料中に、計数するには小さすぎる、または相互に重なり合うことのあるバクテリアコロニーを含み、また計数を阻害する可能性もある粒子状物質を含むことである。メンブランフィルタ法は、所要容量の試料が微小な膜孔を有する薄膜によってろ過されて、バクテリアを特定することなく捕捉する。その後、薄膜は、調製された固形培地に置床され、これによって標的バクテリアの生殖が助けられる。この培地は、特定の温度で特定の時間インキュベートされ、出現したコロニーが計数される。メンブランフィルタ法の欠点として、試料(廃水試料など)中に含まれるバクテリア以外の粒子状物質が薄膜を使用不能にすること、およびバクテリアコロニーが小さすぎる、または相互に重なり合うことがあるので、その計数が困難であることが挙げられる。
【0004】
微生物の検出および定量化に関し、固形栄養培地を使用して微生物の生殖を助ける、改良された方法として、化学処理された特殊シャーレを使用するREADIGEL(登録商標)(3M
Microbiology Products, St. Paul, Minnesota)が挙げられる。試料は、成長培地に接種されて平板に注入される。試料/培地混合物は、平板に塗布された薬品と接触してから20分間凝固させられる。また、培地が塗布されて堆積している粘着テープ状の材料であるPETRIFILM(登録商標)(3M Microbiology Products, St. Paul, Minnesota)を使用してもよい。この構成によって、液体試料との接触時に加水分解してゲル化する成長培地の薄層が形成される。カバー片は、試料の接種を助けるとともにインキュベーション用のカバーとしての役割を果たす。これらの方法は、混釈平板法およびメンブランフィルタ法よりも実施が容易であるという点において改良されている。しかしながら、これらの方法には、上述の混釈平板法およびメンブランフィルタ法と同様の限界がある。
【0005】
最確数法(MPN)はよく知られており、たとえば、「Compendium of Methods for
the Microbiological Examination of Foods」第3版、1992年の第105頁目〜第199頁目に公開された、Reclesらによる「Most Probable Number Techniques」、およびGreenbergらによる「Standard Methods For the Examination of Water and
Wastewater」第8版、1992年に記載されている。
【0006】
MPN法を使用する微生物の定量化装置および方法は、商業上、利用可能である。
Quanti-Tray(登録商標)およびQuanti-Tray(登録商標)2000(IDEXX Corporation,
Westbrook, Maine)などの装置および方法は、飲料水、地表水、および廃水試料の微生物定量化に使用される。これらの試験の詳細は、Naquiらによる米国特許第5518892号明細書、米国特許第5620895号明細書、および米国特許第5753456号明細書に開示されている。これらの試験を実施するためには、インキュベーション時間の前に、試料/試薬を装置に加える工程、および別の封止装置によって装置を封止する工程が必要である。これらの方法および装置は、使用の容易性の観点から、従来の複数管発酵法を著しく改良するとともに、試料中の微生物の正確な定量化を可能にする。しかしながら、この型の装置は、試料/培地混合物を個々の各区画に分配する器具を必要とする場合があり、微好気的条件において、微生物個体群の計数に用いられる方が適切である。
【0007】
Croteauらは、米国特許第5700655号明細書、米国特許第5985594号明細書、および米国特許第6287797号明細書において、MPN法を使用した、試料中の生物学的物質の定量化方法および装置を記載している。この装置は、平らな水平インキュベート用平板を使用し、その表面は複数の窪んだウェルに分割されている。液体化試料/培地混合物は、装置の表面上に注がれ、軽く混合された後、液体化試料/培地混合物は、窪んだウェルに分配されて、表面張力によってそのウェルに保持される。その後、平板は、生物学的物質の有無が判断されるまで特定の温度で特定の時間インキュベートされる。Piersonらは、発明の名称が「溶液中の検体を同定するための分析装置およびその方法」である米国特許第6190878号明細書において、複数の窪んだウェルに分割された、水平で平坦な表面を使用する装置を開示している。その他は、試薬島を固定した1枚以上の表面を有する。各ウェル、複数のウェル、または試薬島は、表面張力によってウェルまたは試薬島内にアリコートを保持するような寸法、形状、および適切な材料で形成されている。これらの装置は、結果の解釈が容易であり、計数範囲が広くなるといった利点を有することによって、ゲルベースの微生物の計数方法を改良している。これらの方法および装置は、潜在的に複数の欠点を有する可能性がある。試料の接種は、試料の接種中にウェルに形成される気泡によって妨げられる可能性があり、ピペット工程が必要になる。
【0008】
概要
本発明は、液体化試料溶液中の生物学的物質、微生物、および検体の有無を検出して定量化する方法および装置に関する。本発明は、「毛細管流動」を利用する。液体化試料は、キャピラリチャネルによって個別の区画に分割されることが可能である。本発明は、手作業の時間を著しく短縮させ、熟練の検査技師によってアッセイの実施または説明がなされる必要のない装置および方法を提供することによって、先行技術の欠点を克服する。
【0009】
1つの特徴において、本発明は、水溶性生体試料または液体化生体試料を別個の区画に分割する、標的微生物を含まないインキュベーション装置を提供することによって、標的微生物の定量化方法を特徴付ける。この装置は、概して、試料ランディングエリア、少なくとも1つのキャピラリチャネル、機能的な毛細管流動を可能にする通気機構を有する少なくとも1つの窪んだ区画を含む。各キャピラリチャネルは、液体化試料を試料ランディングゾーンから窪んだ区画まで移動させるように構成されている。好ましくは、各チャネルは、毛細管流動の容易化に適した材料から成り、またはそのような材料で処理されるとともに、毛細管流動を容易にするように配置される。各区画は、生物学的物質の検出のために、試料/培地混合物のアリコートを保持するように設計される。
【0010】
この装置は、被験試料中の特異型の生物学的物質の存在またはその量を決定するために、特定の微生物培地と組合せて使用してもよい。微生物培地が使用されると、標的微生物の生殖が容易になり、その存在が示される。実施される試験によって、異なる培地の使用が可能であり、多様な標的微生物が検出される。被験培地の選択は、検出されるべき生物学的物質によって変わることになる。被験培地は、好ましくは、定量化が求められている生物学的物質の存在のみを検出し、試料中に存在し得る他の生物学的物質の存在は検出しない。また、この定量化が求められている生物学的物質が試料中に存在する場合、培地は、色変化または蛍光発光など、なんらかの可視的な変化、または可視的でなくともそれ相応の変化が生じることが好ましい。一般的に、標的微生物が存在しない場合、陽性反応は検出されない。たとえば、Townsendらによる米国特許第6387650号明細書および米国特許第6472167号明細書には、食品試料および水試料中のバクテリアを検出する培地が記載されている。また、Edbergの培地(米国特許第4925789号明細書、米国特許第5429933号明細書、および米国特許第5780259号明細書)、またはEdberg Defined Substrate Technology(登録商標)の培地に基づかない他の微生物培地を本発明の装置に使用して、大腸菌およびエシェリキア・コライ(Escherichia coli)の全体量を決定して定量化してもよい。また、Chenらによる米国特許第5620865号明細書に記載されている培地を使用し、本発明を用いて試料中の腸球菌を検出してもよい。
【0011】
好適な実施形態において、培地は、試料ランディングエリアに堆積する。液体化試料を接種する際、培地は、再構築され、試料と混合されて試料/培地混合物が形成され、毛細管流動によって、適合したキャピラリチャネルを通って窪んだ区画、つまり反応区画に分割される。また、培地は、キャピラリチャネルおよび/または窪んだ区画、つまり反応区画に堆積する。試料は、適合したキャピラリチャネルを介して分割され、培地と混合し、試料/培地混合物を形成する。その後、装置は、インキュベーションを行い、標的生物学的物質の検出を可能にする。窪んだ区画、つまり反応区画、すなわち区画には、複数の培地が含まれてもよく、それぞれの区画に、異なる培地、または異なる培地の多様な組合せが含まれてもよく、単一の装置で多数のアッセイが可能である。別の実施形態において、試料は、装置の試料ランディングエリアに接種される前に、培地と混合されて液体化試料/培地混合物を形成してもよく、毛細管流動によって、窪んだ区画つまり反応区画に分割される。
【0012】
好適な一実施形態において、装置は、射出成形技術によってプラスチック材料から構成されるが、他の手段によって構成されてもよい。好適な実施形態において、プラスチック材料はポリスチレンである。装置の好適な実施形態は、その形状が円形であるが、長方形、楕円形など、適切な幾何学的図形であってもよい。反応区画は、各区画の寸法がそれぞれ同一であり、所定の液量を保持可能な容量を有する。反応区画は、丸形でも滴型でも他の形状でもよい。キャピラリチャネルは、チャネル内の液体の毛管現象を高める毛細管流動向上コーティングを施されて構成されてもよい。特定の実施形態において、毛細管流動向上コーティングは、コロナ処理、またはチャネルの毛管現象を高める他の表面処理である。
【0013】
本開示内容の一側面によれば、液体化試料を個別の容積に分割する装置を提供する。この装置は、下部部材と、下部部材に隣接して配置される上部部材と、これら上部部材と下部部材との間に配置される少なくとも1つのチャネル部材とを含む。この少なくとも1つのチャネル部材は、上部部材および下部部材によって少なくとも部分的に規定され、第1および第2端部を有する。第1端部は、液体を受容する開口を有し、第2端部は、反応区画および関連する通気孔を有する。したがって、第1端部に液体化試料が導入されると、毛管現象によって、液体化試料が第1端部から第2端部へと移動させられ、液体化試料の少なくとも一部が反応区画内に残留させられる。
【0014】
実施形態において、装置の上部部材および下部部材は、液体化試料を受容する中央領域を有してよく、この中央領域から半径方向外方に複数のチャネル部材が延びる。したがって、液体化試料が中央領域に配置されると、試料は各部材に流入し、液体化試料部分が各チャネル部材の各反応区画に配置されることになる。
【0015】
望ましくは、少なくとも1つのチャネル部材は、液体の毛細管流動を高めるように処理される。より望ましくは、チャネル部材のみが液体の毛細管流動を高めるように処理される。
【0016】
上部部材および下部部材は、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエステル、またはPETGから成ることとする。
【0017】
一実施形態において、望ましくは、培地は装置の一部に配置される。より望ましくは、培地は各反応区画に配置される。培地は各チャネルおよび/または中央領域に配置されてもよい。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、プラスチックフィルムを2層以上積層して構成されたキャピラリチャネルおよび標的反応区画を有する装置を特徴とする。これらのプラスチックフィルムの少なくとも1以上の表面は親水性であり、液体化試料の毛細管流動を促進し、または容易にする。プラスチックフィルムの積層は、感圧型接着剤、加熱活性化接着剤、感圧型転写接着剤、または感熱型転写接着剤を使用して実現される。プラスチックフィルムおよび接着剤の層は、親水性の上部層と、少なくとも1つのキャピラリチャネルを有する疎水性のフレームと、プラスチック製の裏打ち層とを含む。好ましくは、親水性の上部層のプラスチック材料は、クリアポリスチレン、ポリエステル(PE)、ポリメチルペンテン(PMP)、またはPETG、または他のクリアプラスチック材料から選択される。キャピラリチャネルの少なくとも一部を形成する疎水性のフレーム層は、ポリスチレン、ポリエステル、PETG、または他の類似のポリマから選択された材料から成る。プラスチック製の裏打ち層は、親水性または疎水性のプラスチック層であってよく、好ましくは、ポリスチレン、ポリエステル(PE)、PETG、または他の材料から成る。
【0019】
この装置は、概して、試料ランディングゾーン、少なくとも1つのキャピラリチャネル、およびキャピラリチャネル内に位置付けられる、少なくとも1つの反応区画を含み、それぞれ毛細管流動を容易にする通気機構を有する。試料ランディングエリアの性質は、親水性または疎水性であってよい。好ましくは、その性質は疎水性であり、液体化試料または液体化試料/培地混合物をはじいてキャピラリチャネルに誘導し、さらにまた液体の逆流も防ぐ。各キャピラリチャネルは、液体試料を試料ランディングゾーンから反応区画へと分割するように構成されている。各区画は物質の検出のために、試料/培地混合物のアリコートを保持するように設計されている。
【0020】
別の実施形態において、この装置は、底部に過剰な液体または液体化試料/培地混合物を吸収する吸収剤パッドをさらに含んでよい。吸収剤材料は、ダイカット・ポリエステルフォーム、ポリエーテルフォーム、もしくは酢酸セルロース、または綿繊維であり、他の性質の吸収剤材料であってもよい。また、このような材料からなる吸収剤パッドは、装置カバーまたはプラスチックフィルムの上部層の上に載置され、過剰な液体または液体化試料/培地混合物を吸収し、加湿を助ける。
【0021】
さらに好適な実施形態において、プラスチックフィルムの層を保持して格納するために格納容器が提供される。好適な一実施形態において、プラスチックフィルムの層は、容器底部の内径上で少なくとも2本のリブによって、適所に堅固に保持される。別の実施形態において、格納容器は、整合する上半分および下半分からなり、プラスチックフィルムの層を保持して格納するために使用される。
【0022】
さらに別の好適な実施形態において、この装置は、格納容器の下半分に直接形作られる分配チャネルおよび窪んだウェルを伴って、射出成形技術によって構成される。プラスチックフィルムの一層が分配チャネルおよび窪んだウェルの上に積層されて、キャピラリチャネルおよび標的反応区画を形成する。プラスチックフィルムは、液体化試料の毛細管流動を促進または容易にするために、親水性であってもよい。プラスチックフィルムは、感圧型接着フィルムまたは加熱活性化接着フィルムから選択されてよい。また、キャピラリチャネルは、チャネル内の液体の毛管現象を高めるように構成されてもよい。このチャネルは、毛細管流動向上コーティングを施されてもよい。特定の実施形態において、毛細管流動向上コーティングは、コロナ処理、またはチャネルの毛管現象を高める他の表面処理である。好ましくは、上部層のプラスチック材料は、クリアポリスチレン、ポリエステル(PE)、ポリメチルペンテン(PMP)、またはPETG、または他のクリアプラスチック材料から選択される。格納容器の底部に直接形作られる疎水性フレーム層は、ポリスチレン、ポリエステル、PETG、または他の類似のポリマから選択された材料から成る。
【0023】
別の側面において、本発明は、被験試料中の1以上の標的検体または標的微生物を検出する方法であって、1)試料ランディングエリア内の標的生物学的物質の存在を検出可能な培地に被験試料を接触させ、2)毛細管流動によって、試料/培地混合物を少なくとも1つのキャピラリチャネルに通して、個別の反応区画に分割し、3)検知可能シグナルの発現を可能にする反応パラメータの作用を試験装置に受けさせ、4)標的検体または標的微生物の存在を決定し、その量を計数する方法を提供する。
【0024】
別の側面において、本発明は、被験試料中の1以上の標的検体または標的微生物を検出する方法であって、1)少なくとも1つの試料ランディングエリア、少なくとも1つのキャピラリチャネル、および標生物学的物質の存在を検出可能な1以上の培地が堆積した、少なくとも1つの反応区画を含む構成の装置を提供し、2)被験試料を装置の試料ランディングエリアに加え、3)毛細管流動によって、被験試料を少なくとも1つのキャピラリチャネルに通して、少なくとも1つの個別の反応区画に分割し、4)検知可能シグナルの発現を可能にする反応パラメータの作用を試験装置に受けさせ、5)標的検体または標的微生物の存在を決定し、その量を計数する方法を提供する。
【0025】
さらに別の側面において、本発明は、被験試料中の1以上の標的検体または標的微生物を検出する方法であって、1)標的検体または標的微生物の検出に適した被験培地を選択して被験試料と混合し、試液を作製し、2)1以上の試料ランディングエリア、実質的に微細な構造を有する少なくとも1つの分割チャネル、および試液の所定量を保持可能な、少なくとも1つの反応区画を含む装置を提供し、3)試液を反応区画に分割するに充分な時間をかけて、試液を装置に加え、4)標的検体および標的微生物の存在の検出、およびその計数を可能にする反応パラメータの作用を装置に受けさせる方法を提供する。別の実施形態において、前記提供する工程は、標的検体および標的微生物の存在およびその量を表す検知可能シグナルを生成する培地を含む(または試薬を使用する)同定手段をさらに含んでもよい。別の実施形態において、前記可能にする工程は、試薬の発現を充分可能にする反応パラメータの作用を装置に受けさせることを含んでもよい。同定を観察すること、もしくは標的検体または標的微生物の存在またはその量を決定する工程、もしくは標的検体または標的微生物の定量化工程などの別の工程を前記方法に加えてもよい。
【0026】
本明細書に開示する液体試料試験に関わる装置および方法の前述の利点および特徴は、添付の図面とともに下記の実施形態の詳細な説明を参照することによって、より簡単に明確となり、理解され易くなるであろう。
【0027】
好適な実施形態の詳細な説明
複数の図全体に渡って、同様の参照符号は類似または同一の要素を示している図面を具体的に詳細に参照し、以下の詳細な説明は、試験装置および方法の具体的な実施形態に焦点を当てる。本明細書で開示される装置および方法は、あらゆる用途に対する要望または必要に応じ、生物学的物質の定量化のための試験において使用されるように適合可能であると解されるべきである。したがって、本明細書に開示する装置および方法は、(1単位以上の物質が検出可能な場合)液体化試料中のあらゆる段階に示される、いかなる生物学的物質にも適用可能である。本明細書に使用される「液体化試料」は、液体であるあらゆる試料、または液体として作用するように処理されている試料などであるが、これらに限定されない。
【0028】
図1〜図5を参照して、MPN法に基づく定量化を実施するように具体的に構成された試験装置の一実施形態が、概してディスク・アセンブリ100として示されている。一般的に、本明細書に開示されている各試験装置の実施形態の動作は、毛管の流体力学に基づいており、液体試料を許容範囲内で、本明細書により詳細に記載される別々の標的区画に分割および分配することを手作業の外力を用いることなく達成する。最終結果は、MPN法に基づいて、生物学的物質の定量的検出のための二値信号を発生させる。
【0029】
ディスク・アセンブリ100は、その主要な構成部品として、基盤110、蓋112、およびキャップ114を含み、これらが組立てられて一体化したユニットを形成する。これらの各部品は、好ましくは、詳細を以下に後述するように、多数のディスク・アレンブリ100を相互に積重ねられるような、充分な構造上の強度を有する耐久性のある材料から成る。このような材料の例として、アクリルおよびポリスチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
基盤110は、基盤の底部から、その周囲に間隔を空けて、下方に向かって延びるように形成された一連の脚部116を含む。各ディスク100は、好ましくは、4本の脚部116を備える(図1および図2では3本のみが見られる)。しかしながら、脚部は、4本よりも多くても少なくても利用可能であると考えられる。各脚部116は、ディスク100を他のディスク100の平面上または上部に静置するとき、外方に張出して、安定性を付加してもよい。安定性の付加手段として、各脚部116は、図3のノッチまたは段付端部116aを含み、図2に示されるように、複数のディスク100を相互に積重ねることが容易になる。段付端部116aは、積重ねられたディスクの相互の側方運動を防止する。
【0031】
また、付加的な安定性が望まれる、またはそれを必要としている環境において、相互に隣接して積重ねられる部材の動作中の保持は、保持機構を介して提供されてもよい。これは、たとえば、移動体に使用する際、もしくは相互に隣接して積重ねられたディスク100にインデックスを付すことが必要である場合、またはそれが望まれる場合に実施される試験に役立つことがある。特に、1以上の培地が利用されて複数の試験を同時に実施する場合、ディスク・アセンブリ100にインデックスが付され、隣接して積重ねられたディスク・アセンブリ100のウェルの対応する培地を揃えることができる。隣接して積重ねられるディスク・アセンブリ100にインデックスを付すことを容易にするために、各ディスク・アセンブリ100に印(図示せず)を付けて、適切にディスクの位置を相互に合わせる。また、保持機構は、隣接するディスク・アセンブリの積重ねが、積重ねられたディスク・アセンブリ100の一方向にのみ可能であるように形成されてもよい。
【0032】
保持機構の一例は、図4に示されており、段付部116aの内表面とこれに対応する基盤116の外表面との間にデテント機構が形成される。このデテント機構では、段付部116aの内面に形成された隆起部116bなどの突起部が、基盤110の外表面に形成されたデテント116cなどの補助的に形作られた凹部に合わせられる。このようにして、ディスク100が相互に積重ねられると、デテント機構は、隣接するディスクが上下または左右に移動しないように、積極的に保持する機能を果たす。また、保持機構の他の型として、たとえば、タブおよびスロット、マジックテープ、留め金、または摩擦嵌合相補形成表面などを使用して、積重ねられた一連のディスク100の位置関係を維持してもよい。
【0033】
図5〜図8を参照して、基盤110は、中央試料受容ウェル118と、上面に形成される、個々が放射状に並べられる複数のキャピラリチャネル120とをさらに含む。各キャピラリチャネル120は、図7に最もよく示されるように、中央ウェル118の底部から一様な高さにおいて、第1端部で中央ウェル118と流体連通する。このようにして、中央ウェル118に注入される流体試料は、まずウェル表面全体に均一に広がり、中央ウェル118の外壁に沿って、キャピラリチャネル120の高さにまで上昇しなければならない。したがって、流体は、均一に分配されて、実質的に同時に各キャピラリチャネル120に入ることになる。複数の標的ウェル122はそれぞれ、各キャピラリチャネル120に流体連通するように形成される。
【0034】
図7および図8に最もよく示されるように、標的ウェル122は、中央ウェル118およびキャピラリチャネル120よりも深く、様々な幾何学的形状に形成されることが可能である。たとえば、図4に示されるような標的ウェル122は、やや滴型の、または洋梨型の開口を有し、この開口は、内端が丸く、側壁が直線状であって、キャピラリチャネル120との連結地点において狭くなり、丸い外端に向かって広くなる。標的ウェル122は、長方形の断面構造を有する。また、標的ウェル120は、他の幾何学的形状に形成されてもよい。たとえば、標的ウェル122の開口も断面形状も、楕円形、円形、多角形など、異なる形状であってもよい。
【0035】
図6に示されるように、標的ウェル122は、均一に複数に分類されて基盤110上に丸く並べられる。標的ウェル122は、たとえば、図6に示されるように、単体で合計72本の標的ウェルが9本のウェル毎に8グループに分けて並べられ、MPN法に基づく定量化を実現する。実施する試験によって、標的ウェル122の分類方法は異なってもよいと解される。たとえば、図9の実施形態に示されるように、基盤110に類似する基盤210は、5本の標的ウェル122のグループを8グループ有しており、各グループ間の間隔を視覚的に空けるために、より少ない標的ウェル122で各分類を行ってもよい。また、各ディスク100が最大数の標的ウェルを有することが望まれることがあるので、たとえば図10の実施形態に示されるように、基盤310は、区別可能なウェルグループではなく、むしろ連続する一連の標的ウェル122を有するように表されている。
【0036】
基盤210および310の実施形態それぞれにおいて、図1〜図8の実施形態とは別のキャピラリチャネル構造が例示されている。特に、チャネル120として示される単一の深さのキャピラリチャネルの代わりに、基盤210および基盤310にはそれぞれ、深さの異なる別の部分を含むように形成されたキャピラリチャネルが備えられている。チャネル部分は、中央ウェル218および318から最も離れており、中央ウェル218および318に近い部分よりも深い。基盤310を例示する図11に示すように、各キャピラリチャネル310は、中央ウェル318から離れて半径方向に延びる段付部320aおよび320bを含み、標的ウェル322と流体連通する。各標的ウェル322は、中央ウェル318から半径方向に一定距離離れて、基盤310の外周近くに形成される。
【0037】
図6〜図8を再度参照して、基盤110は、各標的ウェル122から半径方向外方に延びる、別個のランオフ・チャネル126を介して、標的ウェル122に流体連通するオーバフロー・ウェル124をさらに含む。吸収剤リング128は、オーバフロー・ウェル124内に配置されて、別個の各標的ウェル122からウェル124に流込む過剰な試液を吸収する。また、図9および図10の実施形態に示されるように、基盤210および基盤310は、オーバフロー・ウェルを伴うことなく形成される。これらの各実施形態において、過剰な試料は、これらの各実施形態のキャップに配置される吸収剤パッドによって吸収される。
【0038】
標的微生物の生殖を容易にする培地は、基盤に載置される。実施される試験によって、異なる培地の使用が可能であり、多様な標的微生物が検出される。被験培地の選択は、検出されるべき生物学的物質によって変化することになる。被験培地は、定量化が求められている生物学的物質の存在を検出し、好ましくは、培地中に存在し得る他の生物学的物質の存在は検出しない培地でなければならない。また、この定量化が求められている生物学的物質が試料中に存在する場合、色変化または蛍光発光など、なんらかの可視的な変化、または可視的でなくとも検知可能な変化を生じさせる材料でなければならない。
【0039】
一実施形態において、培地は粉末状であり、製造工程全体が簡略化される。この粉末は、試料がディスク・アセンブリ100に注入されると、即座に培地が試料に溶解するように、中央118内の試料ランディングエリアに直接堆積してもよい。別の実施形態において、他の高速培地分散方法が使用されてもよく、たとえば、図5に示されるように、培地保持部および分散バッグ130などの多孔性の格納固形物を使用して、粉末状の培地を保持し、輸送中などの装置の移動時に培地が移動することを防いでもよい。培地分散バッグ130は、ティーバッグのように機能することが可能であり、バッグの材料は、多孔性で、流体を流動可能にする。しかしながら、バッグ130を構成する材料に形成された孔の寸法は、好ましくは、培地が流体試料によって溶解されるまで培地を保持できる寸法である。
【0040】
高速溶解タブレット、透水性シールなど、迅速に培地を溶解する、さらに他の装置および技術が考えられる。
【0041】
さらに別の方法は、培地を各標的区画122に直接分注することである。上述の培地を載置する各実施形態において、輸送時には培地が装置の一体化した部分を形成することによって、別個の培地パッケージおよび別個の培地準備工程は不要となる。
【0042】
蓋112は、基盤110を覆うように、またそのような寸法に構成されて、基盤110の外周に沿って形成される上部水平縁132に対し、適切な技術、たとえば、超音波溶接によって封止される。通気孔134は、蓋112を貫通するように形成され、蓋112が基板110に固定されているとき、オーバフロー・ウェル124の上に位置するような蓋112上の位置にあり、オーバフロー・ウェル124と流体連通する。通気孔134は、試料がディスク・アセンブリ100に注入されるとき、キャピラリチャネル120を通る試料の毛細管流動作用が背圧によって妨げられないように充分な通気を行うことができる寸法である。
【0043】
蓋112は、さらに蓋112から上方に延び、蓋によって開口138を規定するカラー136をさらに備える。キャップ114は、カラー136を覆って取付けられるように、またそのような寸法に構成されて、カラー136と滑り接触して封止する。また、キャップ114の内部およびカラー136の外部は、相互に交わる糸を備え、キャップ114に糸を通して蓋112に固定することを容易にする。
【0044】
吸収剤パッド140は、たとえば摩擦嵌合によって、キャップ114内に保持されるように、またそのような寸法に構成される。このようにして、試料が開口138を通して注入されて、キャップ112がカラー136に堅固に載置された後、中央ウェル118に残る過剰な水試料は、パッド140によって吸収されて保持されることになる。これは、個別のキャピラリチャネル120と個別の標的ウェル122との間の交差汚染、すなわち「クロストーク(cross-talk)」の防止を助けることになる。本明細書に記載される様々な実施形態のアセンブリは、手動のアセンブリ、半自動アセンブリ、および完全自動化アセンブリによって達成可能であると考えられる。
【0045】
図12および図13を参照すると、本開示に従って構成された水試験装置の別の実施形態が概してディスク・アセンブリ400として表されている。明確にするために、ディスク・アセンブリ400の構造用部品のみが表されている。前述の付加要素のいくつか、またはすべてをディスク・アセンブリ400に組込んでもよいが、ここでは繰返さない。ディスク・アセンブリ400は、キャップ414がゴムなどの柔軟な材料から成り、試料「S」上にキャップ414が載置された後に使用者がキャップを押下げることが可能であるという点でディスク・アセンブリ100と異なる。この押込み作用は、キャップ下に含まれた空気量を動かし、試料をチャネル420に通して標的ウェル422に入れることに役立つ。
【0046】
また、基盤410が脚部を有さず、複数の基盤410が水平面に平らに載置可能な実施形態も例示する。また、基盤410は、基盤110に関して上記で開示したような脚部を備えてもよい。
【0047】
図14〜図17を参照して、水試料試験装置のさらに別の実施形態が概してディスク・アセンブリ500として表されている。前述のディスク・アセンブリの実施形態100〜400と同様、500番台の番号が付されている各要素を除き、前述の実施形態の構造に類似する構造は、同様の符号が付されている。したがって、前述の実施形態に記載された前述の特徴に実質的に類似する、またはそれと同一の特徴は、ここでも符号が付されているけれども、ディスク・アセンブリ500の実施形態に関して、必ずしも再度個別に列挙してはいない。
【0048】
蓋512は、注入口538が内部に形成されるように形成されるが、その外周にカラー部材を含まない。その代わりに、一連の通気孔は蓋512の開口538寄りに形成される。図16に示されるように、キャップ512が蓋512から取外されると、通気孔534は、キャピラリチャネル部520bに流体連通して通気を行う。蓋512にキャップ514を載置する際、通気孔534は、インキュベーション時間中に付加的に空気が進入しないように、封止される。この配置は、標的ウェル522に付加的な空気が入込まないことを確保するという試験条件を有することが重要である場合、特に有益である。
【0049】
図18〜図20を参照して、本明細書で開示される水試料試験装置のさらに別の実施形態は、概して試験装置600として表され、試験装置600は、多くの側面において、前述の実施形態と実質的に類似している。試験装置600の主な相違は、概して長方形の構成に形成されていることである。その他すべての側面において、試験装置600は前述の実施形態に類似しており、本明細書に前述した様々な別の特徴を含むように形成されることが可能である。
【0050】
上述した各実施形態を使用する方法は、実質的に類似し、ここに記載する。実施形態同士の相違が存在するところについて記載する。簡潔に言えば、水試料試験などの液体化試料試験を実施するためには、使用者は、キャップを取外し、約1mlから約5mlの水試料を中央ウェルに注入し、キャップを元に戻し、試験装置を一度反転させて、中央ウェルに残存する過剰な試料を吸収し、特定の試験について、所要の温度で、必要な時間をかけて、試験装置をインキュベートする。結果は、陽性の目標に番号を付して番号が付された陽性をMPN表と比較することによって得られる。
【0051】
試料が中央ウェルに注入されると、粉末培地は、水試料と接触して溶解され、適切な試料と培地との混合物が得られる。中央ウェル内の試料の高さがキャピラリチャネルの高さに到達すると、試料と培地との混合物は、試験装置の外縁に位置するウェルに流れる。
【0052】
装置は、インキュベーション時間中、反転された位置のままであっても、元の直立位置に戻されてもよい。前述したように、これを容易にする実施形態については、複数の試験が同時に行われる場合、基盤がその上に段付脚部が形成された独特の有利な構造であるので、個別の装置は相互に積重ねられてもよい。
【0053】
図21〜図23は、標的微生物を定量化する液体試料試験装置のさらに別の実施形態を例示しており、概して試験装置700として表されている。簡潔に言えば、試験装置700の操作部は、たとえば転写接着剤によって、一体となって保持されるプラスチックフィルムの多層アセンブリを含み、底部702bを覆うように取付けられる上部部分702aを有する2つの部分から成る透明皿などの疎水性の容器で囲まれる。多層フィルム・アセンブリは、上部親水性層710、少なくとも1つのキャピラリチャネル720を内部に含む疎水性のフレーム712、およびプラスチック製の裏打ち層714を含む。
【0054】
好ましくは、上部層710は、親水性表面を有し、クリアポリエステル(PE)材料から成り、試験されている液体試料の上部層710を介する疎水性フレーム712への通過を容易にする。また、上部層710は、表面が親水性であれば、他のいかなるクリアプラスチック材料から成ってもよい。さらに、上部層710は、親水性であってもよく、フレーム712に臨む側に感熱型接着剤または感圧型接着剤が塗布される。この構成によって、転写接着剤または2つの部分を接合する他の接着手段を使用する必要性が無くなる。
【0055】
キャピラリチャネル構造を形成する疎水性フレーム712は、好ましくは、ポリスチレン、ポリエステル、およびPETGから選択された物質から成る。試料ランディングゾーン716は、フレーム712の中央部に規定される。キャピラリチャネル720は、疎水性フレーム712内に形成され、上部層710およびプラスチック製の裏打ち層714がたとえば転写接着剤によって疎水性フレーム712に接着されると、上下から取囲まれる。各キャピラリチャネルは、試料ランディングゾーン716に流体連通し、試料ランディングゾーン716から窪んだ区画に液体試料が分割されるように構成される。キャピラリチャネル720は、前述の実施形態について記載したように、様々にまとめて配置されて、または連続的に配置されて、形成されてよい。
【0056】
図23に示されるように、50本のキャピラリチャネル720が5グループに分けて配置される。各キャピラリチャネル720は、疎水性フレーム712内に形成された反応ウェル722を含む。キャピラリチャネル720および反応ウェル722は、図示したように、またそのような寸法に構成されるか、本明細書で例示および説明された他の実施形態について前述した構成および寸法に構成されてもよい。
【0057】
反応ウェル722は、少なくとも1つの窪んだ区画を含むように形成され、少なくとも1つの窪んだ区画は、そこから半径方向外方に配置される通気スロット724と連通し、毛細管流動を容易にする。各反応ウェル722は、標的とされた生物学的物質の検出のために、試料/培地混合物のアリコートを保持するように、またそのような寸法に構成される。
【0058】
プラスチック製の裏打ち層714は、疎水性のプラスチック層である。好ましくは、ポリエステルまたは他の類似の材料から成る。プラスチック製の裏打ち層714は、この層を貫通して形成される一連の孔726を含み、各孔は、好ましくは、層のアセンブリ上において、孔726がキャピラリチャネル720のグループ間に1つずつ位置付けられるように、半径方向に間隔を空けている(図24参照)。中央孔728は、試料ランディングゾーン716と中心同士が揃うように形成される。また、孔726および728は、過剰な試料を通過させて装置700の底部に導く過程を容易にする。
【0059】
別の実施形態において、装置は、さらに吸収剤パッド730を含んでもよく、吸収剤パッド730は、底部ディスク部702a内の多層プラスチック・アセンブリの下方に位置付けられて、過剰な液体試料を吸収する。吸収剤材料は、ダイカット・ポリエステルフォーム、ポリエーテルフォーム、綿、もしくは酢酸セルロース、または他の適切な吸収剤材料であってもよい。また、過剰な液体試料を含む吸収剤パッドは、加湿源として作用し、アセンブリ700内のアッセイがインキュベーション中に乾燥することを防止する。
【0060】
使用において、上部ディスク部702aは、装置700から取外され、液体試料約3.5mlの接種容量が試料ランディングゾーン716に導かれて、ディスク702aの上部部分が元に戻され、装置700を閉じる。試料の誘導にかかる合計時間は、約5秒である。試料でランディングゾーン716が満たされると、毛管現象によってキャピラリチャネル720に引込まれて、各反応ウェル722を満たす。過剰な試料は、貫通孔726、貫通孔728、または貫通通気スロット724を移動するので、パッド730に吸収される。
【0061】
図24は、標的微生物を定量化する液体試料試験装置のさらに別の実施形態を例示しており、概して試験装置800として表されている。試験装置800の操作部は、一体として保持されるプラスチックフィルムの多層アセンブリを含み、底部802bを覆うように取付けられる上部部分802aを有する2つの部分から成る透明皿などの疎水性の容器で囲まれるという点において、試験装置700と類似している。プラスチックフィルムの多層アセンブリは、試料受容孔816が貫通して形成される上部親水性層810、少なくとも1つのキャピラリチャネル820を内部に含む疎水性のフレーム812、および吸収剤パッド裏打ち層830を含む。疎水性のフレーム812は、射出成形または型押しなどの適切な技術によって形成可能である。さらに、上部層810は、親水性であって、フレーム712に臨む側に感熱型接着剤または感圧型接着剤が塗布されてもよい。この構成によって、転写接着剤または2つの部分を接合する他の接着手段の使用を不要にすることが可能である。
【0062】
しかしながら、試験装置800は、試験装置700のプラスチック製の裏打ち層714のような裏打ち層を含まない。代わりに、通気孔826および中央孔828が疎水性フレーム812の中央領域に形成される。前述の様々な実施形態と同様、キャピラリチャネル820は、前述の実施形態について記載したように、様々にまとめて配置されて、または連続的に配置されて、形成されてよい。試験装置の使用は、試験装置700の場合と同一であり、再度詳細に述べることはしない。さらに、上部層810は、親水性であって、フレーム812に臨む側に感熱型接着剤または感圧型接着剤が塗布されてもよい。この構成によって、転写接着剤または2つの部分を接合する他の接着手段の使用を不要にすることが可能である。
【0063】
図25および図26は、標的微生物を定量化する液体試料試験装置のさらに別の実施形態を例示しており、概して試験装置900として表されている。試験装置900の操作部は、射出成形技術によって試験装置900の下半分901に直接形作られる分配チャネルおよび窪んだ区画を含む。様々な前述の実施形態と同様、キャピラリチャネルおよび標的反応区画は、プラスチックフィルム903を装置900の下半分901上に載置することによって形成される。プラスチックフィルム903は、装置900の下半分901に臨む側に感熱型接着剤または感圧型接着剤が塗布されてもよい。吸収剤リング904は、プラスチックフィルム903上に取付けられて、過剰な液体または液体化試料/培地混合物を吸収することが可能である。また、図26に示されるように、プラスチック・リング905は、プラスチックフィルム903の上に取付けられて、毛管現象によってキャピラリチャネルおよび標的反応区画に分配される前に液体試料または液体化試料/培地混合物を格納してよい。また、図26に見られるように、吸収剤パッド906は、装置900の上半分902に取付けられて、過剰な液体または液体化試料/培地混合物を吸収する。試験装置900の使用は、前述の実施形態における使用と同一であり、再度詳細に述べることはしない。
【0064】
実施例1:水中の従属栄養細菌のバクテリア検出および計数装置
以下は、本発明が水試料中の従属栄養細菌を検出して計数する方法をいかに提供するかに関する例である。このアッセイにおいて使用された装置は、図26に例示された図面に従って構成されている。Tow nsendおよびChenの培地(米国特許第6387650号明細書、米国特許第6472167号明細書、および参照によって本明細書に組込まれる内容全体)が、キャピラリチャネルおよび反応区画に提供されて堆積される。培地は、アミノ酸源と窒素との混合物(2.5グラム/リットル)、ビタミン源の混合物(1.5グラム/リットル)、ピルビン酸ナトリウム(0.3グラム/リットル)、硫酸マグネシウム(0.5グラム/リットル)、ファストグリーン染料(0.2グラム/リットル)、緩衝成分(4.4グラム/リットル)、および酵素基質の混合物(0.105グラム/リットル)を含む。
【0065】
この例の結果は、国際標準規格ISO6222(水質−培養による微生物の計数−栄養寒天培地への接種によるコロニーの計数)に照らして評価された。データは、ISO番号17994の方法(水質−微生物の2種の検出方法の等価性を確立する基準)に記載された統計法を使用して分析された。結果は、以下の表1に示す。合計368種類の水試料が分析され、37℃、または約37℃で、約48時間インキュベートされ、合計339種類の水試料が、22℃、または約22℃で、約72時間インキュベートされた。各水試料の約3.5mLのアリコートが、各装置の試料ランディングエリアに添加された。各水試料は、数秒のうちに、毛管現象によって自動的に全反応区画に分配された。その後、装置は、37℃、または約37℃で、約48時間、もしくは22℃、または約22℃で、約72時間インキュベートされた。水試料中のバクテリア濃度は、殺菌灯(366nm)下で蛍光信号を発する反応区画数を調べることによって決定された。その後、試料中に存在するバクテリアの数は、MPN法に基づいて決定された。ISO番号17994の方法(水質−微生物の2種の検出方法の等価性を確立する基準)に基づくデータ統計分析は、表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に示された結果は、本発明に係る装置および方法によって、水試料中の従属栄養細菌を検出して計数することが可能であり、本発明に係る装置および方法が標準的な基準の方法と同等またはそれよりも良いことを示している。
【0068】
実施例2:腸球菌のバクテリア検出および計数装置
以下は、本発明を使用して微生物を検出して計数する別の方法である。このアッセイにおいて使用された装置は、図26に例示された図面に従って構成されている。その内容全体が参照によって本明細書に組込まれる、Chenらによる米国特許第5620865号明細書の培地(IDEXX社が販売する、試料中の腸球菌検出用のEnterolertTM培地によって実用化されている)は、キャピラリチャネルおよび反応区画に提供されて堆積される。羊血液5%から供給されるトリプチケースソイ寒天(Trypticase Soy Agar)によって同定されるような、公知レベルの大便連鎖球菌ATCC35667が、本発明の装置に接種された(表2)。結果は、図26の装置によって決定される大便連鎖球菌ATCC35667の濃度が、平板測定法で羊血液5%のTSAによって決定される濃度と統計的に同等であることを示した。
【0069】
【表2】
【0070】
本発明は、好適な実施形態に関して具体的に示して説明してきたが、当業者は、形状および細部について、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な変更を行うことができると解される。したがって、上述のような変更は、それらに限定されないが、本発明の範囲内のものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置の実施の一形態の斜視図である。
【図2】図1の試験装置の2つを積層構造で示した斜視図である。
【図3】図1の試験装置の脚部の部分拡大図である。
【図4】別の脚部の構成の部分拡大図である。
【図5】図1の試験装置の個別の各部品を部分ごとに分離して示す斜視図である。
【図6】図1の試験装置の複数のウェルを備えた基盤の平面図である。
【図7】図6の切断線7−7に関する複数のウェルを備えた基盤の部分断面図である。
【図8】組立てた図1の液体試料試験装置の断面図である。
【図9】複数のウェルを備えた基盤の別の実施形態の平面図である。
【図10】複数のウェルを備えた基盤のさらに別の実施形態の平面図である。
【図11】図10の切断線11−11に関する部分断面図である。
【図12】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置の別の実施形態の斜視図である。
【図13】組立てた図12の液体試料試験装置の断面図である。
【図14】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置の別の実施形態の斜視図である。
【図15】図14の試験装置の個別の各部品を部分ごとに分離して示す斜視図である。
【図16】組立てた図14の液体試料試験装置の断面図である。
【図17】図14の液体試料試験装置の部品を部分ごとに分離して示す断面図である。
【図18】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図19】図18の試験装置の部品を部分ごとに分離して示す斜視図である。
【図20】図18の液体試料試験装置の基盤の平面図である。
【0072】
【図21】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図22】図21の試験装置部品を部分ごとに分離して示す斜視図である。
【図23】図21の試験装置のキャピラリチャネルを形成するフレーム要素の平面図である。
【図24】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図25】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図26】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2003年8月26日付米国仮出願番号60/497,767に基づく優先権を主張した2004年7月26日付米国出願番号10/899,217に基づく優先権を主張する。これらの出願内容は、すべて本明細書に参照によって組込まれる。
【0002】
背景
技術分野
本発明の開示内容は、試料中の生物学的物質の定量化方法、および定量化中、生物学的物質を分割して保持する装置に関する。
【0003】
先行技術の検討
微生物濃度の決定および計数は、水道、食品、化粧品、製薬業界など、様々な業界における微生物分析の根幹である。生物学的物質の検出および定量化の従来の方法は、半流動普通寒天培地(混釈平板法、メンブランフィルタ法など)または液体栄養培地(最確数法など)を使用して行われる。混釈平板法が行われる場合、微生物汚染に関する被験試料は、まずシャーレで調剤される。この試料の上から適切な栄養培地15mlが注入される。シャーレは、約20分間常温で放置されて固まると、特定の温度で特定の時間インキュベートされ、現れたコロニーが計数される。混釈平板法の欠点は、試料中に、計数するには小さすぎる、または相互に重なり合うことのあるバクテリアコロニーを含み、また計数を阻害する可能性もある粒子状物質を含むことである。メンブランフィルタ法は、所要容量の試料が微小な膜孔を有する薄膜によってろ過されて、バクテリアを特定することなく捕捉する。その後、薄膜は、調製された固形培地に置床され、これによって標的バクテリアの生殖が助けられる。この培地は、特定の温度で特定の時間インキュベートされ、出現したコロニーが計数される。メンブランフィルタ法の欠点として、試料(廃水試料など)中に含まれるバクテリア以外の粒子状物質が薄膜を使用不能にすること、およびバクテリアコロニーが小さすぎる、または相互に重なり合うことがあるので、その計数が困難であることが挙げられる。
【0004】
微生物の検出および定量化に関し、固形栄養培地を使用して微生物の生殖を助ける、改良された方法として、化学処理された特殊シャーレを使用するREADIGEL(登録商標)(3M
Microbiology Products, St. Paul, Minnesota)が挙げられる。試料は、成長培地に接種されて平板に注入される。試料/培地混合物は、平板に塗布された薬品と接触してから20分間凝固させられる。また、培地が塗布されて堆積している粘着テープ状の材料であるPETRIFILM(登録商標)(3M Microbiology Products, St. Paul, Minnesota)を使用してもよい。この構成によって、液体試料との接触時に加水分解してゲル化する成長培地の薄層が形成される。カバー片は、試料の接種を助けるとともにインキュベーション用のカバーとしての役割を果たす。これらの方法は、混釈平板法およびメンブランフィルタ法よりも実施が容易であるという点において改良されている。しかしながら、これらの方法には、上述の混釈平板法およびメンブランフィルタ法と同様の限界がある。
【0005】
最確数法(MPN)はよく知られており、たとえば、「Compendium of Methods for
the Microbiological Examination of Foods」第3版、1992年の第105頁目〜第199頁目に公開された、Reclesらによる「Most Probable Number Techniques」、およびGreenbergらによる「Standard Methods For the Examination of Water and
Wastewater」第8版、1992年に記載されている。
【0006】
MPN法を使用する微生物の定量化装置および方法は、商業上、利用可能である。
Quanti-Tray(登録商標)およびQuanti-Tray(登録商標)2000(IDEXX Corporation,
Westbrook, Maine)などの装置および方法は、飲料水、地表水、および廃水試料の微生物定量化に使用される。これらの試験の詳細は、Naquiらによる米国特許第5518892号明細書、米国特許第5620895号明細書、および米国特許第5753456号明細書に開示されている。これらの試験を実施するためには、インキュベーション時間の前に、試料/試薬を装置に加える工程、および別の封止装置によって装置を封止する工程が必要である。これらの方法および装置は、使用の容易性の観点から、従来の複数管発酵法を著しく改良するとともに、試料中の微生物の正確な定量化を可能にする。しかしながら、この型の装置は、試料/培地混合物を個々の各区画に分配する器具を必要とする場合があり、微好気的条件において、微生物個体群の計数に用いられる方が適切である。
【0007】
Croteauらは、米国特許第5700655号明細書、米国特許第5985594号明細書、および米国特許第6287797号明細書において、MPN法を使用した、試料中の生物学的物質の定量化方法および装置を記載している。この装置は、平らな水平インキュベート用平板を使用し、その表面は複数の窪んだウェルに分割されている。液体化試料/培地混合物は、装置の表面上に注がれ、軽く混合された後、液体化試料/培地混合物は、窪んだウェルに分配されて、表面張力によってそのウェルに保持される。その後、平板は、生物学的物質の有無が判断されるまで特定の温度で特定の時間インキュベートされる。Piersonらは、発明の名称が「溶液中の検体を同定するための分析装置およびその方法」である米国特許第6190878号明細書において、複数の窪んだウェルに分割された、水平で平坦な表面を使用する装置を開示している。その他は、試薬島を固定した1枚以上の表面を有する。各ウェル、複数のウェル、または試薬島は、表面張力によってウェルまたは試薬島内にアリコートを保持するような寸法、形状、および適切な材料で形成されている。これらの装置は、結果の解釈が容易であり、計数範囲が広くなるといった利点を有することによって、ゲルベースの微生物の計数方法を改良している。これらの方法および装置は、潜在的に複数の欠点を有する可能性がある。試料の接種は、試料の接種中にウェルに形成される気泡によって妨げられる可能性があり、ピペット工程が必要になる。
【0008】
概要
本発明は、液体化試料溶液中の生物学的物質、微生物、および検体の有無を検出して定量化する方法および装置に関する。本発明は、「毛細管流動」を利用する。液体化試料は、キャピラリチャネルによって個別の区画に分割されることが可能である。本発明は、手作業の時間を著しく短縮させ、熟練の検査技師によってアッセイの実施または説明がなされる必要のない装置および方法を提供することによって、先行技術の欠点を克服する。
【0009】
1つの特徴において、本発明は、水溶性生体試料または液体化生体試料を別個の区画に分割する、標的微生物を含まないインキュベーション装置を提供することによって、標的微生物の定量化方法を特徴付ける。この装置は、概して、試料ランディングエリア、少なくとも1つのキャピラリチャネル、機能的な毛細管流動を可能にする通気機構を有する少なくとも1つの窪んだ区画を含む。各キャピラリチャネルは、液体化試料を試料ランディングゾーンから窪んだ区画まで移動させるように構成されている。好ましくは、各チャネルは、毛細管流動の容易化に適した材料から成り、またはそのような材料で処理されるとともに、毛細管流動を容易にするように配置される。各区画は、生物学的物質の検出のために、試料/培地混合物のアリコートを保持するように設計される。
【0010】
この装置は、被験試料中の特異型の生物学的物質の存在またはその量を決定するために、特定の微生物培地と組合せて使用してもよい。微生物培地が使用されると、標的微生物の生殖が容易になり、その存在が示される。実施される試験によって、異なる培地の使用が可能であり、多様な標的微生物が検出される。被験培地の選択は、検出されるべき生物学的物質によって変わることになる。被験培地は、好ましくは、定量化が求められている生物学的物質の存在のみを検出し、試料中に存在し得る他の生物学的物質の存在は検出しない。また、この定量化が求められている生物学的物質が試料中に存在する場合、培地は、色変化または蛍光発光など、なんらかの可視的な変化、または可視的でなくともそれ相応の変化が生じることが好ましい。一般的に、標的微生物が存在しない場合、陽性反応は検出されない。たとえば、Townsendらによる米国特許第6387650号明細書および米国特許第6472167号明細書には、食品試料および水試料中のバクテリアを検出する培地が記載されている。また、Edbergの培地(米国特許第4925789号明細書、米国特許第5429933号明細書、および米国特許第5780259号明細書)、またはEdberg Defined Substrate Technology(登録商標)の培地に基づかない他の微生物培地を本発明の装置に使用して、大腸菌およびエシェリキア・コライ(Escherichia coli)の全体量を決定して定量化してもよい。また、Chenらによる米国特許第5620865号明細書に記載されている培地を使用し、本発明を用いて試料中の腸球菌を検出してもよい。
【0011】
好適な実施形態において、培地は、試料ランディングエリアに堆積する。液体化試料を接種する際、培地は、再構築され、試料と混合されて試料/培地混合物が形成され、毛細管流動によって、適合したキャピラリチャネルを通って窪んだ区画、つまり反応区画に分割される。また、培地は、キャピラリチャネルおよび/または窪んだ区画、つまり反応区画に堆積する。試料は、適合したキャピラリチャネルを介して分割され、培地と混合し、試料/培地混合物を形成する。その後、装置は、インキュベーションを行い、標的生物学的物質の検出を可能にする。窪んだ区画、つまり反応区画、すなわち区画には、複数の培地が含まれてもよく、それぞれの区画に、異なる培地、または異なる培地の多様な組合せが含まれてもよく、単一の装置で多数のアッセイが可能である。別の実施形態において、試料は、装置の試料ランディングエリアに接種される前に、培地と混合されて液体化試料/培地混合物を形成してもよく、毛細管流動によって、窪んだ区画つまり反応区画に分割される。
【0012】
好適な一実施形態において、装置は、射出成形技術によってプラスチック材料から構成されるが、他の手段によって構成されてもよい。好適な実施形態において、プラスチック材料はポリスチレンである。装置の好適な実施形態は、その形状が円形であるが、長方形、楕円形など、適切な幾何学的図形であってもよい。反応区画は、各区画の寸法がそれぞれ同一であり、所定の液量を保持可能な容量を有する。反応区画は、丸形でも滴型でも他の形状でもよい。キャピラリチャネルは、チャネル内の液体の毛管現象を高める毛細管流動向上コーティングを施されて構成されてもよい。特定の実施形態において、毛細管流動向上コーティングは、コロナ処理、またはチャネルの毛管現象を高める他の表面処理である。
【0013】
本開示内容の一側面によれば、液体化試料を個別の容積に分割する装置を提供する。この装置は、下部部材と、下部部材に隣接して配置される上部部材と、これら上部部材と下部部材との間に配置される少なくとも1つのチャネル部材とを含む。この少なくとも1つのチャネル部材は、上部部材および下部部材によって少なくとも部分的に規定され、第1および第2端部を有する。第1端部は、液体を受容する開口を有し、第2端部は、反応区画および関連する通気孔を有する。したがって、第1端部に液体化試料が導入されると、毛管現象によって、液体化試料が第1端部から第2端部へと移動させられ、液体化試料の少なくとも一部が反応区画内に残留させられる。
【0014】
実施形態において、装置の上部部材および下部部材は、液体化試料を受容する中央領域を有してよく、この中央領域から半径方向外方に複数のチャネル部材が延びる。したがって、液体化試料が中央領域に配置されると、試料は各部材に流入し、液体化試料部分が各チャネル部材の各反応区画に配置されることになる。
【0015】
望ましくは、少なくとも1つのチャネル部材は、液体の毛細管流動を高めるように処理される。より望ましくは、チャネル部材のみが液体の毛細管流動を高めるように処理される。
【0016】
上部部材および下部部材は、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエステル、またはPETGから成ることとする。
【0017】
一実施形態において、望ましくは、培地は装置の一部に配置される。より望ましくは、培地は各反応区画に配置される。培地は各チャネルおよび/または中央領域に配置されてもよい。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、プラスチックフィルムを2層以上積層して構成されたキャピラリチャネルおよび標的反応区画を有する装置を特徴とする。これらのプラスチックフィルムの少なくとも1以上の表面は親水性であり、液体化試料の毛細管流動を促進し、または容易にする。プラスチックフィルムの積層は、感圧型接着剤、加熱活性化接着剤、感圧型転写接着剤、または感熱型転写接着剤を使用して実現される。プラスチックフィルムおよび接着剤の層は、親水性の上部層と、少なくとも1つのキャピラリチャネルを有する疎水性のフレームと、プラスチック製の裏打ち層とを含む。好ましくは、親水性の上部層のプラスチック材料は、クリアポリスチレン、ポリエステル(PE)、ポリメチルペンテン(PMP)、またはPETG、または他のクリアプラスチック材料から選択される。キャピラリチャネルの少なくとも一部を形成する疎水性のフレーム層は、ポリスチレン、ポリエステル、PETG、または他の類似のポリマから選択された材料から成る。プラスチック製の裏打ち層は、親水性または疎水性のプラスチック層であってよく、好ましくは、ポリスチレン、ポリエステル(PE)、PETG、または他の材料から成る。
【0019】
この装置は、概して、試料ランディングゾーン、少なくとも1つのキャピラリチャネル、およびキャピラリチャネル内に位置付けられる、少なくとも1つの反応区画を含み、それぞれ毛細管流動を容易にする通気機構を有する。試料ランディングエリアの性質は、親水性または疎水性であってよい。好ましくは、その性質は疎水性であり、液体化試料または液体化試料/培地混合物をはじいてキャピラリチャネルに誘導し、さらにまた液体の逆流も防ぐ。各キャピラリチャネルは、液体試料を試料ランディングゾーンから反応区画へと分割するように構成されている。各区画は物質の検出のために、試料/培地混合物のアリコートを保持するように設計されている。
【0020】
別の実施形態において、この装置は、底部に過剰な液体または液体化試料/培地混合物を吸収する吸収剤パッドをさらに含んでよい。吸収剤材料は、ダイカット・ポリエステルフォーム、ポリエーテルフォーム、もしくは酢酸セルロース、または綿繊維であり、他の性質の吸収剤材料であってもよい。また、このような材料からなる吸収剤パッドは、装置カバーまたはプラスチックフィルムの上部層の上に載置され、過剰な液体または液体化試料/培地混合物を吸収し、加湿を助ける。
【0021】
さらに好適な実施形態において、プラスチックフィルムの層を保持して格納するために格納容器が提供される。好適な一実施形態において、プラスチックフィルムの層は、容器底部の内径上で少なくとも2本のリブによって、適所に堅固に保持される。別の実施形態において、格納容器は、整合する上半分および下半分からなり、プラスチックフィルムの層を保持して格納するために使用される。
【0022】
さらに別の好適な実施形態において、この装置は、格納容器の下半分に直接形作られる分配チャネルおよび窪んだウェルを伴って、射出成形技術によって構成される。プラスチックフィルムの一層が分配チャネルおよび窪んだウェルの上に積層されて、キャピラリチャネルおよび標的反応区画を形成する。プラスチックフィルムは、液体化試料の毛細管流動を促進または容易にするために、親水性であってもよい。プラスチックフィルムは、感圧型接着フィルムまたは加熱活性化接着フィルムから選択されてよい。また、キャピラリチャネルは、チャネル内の液体の毛管現象を高めるように構成されてもよい。このチャネルは、毛細管流動向上コーティングを施されてもよい。特定の実施形態において、毛細管流動向上コーティングは、コロナ処理、またはチャネルの毛管現象を高める他の表面処理である。好ましくは、上部層のプラスチック材料は、クリアポリスチレン、ポリエステル(PE)、ポリメチルペンテン(PMP)、またはPETG、または他のクリアプラスチック材料から選択される。格納容器の底部に直接形作られる疎水性フレーム層は、ポリスチレン、ポリエステル、PETG、または他の類似のポリマから選択された材料から成る。
【0023】
別の側面において、本発明は、被験試料中の1以上の標的検体または標的微生物を検出する方法であって、1)試料ランディングエリア内の標的生物学的物質の存在を検出可能な培地に被験試料を接触させ、2)毛細管流動によって、試料/培地混合物を少なくとも1つのキャピラリチャネルに通して、個別の反応区画に分割し、3)検知可能シグナルの発現を可能にする反応パラメータの作用を試験装置に受けさせ、4)標的検体または標的微生物の存在を決定し、その量を計数する方法を提供する。
【0024】
別の側面において、本発明は、被験試料中の1以上の標的検体または標的微生物を検出する方法であって、1)少なくとも1つの試料ランディングエリア、少なくとも1つのキャピラリチャネル、および標生物学的物質の存在を検出可能な1以上の培地が堆積した、少なくとも1つの反応区画を含む構成の装置を提供し、2)被験試料を装置の試料ランディングエリアに加え、3)毛細管流動によって、被験試料を少なくとも1つのキャピラリチャネルに通して、少なくとも1つの個別の反応区画に分割し、4)検知可能シグナルの発現を可能にする反応パラメータの作用を試験装置に受けさせ、5)標的検体または標的微生物の存在を決定し、その量を計数する方法を提供する。
【0025】
さらに別の側面において、本発明は、被験試料中の1以上の標的検体または標的微生物を検出する方法であって、1)標的検体または標的微生物の検出に適した被験培地を選択して被験試料と混合し、試液を作製し、2)1以上の試料ランディングエリア、実質的に微細な構造を有する少なくとも1つの分割チャネル、および試液の所定量を保持可能な、少なくとも1つの反応区画を含む装置を提供し、3)試液を反応区画に分割するに充分な時間をかけて、試液を装置に加え、4)標的検体および標的微生物の存在の検出、およびその計数を可能にする反応パラメータの作用を装置に受けさせる方法を提供する。別の実施形態において、前記提供する工程は、標的検体および標的微生物の存在およびその量を表す検知可能シグナルを生成する培地を含む(または試薬を使用する)同定手段をさらに含んでもよい。別の実施形態において、前記可能にする工程は、試薬の発現を充分可能にする反応パラメータの作用を装置に受けさせることを含んでもよい。同定を観察すること、もしくは標的検体または標的微生物の存在またはその量を決定する工程、もしくは標的検体または標的微生物の定量化工程などの別の工程を前記方法に加えてもよい。
【0026】
本明細書に開示する液体試料試験に関わる装置および方法の前述の利点および特徴は、添付の図面とともに下記の実施形態の詳細な説明を参照することによって、より簡単に明確となり、理解され易くなるであろう。
【0027】
好適な実施形態の詳細な説明
複数の図全体に渡って、同様の参照符号は類似または同一の要素を示している図面を具体的に詳細に参照し、以下の詳細な説明は、試験装置および方法の具体的な実施形態に焦点を当てる。本明細書で開示される装置および方法は、あらゆる用途に対する要望または必要に応じ、生物学的物質の定量化のための試験において使用されるように適合可能であると解されるべきである。したがって、本明細書に開示する装置および方法は、(1単位以上の物質が検出可能な場合)液体化試料中のあらゆる段階に示される、いかなる生物学的物質にも適用可能である。本明細書に使用される「液体化試料」は、液体であるあらゆる試料、または液体として作用するように処理されている試料などであるが、これらに限定されない。
【0028】
図1〜図5を参照して、MPN法に基づく定量化を実施するように具体的に構成された試験装置の一実施形態が、概してディスク・アセンブリ100として示されている。一般的に、本明細書に開示されている各試験装置の実施形態の動作は、毛管の流体力学に基づいており、液体試料を許容範囲内で、本明細書により詳細に記載される別々の標的区画に分割および分配することを手作業の外力を用いることなく達成する。最終結果は、MPN法に基づいて、生物学的物質の定量的検出のための二値信号を発生させる。
【0029】
ディスク・アセンブリ100は、その主要な構成部品として、基盤110、蓋112、およびキャップ114を含み、これらが組立てられて一体化したユニットを形成する。これらの各部品は、好ましくは、詳細を以下に後述するように、多数のディスク・アレンブリ100を相互に積重ねられるような、充分な構造上の強度を有する耐久性のある材料から成る。このような材料の例として、アクリルおよびポリスチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
基盤110は、基盤の底部から、その周囲に間隔を空けて、下方に向かって延びるように形成された一連の脚部116を含む。各ディスク100は、好ましくは、4本の脚部116を備える(図1および図2では3本のみが見られる)。しかしながら、脚部は、4本よりも多くても少なくても利用可能であると考えられる。各脚部116は、ディスク100を他のディスク100の平面上または上部に静置するとき、外方に張出して、安定性を付加してもよい。安定性の付加手段として、各脚部116は、図3のノッチまたは段付端部116aを含み、図2に示されるように、複数のディスク100を相互に積重ねることが容易になる。段付端部116aは、積重ねられたディスクの相互の側方運動を防止する。
【0031】
また、付加的な安定性が望まれる、またはそれを必要としている環境において、相互に隣接して積重ねられる部材の動作中の保持は、保持機構を介して提供されてもよい。これは、たとえば、移動体に使用する際、もしくは相互に隣接して積重ねられたディスク100にインデックスを付すことが必要である場合、またはそれが望まれる場合に実施される試験に役立つことがある。特に、1以上の培地が利用されて複数の試験を同時に実施する場合、ディスク・アセンブリ100にインデックスが付され、隣接して積重ねられたディスク・アセンブリ100のウェルの対応する培地を揃えることができる。隣接して積重ねられるディスク・アセンブリ100にインデックスを付すことを容易にするために、各ディスク・アセンブリ100に印(図示せず)を付けて、適切にディスクの位置を相互に合わせる。また、保持機構は、隣接するディスク・アセンブリの積重ねが、積重ねられたディスク・アセンブリ100の一方向にのみ可能であるように形成されてもよい。
【0032】
保持機構の一例は、図4に示されており、段付部116aの内表面とこれに対応する基盤116の外表面との間にデテント機構が形成される。このデテント機構では、段付部116aの内面に形成された隆起部116bなどの突起部が、基盤110の外表面に形成されたデテント116cなどの補助的に形作られた凹部に合わせられる。このようにして、ディスク100が相互に積重ねられると、デテント機構は、隣接するディスクが上下または左右に移動しないように、積極的に保持する機能を果たす。また、保持機構の他の型として、たとえば、タブおよびスロット、マジックテープ、留め金、または摩擦嵌合相補形成表面などを使用して、積重ねられた一連のディスク100の位置関係を維持してもよい。
【0033】
図5〜図8を参照して、基盤110は、中央試料受容ウェル118と、上面に形成される、個々が放射状に並べられる複数のキャピラリチャネル120とをさらに含む。各キャピラリチャネル120は、図7に最もよく示されるように、中央ウェル118の底部から一様な高さにおいて、第1端部で中央ウェル118と流体連通する。このようにして、中央ウェル118に注入される流体試料は、まずウェル表面全体に均一に広がり、中央ウェル118の外壁に沿って、キャピラリチャネル120の高さにまで上昇しなければならない。したがって、流体は、均一に分配されて、実質的に同時に各キャピラリチャネル120に入ることになる。複数の標的ウェル122はそれぞれ、各キャピラリチャネル120に流体連通するように形成される。
【0034】
図7および図8に最もよく示されるように、標的ウェル122は、中央ウェル118およびキャピラリチャネル120よりも深く、様々な幾何学的形状に形成されることが可能である。たとえば、図4に示されるような標的ウェル122は、やや滴型の、または洋梨型の開口を有し、この開口は、内端が丸く、側壁が直線状であって、キャピラリチャネル120との連結地点において狭くなり、丸い外端に向かって広くなる。標的ウェル122は、長方形の断面構造を有する。また、標的ウェル120は、他の幾何学的形状に形成されてもよい。たとえば、標的ウェル122の開口も断面形状も、楕円形、円形、多角形など、異なる形状であってもよい。
【0035】
図6に示されるように、標的ウェル122は、均一に複数に分類されて基盤110上に丸く並べられる。標的ウェル122は、たとえば、図6に示されるように、単体で合計72本の標的ウェルが9本のウェル毎に8グループに分けて並べられ、MPN法に基づく定量化を実現する。実施する試験によって、標的ウェル122の分類方法は異なってもよいと解される。たとえば、図9の実施形態に示されるように、基盤110に類似する基盤210は、5本の標的ウェル122のグループを8グループ有しており、各グループ間の間隔を視覚的に空けるために、より少ない標的ウェル122で各分類を行ってもよい。また、各ディスク100が最大数の標的ウェルを有することが望まれることがあるので、たとえば図10の実施形態に示されるように、基盤310は、区別可能なウェルグループではなく、むしろ連続する一連の標的ウェル122を有するように表されている。
【0036】
基盤210および310の実施形態それぞれにおいて、図1〜図8の実施形態とは別のキャピラリチャネル構造が例示されている。特に、チャネル120として示される単一の深さのキャピラリチャネルの代わりに、基盤210および基盤310にはそれぞれ、深さの異なる別の部分を含むように形成されたキャピラリチャネルが備えられている。チャネル部分は、中央ウェル218および318から最も離れており、中央ウェル218および318に近い部分よりも深い。基盤310を例示する図11に示すように、各キャピラリチャネル310は、中央ウェル318から離れて半径方向に延びる段付部320aおよび320bを含み、標的ウェル322と流体連通する。各標的ウェル322は、中央ウェル318から半径方向に一定距離離れて、基盤310の外周近くに形成される。
【0037】
図6〜図8を再度参照して、基盤110は、各標的ウェル122から半径方向外方に延びる、別個のランオフ・チャネル126を介して、標的ウェル122に流体連通するオーバフロー・ウェル124をさらに含む。吸収剤リング128は、オーバフロー・ウェル124内に配置されて、別個の各標的ウェル122からウェル124に流込む過剰な試液を吸収する。また、図9および図10の実施形態に示されるように、基盤210および基盤310は、オーバフロー・ウェルを伴うことなく形成される。これらの各実施形態において、過剰な試料は、これらの各実施形態のキャップに配置される吸収剤パッドによって吸収される。
【0038】
標的微生物の生殖を容易にする培地は、基盤に載置される。実施される試験によって、異なる培地の使用が可能であり、多様な標的微生物が検出される。被験培地の選択は、検出されるべき生物学的物質によって変化することになる。被験培地は、定量化が求められている生物学的物質の存在を検出し、好ましくは、培地中に存在し得る他の生物学的物質の存在は検出しない培地でなければならない。また、この定量化が求められている生物学的物質が試料中に存在する場合、色変化または蛍光発光など、なんらかの可視的な変化、または可視的でなくとも検知可能な変化を生じさせる材料でなければならない。
【0039】
一実施形態において、培地は粉末状であり、製造工程全体が簡略化される。この粉末は、試料がディスク・アセンブリ100に注入されると、即座に培地が試料に溶解するように、中央118内の試料ランディングエリアに直接堆積してもよい。別の実施形態において、他の高速培地分散方法が使用されてもよく、たとえば、図5に示されるように、培地保持部および分散バッグ130などの多孔性の格納固形物を使用して、粉末状の培地を保持し、輸送中などの装置の移動時に培地が移動することを防いでもよい。培地分散バッグ130は、ティーバッグのように機能することが可能であり、バッグの材料は、多孔性で、流体を流動可能にする。しかしながら、バッグ130を構成する材料に形成された孔の寸法は、好ましくは、培地が流体試料によって溶解されるまで培地を保持できる寸法である。
【0040】
高速溶解タブレット、透水性シールなど、迅速に培地を溶解する、さらに他の装置および技術が考えられる。
【0041】
さらに別の方法は、培地を各標的区画122に直接分注することである。上述の培地を載置する各実施形態において、輸送時には培地が装置の一体化した部分を形成することによって、別個の培地パッケージおよび別個の培地準備工程は不要となる。
【0042】
蓋112は、基盤110を覆うように、またそのような寸法に構成されて、基盤110の外周に沿って形成される上部水平縁132に対し、適切な技術、たとえば、超音波溶接によって封止される。通気孔134は、蓋112を貫通するように形成され、蓋112が基板110に固定されているとき、オーバフロー・ウェル124の上に位置するような蓋112上の位置にあり、オーバフロー・ウェル124と流体連通する。通気孔134は、試料がディスク・アセンブリ100に注入されるとき、キャピラリチャネル120を通る試料の毛細管流動作用が背圧によって妨げられないように充分な通気を行うことができる寸法である。
【0043】
蓋112は、さらに蓋112から上方に延び、蓋によって開口138を規定するカラー136をさらに備える。キャップ114は、カラー136を覆って取付けられるように、またそのような寸法に構成されて、カラー136と滑り接触して封止する。また、キャップ114の内部およびカラー136の外部は、相互に交わる糸を備え、キャップ114に糸を通して蓋112に固定することを容易にする。
【0044】
吸収剤パッド140は、たとえば摩擦嵌合によって、キャップ114内に保持されるように、またそのような寸法に構成される。このようにして、試料が開口138を通して注入されて、キャップ112がカラー136に堅固に載置された後、中央ウェル118に残る過剰な水試料は、パッド140によって吸収されて保持されることになる。これは、個別のキャピラリチャネル120と個別の標的ウェル122との間の交差汚染、すなわち「クロストーク(cross-talk)」の防止を助けることになる。本明細書に記載される様々な実施形態のアセンブリは、手動のアセンブリ、半自動アセンブリ、および完全自動化アセンブリによって達成可能であると考えられる。
【0045】
図12および図13を参照すると、本開示に従って構成された水試験装置の別の実施形態が概してディスク・アセンブリ400として表されている。明確にするために、ディスク・アセンブリ400の構造用部品のみが表されている。前述の付加要素のいくつか、またはすべてをディスク・アセンブリ400に組込んでもよいが、ここでは繰返さない。ディスク・アセンブリ400は、キャップ414がゴムなどの柔軟な材料から成り、試料「S」上にキャップ414が載置された後に使用者がキャップを押下げることが可能であるという点でディスク・アセンブリ100と異なる。この押込み作用は、キャップ下に含まれた空気量を動かし、試料をチャネル420に通して標的ウェル422に入れることに役立つ。
【0046】
また、基盤410が脚部を有さず、複数の基盤410が水平面に平らに載置可能な実施形態も例示する。また、基盤410は、基盤110に関して上記で開示したような脚部を備えてもよい。
【0047】
図14〜図17を参照して、水試料試験装置のさらに別の実施形態が概してディスク・アセンブリ500として表されている。前述のディスク・アセンブリの実施形態100〜400と同様、500番台の番号が付されている各要素を除き、前述の実施形態の構造に類似する構造は、同様の符号が付されている。したがって、前述の実施形態に記載された前述の特徴に実質的に類似する、またはそれと同一の特徴は、ここでも符号が付されているけれども、ディスク・アセンブリ500の実施形態に関して、必ずしも再度個別に列挙してはいない。
【0048】
蓋512は、注入口538が内部に形成されるように形成されるが、その外周にカラー部材を含まない。その代わりに、一連の通気孔は蓋512の開口538寄りに形成される。図16に示されるように、キャップ512が蓋512から取外されると、通気孔534は、キャピラリチャネル部520bに流体連通して通気を行う。蓋512にキャップ514を載置する際、通気孔534は、インキュベーション時間中に付加的に空気が進入しないように、封止される。この配置は、標的ウェル522に付加的な空気が入込まないことを確保するという試験条件を有することが重要である場合、特に有益である。
【0049】
図18〜図20を参照して、本明細書で開示される水試料試験装置のさらに別の実施形態は、概して試験装置600として表され、試験装置600は、多くの側面において、前述の実施形態と実質的に類似している。試験装置600の主な相違は、概して長方形の構成に形成されていることである。その他すべての側面において、試験装置600は前述の実施形態に類似しており、本明細書に前述した様々な別の特徴を含むように形成されることが可能である。
【0050】
上述した各実施形態を使用する方法は、実質的に類似し、ここに記載する。実施形態同士の相違が存在するところについて記載する。簡潔に言えば、水試料試験などの液体化試料試験を実施するためには、使用者は、キャップを取外し、約1mlから約5mlの水試料を中央ウェルに注入し、キャップを元に戻し、試験装置を一度反転させて、中央ウェルに残存する過剰な試料を吸収し、特定の試験について、所要の温度で、必要な時間をかけて、試験装置をインキュベートする。結果は、陽性の目標に番号を付して番号が付された陽性をMPN表と比較することによって得られる。
【0051】
試料が中央ウェルに注入されると、粉末培地は、水試料と接触して溶解され、適切な試料と培地との混合物が得られる。中央ウェル内の試料の高さがキャピラリチャネルの高さに到達すると、試料と培地との混合物は、試験装置の外縁に位置するウェルに流れる。
【0052】
装置は、インキュベーション時間中、反転された位置のままであっても、元の直立位置に戻されてもよい。前述したように、これを容易にする実施形態については、複数の試験が同時に行われる場合、基盤がその上に段付脚部が形成された独特の有利な構造であるので、個別の装置は相互に積重ねられてもよい。
【0053】
図21〜図23は、標的微生物を定量化する液体試料試験装置のさらに別の実施形態を例示しており、概して試験装置700として表されている。簡潔に言えば、試験装置700の操作部は、たとえば転写接着剤によって、一体となって保持されるプラスチックフィルムの多層アセンブリを含み、底部702bを覆うように取付けられる上部部分702aを有する2つの部分から成る透明皿などの疎水性の容器で囲まれる。多層フィルム・アセンブリは、上部親水性層710、少なくとも1つのキャピラリチャネル720を内部に含む疎水性のフレーム712、およびプラスチック製の裏打ち層714を含む。
【0054】
好ましくは、上部層710は、親水性表面を有し、クリアポリエステル(PE)材料から成り、試験されている液体試料の上部層710を介する疎水性フレーム712への通過を容易にする。また、上部層710は、表面が親水性であれば、他のいかなるクリアプラスチック材料から成ってもよい。さらに、上部層710は、親水性であってもよく、フレーム712に臨む側に感熱型接着剤または感圧型接着剤が塗布される。この構成によって、転写接着剤または2つの部分を接合する他の接着手段を使用する必要性が無くなる。
【0055】
キャピラリチャネル構造を形成する疎水性フレーム712は、好ましくは、ポリスチレン、ポリエステル、およびPETGから選択された物質から成る。試料ランディングゾーン716は、フレーム712の中央部に規定される。キャピラリチャネル720は、疎水性フレーム712内に形成され、上部層710およびプラスチック製の裏打ち層714がたとえば転写接着剤によって疎水性フレーム712に接着されると、上下から取囲まれる。各キャピラリチャネルは、試料ランディングゾーン716に流体連通し、試料ランディングゾーン716から窪んだ区画に液体試料が分割されるように構成される。キャピラリチャネル720は、前述の実施形態について記載したように、様々にまとめて配置されて、または連続的に配置されて、形成されてよい。
【0056】
図23に示されるように、50本のキャピラリチャネル720が5グループに分けて配置される。各キャピラリチャネル720は、疎水性フレーム712内に形成された反応ウェル722を含む。キャピラリチャネル720および反応ウェル722は、図示したように、またそのような寸法に構成されるか、本明細書で例示および説明された他の実施形態について前述した構成および寸法に構成されてもよい。
【0057】
反応ウェル722は、少なくとも1つの窪んだ区画を含むように形成され、少なくとも1つの窪んだ区画は、そこから半径方向外方に配置される通気スロット724と連通し、毛細管流動を容易にする。各反応ウェル722は、標的とされた生物学的物質の検出のために、試料/培地混合物のアリコートを保持するように、またそのような寸法に構成される。
【0058】
プラスチック製の裏打ち層714は、疎水性のプラスチック層である。好ましくは、ポリエステルまたは他の類似の材料から成る。プラスチック製の裏打ち層714は、この層を貫通して形成される一連の孔726を含み、各孔は、好ましくは、層のアセンブリ上において、孔726がキャピラリチャネル720のグループ間に1つずつ位置付けられるように、半径方向に間隔を空けている(図24参照)。中央孔728は、試料ランディングゾーン716と中心同士が揃うように形成される。また、孔726および728は、過剰な試料を通過させて装置700の底部に導く過程を容易にする。
【0059】
別の実施形態において、装置は、さらに吸収剤パッド730を含んでもよく、吸収剤パッド730は、底部ディスク部702a内の多層プラスチック・アセンブリの下方に位置付けられて、過剰な液体試料を吸収する。吸収剤材料は、ダイカット・ポリエステルフォーム、ポリエーテルフォーム、綿、もしくは酢酸セルロース、または他の適切な吸収剤材料であってもよい。また、過剰な液体試料を含む吸収剤パッドは、加湿源として作用し、アセンブリ700内のアッセイがインキュベーション中に乾燥することを防止する。
【0060】
使用において、上部ディスク部702aは、装置700から取外され、液体試料約3.5mlの接種容量が試料ランディングゾーン716に導かれて、ディスク702aの上部部分が元に戻され、装置700を閉じる。試料の誘導にかかる合計時間は、約5秒である。試料でランディングゾーン716が満たされると、毛管現象によってキャピラリチャネル720に引込まれて、各反応ウェル722を満たす。過剰な試料は、貫通孔726、貫通孔728、または貫通通気スロット724を移動するので、パッド730に吸収される。
【0061】
図24は、標的微生物を定量化する液体試料試験装置のさらに別の実施形態を例示しており、概して試験装置800として表されている。試験装置800の操作部は、一体として保持されるプラスチックフィルムの多層アセンブリを含み、底部802bを覆うように取付けられる上部部分802aを有する2つの部分から成る透明皿などの疎水性の容器で囲まれるという点において、試験装置700と類似している。プラスチックフィルムの多層アセンブリは、試料受容孔816が貫通して形成される上部親水性層810、少なくとも1つのキャピラリチャネル820を内部に含む疎水性のフレーム812、および吸収剤パッド裏打ち層830を含む。疎水性のフレーム812は、射出成形または型押しなどの適切な技術によって形成可能である。さらに、上部層810は、親水性であって、フレーム712に臨む側に感熱型接着剤または感圧型接着剤が塗布されてもよい。この構成によって、転写接着剤または2つの部分を接合する他の接着手段の使用を不要にすることが可能である。
【0062】
しかしながら、試験装置800は、試験装置700のプラスチック製の裏打ち層714のような裏打ち層を含まない。代わりに、通気孔826および中央孔828が疎水性フレーム812の中央領域に形成される。前述の様々な実施形態と同様、キャピラリチャネル820は、前述の実施形態について記載したように、様々にまとめて配置されて、または連続的に配置されて、形成されてよい。試験装置の使用は、試験装置700の場合と同一であり、再度詳細に述べることはしない。さらに、上部層810は、親水性であって、フレーム812に臨む側に感熱型接着剤または感圧型接着剤が塗布されてもよい。この構成によって、転写接着剤または2つの部分を接合する他の接着手段の使用を不要にすることが可能である。
【0063】
図25および図26は、標的微生物を定量化する液体試料試験装置のさらに別の実施形態を例示しており、概して試験装置900として表されている。試験装置900の操作部は、射出成形技術によって試験装置900の下半分901に直接形作られる分配チャネルおよび窪んだ区画を含む。様々な前述の実施形態と同様、キャピラリチャネルおよび標的反応区画は、プラスチックフィルム903を装置900の下半分901上に載置することによって形成される。プラスチックフィルム903は、装置900の下半分901に臨む側に感熱型接着剤または感圧型接着剤が塗布されてもよい。吸収剤リング904は、プラスチックフィルム903上に取付けられて、過剰な液体または液体化試料/培地混合物を吸収することが可能である。また、図26に示されるように、プラスチック・リング905は、プラスチックフィルム903の上に取付けられて、毛管現象によってキャピラリチャネルおよび標的反応区画に分配される前に液体試料または液体化試料/培地混合物を格納してよい。また、図26に見られるように、吸収剤パッド906は、装置900の上半分902に取付けられて、過剰な液体または液体化試料/培地混合物を吸収する。試験装置900の使用は、前述の実施形態における使用と同一であり、再度詳細に述べることはしない。
【0064】
実施例1:水中の従属栄養細菌のバクテリア検出および計数装置
以下は、本発明が水試料中の従属栄養細菌を検出して計数する方法をいかに提供するかに関する例である。このアッセイにおいて使用された装置は、図26に例示された図面に従って構成されている。Tow nsendおよびChenの培地(米国特許第6387650号明細書、米国特許第6472167号明細書、および参照によって本明細書に組込まれる内容全体)が、キャピラリチャネルおよび反応区画に提供されて堆積される。培地は、アミノ酸源と窒素との混合物(2.5グラム/リットル)、ビタミン源の混合物(1.5グラム/リットル)、ピルビン酸ナトリウム(0.3グラム/リットル)、硫酸マグネシウム(0.5グラム/リットル)、ファストグリーン染料(0.2グラム/リットル)、緩衝成分(4.4グラム/リットル)、および酵素基質の混合物(0.105グラム/リットル)を含む。
【0065】
この例の結果は、国際標準規格ISO6222(水質−培養による微生物の計数−栄養寒天培地への接種によるコロニーの計数)に照らして評価された。データは、ISO番号17994の方法(水質−微生物の2種の検出方法の等価性を確立する基準)に記載された統計法を使用して分析された。結果は、以下の表1に示す。合計368種類の水試料が分析され、37℃、または約37℃で、約48時間インキュベートされ、合計339種類の水試料が、22℃、または約22℃で、約72時間インキュベートされた。各水試料の約3.5mLのアリコートが、各装置の試料ランディングエリアに添加された。各水試料は、数秒のうちに、毛管現象によって自動的に全反応区画に分配された。その後、装置は、37℃、または約37℃で、約48時間、もしくは22℃、または約22℃で、約72時間インキュベートされた。水試料中のバクテリア濃度は、殺菌灯(366nm)下で蛍光信号を発する反応区画数を調べることによって決定された。その後、試料中に存在するバクテリアの数は、MPN法に基づいて決定された。ISO番号17994の方法(水質−微生物の2種の検出方法の等価性を確立する基準)に基づくデータ統計分析は、表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に示された結果は、本発明に係る装置および方法によって、水試料中の従属栄養細菌を検出して計数することが可能であり、本発明に係る装置および方法が標準的な基準の方法と同等またはそれよりも良いことを示している。
【0068】
実施例2:腸球菌のバクテリア検出および計数装置
以下は、本発明を使用して微生物を検出して計数する別の方法である。このアッセイにおいて使用された装置は、図26に例示された図面に従って構成されている。その内容全体が参照によって本明細書に組込まれる、Chenらによる米国特許第5620865号明細書の培地(IDEXX社が販売する、試料中の腸球菌検出用のEnterolertTM培地によって実用化されている)は、キャピラリチャネルおよび反応区画に提供されて堆積される。羊血液5%から供給されるトリプチケースソイ寒天(Trypticase Soy Agar)によって同定されるような、公知レベルの大便連鎖球菌ATCC35667が、本発明の装置に接種された(表2)。結果は、図26の装置によって決定される大便連鎖球菌ATCC35667の濃度が、平板測定法で羊血液5%のTSAによって決定される濃度と統計的に同等であることを示した。
【0069】
【表2】
【0070】
本発明は、好適な実施形態に関して具体的に示して説明してきたが、当業者は、形状および細部について、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な変更を行うことができると解される。したがって、上述のような変更は、それらに限定されないが、本発明の範囲内のものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置の実施の一形態の斜視図である。
【図2】図1の試験装置の2つを積層構造で示した斜視図である。
【図3】図1の試験装置の脚部の部分拡大図である。
【図4】別の脚部の構成の部分拡大図である。
【図5】図1の試験装置の個別の各部品を部分ごとに分離して示す斜視図である。
【図6】図1の試験装置の複数のウェルを備えた基盤の平面図である。
【図7】図6の切断線7−7に関する複数のウェルを備えた基盤の部分断面図である。
【図8】組立てた図1の液体試料試験装置の断面図である。
【図9】複数のウェルを備えた基盤の別の実施形態の平面図である。
【図10】複数のウェルを備えた基盤のさらに別の実施形態の平面図である。
【図11】図10の切断線11−11に関する部分断面図である。
【図12】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置の別の実施形態の斜視図である。
【図13】組立てた図12の液体試料試験装置の断面図である。
【図14】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置の別の実施形態の斜視図である。
【図15】図14の試験装置の個別の各部品を部分ごとに分離して示す斜視図である。
【図16】組立てた図14の液体試料試験装置の断面図である。
【図17】図14の液体試料試験装置の部品を部分ごとに分離して示す断面図である。
【図18】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図19】図18の試験装置の部品を部分ごとに分離して示す斜視図である。
【図20】図18の液体試料試験装置の基盤の平面図である。
【0072】
【図21】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図22】図21の試験装置部品を部分ごとに分離して示す斜視図である。
【図23】図21の試験装置のキャピラリチャネルを形成するフレーム要素の平面図である。
【図24】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図25】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図26】本開示内容に従って構成された液体試料試験装置のさらに別の実施形態の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体化試料を個別の容積に分割する装置であって、
下部部材と、
下部部材に隣接して配置される上部部材と、
上部部材と下部部材との間に配置され、上部部材および下部部材によって少なくとも部分的に規定され、第1端部および第2端部を有し、該第1端部は液体を受容する開口を有し、該第2端部は反応区画および通気孔を有する、少なくとも1つのチャネル部材とを含む、液体化試料を個別の容積に分割する装置において、
液体化試料が第1端部に導入されると、毛管現象によって、液体化試料が第1端部から第2端部へと移動させられ、液体化試料の少なくとも一部が反応区画内に残留させられることを特徴とする、液体化試料を個別の容積に分割する装置。
【請求項2】
上部部材および下部部材は液体化試料を受容する中央領域を有し、該中央領域から複数のチャネル部材が半径方向外方に延びることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
液体化試料が中央領域に配置されると、該試料は各チャネル部材に流入し、液体化試料部分が各チャネル部材の各反応区画に配置されることになることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つのチャネル部材は、液体の毛細管流動を向上させるように処理されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
チャネル部材のみが、液体の毛細管流動を向上させるように処理されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
装置の一部に配置された培地をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
培地は、各反応区画に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
培地は、各チャネルに配置されることを特徴とする、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
培地は、中央領域に配置されることを特徴とする、請求項2〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
液体化試料の処分に使用される中央領域は、性質が疎水性であり、チャネルからの液体化試料の逆流を防止することを特徴とする、請求項2〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
中央領域に配置される吸収剤パッドをさらに含むことを特徴とする、請求項2〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、無菌であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
上部部材および下部部材は、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエステル、およびPETGから成る群から選択される物質から成ることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
液体化試料を分割する方法であって、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置を提供し、
液体化試料を提供し、
液体化試料の一部を少なくとも1つのキャピラリチャネルの第1端部に導入し、これによって、液体化試料の一部をキャピラリチャネルの第1端部から第2端部へと移動させることを特徴とする、液体化試料を分割する方法。
【請求項15】
液体化試料は、液体化試料を装置に導入する前に、微生物培地と混合されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
装置は、微生物培地を有し、該微生物培地は、液体化試料を装置に導入する工程において、液体化試料との混合が可能になるように装置と連関することを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
液体試料試験を実施する装置であって、
蓋と、
蓋と一体化したユニットを形成するように動作可能に係合可能な基盤とを含み、該基盤は、
深さを有する試料受容ウェルと、
試料受容ウェルから放射状に延び、試料受容ウェルよりも浅い深さを有する、少なくとも1つのキャピラリチャネルと、
各キャピラリチャネルに形成され、キャピラリチャネルよりも深い深さを有する、少なくとも1つの標的ウェルとを含むことを特徴とする、液体試料試験を実施する装置。
【請求項18】
基盤は、その周囲に延びるオーバフロー・ウェルをさらに含み、該オーバフロー・ウェルは、各標的ウェルとオーバフロー・ウェルとの間に延びるランオフ・チャネルを介して、各標的ウェルと流体連通することを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
オーバフロー・ウェル内に配置された吸収剤リングをさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
標的微生物の生殖を容易にするための、基盤上に担持された培地をさらに含むことを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
培地は、粉末状および溶解可能なタブレットのうちの一方であることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
培地は、試料受容ウェルおよび各標的ウェルのうちの少なくとも一方に分注されることを特徴とする、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
培地は、試料受容ウェルに配置される多孔性の格納固形物および透水性シールのうちの少なくとも一方に保持されることを特徴とする、請求項20〜22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
蓋は、その内部に形成される、少なくとも1つの通気孔を含み、該通気孔は、蓋が基板に固定されると、オーバフロー・ウェルに流体連通することを特徴とする、請求項17〜23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
装置は、円形および直線状のうちの少なくとも一方の形状であることを特徴とする、請求項17〜24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
キャピラリチャネルは、均一に間隔を空けた複数のグループに分けられて基盤上に丸く並べられることを特徴とする、請求項17〜25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
液体試料試験を実施する装置であって、
上半分と、
上半分と係合するように構成され、一体化した中央ランディングゾーンと、該中央ランディングゾーンから放射状に伸びる複数のキャピラリチャネルとを有する下半分と、
下半分に隣接して配置されるフィルム部材であって、該フィルム部材の部分が複数のキャピラリチャネルの部分を形成するフィルム部材と、
フィルム部材に隣接して配置されるリング部材と、
上半分の中央部に固定される吸湿剤パッドとを含む、液体試料試験を実施する装置において、
上半分と下半分とが係合し、吸収剤パッドは、少なくとも部分的にリング部材内部に配置されることを特徴とする、液体試料試験を実施する装置。
【請求項28】
液体試料試験を実施する方法であって、
蓋と、
該蓋と一体化したユニットを形成するように動作可能に係合可能な基盤と、
試料受容ウェルと、
該試料受容ウェルから放射状に延びる、少なくとも1つのキャピラリチャネルと、
各キャピラリチャネルと流体連通するように形成される、少なくとも1つの標的ウェルと、
試料受容ウェルおよび各標的ウェルのうちの少なくとも一方に置かれる培地とを含む液体試料試験装置を提供する工程と、
液体試料の分量を試料受容ウェルに導入する工程と、
特定の試験について、所定温度で所定の時間、該試験装置をインキュベートする工程とを含むことを特徴とする、液体試料試験を実施する方法。
【請求項29】
液体試料の分量を導入する工程は、約1ml〜約5mlの液体試料を試験受容ウェルに導入することを含むことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
陽性目標を計数する工程と、
該陽性目標をMPN表と対比する工程とをさらに含むことを特徴とする、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
該装置は、蓋に形成される開口を封止するキャップをさらに含み、該方法は、
蓋の開口を介して、液体試料を試料受容ウェルに導入する工程と、
蓋上にキャップを載置して開口を閉じる工程とをさらに含むことを特徴とする、請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
該装置は、キャップ内に配置される吸収剤材料を含み、該方法は、キャップが蓋に載置された後、装置を反転させる工程をさらに含むことを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項1】
液体化試料を個別の容積に分割する装置であって、
下部部材と、
下部部材に隣接して配置される上部部材と、
上部部材と下部部材との間に配置され、上部部材および下部部材によって少なくとも部分的に規定され、第1端部および第2端部を有し、該第1端部は液体を受容する開口を有し、該第2端部は反応区画および通気孔を有する、少なくとも1つのチャネル部材とを含む、液体化試料を個別の容積に分割する装置において、
液体化試料が第1端部に導入されると、毛管現象によって、液体化試料が第1端部から第2端部へと移動させられ、液体化試料の少なくとも一部が反応区画内に残留させられることを特徴とする、液体化試料を個別の容積に分割する装置。
【請求項2】
上部部材および下部部材は液体化試料を受容する中央領域を有し、該中央領域から複数のチャネル部材が半径方向外方に延びることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
液体化試料が中央領域に配置されると、該試料は各チャネル部材に流入し、液体化試料部分が各チャネル部材の各反応区画に配置されることになることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つのチャネル部材は、液体の毛細管流動を向上させるように処理されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
チャネル部材のみが、液体の毛細管流動を向上させるように処理されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
装置の一部に配置された培地をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
培地は、各反応区画に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
培地は、各チャネルに配置されることを特徴とする、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
培地は、中央領域に配置されることを特徴とする、請求項2〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
液体化試料の処分に使用される中央領域は、性質が疎水性であり、チャネルからの液体化試料の逆流を防止することを特徴とする、請求項2〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
中央領域に配置される吸収剤パッドをさらに含むことを特徴とする、請求項2〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、無菌であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
上部部材および下部部材は、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエステル、およびPETGから成る群から選択される物質から成ることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
液体化試料を分割する方法であって、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置を提供し、
液体化試料を提供し、
液体化試料の一部を少なくとも1つのキャピラリチャネルの第1端部に導入し、これによって、液体化試料の一部をキャピラリチャネルの第1端部から第2端部へと移動させることを特徴とする、液体化試料を分割する方法。
【請求項15】
液体化試料は、液体化試料を装置に導入する前に、微生物培地と混合されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
装置は、微生物培地を有し、該微生物培地は、液体化試料を装置に導入する工程において、液体化試料との混合が可能になるように装置と連関することを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
液体試料試験を実施する装置であって、
蓋と、
蓋と一体化したユニットを形成するように動作可能に係合可能な基盤とを含み、該基盤は、
深さを有する試料受容ウェルと、
試料受容ウェルから放射状に延び、試料受容ウェルよりも浅い深さを有する、少なくとも1つのキャピラリチャネルと、
各キャピラリチャネルに形成され、キャピラリチャネルよりも深い深さを有する、少なくとも1つの標的ウェルとを含むことを特徴とする、液体試料試験を実施する装置。
【請求項18】
基盤は、その周囲に延びるオーバフロー・ウェルをさらに含み、該オーバフロー・ウェルは、各標的ウェルとオーバフロー・ウェルとの間に延びるランオフ・チャネルを介して、各標的ウェルと流体連通することを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
オーバフロー・ウェル内に配置された吸収剤リングをさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
標的微生物の生殖を容易にするための、基盤上に担持された培地をさらに含むことを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
培地は、粉末状および溶解可能なタブレットのうちの一方であることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
培地は、試料受容ウェルおよび各標的ウェルのうちの少なくとも一方に分注されることを特徴とする、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
培地は、試料受容ウェルに配置される多孔性の格納固形物および透水性シールのうちの少なくとも一方に保持されることを特徴とする、請求項20〜22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
蓋は、その内部に形成される、少なくとも1つの通気孔を含み、該通気孔は、蓋が基板に固定されると、オーバフロー・ウェルに流体連通することを特徴とする、請求項17〜23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
装置は、円形および直線状のうちの少なくとも一方の形状であることを特徴とする、請求項17〜24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
キャピラリチャネルは、均一に間隔を空けた複数のグループに分けられて基盤上に丸く並べられることを特徴とする、請求項17〜25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
液体試料試験を実施する装置であって、
上半分と、
上半分と係合するように構成され、一体化した中央ランディングゾーンと、該中央ランディングゾーンから放射状に伸びる複数のキャピラリチャネルとを有する下半分と、
下半分に隣接して配置されるフィルム部材であって、該フィルム部材の部分が複数のキャピラリチャネルの部分を形成するフィルム部材と、
フィルム部材に隣接して配置されるリング部材と、
上半分の中央部に固定される吸湿剤パッドとを含む、液体試料試験を実施する装置において、
上半分と下半分とが係合し、吸収剤パッドは、少なくとも部分的にリング部材内部に配置されることを特徴とする、液体試料試験を実施する装置。
【請求項28】
液体試料試験を実施する方法であって、
蓋と、
該蓋と一体化したユニットを形成するように動作可能に係合可能な基盤と、
試料受容ウェルと、
該試料受容ウェルから放射状に延びる、少なくとも1つのキャピラリチャネルと、
各キャピラリチャネルと流体連通するように形成される、少なくとも1つの標的ウェルと、
試料受容ウェルおよび各標的ウェルのうちの少なくとも一方に置かれる培地とを含む液体試料試験装置を提供する工程と、
液体試料の分量を試料受容ウェルに導入する工程と、
特定の試験について、所定温度で所定の時間、該試験装置をインキュベートする工程とを含むことを特徴とする、液体試料試験を実施する方法。
【請求項29】
液体試料の分量を導入する工程は、約1ml〜約5mlの液体試料を試験受容ウェルに導入することを含むことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
陽性目標を計数する工程と、
該陽性目標をMPN表と対比する工程とをさらに含むことを特徴とする、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
該装置は、蓋に形成される開口を封止するキャップをさらに含み、該方法は、
蓋の開口を介して、液体試料を試料受容ウェルに導入する工程と、
蓋上にキャップを載置して開口を閉じる工程とをさらに含むことを特徴とする、請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
該装置は、キャップ内に配置される吸収剤材料を含み、該方法は、キャップが蓋に載置された後、装置を反転させる工程をさらに含むことを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図15】
【図16】
【図17】
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【図19】
【図20】
【図21】
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【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2007−503808(P2007−503808A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524832(P2006−524832)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027659
【国際公開番号】WO2005/021157
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(300004500)アイデックス ラボラトリーズ インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027659
【国際公開番号】WO2005/021157
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(300004500)アイデックス ラボラトリーズ インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】
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