説明

液剤塗布具

【課題】本発明は、撥水剤、親水剤などの液剤を自動車のウインドガラスなどの被塗布面に対して均一な圧力で塗布することができ、その結果被塗布面上に均一な厚さの塗膜を形成することができる液剤塗布具を提供することを目的とする。さらに、降雨中における液剤塗布作業においても被塗布面上の水滴を効果的に欠き取ったうえ被塗布面上に均一な厚さの膜を形成することができる液剤塗布具を提供することを目的とする。
【構成】被塗布部に押し付けて液剤を塗布可能な塗布部材と、前記塗布部材を保持するホルダー部と、前記ホルダー部に接続される作業者把持用の取手部とを有する液剤塗布具において、前記塗布部材と取手部間に、前記塗布部材の被塗布部への押し付け力を均一化するための弾性機構が配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水剤、親水剤などの液剤を自動車のウインドガラスなどの被塗布面に塗布するときに用いる液剤塗布具の改良に関するもので、特に被塗布面に対して液剤を均一な圧力で塗布することができ、その結果被塗布面上に均一な厚さの塗膜を形成することができるように改良された液剤塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撥水剤、親水剤などの液剤を自動車のウインドガラスに塗布するときに用いる液剤塗布具として、例えば実用新案登録第3072067号公報に記載された構造のものが知られている。これは、図1および図2に示すように、液剤貯留容器10の筒状開口部11の外周に保持台12を設けるとともに、その保持台12の上に、液剤を染み込ませるためのスポンジ状の塗布部材13を、前記保持台12の一部に形成した係合爪14によって固定した構造のものである。このような構造の液剤塗布具では液剤貯留容器10内の液剤が筒状開口部11を通して塗布部材13に染み込んでいるので、使用する場合は蓋体(キャップ)15を外して、液剤貯留容器10の部分を握って塗布部材13の先端部分を自動車のウインドガラスに宛がったうえ、塗布部材13にある程度の圧力をかけながら上下、左右に動かして塗布部材13から染み出てくる液剤を被塗布面に塗布する。
【0003】
しかしながら、図1および図2に示した液剤塗布具は、塗布部材13の幅、すなわち液剤の塗り幅が比較的小さいため広い領域にわたって液剤を塗布するには手数がかかるのみならず、塗布部材13に均一な圧力をかけながら塗布することは困難であるから、被塗布面上に均一な厚さの塗膜を形成することができないという欠点がある。
【0004】
前記のような欠点を解決するためには、比較的幅が大きい塗布部材を用いてこれに操作用の取手部を組み合わせたうえ、取手部から塗布部材に均一な圧力がかけられるように工夫する必要がある。特開平9−38012号公報には、図3に示すように、その幅を比較的大きく設定することができると思われる本体21の表面22Aおよび裏面22Bに清掃布23を張設するとともに、前記本体21の幅方向の中心部に支持アーム24に連接する回転軸25を挿入した清掃具が記載されている。26は前記清掃布23の端部を挿入して係止させるための溝、27は前記支持アーム24の先端に固定した取手部である。このような清掃具を使用する場合は、先ず、図4のように清掃布を張設した本体21の裏面22Bを被清掃面28に宛がったうえ、支持アーム24によって本体21を前後に動かして被清掃面28の汚れを拭き取る。そして、清掃布に一定以上の汚れが蓄積して清掃能力が低下したら、図5のように支持アーム24を上に引き上げると、本体21は回転して縦方向になるから、引き続いて図6のように、本体21の下端を被清掃面28にあてながら、こんどは図7のように本体21の表面22Aを被清掃面28に宛がって汚れを拭き取るというものである。
【0005】
しかしながら、上記説明から明らかなように、特開平9−38012号公報に記載された技術は、そもそも液剤を自動車にウインドガラスなどの被塗布面29に塗布するという道具ではないうえ、取手部から清掃具本体に均一な圧力を加えるという技術思想に至っては何ら開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3072067号公報
【特許文献2】特開平9−38012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、撥水剤、親水剤などの液剤を自動車のウインドガラスなどの被塗布面に塗布するときに用いる液剤塗布具の改良に関するもので、特に被塗布面に対して液剤を均一な圧力で塗布することができ、その結果被塗布面上に均一な厚さの塗膜を形成することができるように改良された液剤塗布具を提供することを目的とする。さらには、降雨中における液剤塗布作業においても被塗布面上の水分を効果的に欠き取ったうえ被塗布面上に均一な厚さの膜を形成することができる液剤塗布具を提供することをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液剤塗布具は、被塗布部に押し付けて液剤を塗布可能な塗布部材と、前記塗布部材を保持するホルダー部と、前記ホルダー部に接続される作業者把持用の取手部とを有する液剤塗布具において、前記塗布部材と取手部間に弾性機構が配置され、前記弾性機構は塗布部材と取手部間の距離が互いに離間する方向に付勢する弾性部材を有することを特徴とする。このような構造において、通常は前記塗布部材自体も弾性を有するが、被塗布部への液剤塗布時に塗布部材が過剰に圧縮された場合、塗布部材が吸収している液剤が局部的に染み出し、塗りムラの原因になるため、本発明の液剤塗布具において塗布時の圧縮力に対する、塗布部材の変形距離よりも前記弾性機構の変形距離が十分に大きくなるように、前記弾性機構の弾性力を設定すると良い。ただし、後述するように、前記塗布部材の変形距離は液剤の塗ムラが生じないと同時に、降雨中での塗布作業をする場合に被塗布面上の水分を効果的に欠き取る効果も得られる程度であることが望ましい。
【0009】
更に、前記弾性機構は、前記ホルダー部と取手部の結合部に配置することができる。
【0010】
前記ホルダー部と取手部の結合部は、前記ホルダー部の中央上部に設けられた棒状突出部と、前記棒状突出部に対して上下動自在に配置されるシリンダー部と、前記棒状突出部に対する前記シリンダー部の外れ止め手段と、前記取手部の一端に配置された前記シリンダー部からなり、前記シリンダー部と前記ホルダーとの間に、前記シリンダー部と前記ホルダーを互いに離間する方向に付勢する弾性部材が配置されると良い。
【0011】
また、前記弾性機構は、前記弾性部材が前記塗布部材の上端部とホルダー部の内面上部位置との間に配置しても良い。
【0012】
更に、前記弾性機構は、前記塗布部材の上端部に対向して配置された弾性体保持板と、前記弾性体保持板の上面とホルダー部の内面上部位置との間に配置される弾性部材より構成しても良い。
【0013】
更に、前記塗布部材の被塗布部への押し付け状態を表示可能な塗布圧状態表示機構を有すると良い。この様な構造では、弾性体保持板の上面に塗布圧状態表示用のピンを設け、ホルダー部の上面に塗布圧状態表示用のピンの突出孔を設けて塗布圧状態表示部とすることができる。上記構成において、ホルダー部に設けた棒状突出部は、取手部から弾性機構を介して塗布部材に圧力が加わり、被塗布面に対して適切な押し付け力が加わった状態において、ホルダー部の突出孔から突出するようにしておけば、被塗布面に塗布部材が適圧で押し付けられていることを示す塗布圧状態表示部すなわちインジケータとなる。
【0014】
更に、前記塗布部材は、スポンジ状部材と前記スポンジ状部材の下方部の周囲に配置される布部材とを有し、前記ホルダー部は下方に向かって形成された少なくとも一対の壁面を有するスポンジ状部材収納部と前記布部材の両端部を着脱可能に固定する布部材固定機構とを有し、前記スポンジ状部材は、その上部を前記スポンジ状部材収納部に挿入した状態で、前記布部材の中央部によって、ホルダー部から離脱しないように保持される構成からなると良い。前記布部材固定機構は、後述の実施例では、中央に前記塗布部材が突出可能な開口部を有する枠状部材を有し、前記枠状部材はその一端が前記ホルダー部の一端に回動可能に接続され、他端には前記ホルダーの他端との係止部が形成され、更に前記枠状部材とホルダー部間にウエスと称される布部材の少なくとも一部が挟持されるように構成される。尚、前記布部材として、不織布や、マイクロファイバーを使用した織物を使用すると良い。
【0015】
更に、前記スポンジ状部材が、連続気泡によって構成されると良い。
【0016】
更に、前記スポンジ状部材は、無負荷状態において、その上方の少なくとも半分以上の部分が前記スポンジ状部材収納部の空間内に収納される様に構成されると良い。前記スポンジ状部材は、内部に形成された連続気泡内に液剤が保持されるが、塗布作業時に前記スポンジ状部材が圧縮されると、スポンジ状部材の内部に形成された連続気泡の体積が縮小し、液剤を保持可能な容積が縮小する。よって被塗布部への液剤の塗布作業時のスポンジ状部材の内部に形成された連続気泡の縮小を制御する事ができ、液剤の補給無しで被塗布面に塗布可能な面積が上げる事ができる。
【0017】
更に、前記塗布部材の被塗布部への押し付け状態における、被塗布部方向への前記塗布部材の変形距離よりも、前記弾性部材の被塗布部方向への変形距離の方が大きくなる様に、前記塗布部材の弾性力と前記弾性部材の弾性力が夫々設定されると良い。この構成により、被塗布面に対する単位面積当たりの塗布量を安定させる事ができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、塗布部材と取手部との間に、塗布部材の被塗布面への押し付け力を調節して均一化するための弾性機構が設けてあるため、被塗布面に対して液剤を均一な圧力で塗布することができ、その結果被塗布面上に均一な厚さの塗膜を形成することができる。さらには、降雨中における液剤塗布作業においても被塗布面上の水分を効果的に欠き取ったうえ被塗布面上に均一な厚さの膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の液体塗布具の一部切欠き側面図である。
【図2】従来の液体塗布具の一部分の断面図である。
【図3】従来の清掃具の斜視図である。
【図4】従来の清掃具の使用状態の説明図である。
【図5】従来の清掃具の使用状態の説明図である。
【図6】従来の清掃具の使用状態の説明図である。
【図7】従来の清掃具の使用状態の説明図である。
【図8】本発明に係る液体塗布具の第一実施例の基本的構成を示す断面図である。
【図9】本発明に係る液体塗布具の第二実施例の基本的構成を示す断面図である。
【図10】本発明に用いる塗布部材の断面図である。
【図11】本発明に用いる塗布部材の断面図である。
【図12】本発明に用いる塗布部材の断面図である。
【図13】本発明に係る液体塗布具の第一実施例の分解状態の斜視図である。
【図14】本発明に係る液体塗布具の第一実施例の組立状態の断面図である。
【図15】本発明に係る液体塗布具の第二実施例の分解状態の斜視図である。
【図16】本発明に係る液体塗布具の第三実施例の基本的構成を示す断面図である。
【図17】本発明に係る液体塗布具の第四実施例の基本的構成を示す断面図である。
【図18】本発明に係る液体塗布具の第五実施例の基本的構成を示す断面図である。
【図19】本発明に係る液体塗布具の第五実施例における塗布圧状態表示手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の液剤塗布具は、被塗布部に押し付けて液剤を塗布可能な塗布部材30と、前記塗布部材30を保持するホルダー部31と、前記ホルダー部31に接続される作業者把持用の取手部36とを有し、前記塗布部材30と前記取手部36間には前記塗布部材30の被塗布部への押し付け力を均一化するための弾性機構が配置され、前記弾性機構は塗布部材と取手部を互いに離間する方向に付勢する弾性部材を有するものである。
【実施例1】
【0021】
図8は、本発明に係る液体塗布具の第一実施例の基本的構成を示す断面図である。同図において、30は被塗布部に押し付けて液剤を塗布可能な塗布部材であって、例えばスポンジ状部材30Aの表面の大部分を布部材30Bで覆って構成されており、前記スポンジ状部材30Aに液剤が染み込ませてある。31は前記塗布部材30を保持するホルダー部であって、当該ホルダー部31の上部中央には棒状突出部32が設けてある。33は前記棒状突出部32対して上下動自在に配置されたシリンダー部であって、止め金具34によって上方に抜け出ないようにしてある。35は前記シリンダー部33と前記ホルダー31との間に張設されたコイルバネである。36は前記シリンダー部33に嵌装されていて前記棒状突出部32の突出孔37を有する取手部である。
【0022】
このような構成の液体塗布具によって、撥水剤、親水剤などの液剤を自動車のウインドガラスなどの被塗布面29に塗布するときは、取手部36の部分を持って塗布部材30の先端部を被塗布面29に宛がう。前記塗布部材30は単に被塗布面29に宛がった状態では、図10に示すように何ら変形していない。図10において、30Aはスポンジ状部材、30Bは布部材であり、次に取手部36の部分を持って塗布部材30を被塗布面29に押し付けていくと、先ず前記コイルバネ35が変形し始めて塗布部材30を被塗布面29に押し付けるため塗布部材30の一部は図11に示すように変形し、スポンジ状部材30Aに保持されていた液剤は外部に染み出してくるので、この状態で取手部36を上下に動かせば被塗布面29に上下方向に塗膜が形成される。更に取手部36の部分を持って塗布部材30を被塗布面29に押し付けていくと、塗布部材30の一部は図12に示すように大きく変形し、スポンジ状部材30Aに保持されていた液剤が局部的に染み出し、塗りムラの原因になる。
【0023】
降雨中の塗布作業においても、図10に示すように塗布部材30を単に被塗布面29に宛がった状態で取手部36を上下、左右に動かしても被塗布面29上の水分を効果的に欠き取ることはできないが、図11に示すような状態において塗布作業を行えば、被塗布面29上の水分を効果的に欠き取ったうえ均一な塗膜を形成することができる。したがって、図8の構成において、塗布部材30が図11の状態のときに棒状突出部32の先端部が取手部36の突出孔37から突出して塗布部材30の被塗布面29に対する押し付ける力が適切であることを表示するようにしておけば、均一な塗膜を形成することが容易である。尚、上記スポンジ状部材30Aの変形状態は、使用目的や、材質、サイズ、発泡密度等によって変化するため、適切なスポンジ状部材30Aの変形度合いや変形時の形状は、図11に示す状態に限定されない。
【0024】
図13、図14は、それぞれ図8の基本的構成に基づいて設計した具体的実施例の分解状態の斜視図と、組立状態の断面図であり、30は塗布部材、30Aはスポンジ状部材、30Bは布部材である。また、前記ホルダー部31は、下方に向かって形成された少なくとも一対の壁面を有するスポンジ状部材収納部31Aと前記布部材30Bの両端部を着脱可能に固定する布部材固定機構31Bとを有し、前記スポンジ状部材30Aは、その上部を前記スポンジ状部材収納部31Aに挿入した状態で、前記布部材30Bの中央部によって、ホルダー部31から離脱しないように前記布部材固定機構31Bによって保持されている。この布部材固定機構31Bは、この実施例では、中央に前記塗布部材30Bが突出可能な開口部を有する枠状部材31Cを有し、前記枠状部材31Cはその一端が前記スポンジ状部材収納部31Aの一端に軸39によって回動可能に接続され、他端には前記スポンジ状部材収納部31Aの他端との係止部40が形成され、更に前記枠状部材31Cと前記スポンジ状部材収納部31A間に前記布部材30Bの少なくとも一部が挟持されるように構成される。
【0025】
尚、前記スポンジ状部材30Aは被塗布部に押し付けた際に十分な必要量の液剤を染み込ませる事ができる様に連続気泡で構成されている事が望ましいが、本発明のスポンジ状部材30Aは連続気泡で構成されたスポンジには限定されず、全部または一部に独立気泡のスポンジを併用しても良い。更にホルダー部31または取手部36などに、別途液剤供給用容器(図示せず)を配置して使用時に塗布部材に自動供給する様に構成しても良い。
【0026】
前記ホルダー部31と取手部36の結合部は、前記ホルダー部31の中央上部に形成された棒状突出部32と、前記棒状突出部の周囲部を覆い、前記棒状突出部32に対して上下方向に摺動自在に形成されるシリンダー部33と、前記棒状突出部32に対する前記シリンダー部33の外れ止め手段と、前記取手部36の一端に形成された前記シリンダー部33との連結機構からなり、前記シリンダー部33と前記ホルダー部31との間には、前記シリンダー部33と前記ホルダー部31を互いに離間する方向に付勢する弾性部材が配置される。前記弾性部材としては、コイルバネ、トーションバネ、空気バネなどのバネや、ゴム、ウレタン系樹脂、独立気泡を有する樹脂など既存の技術を適切に用いることができる。
【0027】
前記棒状突出部32に対する前記シリンダー部33の外れ止め手段は、前記棒状突出部32の中心部にボルト32Bが挿通可能な孔32Aが形成され、前記シリンダー部33の中央上部には前記棒状突出部32が挿通可能な孔33Aが形成され、前記シリンダー部33と前記ホルダー31との間に前記シリンダー部33と前記ホルダー31を互いに離間する方向に付勢するコイルバネ35を配置された状態で、前記ホルダー部31の棒状突出部32の中心部に形成された孔32Aにボルト32Bが下方から上方に向かって挿入され、前記ボルト32Bの先端部が前記シリンダー部33に形成された孔33Aから突出した状態で、前記ボルト32Bの先端部は前記孔33Aの内径よりも大きい外径のワッシャからなる止め金具34を介してナット32Cよって固定される構成よりなり、そして前記ナット32Cの上部にはキャップ38が装着される。尚、前記棒状突出部32に対する前記シリンダー部33の外れ止め手段は、本実施例に限定されず、既存の外れ止め手段を応用する事ができる。
【0028】
前記取手部36の一端に形成された前記シリンダー部33との連結機構は、前記シリンダー部33に係合部33Bが形成され、前記作業者把持用の取手部36の一端には、前記シリンダー部33の周囲を取り囲む保持部36Aが形成され、前記保持部36Aの略中央部には前記キャップ38が通過可能な孔37が形成されると共に、前記保持部36Aの下端には前記シリンダー部33の係合部33Bと係合可能な係止爪部36Bが形成されると共に、前記係合部33Bに対する係止爪部36Bの係合状態を解除可能な解除レバー部36Cが形成される様に構成される。尚、前記取手部36の一端に形成された前記シリンダー部33との連結機構は、本実施例に限定されず、連結機構を応用する事ができる。更に、前記取手部36と前記シリンダー部33は、同一部品、もしくは別部品の結合によって一体に構成しても良い。
【実施例2】
【0029】
図9は本発明に係る液体塗布具の第二実施例の基本的構成を示す断面図である。同図において、30は被塗布部に押し付けて液剤を塗布可能な塗布部材であって、例えばスポンジ状部材30Aの表面の大部分を布部材30Bで覆って構成されており、前記スポンジ状部材30Aに液剤が染み込ませてある。31はホルダー部であって、前記塗布部材30の大部分を収納するスポンジ状部材収納部31Aなどで構成されている。前記スポンジ状部材収納部31Aの上部中央には取手装着部31Eが設けてある。36は前記取手装着部31Eに対してネジその他の手段で取り付けた取手部27である。また、31Dは前記塗布部材30の上端部に設けた弾性体保持板であって、この弾性体保持板31Dの上面には一対の棒状突出部例えばピン32A、32Bが設けてある。これらのピン32A、32Bの位置に対応して前記スポンジ状部材収納部31Aには一対の突出孔37A、37Bが設けてある。35A、35Bは前記スポンジ状部材収納部31Aと前記弾性体保持板31Dとの間に張設した弾性機構例えばコイルバネ35A、35Bである。
このような構成の液剤塗布具によっても図8の構成の液剤塗布具と同様に、被塗布面29に対する押し付ける力を適切に調節して均一な塗膜を形成できることは明らかである。
【0030】
図15は、図9の基本的構成に基づいて設計した具体的実施例の分解状態の斜視図である。同図において、30は塗布部材、30Aはスポンジ状部材、30Bは布部材である。また、前記ホルダー部31は、下方に向かって形成された少なくとも一対の壁面を有するスポンジ状部材収納部31Aと前記布部材30Bの両端部を着脱可能に固定する布部材固定機構31Bとを有し、前記スポンジ状部材30Aは、その上部を前記スポンジ状部材収納部31Aに挿入した状態で、前記布部材30Bの中央部によって、ホルダー部31から離脱しないように前記布部材固定機構31Bによって保持されている。
【0031】
この布部材固定機構31Bは実施例では、中央に前記塗布部材30Bが突出可能な開口部を有する枠状部材31Cを有し、前記枠状部材31Cはその一端が前記スポンジ状部材収納部31Aの一端に軸によって回動可能に接続され、他端には前記スポンジ状部材収納部31Aの他端との係止部が形成され、更に前記枠状部材31Cと前記スポンジ状部材収納部31A間に前記布部材30Bの少なくとも一部が挟持されるように構成される。31Dは前記塗布部材30の上端部に配置して前記ホルダー部31のスポンジ状部材収納部31に収納される弾性体保持板であり、32A、32Bは前記弾性体31Dの上部に設けた一対のピンである。また、35A、35Bはそれぞれ前記ピン32A、32Bを通して前記スポンジ状部材収納部31と前記弾性体保持板31Dとの間に張設されたコイルバネである。37A、37Bは前記スポンジ状部材収納部31Aに形成したピンの突出孔、31Eは前記スポンジ状部材収納部31Aの上部中央形成した取手装着部で、この取手装着部31Eにネジ41などにより取手部36が固定される。このような具体的実施例における液剤の塗布方法とその効果も図8について説明したとおりであるので省略する。
【実施例3】
【0032】
図16は、塗布部材30を保持するホルダー部31と取手部36との間に弾性機構としてトーションバネ41A、41Bを配置した実施例の基本的構成を示すものである。塗布部材30が被塗布面29に対して適圧で押し付けられていることを示すインジケータは省略してある。
【実施例4】
【0033】
図17は、塗布部材30を保持するホルダー部31と取手部36との間に弾性機構としてスポンジ状部材やゴムなどのクッション材42A、42Bを配置した実施例の基本的構成を示すものである。塗布部材30が被塗布面29に対して適圧で押し付けられていることを示すインジケータは省略してある。
【実施例5】
【0034】
図18は、塗布部材30を保持するホルダー部31と取手部36との間に弾性機構として空気バネ43A、43Bを配置した実施例の基本的構成を示すものである。塗布部材30が被塗布面29に対して適圧で押し付けられていることを示すインジケータは省略してある。
【実施例6】
【0035】
図19は取手部36の一部に、塗布部材30を保持するホルダー部31に圧力を加えたときに当該圧力が適圧であることを知らせるインジケータ44を設けたもので、当該インジケータ44は、図8に示すような構造のものだけでなく、パイロットランプやブザーなど、光や音で知らせるものであってもよい。尚、本発明の液剤塗布具は、撥水剤、親水剤などの液剤の塗布具のみならず、ペンキや他の液剤の塗布具など広い分野に利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
撥水剤、親水剤などの液剤の塗布具として産業上の利用可能であり、更にペンキや他の液剤の塗布具として広い分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10:液剤貯留容器、11:筒状開口部、12:保持台、13:塗布部材、14:係合爪、15:蓋体(キャップ)、21:本体、22A:表面、22B:裏面、23:清掃布、24:支持アーム、25:回転軸、26:溝、27:取手部、28:被清掃面、29:被塗布面、30:塗布部材、30A:スポンジ状部材、30B:布部材、31:ホルダー部、31A:スポンジ状部材収納部、31B:布部材固定機構、31C:枠状部材、31D:弾性体保持板、31E:取手装着部、32:棒状突出部、32A:孔、32B:ボルト、32C:ナット、33:シリンダー部、33A:孔、33B:係合部、34:止め金具、35:コイルバネ、35A:コイルバネ、35B:コイルバネ、36:取手部、36A:保持部、36B:係合爪部、36C:解除レバー部、37:突出孔、37A:突出孔、37B:突出孔、38:キャップ、39:軸、40:係止部、41:ネジ、41A:トーションバネ、41B:トーションバネ、42A:クッション材、42B:クッション材、43A:空気バネ、43B:空気バネ、44:インジケータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布部に押し付けて液剤を塗布可能な塗布部材と、前記塗布部材を保持するホルダー部と、前記ホルダー部に接続される作業者把持用の取手部とを有する液剤塗布具において、
前記塗布部材と取手部間に弾性機構が配置され、前記弾性機構は塗布部材と取手部間の距離が互いに離間する方向に付勢する弾性部材を有することを特徴とする液剤塗布具。
【請求項2】
前記弾性機構は、前記ホルダー部と取手部の結合部に配置されることを特徴とする請求項1記載の液剤塗布具。
【請求項3】
前記ホルダー部と取手部の結合部は、前記ホルダー部の中央上部に設けられた棒状突出部と、前記棒状突出部に対して上下動自在に配置されるシリンダー部と、前記棒状突出部に対する前記シリンダー部の外れ止め手段と、前記取手部の一端に配置された前記シリンダー部からなり、前記シリンダー部と前記ホルダーとの間に、前記シリンダー部と前記ホルダーを互いに離間する方向に付勢する弾性部材が配置されることを特徴とする請求項2に記載の液剤塗布具。
【請求項4】
前記弾性機構は、前記弾性部材が前記塗布部材の上端部とホルダー部の内面上部位置との間に配置されることを特徴とする請求項1記載の液剤塗布具。
【請求項5】
前記弾性機構は、前記塗布部材の上端部に対向して配置された弾性体保持板と、前記弾性体保持板の上面とホルダー部の内面上部位置との間に配置される弾性部材より構成されることを特徴とする請求項4記載の液剤塗布具。
【請求項6】
前記塗布部材の被塗布部への押し付け状態を表示可能な塗布圧状態表示機構を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の液剤塗布具。
【請求項7】
前記塗布部材は、スポンジ状部材と前記スポンジ状部材の下方部の周囲に配置される布部材とを有し、前記ホルダー部は下方に向かって形成された少なくとも一対の壁面を有するスポンジ状部材収納部と前記布部材の両端部を着脱可能に固定する布部材固定機構とを有し、前記スポンジ状部材は、その上部を前記スポンジ状部材収納部に挿入した状態で、前記布部材の中央部によって、ホルダー部から離脱しないように保持される構成からなることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の液剤塗布具。
【請求項8】
前記スポンジ状部材が、連続気泡によって構成されることを特徴とする請求項7記載の液剤塗布具。
【請求項9】
前記スポンジ状部材は、無負荷状態において、その上方の少なくとも半分以上の部分が前記スポンジ状部材収納部の空間内に収納されることを特徴とする請求項7または8記載の液剤塗布具。
【請求項10】
前記塗布部材の被塗布部への押し付け状態における、被塗布部方向への前記塗布部材の変形距離よりも、前記弾性部材の被塗布部方向への変形距離の方が大きくなる様に、前記塗布部材の弾性力と前記弾性部材の弾性力が夫々設定されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項記載の液剤塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−27848(P2013−27848A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167522(P2011−167522)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(391021226)株式会社カーメイト (100)
【Fターム(参考)】