説明

液吐出不良検出装置、インクジェット記録装置、及び液吐出不良検出方法

【課題】液吐出不良の判別を精度よく行うことを可能とする。
【解決手段】液吐出不良検出装置1では、複数のノズル101から吐出される液滴107の飛行経路に102から光ビーム104を照射し、光ビーム104が飛行する液滴107に衝突して生じる前方散乱光109を受光部106で受光し、前方散乱光109の光強度の変化に応じた波形データを取得する。吐出制御部111は、不良判定を行うノズル101より、光ビーム104のビーム径内に一滴の液滴が入る間隔で液滴107を吐出させる。データ処理部112は、吐出した液滴107から取得した波形データを記憶し、複数の液滴107から取得した波形データの特徴量を集計する。不良判定部113は、集計された特徴量に基づいて液吐出不良を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液吐出不良検出装置、インクジェット記録装置、及び液吐出不良検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、微細なノズルから微小な各色インク滴(液滴)を吐出する各色のインクジェットヘッドを備え、用紙等の記録媒体に対してそのインクジェットヘッドを移動させながら液滴を吐出することで記録媒体上に画像形成を行う。高解像度の画像形成のためにはノズルを微細化して液滴サイズを微小化する必要があるが、ノズルが微細なため、印刷停止時にインクが乾燥する等してノズル詰まりが起きて液滴の吐出不良(液吐出不良)が発生し、画像にドット抜け等が生じて画像品質が低下する問題がある。
【0003】
この問題を解決するため、インクジェット記録装置には、液吐出不良を検出する液吐出不良検出装置が備えられている。例えば、ノズルから吐出する液滴に、レーザダイオード等の発光素子から射出したレーザ光を照射して遮蔽された光(遮蔽光)をフォトダイオード等の受光素子で受光し、受光素子が得る出力電圧と基準電圧値とを比較して、液滴が正常に吐出されたか否かを判定する液吐出不良検出装置が知られている。
【0004】
上述した遮蔽光による液吐出不良検出(遮蔽光方式)では、受光素子が得る出力電圧(受光信号)のS/N比を上げるため、レーザ径内に複数滴入る間隔で液滴を吐出させて、レーザ径内に複数の液滴を入れることでS/N比の改善を経っている(特許文献1、5、6)。また、遮蔽光方式では、インクの色による透過性の違いにより受光素子で得られる出力電圧が異なることから、インクの色を問わず同等の出力電圧を得るために、インクの色によりレーザ径内に入る液滴の数の変更や、液滴の体積の変更を行うものがある(特許文献7)。また、液吐出不良を判別する方法としては、受光素子が得る出力電圧をコンパレータに入れて判別する方法(特許文献4)、複数の良波形の平均的な波形と検査対象の波形とを比較して判別する方法(特許文献3)また、遮蔽光方式などの光検知方式の他には、ヘッド内部の圧電素子に流れる電流波形により液吐出不良の判別を行う方法もある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4227395号公報
【特許文献2】特開2008−254239号公報
【特許文献3】特開2002−11871号公報
【特許文献4】特許第3820830号公報
【特許文献5】特許第4074920号公報
【特許文献6】特許第3876700号公報
【特許文献7】特開2000−233520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の液吐出不良検出装置では、十分な精度で液吐出不良を検出できない場合があり、誤判定となることがあった。例えば、遮蔽光方式では、受光信号のS/N比を上げるためにはレーザ径内に複数の液滴を入れる必要があるが、レーザ径内に入る程度の液滴数(5適程度)では、S/N比が十分に得られない場合がある。また、光検知方式以外の方式では、ヘッド内部の圧電素子に流れる電流波形を計測するための専用回路を組み込む必要があり、高コストとなる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、液吐出不良の判別を精度よく行うことができる液吐出不良検出装置、インクジェット記録装置、及び液吐出不良検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の液吐出不良検出装置は、複数のノズルから吐出される液滴の飛行経路に発光素子から光ビームを照射し、当該光ビームが飛行する前記液滴に衝突して生じる散乱光を受光素子で受光し、前記散乱光の光強度の変化に応じた波形データを取得する取得手段と、複数の前記ノズルの中で不良判定を行うノズルより、前記光ビームのビーム径内に一滴の液滴が入る間隔で前記液滴を吐出する吐出手段と、前記吐出手段が吐出した前記液滴から取得した前記波形データを記憶する記憶手段と、複数の前記液滴から取得した前記波形データの特徴量を集計する集計手段と、集計された前記特徴量に基づいて液吐出不良を検出する検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の液吐出不良検出方法は、複数の前記ノズルの中で不良判定を行うノズルより前記液滴を吐出する工程と、複数のノズルから吐出される液滴の飛行経路に発光素子から光ビームを照射し、当該光ビームが飛行する前記液滴に衝突して生じる散乱光を受光素子で受光し、前記散乱光の光強度の変化に応じた波形データを取得する工程と、前記吐出手段が吐出した前記液滴から取得した前記波形データを記憶する工程と、複数の前記液滴から取得した前記波形データの特徴量を集計する工程と、集計された前記特徴量に基づいて液吐出不良を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液吐出不良の判別を精度よく行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態にかかる液吐出不良検出装置の主要部周辺の構成例を示す説明図である。
【図2】図2は、受光部、データ処理部の構成例を示す図である。
【図3】図3は、液吐出不良の検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、波形データの一例を示すグラフである。
【図5−1】図5−1は、波形データの特徴量の取得を説明するための概念図である。
【図5−2】図5−2は、波形データの特徴量の取得を説明するための概念図である。
【図5−3】図5−3は、波形データの特徴量の取得を説明するための概念図である。
【図5−4】図5−4は、波形データの特徴量の取得を説明するための概念図である。
【図6】図6は、液滴の吐出を例示する概念図である。
【図7】図7は、波形データの一例を示す概念図である。
【図8】図8は、変形例にかかる液吐出不良の検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、波形データから求めたFFTスペクトルの一例を示す概念図である。
【図10】図10は、波形データから求めたFFTスペクトルの一例を示す概念図である。
【図11】図11は、液吐出不良検出装置を備えるインクジェット記録装置の一例の構成を正面から示す概念図である。
【図12】図12は、インクジェット記録装置の一部を斜め上から観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる液吐出不良検出装置、インクジェット記録装置、及び液吐出不良検出方法の一実施形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施形態にかかる液吐出不良検出装置の主要部周辺の構成例を示す説明図である。図1に示すように液吐出不良検出装置1は、複数のノズル101を有し、各ノズル101からインク滴(液滴)を画像信号に応じて吐き出して用紙等の記録媒体に記録を行なう記録ヘッド100の液吐出不良を検出する装置であり、インクジェット記録装置(詳細は後述する)に備えられている。
【0014】
具体的には、液吐出不良検出装置1は、複数のノズル101の中で不良判定を行うノズル101より液滴107を吐出させ、その液滴107の飛行経路にレーザダイオード等の発光素子102から平行光に補正するコリメートレンズ103を介して光ビーム104(レーザ光)を照射する。すなわち、液滴107の飛行経路の途上では、光ビーム104の光ビーム光軸105が略直交するように交わっている。この時、光ビーム104が飛行する液滴107に衝突して散乱光108、前方散乱光109が生じる。
【0015】
受光部106は、光ビーム光軸105のビーム径から外れた位置で、光ビーム104が液滴107に衝突して角度θで生じる前方散乱光109を受光する。図2は、受光部106、データ処理部112の構成例を示す図である。
【0016】
図2に示すように、液吐出不良を検出する際には、n1〜nNの複数のノズル101の中で、液吐出不良の検出を行うノズル101(nX)から所定の間隔で液滴107(d1〜dK)を吐出させる。吐出された液滴107は、ノズル101から距離H飛行したところで光ビーム104と交わる。この光ビーム104と液滴107との交わりにより、上述した散乱光108、前方散乱光109が生じる。生じた前方散乱光109は、光ビーム104の下に配置した受光部106により受光される。なお、距離Hは、記録ヘッド100のノズル101が設けられた底面から光ビーム光軸105までの高さであり、具体的には3mm〜7mm程度である。
【0017】
受光部106は、受光素子1061、電流電圧変換部1062、ハイパスフィルタ部1063、増幅部1064、A/D変換部1065を有する構成である。受光素子1061は、受光した光強度に応じた電流を出力するフォトダイオードなどである。電流電圧変換部1062は、入力された電流を電圧に変換する回路などであり、受光素子1061が出力する電流を電圧に変換して出力する。ハイパスフィルタ部1063は、電流電圧変換部1062より出力される電圧のDC成分(ノイズ成分)を除去・低減する。増幅部1064は、ハイパスフィルタ部1063より出力された電圧を増幅する。A/D変換部1065は、増幅部1064により増幅された電圧(アナログ)をディジタル変換してデータ処理部112へ出力する。
【0018】
これにより、データ処理部112は前方散乱光109の光強度の変化に応じた電圧値(波形データ)を得る。図では受光部106は、光ビーム104の下に配置しており、光ビーム径と受光部106の受光面が重ならない位置で、できるだけ光ビーム光軸105の中心近くに受光素子1061を配設することにより、効率の良い検出が可能となる。また、受光部106はこの散乱光108、特に散乱光108の中で光強度が強い前方散乱光109を受光することにより、その光強度を電圧値として計測することができ、光ビーム104のビーム径内に1滴の液滴107が入れば十分にS/N比を持った電圧値を得ることができるため、1滴ごとの液滴107の挙動を電圧値の波形として捉えることができる。また、インク色による電圧値の出力差も生じないことから、インク色ごとに吐出条件等を変更する必要もない。
【0019】
データ処理部112では、複数の液滴107を吐出させて液滴107ごとの波形データを記憶手段としてのメモリ1121に記憶し、記憶した波形データの特徴量(詳細は後述する)を集計手段としての演算部1122で集計する。液吐出不良検出装置1では、この集計した値をもとに液滴107が正常に吐出されたか否かを判定する。
【0020】
上述した動作を制御する構成として、液吐出不良検出装置1は、制御部110、ノズル駆動部120、発光駆動部130を備える。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、タイマーなどを有するマイクロコンピュータシステムで構成され、ROMに格納されたプログラムをRAMに展開してCPUが順次実行することで、液吐出不良検出装置1の動作を中央制御する。制御部110は、上述したCPUがプログラムを順次実行することで、吐出制御部111、データ処理部112、不良判定部113としての機能を実現する。
【0021】
吐出制御部111は、ノズル101からの液滴107の吐き出しを行うノズル駆動部120や、発光素子102の発光を行う発光駆動部130に制御信号を出力して、記録ヘッド100の液吐出不良を検出する際の液滴107の吐出や発光素子102の発光を制御する。具体的には、記録ヘッド100の液吐出不良の検出開始に伴い、発光素子102の発光を開始させ、液吐出不良の検出を行うノズル101からの液滴107の吐き出しを開始させる。吐出制御部111による液滴107の吐き出し間隔は、光ビーム104のビーム径内に1滴の液滴107が入る程度の間隔であり、吐出される液滴107の速度やビーム径などの設計事項をもとに工場出荷時などに予め設定された値(例えば500Hz)である。
【0022】
データ処理部112は、複数の液滴107を吐出させて液滴107ごとの波形データの特徴量を集計するデータ処理を行う。具体的には、制御部110のRAMに確保された作業領域をメモリ1121とし、CPUがプログラムを順次実行することで演算部1122としての機能を実現することで、上述したデータ処理を行う。不良判定部113は、データ処理部112が集計した値をもとに液滴107が正常に吐出されたか否かを判定することで、液吐出不良の検出を行う。
【0023】
ここで、データ処理部112、不良判定部113による液吐出不良の検出処理の詳細について説明する。図3は、液吐出不良の検出処理の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、本実施形態では、MT(Mahalanobis Taguchi)法を用い、複数の液滴107から取得した波形データの特徴量を集計して得られたマハラノビス距離MDを基に液吐出不良の判定を行っている。
【0024】
なお、液吐出不良の検出処理に先立って、メモリ1121には、液吐出不良の検出を行うノズル101(nX)から複数の液滴107を吐出させた際に受光部106で検出された波形データが格納されているものとする。図4は、波形データの一例を示すグラフである。図4に示すように、メモリ1121は、例えばノズル101から3滴の液滴107(d1〜d3)が吐出された場合には、そのd1〜d3対応のピークを含む波形データが格納される。具体的には、d1の液滴107に対応した時間td1における電圧vd1のピーク、d2の液滴107に対応した時間td2における電圧vd2のピーク、d3の液滴107に対応した時間td3における電圧vd3のピークがある波形データが格納される。
【0025】
また、本実施形態では、マハラノビス距離MDを基に液吐出不良の判定を行う際に必要な単位空間情報を取得するため、正常なノズル101から吐出された3滴(K=3)の波形データを100波形(n=100)分、サンプルとして取得しているものとする。ここで、ノズル101ごとのばらつきを考慮するため、異なるノズル101でサンプルを取得しておいてもよい。
【0026】
先ず、マハラノビス距離MDを基に液吐出不良の判定を行うための単位空間情報の取得フローについて説明する。図3に示すように、単位空間情報の取得フローが開始されると、データ処理部112は、正常なノズル101のサンプルとして取得した100波形分の特徴量をi番目から順次抽出するため、i=1を設定する(S10)。
【0027】
次いで、演算部1122は、i番目のサンプルからメモリ1121に格納された波形データの入力を受け付け(S11)、ディジタルフィルタによりノイズ成分を除去する(S12)。次いで、演算部1122は、ノイズ成分を除去した波形データより、波形の特徴量を取得する(S13)。
【0028】
波形の特徴量としては、波形のピークにおける電圧値の標準偏差等、正常なノズル101による波形と、液吐出不良があるノズル101による波形との間で差異が生じる特徴量であればいずれであってよい。本実施形態では、複数の基準電圧を閾値とし、その閾値と波形の交点により算出する変化量、存在量を特徴量とする。
【0029】
図5−1〜図5−4は、波形データの特徴量の取得を説明するための概念図である。図5−1〜図5−4に示すように、本実施形態では、電圧Vt1〜Vt4を閾値として波形との交点を求める。変化量は、電圧Vt1〜Vt4のそれぞれにおける波形との交点の数を表す。具体的には、図5−1〜図5−3の場合、電圧Vt1〜Vt3と波形との交点の数は6であることから、電圧Vt1〜Vt3における変化量は6となる。また、図5−4の場合、電圧Vt4と波形との交点の数は2であることから、電圧Vt4における変化量は2となる。
【0030】
存在量は、電圧Vt1〜Vt4のそれぞれにおける波形との交点で、立ち上がりから立ち下がりまでの面積の総和を表す。例えば、図5−1の場合、電圧Vt1と波形との交点において、立ち上がりから立ち下がりまでの面積の総和(交点から電圧vd1、vd2、vd3を通る波形の面積(図5−1の斜線部の面積))は22であることから、電圧Vt1における存在量は22となる。同様に、電圧Vt2における存在量は14(図5−2の斜線部の面積)、電圧Vt3における存在量は10(図5−3の斜線部の面積)、電圧Vt4における存在量は2(図5−4の斜線部の面積)となる。この面積の求め方は、単純に閾値とした電圧からピークの電圧までの差を足し合わせる方法であってもよい。したがって、S13では、電圧Vt1〜Vt4における変化量及び存在量の8つの特徴量が取得される。なお、この8つの特徴量はそれぞれ変数(1)〜変数(8)とする。
【0031】
次いで、演算部1122は、iをインクリメント(i=i+1)し(S14)、iがサンプル数(n)以上であるか否かを判定する(S15)。サンプル数以上でない場合(S15:NO)には、次のサンプルの処理を行うため、S11へ処理を戻す。サンプル数以上である場合(S15:YES)には、S11〜S14の処理を終えてS16へ処理を進める。
【0032】
S16において、演算部1122は、1〜nまでの各サンプルにおける変数(1)〜変数(8)を単位空間データ表に割り当てる。次の(表1)は単位空間データ表の一例である。
【0033】
【表1】

【0034】
本実施形態では、変数の数は8であることから、k=8となる。各サンプルの変数(1)〜変数(8)は、該当するサンプル番号のセルに格納される。また、各変数においては、式(1)を用いて平均値が演算部1122により算出される。算出された平均値は変数ごとのセルに格納される。
【0035】
【数1】

【0036】
また、各変数においては、式(2)を用いて標準偏差が演算部1122により算出される。算出された標準偏差は変数ごとのセルに格納される。
【0037】
【数2】

【0038】
次いで、演算部1122は、(表1)に例示した単位空間データ表の正規化を行う(S17)。この正規化は、式(3)を用いて行う。
【0039】
【数3】

【0040】
(表2)は正規化後の単位空間データ表の一例である。
【0041】
【表2】

【0042】
次いで、演算部1122は、(表2)に例示した正規化後の単位空間データ表と、式(4)を用いて相関行列Rを求める。
【0043】
【数4】

【0044】
求めた相関行列Rは式(5)のとおりである。
【0045】
【数5】

【0046】
マハラノビス距離MDを基に液吐出不良の判定を行うための単位空間情報は、相関行列Rの逆行列であることから、演算部1122は、相関行列Rの逆行列を取得し(S18)、単位空間情報の取得フローを終了する。
【0047】
次に、マハラノビス距離MDを基にした液吐出不良の判定フローについて説明する。判定フローが開始されると、演算部1122は、液吐出不良の検出を行うノズル101(nX)から吐出されたK滴の波形データ(図4参照)の入力をメモリ1121より受け付ける(S20)。次いで、演算部1122は、ディジタルフィルタによりノイズ成分を除去し(S21)、ノイズ成分を除去した波形データより、波形の特徴量を取得する(S22)。
【0048】
波形の特徴量の取得では、上述したS13と同様に行い、電圧Vt1〜Vt4における変化量、存在量を特徴量として取得する。取得した変化量、存在量は、式(6)のy1〜ykに割り当てる。具体的には取得した変数(1)〜変数(8)をy1〜y8に割り当てる。
【0049】
【数6】

【0050】
次いで、演算部1122は、(表1)に例示した単位空間データ表の平均値、標準偏差値と、式(6)に割り当てたデータを用いて、式(3)で正規化を行う(S23)。ただし、yj=xijとする。式(7)は正規化を行った結果を示す。
【0051】
【数7】

【0052】
次いで、演算部1122は、式(7)に示す結果と、先にS18で求めた単位空間情報(相関行列Rの逆行列)から、式(8)を用いてマハラノビス距離MDを算出する(S24)。
【0053】
【数8】

【0054】
なお、S24では、単位空間情報を生成したnサンプルについても同様にマハラノビス距離が求められる。なお、nサンプルのマハラノビス距離の平均は1となる。すなわち、nサンプルのマハラノビス距離から平均的な波形から離れた波形、すなわち液吐出不良の波形として判別できるため、nサンプルのマハラノビス距離を液吐出不良の検出のための閾値として、良/不良判別が可能となる。なお、閾値の決定方法は、不良サンプルを複数取得してその不良サンプルにかかるマハラノビス距離を取得し、先に取得したnサンプルのマハラノビス距離と完全に分離できる範囲で設定することが好ましい。その範囲において、良を不良と判定する過検出を減らしたい場合には小さく、不良を良と判定する誤検出を減らしたい場合には大きく設定すればよい。十分な検出性能を出すには、吐出液滴の数K=100、変数k=52(基準電圧の数を26とし、変化量:26、存在量:26)、単位空間サンプル数n=1000程度で行うとよい。
【0055】
次いで、不良判定部113は、S24で算出したマハラノビス距離MDと、nサンプルのマハラノビス距離による閾値とを比較し、マハラノビス距離MDが閾値未満であるか否かを判定する(S25)。上述したように、閾値未満である場合(S25:YES)には、液吐出不良のない平均的な波形に近いことから良判定とし(S26)、処理を終了する。また、閾値以上である場合(S25:NO)には、平均的な波形から離れていることから液吐出不良であると判定とし(S27)、処理を終了する。
【0056】
以上のように、液吐出不良検出装置1では、複数のノズル101から吐出される液滴107の飛行経路に発光素子102から光ビーム104を照射し、光ビーム104が飛行する液滴107に衝突して生じる前方散乱光109を受光部106で受光し、前方散乱光109の光強度の変化に応じた波形データを取得する。吐出制御部111は、不良判定を行うノズル101より、光ビーム104のビーム径内に一滴の液滴が入る間隔で液滴107を吐出させる。データ処理部112は、吐出した液滴107から取得した波形データを記憶し、複数の液滴107から取得した波形データの特徴量を集計する。不良判定部113は、集計された特徴量に基づいて液吐出不良を判定する。
【0057】
したがって、遮蔽光方式では、受光信号のS/N比を上げるためにはレーザ径内に複数の液滴を入れる必要があるが、液吐出不良検出装置1では、前方散乱光109を受光部106で受光していることから、1滴で十分なS/N比の波形データを取得することができる。また、取得した波形データの特徴量を集計して液吐出不良を判定するため、ヘッド内部の圧電素子に流れる電流波形を計測するための専用回路を組み込むなどのコストを発生させることなく、液吐出不良の判別を精度よく行うことができる。
【0058】
<変形例>
次に、上述した液吐出不良の検出処理の変形例について説明する。変形例では、波形の特徴量を取得する前処理として、特定の波形のみを選択(抽出)する処理や、波形の振幅補正など行う。
【0059】
図6は、液滴の吐出を例示する概念図である。図6に示すように、nXのノズルより液滴を吐出した場合は、液吐出不良又は正常を問わず、主となる液滴d1に続いて微小な液滴d1a(以下、サテライトと呼ぶ)も吐出される。このサテライトd1aは、距離H(図2参照)を7mm程度に大きくすることにより、液滴d1よりも速度を遅くすることができる。したがって、サテライトd1aはビーム径内をゆっくりと通過することから、波形データにおいてサテライト成分は周波数の低い成分となって現れる。よって、距離Hを大きくする場合、サテライト成分はハイパスフィルタ部1063で除去される。しかしながら、過剰判定を防止するため等、距離Hを小さくする場合(3mm程度)は、サテライト成分がハイパスフィルタ部1063で完全に除去できなくなる。
【0060】
図7は、波形データの一例を示す概念図であり、具体的にはサテライト成分を含む波形データの一例を示す概念図である。図7に示すように、主となる液滴d1、d2、d3の波形に続いて、サテライトd1a、d2a、d3aの波形が波形データに含まれることとなる。具体的には、サテライトd1aに対応した時間tw1aに電圧vd1aのピークをもつ波形、サテライトd2aに対応した時間tw2aに電圧vd2aのピークをもつ波形、サテライトd3aに対応した時間tw3aに電圧vd3aのピークをもつ波形が含まれる。したがって、波形の特徴量として、電圧Vt1〜Vt4で変化量、存在量を取得した場合には、サテライトd1a、d2a、d3aの成分も含まれてしまい、検出精度に影響を及ぼすこととなる。
【0061】
そこで演算部1122は、波形データに含まれる所定の波形のみを選択し、その選択した波形から特徴量を取得する。具体的には、サテライト成分は主となる液滴d1、d2、d3の成分より出力が小さいことから、液滴の吐出を行う時間間隔tdで波形データを区切り、その区切られた範囲r1〜r3の中で最大ピークの波形のみを選択して抽出する。これにより、主となる液滴d1、d2、d3の成分のみを用いて波形の特徴量を取得できる。
【0062】
また、液滴107に衝突して生じる前方散乱光109を受光して得られる出力電圧は、治具の取り付け方による誤差や、ノズル101の誤差によりばらつきが生じる。主に液吐出不良の検出を行う上で重要なものは、波形のピーク値の標準偏差や、波形幅の成分であることから、出力電圧が一定以上で安定している場合には波形幅に異常がない限り良判定とすべきことが多い。しかしながら、出力電圧が低すぎる場合には不良としたい場合もある。そこで、波形のピーク値の平均が一定以上のときは、波形の振幅を一定値に補正することで、過剰検出の防止を図ることができる。
【0063】
図8は、変形例にかかる液吐出不良の検出処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、S13、S22と同様の処理を行うS13b、S22bの前に、演算部1122は、波形の振幅を一定値に補正する(S13a、S22a)。
【0064】
具体的には、図7に例示した液滴d1、d2、d3の波形の場合、平均Aveは、Ave=(vd1+vd2+vd3)÷3で求められる。よって、一定値として電圧値Vxに補正する場合、波形のnサンプル目のデータ列をW[n]、補正後の波形のデータ列をW’[n]とすると、W’[n]=W[n]×Vx÷Aveとし、波形全体に補正値Vx÷Aveを乗算することで、波形のピークの平均値をVxとなるように補正することができる。
【0065】
また、波形の特徴量の一つとして、波形のピーク値の平均を用いる方法がある。液吐出不良のノズル101から吐出される液滴107の中には曲がって吐出されるものがある。このように曲がって吐出された液滴107が、光ビーム104の強度分布上弱い所を飛行すれば受光した際の出力電圧が全体として低下し、平均値が低下する。この平均値の低下によって、液吐出不良がない場合の波形と液吐出不良がある場合の波形に特徴量の差が現れる。また、平均値の低下を検出することによって、液滴107が曲がって吐出されていることが推定できるため、予め設定された閾値と比較することによって、液吐出不良の検出を行うことも可能である。
【0066】
また、波形の特徴量の一つとして、波形のピーク値の標準偏差を用いる方法がある。液吐出不良のノズル101から吐出される液滴107の中には、ばらついて着弾するものがある。このばらつきは、波形のピーク値のばらつきとなることから、標準偏差を大きくすることとなる。この標準偏差の大小によって、液吐出不良がない場合の波形と液吐出不良がある場合の波形に特徴量の差が現れる。また、標準偏差の増加を検出することによって、ばらついて液滴107が吐出されていることが推定できるため、予め設定された閾値と比較することによって、液吐出不良の検出を行うことも可能である。
【0067】
また、波形の特徴量の一つとして、波形全体のFFT(高速フーリエ・コサイン・サイン変換)スペクトルの形状を数値化したものを用いる方法がある。具体的には、演算部1122は、メモリ1121に格納された波形データを読み出してFFT変換を行い、周波数ごとのFFTスペクトル成分を算出する。図9に示すように、液滴を時間t間隔で吐出させた際の波形データのFFTスペクトルを求めた場合は、1/tごとにピークをもつ波形が現れる。また、液吐出不良がない場合は、ピークを最小二乗法等で結ぶ近似曲線sはなだらかなものとなる。
【0068】
これに対し、液滴が分裂するなどの液吐出不良がある場合は、図10に示すように、ピークを最小二乗法等で結ぶ近似曲線saにはうねりが生じることとなる。このうねりを数値化して閾値と比較することで、液吐出不良を検出できる。具体的には、演算部1122は、1/tごとの点(ピーク)より最小二乗法等で近似曲線を求め、その曲線の微分値を一定区間で積分することで、うねりの数値化を行う。例えば、うねりが大きければ積分値は大きくなり、うねりが小さければ積分値は小さくなる。したがって、うねりを数値化した値が所定の閾値よりも大きくなることを検出することで、液滴が分裂するなどの液吐出不良の発生を推定できる。なお、波形全体のFFTスペクトルの形状を数値化した値から液吐出不良の検出を行う場合には、液滴の吐出間隔を500Hz、距離Hを7mm程度、最小二乗法の次数を6次程度で行うことが好ましい。
【0069】
また、上述した波形全体のFFTスペクトルの形状を数値化した値から液吐出不良の検出を行う場合においては、特徴量としてFFTスペクトルの形状を示す値の中の低周波成分量(例えば1kHz未満)を用いる方法がある。この低周波成分量は、演算部1122がFFTスペクトルの1kHz未満の成分を足し合わせることで求められる。ノズル101から吐出した液滴107が飛び散って複数の微小な液滴が光ビーム104のビーム径内を飛行する場合、上述した低周波成分量が多くなる。したがって、低周波成分量が所定の閾値よりも大きくなることを検出することで、液滴が複数の微小な液滴に飛び散っているなどの液吐出不良の発生を推定できる。
【0070】
ここで、上述した液吐出不良検出装置1を備えるインクジェット記録装置を図11、図12を参照して説明する。図11は、液吐出不良検出装置1を備えるインクジェット記録装置2の一例の構成を正面から示す概念図である。図12は、インクジェット記録装置2の一部を斜め上から観察した図である。
【0071】
図11に示すように、インクジェット記録装置2の筐体10の左右の側板11、12には、ガイドシャフト13とガイド板14とが平行に掛け渡して設けられている。ガイドシャフト13およびガイド板14は、キャリッジ15に摺動可能に貫通される。キャリッジ15には、不図示の無端ベルトが取り付けられる。無端ベルトは、筐体10内の左右に設けられる図示しない駆動プーリと従動プーリに掛けまわされる。そして、駆動プーリの回転と共に従動プーリが従動回転されて無端ベルトを走行させる。これにより、キャリッジ15が、図11の矢印で示されるよう左右に移動される。
【0072】
キャリッジ15には、イエロ、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のインクジェットヘッド16y、16c、16m、16b(以下、ヘッド16で代表させて記述する)が、キャリッジ15の移動方向に並列配置されている。各ヘッド16は、下向きのノズル面に複数のノズルを直線状に並べたノズル列を有する。図示しないが、直線状のノズル列は、キャリッジ15の移動方向と直交する方向に設けられる。
【0073】
そして、キャリッジ15が図11のように右端のホームポジションに存在するときには、各ヘッド16は、筐体10内の底板17上に設置する単独回復装置18と対向する。単独回復装置18は、液吐出不良検出装置1で液吐出不良を検出したノズルからインクを吸い出し、インクジェット記録装置2自身で単独で液体吐出不良を回復する装置である。
【0074】
液吐出不良検出装置1は、筐体10内の底板17上に、単独回復装置18に隣接して配置される。液吐出不良検出装置1は、ヘッド16の各ノズルの液吐出不良を上述した検出処理によって検出する。
【0075】
液吐出不良検出装置1に隣接する位置には、板状のプラテン22を設置する。プラテン22の背面側には、記録媒体である用紙23をプラテン22上に供給する給紙台24が斜めに立てて設けられる。また、図示を省略するが、給紙台24上の用紙23をプラテン22上に送り出す給紙ローラが備えられる。さらに、プラテン22上の用紙23を矢示方向に搬送して正面側に排出する搬送ローラ25が設けられる。
【0076】
筐体10内の底板17上には、さらに左端に駆動装置26が設置される。駆動装置26は、不図示の給紙ローラや搬送ローラ25などを駆動するとともに、上述した駆動プーリを駆動することにより無端ベルトを走行させてキャリッジ15を移動する。
【0077】
そして、記録時は、駆動装置26で駆動されることにより用紙23がプラテン22上に移動され、所定位置に位置決めされる。また、キャリッジ15が移動されて用紙23上を走査され、左方向に移動しながら4色のヘッド16y、16c、16m、16bを用いて順にそれぞれのノズルから液滴が吐出され、用紙23上に画像が記録される。画像記録後、キャリッジ15が右方向に戻されるとともに、用紙23が図12の矢印の方向に所定量搬送される。
【0078】
次いで、再びキャリッジ15が左方向に移動されながら往路で4色のヘッド16y、16c、16m、16bを用いて順にそれぞれのノズルから液滴が吐出され、用紙23上に画像が記録される。そして、同様に画像記録後、キャリッジ15が右方向に戻されるとともに、用紙23が図12の矢印の方向に所定量搬送される。以下同様の動作が繰り返され、1枚の用紙23上に画像が記録される。
【符号の説明】
【0079】
1…液吐出不良検出装置、2…インクジェット記録装置、10…筐体、11…側板、12…側板、13…ガイドシャフト、14…ガイド板、15…キャリッジ、16…ヘッド、17…底板、18…単独回復装置、22…プラテン、23…用紙、24…給紙台、25…搬送ローラ、26…駆動装置、100…記録ヘッド、101…ノズル、102…発光素子、103…コリメートレンズ、104…光ビーム、105…光ビーム光軸、106…受光部、107…液滴、108…散乱光、109…前方散乱光、110…制御部、111…吐出制御部、112…データ処理部、113…不良判定部、120…ノズル駆動部、130…発光駆動部、1061…受光素子、1062…電流電圧変換部、1063…ハイパスフィルタ部、1064…増幅部、1065…A/D変換部、1121…メモリ、1122…演算部、H…距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルから吐出される液滴の飛行経路に発光素子から光ビームを照射し、当該光ビームが飛行する前記液滴に衝突して生じる散乱光を受光素子で受光し、前記散乱光の光強度の変化に応じた波形データを取得する取得手段と、
複数の前記ノズルの中で不良判定を行うノズルより、前記光ビームのビーム径内に一滴の液滴が入る間隔で前記液滴を吐出する吐出手段と、
前記吐出手段が吐出した前記液滴から取得した前記波形データを記憶する記憶手段と、
複数の前記液滴から取得した前記波形データの特徴量を集計する集計手段と、
集計された前記特徴量に基づいて液吐出不良を検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする液吐出不良検出装置。
【請求項2】
前記集計手段は、前記波形データの特徴量として複数種の特徴量を集計してマハラノビス距離を計算し、
前記検出手段は、計算された前記マハラノビス距離と予め設定された閾値とを比較して液吐出不良を検出すること、
を特徴とする請求項1に記載の液吐出不良検出装置。
【請求項3】
前記集計手段は、前記波形データに含まれる所定の液滴の波形を抽出し、当該抽出した波形の特徴量を集計すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の液吐出不良検出装置。
【請求項4】
前記集計手段は、前記波形データの振幅の平均を一定に補正した補正後の波形データの特徴量を集計すること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液吐出不良検出装置。
【請求項5】
前記特徴量は、前記波形データを所定の基準値で区切った区切り位置での変化量、及び当該区切り位置における波形の存在量の少なくとも一方を集計した値であること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液吐出不良検出装置。
【請求項6】
前記特徴量は、前記波形データのピーク値の平均であること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液吐出不良検出装置。
【請求項7】
前記特徴量は、前記波形データのピーク値の標準偏差であること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液吐出不良検出装置。
【請求項8】
前記特徴量は、前記波形データにかかる波形全体のFFTスペクトルの形状を示す値であること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液吐出不良検出装置。
【請求項9】
前記特徴量は、前記FFTスペクトルの形状を示す値の中の低周波成分量であること、
を特徴とする請求項8に記載の液吐出不良検出装置。
【請求項10】
前記検出手段は、集計された前記特徴量と予め設定された閾値とを比較して液吐出不良を検出すること、
を特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液吐出不良検出装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液吐出不良検出装置を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項12】
複数の前記ノズルの中で不良判定を行うノズルより前記液滴を吐出する工程と、
複数のノズルから吐出される液滴の飛行経路に発光素子から光ビームを照射し、当該光ビームが飛行する前記液滴に衝突して生じる散乱光を受光素子で受光し、前記散乱光の光強度の変化に応じた波形データを取得する工程と、
前記吐出手段が吐出した前記液滴から取得した前記波形データを記憶する工程と、
複数の前記液滴から取得した前記波形データの特徴量を集計する工程と、
集計された前記特徴量に基づいて液吐出不良を検出する工程と、
を含むことを特徴とする液吐出不良検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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