説明

液圧潤滑フィルタ回路

【課題】汚染物質から車両の液圧システムを保護するフィルタシステムまたはフィルタ回路を提供。
【解決手段】コンポーネント潤滑回路12、および制御弁ユニット20,22,24に供給するポンプ14,16を有する車両の液圧システム10が、フィルタ回路30を持つ。フィルタ回路30は、第1のフィルタ回路出口32、第2のフィルタ回路出口34を備え、サンプライン36と出口34の間に、サクションフィルタ44と、直列に連結されるサクションバイパス・フィルタ46とサクションバイパス弁46を持つ。また、戻りライン39が入口38に連結され、出口32と入口38および40の間に、戻りフィルタ52と、直列に連結される戻りバイパスフィルタ54と戻りバイパス弁56と、圧力応答性の背圧弁60、圧力感知パイロットライン62、戻りライン33のオリフィス64を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液圧潤滑システムのフィルタ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用トラクタは液圧ポンプを備える液圧システムを有し、その液圧ポンプは、加圧された作動液を操舵システム、ヒッチシステム、液圧シリンダに連結された選択式制御弁(SCV)、液圧操作制御弁および液圧潤滑回路を備える変速装置などの様々な液圧操作デバイスに供給する。SCVは、中間および後方の位置を含むトラクタの異なる位置に配置されてきた。たとえば、後方のSCVは、トラクタに連結された1つの実装形態で液圧カプラによって液圧シリンダに連結される。液圧ポンプは、ギアボックス・ハウジングなどのハウジングによって形成可能なサンプ(sump)またはリザーバから作動液を吸引し、または吸い上げる。
【0003】
実装形態の液圧構成要素、カプラ、およびその他の点で、汚染物質が液圧システムに混入する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、汚染物質から車両の液圧システムを保護するフィルタシステムまたはフィルタ回路を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、汚染物質から車両の液圧システムを保護するフィルタ回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらのまたはその他の目的は本発明により達成され、コンポーネント潤滑回路(component lube circuit)、ならびにサンプから第1および第2の液圧制御回路に作動液を供給するポンプを有する車両の液圧システムがフィルタ回路を備える。フィルタ回路は、潤滑回路入口に連結された第1のフィルタ回路出口、サンプに連結されたサンプライン、およびポンプ入口に連結された第2のフィルタ回路出口を備える。サクションフィルタがサンプラインと第2のフィルタ回路出口の間に連結される。サクションバイパス・フィルタ(suction bypass filter)がサンプラインと第2のフィルタ回路出口の間のサクションバイパス弁(suction bypass valve)と直列に連結される。戻りフィルタが、第1の制御回路出口に連結される。戻りラインが戻りフィルタと第1のフィルタ回路出口の間に連結される。戻りバイパスフィルタが第1の制御回路出口と戻りラインの間の戻りバイパス弁と直列に連結される。圧力応答性の背圧弁が第2のフィルタ回路出口に連結された出口と、両方が戻りフィルタ出口に連結された入口および圧力感知パイロットラインを有する。背圧弁は、ばねによって通常の閉鎖位置に付勢され、パイロットラインの圧力に応答して開放位置に移動可能な弁要素も有する。オリフィスが戻りラインに配置される。圧力感知ラインがオリフィスと第1のフィルタ回路出口の間の戻りラインに連結された一方の端部と、およびパイロットラインの反対側で弁要素に連結された第2の端部とを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図を参照すると、車両の液圧システム10が車両の変速装置(図示せず)用の潤滑回路などのコンポーネント潤滑回路12を備える。システムは、小容量の液圧ポンプ14および大容量の液圧ポンプ16を備える。ポンプ14および16は、ギアポンプまたはアキシアル・ピストンポンプ(axial piston pump)であることができる。小容量ポンプ14は、加圧された作動液を操舵制御弁などの液圧制御ユニット18に供給する。大容量ポンプ16は、加圧された作動液をヒッチ制御弁ユニット20、中間の選択式制御弁(SCV)ユニット22、および後方のSCVユニット24などの1つまたは複数の制御弁ユニットに供給する。制御弁ユニット20〜24は、直列に好ましく連結される。ヒッチ制御弁ユニット20は、トラクタヒッチ・シリンダ(tractor hitch cylinder)(図示せず)を制御する。中間のSCVユニット22および後方のSCVユニット24は、従来の液圧カプラ(図示せず)によって実施形態(図示せず)のシリンダ(図示せず)に連結できる。
【0008】
作動液は好ましくは、冷却器26および冷却器バイパス弁28を介して操舵制御弁18から潤滑回路12に連通する。バイパス弁28は、閉鎖位置にばね付勢され、その入口に連結されたパイロットラインによって開放位置に押しやられる。サンプライン21が、ヒッチ制御弁20をギアボックス・サンプなどのサンプ23に連通する。サンプライン25が、潤滑回路12をサンプ23に連通する。
【0009】
液圧システム10はフィルタ回路30を備える。フィルタ回路30は、戻りライン33を介して潤滑回路12の入口に連結された第1のフィルタ回路出口32、およびポンプ14および16の入口に連結された第2のフィルタ回路出口34を有する。フィルタ回路30が、サンプ23に連結されたサンプライン36を有する。フィルタ回路30は、ライン39を介して中間のSCVユニット22の出口に連結された第1の入口38、およびライン41を介して後方のSCVユニット24の出口に連結された第2の入口40も有する。
【0010】
フィルタ回路30は、サンプライン36と第2のフィルタ回路出口34の間にサクションフィルタまたはスクリーン44を備える。サクションバイパス・ストレーナまたはルーズフィルタ(loose filter)またはスクリーン46が、サンプライン36と第2のフィルタ回路出口34の間のサクションバイパス弁48と直列に連結される。弁48は、閉鎖位置にばね付勢され、サンプライン36に連結されたパイロットライン50によって開放位置に押しやられる。逆流チェック弁43がフィルタ44と平行に連結される。
【0011】
戻りフィルタまたはスクリーン52が第1出口32と入口38および40との間に連結される。戻りバイパス・ストレーナまたはルーズフィルタまたはスクリーン54が、第1出口32と入口38および40との間に(戻りフィルタ52と平行に)戻りバイパス弁56と直列に連結される。弁56は閉鎖位置にばね付勢され、入口38および40に連結された感知ラインまたはパイロットライン58によって開放位置に押しやられる。
【0012】
圧力応答性の背圧弁60が、第2のフィルタ回路出口34に連結された出口と、フィルタ52およびストレーナ54、戻りライン33、ならびに圧力感知パイロットライン62に連結された入口とを有する。弁60は、通常の閉鎖位置にばね付勢され、パイロットライン62の圧力に応答して開放位置に移動可能である。戻りライン33は、その中にオリフィスまたは絞り部64を備える。圧力感知ライン66がオリフィス64と第1のフィルタ回路出口32の間の戻りライン33に連結された一方の端部と、パイロットライン62の反対側で弁60の弁要素に連結された第2の端部とを有する。
【0013】
この回路によって、フィルタ44は通常、ポンプ14および16によってサンプ23から吸引された流体を濾過する。フィルタ44が目詰まりすると、サクションバイパス弁48が開き、バイパスフィルタ46がポンプ14および16によってサンプ23から吸引された流体を濾過する。
【0014】
フィルタ52は通常、SCV22および24から戻る流体を濾過する。フィルタ52が目詰まりすると、戻りバイパス弁56が開き、バイパスフィルタ54がSCV22および24から戻る流体を濾過する。フィルタ52および54からの流体は通常、ライン33、オリフィス64、および出口32を通って変速装置潤滑回路12に流れる。
【0015】
オリフィス64、パイロットライン62、感知ライン66によって、弁60が流れを調整し、潤滑回路12が所望の量の流れを受けるようにする。潤滑回路12が必要としない過剰な戻り流れがポンプ14および16の入口に向けられる。これによって、ポンプ14および16に作動液の供給が適切に行われるようになる。
【0016】
本発明を特定の実施形態に関して説明してきたが、上記の説明に照らして多くの代替、修正、および変形が当分野の技術者に明らかになることが理解される。たとえば、本発明は、フィルタまたはスクリーンによって実施することができ、添付の特許請求の範囲での用語フィルタは、フィルタまたはスクリーンを意味する総称であることを意図する。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に収まる、そうした全ての代替、修正、および変形を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図唯一の図は、本発明によるフィルタ回路を備える車両の液圧システムの単純化された概略図である。
【符号の説明】
【0018】
10 車両の液圧システム
12 潤滑回路
14 液圧ポンプ
16 液圧ポンプ
18 液圧制御ユニット(操舵制御弁)
20 ヒッチ制御弁ユニット
21 サンプライン
22 中間の選択式制御弁(SCV)ユニット
23 サンプ
24 後方のSCVユニット
25 サンプライン
26 冷却器
28 冷却器バイパス弁
30 フィルタ回路
32 第1のフィルタ回路出口
33 戻りライン
34 第2のフィルタ回路出口
36 サンプライン
38 第1の入口
39 ライン
40 第2の入口
41 ライン
43 逆流チェック弁
44 サクションフィルタ(スクリーン)
46 サクションバイパス・ストレーナ(ルーズフィルタ)(スクリーン)
48 サクションバイパス弁
50 パイロットライン
52 戻りフィルタ(スクリーン)
54 戻りバイパス・ストレーナ(ルーズフィルタ)(スクリーン)
56 戻りバイパス弁
58 感知ライン(パイロットライン)
60 背圧弁
62 圧力感知パイロットライン
64 オリフィス
66 圧力感知ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポーネント潤滑回路、作動液をサンプから第1および第2の液圧制御回路に供給するポンプおよびフィルタ回路を備える車両液圧システムにおいて、前記フィルタ回路が、
前記潤滑回路入口に連結された第1のフィルタ回路出口と、
前記サンプに連結されたサンプラインと、
前記ポンプ入口に連結された第2のフィルタ回路出口と、
前記サンプラインと前記第2のフィルタ回路出口の間のサクションフィルタと、
前記サンプラインと前記第2のフィルタ回路出口の間のサクションバイパス弁と直列に連結されたサクションバイパス・フィルタと、
前記第1の制御回路出口に連結された戻りフィルタと、
前記戻りフィルタと前記第1のフィルタ回路出口の間に連結された戻りラインと、
前記第1の制御回路出口と前記戻りラインの間の戻りバイパス弁と直列に連結された戻りバイパスフィルタと、
前記第2のフィルタ回路出口に連結された出口、両方が前記戻りフィルタ出口に連結された入口および圧力感知パイロットライン、ならびにばねによって通常の閉鎖位置に付勢され、前記パイロットラインの圧力に応答して開放位置に移動可能な弁要素を有する圧力応答性の背圧弁と、
前記戻りラインのオリフィスと、
前記オリフィスと前記第1のフィルタ回路出口の間の前記戻りラインに連結された一方の端部、および前記パイロットラインの反対側で前記弁要素に連結された第2の端部を有する圧力感知ラインと
を備える、車両液圧システムにおけるフィルタ回路。
【請求項2】
前記サクションバイパス弁が、前記サンプラインに連結された入口、前記サクションバイパス・フィルタに連結された出口、前記サンプラインに連結されたパイロットライン、および閉鎖位置にばね付勢され、前記サンプラインの圧力に応答して開放位置に移動可能な弁要素を備える、請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
前記戻りバイパス弁が、前記第2の潤滑回路出口に連結された入口、前記戻りラインに連結された出口、前記第2の潤滑回路の前記出口に連結されたパイロットライン、および閉鎖位置にばね付勢され、前記第2の潤滑回路の前記出口の圧力に応答して開放位置に移動可能な弁要素を備える、請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項4】
前記サクションフィルタと並列に連結され、前記サンプへの一方通行の流体流れを可能にするサクションチェック弁をさらに備える、請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項5】
前記第1の潤滑回路が変速装置潤滑回路を備える、請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項6】
コンポーネント潤滑回路、作動液をサンプから第1および第2の液圧制御回路に供給するポンプおよびフィルタ回路を備える車両液圧システムにおいて、前記フィルタ回路が、
前記潤滑回路入口に連結された第1のフィルタ回路出口と、
前記サンプに連結されたサンプラインと、
前記ポンプ入口に連結された第2のフィルタ回路出口と、
前記サンプラインと前記第2のフィルタ回路出口の間のサクションフィルタと、
前記第1の制御回路出口に連結される戻りフィルタと、
前記戻りフィルタと前記第1のフィルタ回路出口の間に連結された戻りラインと、
前記第2のフィルタ回路出口に連結された出口、両方が前記戻りフィルタ出口に連結された入口および圧力感知パイロットライン、ならびにばねによって通常の閉鎖位置に付勢され、前記パイロットラインの圧力に応答して開放位置に移動可能な弁要素を有する圧力応答性の背圧弁と、
前記戻りラインのオリフィスと、
前記オリフィスと前記第1のフィルタ回路出口の間の前記戻りラインに連結された一方の端部、および前記パイロットラインの反対側で前記弁要素に連結された第2の端部を有する圧力感知ラインと
を備える車両液圧システムにおけるフィルタ回路。
【請求項7】
前記サンプラインと前記第2のフィルタ回路出口の間のサクションバイパス弁と直列に連結されたサクションバイパス・フィルタと、
前記第1の制御回路出口と前記戻りラインの間の戻りバイパス弁と直列に連結された戻りバイパスフィルタと
をさらに備える、請求項1に記載のフィルタ回路。

【図1】
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【公開番号】特開2007−239999(P2007−239999A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56760(P2007−56760)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
【Fターム(参考)】