説明

液晶のリサイクル方法と改質された液晶混合物の形成方法

【課題】液晶のリサイクル方法と改質された液晶混合物の形成方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一つの液晶混合物を収集する工程;および、少なくとも一つの液晶混合物の少なくとも一部を用いて、改質された液晶混合物を形成する工程を含む液晶のリサイクル方法を提供する。また、少なくとも一つのリサイクルされる液晶混合物を含む改質された液晶混合物、および、一つまたはそれ以上の改質された液晶混合物を有する液晶ディスプレイ装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶のリサイクル方法と改質された液晶混合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は各種用途に適用され、各種電子部品や装置、例えば、ノート型パソコン、スマートフォン、デスクトップモニター、携帯電話、テレビ、計器、玩具、デジタルカメラ、AV機器、電化製品および自動車などに幅広く応用されている。
【0003】
LCDが組み込まれた電子回路、または、装置の他の部分は、通常、再利用されるが、LCD中の液晶材料は再利用されないことが多い。その理由の一つは、様々な異なる物理的、化学的および/または他の特性を有する液晶材料を処理することへの潜在的な困難性および課題が存在することである。しかし、液晶材料の不適切な廃棄は、資源を無駄にするだけでなく、我々の環境にも影響を及ぼす。
【0004】
近年、環境保全の意識の高まりにより、欧州連合の三大環境保全指令のもと、世界各国で人類の電子製品の無責任な投棄による環境破壊の深刻さが重視され始めた。アメリカ、カナダ、日本、韓国、中国および台湾等は、関連する環境法規を制定、強化し、電子製品の初期設計から生産、販売、廃棄処理およびリサイクルに至るまでの規範を制定して環境汚染に関わる問題を徹底的に解決するように試みている。従来のCRT方式のテレビと比較して液晶ディスプレイ(LCD)は、薄型化、軽量化、低電力消耗、無放射汚染という利点、かつ、半導体製造工程における技術と互換性があるという長所があるため、その生産量および使用量は急激に増加し、それに伴い、その廃棄量も増加している。現在、廃棄液晶パネルを取り外し分類回収する方法等を含む、多くの液晶ディスプレイ廃棄方法が提案されている。しかし、上述のとおり、回収後の液晶には種々の異なる液晶単体が混入して、液晶混合物が形成されており、適当な再利用方法が存在しない。このため、日々増加する液晶混合物に対し、処理後に液晶ディスプレイ製作に応用して、再利用の目的を達成することができるような新規な方法の確立が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、液晶のリサイクル方法と改質された液晶混合物の形成方法を提供し、上述の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液晶のリサイクル方法を提供するものであって、本発明のある実施態様において、本発明の方法は、液晶混合物を収集する工程;少なくとも一つの分離処理工程を実行し、液晶混合物から第一液晶群を分離する工程;少なくとも一つの追加の分離処理工程を実行し、残りの液晶混合物から第二液晶群を分離する工程;および第一液晶群と第二液晶群とを用いて、改質された液晶混合物を形成する工程、を含む。
【0007】
本発明のある実施態様では、本発明の方法は、第一液晶混合物および第二液晶混合物を収集する工程;少なくとも一つの分離処理工程を実行して、第一液晶混合物から少なくとも一つの第一液晶群を分離する工程;少なくとも一つの追加の分離処理工程を実行して、第二液晶混合物から少なくとも一つの第二液晶群を分離する工程;ならびに少なくとも一つの第一液晶群と少なくとも一つの第二液晶群とを用いて、改質された液晶混合物を形成する工程、を含む。
【0008】
また、本発明の別のある実施態様では、本発明の方法は、第一液晶混合物および第二液晶混合物を収集する工程;少なくとも一つの分離処理工程を実行して、第一液晶混合物から少なくとも一つの液晶群を分離する工程;ならびに少なくとも一つの液晶群と第二液晶混合物とを用いて、改質された液晶混合物を形成する工程、を含む。
【0009】
さらに、本発明のまた別のある実施態様では、本発明の方法は、第一液晶混合物および第二液晶混合物を収集する工程;少なくとも一つのマッピングプロセスを実行する工程;ならびに第一液晶混合物の少なくとも一部および第二液晶混合物の少なくとも一部を含む改質された液晶混合物を形成する工程、を含む。
【0010】
また、本発明は改質された液晶混合物を提供し、例えば、本発明のある実施態様では、改質された液晶混合物は、回収された液晶混合物から分離される第一液晶群;および、回収された液晶混合物から第一液晶群が分離された後、残りの回収された液晶混合物から分離される第二液晶群、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明により効果的な液晶のリサイクル方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施態様による液晶のリサイクル工程を示す図である。
【図2】本発明の実施態様によるLC−1のガスクロマトグラフ質量スペクトル(GC/MS)を示す図である。
【図3】本発明の実施態様による高Δε値液晶群のGC/MSを示す図である。
【図4】本発明の実施態様によるCF2O含有液晶群のGC/MSを示す図である。
【図5】本発明の実施態様による低粘性液晶群のGC/MSを示す図である。
【図6】本発明の実施態様による高TNI液晶群のGC/MSを示す図である。
【図7】本発明の実施態様による基流体液晶群のGC/MSを示す図である。
【図8】本発明の実施態様によるLC−2のGC/MSを示す図である。
【図9】本発明の実施態様による負型Δε液晶群のLC−2のGC/MSを示す図である。
【図10】本発明の実施態様によるLC−3およびLC−4のV−T曲線を示す図である。
【図11】本発明の実施態様によるLC−3のGC/MSを示す図である。
【図12】本発明の実施態様によるLC−4のGC/MSを示す図である。
【図13】本発明の実施態様によるLC−5およびLC−6のV−T曲線を示す図である。
【図14】本発明の実施態様によるLC−5のGC/MSを示す図である。
【図15】本発明の実施態様によるLC−6のGC/MSを示す図である。
【図16】本発明の実施態様によるLC−7のGC/MSを示す図である。
【図17】本発明の実施態様によるLC−8のGC/MSを示す図である。
【図18】本発明の実施態様によるLC−9のGC/MSを示す図である。
【図19】本発明の実施態様によるLC−10のGC/MSを示す図である。
【図20】本発明の実施態様によるLC−11のGC/MSを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施態様は、液晶のリサイクル方法、改質された液晶混合物、および、一つまたはそれ以上の改質された液晶混合物を有する液晶ディスプレイ装置を提供する。液晶のリサイクル方法は、液晶混合物を収集する工程、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群を分離する工程、および、少なくとも一つの液晶群を用いて、改質された液晶を形成する工程、を含む。
【0014】
図1は、液晶のリサイクル工程(100)の例を示す図である。
【0015】
A.液晶混合物の回収
リサイクルのために処理される液晶混合物は、各種供給源から回収され得る。本発明のある実施態様では、製造過程においてまたは使用後に、欠陥品である、望ましくない、機能しないと判断されたLCDから、リサイクルまたは処理される液晶混合物を回収してもよい(102)。例えば、液晶混合物は廃棄LCDパネルから回収され得る。ある別の実施態様では、リサイクルされる液晶混合物は、LCD製造業者またはLCD生産ラインから廃棄されたものであってもよい(104)。たとえば、液晶混合物は、製造業者により、LCDの製造に不利、または、理想的でない(例えば、汚染されているなど)と判断されたものであってもよい。
【0016】
廃棄LCDから回収される液晶混合物と比較すると、一般的に、LCD製造業者またはLCD生産ラインから直接回収される液晶混合物は、改質のために必要な工程が少ない。ある実施態様において、LCD製造業者またはLCD生産ラインからの液晶混合物は、流動粘度(η)、誘電異方性(Δε)、複屈折性(Δn)、透明点(TNI)等の液晶混合物の物理的特性のいくつかを確認した後、直接、改質のために使用されてもよい。
【0017】
廃棄LCDからの回収物として、市場には多種の液晶が存在する。LCDは、装置に含まれる液晶化合物の種類に基づいて、正型か負型のLCDのどちらかに分類され得る。正型LCDは、誘電異方性が正の(即ち、Δε>0)液晶化合物を含み、そして、液晶に用いられる異なる駆動方式に基づいて、正のLCDは、STN、TN、IPS、コレステロールディスプレイ等に分類され得る。例えば、TNディスプレイにおいては、光線がTNディスプレイを通過するかは、液晶化合物のねじれと非ねじれ間の角度差異に基づく。TNディスプレイに電圧が加えられていない場合、光線は偏光して、ディスプレイを通過し、透過ディスプレイが形成される。一方、負型LCD、例えば、VAディスプレイは、その誘電異方性が負である(即ち、Δε<0)液晶化合物を含む。さらに、一例として、VAディスプレイは、自然では垂直状態で存在する液晶化合物を含む。したがって、VAディスプレイに電圧が加えられていない場合には、VAディスプレイ中の液晶化合物は、基板に対し垂直状態を維持し、黒色ディスプレイが形成される。2種の異なるタイプのLCDが混合される場合、正型および負型のLCD中の反対のΔε値は相殺されるので、ある実施態様では、液晶化合物の回収前に、パネルに電圧が加えられていない場合に光線が偏光板を有するLCDパネルを通過するかどうかに基づいて、まず、正型および負型LCDが別々に収集される(すなわち、光線が通過できるパネルは正型LCDであり、光線が通過できないパネルは負型LCDである)。
【0018】
LCDから液晶混合物を回収するためには種々の処理工程がある。例えば、ある実施態様において、LCDから液晶混合物を回収する処理工程は以下を含んでいてもよい:(1)LCDパネルを破砕する;(2)二個のガラス基板を分離し、液晶混合物を露出させる;(3)有機溶媒、例えば、アセトンまたはヘキサンなどを用いて、ガラス基板から液晶混合物を分離する;(4)有機溶媒を蒸発させる;および、(5)一つまたはそれ以上の分離もしくは精製工程、例えば、吸着により、液晶混合物から、不純物、例えば、シーラー、樹脂および/またはカラーフィルターなどを除去する。
【0019】
上述の各種供給源から回収された液晶混合物は、二以上の液晶化合物、および/または、十、百、または、千もの液晶化合物を含んでいてもよい。ある実施態様において、液晶混合物は、その物理的特性(例えば、η、Δε、Δn、TNI等)を確認した後、直接使用されてもよい(例えば、図1において、工程106から直接、工程110、116、118等に進む)。
【0020】
ある別の実施態様において、液晶混合物は、改質のために、二以上の液晶群に分離されてもよい(例えば、図1において、工程106〜108の後、工程110、114等に進む)。液晶混合物を1種以上の液晶群に分離する工程は、ここで、「グループ化(grouping)」と称され、工程108において適用され得る。グループ化工程に関する実施例を以下に提供する。
【0021】
B.グループ化(Grouping)
図1の工程108において、少なくとも一つの分離処理工程を用いることにより、液晶混合物が1以上の液晶群に分離され得る。例えば、一実施態様において、少なくとも一つの分離処理工程が実行されて、液晶混合物から第一液晶群が分離され、そして、残りの液晶混合物は第二液晶群であるか、または、更に、2個以上の群に分離されてもよい。例えば、同種のまたは異なる追加の分離処理工程が、残りの液晶混合物から第二液晶群を分離するために実行され得る。別の実施態様においては、第一分離処理工程が、液晶混合物から第一液晶群を分離するために実行され、そして、第二および第三の分離処理工程がそれぞれ、残りの液晶混合物から第二および第三の液晶群を分離するために実行されてもよく、ここで、第一、第二および第三の分離処理工程は同一の、類似の、またはそれぞれ異なる処理工程であり得る。
【0022】
ある実施態様において、液晶混合物は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上の液晶群に分離され得る。液晶混合物から分離される各液晶群は、残りの液晶混合物および別の液晶群とは異なる物理的特性(例えば、η、Δε、Δn、TNI等)を有し得る。例えば、液晶混合物から分離される第一液晶群は、液晶混合物および残りの液晶混合物から分離される第二(または、第三、第四、第五等の)液晶群とは異なる物理的特性を有する。非限定的な具体例として、液晶混合物から分離された第一液晶群は、液晶混合物または残りの液晶混合物から分離された第二(または、第三、第四、第五等の)液晶群より、高いまたは低いη、Δε、ΔnまたはTNIを有する。液晶混合物から分離される液晶群または複数の液晶群は一つ以上の液晶化合物を含んでいてもよい。
【0023】
ある実施態様において、分離処理工程は、蒸留工程、液液抽出およびカラムクロマトグラフィーから選択される。例えば、低圧蒸留などの蒸留工程が、低沸点の液晶群または希釈剤を分離するために使用されてもよく;例えば極性溶媒を用いた液液抽出が、高Δεを有する液晶化合物を抽出するために使用されてもよく;および、カラムクロマトグラフィーが、高TNIを有する液晶群を分離するために使用されてもよい。
【0024】
ある実施態様においては、少なくとも一つの液液抽出工程が実行されて、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群が分離される。一実施態様では、少なくとも一つの液液抽出工程が実行されて、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群が分離され、ここで、前記少なくとも一つの液晶群は、少なくとも一つのCF2O連結基を有する少なくとも一つの液晶化合物、たとえば以下の式Iの液晶化合物を含む:
【化1】

式中、
R1は、C1-12のアルキル、C1-12のアルコキシおよびC2-12のアルケニルから選択される;環Aおよび環Bは、それぞれ独立して、1,4−シクロヘイレン(cycloheylene)および1,4−フェニレンから選択される;Z1は、独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ(methyleneoxy)、カルボニルオキシ(carbonyloxy)またはC24から選択される;L1、L2、L3およびL4は、それぞれ独立して、水素およびハロゲンから選択される;X1は、独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、アルケニルおよびC1-6のアルコキシから選択される;mおよびnは、それぞれ独立して、0、1および2から選択される。
【0025】
別の実施態様においては、少なくとも一つの液液抽出工程が実行されて、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群が分離され、ここで、前記少なくとも一つの液晶群は、少なくとも一つのCF2O連結基を有し、かつ、少なくとも一つの液晶群の総重量に対して約20〜100重量%の範囲の量で存在する少なくとも一つの液晶化合物を含む。
【0026】
さらに別の実施態様において、少なくとも一つのカラムクロマトグラフィーが実行されて、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群が分離される。一実施態様では、少なくとも一つのカラムクロマトグラフィーが実行されて、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群が分離され、ここで、前記少なくとも一つの液晶群は、少なくとも4個の環状基(cyclic rings)を有する少なくとも一つの液晶化合物、たとえば以下の式IIの液晶化合物を含む:
【化2】

式中、
R2は、独立して、C1-12のアルキル、C1-12のアルコキシおよびC2-12のアルケニルから選択される;環Cおよび環Dは、それぞれ独立して、1,4−シクロヘイレンと1,4−フェニレン;Z2は、独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、カルボニルオキシおよびC24から選択される;L5、L6、L7およびL8は、それぞれ独立して、水素およびハロゲンから選択される;X2は、独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、アルケニルおよびC1-6のアルコキシから選択される;oは、独立して、1、2および3から選択される。
【0027】
別の実施態様において、少なくとも一つのカラムクロマトグラフィーが実行されて、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群が分離され、ここで、前記少なくとも一つの液晶群は、少なくとも4個の環状基を有し、かつ、少なくとも一つの液晶群の総重量に対して、約20〜100重量%の範囲の量で存在する少なくとも一つの液晶化合物を含む。
【0028】
さらに別の実施態様において、少なくとも一つのカラムクロマトグラフィーが実行されて、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群が分離され、ここで、前記少なくとも一つの液晶群は、少なくとも一つのベンゼン環ならびに少なくとも一つのベンゼン環のオルト位およびメタ位にハロゲン原子を含む少なくとも一つの液晶化合物を含み、例えば、前記少なくとも一つの液晶化合物は、以下の式IIIの液晶化合物から選択されてもよい:
【化3】

式中、
R3は、C1-12のアルキル、C1-12のアルコキシおよびC2-12のアルケニルから選択される;環Eは、独立して、1,4−シクロヘイレンおよび1,4−フェニレンから選択される;Z3は、独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシおよびカルボニルオキシから選択される;L9およびL10は、それぞれ独立して、ハロゲンから選択される;X3は、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、アルケニルおよびC1-6のアルコキシから選択される;pおよびqは、それぞれ独立して、1、2および3から選択される。
【0029】
さらに別の実施態様において、少なくとも一つのカラムクロマトグラフィーが実行されて、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群が分離され、ここで、前記少なくとも一つの液晶群は、少なくとも一つのベンゼン環ならびに少なくとも一つのベンゼン環のオルト位およびメタ位にハロゲン原子を有し、かつ、少なくとも一つの液晶群の総重量に対して、約50〜100重量%の範囲の量で存在する少なくとも一つの液晶化合物を含む。
【0030】
ある実施態様において、少なくとも一つの低圧蒸留プロセスが実行されて、液体混合物から少なくとも一つの液晶群が分離される。一実施態様では、少なくとも一つの低圧蒸留プロセスが実行されて、液晶混合物から少なくとも一つの液晶群が分離され、ここで、前記少なくとも一つの液晶群は、2個または3個以上の炭化水素環(hydrocarbon cyclic rings)を有する少なくとも一つの液晶化合物、たとえば以下の式IVの液晶化合物を含む:
【化4】

式中、
R4は、C1-12のアルキル、C1-12のアルコキシおよびC2-12のアルケニルから選択される;環F、環Gおよび環Hは、それぞれ独立して、1,4−シクロヘイレンおよび1,4−フェニレンから選択される;X4は、独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、アルケニルおよびC1-6のアルコキシから選択される;rは、独立して、0および1から選択される。
【0031】
さらに別の実施態様において、少なくとも一つの低圧蒸留プロセスが実行されて、液体混合物から少なくとも一つの液晶群が分離され、ここで、前記少なくとも一つの液晶群は、2個または3個の炭化水素環を有し、かつ、少なくとも一つの液晶群の総重量に対して、約50〜100重量%の範囲の量で存在する少なくとも一つの液晶化合物を含む。
【0032】
ある実施態様において、液体混合物から分離される少なくとも一つの液晶群は、高いΔε値を有しており、例えば、そのΔε値は10〜60である。
【0033】
ある実施態様において、液晶混合物から分離される少なくとも一つの液晶群は、負のΔε値を有しており、例えば、そのΔε値は−2〜−20である。
【0034】
ある実施態様において、液体混合物から分離される少なくとも一つの液晶群は高粘性(η)を有し、例えば、その粘性は30〜150cpsである。
【0035】
ある実施態様において、液体混合物から分離される少なくとも一つの液晶群は低粘性を有し、例えば、その粘性は1〜10cpsである。
【0036】
ある実施態様において、液体混合物から分離される少なくとも一つの液晶群は高いTNIを有し、例えば、そのTNIは150〜400℃である。
【0037】
ある実施態様において、液体混合物から分離される少なくとも一つの液晶群は、0.03〜0.30の範囲のΔnを有する。
【0038】
ある実施態様において、液体混合物から分離される少なくとも一つの液晶群は、基流体タイプの液晶化合物、例えば、3個の環状基を有する液晶化合物であって、前記液晶化合物の末端環が、ハロゲン基から選択される少なくとも一つの置換基を有するベンゼンである、たとえば以下の式Vの液晶化合物:
【化5】

式中、
R5は、独立して、C1-12のアルキル、C1-12のアルコキシ、C2-12のアルケニルから選択される;環Iおよび環Jは、それぞれ独立して、1,4−シクロヘイレンおよび1,4−フェニレンから選択される;Z4は、独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、カルボニルオキシおよびC24から選択される;L11、L12、L13およびL14は、それぞれ独立して、水素およびハロゲンから選択される;X5は、独立して、水素、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、アルケニルおよびC1-6のアルコキシから選択される
などの3個の環を有する液晶化合物を含む。
【0039】
一実施態様において、液体混合物から分離される少なくとも一つの液晶群は、3個の環状基を有する液晶化合物を含み、ここで、液晶化合物の末端環は、ハロゲン基から選択される少なくとも一つの置換基を有するベンゼンであり、そして、前記液晶化合物は、少なくとも一つの液晶群に対して、約50〜100重量%の範囲の量で存在する。
【0040】
ある実施態様において、液晶混合物から分離される液晶群は、
10〜60の範囲の高いΔεを有する少なくとも一つの液晶群;
1〜150の範囲の粘性を有する少なくとも一つの液晶群;および
150〜400℃の範囲のTNIを有する少なくとも一つの液晶群
を含んでいてもよい。
【0041】
ある実施態様において、液晶混合物から分離される液晶群は、
−2〜−20の範囲の負の−Δεを有する少なくとも一つの液晶群
を含んでいてもよい。
【0042】
ある実施態様において、液晶混合物から分離される液晶群は表1に記載される液晶群を含んでいてもよい。
【0043】
【表1】

【0044】
ある実施態様において、液晶混合物から分離される液晶群は、表2に記載される液晶群を含んでいてもよい。
【0045】
【表2】

【0046】
C.物理的特性の測定
改質の前に、液晶混合物または液晶混合物から分離される液晶群は、図1の工程に示されるように、Δε、ΔnおよびTNI値などのそれらの物理的特性を決定するために種々の測定に付されてもよい。任意には、液晶データベースが液晶混合物または液晶混合物から分離される液晶群の物理的特性を記録するために構築され得る。
【0047】
D.液晶混合物の改質
工程114において、液晶混合物または液晶混合物から分離される液晶群が改質された液晶混合物を形成するために使用され得る。ある実施態様において、改質された液晶混合物の形成工程は、液晶混合物から分離される少なくとも一つの液晶群を用いる工程、例えば、液晶混合物から分離される少なくとも一つの第一、第二、第三、第四、第五の液晶群を用いる工程を含む。例えば、一実施態様では、改質された液晶混合物の形成工程は、液晶混合物から分離される第一および第二液晶群を用いる工程を含む。
【0048】
ある実施態様において、改質された液晶混合物の形成工程は、異なる液晶混合物から分離される液晶群を用いる工程、例えば、第一液晶混合物から分離される少なくとも一つの液晶群を用いる工程;および、第二液晶混合物から分離される少なくとも一つの別の液晶群を用いる工程を含む。
【0049】
ある実施態様において、改質された液晶混合物の形成工程は、第一液晶混合物から分離される少なくとも一つの液晶群および分離処理を行っていない第二液晶混合物を使用する工程を含む。
【0050】
ある実施態様において、改質された液晶混合物の形成工程は、分離処理を行っていない少なくとも一つの液晶混合物および分離処理を行っていない第二液晶混合物を使用する工程を含む。
【0051】
ある実施態様において、改質された液晶混合物の形成前に、少なくとも一つのマッピング処理工程が実行される。少なくとも一つのマッピング処理工程は、一つまたはそれ以上の以下の工程を含んでいてもよい:
(1)標的液晶混合物に必要な物理的特性、例えば、Δε(target)、Δn(target)およびTNI(target)の所望値を決定する工程;
(2)改質された液晶混合物を形成するための液晶群(または複数の液晶群)および/または液晶混合物(または複数の液晶混合物)を選択する工程;
(3)改質された液晶混合物を形成するために組み合わされる液晶群(または複数の液晶群)および/または液晶混合物の量または重量比を決定する工程;および
(4)液晶群(または複数の液晶群)および/または液晶混合物(または複数の液晶混合物)を組み合わせる工程。
【0052】
改質された液晶混合物を形成するための液晶群(または複数の液晶群)および/または液晶混合物(または複数の液晶混合物)の量または重量比を決定する方法は公知である。ある実施態様において、液晶群(または複数の液晶群)および/または液晶混合物の量は、所望の特性と用いられる液晶群が有する特性とに基づいて決定、または、算出され得る。ある別の実施態様においては、液晶群(または複数の液晶群)および/または液晶混合物の量は、既知の性質、データベースまたは類似のもしくは異なる液晶群もしくは化合物の混合後に蓄積される経験に基づいて開発され得る、線形、非線形または他の方程式により算出され得る。非限定的な実施態様によれば、粘性(A)、Δε(A)およびΔn(A)を有する液晶群A、粘性(B)、Δε(B)およびΔn(B)を有する液晶群B、粘性(C)、Δε(c)およびΔn(c)を有する液晶群Cが、粘性(target)、Δε(target)およびΔn(target)を有する改質された液晶混合物を形成するために選択された場合、液晶群A(重量比X)、液晶群B(重量比Y)および液晶群C(重量比Z)の重量比は、以下の線形方程式で算出され得る:
X×(粘性(A))+Y×(粘性(B))+Z×(粘性(c))=(X+Y+Z)×粘性(target)
X×(Δε(A))+Y×(Δε(B))+Z×(Δε(C))=(X+Y+Z)×Δε(target)
X×(Δn(A))+Y×(Δn(B))+Z×(Δn(C))=(X+Y+Z)×Δn(target)
【0053】
注意すべきことは、算出された量の液晶群の組み合わせが、所望の物理的性質とは若干異なる物理的性質を有する液晶混合物を与える可能性があるということである。差異が比較的小さい場合、選択された液晶群間の重量比を少し調整することが選択肢であり得る。一方、かなりの差異が認められる場合、所望の特性を有する改質された液晶混合物を得るために十分な量の追加の液晶群(または複数の液晶群)または液晶化合物を加えるか、または、一つまたはそれ以上の選択された液晶群が異なる液晶群と置き換えられてもよい。
【0054】
本発明により製造される改質された液晶混合物は、市販の液晶混合物に類似する、Δε、粘性、TNIおよびΔnから選択される少なくとも一つのパラメータを有する。ある実施態様においては、改質された液晶混合物のΔε、粘性、TNIおよびΔn値は、市販の液晶混合物の値とほぼ同じである。ある実施態様においては、改質された液晶混合物の電圧−透過率曲線(本明細書中において「V−T曲線」と称される)は、市販の液晶混合物のV−T曲線に類似している。
【0055】
ある実施態様において、改質された液晶混合物は、約2〜100cpsの範囲の粘性、約70〜120℃の範囲のTNI、約0.06〜0.25の範囲のΔn、および、約1〜50の範囲のΔεから選択される少なくとも一つの特性を含む。ある実施態様において、改質された液晶混合物は、約−1〜−10の範囲のΔεを有する。
【0056】
ある実施態様において、改質された液晶混合物は、少なくとも25種の液晶化合物を含む。
【0057】
ある実施態様において、改質された液晶混合物は、約−50℃で、約120時間放置後においても、結晶を形成しない。これは、現在市販のある種の液晶混合物が、約−40℃で、約120時間で結晶を形成することと対照的である。よって、本発明の改質された液晶は、より広い使用温度範囲を有し得る。一実施態様では、約−50℃の温度で、約120時間放置しても結晶を形成しない改質された液晶混合物は、約80℃のTNIを有している。
【0058】
E.再利用
例えば、図1に示される工程118の再利用の前に、改質された液晶は、不純物、例えば、金属イオンなどを除去するための少なくとも一つの精製工程(工程116)に付されてもよい。
【0059】
ある実施態様において、改質された液晶は、LCD装置、例えば、ノート型パソコン、デスクトップモニター、電子手帳、携帯電話、小型計算機、測定器、電子玩具、デジタルカメラ、AV機器、家庭用電気器具および自動車用ディスプレイなどの製造のために用いられる。
【0060】
本発明の開示にしたがってリサイクル、または、再利用され得る液晶化合物としては、従来技術において公知のあらゆる液晶化合物が挙げられる。
【0061】
本発明では好ましい実施例を以下の通り開示するが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で記載された実施態様に各種の変更や改変を加えることができることは容易に理解される。したがって本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【実施例】
【0062】
実施例1
一実施例において、正型の液晶混合物が、500個の廃棄液晶パネル(5種の異なる正TN型液晶パネル、各100個)から液晶を回収することにより得られた。液晶パネルの破砕後、連続抽出を用いて、破砕されたパネルから液晶を抽出し、さらに、回収された液晶からの不純物の除去を行った。5種の液晶混合物処方を含む約200グラムの液晶混合物(「LC−1液晶混合物」)が得られた。図2は、LC−1液晶混合物のガスクロマトグラフ質量スペクトル(GC/MS)を示す図である。次に、200gのアセトニトリルを用いて、200gのLC−1液晶混合物を4回抽出し、約36.1gの高いΔε値を有する高Δε値液晶群(High-Δε group)を得た。そのΔε値は約14.3であった。図3は、高Δε値液晶群のGC/MSスペクトルを示す図である。その後、残りの163gの液晶混合物を、ケイ素ベース(たとえばSiO2)を固定相とし、そして、アセトニトリルを移動相とするカラムクロマトグラフィーにより抽出した。抽出により、360℃のTNIを有する約18.9gの高TNI液晶群(High-TNI group)が得られた。図6は高TNI液晶群のGC/MSスペクトルを示す図である。その後、残った143gの液晶混合物が、さらに、160℃、6torrの圧力で18時間、低圧蒸留により分離され、約2.8cpsの粘性(η)を有する約40.1gの低粘性液晶群(Low-viscosity group)が得られた。図5は、低粘性液晶群のGC/MSスペクトルを示す図である。残った101gの液晶混合物は、基流体液晶群(base-fluid group)である。図7は基流体液晶群のGC/MSスペクトルを示す図である。各群の物理的特性が表3にまとめられている。最後に、高Δε値液晶群が、さらに、炭素ベース(たとえばC8およびC18)を固定相とし、ヘキサンを移動相としたカラムクロマトグラフィーにより分離された。これにより、少なくとも一つのCF2O連結基および約25のΔεを有する液晶混合物(高CF2O含有液晶群(High-CF2O group))を90%以上含む液晶群がさらに分離される。図4は、高CF2O含有液晶群のGC/MSスペクトルを示す図である。
【0063】
【表3】

【0064】
実施例2
別の実施例において、VA型の液晶混合物が、100個の廃棄液晶パネル(4種の異なるモデルのVA型液晶パネル、各25個)から液晶を回収することにより得られた。具体的には、液晶パネルの破砕後、連続抽出を用いて、破砕されたパネルから液晶を抽出し、さらに、回収された液晶からの不純物の除去を行った。4種の液晶化合物処方を含む120グラムの液晶混合物(「LC−2液晶混合物」)が得られた。図8は、LC−2液晶混合物のGC/MSスペクトルを示す図である。120gのLC−2液晶混合物を、その後、SiO2を固定相とし、そして、ヘキサンを移動相とするカラムクロマトグラフィーにより分離し、−4のΔεを有する42.1gの負型Δε液晶群(Negative-Δε group)を得た。図9は、負型Δε液晶群のGC/MSスペクトルを示す図である。残りの77.5gの液晶が、その後さらに、160℃、6torrの圧力で18時間、低圧蒸留により処理され、約4.5cpsの粘性(η)を有する約15.6gの低粘性液晶群(Low-viscosity group)が得られた。残った62.0gの液晶は基流体液晶群である。LC−2混合物から分離される各液晶群の物理的特性が表4にまとめられている。
【0065】
【表4】

【0066】
実施例3
別の実施例において、市販のTN型液晶混合物(LC−3)の、表5に示される物理的特性が、標的物理的特性として設定され、そして、実施例1で得られた各種液晶群が、改質された液晶混合物(LC−4)を製造するために使用された。
【0067】
計算にしたがい、実施例1で得られた基流体液晶群、低粘性液晶群、高Δε値液晶群および高TNI液晶群がそれぞれ、約18、43、28および11重量%の割合で混合され、LC−4が形成された。
【0068】
図11および図12は、それぞれ、LC−3およびLC−4のGC/MSスペクトルを示す図である。LC−3およびLC−4の物理的特性の対照比較が表5に示され、そして、LC−3およびLC−4のV−T曲線が図10に示されている。表5および図9は、LC−3にはたった7種の液晶化合物しか含まれないのに対し、LC−4は43種の液晶化合物を含むが、LC−4の物理的特性およびV−T曲線はともにLC−3に類似していたことを示す。よって、廃棄液晶パネルから回収された液晶から直接製造されるLC−4は、市販のLC−3を代替し、LCDパネルに応用され得る。
【0069】
【表5】

【0070】
実施例4
更に別の実施例において、市販のVA型液晶混合物(LC−5)の、表6に示される物理的特性が、標的物理的特性として設定され、そして、実施例2で得られた各種液晶群が、改質された液晶混合物(LC−6)を製造するために使用された。
【0071】
計算にしたがい、実施例2で得られた基流体液晶群、低粘性液晶群および負型Δε液晶群がそれぞれ、約23、32および45重量%で混合され、LC−6が形成された。
【0072】
図14および図15は、それぞれ、LC−5およびLC−6のGC/MSスペクトルを示す図である。LC−5とLC−6の物理的特性の対照比較が表6で示され、そして、LC−5およびLC−6のV−T曲線が図13に示されている。表6および図13は、LC−5にはたった10種の液晶化合物しか含まれないのに対し、LC−6は34種の液晶化合物を含むが、LC−6の物理的特性およびV−T曲線はともにLC−5に類似していたことを示す。よって、廃棄液晶パネルから回収された液晶から直接製造されるLC−6は、市販のLC−5を代替し、LCDパネルに応用され得る。
【0073】
【表6】

【0074】
実施例5
改質された液晶混合物の使用温度範囲を市販の液晶混合物と比較するため、上記のLC−3、LC−4、LC−5およびLC−6を、−20℃、−30℃、−40℃または−50℃で、120時間放置した。表7に示される結果は、改質された液晶混合物LC−4が、市販の液晶混合物LC−3の使用温度範囲(即ち、約−30〜約80.5℃)より広い使用温度範囲(即ち、約−50〜81.2℃)を有していたことを示す。
【0075】
【表7】

【0076】
実施例6
液晶混合物が、1000個の廃棄液晶ディスプレイパネル(4種の異なるモデルのTN型液晶ディスプレイ、各250個を含む)から回収された。本発明の開示にしたがった分離および改質の後、改質された液晶混合物LC−7が得られた。LC−7の物理的特性は表8に示され、LC−7のGC/MSスペクトルは図16に示される。
【0077】
【表8】

【0078】
実施例7
液晶混合物が、廃棄液晶ディスプレイパネルから回収された。本発明の開示にしたがった分離および改質工程の実行後、改質された液晶混合物LC−8が得られた。LC−8の物理的特性は表9に示され、LC−8のGC/MSスペクトルは図17に示される。
【0079】
【表9】

【0080】
実施例8
液晶混合物は廃棄液晶ディスプレイパネルから回収された。本発明の開示にしたがった分離および改質工程の実行後、改質されたコレステリック液晶混合物、LC−9、LC−10およびLC−11が得られた。LC−9、LC−10およびLC−11の物理的特性は表10に示され、LC−9、LC−10およびLC−11のGC/MSスペクトルは、表18〜20に示される。
【0081】
【表10】

λmaxは、極大吸収波長を示し、Δλは、極大吸収波長の半値全幅を示す。
【0082】
表11は、上述の液晶群の各種特性を測定するための機器および条件をまとめたものである。
【0083】
【表11】

【符号の説明】
【0084】
100 液晶のリサイクル工程
102 工程
104 工程
106 工程
108 工程
110 工程
112 工程
114 工程
116 工程
118 工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶のリサイクル方法であって、前記方法が:
液晶混合物を収集する工程;
少なくとも一つの分離処理工程を実行して、前記液晶混合物から第一液晶群を分離する工程;
少なくとも一つの追加の分離処理工程を実行して、残りの前記液晶混合物から第二液晶群を分離する工程;および、
前記第一液晶群と前記第二液晶群とを用いて、改質された液晶混合物を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記液晶のリサイクル方法が、さらに、好適な物理特性を有する前記改質された液晶混合物を形成するために組み合わされる、前記第一液晶群および第二液晶群の量または重量比を決定するために、少なくとも一つのマッピングプロセスを実行する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記改質された液晶混合物が、25種以上の液晶化合物を含むことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
改質された液晶混合物であって:
回収された液晶混合物から分離される第一液晶群;および
前記第一液晶群が前記回収された液晶混合物から分離された後、残りの前記回収された液晶混合物から分離される第二液晶群、
を含むことを特徴とする液晶混合物。
【請求項5】
前記改質された液晶混合物が、粘性が2〜100cpsの範囲の粘性、70〜120℃の範囲のTNI、0.06〜0.25の範囲のΔnおよび1〜50の範囲のΔεから選択される少なくとも一つの特性を有することを特徴とする請求項4記載の改質された液晶混合物。
【請求項6】
−1〜−10の範囲のΔεを有することを特徴とする請求項4記載の改質された液晶混合物。
【請求項7】
前記第一液晶群および前記第二液晶群の少なくとも一つが、少なくとも一つのCF2O連結基を有する少なくとも一つの液晶化合物を、前記液晶群の総重量に対して20〜100重量%の範囲の量で含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の改質された液晶混合物。
【請求項8】
前記第一液晶群および前記第二液晶群の少なくとも一つが、少なくとも4個の環状基を有する少なくとも一つの液晶化合物を、前記液晶群の総重量に対して20〜100重量%の範囲の量で含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の改質された液晶混合物。
【請求項9】
前記第一液晶群および前記第二液晶群の少なくとも一つが、少なくとも一つのベンゼン環ならびに少なくとも一つのベンゼン環のオルト位およびメタ位にハロゲン原子を有する少なくとも一つの液晶化合物を含み、さらに、前記少なくとも一つの液晶化合物が、前記液晶群の総重量に対して、50〜100重量%の範囲の量で存在していることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の改質された液晶混合物。
【請求項10】
前記第一液晶群および前記第二液晶群の少なくとも一つが、2個または3個以上の炭化水素環を有する少なくとも一つの液晶化合物を、前記液晶群の総重量に対して50〜100重量%の範囲の量で含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の改質された液晶混合物。
【請求項11】
前記第一液晶群および前記第二液晶群の少なくとも一つが、3個の環状基を有する少なくとも一つの液晶化合物であって、前記少なくとも一つの液晶化合物の末端環が、ハロゲン基から選択される少なくとも一つの置換基を有するベンゼンであって、さらに、前記少なくとも一つの液晶化合物が、前記液晶群の総重量に対して、50〜100重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の改質された液晶混合物。
【請求項12】
前記改質された液晶混合物が、25種以上の液晶化合物を含むことを特徴とする請求項4〜11のいずれか1項に記載の改質された液晶混合物。
【請求項13】
液晶のリサイクル方法であって、前記方法が:
第一液晶混合物および第二液晶混合物を収集する工程;
少なくとも一つの分離処理工程を実行して、前記第一液晶混合物から少なくとも一つの第一液晶群を分離する工程;
少なくとも一つの追加の分離処理工程を実行して、前記第二液晶混合物から少なくとも一つの第二液晶群を分離する工程;および
前記少なくとも一つの第一液晶群と前記少なくとも一つの第二液晶群とを用いて、改質された液晶混合物を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記液晶のリサイクル方法が、さらに、好適な物理特性を有する前記改質された液晶混合物を形成するために組み合わされる、前記第一液晶群および第二液晶群の量または重量比を決定するために、少なくとも一つのマッピングプロセスを実行する工程を含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
液晶のリサイクル方法であって、前記方法が:
第一液晶混合物および第二液晶混合物を収集する工程;
少なくとも一つの分離処理工程を実行して、前記第一液晶混合物から少なくとも一つの液晶群を分離する工程;および、
前記少なくとも一つの液晶群と前記第二液晶混合物とを用いて、改質された液晶混合物を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記液晶のリサイクル方法が、さらに、好適な物理特性を有する前記改質された液晶混合物を形成するために組み合わされる、前記液晶群および第二液晶混合物の量または重量比を決定するために、少なくとも一つのマッピングプロセスを実行する工程を含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
液晶のリサイクル方法であって、前記方法が:
第一液晶混合物および第二液晶混合物を収集する工程;
少なくとも一つのマッピングプロセスを実行する工程;および
少なくとも一部の前記第一液晶混合物と少なくとも一部の前記第二液晶混合物とを含む改質された液晶混合物を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−54354(P2013−54354A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188843(P2012−188843)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(390023582)財團法人工業技術研究院 (524)
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】