説明

液晶ディスプレイ機器

【課題】LEDバックライトを用いた液晶ディスプレイ機器において、大面積の液晶ディスプレイを薄型として構成し、光源の数を減じながら、液晶ディスプレイを均一に高輝度に照射するための技術を提供する。
【解決手段】光源は、複数の発光素子(4)群とし、発光素子における最も輝度の高い光軸方向を液晶ディスプレイ(3)の平面に対して所定の傾斜角度(α)を有して配置されている。前記導光部材(6)は、発光素子の前記光軸とほぼ直交するし、前記発光素子からの光を入射する第1の平面(61)と、前記光軸に対して所定の角度(α)を有し、第1の平面と鋭角を以って接続された第2の平面(62)とを有する楔形状の導光部が形成されている。そして発光素子の傾斜方向に対応して、複数の前記導光部を所定方向に平面的に配列して一体的に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ機器のバックライトシステムに係わり、特に発光ダイオードをバックライトとして、光を効率よく液晶ディスプレイに照射するとともに、薄型で、低コストに構成した液晶ディスプレイ機器に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型液晶TVにおける液晶ディスプレイのさらなる画質の向上や薄型化のために、バックライトとして従来の冷陰極蛍光管に代えて、発光素子(LED)を用いる場合がある。また、液晶ディスプレイの大型化に伴って、LEDによるバックライト方式は、画面の輝度の向上、及び均一化の観点においてサイドライト型(液晶ディスプレイの側面にLEDを配置する方式)から、LEDの照射距離の短い直下ライト型(液晶ディスプレイの背面にLEDを配置する方式)に移行する状況にある。
【0003】
一方、LEDは、一般的に所定の指向性を有する点光源であるが、LEDから輻射される光を液晶ディスプレイに均一な面光源として照射する必要がある。
【0004】
ここで、LEDによるバックライト方式における均一な輝度を得るための技術として、例えば、特許文献1乃至特許文献3が知られている。
【0005】
さらには、大形化する液晶ディスプレイにおいて、機器の厚さを増加することなく輝度むらを低減するための技術として、例えば、特許文献3が知られている。
【0006】
特許文献1は、液晶パネルの下に配置した導光板のサイドからLED光源の光を入光させるサイドライト型方式であって、導光板に反射面としてのプリズムを入光面からの距離によってプリズム傾斜角を暫時異ならして形成することにより輝度を均一化する技術を開示している。
【0007】
特許文献2は、液晶表示素子の背面から照明光を照射する直下型照明装置であって、光制御板にLED光源の1つ1つに対して光の出射方向を制御する同心凹凸プリズム構造を形成して輝度分布を良くする技術を開示している。
【0008】
また、特許文献3は、大形の液晶ディスプレイに対応するために直下型の面光源装置であって、LEDの最も輝度の高い光軸を導光板に対して傾斜するように光源を配置して、薄型で、輝度むらを低減する技術を開示している。
【0009】
【特許文献1】特開2007−42404号公報
【特許文献2】特開2006−344409号公報
【特許文献3】特開2007−134224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載されているバックライトシステムは、導光板の反射面のプリズム傾斜角によって、光の照射に指向性を有するLEDにおける輝度むらを抑制するとしているが、光源を導光板の側方に配置する構造であるため、大形表示パネルになるにつれ、側方に配置される光源からの照射距離が拡大し、光源から離れるに従い光の輝度が低下するサイドライト型の課題に対しては何ら考慮されておらず、所定の輝度を得るための画面の大きさには、自ずとして限界を有するものである。
【0011】
特許文献2に記載されている照明装置は、液晶表示素子の背面に複数のLED光源を配置した直下型方式であり、光源の投射距離は比較的に短いため特許文献1の問題はないが、一般的に輻射指向性を有するLED光源において、照射面積の拡大と輝度むらの抑制をはかるために、LED光源毎に対応させて同心円凹凸プリズムを形成した光制御板によって光源の出射光の照射方向を制御している。このため特許文献2では、光制御板は、LED光源に対応して同心円凹凸プリズムの形状円周ごとに変化させながら、かつ円凹凸プリズムをマトリックス状に形成する必要があり、成形型等の製作上での煩雑となる懸念がある。
【0012】
特許文献3に記載の面光源装置は、LED光源による直下型バックライト方式でありながら、光源の最も輝度の高くなる光軸を導光板に対して傾斜するように配置して、LED光源と拡散板との距離を確保することにより輝度むらを低減しながら、バックライトシステムの薄型を図るとしている。しかしながら特許文献3は、LED光源の上記光軸方向に出射される高角度輻射光を利用することについて考慮されているかもしれないが、LED光源の低角度輻射光の有効利用については考慮されていない。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、バックライトとしてLEDを用いた液晶ディスプレイ機器において、大面積の液晶ディスプレイを均一に高輝度に照射する構造を薄型で、低コストに提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成を特徴とするものである。
【0015】
すなわち、本発明に係るディスプレイ機器は、液晶ディスプレイと、前記液晶ディスプレイの背面に配置される光源と、前記光源の光を前記液晶ディスプレイに照射するための導光部材と、を有する液晶ディスプレイ機器において、
前記光源は、複数の発光素子群であって、前記発光素子における最も輝度の高い光軸方向が前記液晶ディスプレイの平面に対して所定の傾斜角度を有して配置され、前記導光部材は、前記発光素子に対向する面側において、前記発光素子の前記光軸とほぼ直交する平面であって、前記発光素子からの光を入射する第1の平面と、前記光軸に対して所定の角度を有し、前記第1の平面と鋭角を以って接続される平面であって前記光を反射する第2の平面と、を有する楔形状の導光部が形成されており、前記発光素子の傾斜方向に対応して、複数の前記導光部を所定方向に平面的に配列して、一体的に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記の本発明の構成によれば、バックライトとしてLEDを用いた液晶ディスプレイ機器において、大面積の液晶ディスプレイを薄型として構成でき、光源の数を減じながら、液晶ディスプレイを均一に高輝度に照射することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、液晶ディスプレイ機器の概略構成図である。図1の正面図においては、説明を解かり易くするために構成部品の一部である液晶ディスプレイ3、導光部材6、及び拡散部材7等を透視して示している。液晶ディスプレイ機器1の筐体2内には、情報を表示する液晶ディスプレイ3と、液晶ディスプレイ3の背面にバックライト装置として、複数個のLED光源(以下、単に「LED」と称する)4と、LED4を縦横のマトリックス状に載置した基板5と、を配置している。基板5と液晶ディスプレイ3との間には、点光源のLED4の光を面光源として、液晶ディスプレイ3を高輝度に照射するための導光部材6を有している。さらには、導光部材6から出射された光を液晶ディスプレイ3に均一に照射するための、板状もしくはシート状に構成された拡散部材7を設けている。ここで、拡散部材7の一部、あるいは全部は、導光部材6に一体的に構成してもよい。
【0019】
つぎに、本発明に係るバックライト装置の実施例について、図2、及び図3を参照にして説明する。図2は、本発明におけるバックライト装置の実施例を概念的に示した構成斜視図である。図3は、本発明におけるバックライト装置の部分断面図である。図2では、バックライト装置の構成部品を解かり易く表示するためにZ軸方向に離間させて示している。尚、図2、および図3は、説明を容易にするためにバックライト装置の一部を代表的に図示しているが、実際のバックライト装置は、複数のLED4、及び導光部材6の各々において、前述のように縦横(X,Y)平面でマトリックス状に一体的に配設されている。また、マトリック状に配設されるLED4の間隔(d1、d2)は、LED4の光量と導光部材6の導光性能によって定められるものである。すなわち、1つのLED4によって、液晶ディスプレイ3の所定の面積を所望の輝度で照射するように設定されることになる。
【0020】
よって、本実施例において、複数個のLED4を載置する基板5の表面積、各LED4に対応して設けられた導光部材6の投影面積、及び拡散部材7の平面積は、各々、液晶ディスプレイ3の表示平面籍に略等しい大きさである。
【0021】
図2に示す実施例において、LED4は、基板5の液晶ディスプレイ3側の平面51上に載置され、基板5の平面51、あるいは対向平面52に付設される配線(図示せず)にワイヤボンディング等によって電気的に接続され、通電される。また、LED4は、光輻射において所定の指向特性をもっている。さらには、LED4は、基板5に所定の角度(α)を傾斜させて載置されている。すなわち、LED4における最も輝度の高い光軸方向を液晶ディスプレイ3の平面に対して所定の傾斜角度(α)を有して配置されることになる。LED4から輻射された光は、LED4に対向配置される導光部材6に入射される。
【0022】
ここで、導光部材6について説明する。導光部材6は、光透過性を有する例えば透明樹脂により形成されている。
【0023】
導光部材6は、LED4の輻射光を入射する平面(第1の平面)61と、入射された光を透過する導光部と、透過された光を反射する平面(第2の平面)62と、入射され導光される光(A)、及び反射されて導光される光(B)とを出射する平面(第3の平面)63により構成されている。上記第1の平面61と第2の平面62は、図示されるように、液晶ディスプレイ3の平面と直交する断面において三角形状の導光部材を形成するように互いに接続もしくは結合されており、後述するように楔形の導光部材を形成する。
【0024】
LED4の輻射光を入射する第1の平面61は、LED4の低角度輻射光を有効に入射し、液晶ディスプレイ3を照射するために、LED4における最も輝度の高い光軸方向に対しほぼ直行する平面となるように配置され、LED4にできる限り近接して配置されている。すなわち、本実施例においては、第1の平面61と第2の平面62とによって形成される基板5側の稜線64(第1の平面61と第2の平面62との基板5側の接続部)は、複数のLED4を含む平面より基板5側に位置している。換言すれば、本実施例では、第1の平面61及び第2の平面62の一部が複数のLED4を含む平面上に存在するようにしている。上記低角度輻射光をより有効利用するためには、上記稜線64(接続部)が可能な限り基板5に近接、あるいは接触する位置まで伸延されていることが、より好ましい。
【0025】
第1の平面61(61a)と第2の平面62(62a)との為す角度は、少なくとも直角以下で、鋭角(β≦90度)をなして形成されている。すなわち、第1の平面61と、第2の平面62とは、二点鎖線で示される楔形を形成する導光部材の一部を構成しており、光を所定の範囲に導光するために反射面62を所定の大きさで構成している。一方、第2の平面62が、第1の平面61、すなわちLED4における最も輝度の高い光軸方向に対して直交する平面と鋭角を為すようにしているのは、第1の平面61から入射された光を早期に反射させ、各々のLED4の近傍における液晶ディスプレイ3の平面を高輝度に照射するためである。すなわち、本実施例は、LED4を導光部材6の側辺側に対向して配置するサイドライト型のバックライト方式としながら、傾斜配置することにより生じるZ方向への大きさを抑制するために導光部材6の導光距離を縮小して形成した構成としている。
【0026】
また、導光部材6の液晶ディスプレイ3と対向する側には、液晶ディスプレイ3への出射平面(第3の平面)63を形成している。第1の平面61に入射された光は、導光部材6の導光部を透過し、液晶ディスプレイ3と対向する第3の平面から直接出射(A)されるか、導光部を透過して、第2の平面62において反射され、導光部を透過して第3の平面63から出射(B)される。その出射光は、第3の平面63に付設された拡散パターン(図示せず)、あるいは、液晶ディスプレイ3と導光部材6の間に設けられた拡散部材7によって拡散され、液晶ディスプレイ3を均一に面照射している。
【0027】
第3の平面からの出射光を拡散するためには、第3の平面63に付設された拡散パターンまたは拡散部材7のいずれか一方を用いればよいが、両方を用いてもよいことは言うまでも無い。尚、図2では、第3の平面からの出射光の様子を見易くするために拡散部材7の図示を省略しているが、この実施例において拡散部材7が不用であることを示しているものではない。
【0028】
図3は、液晶ディスプレイ3の平面に対するLED4の光軸の傾斜角に応じたLED4及び導光部材6の配置の一例を示している。図3(a)は、液晶ディスプレイ3の平面に対するLED4の光軸の傾斜角度(α)が比較的小さい場合の配置例を示している。かかる例は、LED4の輻射光を入射する第1の平面61が比較的広く確保できることから、LED3の輻射光の指向特性が比較的に高角輻射傾向(つまり、LED4の光軸方向への出射光の強度が比較的強く、出射光の指向性が強いもの)を有する場合に適している。図3(b)は、液晶ディスプレイ3の平面に対するLED4の光軸の傾斜角度(α)が比較的大きい場合の配置例を示している。かかる例は、第1の平面61に入射された光を反射するための第2の平面62を比較的広く確保できることから、LED4の輻射光の指向特性が比較的に低角輻射傾向(つまり、LED4の光軸方向への出射光の強度が比較的弱く、出射光の指向性が弱いもの)を有する場合に適している。いずれの例においても、第1の平面61と、第2の平面62とを含んで二点鎖線で示すような導光部材を構成している。
【0029】
また、かかる構成において、LED4と導光部材6とを近接させれば、サイドライト型バックライト方式に適用することが可能となり、LED4からの低角輻射光を広範囲に出射可能なように導光することができる。また、LED4、及び導光部材6を傾斜角度(α)傾けて配置するために導光部材の導光距離を抑制することができ、これによって、バックライトの照射強度が導光部材によって低下することを軽減している。さらには、導光部材6の第1の平面61及び第2の平面62を広くすれば、LED4からの高角輻射光をより多く導光部材6に入射でき、LED4の光量の損失を抑制して、有効利用することができる。また、液晶ディスプレイ3の平面と直交する方向(Z)において、導光部材6方がLED4の下方に位置することから、LED4の底方における暗部を形成されることがない。
【0030】
上記のように、本実施例に係るバックライト装置は、LED4の輻射光を高輝度でかつ均一に液晶ディスプレイ3に面照射できる。
【0031】
また、本実施例では、上記のように導光部材6を構成しているので、LED4と液晶ディスプレイ3との距離を短くすることができる。従って本実施例によれば、液晶ディスプレイ3の平面と直交する方向、すなわち液晶ディスプレイ3の厚さ方向(Z方向)の寸法を抑制し液晶ディスプレイ機器の薄型化を実現できる。
【0032】
さらには、図3に示されるように、ハッチングを施した部分を第3の平面63において凹部として形成することにより、かかる導光部材6をサイドバックライト型の導光部材として用いることも可能である。更に本実施例では、直下型のLEDバックライトとしてかかる導光部材6用いる場合において、LED4の配置に対応してこの導光体部を各々形成させているので、導光部材による光の透過範囲を拡大させることが可能となる。従って、LED4の数を低減できるとともに、各々の導光部材6における透過距離も低減できるので、コスト上昇を抑制しつつLED4からの光を高輝度に液晶ディスプレイに照射することができる。更にまた、本実施例に係る導光部材6は、各平面が入射光を反射して出射する構成とされているので、LED4ごとに付設される複雑な拡散パターンを形成する必要もない。
【0033】
以上のように、本実施例によれば、液晶ディスプレイ機器を薄型化しながら、コストを抑制しつつ、光源(LED)からの光を均一に液晶ディスプレイへ照射することが可能となる。従って本実施例によれば、高輝度で、かつより薄型化された低コストな液晶ディスプレイ機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】液晶ディスプレイ機器の概略構成図である。
【図2】本発明におけるバックライト装置の実施例を概念的に示した構成斜視図である。
【図3】本発明におけるバックライト装置の部分断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1・・・液晶ディスプレイ機器、2・・・筐体、3・・・液晶ディスプレイ、
4・・・LED、5・・・基板、6・・・導光部材、7・・・拡散部材、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイと、前記液晶ディスプレイの背面に配置される光源と、前記光源の光を前記液晶ディスプレイに照射するための導光部材と、を有する液晶ディスプレイ機器において、
前記光源は、複数の発光素子群であって、前記発光素子における最も輝度の高い光軸方向が前記液晶ディスプレイの平面に対して所定の傾斜角度を有して配置され、
前記導光部材は、前記発光素子に対向する面側において、
前記発光素子の前記光軸とほぼ直交する平面であって、前記発光素子からの光を入射する第1の平面と、
前記光軸に対して所定の角度を有し、前記第1の平面と鋭角を以って接続る平面であって、前記光を反射する第2の平面と、
を有する楔形状の導光部が形成されており、
前記発光素子の傾斜方向に対応して、複数の前記導光部を所定方向に平面的に配列して、一体的に構成されている
ことを特徴とする液晶ディスプレイ機器。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶ディスプレイ機器において、
前記導光部材は、前記第1の平面の一部及び前記第2の平面の一部を、前記発光素子群を含む平面上に存在するように、前記発光素子を載置する基板側に近接して配置されている
ことを特徴とする液晶ディスプレイ機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液晶ディスプレイ機器において、
前記導光部材は、前記液晶ディスプレイに対向する出射面側において、前記導光部材に入射された前記光源からの光を前記液晶ディスプレイに拡散して出射するための微細凹凸パターンを形成している
ことを特徴とする液晶ディスプレイ機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−193669(P2009−193669A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29873(P2008−29873)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】