説明

液晶ディスプレイ

【課題】本発明の目的は、冷却能力を高め、長寿命化を図った液晶ディスプレイを提供することにある。
【解決手段】液晶ディスプレイ10は、液晶モジュール12、液晶モジュール12の前面に配置される板体14、液晶モジュール12と板体14を取り付けるための筐体16、第1のファン18、および第2のファン20a,20bを備える。第1のファン18で液晶モジュール12の前面を冷却しながら、第2のファン20a,20bで液晶モジュール12の裏面も冷却する。第2のファン20a,20bによって外気の吸入と熱の排気を強制的におこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字や画像などを表示する液晶ディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外で使用するディジタルサイネージ(電子看板)として、液晶ディスプレイの普及が進んでいる。液晶ディスプレイを屋外で使用した場合、液晶モジュールの前面に太陽光が照射される場合がある。液晶モジュールの輝度を上げても、液晶モジュールの前面の温度が上昇するため、表示が黒くなる。例えば、液晶モジュールの前面が約60℃以上になると、表示が黒くなる。その対策を施した液晶ディスプレイが下記の非特許文献に開示されている。
【0003】
下記の非特許文献1の液晶ディスプレイ50は、液晶モジュール52と、液晶モジュール52の前の保護ガラス54と、クロスフローファン56と、液晶モジュール52などが取り付けられる筐体58とを備えている(図5)。液晶モジュール52は液晶セル60の裏面にバックライト62が取り付けられている。筐体58の下部と上部に通風口62があり、クロスフローファン56が液晶モジュール52の前面と保護ガラス54との間に風Wを送っている。液晶モジュール52の前面から排熱がおこなわれ、液晶モジュール52の前面の温度上昇を防止している。
【0004】
しかし、液晶モジュール52の前面の冷却だけでは、液晶モジュール52に対する冷却能力は低い。特に屋外で視認できるようにバックライト62の輝度が高められており、筐体内の温度が上昇しやすい。この温度上昇によって液晶モジュール52などが故障しやすい。クロスフローファン56の回転数を上げることが考えられるが、クロスフローファン56の寿命を縮めるおそれがある。
【0005】
また、太陽光の照射の有無に関係なく送風をおこなうと、必要のない冷却をおこなう場合がある。寒冷地に液晶ディスプレイ50を設置した場合、冬季に送風をおこなうと、液晶ディスプレイ50が冷えすぎて動作できない場合がある。クロスフローファン56を常時駆動させることによって、クロスフローファン56の寿命が縮められるおそれがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ASCII.jp http://ascii.jp/elem/000/000/443/443630/ 2009年7月31日6時更新
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、冷却能力を高め、長寿命化を図った液晶ディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液晶ディスプレイは、液晶モジュールと、前記液晶モジュールの前面に対して一定間隔で対向する光透過性の板体と、前記液晶モジュールの側面および裏面に対して空間を介して覆い、液晶モジュールと板体が取り付けられる筐体と、前記液晶モジュールの裏面側から液晶モジュールと板体の間を通り、液晶モジュールの裏面側に抜ける風を発生させる第1のファンと、前記筐体の外部から液晶モジュールの裏面側の空間を通り、該裏面側の空間から筐体の外部に抜ける風を発生させる第2のファンとを備える。
【0009】
液晶モジュールと板体との間に第1のファンで送風をおこない、液晶モジュールの前面を冷却する。液晶モジュールの裏面と筐体の間に第2のファンで送風をおこない、液晶モジュールの裏面を冷却する。第2のファンは、第1のファンへの送風をおこない、かつ液晶モジュールの前面の冷却に使用した風も排気する。
【0010】
液晶ディスプレイは温度センサを備えて、温度に応じて第1のファンと第2のファンの風力を変更させても良い。また、温度に応じてバックライトの輝度を変更しても良い。さらに、照度センサを備えて、照度に応じて第1のファンと第2のファンの風力の変更とバックライトの輝度を変更させても良い。また、板体における液晶モジュールとの対向面に赤外線カットフィルムを貼り付けることにより日射による熱をカットしても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、第1のファンと第2のファンで液晶モジュールの両面を冷却できるため、冷却能力が高い。液晶モジュールの寿命を長くできる。また、温度センサなどを用いて、第1のファンと第2のファンの駆動時間や駆動方法を制御することによって、最適な冷却をおこないつつ、各ファンの寿命を長く、フィルタ交換の間隔も長くできる。さらに、温度センサなどを用いて、バックライトの輝度を変更するため、第1のファンと第2のファンの冷却をアシストしたり、液晶モジュールの寿命を長くできる。赤外線カットフィルムによって、液晶モジュールの前面の温度上昇を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の液晶ディスプレイの外観を示す図である。
【図2】液晶ディスプレイの構成を示す図であり、(a)は液晶モジュールの裏面側、(b)は液晶モジュールの側方断面を示す図である。
【図3】液晶モジュールの各制御回路のブロックを示す図である。
【図4】複数のファンをローテーションで駆動させるパターンを示す図である。
【図5】従来の液晶ディスプレイの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の液晶ディスプレイについて図面を使用して説明する。図面は模式的に示したものであり、実際の寸法とは異なる場合がある。
【実施例1】
【0014】
図1、図2に示す液晶ディスプレイ10は、液晶モジュール12、液晶モジュール12の前面に配置される板体14、液晶モジュール12と板体14を取り付けるための筐体16、第1のファン18、および第2のファン20a,20bを備える。
【0015】
液晶モジュール12は、液晶セル22の裏面にバックライト24を取り付けたものである。液晶セル22の前面が表示面となる。液晶セル22は、アレイ基板とカラーフィルター基板とを対向させて、両基板間に液晶を封入した物である。液晶セル22の少なくとも2辺に液晶セル22を駆動させるためのドライバICが接続される。液晶セル22とバックライト24を一体にするためにベゼルが使用される。
【0016】
板体14は、液晶モジュール12の前面に対して一定間隔で対向する。板体14は、液晶モジュール12の表示が視認できるようにするため、光透過性である。板体14の種類としては、タッチパネル、ガラス板、樹脂板、またはそれらを組み合わせた物が挙げられる。液晶モジュール12と板体14との間に風Wyが通される。
【0017】
液晶ディスプレイ10の設置条件に応じて、板体14の液晶モジュール12との対向面に赤外線カットフィルム、紫外線カットフィルム、またはその両方を貼り付けることもできる。液晶モジュール12の温度上昇や経年劣化を抑えることができる。板体14の種類によっては、上述した面とは逆側の面に各フィルムを貼り付けても良い。
【0018】
筐体16には液晶モジュール12と板体14が取り付けられる。液晶モジュール12のベゼルが筐体16の内壁に直接または間接的に取り付けられる。筐体16には方形の開口26を形成するための枠28が有り、枠付近の内壁に板体14の4辺が取り付けられる。液晶モジュール12と板体14とが一定間隔を有するように、筐体16を設計する。
【0019】
また、筐体16は、液晶モジュール12の側面や裏面に対して空間を介して覆うようにする。この空間に第1のファン18や第2のファン20a,20bなどが配置される。図1の筐体16は直方体であるが、液晶モジュール12の前面を視認でき、所定の物を収納でき、後述する風Wx,Wyが発生するのであれば、他の形状であっても良い。
【0020】
第1のファン18は、液晶モジュール12の裏面側から液晶モジュール12と板体14の間に吸気をおこない、液晶モジュール12と板体14の間から液晶モジュール12の裏面側に排気する。第1のファン18の風Wyによって、液晶モジュール12の前面を冷却する。
【0021】
液晶モジュール12の縦方向の風Wyを確実に発生させるために、液晶モジュール12と板体14の間の空間において、横側辺を板(パッキン)などで封止する。空間の横側辺を封止することによって、縦方向に風路が形成される。
【0022】
第1のファン18の種類としてはクロスフローファン(遠心ファン)が挙げられる。第1のファン18から液晶モジュール12と板体14との間に風Wyを導くためのダクト30を備える。ダクト30によって、第1のファン18からの風を効率良く液晶モジュール12と板体14との間に導くと共に風速を高めることができる。
【0023】
図2では第1のファン18は液晶モジュール12よりも上方に配置されているが、液晶モジュール12よりも下方であっても良い。下方から上方に送風する。また、ダクト30の構造によっては、第1のファン18は液晶モジュール12の裏面側に配置されても良い。
【0024】
第2のファン20a,20bは、筐体16の外部から液晶モジュール12の裏面側の空間に吸気をおこない、裏面側の空間から筐体16の外部に排気をおこなう。図示例では第1のファン18と第2のファン20a,20bとでは、風Wx,Wyの方向が90°異なる。第2のファン20a,20bによって、液晶モジュール12の裏面を冷却しながら、第1のファン18の吸気部分に外気を送ることができる。また、液晶モジュール12の前面から裏面に排気された空気は、第2のファン20a,20bによって筐体16の外部に排気される。液晶モジュール12の裏面側はバックライト24であり、輝度を上げることによってバックライト24の温度も上がるが、第2のファン20a,20bによって冷却される。液晶ディスプレイ10の種々の制御回路を搭載する基板とそれを固定する板金を使用して効率良く液晶モジュール12の裏面側を冷却出来るように風路を構成しても良い。基板も同時に冷却できる。
【0025】
第2のファン20a,20bの種類としては軸流ファンが挙げられる。第2のファン20a,20bは、図示例では吸気用と排気用の2種類を備える。第2のファン20a,20bは、第1のファン18よりも風力を強くする。液晶モジュール12の前面から裏面側に送られた空気も排気するためである。
【0026】
第2のファン20a,20bが並べられているが、並べられる間隔などは、第1のファン18への送風、液晶モジュール12の裏面の冷却、筐体16からの排気を考慮して適宜変更しても良い。
【0027】
筐体16における第2のファン20a,20bの周辺には、吸気または排気をおこなうための通風口32が設けられる。通風口32は、粉じんや花粉などを吸入しにくくするために、細いスリットや小さな穴を複数設けるのが好ましい。通風口32にエアフィルターを設け、粉じんや花粉などが筐体内への吸入されるのを防止しても良い。更に、第1のファン18の吸気部にもエアフィルルターを設けることにより、液晶モジュール12と板体14の間への粉じんや花粉などの流入を防ぐことが出来る。
【0028】
なお、第2のファン20a,20bを吸気用または排気用の1つに限定しても良い。吸気用の第2のファン20aだけであれば、吸気によって筐体16の空気を外部に押し出す。排気用の第2のファン20bだけであれば、排気によって、筐体16の内部に外気を吸い込む。
【0029】
液晶モジュール12のバックライト24を制御するバックライト制御回路34、各ファン18,20a,20bの単位時間あたりの回転数(回転速度)を制御するファン制御回路36が筐体16の中に収納される(図3)。バックライト制御回路34やファン制御回路36は、後の実施例において、種々のセンサ38,40からのデータが入力され、データによって制御を変更することができる。
【0030】
その他、映像信号を液晶モジュール12のドライバICの信号に変換する回路、タッチパネルを使用した場合のタッチパネルを制御するための回路、外部と通信する場合に通信をおこなうための回路が筐体16に収納される。外部から映像信号を入力して、液晶ディスプレイ10の表示をおこなうことができる。また、内部にパソコンなどの映像出力装置を内蔵して表示をおこなうこともできる。さらに、必要に応じて種々のデータを記憶するためのメモリ、必要に応じて時間を計るための時計機能を備える。
【0031】
液晶ディスプレイ10は、ディジタルサイネージとして利用できる。板体14にタッチパネルを使用すれば、券売機や自動販売機の商品選択や商品説明のディスプレイとして使用できる。自動販売機などであれば、筐体16は自動販売機などの筐体であっても良く、筐体内には上記の物以外に自動販売機などの装置が組み込まれる。
【0032】
上述した本発明は、第1のファン18で液晶モジュール12の前面を冷却しながら、第2のファン20a,20bで液晶モジュール12の裏面も冷却する。また、第2のファン20a,20bによって外気の吸入と熱の排気を強制的におこなうことができる。液晶モジュール12の前面に太陽光が照射されても、液晶モジュール12の両面を冷却するために冷却効率が良く、表示が黒くならない。屋外や窓際で良好に液晶ディスプレイ10を使用することができる。また、板体14における液晶モジュール12との対向面に赤外線カットフィルムを貼り付けることにより更に太陽光照射による液晶モジュール12の前面の温度上昇を防ぐことができる。
【実施例2】
【0033】
上記の液晶ディスプレイ10に温度センサ38を設けても良い。温度センサ38は、液晶モジュール12、筐体16の内部空間、または筐体16の外周の少なくとも1つの温度を測定する。複数の温度センサ38を設けてもよい。具体的には、液晶モジュール12の前面、液晶モジュール12の裏面、液晶モジュール12の裏面側の空間、第1のファン18の付近、第2のファン20a,20bの付近、および筐体16の外周が挙げられる。温度センサ38としては、接触型または非接触型のいずれでも良く、例えばサーミスタが挙げられる。
【0034】
温度センサ38が測定した値はファン制御回路36に入力される。液晶モジュール12の前面や裏面の温度であれば、液晶モジュール自身の前面や裏面の温度が分かる。筐体16の内部空間の温度などは、それらの温度を使用して液晶モジュール12の前面や裏面の温度を計算する。液晶モジュール12の前面や裏面の温度によって、各ファン18,20a,20bの回転数を変更する。液晶モジュール12の前面や裏面の温度が上昇すれば各ファン18,20a,20bの回転数を上げ、液晶モジュール12の前面や裏面の温度が低下すれば各ファン18,20a,20bの回転数を下げる。例えば、液晶モジュール12の前面の温度が約60℃以上にならないようにして、表示が黒くならないようにする。
【0035】
また、上記の温度および各ファン18,20a,20bの回転数を使用して、ファン制御回路36が液晶モジュール12の温度変化を予測し、各ファン18,20a,20bの回転数を決定しても良い。液晶モジュール12の温度が高くなると予測されれば各ファン18,20a,20bの回転数を上げ、液晶モジュール12の温度が低くなると予測されれば各ファン18,20a,20bの回転数を下げる。予測は、温度やファン18,20a,20bの回転数の統計データをファン制御回路36に記憶しておき、統計データに基づいておこなうことが挙げられる。
【0036】
温度による各ファン18,20a,20bの回転数の制御を挙げたが、温度によって各ファン18,20a,20bのオンとオフが切り替えられる構成であっても良い。温度が上がれば各ファン18,20a,20bをオンにして冷却をおこなう。
【実施例3】
【0037】
バックライト制御回路34は、各ファン18,20a,20bの回転数および液晶モジュール12の前面の温度によって液晶モジュール12の輝度を変更する。ファン18,20a,20bの故障などで回転数が上がらない場合に、液晶モジュール12の前面の温度が上昇すれば、バックライト制御回路34が液晶モジュール12の輝度を下げるようにする。筐体16内の温度上昇を抑え、液晶ディスプレイ10の保護をおこなう。
【0038】
また、ファン18,20a,20bの回転数を上げても、夏期などの高温時に液晶モジュール12の温度が下がらない場合に、液晶モジュール12の輝度を下げるようにする。液晶モジュール12の温度を下げて、保護をおこなう。輝度を下げることによって、筐体16の内部空間の温度も下がり、各種制御回路34,36などの保護にもなる。
【0039】
以上をまとめると、バックライト制御回路34は、ファン18,20a,20bの各回転数に対する液晶モジュール12の温度を定義したデータを記憶しておき、回転数に対して温度が高ければ、液晶モジュール12の輝度を下げる。
【実施例4】
【0040】
液晶ディスプレイ10が表示をおこなっていない場合であっても、温度センサ38によって筐体16の外周またはその周辺の温度を測定しても良い。所定温度以下(氷点下以下などの低温)の場合、バックライト制御回路34がバックライト24をオンにして、ファン制御回路36が第1のファン18を駆動させる。バックライト24をオンにすることによって、筐体16内の温度が所定温度以下にならないようにして、液晶ディスプレイ10が何時でも動作できるように待機させる。第1のファン18を駆動させることによって、液晶ディスプレイ10の内部で結露が生じないようにする。第1のファン18の駆動は、間欠運転であっても良い。第1のファン18の製品寿命を延ばす。
【0041】
また、結露を防止するために、筐体16内に湿度センサを設けても良い。ファン制御回路38は、温度と湿度から各ファン18,20a,20bの回転数を求める。湿度によって露点温度が分かり、温度が露点温度よりも高ければ、各ファン18,20a,20bの回転数を下げたり、または各ファン18,20a,20bの回転を停止させることができる。各ファン18,20a,20bの負荷を小さくでき、寿命を長くできる。温度が露点温度以下であり、外部の温度が露点温度以上であれば、ファン18,20a,20bを駆動させる。温度が露点温度よりも下がるにしたがってファン18,20a,20bの回転数も高める。また、外部の温度が露点温度以下の場合はバックライト24をオンにし、第1のファン18を駆動させ温度が露点温度以下にならない様にする。
【実施例5】
【0042】
液晶モジュール12の周辺に照度を測定する照度センサ40を備えても良い。液晶モジュール12の前面が所定温度以下(表示が黒くならない温度)であっても、照度センサ40が所定以上の照度の光を受光した場合に、ファン制御回路36が各ファン18,20a,20bを駆動させる。光の照射によって液晶モジュール12の温度が高くなるのを防止するためである。照度に応じて各ファン18,20a,20bの回転数を変更しても良い。照度センサ40としては、光の受光部分にフォトトランジスタやフォトダイオードを使用した回路が挙げられる。
【0043】
また、照度が大きく、かつ各ファン18,20a,20bによる冷却を行っても液晶モジュール12の前面温度が所定温度以下にならない場合は、実施例3と同様に液晶モジュール12の輝度を下げるようにする。液晶モジュール12の温度を下げて、保護をおこなう。
【0044】
屋外や窓際で表示をおこなうために、太陽光の照射を考慮して液晶モジュール12の輝度が高められる。例えば、1500cd/mの高輝度である。しかし、太陽光が照射されない夜間や曇天などでは、輝度が高すぎる。そこで、バックライト制御回路34は、照度に応じて輝度を変化させてもよい。太陽光が照射されれば、前述の輝度とする。照度が下がればそれにあわせて輝度を下げる。例えば夜間であれば、輝度を450cd/mとする。輝度を適宜変化させることによって、最適な輝度で表示できる。夜間にファン18,20a,20bを停止させることができ、ファン18,20a,20bの寿命も延ばせる。
【0045】
照度センサ40として小型のカメラを使用しても良い。カメラとしてCCDやCMOSの光電変換素子を使用し、受光光量を使用して照度センサ40とする。また、光電変換素子のデータから顔を認識する制御回路を設けてもよい。顔を認識した場合に、バックライト制御回路34が輝度を高め、顔を認識してから一定時間経過した場合に、輝度を下げる。ディジタルサイネージとして使用する場合に、液晶ディスプレイ10の前に人がいないときに広告の効果はないため、輝度を下げて筐体16内の温度を下げる。人が近づくと輝度を上げて、表示をおこなう。バックライト24の寿命を延ばすことができ、消費電力の低減になる。輝度の上げ下げは、バックライト24のオン・オフであっても良い。
【0046】
また、バックライト24の制御判断に時計機能を使用してもよい。ディジタルサイネージとして使用する場合に、液晶ディスプレイ10の前に人がいないと想定される夜間などの時間帯に輝度を下げて筐体16内の温度を下げる。人がいると想定される時間帯になってから輝度を上げて、表示をおこなう。バックライト24の寿命を延ばすことができ、消費電力の低減になる。輝度の上げ下げは、バックライト24のオンまたはオフの切り替えであっても良い。
【実施例6】
【0047】
第1のファン18および第2のファン20a,20bはそれぞれ複数であっても良い。第1のファン18同士および第2のファン20a,20b同士は同時に駆動しないようにする。図4に示すように第1のファン18がA,B,Cの3個あるとする。この場合、各ファンA,B,Cがローテーションされるため、各ファンA,B,Cは順番に停止される時間が設けられる。各ファンA,B,Cの負荷が小さくなる。また、ファンA,B,Cの通算の駆動時間が同じになるようにする。ファンA,B,Cのメンテナンスをおこないやすくするためである。第2のファン20a,20bについても同様である。
【0048】
また、第2のファン20a,20bは、吸気用と排気用が同数となるようにする。吸気用と排気用で同数のファン20a,20bが駆動するようにする。吸気と排気を効率よくするためである。
【0049】
第1のファン18と第2のファン20a,20bは同時に駆動させることに限定されない。液晶モジュール12の温度が低い場合、いずれか一方のファン18,20a,20bだけが駆動するようにしても良い。第2のファン20a,20bも吸気用と排気用のファンが別個に駆動しても良い。また、複数個あることにより、あるファン18,20a,20bが故障したとしても残りのファン18,20a,20bにより冷却が可能となるため、安定した表示が行える。
【実施例7】
【0050】
上述した複数の温度センサ38を使用して、液晶モジュール12の複数ポイントの温度を測定した場合、各ポイントの温度に応じて各ファン18,20a,20bの回転数を制御しても良い。各ファン18,20a,20bは複数有り、温度の高いポイントに送風をおこなうファン18,20a,20bは回転数を上げ、温度の低いポイントに送風をおこなうファン18,20a,20bは回転数を下げる。液晶モジュール12の前面または裏面の各所の温度を均一にすることによって、表示ムラを減少させる。
【実施例8】
【0051】
上記の各実施例であれば、結露が生じない温度であり、かつ黒く表示されない温度の場合は各ファン18,20a,20bは駆動しない。しかし、各ファン18,20a,20bが一定時間駆動しなければ、ファン制御回路36は、一定時間の間、各ファン18,20a,20bを低速または間欠的に駆動させる。各ファン18,20a,20bのベアリング部の結露や油膜切れによる腐食を防止して、ファン18,20a,20bの寿命を延ばすためである。
【実施例9】
【0052】
上記の各実施例では、第1のファン18をクロスフローファン、第2のファン20a,20bを軸流ファンとして説明したが、他のファンであっても良い。また、第1のファン18の風Wyの方向を縦方向、第2のファン20a,20bの風Wxの方向を横方向としているが、逆であっても良い。どのようなファンを採用したとしても、第1のファン18が一の方向に風を発生させて、液晶モジュール12の前面を冷却する。また、第2のファン20a,20bが液晶モジュール12の裏面の冷却と筐体16内の換気をする。
【0053】
第1のファン18による風Wyの流れと第2のファン20a,20bによる風Wxの流れは図のように直行させることに限定しない。例えば、吸気用の通風口を筐体16の背面(第1のファン18の吸気部及び液晶モジュール12の裏面中央付近)に設置し、第2のファン20a,20bは両側とも排気としてもよい。
【実施例10】
【0054】
液晶モジュール12の表示時間、バックライト24の点灯時間、および各ファン18,20a,20bの駆動時間をメモリに記録しても良い。バックライト24の点灯時間には輝度設定値を、ファン18,20a,20bの駆動時間には回転数の情報を記憶するメモリに含めても良い。記録された時間から、各部材の寿命を管理する。各時間をネットワーク経由(有線と無線は問わない)でホストコンピュータに送信しても良い。ホストコンピュータで、メンテナンス時期を管理することができる。各時間を計時するために、時計を収納するかネットワークで時間を取得できるようにする。
【0055】
また、各部材の駆動時間から、バックライト制御回路34は、経年劣化を補正してバックライト24を駆動させる。バックライト制御回路34は、経年劣化の統計データや補正用の変換式などを記憶しておき、経年劣化を補正できるようにする。
【0056】
筐体16の通風口32にエアフィルターを設けた場合、各ファン18,20a,20bの近くに小型の風量センサを配置しても良い。風量の変化によって、エアフィルターの汚れを検出することができる。エアフィルターの汚れのデータをネットワーク経由でホストコンピュータに送信しても良い。ホストコンピュータでメンテナンス時期を監視することができる。
【実施例11】
【0057】
OSD(On-Screen Display)によりファン18,20a,20bの稼働状態や液晶モジュール12の温度を表示するようにしても良い。メンテナンス時に液晶モジュール12の状態などを把握しやすい。液晶モジュール12の温度が上昇しすぎたときなどに、非常表示をおこなっても良い。
【0058】
また、液晶ディスプレイ10をネットワークに接続して、ファン18,20a,20bの稼働状態や液晶モジュール12の温度をネットワーク経由で確認できるようにしても良い。ネットワーク経由で液晶モジュール12の表示、バックライト24の制御、ファン18,20a,20bの制御をおこなうことも可能である。
【0059】
以上の各実施例は他の実施例に対して排他的または独立した物ではなく、適宜組み合わされて実施することができる。その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0060】
10:液晶ディスプレイ
12:液晶モジュール
14:板体
16:筐体
18:第1のファン
20a,20b:第2のファン
22:液晶セル
24:バックライト
26:開口
28:枠
30:ダクト
32:通風口
34:バックライト制御回路
36:ファン制御回路
38:温度センサ
40:照度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶モジュールと、
前記液晶モジュールの前面に対して一定間隔で対向配置する光透過性の板体と、
前記液晶モジュールの側面および裏面に対して空間を介して覆い、液晶モジュールと板体が取り付けられる筐体と、
前記液晶モジュールの裏面側から液晶モジュールと板体の間を通り、液晶モジュールの裏面側に抜ける風を発生させる第1のファンと、
前記筐体の外部から液晶モジュールの裏面側の空間を通り、該裏面側の空間から筐体の外部に抜ける風を発生させる第2のファンと、
を備えた液晶ディスプレイ。
【請求項2】
前記第1のファンから液晶モジュールと板体の間へ風を導くダクトを備えた請求項1の液晶ディスプレイ。
【請求項3】
前記第1のファンによって生じる風の方向が、第2のファンによって生じる風の方向と異なり、第1のファンによって発生した風の風力よりも第2のファンによって発生した風の風力が強い請求項1または2の液晶ディスプレイ。
【請求項4】
前記液晶モジュール、筐体の内部空間、または筐体の外周の少なくとも1つの温度を測定する温度センサを備え、測定された温度によって第1のファンおよび第2のファンの回転数を変更する、または測定された温度によって第1のファンおよび第2のファンをオンまたはオフさせる請求項1から3のいずれかの液晶ディスプレイ。
【請求項5】
前記測定された温度、第1のファンの回転数、および第2のファンの回転数に応じて液晶モジュールの輝度を変更する請求項4の液晶ディスプレイ。
【請求項6】
前記液晶モジュールの周辺に照度を測定する照度センサを備え、所定以上の照度を検出した場合、第1のファン、第2のファン、またはその両方の回転数を照度に応じて高くする請求項4または5の液晶ディスプレイ。
【請求項7】
前記測定された温度が所定温度以下であれば、液晶モジュールに備えられたバックライトをオンにして、第1のファン、第2のファン、またはその両方を駆動させる請求項4から6のいずれかの液晶ディスプレイ。
【請求項8】
前記第1のファンおよび第2のファンがそれぞれ複数備えられ、第1のファン同士および第2のファン同士がそれぞれ異なる時間に駆動され、第1のファン同士および第2のファン同士の通算の駆動時間が同一となるように制御される請求項1から7のいずれかの液晶ディスプレイ。
【請求項9】
前記第1のファンおよび第2のファンが一定時間駆動されなかった場合、ファンを駆動させる請求項1から8のいずれかの液晶ディスプレイ。
【請求項10】
前記光透過性の板体に、赤外線カットフィルム、紫外線カットフィルム、またはその両方を設けた請求項1から9のいずれかの液晶ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−150034(P2011−150034A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9571(P2010−9571)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(500375992)株式会社テクナート (2)
【Fターム(参考)】