説明

液晶ディスプレイ

【課題】液晶ディスプレイを提供する。
【解決手段】本発明は、PS(polymer stabilized:ポリマー安定化)またはPSA(polymer sustained alignment:ポリマー維持配向)型のLCディスプレイにおける使用のための液晶(LC:liquid crystal)媒体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PS(polymer−stabilised:ポリマー安定化)またはPSA(polymer−sustained alignment:ポリマー維持配向)型のLCディスプレイにおける使用のための液晶(LC:liquid−crystal)媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている液晶ディスプレイ(LCディスプレイ)は、通常、TN(twisted nematic:ツイストネマチック)型のものである。しかしながら、これらは、コントラストの視野角依存性が強いという不都合を有する。加えて、より広い視野角を有する所謂VA(vertical alignment:垂直配向)ディスプレイが知られている。VAディスプレイのLCセルは2つの透明電極の間にLC媒体層を含有しており、そこでは、通常、LC媒体は負の値の誘電(DC:dielectric)異方性を有する。スイッチが切れている状態で、LC層の分子は電極表面に垂直に配向しているか(ホメオトロピック的)、または、チルトホメオトロピック配向を有している。電極に電圧を印加すると、電極表面に平行なLC分子の再配向が起きる。更に、複屈折効果に基づいており、所謂「ベンド(bend)」配向で通常は正の(DC)異方性のLC層を有しているOCB(optically compensated bend:光学補償ベンド)ディスプレイが知られている。電圧を印加すると、電極表面に垂直なLC分子の再配向が起きる。加えて、暗状態においてベンドセルの光に対する望ましくない透明性を防ぐために、通常、OCBディスプレイは1枚以上の複屈折光学的リターデーションフィルムを含有する。OCBディスプレイは、TNディスプレイと比較して、より広い視野角および、より短い応答時間を有する。また、2枚の基板の間にLC層を含有し、基板の一方のみが、通常、櫛形構造の電極層を有するIPS(in−plane switching:面内スイッチング)ディスプレイも知られている。電圧を印加すると、それによりLC層に平行な有意な成分を有する電界が生成される。このため、層面内においてLC分子の再配向が生じる。更に、所謂FFS(fringe−field switching:フリンジ場スイッチング)ディスプレイが提案されており(とりわけ、S.H.Jungら、Jpn.J.Appl.Phys.、43巻、3号、2004年、1028頁を参照;非特許文献1)、同様に同一の基板上に2つの電極を含有するが、IPSディスプレイとは対照的に、これらの一方のみが構造化された(櫛形)電極の形状であり、他方の電極は構造化されていない。それにより、強力な所謂「フリンジ場」、即ち、電極端の近傍における強力な電界およびセル全体にわたって強力な垂直成分および強力な水平成分の両者ともを有する電界が生成される。IPSディスプレイおよびFFSディスプレイの両者とも、コントラストの低い視野角依存性を有する。
【0003】
より最近のタイプのVAディスプレイにおいて、LC分子の均一な配向は、LCセル内の複数の比較的小さなドメインに限定されている。チルトドメインとしても知られるこれらのドメイン間には、ディスクリネーションが存在する場合がある。従来のVAディスプレイと比較して、チルトドメインを有するVAディスプレイは、より大きなコントラストおよび中間階調の視野角非依存性を有する。加えて、スイッチが入っている状態での分子の均一配向のための電極表面の追加処理、例えばラビングなどが、もはや必要ないため、このタイプのディスプレイの製造は、より簡便である。代わりに、チルトまたはプレチルト角の優先的方向は、電極を特別に設計することで制御される。所謂MVA(multidomain vertical alignment:マルチドメイン垂直配向)ディスプレイにおいては、通常、これは局所的なプレチルトを生じる突起を有する電極によって達成される。結果として、電圧を印加すると、LC分子は電極表面に平行に、セルで異なって定義される領域中で異なる方向に配向する。それによって「制御された」スイッチングが達成され、干渉するディスクリネーション線の形成が予防される。この配向によってディスプレイの視野角が改良されるが、しかしながら、光に対する透明性が低下する結果となる。MVAの更なる開発において片方の電極側のみの突起が使用され、一方で反対側の電極はスリットを有しており、そのため光に対する透明性が改良されている。電圧を印加すると、スリット化された電極はLCセル内に不均一な電界を生じ、制御されたスイッチングが更に達成されることを意味する。光に対する透明性を更に改良するためにスリットと突起との間隔を大きくすることもできるが、これにより今度は応答時間が長くなる結果となる。所謂PVA(patterned VA:パターン化VA)においては、突起は完全に不要なものとなり、両電極は対向側のスリットにより構造化されており、コントラストの増加および光に対する透明性が改良される結果となるが、技術的に困難でありディスプレイが機械的影響(指打など)により敏感となる。しかしながら、例えば、モニターおよび特にTVスクリーンなどの多くの用途においては、ディスプレイの応答時間を短縮しコントラストおよび輝度(透過性)を改良することが要求されている。
【0004】
更なる開発は、所謂PS(polymer−stabilised:ポリマー安定化)ディスプレイであり、これはまた、用語「PSA」(polymer−sustained alignment:ポリマー維持配向)としても知られている。これらにおいては、少量(例えば、0.3%、典型的には1%未満)の重合性化合物をLC媒体に添加し、LCセルに導入後、電極間に電圧を印加するか、または印加せずに、通常、UV光重合によって、その場で重合または架橋する。「反応性メソゲン」(RM:reactive mesogen)としても既知の重合性メソゲンまたは液晶化合物をLC混合物に添加することが、特に適切であることが証明されている。当面のところ、PSAの原理は、さまざまな古典的LCディスプレイ中で使用されている。よって、例えば、PSA−VA、PSA−OCB、PS−IPS/FFSおよびPS−TNディスプレイが知られている。例えば、PSA−VAディスプレイの場合は電圧を印加し、PSA−IPSディスプレイの場合は電圧を印加するか印加せずに、重合性化合物(1種類または複数種類)の重合を、通常、その場で行う。テストセルにおいて示すことができる通り、PSA法によって結果としてセル中にプレチルトが生じる。従って、PSA−OCBディスプレイの場合、オフセット電圧が不必要となるか低減できるように、ベンド構造を安定化することが可能である。PSA−VAディスプレイの場合、このプレチルトは応答時間に対して正の効果を有する。PSA−VAディスプレイに対しては、標準的なMVAまたはPVAピクセルおよび電極レイアウトを使用できる。加えて、しかしながら、例えば、電極の一方側のみを構造化して突起を設けないで扱うことが可能であり、そのために製造が著しく簡略化され、同時に結果としてコントラストが非常に良好となり、同時に光透過性が非常に良好となる。
【0005】
PSA−VAディスプレイは、例えば、特開平10−036847号公報(特許文献1)、欧州特許出願公開第1 170 626号公報(特許文献2)、欧州特許出願公開第1 378 557号公報(特許文献3)、欧州特許出願公開第1 498 468号公報(特許文献4)、米国特許出願公開第2004/0191428号公報(特許文献5)、米国特許出願公開第2006/0066793号公報(特許文献6)および米国特許出願公開第2006/0103804号公報(特許文献7)に記載されている。PSA−OCBディスプレイは、例えば、T.−J−Chenら、Jpn.J.Appl.Phys.45巻、2006年、2702〜2704頁(非特許文献2)およびS.H.Kim、L.−C−Chien、Jpn.J.Appl.Phys.43巻、2004年、7643〜7647頁(非特許文献3)に記載されている。PS−IPSディスプレイは、例えば、米国特許第6,177,972号明細書(特許文献8)およびAppl.Phys.Lett.1999年、75巻(21号)、3264頁(非特許文献4)に記載されている。PS−TNディスプレイは、例えば、Optics Express 2004年、12巻(7号)、1221頁(非特許文献5)に記載されている。
【0006】
特にモニター用、特にはテレビ用途には、LCディスプレイの応答時間のみならずコントラストおよび輝度(よって、透過性も)を最適化することも引き続き要求されている。ここで、PSA法は重要な利点を提供できる。特に、PSA−VAの場合、他のパラメータに著しい悪影響を及ぼすことなく、テストセルにおいて測定可能なプレチルトと相関して応答時間の短縮を達成できる。
【0007】
しかしながら、先行技術より既知のLC混合物およびRMは、PSAディスプレイにおいて使用する際に、幾つかの不都合を依然として有することが見出されてきた。よって、全ての望ましい可溶性RMがPSAディスプレイにおける使用に決して適している訳ではなく、プレチルト測定を伴う直接PSA実験よりも更に適切な選択要件を見出すことは、しばしば困難である。光開始剤を添加することなくUV光を用いて重合することが望ましい場合、特定の用途に好都合のことがあるが、選択の余地は更に狭くなる。加えて、LC混合物(下では「LCホスト混合物」とも言う)+選択された重合性成分である「材料系」は、可能な限り低い回転粘度、および、本明細書において所謂「電圧保持率(voltage holding ratio)」(VHRまたはHR)で強調される可能な限り良好な電気特性を有していなければならない。PSAディスプレイに関しては、UV曝露はディスプレイの製造工程の不可欠な部分であるが、また、製造終了後のディスプレイにおいても「通常」の曝露として自然に起こるため、特に、UV光照射後の高いVHRが中心的に重要である。
【0008】
しかしながら、例えば、チルトが生じないか、または、不適切なチルトが生じるため、または、例えば、VHRがTFTディスプレイ用途に不適切であるため、全てのLC混合物+重合性成分の組み合わせがPSAディスプレイに決して適している訳ではないと言う問題が生じる。
【0009】
特に小さいプレチルト角を生成するPSAディスプレイのための入手可能で新規な材料を有することが、特に望まれる。同一の曝露時間で重合の際に今日までに既知の材料よりも小さいチルト角を生成し、および/または、それを使用することによって、既知の材料を使用して達成できる(より高い)プレチルト角を、より短い曝露時間後に既に達成できる材料が、特に望まれる。よって、ディスプレイの製造時間(タクト時間)を短縮でき、製造プロセスのコストを低減できる。
【0010】
よって、上記の不都合を有していないか、僅かな程度にのみ有しており、改良された特性を有する、特にVAおよびOCBタイプのPSAディスプレイ、および、そのようなディスプレイにおいて使用するためのLC媒体および重合性化合物に対する多大な要求が引き続きある。特に、高い比抵抗と同時に広い動作温度範囲で低温においてすら短い応答時間を可能にし、および、低い閾電圧、低いプレチルト角、多数の中間階調、高いコントラストおよび広い視野角が可能となり、UV曝露後に高い値の電圧保持率(VHR:voltage holding ratio)を有するPSAディスプレイ、および、PSAディスプレイにおいて使用するための材料に対する多大な要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−036847号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第1 170 626号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第1 378 557号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第1 498 468号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0191428号公報
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/0066793号公報
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/0103804号公報
【特許文献8】米国特許第6,177,972号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】S.H.Jungら、Jpn.J.Appl.Phys.、43巻、3号、2004年、1028頁
【非特許文献2】T.−J−Chenら、Jpn.J.Appl.Phys.45巻、2006年、2702〜2704頁
【非特許文献3】S.H.Kim、L.−C−Chien、Jpn.J.Appl.Phys.43巻、2004年、7643〜7647頁
【非特許文献4】Appl.Phys.Lett.1999年、75巻(21号)、3264頁
【非特許文献5】Optics Express 2004年、12巻(7号)、1221頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上に示される不都合を有していないか、または、低減された程度にのみ有しており、低いプレチルト角の確立を可能とし、および好ましくは同時に、非常に高い比抵抗値、高いVHR値、低い閾電圧および短い応答時間を可能とする、PSAディスプレイにおいて使用するための新規なLC媒体を提供する目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、本発明に従い、本出願に記載される通りのLC媒体およびLCディスプレイによって達成された。特に、驚くべきことに、本発明によるLC媒体をPSAディスプレイにおいて使用することで、特に、低いプレチルト角および所望のチルト角を迅速に確立できることが見出された。このことは、LC媒体に関してプレチルトを測定することにより示された。特に、光開始剤を添加することなく、プレチルトが達成された。加えて、プレチルト角の曝露時間依存性の測定によって示された通り、先行技術から既知の材料と比べて、本発明による材料は、プレチルト角が著しく速く生成される挙動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、好ましくは、5%以上の濃度において、1種類以上の式Iの化合物を含むLC混合物の、PS(polymer stabilised:ポリマー安定化)またはPSA(polymer sustained alignment:ポリマー維持配向)型のLCディスプレイにおける使用に関する。
【0016】
【化1】

式中、個々の基は以下の意味を有する:
およびRは、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキル(ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよい。)、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、
およびLは、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF、CF、CHF、CHFを表す。
【0017】
本発明は、更に、上および下に記載される通りの本発明によるLC混合物と、好ましくは、反応性メソゲンから成る群より選択される1種類以上の重合性化合物とを含むLC媒体に関する。
【0018】
本発明は、更に、上および下に記載される通りの本発明によるLC混合物と、好ましくは、反応性メソゲンから成る群より選択される1種類以上の重合性化合物を重合して得ることができるポリマーとを含むLC媒体に関する。
【0019】
本発明は、更に、
−好ましくは、反応性メソゲンより選択される1種類以上の重合性化合物を含む重合性成分A)と、および
−上および下に記載される通りの式Iの1種類以上の化合物を含む本発明によるLC混合物から成り、下では「LCホスト混合物」とも呼ばれる液晶成分B)と
を含むLC媒体に関する。
【0020】
本発明は、更に、
−好ましくは、反応性メソゲンより選択される1種類以上の重合性化合物を含む重合性成分A)を重合して得ることができるポリマーと、および
−上および下に記載される通りの式Iの1種類以上の化合物を含む本発明によるLC混合物から成り、下では「LCホスト混合物」とも呼ばれる液晶成分B)と
を含むLC媒体に関する。
【0021】
本発明は、更に、好ましくは、電界または磁界を印加しながら、PSAディスプレイにおいて重合性化合物(1種類または多種類)をその場で重合することによりLC媒体内にチルト角を生成するために、PSおよびPSAディスプレイにおいて本発明によるLC混合物およびLC媒体を使用すること、特に、LC媒体を含有するPSおよびPSAディスプレイにおいて使用することに関する。
【0022】
本発明は、更に、本発明によるLC媒体を含有するLCディスプレイ、特に、PSまたはPSAディスプレイ、特に好ましくは、PSA−VA、PSA−IPSまたはPS−FFSディスプレイに関する。
【0023】
本発明は、更に、2枚の基板および2個の電極(ただし、少なくとも一方の基板は光に対して透明であり、少なくとも一方の基板は電極を有する。)と、基板間に配置され、重合された成分および低分子量成分を含むLC媒体層(ただし、重合された成分は、1種類以上の重合性化合物を、LCセルの基板間においてLC媒体中で、好ましくは、電極に電圧を印加しながら重合することで得ることができ、ただし、低分子量成分は上および下で記載される通りの本発明によるLC混合物である。)とから成るLCセルを含むPSまたはPSA型のLCディスプレイに関する。
【0024】
本発明は、更に、本発明による1種類以上の低分子量液晶化合物またはLC混合物を、1種類以上の重合性化合物と、任意成分として、更なる液晶化合物および/または添加剤と混合して、本発明によるLC媒体を調製する方法に関する。
【0025】
本発明は、更に、本発明によるLC混合物を、1種類以上の重合性化合物と、任意成分として、更なる液晶化合物および/または添加剤と混合し、結果として生じる混合物を、上および下に記載される通りの2枚の基板および2個の電極を有するLCセル中に該混合物を導入し、好ましくは電極に電圧を印加しながら、重合性化合物(1種類または多種類)を重合することで、本発明によるLCディスプレイを製造する方法に関する。
【0026】
本発明によるPSおよびPSAディスプレイは、LCセルを形成する一方または両方の基板上に適用されており、好ましくは、透明層の形態の2個の電極を有する。例えば、本発明によるPSA−VA、PSA−OCBまたはPSA−TNディスプレイにおける通り、1個の電極が2枚の基板のそれぞれに適用されているか、または、例えば、本発明によるPSA−IPSまたはPSA−FFSディスプレイにおける通り、2個の電極が2枚の基板の一方のみに適用されている一方で、他方の基板は電極を有していないかのいずれかである。
【0027】
上および下において、以下の意味を適用する。
【0028】
用語「PSA」は、他に示さない限り、PSディスプレイおよびPSAディスプレイを表すために使用される。
【0029】
用語「チルト」および「チルト角」は、LCディスプレイ(本明細書において、好ましくは、PSまたはPSAディスプレイ)においてLC媒体のLC分子のセル表面に対するチルトした配向に関する。本明細書において、チルト角は、LC分子の分子長軸(LCダイレクタ)と、LCセルを形成する平坦で平行な外板の表面との間の平均角(90°未満)を表す。低い値のチルト角(即ち、角度90°から大きく外れている)は、大きいチルトに対応する。チルト角を測定する適切な方法は、例に与えられている。他に示さない限り、上および下で開示される角度の値は、この測定方法に関するものである。
【0030】
用語「メソゲン基」は当業者には既知であり文献に記載されており、メソゲン基の引力および斥力的相互作用の異方性により、低分子量またはポリマー物質中で液晶(LC;liquid−crystal)相の発生に本質的に寄与する基を表す。メソゲン基を含有する化合物(メソゲン化合物)は、それ自身では必ずしもLC相を有する必要はない。また、他の化合物と混合後および/または重合後のみに、メソゲン化合物がLC相挙動を示すことも可能である。典型的なメソゲン基は、例えば、剛直な棒状または円盤状の形状の単位である。メソゲンまたはLC化合物に関して使用される用語および定義の概説が、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁において与えられている。
【0031】
用語「スペーサー基」は、上および下で「Sp」とも呼ばれ、当業者には既知であり文献に記載されており、例えば、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。他に示さない限り、用語「スペーサー基」または「スペーサー」は、上および下において、重合性メソゲン化合物中でメソゲン基および重合性基(1個または複数)を互いに連結している柔軟性基を表す。
【0032】
用語「反応性メソゲン」または「RM(reactive mesogen)」は、メソゲン基および重合に適切な1個以上の官能基(重合性基または基Pとしても呼ばれている)を含有する化合物を表す。
【0033】
用語「低分子量化合物」および「非重合性化合物」は、通常、モノマー性で、当業者に既知の通常の条件下、特にRMの重合のために使用される条件下において重合に適切な官能基を含有しない化合物を表す。
【0034】
本発明の目的のために、用語「LC媒体」は、LC混合物および1種類以上の重合性化合物(例えば、反応性メソゲンなど)を含む媒体を表すことを意図する。用語「LC混合物」(または「ホスト混合物」)は、好ましくは、2種類以上の液晶化合物の非重合性で低分子量の化合物、および、任意成分として、例えば、キラルドーパントまたは安定剤などの更なる添加剤から排他的に成る液晶混合物を表すことを意図する。「非重合性」は、少なくとも重合性化合物を重合するために使用される条件下において、重合反応に対して化合物が安定であるか非反応性であることを意味する。
【0035】
ネマチック相、特に、室温においてネマチック相を有するLC混合物およびLC媒体が特に好ましい。
【0036】
式Iの化合物においては、基LおよびLの両方がFを表すか、または、基LおよびLの一方がFを表し、他方がClを表すことが好ましい。
【0037】
式Iの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0038】
【化2】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜12個、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0039】
式I1およびI2の化合物が特に好ましい。
【0040】
LC混合物における式Iの化合物の濃度は、好ましくは、5〜50%、特に好ましくは、10〜45%である。
【0041】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルである。
【0042】
好ましいアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルである。
【0043】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−ノノキシ、n−デコキシ、n−ウンデコキシ、n−ドデコキシである。
【0044】
更に特に好ましいLC混合物、LC媒体およびLCディスプレイを下に示す。
【0045】
1)式Iの化合物に追加して、式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を含むLC混合物:
【0046】
【化3】

式中、RおよびRは式Iにおいて示される意味を有し、基LおよびLの一方はFを表し、他方はClを表す。
【0047】
式IIの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0048】
【化4】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜12個、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。式II1の化合物が特に好ましい。
【0049】
式IIIの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0050】
【化5】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜12個、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。式III1の化合物が特に好ましい。
【0051】
がn−プロピル、n−ブチルまたはn−ペンチルを表す式IIおよびIIIおよびそれらのサブ式の化合物、および、Rがエトキシを表すものが特に好ましい。
【0052】
LC混合物における式IIの化合物の濃度は、好ましくは、1〜40%である。
【0053】
LC混合物における式IIIの化合物の濃度は、好ましくは、1〜40%である。
【0054】
LC混合物における式IIおよびIIIの化合物の総濃度は、好ましくは、1〜50%、特に好ましくは、1〜20%、非常に特に好ましくは、1〜10%である。
【0055】
2)1個以上のアルケニル基を含有するか、または、1個以上のCH基がCH=CHおよび任意に追加して他の基で置き換えられた1個以上のアルキル基を含有する化合物、特に、メソゲンまたは液晶化合物を含まないLC混合物。
【0056】
3)式Iの化合物に追加して、式IVの1種類以上の化合物を含むLC混合物:
【0057】
【化6】

式中、RおよびRは式Iにおいて示される意味を有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表す。
【0058】
式IVの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される:
【0059】
【化7】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜12個、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。式IV1の化合物が特に好ましい。
【0060】
LC混合物における式IVの化合物の濃度は、好ましくは、1〜60%である。
【0061】
式IおよびIVの化合物の総濃度は、好ましくは、10%以上、特に好ましくは、15〜50%である。
【0062】
4)式Iの化合物に追加して、式Vの1種類以上の化合物を含むLC混合物:
【0063】
【化8】

式中、RおよびRは式Iにおいて示される意味を有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表す。
【0064】
式Vの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される:
【0065】
【化9】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜12個、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。式V1の化合物が特に好ましい。
【0066】
LC混合物における式Vの化合物の濃度は、好ましくは、5〜50%である。
【0067】
式IおよびVの化合物の総濃度は、好ましくは、20%以上、特に好ましくは、20〜80%である。
【0068】
5)式Iの化合物に追加して、式VIの1種類以上の化合物を含むLC混合物:
【0069】
【化10】

式中、RおよびRは式Iにおいて示される意味を有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表す。
【0070】
式VIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される:
【0071】
【化11】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜12個、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。式VI1の化合物が特に好ましい。
【0072】
LC混合物における式VIの化合物の濃度は、好ましくは、5〜50%である。
【0073】
式Iの1種類以上の化合物と、式Vの1種類以上の化合物と、式VIの1種類以上の化合物とを含むLC混合物(ただし、式IおよびVおよびVIの化合物の総濃度は、好ましくは、25%以上、特に好ましくは、25〜80%である。)が特に好ましい。
【0074】
6)1個以上の塩素原子を含有する化合物、特に、メソゲンまたは液晶化合物を含まないLC混合物。
【0075】
7)式II、III、IV、VおよびVIの化合物とは異なる式CYおよび/またはPYの1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0076】
【化12】

式中、個々の基は以下の意味を有する:
aは、1または2を表し、
bは、0または1を表し、
【0077】
【化13】

およびRは、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキル(ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよい。)、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CHCHO−または単結合、好ましくは、単結合を表し、
1〜4は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF、CF、CH、CHF、CHFを表す。
【0078】
好ましくは、基LおよびLの両方がFを表すか、または、基LおよびLの一方がFを表し、他方がClを表すか、または、基LおよびLの両方がFを表すか、または、基LおよびLの一方がFを表し、他方がClを表す。
【0079】
式CYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0080】
【化14】

式中、aは1または2を表し、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表す。
【0081】
式PYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0082】
【化15】

【0083】
【化16】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表す。
【0084】
式PY1の化合物が特に好ましい。
【0085】
8)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0086】
【化17】

式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【0087】
【化18】

【0088】
【化19】

およびRは、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
は、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CHCHO−または単結合、好ましくは、単結合を表す。
【0089】
式ZKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0090】
【化20】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0091】
好ましくは、2〜40%の総濃度において、式ZK1および/またはZK2の1種類以上の化合物を含むLC混合物が特に好ましい。
【0092】
好ましくは、1〜30%の総濃度において、式ZK3および/またはZK4の1種類以上の化合物を含むLC混合物が特に好ましい。
【0093】
9)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0094】
【化21】

式中、個々の基は、それぞれの出現において同一または異なって、以下の意味を有する:
およびRは、それぞれ互いに独立に、式ZKにおいて示される意味を有し、
【0095】
【化22】

【0096】
【化23】

eは、1または2を表す。
【0097】
式DKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0098】
【化24】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0099】
好ましくは、2〜30%の総濃度において、式DK1および/またはDK2の1種類以上の化合物を含むLC混合物が特に好ましい。
【0100】
好ましくは、1〜30%の総濃度において、式DK3の1種類以上の化合物を含むLC混合物が更に好ましい。
【0101】
10)Rおよび/またはRがアルケニル基、または、1個以上のCH基が−CH=CH−および任意に追加して他の基でも置き換えられたアルキル基を表す式ZKまたはDKの化合物を含まないLC混合物。
【0102】
11)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0103】
【化25】

式中、個々の基は以下の意味を有する:
【0104】
【化26】

fは、0または1を表し、
およびRは、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CHCHO−または単結合、好ましくは、単結合を表し、
およびLは、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF、CF、CH、CHF、CHFを表す。
【0105】
好ましくは、両方の基LおよびLがFを表すか、基LおよびLの一方がFを表し、他方がClを表す。
【0106】
式LYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0107】
【化27】

【0108】
【化28】

式中、Rは上で示される意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表し、vは1〜6の整数を表す。Rは、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルを表す。
【0109】
2〜60%の総濃度において、式LY1〜LY9の1種類以上の化合物を含むLC混合物が特に好ましい。LC混合物における式LY1〜LY9の個々の化合物の濃度は、好ましくは、2〜20%である。
【0110】
2〜30%の総濃度において、式LY10〜LY14の1種類以上の化合物を含むLC混合物が更に好ましい。LC混合物における式LY10〜LY14の個々の化合物の濃度は、好ましくは、2〜20%である。
【0111】
12)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0112】
【化29】

式中、alkylはC1〜6−アルキルを表し、LはHまたはFを表し、Xは、F、Cl、OCF、OCHFまたはOCH=CFを表す。
【0113】
XがFを表す式G1の化合物が特に好ましい。
【0114】
13)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0115】
【化30】

【0116】
【化31】

式中、Rは上でRに示される意味の1つを有し、alkylはC1〜6−アルキルを表し、dは0または1を表し、zおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6の整数を表す。これらの化合物におけるRは、特に好ましくは、C1〜6−アルキルまたは−アルコキシまたはC2〜6−アルケニルであり、dは、好ましくは、1である。本発明によるLC混合物は、好ましくは、上述の式の1種類以上の化合物を5%以上の量で含む。
【0117】
14)以下の式の1種類以上のビフェニル化合物を追加的に含むLC混合物:
【0118】
【化32】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0119】
LC混合物における式B1〜B3のビフェニル類の割合は、好ましくは、少なくとも3%、特に5%以上である。
【0120】
15)以下の式の1種類以上のターフェニル化合物を追加的に含むLC混合物:
【0121】
【化33】

式中、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、上でRに示される意味の1つを有し、および
【0122】
【化34】

式中、Lは、FまたはCl、好ましくは、Fを表し、Lは、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHF、好ましくは、Fを表す。
【0123】
式Tの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0124】
【化35】

【0125】
【化36】

【0126】
【化37】

式中、Rは1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表し、mは1〜6の整数を表す。Rは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはペントキシを表す。
【0127】
式T1、T2、T3およびT21の化合物が特に好ましい。これらの化合物において、Rは、好ましくは、それぞれ1〜5個のC原子を有するアルキル、更には、アルコキシを表す。
【0128】
式Tまたはそれのサブ式の1種類以上の化合物を、2〜50%、特に好ましくは、2〜30%、非常に特に好ましくは、5〜20%の総濃度で含むLC混合物が更に好ましい。
【0129】
式T2の1種類以上の化合物を含むLC混合物(ただし、個々の化合物の濃度は2〜20%である。)が更に好ましい。
【0130】
式T3の1種類以上の化合物を含むLC混合物(ただし、個々の化合物の濃度は2〜10%である。)が更に好ましい。
【0131】
混合物のΔn値が0.1以上となるよう意図されている場合、本発明によるLC混合物において、好ましくは、ターフェニル類を用いる。好ましいLC混合物は、2〜20%の1種類以上の式T、好ましくは、化合物T1〜T22の群より選択されるターフェニル化合物を含む。
16)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0132】
【化38】

式中、RおよびRは上で示される意味を有し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルを表す。
【0133】
式O1および/またはO2の1種類以上の化合物を含むLC混合物が特に好ましい。
【0134】
17)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0135】
【化39】

式中、
【0136】
【化40】

を表し、
は、H、CH、Cまたはn−Cを表し、(F)は任意成分としてのフッ素置換基を表し、qは、1、2または3を表し、RはRに示される意味の1つを有する。
【0137】
式FIの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0138】
【化41】

【0139】
【化42】

式中、Rは、好ましくは、直鎖状のアルキルを表し、Rは、CH、Cまたはn−Cを表す。式FI1、FI2およびFI3の化合物が特に好ましい。
【0140】
2〜30%の総濃度において、式FIの1種類以上の化合物を含むLC混合物が特に好ましい。LC混合物における式FIの個々の化合物の濃度は、好ましくは、2〜15%である。
【0141】
18)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0142】
【化43】

式中、RはRに示される意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0143】
19)例えば、以下の式から成る群より選択される化合物などのテトラヒドロナフチルまたはナフチル単位を含有する1種類以上の化合物を追加的に含むLC混合物:
【0144】
【化44】

【0145】
【化45】

式中、R10およびR11は、それぞれ互いに独立に、Rに示される意味の1つを有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニルを表し、ZおよびZは、それぞれ互いに独立に、−C−、−CH=CH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CHCHCH−、−CHCHCH=CH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CH−または単結合を表す。
【0146】
20)以下の式の1種類以上のジフルオロジベンゾクロマン類および/またはクロマン類を追加的に、好ましくは3〜20%の量、特には3〜15%の量で含むLC混合物:
【0147】
【化46】

式中、R11およびR12は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味を有し、cは0または1を表す。
【0148】
式BCおよびCRの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0149】
【化47】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0150】
1種類、2種類または3種類の式BC2の化合物を含む混合物が、非常に特に好ましい。
【0151】
21)以下の式の1種類以上のフッ素化されたフェナントレン類および/またはジベンゾフラン類を追加的に含むLC混合物:
【0152】
【化48】

式中、R11およびR12は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味を有し、bは0または1を表し、LはFを表し、rは1、2または3を表す。
【0153】
式PHおよびBFの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0154】
【化49】

式中、RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表す。
【0155】
22)10%以上、好ましくは、5〜50%、特に好ましくは、15〜45%の1種類以上の式Iの化合物を含むLC混合物。
【0156】
23)1〜50%、特に好ましくは、1〜20%、非常に特に好ましくは、1〜10%の総濃度で、式IIおよびIIIの1種類以上の化合物を含むLC混合物。
【0157】
24)10%以上、特に好ましくは、10〜50%の総濃度で、式IおよびIVの1種類以上の化合物を含むLC混合物。
【0158】
25)20%以上、特に好ましくは、20〜80%の総濃度で、式IおよびVの1種類以上の化合物を含むLC混合物。
【0159】
26)式Iの1種類以上の化合物と、式Vの1種類以上の化合物と、式VIの1種類以上の化合物とを含むLC混合物。このLC混合物における式IおよびVおよびVIの化合物の総濃度は、好ましくは、25%以上、特に好ましくは、25〜80%である。
【0160】
27)重合性成分または成分A)の濃度は5%以下、好ましくは、1%以下、特に好ましくは、0.5%以下、好ましくは、0.01%以上、特に好ましくは0.1%以上であるLC媒体。
【0161】
28)液晶成分(LC混合物)または成分B)の濃度は95%以上、特に好ましくは、99%以上であるLC媒体。
【0162】
29)成分A)の重合性化合物は別として、末端ビニルオキシ基(−O−CH=CH)を含有する化合物を含まないLC媒体。
【0163】
30)プレチルト角が、好ましくは、85°以下、特に好ましくは、80°以下であるPSA−VAディスプレイ。
【0164】
本発明によるLC媒体の好ましい実施形態1)〜26)の個々の成分は既知であるか、または、それらの調製方法は文献に記載されている標準的な方法に基づいているため、それらの調製方法は当業者によって先行技術より容易に導くことができるかのいずれかである。式CYの対応する化合物は、例えば、欧州特許出願公開第0 364 538号公報に記載されている。式ZKの対応する化合物は、例えば、独国特許出願公開第26 36 684号公報および独国特許出願公開第33 21 373号公報に記載されている。
【0165】
上で示される好ましい実施形態1)〜26)のLC混合物を上および下で示される重合された化合物と組み合わせることにより、常に高い透明点および高いHR値と同時に、本発明によるLC媒体において低い閾電圧、低い回転粘度および非常に良好な低温安定性が生じ、PSAディスプレイにおいて特に低いプレチルト角を迅速に確立できる。特に、先行技術からの媒体と比較し、PSAディスプレイにおいて、LC媒体は著しく短縮された応答時間、また、特に、中間階調応答時間を示す。
【0166】
LC混合物は、好ましくは、少なくとも80K、特に好ましくは、少なくとも100Kのネマチック相範囲、および、20℃において、250mPa・s以下、好ましくは、200mPa・s以下の回転粘度を有する。
【0167】
本発明によるVAタイプのディスプレイにおいては、スイッチが切れている状態で、LC媒体層における分子は電極表面に対して垂直に配向している(ホメオトロピック的)か、または、チルトホメオトロピック配向を有している。電極に電圧を印加すると、電極表面に対して平行な分子長軸を有するLC分子の再配向が起きる。
【0168】
VAタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC混合物は、20℃および1kHzにおいて、好ましくは、−0.5〜−10、特には、−2.5〜−7.5の負の誘電異方性Δεを有する。
【0169】
VAタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC混合物における複屈折率Δnは、好ましくは、0.16未満、特に好ましくは、0.06および0.14の間、特には、0.07および0.12の間である。
【0170】
また、本発明によるLC混合物およびLC媒体は、例えば、重合開始剤、阻害剤、安定剤、表面活性化物質またはキラルドーパントなどの当業者に既知で文献に記載されている更なる添加剤を含んでもよい。これらは重合性でも非重合性でも構わない。従って、重合性添加剤は重合性成分または成分A)に分類される。従って、非重合性添加剤はLC混合物(ホスト混合物)または非重合性成分または成分B)に分類される。
【0171】
LC混合物およびLC媒体は、例えば、好ましくは、下の表Bからの化合物から成る群より選択される1種類以上のキラルドーパントを含んでも構わない。
【0172】
更に、多色性色素、ナノ粒子、導電性塩、錯塩、および、ネマチック相の誘電異方性、粘度および/または配向を改変するための物質を含む群より選択される、0〜15%、好ましくは0〜10%の1種類以上の添加剤をLC媒体に加えることができる。適切で好ましい導電性塩は、例えば、エチルジメチルドデシルアンモニウム4−ヘキソキシベンゾエート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートまたはクラウンエーテル類の錯塩(例えば、Hallerら、Mol.Cryst.Liq.Cryst.24巻、249〜258頁(1973年)参照)である。このタイプの物質は、例えば、独国特許出願公開第22 09 127号公報、独国特許出願公開第22 40 864号公報、独国特許出願公開第23 21 632号公報、独国特許出願公開第23 38 281号公報、独国特許出願公開第24 50 088号公報、独国特許出願公開第26 37 430号公報および独国特許出願公開第28 53 728号公報に記載されている。
【0173】
PSAディスプレイを製造するために、電圧を印加しながらLCディスプレイの基板間のLC媒体中において、その場での重合により、重合性化合物を重合または架橋(1つの化合物が2個以上の重合性基を含有する場合)する。重合は1つの工程で行うことができる。また、最初に、プレチルト角を生成するために、第1工程において電圧を印加しながら重合を行い、続いて、第2の重合工程において電圧を印加せずに、第1工程において反応しなかった化合物を重合または架橋する(「最終硬化」)ことも可能である。
【0174】
適切で好ましい重合方法は、例えば、熱または光重合で、好ましくは光重合であり、特にはUV光重合である。また、必要に応じて、ここに1種類以上の開始剤を加えることもできる。重合の適切な条件および開始剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、商業的に入手可能な光重合開始剤Irgacure651(登録商標)、Irgacure184(登録商標)、Irgacure907(登録商標)、Irgacure369(登録商標)またはDarocure1173(登録商標)(Ciba社)がフリーラジカル重合に適する。開始剤を用いる場合、開始剤の比率は、好ましくは0.001〜5%、特に好ましくは0.001〜1%である。しかしながら、また、開始剤を加えることなく、重合を行うこともできる。更に好ましい実施形態において、LC媒体は重合開始剤を含まない。
【0175】
また、例えば、保存または輸送中におけるRMの好ましくない自発的な重合を防止するために、重合性成分A)またはLC媒体は1種類以上の安定剤を含んでも構わない。安定剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、Irganox(登録商標)1076などの、例えば、Irganox(登録商標)シリーズ(Ciba社)からの商業的に入手可能な安定剤が特に適切である。安定剤を用いる場合、RMまたは重合性成分A)の総量を基礎として安定剤の割合は、好ましくは10〜10,000ppm、特に好ましくは50〜500ppmである。
【0176】
また、重合性化合物は開始剤のない重合にも適し、このことは、例えば、材料費がより低く、特に、開始剤またはそれの劣化生成物の残存し得る量によるLC媒体の不純物がより少ないなどの特筆すべき利点を伴う。
【0177】
PSAディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は、好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下、非常に特に好ましくは0.5%以下、および、好ましくは0.01%以上、特に好ましくは0.1%以上の重合性化合物、特には、上および下で与えられる式の重合性化合物を含む。
【0178】
1種類、2種類または3種類の重合性化合物を含むLC媒体が特に好ましい。
【0179】
更に、成分A)および/またはB)の化合物がアキラルな化合物から成る群より排他的に選択されるアキラルな重合性化合物と、LC媒体とが好ましい。
【0180】
更に、重合性成分または成分A)が、1個の重合性基を含有する1種類以上の重合性化合物(一反応性)と、2個以上、好ましくは2個の重合性基を含有する1種類以上の重合性化合物(二反応性または多反応性)とを含むLC媒体が好ましい。
【0181】
更に、重合性成分または成分A)が、2個の重合性基を含有する重合性化合物(二反応性)を排他的に含むPSAディスプレイおよびLC媒体が好ましい。
【0182】
重合性化合物は個別にLC媒体に添加できるが、また、2種類以上の本発明による重合性化合物を含む混合物を使用することも可能である。そのような混合物を重合する場合、コポリマーが形成される。本発明は、更に、上および下で述べられる重合性混合物に関する。重合性化合物は、メソゲンでも非メソゲンでもよい。反応性メソゲン(RM:reactive mesogen)としても既知の重合性メソゲン化合物が特に好ましい。
【0183】
本発明によるLC媒体およびPSAディスプレイにおける使用に適切で好ましいRMを以下に記載する。
【0184】
本発明の好ましい実施形態において、重合性化合物は式Iより選択される:
【0185】
【化50】

式中、個々の基は以下の意味を有する:
およびRは、それぞれ互いに独立に、P、P−Sp−、H、ハロゲン、SF、NO、炭素基または炭化水素基を表し、ただし、基RおよびRの少なくとも一方は基PまたはP−Sp−を表すか、または含有し、
Pは、それぞれの出現において同一または異なって、重合性基を表し、
Spは、それぞれの出現において同一または異なって、スペーサー基または単結合を表し、
およびAは、それぞれ互いに独立に、好ましくは、4〜25個の環原子を有する芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはヘテロ環式基を表し、該基は、また、縮合環を含有していてもよく、該基は、また、Lで一置換または多置換されていてもよく、
Lは、P−Sp−、H、OH、CHOH、ハロゲン、SF、NO、炭素基または炭化水素基を表し、
は、それぞれの出現において同一または異なって、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−OCO−、−O−CO−O−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−(CHn1−、−CFCH−、−CHCF−、−(CFn1−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR00または単結合を表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
mは、0、1、2、3または4を表し、
n1は、1、2、3または4を表す。
【0186】
式Iの特に好ましい化合物は、
およびRは、それぞれ互いに独立に、P、P−Sp−、H、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、SF、または直鎖状または分岐状で1〜25個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R)=C(R00)−、−C≡C−、−N(R00)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CN、PまたはP−Sp−で置き換えられていてもよく、ただし、基RおよびRの少なくとも一方は基PまたはP−Sp−を表すか含有しており、
およびAは、それぞれ互いに独立に、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、アントラセン−2,7−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、クマリン、フラボン(ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい。)、シクロヘキサン−1,4−ジイル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基はOおよび/またはSで置き換えられていてもよい。)、1,4−シクロヘキセニレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイルまたはオクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイルを表し、ただし、これら全ての基は無置換であっても、Lにより一置換または多置換されていてもよく、
Lは、P、P−Sp−、OH、CHOH、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R、−C(=O)Y、−C(=O)R、−N(R、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよく6〜20個のC原子を有するアリール、または直鎖状または分岐状で1〜25個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、PまたはP−Sp−で置き換えられていてもよく、
Pは重合性基を表し、
はハロゲンを表し、
は、P、P−Sp−、H、ハロゲン、直鎖状、分岐状または環状で1〜25個のC原子を有するアルキル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないようにして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、PまたはP−Sp−で置き換えられていてもよい。)、置換されていてもよく6〜40個のC原子を有するアリールまたはアリールオキシ基、または置換されていてもよく2〜40個のC原子を有するヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基を表すものである。
【0187】
式Iの特に好ましい化合物は、以下のサブ式より選択される:
【0188】
【化51】

【0189】
【化52】

式中、
およびPは、Pに対して示される意味の1つを有し、好ましくは、アクリレートまたはメタクリレートを表し、
SpおよびSpは、Spに対して示される意味の1つを有するか、単結合を表し、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−COO−または−OCO−を表し、
Lは、式Iに対して上で示される意味を有し、
L’およびL”は、それぞれ互いに独立に、H、FまたはClを表し、
rは、0、1、2、3または4を表し、
sは、0、1、2または3を表し、
tは、0、1または2を表し、
xは、0または1を表し、および
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、CHまたはCFを表す。
【0190】
本発明の更に好ましい実施形態において、重合性化合物は、式IIより選択されるキラルまたは光学活性な化合物(キラルRM)である:
【0191】
【化53】

式中、A、Zおよびmは、それぞれの出現において同一または異なって、式Iにおいて示される意味の1つを有し、
は、それぞれの出現において同一または異なって、式IにおいてRに示される意味の1つを有し、ただし、Rはキラルでもアキラルでも構わず、
Qは、式Iにおいて定義される通りのLにより一置換または多置換されていてもよいk価のキラル基を表し、
kは、1、2、3、4、5または6であり、
ただし、化合物は、上で定義される通りの基PまたはP−Sp−を表すか含有する基RまたはLを少なくとも1個含有する。
【0192】
特に好ましい式IIの化合物は、式IIIの1価基Qを含有する:
【0193】
【化54】

式中、Lおよびrは、それぞれの出現において同一または異なって、上で示される意味を有し、
およびBは、それぞれ互いに独立に、縮合されたベンゼン、シクロヘキサンまたはシクロヘキセンを表し、
tは、それぞれの出現において同一または異なって、0、1または2を表し、および
uは、それぞれの出現において同一または異なって、0、1または2を表す。
【0194】
uが1を表す式IIIの基が特に好ましい。
【0195】
式IIの更に好ましい化合物は、式IVの、1価基Qまたは1個以上の基Rを含有する:
【0196】
【化55】

式中、
は、1〜9個のC原子を有するアルキレンまたはアルキレンオキシまたは単結合を表し、
は、1〜10個のC原子を有するフッ素化されていてもよいアルキルまたはアルコキシを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−O−COO−、−S−CO−、−CO−S−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
は、F、Cl、CNまたはQで定義される通りであるがQとは異なるアルキルまたはアルコキシを表す。
【0197】
式IVの好ましい基は、例えば、2−ブチル(即ち、1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に、2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。
【0198】
式IIの更に好ましい化合物は、式Vの2価基Qを含有する:
【0199】
【化56】

式中、L、r、t、AおよびBは、上に示される意味を有する。
【0200】
式IIの更に好ましい化合物は、以下の式より選択される2価基Qを含有する:
【0201】
【化57】

式中、Pheは、Lにより一置換または多置換されていてもよいフェニルを表し、および、Rは、Fまたは1〜4個のC原子を有するフッ素化されていてもよいアルキルを表す。
【0202】
適切なキラルRMは、例えば、英国特許出願公開第2 314 839号公報、米国特許第6,511,719号明細書、米国特許第7,223,450号明細書、国際特許出願公開第02/34739号パンフレット、米国特許第7,041,345号明細書、米国特許第7,060,331号明細書または米国特許第7,318,950号明細書に記載されている。ビナフチル基を含有する適切なRMは、例えば、米国特許第6,818,261号明細書、米国特許第6,916,940号明細書、米国特許第7,318,950号明細書および米国特許第7,223,450号明細書に記載されている。
【0203】
上および下で示されるキラル構造要素、および、そのようなキラル構造要素を含有する重合性および重合された化合物を光学的に活性な形態において、即ち、純粋なエナンチオマーとして、または、2種類のエナンチオマーの任意で所望の混合物として、あるいは、ラセミ体として用いることができる。ラセミ体の使用が好ましい。ラセミ体の使用には純粋なエナンチオマーの使用に勝る幾つかの利点があり、例えば、重合の複雑さが著しくより低く、材料費がより低いなどである。
【0204】
特に好ましい式IIの化合物は、以下のサブ式より選択される:
【0205】
【化58】

【0206】
【化59】

【0207】
【化60】

式中、L、P、Sp、m、rおよびtは、上に示される意味を有し、ZまたはAは、それぞれの出現において同一または異なって、それぞれZおよびAに示される意味の1つを有し、t1は、それぞれの出現において同一または異なって、0または1を表す。
【0208】
用語「炭素基」は、更なる種類の原子を含有しない(例えば、−C≡C−など)か、または、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの1種類以上の更なる原子を含有していてもよい(例えば、カルボニルなど)かのいずれかで、少なくとも1個の炭素原子を含有する一価または多価の有機基を表す。用語「炭化水素基」は、1個以上のH原子を追加的に含有しており、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの1種類以上のヘテロ原子を含有していてもよい炭素基を表す。
【0209】
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを表す。
【0210】
炭素または炭化水素基は、飽和または不飽和基のいずれでも構わない。不飽和基は、例えば、アリール、アルケニルまたはアルキニル基である。3個より多いC原子を有する炭素または炭化水素基は、直鎖状、分岐状および/または環状のいずれでもよく、また、スピロ結合または縮合環を含有していても構わない。
【0211】
また、用語「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」などは、多価の基、例えば、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンなども包含する。
【0212】
用語「アリール」は、芳香族炭素基またはそれらより誘導される基を表す。用語「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子を含有し上で定義される通りの「アリール」を表す。
【0213】
好ましい炭素および炭化水素基は、置換されていてもよく、1〜40個、好ましくは1〜25個、特に好ましくは1〜18個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ、置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有するアリールまたはアリールオキシ、または、置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシである。
【0214】
更に好ましい炭素および炭化水素基は、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリル、C〜C40アルキルジエニル、C〜C40ポリエニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、C〜C40アリールアルキル、C〜C40アルキルアリールオキシ、C〜C40アリールアルキルオキシ、C〜C40ヘテロアリール、C〜C40シクロアルキル、C〜C40シクロアルケニルなどである。C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アルキニル、C〜C22アリル、C〜C22アルキルジエニル、C〜C12アリール、C〜C20アリールアルキルおよびC〜C20ヘテロアリールが特に好ましい。
【0215】
更に好ましい炭素および炭化水素基は、1〜40個、好ましくは1〜25個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状アルキル基であり、該基は無置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよい。
【0216】
は、好ましくは、H、ハロゲン、1〜25個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状アルキル鎖(ただし加えて、1個以上の隣接していないC原子は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−によって置き換えられていてもよく、ただし、1個以上のH原子はフッ素により置き換えられていてもよい。)、6〜40個のC原子を有する置換されていてもよいアリールまたはアリールオキシ基、または2〜40個のC原子を有する置換されていてもよいヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基を表す。
【0217】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−ノノキシ、n−デコキシ、n−ウンデコキシ、n−ドデコキシなどである。
【0218】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロオクチル、ペルフルオロヘキシルなどである。
【0219】
好ましいアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルなどである。
【0220】
好ましいアルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニルなどである。
【0221】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−ノノキシ、n−デコキシ、n−ウンデコキシ、n−ドデコキシなどである。
【0222】
好ましいアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなどである。
【0223】
アリールおよびヘテロアリール基は単環でも多環でも構わず、即ち、それらは1個の環(例えば、フェニルなど)または2個以上の環を含有しても構わず、また、該基は縮合されていてもよく(例えば、ナフチルなど)または共有結合によって連結されていてもよく(例えば、ビフェニルなど)、または縮合および連結された環の組み合わせを含有していてもよい。ヘテロアリール基は、好ましくは、O、N、SおよびSeより選択される1個以上のヘテロ原子を含有する。
【0224】
6〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリール基および2〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式ヘテロアリール基が特に好ましく、該基は縮合された環を含有していてもよく、置換されていてもよい。更に、5員、6員または7員のアリールおよびヘテロアリール基が好ましく、ただし加えて、1個以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接連結されないようにして、N、SまたはOで置き換えられていてもよい。
【0225】
好ましいアリール基は、例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、[1,1’:3’,1”]ターフェニル−2’−イル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどである。
【0226】
好ましいヘテロアリール基は、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどの5員環;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンなどの6員環;またはインドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフタイミダゾール、フェナントライミダゾール、ピリダイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合基;またはこれらの基の組み合わせである。また、ヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フルオリン、フルオロアルキルまたは更なるアリールまたはヘテロアリール基で置換されてよい。
【0227】
(非芳香族)脂環式およびヘテロ環式基は、飽和環、即ち、排他的に単結合を含有するものと、また、部分的に不飽和な環、即ち、多重結合も含有してよいものとの両者を包含する。ヘテロ環式環は、好ましくは、Si、O、N、SおよびSeより選択される1個以上のヘテロ原子を含有する。
【0228】
(非芳香族)脂環式およびヘテロ環式基は、単環式、即ち、1個のみの環を含有(例えば、シクロヘキサンなど)してもよく、または、多環式、即ち、複数の環を含有(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタンなど)していてもよい。飽和基が、特に好ましい。更に、3〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式基が好ましく、該基は縮合環を含有していてもよく、置換されていてもよい。更に、5員、6員、7員または8員の炭素環式基が好ましく、ただし加えて、1個以上のC原子はSiで置き換えられていてもよく、および/または1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1個以上の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよい。
【0229】
好ましい脂環式およびヘテロ環式基は、例えば、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジンなどの5員基、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、ピペリジンなどの6員基、シクロヘプタンなどの7員基、および、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイルなどの縮合基である。
【0230】
好ましい置換基は、例えば、アルキルまたはアルコキシなどの溶解促進基、フッ素、ニトロまたはニトリルなどの電子吸引基、または、ポリマーにおいてガラス転移温度(Tg)を上昇させるための置換基、特に嵩高い基であり、例えば、t−ブチルまたは置換されていてもよいアリール基などである。
【0231】
上および下で「L」とも言われる好ましい置換基は、例えば、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R、−C(=O)Y、−C(=O)R、−N(R(ただし、Rは上で示される意味を有し、Yはハロゲンを表す。)、6〜40個、好ましくは6〜20個のC原子を有する置換されていてもよいシリルまたはアリール、および、1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ(ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよい。)である。
【0232】
「置換されたシリルまたはアリール」は、好ましくは、ハロゲン、−CN、R、−OR、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−Rまたは−O−CO−O−Rにより置換されていることを意味し、ただし、Rは上で示される意味を有する。
【0233】
特に好ましい置換基Lは、例えば、F、Cl、CN、NO、CH、C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHF、OC、更に、フェニルである。
【0234】
【化61】

式中、Lは上で示される意味の1つを有する。
【0235】
重合性基Pは、例えば、フリーラジカルまたはイオン性連鎖重合、重付加または重縮合などの重合反応に適するか、または、例えば、ポリマー主鎖上への付加または縮合といったポリマー類似反応に適する基である。連鎖重合のための基、特に、C=C二重結合または−C≡C−三重結合を含有するもの、および、例えば、オキセタンまたはエポキシド基などの開環重合に適する基が特に好ましい。
【0236】
好ましい基Pは、CH=CW−COO−、CH=CW−CO−、
【0237】
【化62】

CH=CW−(O)k3−、CW=CH−CO−(O)k3−、CW=CH−CO−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−より選択され、式中、Wは、H、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、F、ClまたはCHを表し、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルを表し、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを表し、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを表し、Pheは、上で定義される通りでP−Spとは異なる1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンを表し、k、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、kは、好ましくは、1を表す。
【0238】
特に好ましい基Pは、CH=CW−COO−、特には、CH=CH−COO−、CH=C(CH)−COO−およびCH=CF−COO−、更には、CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、
【0239】
【化63】

である。
【0240】
非常に特に好ましい基Pは、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシド、特には、アクリレートおよびメタクリレートである。
【0241】
好ましいスペーサー基Spは、基P−Sp−が式P−Sp’−X’−に対応するように式Sp’−X’より選択され、ただし、
Sp’は、1〜20個、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキレンを表し、該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00000−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR00−CO−O−、−O−CO−NR00−、−NR00−CO−NR00−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR00−、−NR00−CO−、−NR00−CO−NR00−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
00およびR000は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、および
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表す。
【0242】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−または単結合である。
【0243】
典型的なスペーサー基Sp’は、例えば、−(CHp1−、−(CHCHO)q1−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−、−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00000−O)p1−であり、式中、p1は1〜12の整数であり、q1は1〜3の整数であり、およびR00およびR000は上で示される意味を有する。
【0244】
特に好ましい基−X’−Sp’−は、−(CHp1−、−O−(CHp1−、−OCO−(CHp1−、−OCOO−(CHp1−である。
【0245】
特に好ましい基Sp’は、例えば、それぞれの場合で直鎖状のエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0246】
本発明の更に好ましい実施形態において、P−Sp−は、2個以上の重合性基を含有する基(多官能重合性基)を表す。このタイプの適切な基、および、それらを含有する重合性化合物、および、それらの調製は、例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開第2006/0172090号公報に記載されている。以下の式より選択される多官能重合性基P−Sp−が特に好ましい:
【0247】
【化64】

式中、
alkylは、単結合または1〜12個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキレンを表し、ただし、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R00)=C(R000)−、−C≡C−、−N(R00)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、ClまたはCNで置き換えられていてもよく、ただし、R00およびR000は上で示される意味を有し、
aaおよびbbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3、4、5または6を表し、
Xは、X’に示される意味の1つを有し、および
1〜5は、それぞれ互いに独立に、Pに示される意味の1つを有する。
【0248】
重合性化合物およびRMは、当業者に既知で、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載される方法に類似して調製できる。更なる合成方法は、上および下で引用する文献において与えられる。最も単純な場合、例えば、そのようなRMの合成は、例えば、(メタ)アクリロイルクロライドまたは(メタ)アクリル酸などの基Pを含有する対応する酸、酸誘導体またはハロゲン化された化合物を使用し、例えば、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)などの脱水剤存在下において、2,6−ジヒドロキシナフタレンまたは4,4’−ジヒドロキシビフェニルをエステル化またはエーテル化することで行う。
【0249】
本発明によって使用できるLC媒体の調製は、例えば、1種類以上の上述の化合物を、上で定義される通りの1種類以上の重合性化合物と、および、任意成分として更なる液晶化合物および/または添加剤と混合することで、それ自身は従来の方法で行われる。一般に、より少量で使用される成分の所望量を、主要な構成成分を構成する成分に、有利には昇温して、溶解する。また、成分の溶液を、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノールといった有機溶媒に混合し、完全に混合後、例えば蒸留により、溶媒を再び除去することも可能である。本発明は、更に、本発明によるLC媒体を調製するための方法にも関する。
【0250】
また、本発明によるLC媒体が、例えば、H、N、O、ClまたはFが対応する同位体に置き換えられた化合物も含んで構わないことは、当業者に言うまでもない。
【0251】
本発明によるLCディスプレイの構成は、冒頭で引用した先行技術に記載される通りのPSAディスプレイの通常の構造に対応している。突起のない構造が好ましく、特に加えて、カラーフィルター側の電極が構造化されておらず、TFT側の電極のみがスリットを有するものが好ましい。PS−VAディスプレイ用に特に適切で好ましい電極構造は、例えば、米国特許出願公開第2006/0066793号公報に記載されている。
【0252】
本発明によるLC混合物およびLC媒体は、原則として、任意の型のPSまたはPSAディスプレイ、特に負の誘電異方性のLC媒体に基づくもの、特に好ましくはPSA−VA、PSA−IPSまたはPS−FFSディスプレイ用に適している。しかしながら、当業者は、例えば、それらの基本的な構造において、または、例えば、基板、配向層、電極、アドレス素子、バックライト、偏光子、カラーフィルター、任意に存在する補償フィルムなどの使用される個々の構成要素の性質、配置または構造において上述のディスプレイと異なるPSまたはPSA型の他のディスプレイにおいて、本発明による適切なLC混合物およびLC媒体を、進歩性を伴わず利用できるであろう。
【0253】
以下の例は、本発明を限定することなく説明する。しかしながら、それらは、当業者に対して、好ましく用いられる化合物、およびそれらのそれぞれの濃度およびそれらの互いの組み合わせの好ましい混合の考え方を示す。加えて、例は、入手可能な特性および特性の組み合わせを例示する。
【0254】
以下の略称を使用する:
(n、m、z:それぞれの場合において互いに独立に、1、2、3、4、5または6)
【0255】
【表1】

【0256】
【表2】

【0257】
【表3】

【0258】
【表4】

本発明の好ましい実施形態において、本発明によるLC媒体は、表Aからの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0259】
表Bに、本発明によるLC媒体に添加できる可能なキラルドーパントを示す。
【0260】
【表5】


LC媒体は、好ましくは0〜10%、特には0.01〜5%、特に好ましくは0.1〜3%のドーパントを含む。LC媒体は、好ましくは、表Bからの化合物から成る群より選択される1種類以上のドーパントを含む。
【0261】
表Cに、本発明によるLC媒体に添加できる可能な安定剤を示す(nは、ここで、1〜12の整数を表す)。
【0262】
【表6】

【0263】
【表7】

【0264】
【表8】

【0265】
【表9】

LC媒体は、好ましくは0〜10%、特には1ppm〜5%、特に好ましくは1ppm〜1%の安定剤を含む。LC媒体は、好ましくは、表Cからの化合物から成る群より選択される1種類以上の安定剤を含む。
【0266】
加えて、以下の略称および記号を使用する:
20℃における容量閾電圧[V]、
20℃および589nmにおける異常光屈折率、
20℃および589nmにおける常光屈折率、
Δn 20℃および589nmにおける光学異方性、
ε 20℃および1kHzにおけるダイレクターに垂直な誘電率、
ε 20℃および1kHzにおけるダイレクターに平行な誘電率、
Δε 20℃および1kHzにおける誘電異方性、
cl.p.、T(N,I) 透明点[℃]、
γ 20℃における回転粘度[mPa・s]、
20℃における「スプレイ(splay)」変形に対する弾性定数[pN]、
20℃における「ツイスト(twist)」変形に対する弾性定数[pN]、
20℃における「ベンド(bend)」変形に対する弾性定数[pN]、
LTS 試験用セル中で決定される低温安定性(相)、
HR20 20℃における電圧保持率[%]、および
HR100 100℃における電圧保持率[%]。
【0267】
他に明記しない限り、本出願において全ての濃度および%値(HR、コントラストおよび透過率は例外)は重量パーセントで示されており、全ての固体または液晶成分を含み、溶媒を含まない対応する混合物全体に関する。
【0268】
他に明記しない限り、例えば、融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの本出願において示される全ての温度の値は摂氏度(℃)で示される。m.p.は融点を表し、cl.p.は透明点である。更に、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、および、Iは等方相である。これらの記号の間のデータは転移温度を表す。
【0269】
全ての物理的特性は「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社に従って決定されるか決定されたものであり、それぞれの場合で他に明示しない限り、20℃の温度が適用され、Δnは589nmで決定され、Δεは1kHzで決定される。
【0270】
本発明において、用語「閾電圧」は、他に明示しない限り、フレデリックス閾値とも呼ばれる容量閾値(V)に関する。例において、一般的に通常であるが、10%相対コントラストに対する光学的閾値(V10)も示される場合がある。
【0271】
容量閾電圧を測定するために使用されるディスプレイは20μmの間隔で離れている2枚の平坦で平行なガラス製外板から成り、それぞれの外板は内側に電極層および最表面にラビングされていないポリイミド配向層を有し、該配向層は液晶分子のホメオトロピックエッジ配向に効果を有する。
【0272】
チルト角を測定するために使用されるディスプレイまたは試験用セルは4μmの間隔で離れている2枚の平坦で平行なガラス製外板から成り、それぞれの外板は内側に電極層および最表面にポリイミド配向層を有し、ただし、2つのポリイミド層は互いに逆平行にラビングされており、液晶分子のホメオトロピックエッジ配向に効果を有する。
【0273】
重合性化合物は、所定の時間、UVA光で照射することにより、同時に電圧をディスプレイに印加(通常、10V〜30Vの交流、1kHz)して、ディスプレイまたは試験用セル内で重合する。例においては、他に示さない限り、28mW/cmの水銀蒸気ランプを使用し、365nm帯域通過フィルターが装着された標準的なUVメーター(Ushio UNIメーター)を使用して強度を測定する。
【0274】
チルト角は、回転結晶実験(Autronic−Melchers TBA−105)によって決定する。ここで、低い値(即ち、角度90°から大きく外れている)が大きなチルトに対応する。
【0275】
VHR値は次の通り測定する:0.3%の重合性モノマー化合物をLCホスト混合物に添加し、結果として生じる混合物をTN−VHRテストセル(90°でラビング、TNポリイミド配向層、層厚dは約4μm)に導入する。2時間のUV曝露(日照試験)の前後において、100℃で5分後に、1V、60Hz、64μ秒パルスにてHR値を決定する(測定装置:Autronic−Melchers VHRM−105)。
【実施例】
【0276】
<例1>
本発明によるネマチックLC混合物N1を以下の通り配合する。
【0277】
【表10】

【0278】
【化65】

【0279】
<例2>
本発明によるネマチックLC混合物N2を以下の通り配合する。
【0280】
【表11】

【0281】
<例3>
本発明によるネマチックLC混合物N3を以下の通り配合する。
【0282】
【表12】

【0283】
<例4>
比較の目的のために、ネマチックLC混合物V1を以下の通り配合する。
【0284】
【表13】

0.3%のRM1(ビフェニル4,4’−ジメタクリレート)を、本発明によるLC混合物N1、N2およびN3および比較混合物V1のそれぞれに加える。
【0285】
【化66】

結果として生じる混合物を、上記の通りのVA e/o試験用セル中に導入する。24V(交流)の電圧を印加しながら、種々の時間で、50mW/cmの強度を有するUV光(365nm)をセルに照射し、RMの重合を起こす。
【0286】
それぞれの試験用セルについて、上で示される通りプレチルト角を決定する。種々の曝露時間で、それぞれの場合について達成されるプレチルト角を表1に示す。
【0287】
【表14】

表1より見て取れる通り、比較混合物V1を含むLC媒体よりも、本発明によるLC混合物N1、N2またはN3を含む本発明によるLC媒体の方が低いプレチルト角を達成できる。また、比較混合物V1を含むLC媒体よりも、本発明によるLC媒体の方が、著しく短い曝露時間後に比較され得るプレチルト角が達成されることも表1は示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PS(polymer stabilised:ポリマー安定化)またはPSA(polymer sustained alignment:ポリマー維持配向)型のLCディスプレイにおける、1種類以上の式Iの化合物を含む液晶(LC:liquid−crystal)混合物の使用。
【化1】

(式中、個々の基は以下の意味を有する:
およびRは、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキル(ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよい。)、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、
およびLは、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF、CF、CHF、CHFを表す。)
【請求項2】
式Iの化合物に加えて、LC混合物は式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【化2】

(式中、RおよびRは請求項1において示される意味を有し、基LおよびLの一方はFを表し、他方はClを表す。)
【請求項3】
式Iの化合物に加えて、LC混合物は式IVの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の使用。
【化3】

(式中、RおよびRは請求項1において示される意味を有する。)
【請求項4】
式Iの化合物に加えて、LC混合物は式Vの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【化4】

(式中、RおよびRは請求項1において示される意味を有する。)
【請求項5】
式Iの化合物に加えて、LC混合物は式VIの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【化5】

(式中、RおよびRは請求項1において示される意味を有する。)
【請求項6】
LC混合物は、1個以上のアルケニル基を含有するか、または、1個以上のCH基がCH=CHおよび任意に追加して他の基で置き換えられた1個以上のアルキル基を含有する化合物を含まないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
LC混合物は、5〜50%の1種類以上の式Iの化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
LC混合物は、式IIおよびIIIの1種類以上の化合物を1〜20%の総濃度で含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
LC混合物は、式IおよびIVの1種類以上の化合物を10%以上の総濃度で含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
LC混合物は、式IおよびVの1種類以上の化合物を20%以上の総濃度で含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
LC混合物は、1種類以上の式Iの化合物、1種類以上の式Vの化合物および1種類以上の式VIの化合物を25%以上の総濃度で含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
−1種類以上の重合性化合物を含む重合性成分A)と、および
−請求項1〜11のいずれか一項に記載のLC混合物から成る液晶成分B)と
を含むLC媒体。
【請求項13】
−1種類以上の重合性化合物を含む重合性成分A)を重合して得ることができるポリマーと、および
−請求項1〜11のいずれか一項に記載のLC混合物から成る液晶成分B)と
を含むLC媒体。
【請求項14】
電界または磁界を印加しながらPSAディスプレイにおいて重合性化合物(1種類または多種類)を、その場で重合することによりLC媒体中にチルト角を生成するための、PSおよびPSAディスプレイにおける請求項12または13に記載のLC媒体の使用。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のLC混合物またはLC媒体を含有するPSまたはPSA型のLCディスプレイ。
【請求項16】
PSA−VA、PS−IPSまたはPS−FFSディスプレイであることを特徴とする請求項15に記載のLCディスプレイ。
【請求項17】
2枚の基板および2個の電極(ただし、少なくとも一方の基板は光に対して透明であり、少なくとも一方の基板は1個または2個の電極を有する。)と、基板間に配置され、重合された成分および低分子量成分を含むLC媒体層(ただし、重合された成分は、1種類以上の重合性化合物を、LCセルの基板間においてLC媒体中で、好ましくは、電極に電圧を印加しながら重合することで得ることができ、ただし、低分子量成分は請求項1〜11のいずれか一項に記載のLC混合物である。)とから成るLCセルを含むLCディスプレイ。
【請求項18】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のLC混合物を、1種類以上の重合性化合物と、任意成分として、更なる液晶化合物および/または添加剤と混合し、結果として生じる混合物を請求項17に記載される通りのLCセル中に導入し、電圧を印加しながら、重合性化合物(1種類または多種類)を重合することで、請求項15〜17のいずれか一項に記載のLCディスプレイを製造する方法。
【請求項19】
重合性成分は式Iの1種類以上の重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用、LC媒体またはLCディスプレイ。
【化6】

(式中、個々の基は以下の意味を有する:
およびRは、それぞれ互いに独立に、P、P−Sp−、H、ハロゲン、SF、NO、炭素基または炭化水素基を表し、ただし、基RおよびRの少なくとも一方は基PまたはP−Sp−を表すか、または含有し、
Pは、それぞれの出現において同一または異なって、重合性基を表し、
Spは、それぞれの出現において同一または異なって、スペーサー基または単結合を表し、
およびAは、それぞれ互いに独立に、好ましくは、4〜25個の環原子を有する芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはヘテロ環式基を表し、該基は、また、縮合環を含有していてもよく、該基は、また、Lで一置換または多置換されていてもよく、
Lは、P−Sp−、H、OH、CHOH、ハロゲン、SF、NO、炭素基または炭化水素基を表し、
は、それぞれの出現において同一または異なって、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−OCO−、−O−CO−O−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−(CHn1−、−CFCH−、−CHCF−、−(CFn1−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR00または単結合を表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
mは、0、1、2、3または4を表し、
n1は、1、2、3または4を表す。)
【請求項20】
重合性成分の濃度は5%以下および0.01%以上であることを特徴とする請求項19に記載の使用、LC媒体またはLCディスプレイ。

【公表番号】特表2012−513482(P2012−513482A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541139(P2011−541139)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008443
【国際公開番号】WO2010/072302
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】