説明

液晶媒体および液晶ディスプレイ

【課題】電気光学的ディスプレイ中、特に、VA、ECB、PS−VA、FFSまたはIPS効果に基づくアクティブ−マトリクスディスプレイ中における液晶媒体および液晶ディスプレイを提供する。
【解決手段】a)式Iの1種類以上の誘電的に負の化合物から成る(第1の)誘電的に負の成分(成分A)と、およびb)更なる(第2の)誘電的に負の成分(成分B)とを含む誘電的に負の液晶媒体。


(式中、パラメータは特定の置換基または環構造ほかを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶媒体および液晶ディスプレイ中におけるその使用、並びにこれらの液晶ディスプレイ、特に、初期配向がホメオトロピックである誘電的に負の液晶によるECB(電気的制御複屈折;Electrically Controlled Birefringence)効果を使用する液晶ディスプレイに関する。本発明による液晶媒体は、本発明によるディスプレイ中において特に短い応答時間と、同時に高い電圧保持率によって、区別される。
【背景技術】
【0002】
IPS(面内スイッチング;In−Plane Switching)ディスプレイ(例えば:Yeo、S.D.、論文15.3:「A LC Display for the TV Application」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第758および759頁(非特許文献1))および長く知られているTN(ツイストネマチック;Twisted Nematic)ディスプレイに加えて、ECB効果を使用するディスプレイは、所謂VAN(垂直配向ネマチック;Vertically Aligned Nematic)ディスプレイとして、特にテレビ用途向けとして、現在のところ最も重要である液晶ディスプレイの最新の3種類のタイプの1つとして確立されてきた。
【0003】
言及しなければならない最も重要な設計は:MVA{マルチドメイン垂直配向;Multi−Domain Vertical Alignment、例えば:Yoshide、H.ら、論文3.1:「MVA LCD for Notebook or Mobile PCs(以下省略)」SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book I、第6〜9頁(非特許文献2)およびLiu、C.T.ら、論文15.1:「A46−inch TFT−LCD HDTV Technology(以下省略)」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第750〜753頁(非特許文献3)}、PVA{パターン化垂直配向;Patterned Vertical Alignment、例えば:Kim、Sang Soo、論文15.4:「Super PVA Sets New State−of−the−Art for LCD−TV」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第760〜763頁(非特許文献4)}およびASV{高度超視野;Advanced Super View、例えば:Shigeta、MitzuhiroおよびFukuoka、Hirofumi、論文15.2:「Development of High Quality LCDTV」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第754〜757頁(非特許文献5)}である。
【0004】
一般的な形で、それらの技術は、例えば、2004年6月のSoukにおけるSIDセミナーにおいて、セミナーM−6:「Recent Advances in LCD Technology」、セミナー講義ノート、M−6/1〜M−6/26(非特許文献6)およびMiller、Ian、SIDセミナー 2004、セミナーM−7:「LCD−Television」、セミナー講義ノート、M−7/1〜M−7/32(非特許文献7)比較されている。例えば:Kim、Hyeon Kyeongら、論文9.1:「A57−in.Wide UXGA TFT−LCD for HDTV Application」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book I、第106〜109頁(非特許文献8)のように、オーバードライブによるアドレス方法により、最近のECBディスプレイの応答時間は既に著しく改良されてきたが、ビデオに対応できる応答時間を達成することは、特に中間調のスイッチングにおいて、依然として満足いくほどには未だ解決されていない問題である。
【0005】
TNおよび今まで全ての従来のIPSディスプレイが正の誘電異方性の液晶媒体を使用しているのに対し、ASVディスプレイなどのECBディスプレイは負の誘電異方性(Δε)の液晶媒体を使用する。
【0006】
このタイプの液晶ディスプレイにおいては液晶が誘電体として使用され、その光学的特性は電圧の印加により可逆的に変化する。
【0007】
一般にディスプレイ中において、即ち、これらに述べた効果によるディスプレイ中においても、動作電圧を可能な限り低くしなければならないため、一般に、全てが同一の符号の誘電異方性を有し可能な限り高い絶対値の誘電異方性を有する液晶化合物から大部分が構成される液晶媒体を使用する。
【0008】
本出願による媒体においては、一般的に可能な限り低いアドレス電圧を有する液晶ディスプレイを意図するため、典型的には、多くてもかなりの量の誘電的に中性な液晶化合物を使用し、および一般的には誘電的に正の化合物は極めて少量のみ使用するか、または全く使用しない。
【0009】
多くの場合、先行技術のディスプレイのアドレス電圧は、例えば携帯用途のディスプレイなどの電力供給系に直接または常時接続されていないディスプレイにとって特に大き過ぎる。
【0010】
加えて、意図される用途にとって、相範囲が十分広くなければならない。
【0011】
特に、ディスプレイ中の液晶媒体の応答時間は改良、即ち、短縮されなければならない。このことは、テレビおよびマルチメディアの用途向けのディスプレイにおいて、特に重要である。応答時間を改良するために、液晶媒体の回転粘度(γ)を最適化すること、即ち、可能な限り低い回転粘度を有する媒体を達成することが過去に繰り返し提案されてきた。しかしながら、ここで達成された結果は多くに用途にとっては不十分で、従って、更なる最適化手法を見出すことが望まれていることが明らかである。
【0012】
従って、先行技術からの媒体の不具合を有さないか、少なくとも著しく低減されている程度に有している液晶媒体に対する多大な要求がある。
【0013】
驚くべきことに、ECBディスプレイ中において短い応答時間を有し、同時に十分に広いネマチック相、好ましい複屈折率(Δn)および高い電圧保持率を有する液晶ディスプレイを達成できることが見出された。
【0014】
このタイプの媒体は、特に、ECB効果に基づくアクティブ−マトリクスアドレスの電気光学的ディスプレイ用に、およびIPSまたはFFS(フリンジ場スイッチング;Fringe Field Switching)ディスプレイ用に使用される。本発明による媒体は、好ましくは、負の誘電異方性を有する。
【0015】
電気的制御複屈折率の原理、即ちECB(電気制御複屈折;Electrically Controlled Birefringence)効果またはDAP(配向層の変形;Deformation of Aligned Phases)効果は、1971年に初めて記載された(M.F.SchieckelおよびK.Fahrenschon、「Deformation of nematic liquid crystals with vertical orientation in electrical fields」、Appl.Phys.Lett.第19巻(1971年)、第3912頁(非特許文献9))。その後、J.F.Kahn(Appl.Phys.Lett.第20巻(1972年)、第1193頁(非特許文献10))およびG.LabrunieおよびJ.Robert(J.Appl.Phys.第44巻(1973年)、第4869頁(非特許文献11))による報文が発行された。
【0016】
J.RobertおよびF.Clerc(SID 80 Digest Techn.Papers(1980年)、30(非特許文献12))、J.Duchene(Displays 7(1986年)、3(非特許文献13))およびH.Schad(SID 82 Digest Techn.Papers(1982年)、244(非特許文献14))による報文では、ECB効果に基づく高情報量のディスプレイ素子用の使用に適するものとするためには、液晶相が、高い値の弾性定数間の比K/K、高い値の光学異方性Δn、−0.5以下の値の誘電異方性Δεを有していなければならないことが示された。ECB効果に基づく電気光学的ディスプレイ素子はホメオトロピックなエッジ配向を有している(VA技術:Vertically Aligned)。誘電的に負の液晶媒体も、IPSまたはFFS効果を使用するディスプレイ中で使用できる。
【0017】
例えば米国特許第6,861,107号明細書(特許文献1)において開示される通りの重合性化合物、好ましくは重合性メソゲン化合物、いわゆる反応性メソゲン(RM)を、混合物に基づき好ましくは0.12〜5質量%、特に好ましくは0.2〜2質量%の濃度で、本発明による混合物に更に加えてもよい。また、これらの混合物は、例えば米国特許第6,781,665号明細書(特許文献2)において記載される通りの開始剤も任意成分として含んでもよい。好ましくは、開始剤、例えばチバ社製Irganox(登録商標)1076を、重合性化合物を含む混合物に0〜1%の量で加える。このタイプの混合物は所謂ポリマー安定化VAモード(PS−VA)用に使用でき、ただし、反応性メソゲンの重合が液晶混合物中で起こるよう意図されている。このために必要な条件は、それ自身で液晶混合物が重合性成分を一切含まないことである。適切な重合性化合物は、例えば、表Dに列記されている。
【0018】
この効果を電気光学的ディスプレイ素子中で工業的に応用するには、多数の要求を満足しなければならない液晶媒体が必要である。ここで、水分、空気、および熱、赤外線、可視および紫外領域の放射、直流および交流電界などの物理的影響に対する化学的安定性が特に重要である。
【0019】
更に、工業的に使用できる液晶媒体は、適切な温度範囲における液晶中間相および低粘度を有する必要である。
【0020】
現在までに開示された液晶中間相を有する一連の化合物のいずれも、単一の化合物でこれら全ての要求を満たすものはない。従って、液晶媒体として使用できる物質を得るためには、一般に、2〜25種類、好ましくは3〜18種類の化合物の混合物を調製する。
【0021】
マトリックス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)は既知である。個々のピクセルをそれぞれスイッチングするために使用できる非線形素子は、例えば、アクティブ素子(即ち、トランジスター)である。それで、用語「アクティブマトリクス」が使用され、一般には薄膜トランジスター(TFT)が使用され、一般に基体としてのガラス板上に配置される。
【0022】
2つの技術に区別される:例えばCdSeなどの化合物半導体を含むTFT、または多結晶、とりわけアモルファスシリコンに基づくTFTである。現在、後者の技術が世界的に最も商業的に重要である。
【0023】
TFTマトリクスはディスプレイの一方のガラス板の内面に形成され、一方、他方のガラス板は、その内面に透明な対向電極を有する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。また、この技術はフルカラー対応のディスプレイにも適用でき、このディスプレイでは、フィルター素子がスイッチ可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置されている。
【0024】
ここで用語「MLCディスプレイ」は、集積非線形素子を備える任意のマトリクスディスプレイ、即ち、アクティブマトリクスに加えて、バリスターまたはダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal)などのパッシブ素子を備えるディスプレイも網羅する。
【0025】
このタイプのMLCディスプレイは、テレビ用途、モニターおよびノート型パソコン、または、例えば自動車製造品または航空機内での高密度情報ディスプレイに特に適している。コントラストの角度依存性および応答時間に関する問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題がある[TOGASHI、S.、SEKIGUCHI、K.、TANABE,H.、YAMAMOTO、E.、SORIMACHI、K.、TAJIMA、E.、WATANABE、H.、SHIMIZU、H.、Proc.Eurodisplay、、第84巻、1984年9月、A210〜288、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、第141ff頁、パリ、(非特許文献15);STROMER、M.、Proc.Eurodisplay、第84巻、1984年9月、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、第145ff頁、パリ(非特許文献16)]。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化する。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命にわたって低下するため、長期の動作期間にわたって許容される抵抗値を有していなければならないディスプレイにとっては、高い(初期)抵抗が非常に重要である。
【0026】
2,5−チオフェン環を含有する化合物は英国特許出願公開第2,229,179号公報(特許文献3)で開示されており、特に、スメクチック液晶混合物の構成要素として提案されている。
【0027】
誘電的に正のチオフェンカルボン酸エステルはドイツ国特許出願公開第101 02 631号公報(特許文献4)で開示されており、国際特許出願公開第01/64814号パンフレット(特許文献5)において、STNディスプレイ用のネマチック液晶混合物の構成要素として用いられている。誘電的に負のチオフェン化合物は特開2007−084487号公報(特許文献6)で開示されており、誘電的に中性のホスト中で検討されている。また、セレノフェン類およびテルロフェン類はドイツ国特許出願公開第10 2008 036 807号公報(特許文献7)で開示されている。
【0028】
誘電異方性の異なる符号を有し2,5−セレノフェン環を含有する個々のメソゲン化合物は現時点で未公開のドイツ国特許出願第102008036807.5号(特許文献8)に記載されており、液晶混合物の構成要素として述べられている。
【0029】
これまでに開示されたMLCディスプレイの不具合は、それらの比較的低いコントラスト、比較的高い視野角依存性、およびこれらのディスプレイ中でモノクロ階調を生じさせることが困難なこと、ならびにそれらの不適切な電圧保持率およびそれらの不適切な寿命による。
【0030】
よって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲、短い応答時間および低い閾電圧を有しており、これらのおかげで各種の中間調を生じさせることができ、特に、良好および安定な電圧保持率を有するMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】米国特許第6,861,107号明細書
【特許文献2】米国特許第6,781,665号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第2,229,179号公報
【特許文献4】ドイツ国特許出願公開第101 02 631号公報
【特許文献5】国際特許出願公開第01/64814号パンフレット
【特許文献6】特開2007−084487号公報
【特許文献7】ドイツ国特許出願公開第10 2008 036 807号公報
【特許文献8】ドイツ国特許出願第102008036807.5号
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Yeo、S.D.、論文15.3:「A LC Display for the TV Application」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第758および759頁
【非特許文献2】Yoshide、H.ら、論文3.1:「MVA LCD for Notebook or Mobile PCs(以下省略)」SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book I、第6〜9頁
【非特許文献3】Liu、C.T.ら、論文15.1:「A46−inch TFT−LCD HDTV Technology(以下省略)」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第750〜753頁
【非特許文献4】Kim、Sang Soo、論文15.4:「Super PVA Sets New State−of−the−Art for LCD−TV」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第760〜763頁
【非特許文献5】Shigeta、MitzuhiroおよびFukuoka、Hirofumi、論文15.2:「Development of High Quality LCDTV」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第754〜757頁
【非特許文献6】セミナーM−6:「Recent Advances in LCD Technology」、セミナー講義ノート、M−6/1〜M−6/26
【非特許文献7】Miller、Ian、SIDセミナー 2004、セミナーM−7:「LCD−Television」、セミナー講義ノート、M−7/1〜M−7/32
【非特許文献8】Kim、Hyeon Kyeongら、論文9.1:「A57−in.Wide UXGA TFT−LCD for HDTV Application」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book I、第106〜109頁
【非特許文献9】M.F.SchieckelおよびK.Fahrenschon、「Deformation of nematic liquid crystals with vertical orientation in electrical fields」、Appl.Phys.Lett.第19巻(1971年)、第3912頁
【非特許文献10】J.F.Kahn、Appl.Phys.Lett.第20巻(1972年)、第1193頁
【非特許文献11】G.LabrunieおよびJ.Robert、J.Appl.Phys.第44巻(1973年)、第4869頁
【非特許文献12】J.RobertおよびF.Clerc、SID 80 Digest Techn.Papers(1980年)、30
【非特許文献13】J.Duchene、Displays 7(1986年)、3
【非特許文献14】H.Schad、SID 82 Digest Techn.Papers(1982年)、244
【非特許文献15】TOGASHI、S.、SEKIGUCHI、K.、TANABE,H.、YAMAMOTO、E.、SORIMACHI、K.、TAJIMA、E.、WATANABE、H.、SHIMIZU、H.、Proc.Eurodisplay、、第84巻、1984年9月、A210〜288、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、第141ff頁、パリ
【非特許文献16】STROMER、M.、Proc.Eurodisplay、第84巻、1984年9月、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、第145ff頁、パリ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、モニターおよびテレビ用途向けのみならず、携帯電話およびナビゲーションシステム向けのMLCディスプレイを提供することを目的としており、該ディスプレイはECB、IPSまたはFFS効果に基づいており、上で示した不具合を有さないか、または低減された程度にのみ有しており、同時に非常に高い比抵抗値を有している。特に、該ディスプレイは、携帯電話およびナビゲーションシステム向けに非常に高温および非常に低温においても機能することが保証されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0034】
ここで驚くべきことに、これらのディスプレイ素子において、式Iの少なくとも1種類の化合物および少なくとも1種類の更なるメソゲン化合物を含むネマチック液晶混合物を使用すると、この目的を達成できることが見出された。
【0035】
本発明による混合物は、85℃以上の透明点の非常に広いネマチック相範囲、非常に好ましい値の容量閾値、比較的高い値の保持率および同時に−30℃および−40℃において非常に良好な低温安定性ならびに非常に低い回転粘度を示す。更に、本発明による混合物は、透明点および回転粘度の良好な比および大きな負の誘電異方性によって区別される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、
a)式Iの1種類以上の化合物から成る第1の誘電的に負の成分(成分A)を含む誘電的に負のネマチック媒体に関する。
【0037】
【化1】

式中、
11およびR12は、それぞれ互いに独立に、H、15個までのC原子を有する無置換のアルキルまたはアルケニル基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基は、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、
【0038】
【化2】

−C≡C−、−CF−O−、−O−CF−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、好ましくは、無置換のアルキル、アルケニル、アルコキシ、オキサアルキルまたはアルケニルオキシ基であり、特に好ましくは、R11およびR12の一方はアルキルまたはアルケニル基を表し、他方は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシ基を表し、特に好ましくは、R12は直鎖状のアルキルまたはアルケニル、特に、CH=CH−、E−CH−CH=CH−、CH=CH−CH−CH−、CH−CH=CHC−、CH−、C−、n−C−、n−C−またはn−C11−を表し、R11はアルコキシ、特に、C−O−またはn−C−O−を表し、
【0039】
【化3】

【0040】
【化4】

および、他は、存在するのであれば、それぞれの場合で互いに独立に、
【0041】
【化5】


を表し、
好ましくは、
【0042】
【化6】

であり、
特に好ましくは、
【0043】
【化7】

であり、
11およびZ12は、それぞれ互いに独立に、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−O−、−O−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CF−O−、−O−CF−、−CF−CF−または単結合、好ましくは、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−、−CF−O−、−O−CF−または単結合、特に好ましくは、−CH=CH−、−CO−O−または単結合を表し、非常に特に好ましくは、1つ、または存在するのであれば全てが単結合を表し、
は、S、SeまたはTe、好ましくは、SまたはSeを表し、および
mおよびnは、互いに独立に、0または1を表す。
【0044】
b)任意成分として、好ましくは、必須成分として、第2の誘電的に負の成分(成分B)を含み、それは好ましくは式II、IIIおよびIVからなる群より選択される1種類以上の化合物から成る。
【0045】
【化8】

式中、
21およびR22は、それぞれ互いに独立に、H、15個までのC原子を有する無置換のアルキルまたはアルケニル基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基は、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、
【0046】
【化9】

−C≡C−、−CF−O−、−O−CF−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、好ましくは、無置換のアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシ基であり、特に好ましくは、R21およびR22の一方はアルキルまたはアルケニル基を表し、他方は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシ基を表し、好ましくは、互いに独立に1〜7個のC原子を有するアルキル(好ましくは、n−アルキル、特に好ましくは、1〜5個のC原子を有するn−アルキル)、1〜7個のC原子を有するアルコキシ(好ましくは、n−アルコキシ、特に好ましくは、1〜5個のC原子を有するn−アルコキシ)、または2〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜4個のC原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルまたはアルケニルオキシ(好ましくは、アルケニル)を表し、ただし、全ての基において1個以上のH原子はハロゲン原子、好ましくは、F原子で置き換えられていてもよく、
特に好ましくは、R21およびR22の一方は、好ましくは、R21はアルキルまたはアルケニル基を表し、他方は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシ基を表し、特に好ましくは、R21は直鎖状のアルキル、特に、CH−、C−、n−C−、n−C−またはn−C11−、またはアルケニル、特に、CH=CH−、E−CH−CH=CH−、CH=CH−CH−CH−、E−CH−CH=CH−CH−CH−またはE−n−C−CH=CH−を表し、
31、R32、R41およびR42は、それぞれ互いに独立に、R21およびR22に与えられる意味の1つを有し、好ましくは、1〜7個のC原子を有するアルキル(好ましくは、n−アルキル、特に好ましくは、1〜5個のC原子を有するn−アルキル)、1〜7個のC原子を有するアルコキシ(好ましくは、n−アルコキシ、特に好ましくは、2〜5個のC原子を有するn−アルコキシ)、または2〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜4個のC原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルまたはアルケニルオキシ(好ましくは、アルケニルオキシ)を表し、
特に好ましくは、R31およびR32の一方は、好ましくは、R31はアルキルまたはアルケニル基を表し、他方は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシ基を表し、特に好ましくは、R31は直鎖状のアルキル、特に、CH−、C−、n−C−、n−C−またはn−C11−、またはアルケニル、特に、CH=CH−、E−CH−CH=CH−、CH=CH−CH−CH−、E−CH−CH=CH−CH−CH−またはE−n−C−CH=CH−を表し、
【0047】
【化10】

21およびL22は、互いに独立に、=C(X)−を表し、L21およびL22の一方は、=N−を表してもよく、ただし、好ましくは、L21およびL22の少なくとも一方は=C(−F)−を表し、他方は=C(−F)−または=C(−Cl)−を表し、特に好ましくは、、L21およびL22の両者が=C(−F)−を表し、
は、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHF、好ましくは、FまたはCl、特に好ましくは、Fを表し、
および、他の環は、存在するのであれば、それぞれの場合で互いに独立に、
【0048】
【化11】

を表し、
好ましくは、
【0049】
【化12】

を表し、
特に好ましくは、
【0050】
【化13】

であり、
【0051】
【化14】

を表し、
特に好ましくは、
【0052】
【化15】

を表し、
【0053】
【化16】

【0054】
【化17】

を表し、
および、他は、存在するのであれば、それぞれの場合で互いに独立に、
【0055】
【化18】

を表し、ただし、
31およびL32は、互いに独立に、=C(X)−を表し、L31およびL32の一方は、=N−を表してもよく、ただし、好ましくは、L31およびL32の少なくとも一方は=C(−F)−を表し、他方は=C(−F)−または=C(−Cl)−を表し、特に好ましくは、、L31およびL32の両者が=C(−F)−を表し、および
は、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHF、好ましくは、FまたはCl、特に好ましくは、Fを表し、
好ましくは、
【0056】
【化19】

特に好ましくは、
【0057】
【化20】

【0058】
【化21】

は、一緒に単結合も表してよく、
ただし、
【0059】
【化22】

を表すそれぞれの場合で、好ましくは、R32はHを表し、
【0060】
【化23】


および、他は、存在するのであれば、それぞれの場合で互いに独立に、
【0061】
【化24】

を表し、
好ましくは、
【0062】
【化25】

であり、
【0063】
【化26】

は、一緒に単結合も表してよく、
21〜Z23、Z31〜Z33およびZ41〜Z43は、それぞれ互いに独立に、Z11〜Z13に与えられる意味の1つを有し、好ましくは、−CH−CH−、−CH−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−または単結合を表し、好ましくは、−CH−CH−、−CH−O−または単結合であり、特に好ましくは、−CH−O−または単結合であり、
21〜Z43は、好ましくは、それぞれ互いに独立に、−CH−CH−、−CH−CF−、−CF−CH−、−CF−CF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CH−O−、−O−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CF−O−、−O−CF−または単結合を表し、好ましくは、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF−O−、−O−CF−または単結合であり、特に好ましくは、1つ、または存在するのであれば、それぞれの場合で、複数のZ21〜Z23、またはZ31〜Z33、またはZ41〜Z43は単結合を表し、非常に特に好ましくは全てが単結合を表し、
rおよびsは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
(r+s)は、好ましくは、0または1を表し、
tおよびuは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
(t+u)は、好ましくは、0または1を表し、好ましくは、0であり、
lおよびoは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、および
(l+o)は、好ましくは、0または1を表す。
【0064】
c)任意成分として、式Vの1種類以上の化合物から成る誘電的に中性の成分(成分C)を含む。
【0065】
【化27】

式中、
51およびR52は、それぞれ互いに独立に、R11およびR12に与えられる意味の1つを有し、好ましくは、1〜7個のC原子を有するアルキル、好ましくは、n−アルキル、特に好ましくは、1〜5個のC原子を有するn−アルキル、
1〜7個のC原子を有するアルコキシ、好ましくは、n−アルコキシ、特に好ましくは、2〜5個のC原子を有するn−アルコキシ、
2〜7個のC原子を有する、好ましくは、2〜4個のC原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルまたはアルケニルオキシ、好ましくは、アルケニルオキシを表し、
【0066】
【化28】

好ましくは、
【0067】
【化29】

であり、
【0068】
【化30】

を表し、
【0069】
【化31】

を表し、および、存在するのであれば、
【0070】
【化32】

を表し、
51〜Z53は、それぞれ互いに独立に、Z11〜Z13に与えられる意味の1つを有し、好ましくは、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−または単結合を表し、好ましくは、−CH−CH−または単結合であり、特に好ましくは、単結合であり、
pおよびqは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
(p+q)は、好ましくは、0または1を表し、好ましくは、0である。
【0071】
d)任意成分として、1種類以上のキラル化合物から成るキラル成分(成分D)を含む。
【0072】
本発明による媒体は、好ましくは、誘電的に負である。
【0073】
本発明による媒体は、好ましくは、1種類、2種類、3種類または4種類以上の、好ましくは、2種類または3種類以上の式Iの化合物を含む。
【0074】
式Iの化合物で特に好ましいものは、
a)R11および/またはR12が、H、好ましくは6個までのC原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、オキサアルキルまたはアルケニルオキシを表し、R11が、非常に特に好ましくは、アルコキシまたはアルケニルオキシを表し、R12が、非常に特に好ましくは、アルキルまたはオキサアルキルを表す化合物、
b)R11およびR12の両者がアルキルを表し、ただし、該アルキル基は同一でも異なっていてもよい化合物、または
c)R11が直鎖状のアルコキシを表し、R12が直鎖状のアルキルまたはオキサアルキルを表す化合物である。
【0075】
11および/またはR12がアルケニルを表す場合、これは、好ましくは、CH=CH−、CH−CH=CH−、CH=CH−C−またはCH−CH=CH−C−である。
【0076】
11および/またはR12がオキサアルキルを表す場合、これは、好ましくは、CH−O−CH−、CH−O−C−、C−CH=CH−CH−、C−CH=CH−C−またはCH−O−C−、好ましくは、CH−O−CH−、CH−O−C−またはCH−O−C−、特に好ましくは、CH−O−CH−である。
【0077】
11および/またはR12がアルキルを表す場合、これは、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルまたはn−ペンチル、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピルまたはn−ペンチル、特に好ましくは、エチルまたはn−プロピルである。
【0078】
11および/またはR12がアルコキシを表す場合、これは、好ましくは、メトキシ、エトキシまたはn−ブトキシ、好ましくは、エトキシまたはn−ブトキシである。
【0079】
式Iの化合物は、好ましくは、式I−1〜I−4の化合物群より、好ましくは、式I−1およびI−4の群より選択され、特に好ましくは、式I−1および/またはI−3である。
【0080】
【化33】

式中、パラメータは、式Iにおいて上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0081】
式Iの化合物は、特に好ましくは、式I−1a〜I−4aの化合物群より、好ましくは、式I−1aおよびI−3aの群より選択され、特に好ましくは、式I−1aおよび/またはI−3aである。
【0082】
【化34】

式中、パラメータは、式Iにおいて上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0083】
更に好ましい実施形態において、式Iの化合物は、好ましくは、式I−1b〜I−4bの化合物群より、好ましくは、式I−1b〜I−3bの群より選択される化合物であり、特に好ましくは、式I−1bおよび/またはI−3bである。
【0084】
【化35】

式中、パラメータは、式Iにおいて上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0085】
好ましい実施形態において、媒体は、式IIA〜IID、好ましくは、IIA〜IIC、非常に特に好ましくは、IIAおよびIIBの化合物群より選択される式IIの1種類以上の化合物を含む。
【0086】
【化36】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有するが、式IIAにおいては、rが1の場合、
【0087】
【化37】

好ましくは、
【0088】
【化38】

特に好ましくは、
【0089】
【化39】

21は、アルキルを表し、
22は、アルキルまたはアルコキシ、特に好ましくは、(O)C2v+1を表し、
21およびX22は、両者ともFを表し、
21およびZ22は、互いに独立に、単結合、−CH−CH−、−CH=CH−、−CHO−、−OCH−、−O−、−CH−、−CFO−または−OCF−、好ましくは、単結合または−CHCH−、特に好ましくは、単結合を表し、および
vは、1〜6を表す。
【0090】
好ましい実施形態において、媒体は、式II−1〜II−16の化合物群より選択される式IIの1種類以上の化合物を含む。
【0091】
【化40】

【0092】
【化41】

式中、
21〜Y26は、互いに独立に、HまたはFを表し、および
21およびX22は両者ともHを表すか、またはX21およびX22の一方はHを表し、他方はFを表し、
しかしながら、好ましくは最多で4つ、特に好ましくは最多で3つ、非常に特に好ましくは1つまたは2つのY21〜Y26、X21およびX22はFを表し、
および
他のパラメータは、式IIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
21は、アルキルまたはアルケニルを表し、および
22は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシを表し、好ましくは、(O)C2v+1であり、および
vは、1〜6の整数を表す。
【0093】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−1a〜II−1d、好ましくは式II−1bおよび/またはII−1d、特に好ましくはII−1bの化合物群より選択される、式II−1の1種類以上の化合物を含む。
【0094】
【化42】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0095】
式II−1cおよびII−1dの好ましい化合物は、以下の式の化合物である。
【0096】
【化43】

式中、vは上で示される意味を有する。
【0097】
式II−1の更に好ましい化合物は、以下の式の化合物である。
【0098】
【化44】

式中、R21は式IIに上で示される意味を有する。
【0099】
好ましい実施形態において、媒体は、式II−3a〜II−3d、好ましくは式II−3bおよび/またはII−3d、特に好ましくはII−3bの化合物群より選択される、式II−3の1種類以上の化合物を含む。
【0100】
【化45】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0101】
これらのビフェニル化合物の混合物全体中での濃度は、好ましくは3質量%以上、特には5質量%以上、非常に特に好ましくは5〜25質量%である。
【0102】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−4a〜II−4d、好ましくは式II−4aおよび/またはII−4b、特に好ましくはII−4bの化合物群より選択される、式II−4の1種類以上の化合物を含む。
【0103】
【化46】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0104】
式II−4cおよびII−4dの好ましい化合物は、以下の式の化合物である。
【0105】
【化47】

式中、vは上で示される意味を有する。
【0106】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、以下のサブ式II−4eの式II−4の1種類以上の化合物を含む。
【0107】
【化48】

式中、
21は、上で示される意味を有し、および
mおよびzは、それぞれ独立に、1〜6の整数を表し、および
m+zは、好ましくは、1〜6の整数を表す。
【0108】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−5a〜II−5d、好ましくは式II−5bおよび/またはII−5dの化合物群より選択される、式II−5の1種類以上の化合物を含む。
【0109】
【化49】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0110】
式II−5cおよびII−5dの好ましい化合物は、以下の式の化合物である。
【0111】
【化50】

式中、vは上で示される意味を有する。
【0112】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−6a〜II−6d、好ましくは式II−6aおよび/またはII−6c、特に好ましくは式II−6aの化合物群と、および/または、式II−6e〜II−6mの化合物群とより選択される、式II−6の1種類以上の化合物を含む。
【0113】
【化51】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0114】
【化52】

式中、
Rは、R21に上で示される意味を有し、
mは、1〜6の整数を表す。
【0115】
Rは、好ましくは、それぞれ1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ、または2〜6個のC原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルまたはアルケニルオキシ、特に好ましくは、1〜5個のC原子を有するアルキル、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、または更に、1〜5個のC原子を有するアルコキシ、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシを表す。
【0116】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−7a〜II−7d、好ましくは式II−7aおよび/またはII−7c、特に好ましくは式II−7aの化合物群、および/または、式II−7e〜II−7iの化合物群より選択される、式II−7の1種類以上の化合物を含む。
【0117】
【化53】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0118】
【化54】

式中、
Rは、R21に上で与えられる意味を有し、
mは、1〜6の整数を表す。
【0119】
Rは、好ましくは、それぞれ1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ、または2〜6個のC原子を有するアルキルアルコキシ、アルケニルまたはアルケニルオキシ、特に好ましくは、1〜5個のC原子を有するアルキル、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、または更に、1〜5個のC原子を有するアルコキシ、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシを表す。
【0120】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−8aおよびII−8b、特に好ましくはII−8bの化合物群より選択される、式II−8の1種類以上の化合物を含む。
【0121】
【化55】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0122】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−9a〜II−9dの化合物群より選択される、式II−9の1種類以上の化合物を含む。
【0123】
【化56】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
22は、C2v+1を表し、および
vは、1〜6の整数を表す。
【0124】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−10a〜II−10eの化合物群より選択される、式II−10の1種類以上の化合物を含む。
【0125】
【化57】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれ意味を有し、好ましくは、
22は、C2v+1を表し、および
vは、1〜6の整数を表す。
【0126】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−11aおよびII−11b、特に好ましくはII−11bの化合物群より選択される、式II−11の1種類以上の化合物を含む。
【0127】
【化58】

式中、パラメータは上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0128】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−14a〜II−14d、好ましくは式II−14aおよび/またはII−14b、特に好ましくは式II−14bの化合物群より選択される、式II−14の1種類以上の化合物を含む。
【0129】
【化59】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0130】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式II−15a〜II−15d、好ましくは式II−15aおよび/またはII−15b、特に好ましくは式II−15bの化合物群より選択される、式II−15の1種類以上の化合物を含む。
【0131】
【化60】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0132】
媒体は、好ましくは、式III−1およびIII−2、好ましくは、式III−2の化合物群より選択される、式IIIの1種類以上の化合物を含む。
【0133】
【化61】

式中、パラメータは式IIIに上で示されるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
31は、アルキルまたはアルケニルを表し、
32は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシを表し、
31は、単結合を表し、および
rは、0を表す。
【0134】
式III−2aの化合物が、非常に特に好ましい。
【0135】
【化62】

式中、R31は上で示される意味を有し、好ましくは、1〜7個のC原子を有し、好ましくは1〜5個のC原子を有するアルキル、好ましくは、n−アルキルを表す。
【0136】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式IV−1〜IV−8、好ましくは式IV−7および/またはIV−8の化合物群より好ましくは選択される式IVの1種類以上の化合物を(付加的に)含む。
【0137】
【化63】

式中、パラメータは式IVに上で示されるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
41は、アルキルまたはアルケニルを表し、および
42は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシを表す。
【0138】
この実施形態において、好ましくは、媒体が、式IV−7および/またはIV−8の1種類以上の化合物を含む場合、媒体は、式I、II、IVおよびVの化合物より本質的に成ってよい。
【0139】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、フッ素化されたフェナントレン単位を含有する1種類以上の化合物、好ましくは、式IV−9およびIV−10の化合物群より好ましくは選択される式IVの化合物を(付加的に)含む。
【0140】
【化64】

式中、パラメータは式IVに上で示されるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
41は、アルキルまたはアルケニルを表し、および
42は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシを表す。
【0141】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、フッ素化されたジベンゾフラン単位を含有する1種類以上の化合物、好ましくは式IV、好ましくは式IV−11の化合物を(付加的に)含む。
【0142】
【化65】

式中、パラメータは式IVに上で示されるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
41は、アルキルまたはアルケニルを表し、および
42は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシを表す。
【0143】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式IV−12〜IV−15の化合物群より、好ましくは式IV−12およびIV−14、特に好ましくは式IV−12の群より選択される、式IVの1種類以上の化合物を(付加的に)含む。
【0144】
【化66】


式中、パラメータは、式IVにおいて上で示されるそれぞれの意味をそれぞれ有し、好ましくは、
式IV−12およびIV−13においては、
41は、−CH−CH−、−CH−O−または単結合、好ましくは−CH−O−または単結合、特に好ましくは−CH−O−を表し、
式IV−14およびIV−15においては、
41は、−CH−CH−または単結合、好ましくは単結合を表し、
42は、−CH−CH−、−CH−O−または単結合、好ましくは−CH−O−または単結合、特に好ましくは−CH−O−を表す。
【0145】
式IV−12およびIV−14の化合物、特には以下の式IV−12a、IV−12b、IV−14aおよびIV−14bの化合物が非常に特に好ましい。
【0146】
【化67】

式中、パラメータは式IVにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、R41は、好ましくは、1〜7個のC原子を有し、好ましくは1〜5個のC原子を有するアルキル、好ましくは、n−アルキルを表し、R42は、好ましくは、1〜5個のC原子を有し、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表す。
【0147】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式Vの1種類以上の化合物を含み、
式中、
【0148】
【化68】

を表し、
ただし、2個の隣接している環は、非常に特に好ましくは、直接結合しており、好ましくは、以下を表す。
【0149】
【化69】

ただし、フェニレン環中の1個以上のH原子は、互いに独立に、FまたはCN、好ましくはFにより置き換えられていてもよく、シクロヘキシレン環または2個のシクロヘキシレン環の1個の隣接しない1個または2個のCH基は、O原子により置き換えられていてもよい。
【0150】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−1〜V−14の化合物群からで、好ましくは式V−1〜V−12の化合物群より、好ましくは群V−1〜V−7、V−11およびV−12より、特に好ましくは群V−1およびV−4より選択される式Vの1種類以上の化合物を含む。
【0151】
【化70】

【0152】
【化71】

式中、パラメータは式Vに上で示されるそれぞれの意味を有し、
はHまたはFを表し、
および好ましくは、
51は、アルキルまたはアルケニルを表し、および
52は、アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくは、アルキルまたはアルケニル、特に好ましくは、アルケニルを表す。
【0153】
媒体は、特に好ましくは、
−式V−1c、特に好ましくは、R51がビニルまたは1−プロペニルを表し、R52がアルキル、好ましくは、n−アルキルを表し、特に好ましくは、R51がビニルを表し、R52がプロピルを表す式V−1、および
−式V−1d、特に好ましくは、R51およびR52が、互いに独立に、ビニルまたは1−プロペニルを表し、好ましくは、R51がビニルを表し、特に好ましくは、R51およびR52がビニルを表す式V−1との群より選択される式V−1の1種類以上の化合物を含む。
【0154】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−1a〜V−1e、好ましくは、式V−1aおよび/または式V−1cおよび/またはV−1d、特に好ましくは、式V−1cおよび/またはV−1d、非常に特に好ましくは、式V−1cおよびV−1dの化合物群より選択される式V−1の1種類以上の化合物を含む。
【0155】
【化72】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylおよびalkenyl’は、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0156】
本発明による媒体は、特に好ましくは20質量%以上、特には25質量%以上、非常に特に好ましくは30質量%以上の量で、式V−1の化合物、特には式V−1cの化合物を含む。
【0157】
【化73】

式中、
nは、3、4または5を表し、および
はH、CHまたはCを表す。
【0158】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−1aおよびV−1b、好ましくは、式V−1aおよび/またはV−1b、特に好ましくは、式V−1aの化合物群より選択される式V−1の1種類以上の化合物を含む。この実施形態において、好ましくは、媒体は、1個のアルケニル末端基または複数のアルケニル末端基を含有する式Vの化合物、好ましくは式V−1の化合物を含まず、即ち、好ましくは、式V−1c〜V−1eの化合物を含まない。この実施形態において、媒体は、特に好ましくは、式CC−2−3、CC−2−5、CC−3−4およびCC−3−5の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含有し、ただし、頭文字(略号)は表A〜Cで説明されており、表Dで例により図解されている。
【0159】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−2a〜V−2d、好ましくは、式V−2aおよび/またはV−2b、特に好ましくは、式V−2bの化合物群より選択される式V−2の1種類以上の化合物を含む。
【0160】
【化74】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、および
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0161】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−3a〜V−3cの化合物群より選択される式V−3の1種類以上の化合物を含む。
【0162】
【化75】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、および
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0163】
これらのビフェニル類の混合物全体中での割合は、好ましくは3質量%以上、特には5質量%以上である。
【0164】
式V−3aおよびV−3bの好ましい化合物は、以下の式の化合物である。
【0165】
【化76】

式中、パラメータは、上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0166】
式V−3bの特に好ましい化合物は、以下の式の化合物である。
【0167】
【化77】

および、これらの中でも、特に、最後の式のものである。
【0168】
好ましい実施形態において、媒体は、式V−4の1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは、R51がビニルまたは1−プロペニルを表し、R52がアルキル、好ましくはn−アルキルを表し、特に好ましくは、R51がビニルを表し、R52がメチルを表す1種類以上の化合物である。
【0169】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−4a〜V−4d、好ましくは、式V−4aおよび/またはV−4b、特に好ましくは、式V−4bの化合物群より選択される式V−4の1種類以上の化合物を含む。
【0170】
【化78】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0171】
好ましい実施形態において、媒体は、式V−5の1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは、R51がアルキル、ビニルまたは1−プロペニルを表し、R52がアルキル、好ましくはn−アルキルを表す1種類以上の化合物である。
【0172】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−5a〜V−5d、好ましくは式V−5aおよび/またはV−5b、特に好ましくは式V−5aの、および/または、式V−5e〜V−5h、好ましくは式V−5eおよび/またはV−5f、特に好ましくは式V−5eの化合物群より選択される、式V−5の1種類以上の化合物を含む。
【0173】
【化79】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0174】
【化80】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個のC原子を有する、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0175】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−6a〜V−6c、好ましくは、式V−6aおよび/またはV−6b、特に好ましくは、式V−6aの化合物群より選択される式V−6の1種類以上の化合物を含む。
【0176】
【化81】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0177】
特に好ましくは、本発明による媒体は、好ましくは、PGP−2−3、PGP−3−3およびPGP−3−4の化合物群より選択される式V−6aと、好ましくは、式PGP−1−2V、PGP−2−2VおよびPGP−3−2Vの群より選択される式V−6bとの化合物より選択される1種類以上の化合物を含み、ただし、頭文字(略号)は表A〜Cで説明されており、表Dで例により図解されている。
【0178】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−13aおよびV−13bの化合物群より選択される式V−13の1種類以上の化合物を含む。
【0179】
【化82】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表す。
【0180】
更なる好ましい実施形態において、媒体は、式V−14aの化合物群より選択される式V−14の1種類以上の化合物を含む。
【0181】
【化83】

式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有する、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表す。
【0182】
本発明による液晶媒体の成分D中で使用できる1種類のキラル化合物または複数種類のキラル化合物は、既知のキラルドーパントより選択される。成分Dは、以下の式VI〜VIIIの化合物群より選択される1種類以上の化合物より、好ましくは大部分が、特に好ましくは本質的に、非常に特に好ましくは実質的に完全に成る。
【0183】
【化84】

式中、
61およびR62、R71〜R73およびRは、それぞれ互いに独立に、式VにおいてR51に上で示される意味を有し、もしくは、H、CN、F、Cl、CF、OCF、CFHまたはOCFHを表し、R61およびR62の少なくとも一方はキラル基を表し、
61からZ63、Z71〜Z75およびZは、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−CH=CH−、−COO−、−O−CO−または単結合を表し、好ましくは、Z61、Z62、Z71、Z74およびZ75は単結合を表し、Z63、Z72およびZ73は−COO−または単結合を表し、Z72は、好ましくは、−COO−を表し、Z73およびZは−O−CO−を表し、
【0184】
【化85】

vおよびw、およびx、yおよびzは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
好ましくは、
vおよびwの両方が0を表し、および
xおよびyの両方が1を表す。
【0185】
本発明の特に特に好ましい実施形態は、以下の条件の1つ以上を満たす。
【0186】
i.液晶媒体は0.095以上の複屈折率を有する。
【0187】
ii.液晶媒体は、サブ式I−1〜I−4の群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0188】
iii.媒体中における式Iの個々の同属化合物の濃度は、1〜25%、好ましくは2〜20%、特に好ましくは5〜15%の範囲内である。
【0189】
iv.媒体中における式IIの化合物の割合は、10質量%以上である。
【0190】
v.式IIの個々の同属化合物の濃度は、2〜16%、好ましくは3〜12%、特に好ましくは4〜10%の範囲内である。
【0191】
vi.液晶媒体は、式II−1、II−2、II−3および/またはII−14、好ましくは、式CY−n−Om、CY−V−On、CY−nV−Om、CEY−n−Om、CEY−V−On、CEY−nV−Om、PY−n−Om、PY−V−On、PY−nV−Om、LY−n−Om、LY−V−Onおよび/またはLY−nV−Omの化合物群より選択される1種類以上の特に好ましい化合物を含み、ただし、個々の同属化合物の濃度は、好ましくは、2%以上〜15%以下の範囲内であり、媒体中における化合物の総濃度は60%以下である。
【0192】
vii.液晶媒体は、式II−4、II−5、II−15および/またはII−16、好ましくは、式CCY−n−m、CCY−V−n、CCY−n−m、CCY−n−Om、CCY−V−On、CCY−nV−Om、CPY−n−m、CPY−V−n、CPY−nV−m、CPY−n−Om、CPY−V−On、CPY−nV−Om、CLY−n−m、CLY−V−n、LY−nV−m、CLY−n−Om、CLY−V−On、CLY−nV−Omの化合物群より選択される1種類以上の特に好ましい化合物を含み、ただし、個々の同属化合物の濃度は、好ましくは、2%以上〜20%以下の範囲内であり、媒体中における化合物の総濃度は50%以下である。
【0193】
viii.液晶媒体は、式II−6および/またはII−17、好ましくは、PPY−n−m、PPY−V−n、PPY−nV−m、PYP−n−m、PYP−V−nおよび/またはPYP−nV−mの化合物群より選択される1種類以上の特に好ましい化合物を含み、ただし、PYP−n−m、PYP−V−nおよびPYP−nV−mの場合、個々の同属化合物の濃度は、好ましくは、2%以上〜20%以下の範囲内であり、PPY−n−m、PPY−V−nおよびPPY−nV−mの場合、好ましくは、2%以上〜10%以下の範囲内であり、媒体中における化合物の総濃度は30%以下である。
【0194】
ix.媒体は、式III、好ましくは、式III−1および/またはIII−2、特に好ましくは、式III−2aの1種類以上の化合物を含み、ただし、媒体中における個々の同属化合物の濃度は、好ましくは、2%以上〜15%以下であり、総濃度は30%以下である。
【0195】
x.媒体は、式IVの1種類以上の化合物を含む。
【0196】
xi.媒体は、式Vの1種類以上の化合物を、好ましくは、10%以上〜80%以下の総濃度で含む。
【0197】
xii.媒体は、式V−1およびV−4、特に好ましくは、式V−1c’および/またはV−4bの化合物群より選択される1種類以上の特に好ましい化合物を含む。
【0198】
xiii.媒体は、式V−2、好ましくは、V−2aおよび/またはV−2b、V−3、好ましくは、V−3b、V−4、好ましくは、V−4a、V−5、好ましくは、V−5a、V−12およびV−13および/またはV−7の化合物群より選択される1種類以上の特に好ましい化合物を含む。
【0199】
xiv.液晶媒体は、下記のサブ式より選択される式V−1cおよびV−1dの1種類以上の特に好ましい化合物を含む。
【0200】
【化86】

式中、alkylは上で示される意味を有し、好ましくは、それぞれの場合で互いに独立に、1〜6個、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキル、特に好ましくは、n−アルキルを表す。
【0201】
xv.液晶媒体は、以下の式の群より選択される式Vの1種類以上の化合物を含む。
【0202】
【化87】

式中、R51およびR52は、それぞれ上で示される意味を有し、R51およびR52は、それぞれ互いに独立に、好ましくは、1個または2個〜7個のC原子をそれぞれ有する直鎖状のアルキル、アルコキシまたはアルケニル基、特に好ましくは、直鎖状のアルキル、更には、アルケニルを表す。
【0203】
これらの化合物の混合物における割合は、好ましくは、5〜40質量%である。
【0204】
xvi.液晶媒体は、以下の式:CC−n−Vおよび/またはCC−n−Vm、CPP−n−m、CGP−n−mおよびCCOC−n−mの化合物群より選択される式Vの1種類以上の化合物を、好ましくは、10%以上〜70%以下までの総濃度で含み、ただし、頭文字(略号)の意味は表A〜Cで説明されており、表Dで例により図解されている。
【0205】
xvii.液晶媒体は、
−2質量%〜80質量%の式Iの1種類以上の化合物と、
−2質量%〜80質量%の式IIの1種類以上の化合物と、
−2質量%〜80質量%の式IIIおよび/またはIVの化合物群より選択される1種類以上の化合物と、および/または
−2質量%〜80質量%の式Vの1種類以上の化合物とから本質的に成る。
【0206】
xviii.液晶媒体は、2個または3個の6員または5員環を含有する式Iの1種類以上の化合物を、個々の化合物当たり、1%〜15%、特に2%〜12%、非常に特に好ましくは3%〜8%の量で含む。
【0207】
xix.液晶媒体は、式IIの1種類以上の化合物を、同属の個々の化合物当たり、好ましくは2%以上、特に5%以上、好ましくは30%以下の量で、特には、12%以下の範囲内で含む。
【0208】
xx.液晶媒体は、式II−4および/またはII−5の、好ましくは、式II−4bおよび/またはII−4dおよび/またはII−5bおよび/またはII−5dの、特に好ましくは、II−4bおよび/またはII−5bの1種類以上の化合物を、好ましくは60%以下の総濃度で、同属の個々の化合物当たり、2%以上、特に5%以上、非常に特に好ましくは5%以上〜20%以下の濃度で含む。
【0209】
xxi.液晶媒体は、式II−6および/またはII−7の、好ましくは式II−6aおよび/またはII−7aの1種類以上の化合物を、好ましくは50%以下の総濃度で、好ましくは、式II−6の同属の個々の化合物当たり2%以上〜10%以下の濃度で、および式II−7の同属の個々の化合物当たり2%以上〜20%以下の濃度で含む。
【0210】
xxii.液晶媒体は、式IIの1種類以上の化合物を、個々の化合物当たり、好ましくは2%以上、特に5%以上、好ましくは25%以下の量で、特には、12%以下の範囲内で含む。
【0211】
xxiii.液晶媒体は、式Vの1種類以上の化合物を、個々の化合物当たり、好ましくは3%以上、特に5%以上、好ましくは25%以下の量で、特には、20%以下の範囲内で含む。
【0212】
本発明は、更に、ECB効果に基づいてアドレスするアクティブマトリックスを有する電気光学的ディスプレイに関し、本発明による液晶媒体を誘電体として含有することを特徴とする。
【0213】
液晶混合物は、好ましくは、少なくとも60度、好ましくは少なくとも70度、非常に特に好ましくは少なくとも90度のネマチック相範囲と、20℃において最大で30mm・s−1の流動粘度ν20を有する。
【0214】
本発明による液晶媒体は、好ましくは−0.5以下〜−8.0以上、特には−2.5以下〜−6.0以上のΔεを有し、ただしΔεは誘電異方性を表す。
【0215】
回転粘度γは、好ましくは135mPa・s以下、好ましくは105mPa・s以下、特には85mPa・s以下である。
【0216】
液晶混合物中の複屈折率Δnは、一般に、0.06以上〜0.16以下の範囲内であり、好ましくは、0.08以上〜0.12以下の範囲内である。
【0217】
液晶混合物の閾電圧Vは、一般に、1.2V以上〜3.0V以下の範囲内であり、好ましくは、2.0V以上〜2.5V以下の範囲内である。
【0218】
本発明による混合物は、例えば、VAN、MVA、(S)−PVAおよびASVなどの全てのVA−TFT用途に適している。それらは、更に、Δεが負であるIPS、FFSおよびPALC用途に適する。
【0219】
本発明によるディスプレイ中のネマチック液晶混合物は一般に2種類または3種類の成分である成分AおよびBおよび/またはCを含んでおり、それぞれ、それら自身は1種類以上の個々の化合物より成る。
【0220】
成分Aのためには、−0.8以下の値のΔεを有する1種類(または多種類)の個々の化合物を好ましくは選択する。混合物全体におけるAの割合が低いほど、この値をより負としなければならない。
【0221】
成分Bのためには、−0.8以下の値のΔεを有する1種類(または多種類)の個々の化合物を好ましくは選択する。混合物全体におけるBの割合が低いほど、この値をより負としなければならない。
【0222】
成分Cは際だったネマトゲン性および、20℃において30mm・s−1以下の、好ましくは、25mm・s−1以下の流動粘度を有している。
【0223】
成分Cのためには、0.8未満の絶対値のΔεを有する1種類(または多種類)の個々の化合物を好ましくは選択する。
【0224】
成分C中の非常に好ましい個々の化合物は極めて低い粘度のネマチック液晶で、20℃において18mm・s−1以下、好ましくは12mm・s−1以下の流動粘度を有する。
【0225】
成分Cはモノトロピック的またはエナンチオトロピック的ネマチックで、液晶混合物中に非常に低温までスメクチック相の発生を予防できる。例えば、高いネマトゲン性の各種材料をスメクチック液晶混合物に加えた場合、これらの材料のネマトゲン性を、達成されるスメクチック相を抑制できる程度によって比較できる。
【0226】
多数の適切な材料が文献より当業者に知られている。本明細書においては、式Vの化合物が特に好ましい。
【0227】
本発明による液晶混合物は、好ましくは、4〜15種類、特には5〜12種類、特に好ましくは10種類以下の式Iおよび(IIおよび/またはIIIおよび/またはIV)および/またはVの化合物を含む。
【0228】
また、式I〜Vの群より選択される化合物に加え、他の構成成分も本発明による液晶混合物中に、例えば、混合物全体の45%までの量で、好ましくは35%まで、特には10%までの量で、存在してよい。
【0229】
本発明による液晶混合物の他の構成成分は、好ましくは、ネマチックまたはネマトゲン性の物質より選択され、特には、アゾキシベンゼン類、ベンジリデンアニリン類、ビフェニル類、ターフェニル類、フェニルまたはシクロヘキシル安息香酸エステル類、フェニルまたはシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸エステル類、フェニルシクロヘキサン類、シクロヘキシルビフェニル類、シクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルナフタレン類、1,4−ビスシクロヘキシルビフェニル類またはシクロヘキシルピリミジン類、フェニルまたはシクロヘキシルジオキサン類、ハロゲン化されていてもよいスチルベン類、ベンジルフェニルエーテル類、トラン類および置換された桂皮酸エステル類に分類される既知の物質である。
【0230】
このタイプの液晶混合物の構成成分として適する最も重要な化合物は、式IXで特徴付けることができる。
【0231】
【化88】

式中、LおよびEは、それぞれ、1,4−二置換ベンゼンおよびシクロヘキサン環、4,4’−二置換ビフェニル、フェニルシクロヘキサンおよびシクロへキシルシクロヘキサン構造、2,5−二置換ピリミジンおよび1,3−ジオキサン環、2,6−二置換ナフタレン、ジ−およびテトラヒドロナフタレン、キナゾリンおよびテトラヒドロキナゾリンより成る群からの炭素またはヘテロ環式環構造を表す。
【0232】
Gは、−CH=CH−、−N(O)=N−、−CH=CQ−、−CH=N(O)−、−C≡C−、−CH−CH−、−CO−O−、−CH−O−、−CO−S−、−CH−S−、−CH=N−、−COO−Phe−COO−、−CFO−、−CF=CF−、−OCF−、−OCH−、−(CH−、−(CHO−またはC−C単結合を表し、Qはハロゲン、好ましくは、塩素、または−CNを表し、R91およびR92は、それぞれ、18個まで、好ましくは8個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、あるいは、これらの基の1つは、CN、NC、NO、NCS、CF、OCF、F、ClまたはBrを表す。
【0233】
これらの化合物の殆どにおいて、R91およびR92は互いに異なっており、これらの基の1つは、通常、アルキルまたはアルコキシ基である。提案された置換基の他の改変体も一般的である。そのような物質またはそれらの混合物の多くも、商業的に入手できる。全てのこれらの物質は、文献から知られる方法によって調製できる。
【0234】
混合物全体中での式IXの化合物の濃度は、好ましくは1%〜25%、特に好ましくは1%〜15%、非常に特に好ましくは2%〜9%である。
【0235】
また、本発明による媒体は、誘電的に正の化合物を含む場合もあるが、それの総濃度は、好ましくは、媒体全体に基づいて10%以下である。
【0236】
好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体は、全体として、混合物全体に基づいて、5%以上〜60%以下、好ましくは10%以上〜50%以下、好ましくは15%以上〜40%以下、特に好ましくは20%以上〜35%以下、非常に特に好ましくは25%以上〜30%以下の成分A、および
1%以上〜45%以下、好ましくは2%以上〜40%以下、好ましくは3%以上〜35%以下、特に好ましくは5%以上〜30%以下、非常に特に好ましくは10%以上〜20%以下の成分B、および
5%以上〜80%以下、好ましくは25%以上〜75%以下、特に好ましくは35%以上〜70%以下、非常に特に好ましくは40%以上〜65%以下の成分Cを含む。
【0237】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、それぞれの場合において少なくとも−20℃以下〜70℃以上、特に好ましくは、−30℃以下〜80℃以上、非常に特に好ましくは、−40℃以下〜85℃以上、最も好ましくは、−40℃以下〜105℃以上のネマチック相を有する。
【0238】
本明細書において、表現「ネマチック相を有する」は、一方でスメクチック相および結晶化が対応する温度における低温で確認されないことを意味し、他方でネマチック相から加熱しても透明化が起きないことを意味する。低温における検討は対応する温度において流動粘度計中で行なわれ、電気光学的用途に対応するセル厚みを有する試験用セル中において少なくとも100時間保存して確認する。対応する試験用セル中において−20℃の温度における保存安定性が1000時間以上の場合、媒体はこの温度において安定であると言う。−30℃および−40℃の温度において、対応する時間は、それぞれ500時間および250時間である。高温においては、従来法により毛細管中で透明点を測定する。
【0239】
加えて、本発明による液晶媒体は、液晶セル中において、高い値の電圧保持率を有する。新たに充填されたセル中で、20℃のセル中において、電圧保持率は95%以上、好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、非常に特に好ましくは99%以上であり、100℃のオーブン中で5分後のセル中において、電圧保持率は90%以上、好ましくは93%以上、特に好ましくは96%以上、非常に特に好ましくは98%以上である。
【0240】
また、好ましくは、個々の物理的特性に対するこれらの好ましい値も、それぞれの場合において互いの組合せで、本発明による媒体によって維持される。
【0241】
本出願において、他に明示されない限り、「(1種類以上の)化合物」とも記載される用語「化合物」は、1種類および複数種類の化合物の両方を意味する。
【0242】
本発明において、個々の場合で他に示されない限り、組成物の構成成分の特定に関連して以下の定義を適用する:
−「含む」:組成物中の問題となっている構成成分の濃度が、好ましくは5%以上、特に好ましくは10%以上、非常に特に好ましくは20%以上、
−「大部分が成る」:組成物中の問題となっている構成成分の濃度が、好ましくは50%以上、特に好ましくは55%以上、非常に特に好ましくは60%以上、
−「本質的に成る」:組成物中の問題となっている構成成分の濃度が、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、非常に特に好ましくは95%以上、および
−「実質的に完全に成る」:組成物中の問題となっている構成成分の濃度が、好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上、非常に特に好ましくは100.0%。
【0243】
このことは、構成成分(成分でも化合物でもあり得る)を有する組成物としての媒体、および、化合物である構成成分を有する成分の両方に適用する。媒体全体に対して個々の化合物の濃度に関してのみ、用語「含む」は、問題となっている化合物の濃度が、好ましくは1%以上、特に好ましくは2%以上、非常に特に好ましくは4%以上であることを意味する。
【0244】
本発明において、「≦」は以下、好ましくは未満を意味し、「≧」は以上、好ましくは超えてを意味する。
【0245】
本発明において、
【0246】
【化89】

は、トランス−1,4−シクロヘキシレンを表し、および
【0247】
【化90】

は、1,4−フェニレンを表す。
【0248】
本発明において、表現「誘電的に正の化合物」はΔε>1.5を有する化合物を意味し、表現「誘電的に中性の化合物」は−1.5≦Δε≦1.5のものを意味し、表現「誘電的に負の化合物」はΔε<−1.5のものを意味する。ここで、化合物の誘電異方性は10%の化合物を液晶ホストに溶解して決定され、それぞれの場合で20μmのセル厚みでホメオトロピックおよびホモジニアス表面配向の少なくとも1つの試験用セル中で1kHzにおいて、結果として得られる混合物の容量を決定する。測定電圧は典型的には0.5V〜1.0Vであるが、検討されるそれぞれの液晶混合物の容量閾値よりは常に低くする。
【0249】
誘電的に正および誘電的に中性の化合物に使用されるホスト混合物はZLI−4792で、誘電的に負の化合物に使用されるものはZLI−2857で、いずれもドイツ国のメルク社製である。検討される化合物を添加後にホスト混合物の誘電率の変化より検討される個々の化合物の値が得られ、使用される化合物の100%に外挿する。検討される化合物は、ホスト混合物中に10%の量で溶解される。この目的のためには材料の溶解度が低すぎる場合、所望の温度で検討できるようになるまで濃度を段階的に半分にしていく。
【0250】
また、必要に応じて、本発明による液晶媒体は、例えば、安定化剤および/または多色性色素および/またはキラルドーパントなどの更なる添加剤も通常の量で含んでよい。これらの使用される添加剤の量は、好ましくは全体で、混合物全体の量に基づいて0%以上〜10%以下、特に好ましくは0.1%以上〜6%以下である。使用される個々の化合物の濃度は、好ましくは、0.1%以上〜3%以下である。これらおよび同様の添加剤の濃度は、液晶媒体中の液晶化合物の濃度および濃度範囲を特定する際には、一般に考慮されない。
【0251】
好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体は、1種類以上の反応性化合物、好ましくは反応性メソゲンと、必要に応じて、例えば、重合開始剤および/または重合調節剤などの更なる添加剤とを通常の量で含むポリマー前駆体を含む。これらの使用される添加剤の量は、全体で、混合物全体の量に基づいて0%以上〜10%以下、好ましくは0.1%以上〜2%以下である。これらおよび同様の添加剤の濃度は、液晶媒体中の液晶化合物の濃度および濃度範囲を特定する際には、考慮されない。
【0252】
組成物は複数種類の化合物からなり、好ましくは3種類以上〜30種類以下、特に好ましくは6種類以上〜20種類以下、非常に特に好ましくは10種類以上〜16種類以下の化合物であり、それらは従来の方法で混合される。一般に、より少ない量で使用される成分の所望の量を、混合物の主要な構成成分を構成する成分中に溶解する。有利には、昇温して実行される。選択された温度が主要な構成成分の透明点より高い場合、溶解操作の完了は特に容易に観察できる。しかしながら、例えば、プレミックスを使用したり、所謂「マルチボトルシステム」からの他の従来法において、液晶混合物を調製することも可能である。
【0253】
また、当業者には言うまでもなく、VA、IPS、FFSまたはPALCディスプレイ中で使用するための本発明による媒体は、例えば、H、N、O、Cl、Fが対応する同位体で置き換えられた化合物も含むことができる。
【0254】
本発明による液晶ディスプレイの構造は、例えば、欧州特許出願公開第0 240 379号公報に記載される通りの従来構成に対応する。
【0255】
適切な添加剤を利用することで、本発明による液晶相を、例えば、ECB、VAN、IPS、GHまたはASM−VA−LCDディスプレイと言ったこれまで開示された任意のタイプ中において使用できるように改変できる。
【0256】
下の表Eに、本発明による混合物に添加できる使用可能なドーパントを示す。混合物が1種類以上のドーパントを含む場合、0.01〜4質量%、好ましくは0.1〜1.0質量%の量で使用する。
【0257】
例えば本発明による混合物に、好ましくは0.01〜6質量%、特に0.1〜3質量%の量で添加できる安定化剤が、下の表F中に述べられている。
【0258】
本発明の目的のために、全ての濃度は、他に明記されない限り、質量パーセントで示され、他に明示されない限り、対応する混合物または混合物成分に関する。
【0259】
他に明示されない限り、例えば、融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの本出願において示される全ての温度の値は摂氏度(℃)で示され、全ての温度差は対応する差異度(°または度)である。
【0260】
本発明においては、用語「閾電圧」は、他に明示されない限り、フレデリックス閾値としても知られる容量閾値(V)に関する。
【0261】
全ての物理的特性は「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社に従って決定するか決定され、それぞれの場合で他に明示されない限り、20℃の温度が適用され、Δnは589nmにおいて、Δεは1kHzにおいて決定される。
【0262】
電気光学的特性、例えば、閾電圧(V)(容量的測定)は、メルク・ジャパン社において製造された試験用セル中でスイッチング特性と同様に決定される。測定用セルはソーダ石灰ガラス基体を有し、互いに直交してラビングされ、液晶をホメオトロピック配向させる効果を有するポリイミド配向層(希釈剤**26と共にSE−1211(混合比1:1)、何れも日本国日産化学社製)を備え、ECBまたはVA構造に構成されている。透明で実質的に正方形のITO電極の表面積は1cmである。
【0263】
他に示されない限り、使用される液晶混合物にキラルドーパントを加えないが、このタイプのドーピングが必要な用途に対しても液晶混合物は特に適している。
【0264】
電圧保持率は、メルク・ジャパン社で製造された試験用セル中で決定される。測定用セルはソーダ石灰ガラス製の基体を有し、層厚み50nmで互いに直交してラビングされたポリイミド配向層(AL−3046、日本国日本合成ゴム社製)により構成されている。層厚みは均一に6.0μmである。透明ITO電極の表面積は1cmである。
【0265】
電圧保持率は、20℃(HR20)および100℃のオーブン中で5分後(HR100)に決定される。使用される電圧は、周波数60Hzである。
【0266】
回転粘度は回転永久磁石法を使用して決定され、流動粘度は改変ウベロード粘度計で決定される。全てドイツ国ダルムスタット市のメルク社の製品である液晶混合物ZLI−2293、ZLI−4792およびMLC−6608について、20℃で決定された回転粘度の値は、それぞれ161mPa・s、133mPa・sおよび186mPa・sであり、流動粘度の値(ν)は、それぞれ21mm−1、14mm−1および27mm−1である。
【0267】
本出願においては、以下の記号を使用する:
は20℃における容量閾電圧(V)、
は20℃および589nmで測定される異常屈折率、
は20℃および589nmで測定される正常屈折率、
Δnは20℃および589nmで測定される光学異方性、
εは20℃および1kHzにおけるダイレクターに垂直な誘電率、
εは20℃および1kHzにおけるダイレクターに平行な誘電率、
Δεは20℃および1kHzにおける誘電異方性、
T(N,I)またはcl.p.は透明点(℃)、
γは20℃で測定される回転粘度(mPa・s)、
は20℃における「スプレイ」変形に対する弾性定数(pN)、
は20℃における「ツイスト」変形に対する弾性定数(pN)、
は20℃における「ベンド」変形に対する弾性定数(pN)、および
LTSは試験用セル中で決定される低温安定性(相の安定性)。
【0268】
以下の例は、制限することなく本発明を説明する。しかしながら、それらは、当業者に対して、好ましく使用される化合物の好ましい混合物の考え方と、それらのそれぞれの濃度およびそれらの互いの組み合わせとを示す。加えて、例は、実現可能な特性および特性の組み合わせを例示する。
【0269】
本発明および以下の例において、液晶化合物の構造は頭文字を使用して示され、化学式への変換は、下の表A〜Cによって行われる。全ての基C2n+1、C2m+1およびC2l+1またはC2n、C2mおよびC2lは、それそれの場合で、それぞれn、mおよびl個のC原子を有する直鎖状のアルキル基またはアルキレン基である。表Aに化合物の核の環要素に対するコードを示し、表Bに架橋単位を列記し、表Cに分子の左側および右側の末端基に対する記号の意味を列記する。任意成分である架橋基と共に環要素に対するコードより頭文字は構成され、第1のハイフンおよび左側の末端基に対するコード、および第2のハイフンおよび右側の末端基に対するコードが続く。表Dに、化合物の例示構造を、それらのそれぞれの略号と共に示す。
【0270】
【表1】

【0271】
【表2】

【0272】
【表3】

【0273】
【表4】

表中、nおよびmは、それぞれ整数であり、3つの点「...」は、この表からの他の略号のための場所を表す。
【0274】
式Iの化合物に加え、本発明による混合物は、好ましくは、下記の化合物の1種類以上の化合物を含む。
【0275】
以下の略号を使用する:
(n、mおよびzは、それぞれ互いに独立に、整数であり、好ましくは1〜6である。)
【0276】
【表5】

【0277】
【表6】

【0278】
【表7】

【0279】
【表8】

【0280】
【表9】

【0281】
【表10】

【0282】
【表11】

【0283】
【表12】

【0284】
【表13】

【0285】
【表14】

【0286】
【表15】

【0287】
【表16】

【0288】
【表17】

【0289】
【表18】

【0290】
【表19】

【0291】
【表20】

表Eに、本発明による混合物中で好ましく使用されるキラルドーパントを示す。
【0292】
【表21】

【0293】
【表22】

本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、表Eからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0294】
【表23】

【0295】
【表24】

【0296】
【表25】

【0297】
【表26】

本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、表Fからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0298】
PS−VA用途において本発明による混合物を使用するのに適する反応性メソゲンを下の表Gに示す。
【0299】
【表27】

【実施例】
【0300】
<混合物例>
<例1>
【0301】
【表28】

この混合物はVAディスプレイにおける使用に著しく適しており、また、PS−VA用途向けのホストとしても特に適する。
【0302】
<例2>
【0303】
【表29】

この混合物はVAディスプレイにおける使用に著しく適しており、また、PS−VA用途向けのホストとしても特に適する。
【0304】
<例3>
【0305】
【表30】

この混合物は、VAディスプレイにおける使用またはPS−VA用途向けのホストとして著しく適する。
【0306】
<例4>
【0307】
【表31】

この混合物はVAディスプレイにおける使用に著しく適しており、また、PS−VA用途向けのホストとしても特に適する。
【0308】
<例5>
【0309】
【表32】

この混合物はVAディスプレイにおける使用に著しく適しており、また、PS−VA用途向けのホストとしても特に適する。
【0310】
<例6>
【0311】
【表33】

この混合物はVAディスプレイにおける使用に著しく適しており、また、PS−VA用途向けのホストとしても特に適する。
【0312】
<例7>
【0313】
【表34】

この混合物は、VAディスプレイにおける使用またはPS−VA用途向けのホストとして著しく適する。
【0314】
<例8>
【0315】
【表35】

この混合物はVAディスプレイにおける使用に著しく適しており、また、PS−VA用途向けのホストとしても特に適する。
【0316】
また、述べてきた各種の例の混合物を互いに混合することもでき、結果として対応する出発混合物に同様に利点が与えられる。特に、各種の出発混合物の混合を一般に伴う混合物構成成分の数を増やすことで、通常、このタイプの混合物の貯蔵安定性が改良される結果となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式Iの1種類以上の化合物から成る(第1の)誘電的に負の成分(成分A)、および
b)(第2の)誘電的に負の成分(成分B)
を含む負の誘電異方性の液晶媒体。
【化1】

(式中、
11およびR12は、それぞれ互いに独立に、H、15個までのC原子を有する無置換のアルキルまたはアルケニル基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基は、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、
【化2】

−C≡C−、−CF−O−、−O−CF−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、
【化3】

および、他の環は、存在するのであれば、それぞれの場合で互いに独立に、
【化4】

を表し、
11およびZ12は、それぞれ互いに独立に、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−O−、−O−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CF−O−、−O−CF−、−CF−CF−または単結合を表し、
は、S、SeまたはTeを表し、
mおよびnは、互いに独立に、0または1を表す。)
【請求項2】
前記第2の誘電的に負の成分(成分B)は、式II、IIIおよびIVからなる群より選択される1種類以上の化合物から成ることを特徴とする請求項1に記載の媒体。
【化5】

(式中、
21およびR22は、それぞれ互いに独立に、H、15個までのC原子を有する無置換のアルキルまたはアルケニル基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基は、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、
【化6】

−C≡C−、−CF−O−、−O−CF−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、
31、R32、R41およびR42は、それぞれ互いに独立に、R21およびR22に与えられる意味の1つを有し、
【化7】

21およびL22は、互いに独立に、=C(X)−を表し、L21およびL22の一方は、=N−を表してもよく、
は、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHFを表し、
および、他の環は、存在するのであれば、それぞれの場合で互いに独立に、
【化8】

を表し、
【化9】


および、他は、存在するのであれば、それぞれの場合で互いに独立に、
【化10】

を表し、ただし、
31およびL32は、互いに独立に、=C(X)−を表し、L31およびL32の一方は、=N−を表してもよく、および
は、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHFを表し、
【化11】

は、一緒に単結合も表してよく、
【化12】


および、他は、存在するのであれば、それぞれの場合で互いに独立に、
【化13】

を表し、
【化14】

は、一緒に単結合も表してよく、
21〜Z23、Z31〜Z33およびZ41〜Z43は、それぞれ互いに独立に、Z11〜Z13に与えられる意味の1つを有し、
rおよびsは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
tおよびuは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
lおよびoは、それぞれ互いに独立に、0または1を表す。)
【請求項3】
c)式Vの1種類以上の化合物から成る誘電的に中性の成分(成分C)を付加的に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の媒体。
【化15】

(式中、
51およびR52は、それぞれ互いに独立に、R11およびR12に与えられる意味の1つを有し、
【化16】


51〜Z53は、それぞれ互いに独立に、Z11〜Z13に与えられる意味の1つを有し、
pおよびqは、それぞれ互いに独立に、0または1を表す。)
【請求項4】
d)1種類以上のキラル化合物から成るキラル成分(成分D)を付加的に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の媒体。
【請求項5】
該第2の誘電的に負の成分(成分B)は、請求項2に記載の式IIの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の媒体。
【請求項6】
式I−1〜I−4の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の媒体。
【化17】

(式中、各パラメータは請求項1で与えられる意味を有する。)
【請求項7】
2〜80質量%の1種類以上の式Iの化合物と、および
2〜80質量%の1種類以上の式IIの化合物と、および/または
2〜80質量%の1種類以上の式IIIの化合物と、および/または
2〜80質量%の1種類以上の式IVの化合物と、および
2〜80質量%の1種類以上の式Vの化合物とを含み、
ただし、媒体中における式I〜Vの全ての化合物の総含有量は100質量%以下であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の媒体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶媒体を誘電体として含有することを特徴とする電気光学的ディスプレイ。
【請求項9】
アクティブ−マトリクスアドレス装置を有することを特徴とする請求項8に記載のディスプレイ。
【請求項10】
VA、ECB、PS−VA、FFSまたはIPS効果に基づくことを特徴とする請求項8または9に記載のディスプレイ。
【請求項11】
電気光学的ディスプレイ中における請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶媒体の使用。
【請求項12】
アクティブ−マトリクスアドレス装置を有する電気光学的ディスプレイ中における請求項11に記載の液晶媒体の使用。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の媒体を調製する方法であって、
請求項1で示される通りの式Iの1種類以上の化合物を、請求項2で示される通りの式II、IIIおよびIVの化合物群より選択される1種類以上の化合物と、および/または請求項3で示される通りの式Vの1種類以上の化合物と、および/または1種類以上の更なる液晶化合物および/または1種類以上のドーパント、色素および/または添加剤と混合すること特徴とする方法。

【公開番号】特開2010−242086(P2010−242086A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86697(P2010−86697)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】