説明

液晶媒体

【課題】比較的高い誘電異方性および透明点、非常に低い閾電圧および比較的低い回転粘度γおよび優れたUV安定性の液晶媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、式Iで表される1種類以上の化合物と、式IAで表される1種類以上の化合物とを含むことを特徴とする極性化合物混合物系液晶媒体に関する。






、R1A、X、X、L1〜7、A、Zおよびnは、請求項1に示される意味を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶媒体に関し、その電気光学的目的のための使用、およびこの媒体を備えるディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は、印加電圧によって物質の光学的性質を変化させることができるため、主に表示装置の中の誘電体として使用される。液晶に基づいた電気光学装置は、当業者に極めて公知であり、種々の効果に基づくことができる。そのような装置の例として、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形:Deformation of Aligned Phases)セル、ゲスト/ホストセル、捩れネマチック構造を有するTNセル、STN(スーパーツイストネマチック)セル、SBE(超複屈折効果:Superbirefringence Effect)セルおよびOMI(光学モード干渉:Optical Mode Interference)セルが挙げられる。最も一般的な表示装置は、Schadt−Helfrich効果に基づく、ツイストネマチック構造を有する。
【0003】
液晶材料としては、良好な化学的および熱的安定性を有すると共に、電場と電磁線放射に対しても優れた安定性を有することが必要である。さらに、液晶材料は、低粘度であり、セル中で使用されて、アドレス時間が短く、閾電圧が低くおよびコントラストが高いものでなければならない。
【0004】
さらに、液晶材料は、通常の動作温度において、即ち、室温以上または室温以下の出来る限り広い範囲において、適切な中間相、例えば前述のセル用のネマチック中間相またはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は通常、複数成分の混合物として使用されるため、成分が互いに容易に混和することが重要である。さらに導電率、誘電率異方性および光学異方性のような特性は、セルの型、用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。
例えば、ツイストネマチック型セルの材料は、正の誘電異方性および低い導電率を有していなければならない。
【0005】
例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリックス型液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的低い複屈折率、非常に高い比抵抗、優れたUVおよび温度安定性、および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。
【0006】
さらに、LCoS(商標)ディスプレイおよびOCBディスプレイのような複屈折効果に基づくディスプレイも興味が持たれている。
【0007】
OCB(Optically Compensated Bend)ディスプレイは複屈折効果に基づいており、「bend」と呼ばれる構造を有している液晶層を備えている。「bend」セルは「pi」セルとしても知られており、P.Bosら、SID 83 Digest誌、1983年刊、第30巻(非特許文献1)により電気的に制御可能なλ/2板用として、初めて提案された。一方、ディスプレイ用のOCBモードは、Y.Yamaguchi、T.MiyashitaおよびT.Uchida、SID 93 Digest誌、1993年刊、277巻(非特許文献2)、および論文として、T.Miyashitaらによる、とりわけ、Proc.Eurodisplay誌、1993年刊、第149巻(非特許文献3)、J.Appl.Phys.誌、1995年刊、第34巻、第L177号(非特許文献4)、SID 95 Digest誌、1995年刊、第797巻(非特許文献5)、C.−L.Kuoら、SID 94 Digest誌、1994年刊、第927号(非特許文献6)およびM.Suzuki、SID 96 Digest誌、1996年刊、第618巻(非特許文献7)に記載されている。OCBセルは、「bend」配置を有する液晶セルと正のΔεの液晶媒体を備えている。さらに、上記文献に記載されるOCBセルは、暗状態での「bend」セルによる好ましくない光透過を防ぐため、1種類以上の複屈折光学位相差膜を備えている。OCBディスプレイは、視野角が広く応答時間が短いなど、捩れネマチック(TN)セルに基づく従来のディスプレイを上回る多くの利点を有する。
【0008】
上記の文献によれば、OCB効果に基づく高情報ディスプレイ素子において使用できるためには、液晶相は高い値の光学異方性Δnおよび比較的高い正の値の誘電異方性Δεを有していなければならず、弾性定数間の比率K33/K11および粘度が極めて低いことが好ましい。電気光学的ディスプレイにおいてOCB効果を工業的に応用するためには、液晶相が幾つかの要求を満たさなければならない。ここで、湿度や空気、および熱、赤外、可視および紫外の領域の光照射および電場の変化と言った物理的効果に対する化学的な耐久性が、特に重要である。さらに、工業的に使用できる液晶相は、適当な温度領域において液晶中間相を示し、比較的高い複屈折率、正の誘電異方性および低い粘度を有している必要がある。
【0009】
LCoS(商標、Liquid Crystal on Silicon)ディスプレイは先行文献により公知であり、Three−Five System社(米国アリゾナ州Tempe市)より入手できる。LCoS(商標)微小ディスプレイは反射型ディスプレイで、典型的には、シリコン製バックプレーンおよびカバーガラス間に捩れネマチック構造を有する液晶層を備えている。シリコン製バックプレーンはピクセルの配列であり、それぞれのピクセルが鏡面を有しており、同時に導電体として働く。それぞれのピクセルは、電圧を印加することでホメオトロピック配列に変換できる捩れネマチック配列を有する活性液晶層により覆われた固定鏡を備えている。LCoS(商標)微小ディスプレイは小さく、対角線は典型的には1.0インチより小さいが、1/4VGA(78000ピクセル)からUXGA+(2000000ピクセルより多い)までの高い分解能が可能である。
【0010】
ピクセルのサイズが小さいため、LCoS(商標)ディスプレイは非常に薄いセルの厚みを有し、典型的には約1ミクロンである。従って、通常、低いΔnの液晶層を必要とする従来の反射型液晶ディスプレイに対して、LCoS(商標)ディスプレイで使用される液晶層は、特に、高い値の光学異方性Δnを有していなければならない。
【0011】
OCBモードおよびLCoS(商標)ディスプレイはマトリックスディスプレイとして動作される。マトリックス型液晶ディスプレイ(Matrix Liquid−Crystalディスプレイ、MLCディスプレイ)は公知である。個々のピクセルのそれぞれのスイッチングに使用することができる非線形素子は、例えばアクティブ素子(つまりトランジスター)である。この用語「アクティブマトリックス」は、2つの区別される型に分けられる。
【0012】
1.基板としてのシリコンウエハー上のMOS(Metal Oxide Semiconductor、金属酸化物半導体)または他のダイオード。
【0013】
2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスター(Thin−Film Transistor、TFT)。
【0014】
第1の型の場合、使用される電気光学的効果は、通常、動的散乱またはゲスト/ホスト効果である。
【0015】
基板材料として単結晶シリコンを使用する場合、色々な部品ディスプレイのモジュール組み立て品の場合であっても、接続部での問題が生じるため、ディスプレイの大きさが制限される。
【0016】
好適であってより有望な第2の型の場合には、TN効果が通常、電気光学的効果として使用される。この場合、区別される2つの技術がある。即ち、例えばCdSeのように、化合物半導体を含むTFTと、多結晶またはアモルファスシリコンに基づいたTFTとである。後者の技術について、世界的に集中した研究がなされている。
【0017】
TFTマトリックスは、ディスプレイの1つのガラス板の内面に形成され、もう一方のガラス板は、内面に透明な対向電極を有する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも適用できる。このディスプレイでは、フィルター素子がスイッチング可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置される。
【0018】
TFTディスプレイは、通常、透過光に対して直交した偏光板を備えたTNセルを作動させ、バックライトで照らされる。
【0019】
ここで用語「MLCディスプレイ」は、集積非線形素子を備えた全てのマトリックスディスプレイも含む。即ち、アクティブマトリックスに加えて、バリスターまたはダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal)のような受動素子を備えたディスプレイも含む。
【0020】
この型のMLCディスプレイは、特にテレビ用途(例えばポケット・テレビセット)、またはコンピュータ用(ラップトップ)および自動車または航空機内で使用される高度情報表示装置用途に適している。コントラストの角度依存性と応答時間の問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題がある[TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.およびSHIMIZU,H.、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第A210−288号、第141ff頁(非特許文献8)およびSTROMER,M.、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第145ff頁(非特許文献9)参照]。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化し、また、残像消去の問題も生じ得る。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命に全体に渡って関与するので、許容される耐用年数を得るためには、高い(初期)抵抗を有することが非常に重要である。特に、低電圧用混合物の場合には、高い抵抗値を達成することは従来不可能であった。さらに、温度の上昇および加熱および/またはUV照射後に、比抵抗の増加が可能な限り小さいことも重要である。また、低温特性、特に当業者によってマトリックスの「低温安定性」(LTS、Low Temperature Stability)と呼ばれている特性も不具合である。低温であっても、結晶および/またはスメクティック相が生じないことが要求され、さらに、粘性の温度依存性も可能な限り低いことが要求される。よって、先行技術のMLCディスプレイは今日の必要条件を満たさない。
【0021】
バックライトを使用する液晶ディスプレイ、即ち、透過型および必要により半透過型動作に加えて、反射型液晶ディスプレイも特に興味をもたれている。これらの反射型液晶ディスプレイは情報表示装置のために周囲光を使用する。そのため、同じサイズと解像度を有するバックライト液晶ディスプレイに比べて、消費エネルギーが著しく少ない。TN効果は非常によいコントラストによって特徴付けられるので、このタイプの反射ディスプレイは、明るい周囲状況下で容易に読むことができる。これは、例えば携帯時計およびポケット計算機に使用されているようなシンプルな反射TNディスプレイとしてすでに知られている。しかしながら、この原理はまた、例えばTFTディスプレイのように高品質およびより高解像度のアクティブマトリックス駆動ディスプレイに適用することができる。ここで、通常慣用型である透過TFT−TNディスプレイで既に使用されるように、低複屈折率(Δn)の液晶の使用が、低い光学遅延(d・Δn)を達成するために必要である。この低い光学遅延により、通常は、コントラストの視野角依存性が許容できる程度に低くなる(特許文献1:独国特許第3022818号明細書参照)。反射ディスプレイでは、光が通過する有効な層の厚さは、同じ層厚を有する透過ディスプレイに比べて反射ディスプレイでは約2倍になるので、低複屈折率の液晶の使用は、透過ディスプレイよりもさらに重要である。
【0022】
したがって、高いUV安定性、比較的高いΔεの値、低い閾電圧および70℃以上の透明点を有しているMLC、OCB、IPS、TN、LCoSまたはSTNディスプレイのための液晶媒体が、引き続き強く要求されている。
【0023】
TN(Schadt−Helfrich)セルでは、セル中で次の利点を容易ならしめるような媒体が望まれる。
−拡大されたネマチック相範囲(特に、低い温度までの)
−極度に低い温度での保存安定性
−極度に低い温度でのスイッチ能力(屋外用途、自動車、航空電子工学)
−紫外線照射に対する増大された抵抗(より長い寿命)
−より薄いセルの厚みによる、より速い応答時間のための、より高い光学異方性(d・Δn)
先行技術から入手可能な媒体では、これらの利点を、同時に他のパラメーターを保持しながら達成することはできない。
【0024】
スーパーツイスト型(STN)セルの場合には、より大きな時分割駆動および/または低い閾電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能にする媒体が望まれる。この目的のために、利用可能なパラメーターの範囲(透明点、スメクティック−ネマチックの相転移または融点、粘度、誘電パラメーター、弾性パラメーター)を一層広げることが、至急望まれている。
【特許文献1】独国特許第3022818号明細書
【特許文献2】米国特許第6,669,998号明細書
【特許文献3】米国特許第6,565,933号明細書
【特許文献4】米国特許第6,596,350号明細書
【特許文献5】国際公開第89/02884号パンフレット
【特許文献6】国際公開第90/01056号パンフレット
【特許文献7】国際公開第91/03450号パンフレット
【特許文献8】欧州特許第0439089号明細書
【特許文献9】独国特許第4445224号明細書
【特許文献10】国際公開第98/235564号パンフレット
【特許文献11】欧州特許出願公開第1302523号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第1346995号明細書
【特許文献13】国際公開第2004/035710号パンフレット
【特許文献14】欧州特許第0334911号明細書
【非特許文献1】P.Bosら、SID 83 Digest誌、1983年刊、第30巻
【非特許文献2】Y.Yamaguchi、T.MiyashitaおよびT.Uchida、SID 93 Digest誌、1993年刊、277巻
【非特許文献3】T.Miyashitaら、Proc.Eurodisplay誌、1993年刊、第149巻
【非特許文献4】T.Miyashitaら、J.Appl.Phys.誌、1995年刊、第34巻、第L177号
【非特許文献5】T.Miyashitaら、SID 95 Digest誌、1995年刊、第797巻
【非特許文献6】C.−L.Kuoら、SID 94 Digest誌、1994年刊、第927号
【非特許文献7】Suzuki、SID 96 Digest誌、1996年刊、第618巻
【非特許文献8】TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.およびSHIMIZU,H.、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第A210−288号、第141ff頁
【非特許文献9】STROMER,M.、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第145ff頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
よって、本発明は、上記の不具合を有していないか、有していても低減されており、および好ましくは比較的高い透明点、低い閾電圧および70℃以上の透明点を同時に有する媒体、特にこの型のMLC、OCB、IPS、LCos、TNまたはSTNディスプレイ用の媒体を提供することを目的とする。さらに、混合物は、高いUV安定性により特徴付けられねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この目的は、ディスプレイにおいて本発明による媒体を使用すれば達成されることが分かった。本発明による媒体は、比較的高い誘電異方性および透明点により区別される。同時に、媒体は非常に低い閾電圧および比較的低い回転粘度γおよび優れたUV安定性を有する。
【0027】
従って、本発明は、式Iで表される1種類以上の化合物と、式IAで表される1種類以上の化合物とを含むことを特徴とする、極性化合物の混合物に基づく液晶媒体に関する。
【0028】
【化1】

【0029】
【化2】

式中、RおよびR1Aは、それぞれ互いに独立に、ハロゲン化されているかまたは置換されていない1〜15個の炭素原子を有するアルキルまはたアルコキシ基を表し、但し、加えて、これらの基の1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、
【0030】
【化3】

−CH=CH−、−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、
XおよびXは、それぞれ互いに独立に、F、Cl、CN、SF、SCN、NCS、6個以下の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、
は、a)1,4−シクロヘキセニレンまたは1,4−シクロヘキシレン基で、1または2個の隣接していないCH基が−O−または−S−で置き換えられていてもよく、
b)1,4−フェニレン基で、1または2個のCH基がNで置き換えられていてもよく、
c)ピペリジン−1,4−ジイル、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルの群からの基を表し、
但し、a)、b)およびc)の基は、ハロゲン原子によって、1または多置換されていてもよく、
は、−CO−O−、−O−CO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CHCH−、−(CH−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CH=CH−、−C≡C−または単結合を表し、
〜Lは、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、および
nは、0、1または2を表す。
【発明の効果】
【0031】
驚くべきことに、式IおよびIAで表される化合物を含む液晶混合物は、高い透明点、比較的低い閾値およびΔnの値、好ましくは0.07以上、特には0.08以上を有することが見出された。特に好ましくは、LがFでLおよびLがHの式Iの化合物である。非常に特に好ましくは、LがFでLおよびLがHで、XがCl、CF、F、OCFまたはOCHFの化合物である。Xは、好ましくは、CN、F、SF、OCHF、OC、OC、NCS、OCHFCF、OCFCHFCF、OCFを表す。式IAの好ましい化合物は、XがF、OCF、CNで、基L4〜7の少なくとも1つはフッ素を表す化合物である。nは、好ましくは、1を表す。
【0032】
nが1であるかnが2である場合、AまたはZは、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
フッ素化されたベンゼン環が4個の化合物は先行文献に記載されており、例えば、米国特許第6,669,998号明細書(特許文献2)、米国特許第6,565,933号明細書(特許文献3)、米国特許第6,596,350号明細書(特許文献4)、国際公開第89/02884号パンフレット(特許文献5)、国際公開第90/01056号パンフレット(特許文献6)、国際公開第91/03450号パンフレット(特許文献7)、欧州特許第0439089号明細書(特許文献8)、独国特許第4445224号明細書(特許文献9)、国際公開第98/235564号パンフレット(特許文献10)、欧州特許出願公開第1302523号明細書(特許文献11)、欧州特許出願公開第1346995号明細書(特許文献12)である。しかしながら、本発明の化合物は明記されていない。
【0034】
国際公開第2004/035710号パンフレット(特許文献13)には、以下の式の化合物が記載されている。
【0035】
【化4】

式IAの化合物は、例えば欧州特許第0334911号明細書(特許文献14)にあるように、公知である。
【0036】
式IおよびIAの化合物は、広範囲の用途分野を有する。置換基の選択に応じて、これらの化合物は、液晶媒体を主に構成する基礎材料となりうるが、他に分類される化合物からの液晶基礎材料に式Iの化合物を加えることもでき、例えば、この型の誘電的および/または光学的異方性を修正したり、および/または材料の閾電圧および/または粘度を最適なものとする。
【0037】
驚くべきことに、本発明の4員環化合物は、非常に良く溶解する。よって、式Iの化合物を混合物を基礎にして0.01〜30.0重量%を含む本発明の混合物を調製することができる。
【0038】
式IおよびIAの化合物は、純粋な状態で無色であり、電気光学的な使用のために好ましい温度範囲中で液晶中間相を形成する。これらの化合物は、化学的に、熱的に、および光に対して安定である。
【0039】
式IのRおよび式IAのR1Aがアルキル基および/またはアルコキシ基を表している場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシであり、さらに、メチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシまたはテトラデシルオキシを表す。
【0040】
オキサアルキルは、好ましくは、直鎖の2−オキサプロピル(即ちメトキシメチル)、2−(即ちエトキシメチル)または3−オキサブチル(即ちメトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0041】
および/またはR1Aがアルキル基を表しており、1個のCH基が−CH=CH−基で置き換えられている場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、2〜10個の炭素原子を有している。従って、特に、ビニル、プロパ−1−又はプロパ−2−エチル、ブタ−1−、−2−又はブタ−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−又はペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−又はヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−又はヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−又はオクタ−7−エニル、ノナ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−又はノナ−8−エニル、デカ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−又はデカ−9−エニルを表す。
【0042】
および/またはR1Aがアルキル基を表しており、1個のCH基が−O−基で置き換えられており、1個が−CO−で置き換えられている場合、これらは隣接していることが好ましい。よって、これらの基は、アシルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を含む。これらの基は好ましくは直鎖を表し、2〜6個の炭素原子を有する。従って、それらは、特に、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルまたは4−(メトキシカルボニル)ブチルを表す。
【0043】
および/またはR1Aがアルキル基を表しており、1個のCH基が無置換または置換された−C=C−に置き換えられており、隣接するCH基がCOまたはCO−OまたはO−COによって置き換えられている場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、4〜12個の炭素原子を有している。したがって、この基は、特に、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、10−アクリロイルオキシデシル、メタクリロイルオキシメチル、2−メタクリロイルオキシエチル、3−メタクリロイルオキシプロピル、4−メタクリロイルオキシブチル、5−メタクリロイルオキシペンチル、6−メタクリロイルオキシヘキシル、7−メタクリロイルオキシヘプチル及び8−メタクリロイルオキシオクチル、9−メタクリロイルオキシノニルを表す。
【0044】
および/またはR1Aがアルキルまたはアルケニル基を表し、それがCNまたはCFによって1置換されている場合、この基は好ましくは直鎖である。CNまたはCFによる置換は、何れの所望の位置でも可能である。
【0045】
および/またはR1Aがアルキルまたはアルケニル基を表し、それがハロゲンによって少なくとも1置換されている場合、この基は好ましくは直鎖であり、ハロゲンは好ましくはFまたはClである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくはFである。得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。1置換の場合、フッ素または塩素置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω位である。
【0046】
分岐した羽状の基Rおよび/またはR1Aを含む化合物は、従来の液晶基礎材料中で良く溶解するため、重要な場合もあるが、化合物が光学活性である場合はキラルドーパントとして特に重要である。この型のスメクティック化合物は、強誘電体材料の成分として適当である。
【0047】
この型の分岐した基は、一般に、1個以下の鎖分岐を有している。好ましい分岐した基Rおよび/またはR1Aは、イソプロピル、2−ブチル(即ち、1−メチル−プロピル)、イソブチル(即ち、2−メチルプロピル)、2−メチルブチル、イソペンチル(即ち、3−メチルブチル)、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシおよび1−メチルヘプチルオキシである。
【0048】
および/またはR1Aがアルキル基を表し、それの2個以上のCH基が−O−および/または−CO−O−で置き換えられている場合、それは直鎖状または分枝鎖状のいずれでも構わない。分岐状で炭素原子を3〜12個有することが好ましい。したがって、2,2−ビスカルボキシエチル、3,3−ビスカルボキシプロピル、4,4−ビスカルボキシブチル、5,5−ビスカルボキシペンチル、6,6−ビスカルボキシヘキシル、7,7−ビスカルボキシヘプチル、8,8−ビスカルボキシオクチル、9,9−ビスカルボキシノニル、10,10−ビスカルボキシデシル、ビス(メトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(メトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(メトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(メトキシカルボニル)ブチル、5,5−ビス(メトキシカルボニル)ペンチル、6,6−ビス(メトキシカルボニル)ヘキシル、7,7−ビス(メトキシカルボニル)ヘプチル、8,8−ビス(メトキシカルボニル)オクチル、ビス(エトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(エトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(エトキシカルボニル)ブチルまたは5,5−ビス(エトキシカルボニル)ペンチルを特に表す。
【0049】
式IおよびIAの化合物中のXおよびXは、好ましくは、それぞれ互いに独立にF、Cl、CN、NCS、CF、C、C、SF、CFH、OCF、OCFH、OCFHCF、OCFHCFH、OCFHCFH、OCFCH、OCFCFH、OCFCFH、OCFCFCFH、OCFCFCFH、OCFHCFCF、OCFHCFCFH、OCFHCFHCF、OCHCFCF、OCFCFCF、OCFCFHCFH、OCFCHCFH、OCFHCFCFH、OCFHCFHCFH、OCFHCHCF、OCHCFHCF、OCHCFCFH、OCFCFHCH、OCFCHCFH、OCFHCFCH、OCFHCFHCFH、OCFHCHCF、OCHCFCFH、OCHCFHCFH、OCFCHCH、OCFHCFHCH、OCFHCHCFH、OCHCFCH、OCHCFHCFH、OCHCHCFH、OCHCHCH、OCHCFHCH、OCHCHCFH、OCClFCF、OCClFCClF、OCClFCFH、OCFHCClF、OCClFCFH、OCClFCClF、OCFCClH、OCFCClH、OCFCClF、OCFCClFH、OCFCClF、OCFCFCClF、OCFCFCClF、OCClFCFCF、OCClFCFCFH、OCClFCFCClF、OCClFCFHCF、OCClFCClFCF、OCClCFCF、OCClHCFCF、OCClFCFCF、OCClFCClFCF、OCFCClFCFH、OCFCFCClF、OCFCClCFH、OCFCHCClF、OCClFCFCFH、OCFHCFCClF、OCClFCFHCFH、OCClFCClFCFH、OCFHCFHCClF、OCClFCHCF、OCFHCClCF、OCClCFHCF、OCHCClFCF、OCClCFCFH、OCHCFCClF、OCFCClFCH、OCFCFHCClH、OCFCClCFH、OCFCHCClF、OCClFCFCH、OCFHCFCClH、OCClFCClFCFH、OCFHCFHCClF、OCClFCHCF、OCFHCClCF、OCClCFCFH、OCHCFCClF、OCClCFHCFH、OCClHCClFCFH、OCFCClHCClH、OCFCHCClH、OCClFCFHCH、OCFCClFCClH、OCClFCHCFH、OCFHCClCFH、OCClCFCH、OCHCFCClH、OCClCFHCFH、OCHCClFCFCl、OCHCHCFH、OCClHCClHCFH、OCHCClCFH、OCClFCHCH、OCFHCHCClH、OCClHCFHCClH、OCHCFHCClH、OCClCHCFH、OCHCClCFH、CH=CF、CF=CF、OCH=CF、OCF=CF、CH=CHF、OCH=CHF、CF=CHF、OCF=CHF、特に、F、Cl、CN、NCS、CF、SF、CFH、OCF、OCFH、OCFHCF、OCFHCFH、OCFHCFH、OCFCH、OCFCFH、OCFCFH、OCFCFCFH、OCFCFCFH、OCFHCFCF、OCFHCFCFH、OCFCFCFまたはOCFCHFCFを表す。
【0050】
式Iの化合物は、文献(例えば、標準的な方法として、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、Stuttgart市)に記載されているように、公知で、その反応に適する正確な反応条件により、それ自身は公知の方法により調製される。ここで、それ自身は公知で、ここで非常に詳細には述べていない変法も利用できる。
【0051】
式Iの化合物は、例えば、次のようにして調製できる。
【0052】
【化5】

【0053】
【化6】

【0054】
【化7】

本発明は、また、この型の液晶媒体を含む電気光学的ディスプレイ、例えば、セル、各ピクセルをスイッチングするための外板上の集積非線形素子、および正の誘電異方性および高比抵抗でセル内にあるネマチック液晶混合物を、外枠と共に構成する2枚の平行な外板を有するSTNまたはMLCのようなディスプレイに関し、また、これらの媒体を電気光学的目的のために使用することに関する。
【0055】
本発明の液晶混合物により、特性の利用可能な範囲を著しく広げることができる。透明点、低温における粘度、熱的およびUV安定性および高い光学異方性の組み合わせを実現できることは、先行技術による従来の材料より極めて優れている。
【0056】
本発明の混合物は、特に、高速スイッチングモニター、TVセット、TV/モニター組合せ装置およびΔnの高いTFT分野に特に好適で、例えば、射影テレビセット、LCoSおよびOCBなどである。
【0057】
本発明の液晶混合物は、−20℃まで、好ましくは−30℃まで、特に好ましくは−40℃までネマチック相を保持しながら、60℃を超える、好ましくは70℃を超える、特に好ましくは80℃を越える透明点を可能にし、同時に4以上、好ましくは5以上の誘電異方性Δεおよび高い比抵抗が達成可能とされ、優れたSTNおよびMLCディスプレイが実現可能とされる。特に、この混合物は、低い電圧駆動によって特徴づけられる。
【0058】
TNの閾値は、2.5V未満であり、好ましくは2.0V未満、特に好ましくは1.8V未満である。
【0059】
言うまでもなく、本発明による混合物の化合物を適切に選択することにより、他の有利な性質を保持しながら、より高い閾電圧においてより高い透明点(例えば110℃を超え)を達成できるか、またはより低い閾電圧においてより低い透明点を達成することも可能である。粘度の上昇を僅かにとどめながら、より大きなΔεと従ってより低い閾電圧を達成することも同様に可能である。本発明によるMLCディスプレイは、好ましくは、グーチ・タリーの第1次透過極小で動作させることが好ましい(C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Electron.Lett.、1974年、第10巻、第2〜4頁;C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Appl.Phys.、1975年、第8巻、第1575〜1584頁)。ここで、例えば特性線の高い急峻性およびコントラストの低視野角依存性(独国特許第3022818号明細書)のような特に好ましい電気光学的特性に加え、第2次極小で類似のディスプレイと同じ閾電圧において、より小さな誘電異方性でも十分である。これにより、第1次極小で本発明による混合物を使用することにより、シアノ化合物を含む混合物の場合に比べ、極めて高い比抵抗値を達成することができる。個々の成分とその重量を適切に選択することにより、当業者は簡単なルーチンの方法によりMLCのあらかじめ指定された層の厚さに必要な複屈折率を定めることができる。
【0060】
20℃における流体粘度ν20は、好ましくは60mm・s−1未満であり、特に好ましくは50mm・s−1未満である。本発明による混合物の20℃における回転粘度γは、好ましくは150mPa・s未満であり、特に好ましくは120mPa・s未満である。ネマチック相の範囲は、少なくとも90℃あることが好ましく、特に少なくとも100℃あることが好ましい。この範囲は少なくとも−20℃から+80℃に渡ることが好ましい。
【0061】
液晶ディスプレイにおいては、応答時間は短いことが好ましい。このことは、とりわけビデオ再生を行えるディスプレイにあてはまる。この型のディスプレイにおいては、25msより短い応答時間(合計:ton+toff)が要求される。応答時間の上限は、画像の反復率によって決定される。加えて、回転粘度γ、傾斜角も応答時間に影響する。
【0062】
電圧保持率(HR)を測定[S.Matsumotoら、Liquid Crystals、1989年、第5巻、第1320頁;K.Niwaら、Proc.SID Conference、(サンフランシスコ)、1984年6月、第304頁、;G.Weberら、Liquid Crystals、1989年、第5巻、第1381頁]した結果、
【0063】
【化8】

のシアノフェニルシクロヘキサン類、または以下の式
【0064】
【化9】

のエステル類を式IおよびIAの化合物の代わりに含み本発明と類似した混合物に比べて、式IおよびIAの化合物を含む本発明の混合物の方が、UVへの曝露によるHRの低下が著しく小さいことが示された。
【0065】
また、本発明による混合物のUV安定性は極めて優れている。即ち、これらの混合物は、UVに暴露されてもHRの低下が著しく小さい。式Iの化合物の割合が低い(10重量%未満)場合においても、先行技術による混合物と比較して、6%以上も混合物のHRが増加する。
【0066】
式Iの特に好ましい化合物は、式I−1〜I−10の化合物である。
【0067】
【化10.1】

【0068】
【化10.2】


式中、Rは、式Iで示された意味を有する。Rは、好ましくは、アルキル、さらには、アルケニルを表す。
【0069】
これらの好ましい化合物のうち、式I−1、I−4、I−7およびI−10の化合物が特に好ましく、特に、I−1およびI−10である。
【0070】
下位の式I−1〜I−10中のRは、好ましくは、C、n−C、n−C11、さらに、CH、n−C、n−C13、n−C15、CH=CH、CHCH=CH、CH=CHCHCHまたはCHCH=CHCHCHを表す。Rは、非常に好ましくは、n−Cを表す。
【0071】
本発明の好ましい実施形態は、以下に示す通りである。
【0072】
・媒体は、式I−1〜I−10の化合物を1種類または2種類以上含む。
【0073】
・媒体は、好ましくは、少なくとも1種類の以下の化合物を含む。
【0074】
【化11.1】

【0075】
【化11.2】

【0076】
【化11.3】

【0077】
【化11.4】


・媒体は、好ましくは、以下の化合物を含む。
【0078】
【化12】


式中、nは3または5である。nが3の化合物とnが5の化合物とを含む媒体のようなものが好ましい。
【0079】
・媒体は、好ましくは、式IA−1〜IA−16で表される1種類以上の化合物を含む。
【0080】
【化13.1】

【0081】
【化13.2】

【0082】
【化13.3】

【0083】
【化13.4】

1Aは、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表し、特に、CH、C、n−C、n−C、n−C11、n−C13、CH=CH、CHCH=CH、CH=CHCおよびCHCH=CHCである。
【0084】
は、好ましくは、F、Cl、CFまたはOCFを表し、さらにはCNであり、特に好ましい化合物は、IA−1、IA−3、IA−5およびIA−8である。
【0085】
・媒体は、1、2、3または4種類の式IAの化合物を含む。本発明の混合物中の式IAの化合物の割合は2〜50重量%であり、好ましくは2〜40重量%、特に5〜40重量%である。
【0086】
・媒体は、一般式II〜VIからなる群より選ばれる1種類以上の化合物を更に含む。
【0087】
【化14】

式中、それぞれの基は、以下の意味を有する。
【0088】
は、それぞれ9個以下の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表す。
【0089】
は、F、Cl、6個以下の炭素原子を有するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化オキサアルキル、ハロゲン化アルケニルオキシまたはハロゲン化アルコキシを表す。
【0090】
は、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−、−C−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−CFO−または−OCF−を表す。
【0091】
〜Yは、それぞれ互いに独立して、HまたはFを表す。
【0092】
rは、0または1を表す。
【0093】
式IVの化合物は、以下が好ましい。
【0094】
【化15】

・媒体は、一般式VII〜XIIからなる群より選ばれる1種類以上の化合物を更に含む。
【0095】
【化16】


式中、R、XおよびY1〜4は、それぞれ互いに独立に、請求項4で示される意味を有する。Xは、好ましくは、F、Cl、CF、OCFまたはOCHFである。Rは、好ましくは、それぞれ6個以下の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フッ化アルキルまたはアルケニルである。
【0096】
・媒体は、式Eで表される1種類以上の化合物を更に含む。
【0097】
【化17】


式中、Rは、請求項4で示される意味を有する。
【0098】
・式Eの化合物の割合は、好ましくは、5〜30重量%、特には、10〜25重量%である。
【0099】
・混合物の全体における式IおよびIAで表される化合物の合計の割合は、少なくとも10重量%、好ましくは、15重量%以上、特には、20重量%以上である。
【0100】
・混合物の全体における式Iで表される化合物の割合は、0.01〜50重量%、特に好ましくは、0.1〜40重量%である。
【0101】
・混合物の全体における式II〜VIで表される化合物の割合は、10〜80重量%である。
【0102】
・また、
【0103】
【化18.1】

は、好ましくは、
【0104】
【化18.2】

である。
【0105】
・媒体は、式II、III、IV、Vおよび/またはVIの化合物を含む。
【0106】
・Rは、直鎖で2〜7個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルである。
【0107】
・媒体は、本質的に、式I、IAおよびII〜VIで表される化合物よりなり、ただし、本質的にとは50重量%以上を意味する。
【0108】
・媒体は、一般式XIII〜XIXからなる以下の群より好ましくは選ばれる化合物を更に含む。
【0109】
【化19】


式中、RおよびXは、上で示される意味を有する。Xは、好ましくは、FまたはClを表す。式XIII〜XIXで表される化合物の割合は、好ましくは、0.05〜30重量%、特に、1〜25重量%である。
【0110】
・媒体は、好ましくは、5〜35重量%の化合物IVaを含む。
【0111】
・媒体は、好ましくは、XがFまたはOCFを表す式IVaの1、2または3種類の化合物を含む。
【0112】
・媒体は、好ましくは、式IIa〜IIgの1種類以上の化合物を含む。
【0113】
【化20】

式中、Rは、上で示される意味を有する。式IIa〜IIgの化合物中において、Rは、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルおよびn−ペンチルを表す。
【0114】
・重量比IまたはI+IA:(II+III+IV+V+VI)は、好ましくは、1:10〜10:1である。
【0115】
・媒体は、本質的に、一般式IAおよびI〜XIXからなる群より選ばれる化合物よりなる。
【0116】
・Xがフッ素を表しRがCH、C、n−C、n−Cまたはn−C11を表す式IVb、IVcおよび/またはIVdの化合物の、混合物の全体における割合は、2〜25重量%、特には、2〜20重量%である。
【0117】
・媒体は、好ましくは、Rがメチルを表す式II〜VIの化合物を含む。本発明による媒体は、特に好ましくは、以下の式の化合物を含む。
【0118】
【化21】


・媒体は、好ましくは、式D−1〜D−4の1種類または2種類以上の、好ましくは、1種類または2種類以上のジオキサン化合物を含む。
【0119】
【化22】


式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0120】
本発明の混合物中でのジオキサン化合物D−1〜D−4の割合は、好ましくは、0〜40重量%、特に、5〜35重量%および非常に特に好ましくは8〜30重量%である。
【0121】
・媒体は、式Z−1〜Z−10の1種類または2種類以上の2環化合物を更に含む。
【0122】
【化23.1】

【0123】
【化23.2】

式中、R1aおよびR2aは、それぞれ互いに独立に、H、CH、Cまたはn−Cを表す。alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子を有する直鎖または分岐したアルキル鎖を表す。alkenylは、2〜7個の炭素原子を有する直鎖のアルケニルを表す。Rは、上で示される意味を有する。化合物Z−6およびZ−7中において、Rは、好ましくは、直鎖のアルキルまたはアルケニルを表す。
【0124】
前記の2環化合物のうち、式Z−1、Z−2、Z−5、Z−6およびZ−8の化合物が特に好ましい。
【0125】
・媒体は、式P−1からP−4のピラン環を有する1種類または2種類以上の化合物を更に含む。
【0126】
【化24】


式中、R、XおよびYは、請求項4で示される意味を有する。
【0127】
本発明の混合物中における式P−1〜P−4の1種類以上のピラン化合物の割合は、好ましくは2〜30重量%、特には、5〜20重量%である。
【0128】
・媒体は、式AN1〜AN11の1種類または2種類以上の融合した環構造を有する化合物を更に含む。
【0129】
【化25.1】

【0130】
【化25.2】


式中、Rは、上で示される意味を有する。
【0131】
本発明の混合物中における式AN1〜AN11の化合物の割合は、好ましくは、1〜20重量%である。
【0132】
・本発明の混合物は、75℃を越える透明点および2.5V未満の閾値を有すると言う事実により、特に、区別される。
【0133】
たとえ比較的少ない量であっても式IおよびIAの化合物を、従来の液晶材料、しかしながら特に式II、III、IV、Vおよび/またはVIの1種類以上の化合物と混合することにより、結果として閾電圧が著しく低下され、同時に広い範囲でのネマチック相および低いスメクチック−ネマチック転移温度が観測され、貯蔵寿命が改良されることが判明した。同時に、混合物は、UVに曝露した際のVHRに対し非常に優れる値を示す。
【0134】
用語「アルキル(alkyl)」または「アルキル(alkyl)」は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルキル基を網羅し、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルの直鎖基である。1〜6個の炭素原子を有する基が一般に好ましい。
【0135】
用語「アルケニル(alkenyl)」は、2〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルケニル基を網羅し、特に直鎖基である。とりわけ好ましいアルケニル基は、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニル、C−C−4−アルケニル、C−C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特にC−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニルおよびC−C−4−アルケニルである。好ましいアルケニル基の例としては、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル等を挙げることができる。5個以下の炭素原子を有する基が一般に好ましい。
【0136】
用語「フルオロアルキル(fluoroalkyl)」は、好ましくは、末端にフッ素を有する直鎖基、即ち、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを網羅する。しかしながら、フッ素の他の置換位置を除外するものではない。
【0137】
用語「オキサアルキル(oxaalkyl)」または「アルコキシ(alkoxy)」は、好ましくは、式C2n+1−O−(CHの直鎖基を網羅する。但し、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6で、mは0も表す場合がある。好ましくは、nは1でmは1〜6であるか、mが0でnが1〜3である。
【0138】
とXの意味を適切に選択することにより、アドレス時間、閾電圧、透過特性曲線の急峻性等を所望の様式に修正することができる。例えば、1E−アルケニル基、3E−アルケニル基、2E−アルケニルオキシ基などを使用すると、アルキルまたはアルコキシ基と比較して、一般により短いアドレス時間、ネマチック性向の改善、および弾性定数k33(ベンド)とk11(スプレイ)のより高い比率を達成することができる。4−アルケニル基、3−アルケニル基等は、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、一般に低い閾電圧およびより低いk33/k11値を与える。
【0139】
−CHCH−基は、単結合の場合と比較して、一般により高いk33/k11値を与える。k33/k11がより高いと、例えば、90°ねじれのTNセルにおいてよりなだらかな透過曲線(グレイスケールを達成するため)とすることが容易になり、STN、SBEおよびOMIセルにおいては、より急峻な透過曲線(より大きな時分割駆動)が容易になり、また逆も可能である。kの値が高くなるほど、応答時間を速くできる。
【0140】
式I、IAおよびII+III+IV+V+VIの化合物の最適な混合比は、所望の特性、式I、IA、II、III、IV、Vおよび/またはVIの成分の選択、および存在する場合もある他の成分の選択に、実質上依存する。
【0141】
前述の与えられた範囲内での適切な混合比は、場合ごとに容易に決めることができる。
【0142】
本発明による混合物中の式IA、I〜XIIの化合物の総量は、決定的なものではない。したがって、混合物は、様々な特性の最適化のために、さらに1種類以上の成分を含むことができる。しかしながら、式IA、I〜XIXの化合物の総量が多くなるほど、アドレス時間および閾電圧に対する観察される効果は大きくなる。
【0143】
特に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、Xが、F、OCF、OCHF、OCH=CF、OCF=CFまたはOCF−CFHである式II〜VI(好ましくは、式II、IIIおよび/またはIV)の化合物を含む。式IおよびIAの化合物との好ましい相乗効果により、特に有利な特性が得られる。特に、式I、IA、II〜VIおよびD−1、D−2、D−3およびD−4の化合物を含む混合物は、閾電圧が低いことで特徴付けられる。
【0144】
本発明による媒体で使用できる、式I、IAおよびII〜XIXのそれぞれの化合物および其の下位の式の化合物の調製方法は公知であるか、または公知の方法に類似の方法で調製できる。
【0145】
偏光板、電極基板および表面処理された電極を備える本発明によるMLCディスプレイの構成は、この型のディスプレイの従来の構成に対応する。「従来の構成」という用語は、ここでは広い意味で用いられ、MLCディスプレイに関する全ての誘導および変形を網羅し、特に多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子を含む。
【0146】
しかしながら、本発明によるディスプレイと従来のツイストネマチックセルに基づくディスプレイとの大きな相違点は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0147】
本発明に従って使用できる液晶混合物は、それ自体公知の方法で調製される。一般に、より少ない量で使用される成分の所望の量を、主要な組成を構成する成分中で、好ましくは加温して溶解する。さらに、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノール等の有機溶媒と液晶成分溶液を混合し、完全に混合後、例えば蒸留によって溶媒を再び除去することも可能である。
【0148】
誘電体は、当業者に公知で文献記載の添加剤、例えば、チバ社製のTinuvin(登録商標)のようなUV安定剤、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤などのようなものをさらに含んでもよい。例えば0〜15%の多色性色素またはキラルドーパントを加えることができる。適切な安定剤およびドーパントは以下の表Cおよび表Dに示されている。
【0149】
Cは結晶状態、Sはスメクティック相、ScはスメクティックC相、Nはネマチック相およびIはアイソトロピック相を表す。
【0150】
10は、10%透過(基板表面に垂直な視角)の電圧を表す。tonはスイッチオン時間を表し、toffはスイッチオフ時間を表し、V10の値の2倍に対応する動作電圧における時間を表す。Δnは光学異方性を表わす。Δεは、誘電異方性(Δε=ε−ε、ここでεは分子軸に平行な誘電率、εは其れに垂直の誘電率を表す)を表わす。電気光学的データは、特に別に述べない限り、20℃において第1次透過極小(即ち、0.5μmのd・Δn値)でTNセル中において測定する。光学的データは、特に別に述べない限り、20℃で測定する。
【0151】
本出願および以下に示す例において、液晶化合物の構造は頭文字で示されており、その化学式への変換は以下の表AおよびBに従って行われる。全ての基C2n+1およびC2m+1は、nおよびm個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖のアルキル基である。nおよびmは整数で、好ましくは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を表す。表Bのコードは、それ自体で明らかである。表Aには、親構造にかかわる頭文字のみが示されている。それぞれの場合において、この親構造の頭文字の後に、ダッシュにより分離されて、置換基R1*、R2*、L1*およびL2*のためのコードが続く。
【0152】
【表1】

好ましい混合物成分を、表Aおよび表Bに示す。
【0153】
<表A>
【0154】
【表2.1】

【0155】
【表2.2】

【0156】
【表2.3】


<表B>
【0157】
【表3.1】

【0158】
【表3.2】

【0159】
【表3.3】

【0160】
【表3.4】

【0161】
【表3.5】

【0162】
【表3.6】


特に好ましくは、液晶混合物は、式IおよびIAの化合物に加え、少なくとも1、2、3または4種類以上の表Bの化合物を含む。
<表C>
表Cは、一般に本発明による混合物に添加される使用可能なドーパントを示す。混合物は、好ましくは0〜10重量%、特には0.01〜5重量%、特に好ましくは、0.01〜3重量%のドーパントを含む。
【0163】
【表4.1】

【0164】
【表4.2】

【0165】
【表4.3】


<表D>
例えば本発明の混合物に、0〜10重量%の量で添加することができる安定剤を以下に示す。
【0166】
【表5.1】

【0167】
【表5.2】

【0168】
【表5.3】

【0169】
【表5.4】

【0170】
【表5.5】

【0171】
【表5.6】

【実施例】
【0172】
以下の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。以上および以下において、パーセンテージは質量パーセントである。温度はすべて摂氏で示される。m.p.は融点を表わし、cl.p.は透明点を表わす。さらに、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクティック相、およびIはアイソトロピック相を表す。これらの記号間のデータは相転移温度を表す。Δnは光学異方性を表わし、nは屈折率を表す(589nm、20℃)。流動粘度ν20(mm/sec)および回転粘度γ(mPa・s)は、それぞれ20℃で決定した。
【0173】
特に他に明記しない限り、用途中の全ての濃度は重量%で示されており、対応する混合物または混合物の成分に関する。全ての物理的特性は、「メルク液晶、液晶の物理的物性」(1997年刊11月、独国Merck KGaA社)に従って決定され、特に他に明記しない限り、20℃で行なう。Δnは589nmで、Δεは1kHzで決定される。
<混合物例>
<例M1>
【0174】
【表6】

<例M2>
【0175】
【表7】

<例M3>
【0176】
【表8】



<例M4>
【0177】
【表9】

<例M5>
【0178】
【表10】

<例C1>
【0179】
【表11】


<例M6〜M8>
【0180】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される1種類以上の化合物と、式IAで表される1種類以上の化合物とを含むことを特徴とする極性化合物混合物系液晶媒体。
【化1】


【化2】

(式中、RおよびR1Aは、それぞれ互いに独立に、ハロゲン化されているかまたは置換されていない1〜15個の炭素原子を有するアルキルまはたアルコキシ基を表し、但し、加えて、これらの基の1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、
【化3】

−CH=CH−、−O−、−CO−O−、−CFO−、−OCF−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、
XおよびXは、それぞれ互いに独立に、F、Cl、CN、SF、SCN、NCS、6個以下の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、
は、a)1,4−シクロヘキセニレンまたは1,4−シクロヘキシレン基で、1または2個の隣接していないCH基が−O−または−S−で置き換えられていてもよく、
c)1,4−フェニレン基で、1または2個のCH基がNで置き換えられていてもよく、
c)ピペリジン−1,4−ジイル、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フェナントレン−2,7−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルの群からの基を表し、
但し、a)、b)およびc)の基は、ハロゲン原子によって、1または多置換されていてもよく、
は、−CO−O−、−O−CO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CHCH−、−(CH−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CH=CH−、−C≡C−または単結合を表し、
〜Lは、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、および
nは、0、1または2を表す。)
【請求項2】
式I−1〜I−10で表される1または2種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の液晶媒体。
【化4.1】


【化4.2】

(式中、Rは請求項1で示される意味である。)
【請求項3】
式IA−1〜IA−16で表される1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1または2記載の液晶媒体。
【化5.1】

【化5.2】

【化5.3】

【化5.4】

(式中、R1AおよびXは請求項1で示される意味である。)
【請求項4】
一般式II〜VIからなる群より選ばれる1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の液晶媒体。
【化6】

(式中、Rは、それぞれ9個以下の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、
は、F、Cl、6個以下の炭素原子を有するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化オキサアルキル、ハロゲン化アルケニルオキシまたはハロゲン化アルコキシを表し、
は、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−、−C−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−CFO−または−OCF−を表し、
〜Yは、それぞれ互いに独立して、HまたはFを表し、
rは、0または1を表す。)
【請求項5】
式Eで表される1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の液晶媒体。
【化7】



(式中、Rは請求項4で示される意味である。)
【請求項6】
式IIa〜IIgで表される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の液晶媒体。
【化8.1】

【化8.2】


(式中、Rは請求項4で示される意味である。)
【請求項7】
式D−1〜D−4で表される1種類以上のジオキサン化合物を更に含むことを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の液晶媒体。
【化9】

(式中、Rは請求項4で示される意味である。)
【請求項8】
前記混合物の全体における式Iで表される化合物の割合は、0.01〜30重量%であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか記載の液晶媒体。
【請求項9】
前記混合物の全体における式IおよびIAで表される化合物の割合は、少なくとも10重量%であることを特徴とする請求項1ないし8いずれか記載の液晶媒体。
【請求項10】
電気光学的目的のための、請求項1ないし9いずれか記載の液晶媒体の使用。
【請求項11】
請求項1ないし9いずれか記載の液晶媒体を備える電気光学的液晶ディスプレイ。

【公表番号】特表2008−502753(P2008−502753A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515867(P2007−515867)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006427
【国際公開番号】WO2005/123880
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】