説明

液晶媒体

【課題】優れた液晶媒体を提供する。
【解決手段】本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体に関する。


(式中、R、RおよびX1〜12は、請求項1に示される意味を有する。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶媒体(LC媒体)、電気光学的目的のためのその媒体の使用、およびこの媒体を備えるLCディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は、印加電圧によって物質の光学的性質を変化させることができるため、主に表示装置の中の誘電体として使用される。液晶に基づいた電気光学装置は、当業者に極めて公知であり、種々の効果に基づくことができる。そのような装置の例として、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形:Deformation of Aligned Phases)セル、ゲスト/ホストセル、捩れネマチック構造を有するTNセル、STN(スーパーツイストネマチック)セル、SBE(超複屈折効果:Superbirefringence Effect)セルおよびOMI(光学モード干渉:Optical Mode Interference)セルが挙げられる。最も一般的な表示装置は、Schadt−Helfrich効果に基づく、ツイストネマチック構造を有する。
【0003】
液晶材料としては、良好な化学的および熱的安定性を有すると共に、電場と電磁線放射に対しても優れた安定性を有することが必要である。さらに、液晶材料は低粘度であり、セル中で、アドレス時間が短く、閾電圧が低くおよびコントラストが高いものでなければならない。
【0004】
さらに、液晶材料は、通常の動作温度において、即ち、室温以上または室温以下の出来る限り広い範囲において、適切な中間相、例えば前述のセル用のネマチック中間相またはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は通常、複数成分の混合物として使用されるため、成分が互いに容易に混和することが重要である。さらに導電性、誘電異方性および光学異方性のような特性は、セルの型および用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。 例えば、ツイストネマチック構造を有するセル向けの材料は、正の誘電異方性および低い導電率を有していなければならない。
【0005】
例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリックス型液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的低い複屈折率、非常に高い比抵抗、優れたUVおよび温度安定性、および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。
【0006】
マトリックス型液晶ディスプレイは公知である。個々のピクセルのそれぞれのスイッチングに使用することができる非線形素子の例は、アクティブ素子(つまりトランジスター)である。そして使用される用語「アクティブマトリックス」は、2つの区別される型に分けられる。
【0007】
1.基板としてのシリコンウエハー上のMOS(Metal Oxide Semiconductor、金属酸化物半導体)または他のダイオード。
【0008】
2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスター(Thin−Film Transistor、TFT)。
【0009】
基板材料として単結晶シリコンを使用すると、色々な部品ディスプレイのモジュール組み立て品の場合であっても接続部での問題が生じるため、ディスプレイの大きさが制限される。
【0010】
好適であってより有望な第2の型の場合には、TN効果が通常、電気光学的効果として使用される。区別される2つの技術がある。即ち、例えばCdSeのように化合物半導体を含むTFTと、多結晶またはアモルファスシリコンに基づいたTFTとである。後者の技術について、世界的に集中した研究がなされている。
【0011】
TFTマトリックスは、ディスプレイの1つのガラス板の内面に形成され、もう一方のガラス板は、内面に透明な対向電極を有する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも適用できる。このディスプレイでは、フィルター素子がスイッチング可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置される。
【0012】
TFTディスプレイは、通常、透過光に対して直交した偏光板を備えたTNセルを作動させ、バックライトで照らされる。
【0013】
ここで用語「MLCディスプレイ」は、集積非線形素子を備えた全てのマトリックスディスプレイも含む。即ち、アクティブマトリックスに加えて、バリスターまたはダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal)のような受動型素子を備えたディスプレイも含む。
【0014】
この型のMLCディスプレイは、特にテレビ用途(例えばポケット・テレビ)、またはコンピュータ用(ラップトップ)および自動車または航空機内で使用される高度情報表示装置用途に適している。コントラストの角度依存性と応答時間の問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題がある[TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.およびSHIMIZU,H.、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第A210−288号、第141ff頁(非特許文献1)およびSTROMER,M.、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第145ff頁(非特許文献2)参照]。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化し、また、残像消去の問題も生じ得る。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命に全体に渡って低下するので、許容される耐用年数を得るためには、高い(初期)抵抗を有することが非常に重要である。特に、低電圧用混合物の場合には、高い抵抗値を達成することは従来不可能であった。さらに、温度の上昇および加熱および/またはUV照射後に、比抵抗の低下が可能な限り小さいことも重要である。また、先行技術による混合物の低温特性も特に良くない。低温であっても、結晶および/またはスメクティック相が生じないことが要求され、さらに、粘性の温度依存性も可能な限り低いことが要求される。よって、先行技術のMLCディスプレイは今日の必要条件を満たさない。
【0015】
バックライトを使用する液晶ディスプレイ、即ち、透過型および必要により半透過型動作に加えて、反射型液晶ディスプレイも特に興味をもたれている。これらの反射型液晶ディスプレイは情報表示装置のために周囲光を使用する。そのため、同じサイズと解像度を有するバックライト液晶ディスプレイより、消費エネルギーが著しく少ない。TN効果は非常によいコントラストによって特徴付けられるので、このタイプの反射ディスプレイは、明るい周囲状況下で容易に読むことができる。これは、例えば携帯時計およびポケット計算機に使用されているような単純な反射TNディスプレイとしてすでに知られている。しかしながら、この原理はまた、例えばTFTディスプレイのように高品質およびより高解像度のアクティブマトリックス駆動ディスプレイに適用することができる。ここで、通常慣用型である透過TFT−TNディスプレイで既に使用されるように、低複屈折率(Δn)の液晶を使用することが、低い光学遅延(d・Δn)を達成するために必要である。この低い光学遅延により、通常は、コントラストの視野角依存性が許容できる程度に低くなる(特許文献1:独国特許第3022818号明細書参照)。反射ディスプレイでは、光が通過する有効な層の厚さは、同じ層厚を有する透過ディスプレイに比べて反射ディスプレイでは約2倍になるので、低複屈折率の液晶の使用は、透過ディスプレイよりもさらに重要である。
【0016】
したがって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲、低温でも短い応答時間および低い閾電圧を有しており、これらの不都合を有していないか、有していたとしてもより少ない程度であるMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。
【0017】
TN(Schadt−Helfrich)セルでは、セル中で次の利点を容易にする媒体が望まれる。
−拡大されたネマチック相範囲(特に、低い温度までの)
−極度に低い温度でのスイッチ能力(屋外用途、自動車、航空電子工学)
−紫外線照射に対する増大された抵抗(より長い寿命)
−低い閾電圧
先行技術から入手可能な媒体では、これらの利点を、同時に他のパラメーターを保持しながら達成することはできない。
【0018】
スーパーツイスト型(STN)セルの場合には、より大きな時分割駆動および/またはより低い閾電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能にする媒体が望まれる。この目的のために、利用可能なパラメーターの範囲(透明点、スメクティック−ネマチックの相転移または融点、粘度、誘電パラメーター、弾性パラメーター)を一層広げることが、至急望まれている。
【0019】
特に、TVおよびビデオ用途(例えば、LCD−TV、モニター、PDA、ノートブック、ゲームコンソール)向けのLCディスプレイの場合、応答時間が著しく短縮されていることが望まれる。このためには、LC媒体が非常に低い回転粘度を有していることが要求される。しかしながら、先行技術で使用される化合物で回転粘度を低下させると、透明点が好ましくなく低下したり、LC媒体の複屈折率が減少することがしばしば生じる。
【特許文献1】独国特許第3022818号明細書
【非特許文献1】TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.およびSHIMIZU,H.、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第A210−288号、第141ff頁
【非特許文献2】STROMER,M.、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第145ff頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記の不具合を有していないか、有していても低減されており、および好ましくは速い応答時間および低い回転粘度を有し、高い透明点および高い複屈折率を同時に有する媒体、特にこの型のMLC、TNまたはSTNディスプレイ用の媒体を提供することを目的とする。さらに、そのLC媒体は、高い誘電異方性および低い閾電圧を有していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
ここで、この目的は、式Iの1種類以上の化合物を含むLC媒体を使用することで、達成できることが見出された。式Iの化合物により、上で示される望ましい特性を有する混合物が結果として得られる。
【0022】
本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体に関する。
【0023】
【化1】



式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、ハロゲン化されているかまたは置換されていない炭素数1〜15のアルキルまはたアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基の1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CFO−、−CH=CH−、
【0024】
【化2】

−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、
1〜12は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、ただし、基X1〜12の少なくとも1つはFを表す。
【発明の効果】
【0025】
驚くべきことに、式Iの化合物は、有利な回転粘度(γ)/透明点比を有することが見出された。よって、本発明の媒体は、低いγおよび高い透明点の液晶混合物を達成するのに特に適している。また、式Iの化合物は高い複屈折率、および、例えば比較的低い融点、広いネマチック相、狭いか存在しないスメクチック相および低温においてLC混合物から結晶化する傾向が低いという良好な低温安定性(LTS)などの良好なLC相特性を示す。式Iの化合物を含む本発明のLC媒体は、低い回転粘度、速い応答時間、比較的高い透明点、高いLTS、高い正の誘電異方性、高い複屈折率および広いネマチック相の範囲を有する。よって、本発明の媒体は、TVおよびビデオの用途分野に特に適する。また、実質的に誘電的に中性な式Iの化合物を使用することにより、本発明のLC媒体中におけるイオン性不純物の発生が低減され、よって「画像スティッキング」と呼ばれるような関連する障害が低減される。加えて、式Iの化合物は、本発明のLC媒体において、UV安定性および電圧保持率(HR)に対し正の効果を有する。
【0026】
式Iの化合物は、広範囲の用途分野を有する。置換基の選択に応じて、これらの化合物は、液晶媒体を主に構成する基礎材料となり得るが、他に分類される化合物からの液晶基礎材料を式Iの化合物に加えることもでき、例えば、この型の誘電体の誘電的および/または光学的異方性を修正したり、および/またはそれの閾電圧および/または粘度を最適なものとする。
【0027】
式Iの化合物は、純粋な状態で無色であり、電気光学的な使用のために好ましい温度範囲で液晶中間相を形成する。これらの化合物は、化学的に、熱的に、および光に対して安定である。
【0028】
式Iの化合物は、文献(例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、Stuttgart市のような標準的な著作)に記載されるようなそれ自身は公知の方法により、公知のその反応に適する正確な反応条件により調製される。ここで、それ自身は公知で、ここで更に非常に詳細には述べていない変法も利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以上および以下において式中のRがアルキル基および/またはアルコキシ基を表している場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有しており、従って、好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシであり、さらに、メチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシまたはテトラデシルオキシを表す。
【0030】
オキサアルキルは、好ましくは、直鎖の2−オキサプロピル(即ちメトキシメチル)、2−(即ちエトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち2−メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0031】
がアルキル基を表しており、1個のCH基が−CH=CH−基で置き換えられている場合、これは直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、2〜10個の炭素原子を有している。従って、特に、ビニル、プロパ−1−または−2−エニル、ブタ−1−、−2−または−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−または−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−エニル、ヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−エニル、オクタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−または−7−エニル、ノナ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−エニル、デカ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−または−9−エニルを表す。
【0032】
がアルキルまたはアルケニル基を表し、それがハロゲンによって少なくとも1置換されている場合、この基は好ましくは直鎖であり、ハロゲンは好ましくはFまたはClである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくはFである。得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。1置換の場合、フッ素または塩素置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω位である。
【0033】
以上および以下の式において、Xは、好ましくは、F、Cl、1フッ素化または多フッ素化された炭素数1、2または3のアルキルまたはアルコキシ、1フッ素化または多フッ素化された炭素数2または3のアルケニルである。Xは、特に好ましくは、F、Cl、CF、CHF、OCF、OCHF、OCFHCF、OCFHCHF、OCFHCHF、OCFCH、OCFCHF、OCFCHF、OCFCFCHF、OCFCFCHF、OCFHCFCF、OCFHCFCHF、OCFCFCF、OCFCFCClF、OCClFCFCFまたはCH=CFであり、非常に好ましくはFまたはOCFである。
【0034】
次の条件を満たす式Iの化合物が特に好ましい。
−X、X、X、X、X10およびX12がHを表す。
−XおよびXは同時にはFを表さない。
−XおよびXは同時にはFを表さない。
−基X、X、X、X、XおよびX11の1つ、2つまたは3つはFを表す。
−基X、XおよびXの2つ以下はFを表す。
−基X、XおよびX11の2つ以下はFを表す。
−基X、XおよびXの1つおよび基X、XおよびX11の1つがFを表し、ただし、これらの基は同一のフェニル環には存在していない。
−基X、XおよびXの2つまたは基X、XおよびX11の2つがFを表す。
【0035】
式Iの特に好ましい化合物は、以下のサブ式のものである。
【0036】
【化3.1】

【0037】
【化3.2】

式中、RおよびRは、式Iで示される意味を有する。RおよびRは、好ましくは、直鎖で炭素数1〜8のアルキルを表す。
【0038】
さらに好ましい態様を以下に示す。
【0039】
−媒体は、式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0040】
【化4】

式中、
1〜4は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
は、ハロゲン化されているかまたは置換されていない炭素数1〜15のアルキルまはたアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基の1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CFO−、−CH=CH−、
【0041】
【化5】

−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、
は、F、Cl、CN、SF、SCN、NCS、炭素数6までのハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、および
【0042】
【化6】

−式IIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0043】
【化7】


式中、RおよびXは上で示される意味を有する。好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFを表す。式IIaおよびIIbの化合物が、特に好ましい。
【0044】
−式IIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選ばれる。
【0045】
【化8】

式中、RおよびXは上で示される意味を有する。好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFを表す。式IIIaの化合物が、特に好ましい。
−媒体は、以下の式より選択される1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0046】
【化9】

式中、R、XおよびY1〜4は式IIおよびIIIで示される意味を有し、
は、−C−、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−または−OCF−を表し、式VおよびVIにおいては単結合も表し、式VおよびVIIIにおいては−CFO−も表し、および
rは、0または1を表す。
【0047】
−式IVの化合物は、好ましくは、以下の式より選ばれる。
【0048】
【化10】


式中、RおよびXは上で示される意味を有する。好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFまたはOCFを表す。
【0049】
−式Vの化合物は、好ましくは、以下の式より選ばれる。
【0050】
【化11.1】

【0051】
【化11.2】


式中、RおよびXは上で示される意味を有する。好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFを表す。
【0052】
−式VIの化合物は、好ましくは、以下の式より選ばれる。
【0053】
【化12】

式中、RおよびXは上で示される意味を有する。好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFを表す。
【0054】
−式VIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選ばれる。
【0055】
【化13.1】

【0056】
【化13.2】

式中、RおよびXは上で示される意味を有する。好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFを表す。
【0057】
−媒体は、以下の式より選ばれる1種類以上の化合物を含む。
【0058】
【化14】

式中、
は、上で示される意味を有し、
Lは、HまたはFを表し、
alkylは、炭素数1〜7のアルキルを表し、
R’は、炭素数1〜7のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシまたは炭素数2〜7のアルケニルを表し、および
alkenylおよびalkenylは、それぞれ互いに独立に、炭素数2〜7のアルケニルを表す。
【0059】
−式IX〜XIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0060】
【化15.1】

【0061】
【化15.2】


式中、alkylは、上で示される意味を有する。
【0062】
−媒体は、以下の式より選ばれる1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0063】
【化16】

式中、YおよびYは上で示される意味を有し、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、それぞれ炭素数9までのn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜8のアルキルを表す。
【0064】
−媒体は式XIIIの1種類以上の化合物を含み、式中、RおよびRの少なくとも一方は炭素数2〜7のアルケニルを表し、好ましくは、以下の式より選択されるものである。
【0065】
【化17】


式中、alkylは、上で示される意味を有する。
【0066】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を含む。
【0067】
【化18】

式中、
、XおよびY1〜4は、式IおよびIIIで示される意味を有し、
【0068】
【化19】

【0069】
【化20】

を表し、および
およびLは、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。
【0070】
−式XVおよびXVIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0071】
【化21.1】

【0072】
【化21.2】

式中、RおよびXは、上で示される意味を有する。好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFを表す。式XVおよびXVa〜XVdの特に好ましい化合物は、YがFを表し、YがHまたはF、好ましくはFを表すものである。
【0073】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を含む。
【0074】
【化22】

式中、RおよびRは上で示される意味を有し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜8のアルキルを表し、LはHまたはFを表す。
【0075】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を含む。
【0076】
【化23】

式中、RおよびRは上で示される意味を有し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、炭素数1〜8のアルキルを表し、LはHまたはFを表す。
【0077】
−媒体は、以下の式より選ばれる1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0078】
【化24.1】

【0079】
【化24.2】


式中、RおよびXは、それぞれ互いに独立に、上で示される意味の1つを有し、Y1〜4は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。Xは、好ましくは、F、Cl、CF、OCFまたはOCHFである。Rは、好ましくは、それぞれ炭素数8までのアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表す。
【0080】
−式XXIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0081】
【化25】

式中、RおよびXは上で示される意味を有する。好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFを表す。
【0082】
−媒体は、以下の式より選択される1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0083】
【化26】

式中、R、XおよびY1〜6は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
sは0または1を表し、
【0084】
【化27】

を表す。
【0085】
好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFを表す。
【0086】
−式XXIVの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0087】
【化28】

式中、R、XおよびYは、上で示される意味を有する。好ましくは、Rは炭素数1〜8のアルキルを表し、XはFを表し、YはFを表す。
【0088】
【化29】


は、好ましくは、
【0089】
【化30】

である。
【0090】
−Rは、炭素数2〜7の直鎖状アルキルまたはアルケニルである。
【0091】
−Xは、Fである。
【0092】
−媒体は、式Iの1種類、2種類またはそれ以上の化合物を含み、特に式Ia、IbまたはIcである。
【0093】
−媒体は、式Iの化合物を1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%含む。
【0094】
−媒体は、式I、II、III、IV、VI、IX〜XIIIおよびXXIから選ばれる化合物を含む。
【0095】
−混合物全体における式II、III、IV、VI、IX〜XIIIおよびXXIの化合物の割合は、40〜95質量%である。
【0096】
−媒体は、式IIおよび/またはIIIの化合物を10〜50質量%、特に好ましくは12〜40質量%含む。
【0097】
−媒体は、式IX〜XIIIの化合物を20〜70質量%、特に好ましくは25〜65質量%含む。
【0098】
−媒体は、式IVの化合物を4〜30質量%、特に好ましくは5〜20質量%含む。
【0099】
−媒体は、式VIの化合物を2〜30質量%、特に好ましくは3〜20質量%含む。
【0100】
−媒体は、式XXIの化合物を2〜30質量%、特に好ましくは2〜25質量%含む。
【0101】
たとえ比較的少ない量であっても式Iの化合物を、従来の液晶材料、しかしながら特に式II〜XXIVの1種類以上の化合物と混合することにより、結果として光安定性が著しく増加し複屈折率の値が低くなり、同時に広い範囲でのネマチック相および低いスメクチック−ネマチック転移温度が観測され、貯蔵寿命が改良されることが判明した。同時に、混合物は、非常に低い閾電圧およびUVに曝露した際のVHRに対し非常に優れる値を示す。
【0102】
用語「アルキル(alkyl)」または「アルキル(alkyl)」は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルの直鎖基を包含する。1〜6個の炭素原子を有する基が一般に好ましい。
【0103】
用語「アルケニル(alkenyl)」または「アルケニル(alkenyl)」は、2〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルケニル基、特に直鎖基を包含する。とりわけ好ましいアルケニル基は、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニル、C−C−4−アルケニル、C−C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特にC−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニルおよびC−C−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例としては、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル等を挙げることができる。5個までの炭素原子を有する基が一般に好ましい。
【0104】
用語「フルオロアルキル(fluoroalkyl)」は、好ましくは、末端にフッ素を有する直鎖基、即ち、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを包含する。しかしながら、フッ素の他の置換位置を除外するものではない。
【0105】
用語「オキサアルキル(oxaalkyl)」または「アルコキシ(alkoxy)」は、好ましくは、式C2n+1−O−(CHの直鎖基を包含する。但し、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6である。mは0を表してもよい。好ましくは、nは1でmは1〜6であるか、mが0でnが1〜3である。
【0106】
とXの意味を適切に選択することにより、アドレス時間、閾電圧、透過特性曲線の急峻性等を所望の様式に修正することができる。例えば、1E−アルケニル基、3E−アルケニル基、2E−アルケニルオキシ基などを使用すると、アルキルまたはアルコキシ基と比較して、一般により短いアドレス時間、ネマチック性向の改善、および弾性定数k33(ベンド)とk11(スプレイ)のより高い比率を達成することができる。4−アルケニル基、3−アルケニル基等は、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、一般に低い閾電圧およびより低いk33/k11値を与える。本発明の混合物は高いk値で特に特徴付けられ、よって、先行技術の混合物より極めて速い応答時間を有する。
【0107】
上述の式の化合物の最適な混合比は、所望の特性、上述の式の成分の選択、および存在してもよい他の成分の選択に、実質上依存する。
【0108】
上で示される範囲内での適切な混合比は、場合ごとに容易に決めることができる。
【0109】
本発明の混合物中の上述の式の化合物の総量は、決定的なものではない。したがって、混合物は、様々な特性の最適化のために、さらに1種類以上の成分を含むことができる。しかしながら、上述の式の化合物の総量が多くなるほど、混合物の特性について望まれる改善の観測される効果が、一般に大きくなる。
【0110】
特に好ましい実施形態において、本発明の媒体は、Xが、F、OCF、OCHF、OCH=CF、OCF=CFまたはOCF−CFHである式II〜VIII(好ましくは、II、III、IVおよびV、特にIIaおよびIIIa)の化合物を含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果により、特に有利な特性が得られる。特に、式I、IIaおよびIIIaの化合物を含む混合物は、閾電圧が低いことで特徴付けられる。
【0111】
本発明の媒体で使用できる上述の式およびそれのサブ式のそれぞれの化合物は公知であるか、公知の化合物に類似して調製できる。
【0112】
本発明は、また、この型の液晶媒体を含む例えばSTNまたはMLCディスプレイのような電気光学的ディスプレイ(外枠と共にセルを構成する2枚の平行な外板、各ピクセルをスイッチングするための外板上の集積非線形素子、およびセル中に配置されて正の誘電異方性および高い比抵抗を有するネマチック液晶混合物を備える。)、およびこれらの媒体の電気光学的目的のための使用に関する。
【0113】
本発明の液晶混合物により、利用できるパラメータの範囲を著しく広げることができる。透明点、低温における粘度、熱的およびUV安定性および高い光学異方性の達成可能な組み合わせは、先行技術による従来の材料より極めて優れている。
【0114】
本発明の混合物は、例えば携帯電話およびPDAのような携帯用の分野および低ΔnTFT分野に特に好適である。
【0115】
本発明の液晶混合物は、−20℃まで、好ましくは−30℃まで、特に好ましくは−40℃までネマチック相を保持しながら、70℃以上、好ましくは75℃以上の透明点が達成され、同時に90mPa・s以下、特に好ましくは60mPa・s以下の回転粘度γが可能で、応答時間の速い優れたMLCディスプレイを得ることができる。
【0116】
本発明の液晶混合物の誘電異方性Δεは、好ましくは+3以上、特に好ましくは+6以上である。加えて、混合物は、動作電圧が低いことで特徴付けられる。本発明の液晶混合物の閾電圧は、好ましくは1.6V以下である。本発明の液晶混合物の複屈折率Δnは、好ましくは0.08以上、特に好ましくは0.09以上、および好ましくは0.14以下、特に好ましくは0.12以下である。
【0117】
本発明の液晶混合物のネマチック相の範囲は、好ましくは少なくとも90℃の幅であり、特には少なくとも100℃の幅を有する。この範囲は、好ましくは、少なくとも−25℃から+70℃に及んでいる。
【0118】
言うまでもなく、本発明による混合物の成分を適切に選択することにより、他の有利な性質を保持しながら、より高い閾電圧においてより高い透明点(例えば100℃を超え)を達成できるか、またはより低い閾電圧においてより低い透明点を達成することも可能である。粘度の対応する上昇を僅かにとどめながら、より高いΔεと従ってより低い閾電圧を達成することも同様に可能である。本発明のMLCディスプレイは、好ましくは、グーチ・タリーの第1透過極小で動作させることが好ましい(C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Electron.Lett.、1974年、第10巻、第2〜4頁;C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Appl.Phys.、1975年、第8巻、第1575〜1584頁)。ここで、例えば特性線の高い急峻性およびコントラストの低視野角依存性(独国特許第3022818号明細書)のような特に好ましい電気光学的特性に加え、第2極小で類似するディスプレイと同じ閾電圧において、より小さな誘電異方性でも十分である。これにより、第1極小で本発明の混合物を使用することにより、シアノ化合物を含む混合物の場合に比べ、極めて高い比抵抗値を達成することができる。個々の成分とその質量比を適切に選択することにより、当業者は簡単なルーチンの方法によりMLCディスプレイのあらかじめ指定された層の厚さに必要な複屈折率を設定することができる。
【0119】
電圧保持率(HR)を測定[S.Matsumotoら、Liquid Crystals、1989年、第5巻、第1320頁;K.Niwaら、Proc.SID Conference、サンフランシスコ、1984年6月、第304頁、;G.Weberら、Liquid Crystals、1989年、第5巻、第1381頁]した結果、
【0120】
【化31】

のシアノフェニルシクロヘキサン類、または以下の式
【0121】
【化32】

のエステル類を式Iの化合物の代わりに含む本発明と類似した混合物に比べて、式Iの化合物を含む本発明の混合物の方が、UVの曝露によるHRの低下が著しく小さいことが示された。
【0122】
本発明の混合物の光安定性およびUV安定性は極めて優れている。即ち、これらの混合物は、光またはUVに暴露されてもHRの低下が著しく小さい。式Iの化合物の割合が低い(2質量%未満)場合においても、先行技術による混合物と比較して、6%以上も混合物のHRが増加する。
【0123】
偏光板、電極基板および表面処理された電極を備える本発明のMLCディスプレイの構成は、この型のディスプレイの普通の構成に対応する。「普通の構成」という用語は、ここでは広い意味で用いられ、MLCディスプレイに関する全ての誘導および変形を包含し、特に多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子を含む。
【0124】
しかしながら、本発明のディスプレイと従来のツイストネマチックセルに基づくディスプレイとの大きな相違点は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0125】
本発明で使用できる液晶媒体は、例えば式Iの1種類以上の化合物を式II〜XXIVの1種類以上の化合物または更なる液晶成分および/または添加剤と混合して、それ自体従来の方法で調製される。一般に、より少ない量で使用される成分の所望の量を、主要な組成を構成する成分中で、好ましくは加温して溶解する。さらに、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノールの有機溶媒中で液晶成分溶液を混合し、完全に混合後、例えば蒸留によって溶媒を再び除去することも可能である。
【0126】
誘電体は、当業者に公知で文献記載の添加剤、例えば、チバ社製のTinuvin(登録商標)のようなUV安定剤、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、ナノ粒子などのようなものをさらに含んでもよい。例えば0〜15%の多色性色素またはキラルドーパントを加えることができる。適切な安定剤およびドーパントは以下の表Cおよび表Dに示されている。
【0127】
本出願および以下に示す例において、液晶化合物の構造は頭文字で示されており、その化学式への変換は以下の表AおよびBに従って行われる。全ての基C2n+1およびC2m+1は、nおよびm個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖のアルキル基である。nおよびmは整数で、好ましくは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を表す。表Bのコードは、それ自体で明らかである。表Aには、親構造にかかわる頭文字のみが示されている。それぞれの場合において、この親構造の頭文字の後に、ダッシュにより分離されて、置換基R1*、R2*、L1*およびL2*のためのコードが続く。
【0128】
【表1】

【0129】
好ましい混合物成分を、表Aおよび表Bに示す。
【0130】
<表A>
【0131】
【表2】

<表B>
【0132】
【表3.1】

【0133】
【表3.2】


特に好ましくは、液晶混合物は、式Iの化合物に加え、少なくとも1、2、3または4種類以上の表Bの化合物を含む。
【0134】
<表C>
表Cは、一般に本発明による混合物に添加される使用可能なドーパントを示す。混合物は、好ましくは0〜10質量%、特には0.01〜5質量%、特に好ましくは、0.01〜3質量%のドーパントを含む。
【0135】
【表4.1】

【0136】
【表4.2】


<表D>
例えば本発明の混合物に、0〜10質量%の量で添加することができる安定剤を以下に示す。
【0137】
【表5.1】

【0138】
【表5.2】

【0139】
【表5.3】

【0140】
【表5.4】

【実施例】
【0141】
以下の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。
【0142】
以上および以下において、パーセンテージは質量パーセントである。温度はすべて摂氏で示される。m.p.は融点を表わし、cl.p.は透明点を表わす。さらに、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクティック相、およびIは等方相を表す。これらの記号間のデータは相転移温度を表す。さらに、
−Δnは589nmおよび20℃における光学異方性を表わし、
−γは20℃における回転粘度(mPa・s)を表わし、
−V10は透過(基板表面に垂直な視角)が10%変化するための電圧(V)を表し(閾電圧)、
−V90は透過(基板表面に垂直な視角)が90%変化するための電圧(V)を表し、
−Δεは20℃および1kHzにおける誘電異方性(Δε=ε//−ε、ここでε//は分子の長軸に平行な誘電率、εはそれに垂直な誘電率を表す)を表わし、
−HRは、UVおよび/または熱に曝露後の電圧保持率(%)を表す。
【0143】
電気光学的データは、特に別に述べない限り、20℃において第1極小(即ち、0.5μmのd・Δn値)でTNセル中において測定する。光学的データは、特に別に述べない限り、20℃で測定する。全ての物性は、「メルク液晶、液晶の物性」1997年11月、ドイツ国メルク社にしたがって測定され、、特に別に述べない限り、20℃で行う。
【0144】
<比較例1>
【0145】
【表6】

<比較例2>
【0146】
【表7】

<実施例1>
【0147】
【表8】

【0148】
比較例1および2の混合物と比較して、混合物は低い回転粘度を有しており、同時に、複屈折、透明点、誘電異方性および閾電圧の値は、事実上変化していない。
【0149】
<実施例2>
【0150】
【表9】

比較例1および2の混合物と比較して、この混合物は低い回転粘度を有しており、同時に、複屈折、透明点、誘電異方性および閾電圧の値は、事実上変化していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体。
【化1】

(式中、
およびRは、それぞれ互いに独立に、ハロゲン化されているかまたは置換されていない炭素数1〜15のアルキルまはたアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基の1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CFO−、−CH=CH−、
【化2】

−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、
1〜12は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、ただし、基X1〜12の少なくとも1つはFを表す。)
【請求項2】
、X、X、X、X10およびX12はHを表し、
およびXは同時にはFを表さず、および
およびXは同時にはFを表さない
ことを特徴とする請求項1記載の液晶媒体。
【請求項3】
以下の式より選ばれる1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1または2記載の液晶媒体。
【化3】

(式中、RおよびRは、請求項1で示される意味を有する。)
【請求項4】
以下の式より選ばれる1種類以上の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶媒体。
【化4】

(式中、
1〜4は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
は、ハロゲン化されているかまたは置換されていない炭素数1〜15のアルキルまはたアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基の1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CFO−、−CH=CH−、
【化5】

−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、
は、F、Cl、CN、SF、SCN、NCS、炭素数6までのハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、および
【化6】

【請求項5】
以下の式より選ばれる1種類以上の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶媒体。
【化7】



(式中、
、XおよびY1〜4は請求項4で示される意味を有し、
は、−C−、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−または−OCF−を表し、式VおよびVIでは単結合も表し、式VおよびVIIIでは−CFO−も表し、および
rは、0または1を表す。)
【請求項6】
以下の式より選ばれる1種類以上の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液晶媒体。
【化8.1】

【化8.2】

(式中、
は、請求項3で示される意味を有し、
Lは、HまたはFを表し、
alkylは、炭素数1〜7のアルキルを表し、
R’は、炭素数1〜7のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシまたは炭素数2〜7のアルケニルを表し、および
alkenylおよびalkenylは、それぞれ互いに独立に、炭素数2〜7のアルケニルを表す。)
【請求項7】
以下の式の1種類以上の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液晶媒体。
【化9】

(式中、RおよびRは請求項1で示される意味を有し、ただし、基RおよびRの少なくとも一方は、炭素数2〜7のアルケニルを表す。)
【請求項8】
以下の式の1種類以上の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶媒体。
【化10】

(式中、RおよびXは、請求項4で示される意味を有する。)
【請求項9】
1〜30質量%の式Iの化合物と、
10〜50質量%の式IIおよび/またはIIIの化合物と、
20〜70質量%の式IX〜XIIIの化合物と、
4〜30質量%の式IVの化合物と、
2〜30質量%の式VIの化合物と、
2〜30質量%の式XXIの化合物と
を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液晶媒体。
【請求項10】
電気光学的目的のための請求項1〜9のいずれかに記載の液晶媒体の使用。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の液晶媒体を備える電気光学的液晶ディスプレイ。
【請求項12】
請求項1で定義される式Iの化合物の1種類以上を、請求項4〜8のいずれかに記載の化合物の1種類以上と、または更なる液晶化合物および/または添加剤と混合することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の液晶媒体の調製方法。

【公開番号】特開2008−95110(P2008−95110A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265840(P2007−265840)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】