説明

液晶性分子モータ

【課題】光で撹拌可能な機能性流体あるいは液晶の新しい光配向膜として応用可能な、光照射により一方向に回転し、液晶性を示す分子モータを提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される液晶性分子モータ。


(式中、Xはフェニル基又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は4−アルコキシフェニルエチニル基などの液晶基を示す。ただし、R〜Rの全てが水素原子である場合を除く。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射により一方向に回転し、かつ液晶性を示す化合物である液晶性分子モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運動能を有する単一分子をいわゆる分子モータとして利用することが提案されている。一般に、分子モータとして利用できる分子は、外部エネルギを運動に変換できること、及び一方向の運動を実現できることの2点を満たすことが求められている。そして、このような条件を満たす低分子有機化合物としては、(3R,3’R)−(P,P)−トランス−1,1’,2,2’,3,3’,4,4’−オクタヒドロ−3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェナントリジエン等が知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
また最近では、このような分子モータを液晶中にドープして光照射することで、巨視的な回転挙動が観察されることが報告されている(非特許文献2参照)。この回転挙動は、液晶の流動性と配向性とから生じる協同効果に起因する。このため、僅か数質量%の分子モータの光誘起回転により液晶全体の回転が発現される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】N. Koumura, R.W.J. Zijlstra, R.A. van Delden, N. Harada and B.L. Feringa: Nature 401, 152 (1999).
【非特許文献2】R. Eelkema, M.M. Pollard, J. Vicario, N. Katsonis, B.S. Ramon, C.W.M. Bastiaansen, D.J. Broer and B.L. Feringa: Nature 440, 163 (2006).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献2のように、分子モータを液晶中にドープした場合に発現される回転力は非常に小さく、実用には向かないものであった。ここで、分子モータ自身に液晶性を付与すれば、分子モータを液晶中にドープする場合よりも遥かに大きな回転力を光誘起できると考えられるが、そのような化合物はこれまで提案されていなかった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、液晶性を示す分子モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、特定の化合物が液晶性を示す分子モータ(液晶性分子モータ)として利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のとおりである。
【0008】
(1) 下記一般式(1)で表される液晶性分子モータ。
【化1】

(式中、Xはフェニル基又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は液晶基を示す。ただし、R〜Rの全てが水素原子である場合を除く。)
【0009】
(2) 前記液晶基が下記式(2)〜(9)で表される少なくとも1種である上記(1)記載の液晶性分子モータ。
【化2】

(式中、Yは水素原子又はメチル基を示し、nは1〜12の整数を示す。)
【0010】
(3) 前記一般式(1)中、R,Rが液晶基であり、R〜Rが水素原子である上記(1)又は(2)記載の液晶性分子モータ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液晶性を示す分子モータ(液晶性分子モータ)を提供することができる。このような液晶性分子モータは、光で撹拌可能な機能性流体、あるいは液晶の新しい光配向膜として応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】液晶性分子モータのサンプルの加熱過程における液晶相を示す図である。
【図2】液晶性分子モータのサンプル溶液に波長366nmの紫外光を照射する前後における紫外可視吸収スペクトルを示す図である。
【図3】液晶性分子モータのサンプル溶液の光定常状態における紫外可視吸収スペクトルと、室温で1分間放置後における紫外可視吸収スペクトルとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る液晶性分子モータは、下記一般式(1)で表される。
【化3】

【0014】
一般式(1)中、Xはフェニル基又は炭素数1〜12のアルキル基を示す。このXの種類を変えることで、本発明に係る液晶性分子モータの回転速度を制御することが可能である。すなわち、Xがメチル基である場合には回転速度が速くなり、フェニル基である場合には回転速度が遅くなる。
【0015】
一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は液晶基を示す。ただし、液晶性を示す必要があることから、R〜Rの全てが水素原子である場合を除く。液晶基の置換位置は、特に限定されるものではなく、1箇所であっても2箇所以上であってもよい。その中でもR及びRの2箇所、R及びRの2箇所、Rの1箇所が好ましく、R及びRの2箇所がより好ましい。
【0016】
液晶基の種類も特に限定されるものではないが、下記式(2)〜(9)で表される少なくとも1種が好ましい。
【化4】

(式中、Yは水素原子又はメチル基を示し、nは1〜12の整数を示す。)
【0017】
このうち、液晶基が上記式(6)〜(9)で表されるものの場合、上記一般式(1)で表される化合物同士を重合させ、高分子化合物とすることができる。これにより、例えば高分子フィルム表面上において回転力を光誘起できることから、液晶の新しい光配向膜としての用途が期待できる。
【0018】
上記一般式(1)で表される化合物は、例えば下記の合成スキームに従って合成することができる。なお、式中のX、R〜Rは上記一般式(1)と同様である。
【化5】

【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例では、まず、以下の工程1〜9を経て液晶性分子モータとなるサンプル化合物を製造した。
【0020】
(工程1:(4S)−4−ベンジル−3−((2R)−2−メチル−3−ナフタレン−2−イル−プロピオニル)−オキサゾリジン−2−オンの合成)
【化6】

【0021】
−80℃下でTHF(100mL)中にLDA(26mmol)を生成した。THF(20mL)に(4S)−4−ベンジル−3−プロパノイル−1,3−オキサゾリジン−2−オン(5.0g,22mmol)を溶かした溶液を−80℃下で徐々に加え、2時間撹拌した。温度をゆっくりと0℃まで上げ、THF(20mL)に溶かした2−(ブロモメチル)ナフタレン(10g,45mmol)を加え、室温で一夜撹拌した。飽和NHCl溶液(200mL)で反応をクエンチした後、ジエチルエーテル(3×50mL)で抽出し、有機層をNaSOで脱水し、溶媒留去を行った。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=16:1で原料を流した後、ヘキサン:酢酸エチル=8:1)を用いて分取した後、ヘキサン及び酢酸エチルから再結晶を行うことにより、白色固体(4.1g,11mmol,51%)を得た。
【0022】
H NMR(300MHz,CDCl
δ:1.22−1.24(d,J=7.0Hz,3H),2.46−2.49(dd,J=13.6,9.2Hz,1H),2.80−2.87(dd,J=13.2,7.7Hz,1H),3.06−3.11(dd,J=13.6,3.3Hz,1H),3.30−3.37(dd,J=13.2,7.3Hz,1H),4.06−4.28(m,3H),4.64−4.72(m,1H),6.96−7.00(m,2H),7.18−7.21(m,3H),7.40−7.49(m,3H),7.27(s,1H),7.78−7.82(m,3H).
【0023】
(工程2:(2R)−2−メチル−3−ナフタレン−2−イル−プロピオン酸の合成)
【化7】

【0024】
THF及び水(4:1,125mL)の混合溶媒下に、工程1で合成した(4S)−4−ベンジル−3−((2R)−2−メチル−3−ナフタレン−2−イル−プロピオニル)−オキサゾリジン−2−オン(4.1g,11mmol)を加え、0℃に冷却した。H(46mL)を滴下し、5分間撹拌後、水(5mL)に溶解させたLiOH・HO(0.8g,17mmol)をゆっくりと加えた。2時間撹拌後、水(25mL)に溶解させたNaSO(6.0g)を加え、室温で1時間撹拌した。ジクロロメタン(3×100mL)で脱離成分等を抽出した後、水層に10%HCl(300mL)を加え、ジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。有機層をNaSOで脱水し、溶媒留去を行うことにより、白色固体(2.0g,9.3mmol,85%)を得た。
【0025】
H NMR(300MHz,CDCl
δ:1.21−1.24(d,J=7.0Hz,3H),2.81−2.93(m,2H),3.23−3.29(m,1H),7.32−7.35(dd,J=8.4,1.5Hz,1H),7.42−7.50(m,2H),7.65(s,1H),7.77−7.84(m,3H).
【0026】
(工程3:(R)−2−メチル−2,3−ジヒドロシクロペンタ[a]ナフタレン−1−オンの合成)
【化8】

【0027】
ジクロロメタン(150mL)の溶媒下に、工程2で合成した(2R)−2−メチル−3−ナフタレン−2−イル−プロピオン酸(1.5g,6.6mmol)、SOCl(5mL)、DMF(6滴)を加え、50℃で45分間熱還流した。反応終了後、室温まで冷却し、溶媒留去を行うことで黄透色液体を得た。次に、得られた黄透色液体を1,2−ジクロロエタン(300mL)に加え、0℃に冷却した。AlCl(21.g,16mmol)を素早く加え、45分間撹拌した。飽和NaHCO水溶液(500mL)を加えてクエンチし、ジクロロメタン(6×50mL)で抽出した。有機層をNaSOで脱水し、溶媒留去を行うことにより、黄透色液体(1.1g,5.7mmol,86%)を得た。
【0028】
H NMR(300MHz,CDCl
δ:1.37−1.39(d,J=7.0Hz,3H),2.77−2.87(m,2H),3.44−3.53(dd,J=16.0,8.1Hz,1H),7.49−7.52(d,J=8.4Hz,1H),7.53−7.58(m,1H),7.88−7.91(d,J=8.1Hz,1H),8.03−3.06(d,J=8.4Hz,1H),9.14−9.17(d,J=8.4Hz,1H).
【0029】
(工程4:1−(ヘキシロキシ)−4−ヨードベンゼンの合成)
【化9】

【0030】
DMF(200mL)の溶媒下に、1−クロロへキサン(16g,136mmol)、p−ヨードフェノール(24g,112mmol)、KCO(20g,145mmol)を加え、90℃で12時間熱還流した。室温に下げた後、飽和食塩水(100mL)を加え、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。有機層をNaSOで脱水し、溶媒留去を行った。カラムクロマトグラフィー(SiO,ヘキサン)で分取することにより、無色透明液体(30g,101mmol,90%)を得た。
【0031】
H NMR(300MHz,CDCl
δ:0.89(t,J=6.9Hz,3H),1.30−1.33(m,4H),1.42(dd,J=15.1,6.9Hz,2H),1.72−1.77(m,2H),3.89(t,J=6.6Hz,2H),6.65(td,J=6.2,3.7Hz,2H),7.52(td,J=6.0,3.7Hz,2H).
【0032】
(工程5:((4−ヘキシロキシ)フェニル)エチニル)トリメチルシランの合成)
【化10】

【0033】
THF(200mL)の溶媒下に、工程4で合成した1−(ヘキシロキシ)−4−ヨードベンゼン(27g,90mmol)、トリメチルシリルアセチレン(13g,135mmol),PPh(5.9g,23mmol)、CuI(0.9g,4.5mmol)、PdCl(PPh(3.1g,4.5mmol)、トリエチルアミン(100mL)を加え、80℃で12時間熱還流した。室温に下げた後、濾過し、1N HCl(200mL)で中和した。酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、有機層をNaSOで脱水し、溶媒留去を行った。カラムクロマトグラフィー(SiO,ヘキサン)で分取し、黄透色液体(14g,52mmol,58%)を得た。
【0034】
H NMR(300MHz,CDCl
δ:0.20(dd,J=17.0,7.8Hz,9H),0.89(s,3H),1.33(d,J=2.3Hz,4H),1.43(s,2H),1.76(d,J=7.3Hz,2H),3.94(dd,J=16.0,9.6Hz,2H),6.84(dd,2H),7.37(dd,2H).
【0035】
(工程6:1−エチニル−4−(ヘキシロキシ)ベンゼンの合成)
【化11】

【0036】
メタノール(100mL)の溶媒下に、工程5で合成した((4−ヘキシロキシ)フェニル)エチニル)トリメチルシラン(14g,52mmol)、KCO(8.3g,60mmol)を加え、80℃で12時間熱還流した。室温に下げた後、濾過し、溶媒留去を行った。カラムクロマトグラフィー(SiO,ヘキサン)で分取し、黄透色液体(7.5g,37mmol,70%)を得た。
【0037】
H NMR(300MHz,CDCl
δ:0.89(t,J=6.9Hz,3H),1.30−1.33(m,4H),1.42(dd,J=15.1,6.9Hz,2H),1.72−1.77(m,2H),3.01(s,1H),3.95(t,J=6.6Hz),6.85(td,J=6.2,3.7Hz),7.40(td,J=6.0,3.7Hz).
【0038】
(工程7:2,7−ビス((4−(ヘキシロキシ)フェニル)エチニル)−9H−フルオレン−9−オンの合成)
【化12】

【0039】
DMF(100mL)の溶媒下に、2,7−ジブロモ−9H−フルオレン−9−オン(3.4g,10mmol)、工程6で合成した1−エチニル−4−(ヘキシロキシ)ベンゼン(5.0g,25mmol)、PPh(1.89g,7.0mmol)、CuI(0.4g,2.0mmol)、PdCl(PPh(0.2g,2.0mmol)、トリエチルアミン(100mL)を加え、80℃で24時間熱還流した。室温に下げた後、濾過し、1N HCl(200mL)で中和した。ジクロロメタン(3×100mL)で抽出し、有機層をNaSOで脱水し、溶媒留去を行った。クロロホルム及びヘキサンから再結晶することにより、黄橙色固体(2.9g,4.9mmol,51%)を得た。
【0040】
H NMR(300MHz,CDCl
δ:0.91(s,6H),1.34(m,14H),1.80(s,4H),3.98(t,J=6.5Hz,4H),6.88(d,J=8.6Hz,4H),7.48(t,J=8.9Hz,6H),7.63(d,J=7.7Hz,2H),7.78(s,2H).
【0041】
(工程8:9−ジアゾ−2,7−ビス((4−(ヘキシロキシ)フェニル)エチニル)−9H−フルオレンの合成)
【化13】

【0042】
THF(10mL)の溶媒下に、工程7で合成した2,7−ビス((4−(ヘキシロキシ)フェニル)エチニル)−9H−フルオレン−9−オン(1.0g,1.7mmol)、HNNH(20mL)を加え、80℃で12時間熱還流した。室温に下げた後、水(50mL)を加え、クエンチした。酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機層をNaSOで脱水し、溶媒留去を行うことにより、橙色固体を得た。THF(20mL)の溶媒下に、得られた橙色固体とMnOとを加え、70℃で6時間熱還流した。室温に下げた後、濾過し、溶媒留去を行うことにより、橙色固体(0.3g,0.5mmol,30%)を得た。
【0043】
H NMR(300MHz,CDCl
δ:0.82(t,J=6.6Hz,6H),1.26(t,J=3.5Hz,8H),1.37(s,4H),1.68(dd,J=14.5,6.8Hz,4H),3.88(t,J=6.5Hz,4H),6.78(d,J=8.4Hz,4H),7.35−7.79(m,10H).
【0044】
(工程9:(R)−2,7−ビス((4−(ヘキシロキシ)フェニル)エチニル)−9−(2−メチル−2,3−ジヒドロシクロペンタ[a]ナフタレン−1−イリデン)−9H−フルオレンの合成)
【化14】

【0045】
トルエン(100mL)の溶媒下に、工程3で合成した(R)−2−メチル−2,3−ジヒドロシクロペンタ[a]ナフタレン−1−オン(1.1g,5.7mmol)、ルイス試薬(4.0g,10mmol)を加え、100℃で6時間熱還流した。室温に下げた後、濾過し、溶媒留去を行った。カラムクロマトグラフィー(SiO,ヘキサン:ジクロロメタン=2:1)で分取することにより、青色液体を得た。得られた青色液体と、工程8で合成した9−ジアゾ−2,7−ビス((4−(ヘキシロキシ)フェニル)エチニル)−9H−フルオレン(0.3g,0.5mmol)とを、トルエン(50mL)に加え、100℃で1時間熱還流し、さらにPPh(2.6g,10mmol)を加え、100℃で12時間熱還流した。室温に下げた後、溶媒留去を行った。カラムクロマトグラフィー(SiO,ヘキサン:ジクロロメタン=2:1)で分取した後、酢酸エチルから再結晶することにより、黄色固体(0.1g,0.2mmol,20%)を得た。
【0046】
H NMR(300MHz,CDCl
δ:0.92(s,6H),0.82−1.88(m,16H),2.86(d,J=2.5Hz,3H),3.65(dd,J=16.0,8.1Hz,1H),3.85−4.20(m,4H),4.4(t,J=6.5Hz,2H),6.72−8.27(m,12H).
13C NMR(75.45MHz,CDCl
δ:14.1,22.6,25.6,25.7,29.1,29.2,31.5,31.6,68.1,114.3,114.5,132.7,133.0,133.1.
【0047】
次に、上記のようにして製造したサンプル化合物について偏向顕微鏡観察を行い、液晶性の検討を行ったところ、155℃と170℃とにおいて異なる液晶相が発現した。155℃における液晶相を図1(A)に示し、170℃における液晶相を図1(B)に示す。この結果は、分子モータを基盤とするフォトクロミック液晶の製造に成功したことを支持するものである。
【0048】
次に、濃度が20質量%となるようにジエチルエーテル中にサンプル化合物を溶解し、サンプル溶液を調製した。そして、このサンプル溶液に波長366nm(強度:5.6mW/cm)の紫外光を1分間照射したところ、図2に示すように、吸収スペクトルに変化が観察された。これは下記式のようにサンプル化合物の構造が変化したためである。
【化15】

【0049】
また、光照射後のサンプル溶液を室温にて1分間放置したところ、図3に示すように、吸収スペクトルは光照射前と同じになった。これは下記式のようにサンプル化合物の構造が変化したためである。
【化16】

【0050】
以上の結果から、製造したサンプル化合物は、光及び熱過程によって可逆的なフォトクロミズムを示し、液晶性分子モータとして機能することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される液晶性分子モータ。
【化1】

(式中、Xはフェニル基又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は液晶基を示す。ただし、R〜Rの全てが水素原子である場合を除く。)
【請求項2】
前記液晶基が下記式(2)〜(9)で表される少なくとも1種である請求項1記載の液晶性分子モータ。
【化2】

(式中、Yは水素原子又はメチル基を示し、nは1〜12の整数を示す。)
【請求項3】
前記一般式(1)中、R,Rが液晶基であり、R〜Rが水素原子である請求項1又は2記載の液晶性分子モータ。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−260836(P2010−260836A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114912(P2009−114912)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】