説明

液晶組成物および液晶表示素子

【課題】 高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、急峻な電圧−透過率曲線、しきい値電圧の小さな温度依存性、誘電率異方性の小さな周波数依存性などの特性において、複数の特性を充足する液晶組成物などである。
【解決手段】 第一成分として化合物(1)から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、第二成分として化合物(2)および(3)から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、第三成分として化合物(4)から選択された少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。


ここで、RおよびRは、独立してアルキルであり;Rはアルケニルまたはフッ素で置換されたアルケニルであり;Zは単結合または−(CH−であり;そして、Xは水素またはフッ素である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、STN(super twisted nematic)素子などに適する液晶組成物およびこの組成物を含有するSTN素子などに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子において、液晶の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)などである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMはスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。
【0003】
これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。この液晶組成物はネマチック相を有する。良好な一般的特性を有するSTN素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を市販されているSTN素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は−20℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。
【0004】

【0005】
組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。素子におけるコントラスト比を最大にするために、組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn・d)を0.80〜0.85μmに設計する。したがって、組成物における光学異方性は主に0.10〜0.20の範囲である。組成物における低いしきい値電圧は素子における小さな消費電力寄与する。したがって、低いしきい値電圧が好ましい。組成物における電圧−透過率曲線は、素子のコントラスト比に寄与する。したがって、電圧−透過率曲線が急峻である組成物が好ましい。
【0006】
従来の組成物は、次の特許文献に開示されている。
【特許文献1】特開昭58−167528号公報
【特許文献2】特開平10−140157号公報
【特許文献3】特開2000−87039号公報
【特許文献4】特開2000−96059号公報
【特許文献5】特開2000−144134号公報
【特許文献6】特開2000−169852号公報
【特許文献7】特開2001−11449号公報
【特許文献8】特開2001−98272号公報
【0007】
STN素子の特性を向上させるため、高いネマチック相の上限温度、低いネマチック相の下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、急峻な電圧−透過率曲線を有し、しきい値電圧の小さな温度依存性、そして高い温度から低い温度に至り、駆動する周波数の影響を受けない組成物が特に望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、急峻な電圧−透過率曲線、しきい値電圧の小さな温度依存性、誘電率異方性の小さな周波数依存性などの特性において、複数の特性を充足する液晶組成物を提供することである。この目的は、複数の特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することでもある。この目的は、この組成物を含有する液晶表示素子を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、第二成分として式(2)および式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、第三成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物、およびこの液晶組成物を含有する液晶表示素子である。
【0010】


【0011】
ここで、RおよびRは、独立してアルキルであり;Rはアルケニルまたはフッ素で置換されたアルケニルであり;Zは単結合または−(CH−であり;そして、Xは水素またはフッ素である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の組成物は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、急峻な電圧−透過率曲線、しきい値電圧の小さな温度依存性、誘電率異方性の小さな周波数依存性などの特性において、複数の特性を充足した。この組成物は、複数の特性に関して適切なバランスを有した。本発明の素子は、この組成物を含有し、良好な特性を有した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。本発明の液晶組成物または本発明の液晶表示素子をそれぞれ「組成物」または「素子」と略すことがある。液晶表示素子は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。液晶組成物の主成分は液晶性化合物である。この液晶性化合物は、25℃でネマチック相、25℃でスメクチック相などの液晶相を有する化合物および25℃で液晶相を有さないが組成物の成分として有用な化合物の総称である。光学活性な化合物は液晶性化合物に含まれない。
【0014】
式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を「化合物(1)」と略すことがある。その他の化合物についても同様である。「式(2)および式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物」には、化合物(2)のみから選択される場合、化合物(3)のみから選択される場合、または化合物(2)と化合物(3)の両方から選択される場合の3つのパターンがある。その他の式についても同様である。
【0015】
ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。光学異方性などの特性を説明するときは、実施例に記載した方法で測定した値を用いる。組成物における液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶性化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。
【0016】
本発明の詳細は、下記の項のとおりである。
1.第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、第二成分として式(2)および式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、第三成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。
【0017】

【0018】
ここで、RおよびRは、独立してアルキルであり;Rはアルケニルまたはフッ素で置換されたアルケニルであり;Zは単結合または−(CH−であり;そして、Xは水素またはフッ素である。
【0019】
2.第一成分が3〜40重量%の範囲であり、第三成分が3〜65重量%の範囲である、項1に記載の液晶組成物。
3.第二成分が3〜80重量%の範囲である、項1または2に記載の液晶組成物。
【0020】
4.第二成分が、式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項1または2に記載の液晶組成物。
5.式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜30重量%の範囲である、項4に記載の液晶組成物。
【0021】
6.第二成分が、式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項1または2に記載の液晶組成物。
7.式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜50重量%の範囲である、項6に記載の液晶組成物。
【0022】
8.第二成分が、式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、項1または2に記載の液晶組成物。
9.式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜30重量%の範囲であり、式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜50重量%の範囲である、項8に記載の液晶組成物。
【0023】
10.式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項1〜9のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルまたはアルケニルであり;そしてXは水素またはフッ素である。
【0024】
11.式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜30重量%の範囲である、項10に記載の液晶組成物。
12.式(6)および式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項10または11に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;そして、Rはアルキルまたはアルケニルである。
【0025】
13.式(6)および式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜65重量%の範囲である、項12に記載の液晶組成物。
14.式(8)および式(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項10〜13のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;そして、Rはアルキルまたはアルコキシであり;そしてAは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。
【0026】
15.式(8)および式(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜35重量%の範囲である、項14に記載の液晶組成物。
16.式(10)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項10〜15のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、RおよびRは独立してアルキルである。
【0027】
17.式(10)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が2〜30重量%の範囲である、項16に記載の液晶組成物。
18.式(11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項10〜17のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;Rはアルキルまたはアルコキシメチルであり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;そしてXは水素またはフッ素である。
19.式(11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜20重量%の範囲である、項18に記載の液晶組成物。
【0028】
20.式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項1〜9のいずれか1項に記載の液晶組成物

ここで、Rはアルキルである。
【0029】
21.式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜40重量%の範囲である、項20に記載の液晶組成物。
【0030】
22.式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項20または21に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルまたはアルケニルである。
23.式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜25重量%の範囲である、項22に記載の液晶組成物。
【0031】
24.式(8)および式(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項20〜23のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;そして、Rはアルキルまたはアルコキシであり;そしてAは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。
25.式(8)および式(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜35重量%の範囲である、項24に記載の液晶組成物。
【0032】
26.式(10)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項20〜25のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、RはおよびRは独立してアルキルである。
27.式(10)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が2〜30重量%の範囲である、項26に記載の液晶組成物。
【0033】
28.式(11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項20〜27のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;Rはアルキルまたはアルコキシメチルであり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;そしてXは水素またはフッ素である。
29.式(11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜20重量%の範囲である、項28に記載の液晶組成物。
【0034】
30.酸化防止剤をさらに含有する、項1〜29のいずれか1項に記載の液晶組成物。
31.酸化防止剤が式(14)で表される化合物である、項30に記載の液晶組成物。

【0035】
32.化合物の全重量に基づいて、酸化防止剤が10〜500ppmの範囲である、項31に記載の液晶組成物。
33.項1〜32のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【0036】
本発明は、次の項も含む。1)ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、そしてネマチック相の下限温度が−20℃以下である上記の組成物、2)光学活性な化合物をさらに含有する上記の組成物、3)上記の組成物を含有するSTN素子、4)上記の組成物を含有する透過型または反射型の素子、5)上記の組成物をネマチック相を有する組成物としての使用、6)上記の組成物に光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。
【0037】
本発明の組成物を次の順で説明する。第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。第三に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第五に、成分化合物の具体的な例を示す。第六に、成分化合物の合成法を説明する。最後に、組成物の用途を説明する。
【0038】
第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aはその他の化合物をさらに含有してもよい。「その他の化合物」は、液晶性化合物、添加物、不純物などである。この液晶性化合物は化合物(1)〜化合物(11)とは異なる。この液晶性化合物は、特性を調整する目的で組成物に混合される。この添加物は光学活性な化合物、色素、酸化防止剤などである。液晶のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性な化合物が組成物に混合される。GH(Guest host)モードの素子に適合させるために色素が組成物に混合される。空気中で加熱による比抵抗の低下を防止するために、酸化防止剤が組成物に混合される。酸化防止剤は、式(14)で表される化合物などである。不純物は化合物の製造工程などにおいて混入した化合物などである。
【0039】
組成物Bは、実質的に前記項1〜項32のいずれかに記載した組成物の成分のみからなる。「実質的に」は、化合物(1)〜化合物(11)以外の液晶性化合物を組成物が含有しないことを意味する。「実質的に」は、添加物、不純物などを組成物がさらに含有してもよいことも意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。組成物Bはコストの観点から組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって物性をさらに調整できるので、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。
【0040】
化合物(1)〜化合物(11)以外の液晶性化合物には、下記の式(12−1)〜式(12−5)のような部分構造を有する化合物も含まれる。これらの式において、XおよびXは、独立して水素またはフッ素である。式(12−1)〜式(12−5)のような部分構造を有する化合物は、組成物の誘電率異方性の周波数依存性を大きくしてしまうことがあるので、本発明の組成物の成分としてこれらの化合物を混合しない方が好ましい。
【0041】

【0042】
光学活性な化合物の例は式(13−1)〜式(13−4)である。

【0043】
本発明の組成物AまたはBにおいて、成分である化合物の組み合わせは、291とおりである。これをタイプ1〜タイプ291に分類して、表2−1〜表2−5にまとめた。これらの表において、○印は該当する化合物が成分であることを意味する。空欄は該当する化合物が成分でないことを意味する。例えば、タイプ1は、化合物(1)、化合物(3)および化合物(4)が組成物の成分であることを意味する。これらタイプ1〜タイプ291の組成物には、上記の酸化防止剤および/または光学活性な化合物をさらに混合してよい。
【0044】

【0045】


【0046】

【0047】

【0048】

【0049】
第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の目的に従って表3にまとめる。表3の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。0は誘電率異方性がほぼゼロである(または極めて小さい)ことを意味する。化合物の具体的な誘電率異方性の値は、一例を挙げると表4に示すとおりである。表4の化合物の名称は表5の表記法に基づいて表した。
【0050】

【0051】

【0052】
成分化合物が組成物に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は、組成物の上限温度を下げ、光学異方性を小さくし、しきい値電圧を下げ、粘度を大きくし、電圧−透過率曲線を急峻にし、そして誘電率異方性の周波数依存性を小さくする。化合物(2)は、組成物の上限温度を下げ、光学異方性を小さくし、しきい値電圧を上げ、粘度を小さくし、そして電圧−透過率曲線を急峻にする。化合物(3)は、組成物の上限温度を上げ、光学異方性を大きくし、しきい値電圧を上げ、粘度を小さくし、そして電圧−透過率曲線を急峻にする。
【0053】
化合物(4)は、組成物の上限温度を上げ、光学異方性を特に大きくし、しきい値電圧を上げ、そして粘度を小さくする。化合物(5)は、組成物の上限温度を下げ、光学異方性を大きくし、しきい値電圧を特に下げ、そして粘度を大きくする。化合物(6)は、組成物の上限温度を下げ、光学異方性を大きくし、しきい値電圧を下げ、粘度を大きくし、そして電圧−透過率曲線を急峻にする。
【0054】
化合物(7)は、組成物の上限温度を下げ、光学異方性を小さくし、しきい値電圧を下げ、粘度を大きくし、電圧−透過率曲線を急峻にし、そして誘電率異方性の周波数依存性を小さくする。化合物(8)は、組成物の上限温度を下げ、光学異方性を特に大きくし、しきい値電圧を上げ、そして粘度を小さくする。
【0055】
化合物(9)は、組成物の上限温度を下げ、光学異方性を小さくし、しきい値電圧を上げ、そして粘度を小さくする。化合物(10)は、組成物の上限温度を上げ、光学異方性を大きくし、しきい値電圧を上げ、そして粘度を小さくする。化合物(11)は、組成物の上限温度を特に上げ、光学異方性を大きくし、しきい値電圧を上げ、そして粘度を小さくする。
【0056】
第三に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。好ましい割合は組成物Aおよび組成物Bにおいて同一である。第一成分の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために3重量%以上であり、組成物の下限温度を下げるために40重量%以下である。組成物のしきい値電圧をより下げるために、そして下限温度をより下げるために、第一成分のさらに好ましい割合は、5〜25重量%である。
【0057】
第二成分が、化合物(2)および/または化合物(3)から選択されるとき、化合物(2)および化合物(3)の合計の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために3重量%以上であり、組成物のしきい値電圧を下げるために80重量%以下である。組成物のしきい値電圧をより下げるために、化合物(2)および化合物(3)の合計のさらに好ましい割合は、3〜55重量%である。
【0058】
第二成分が、化合物(2)のみから選択されるとき、化合物(2)の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために3重量%以上であり、組成物の上限温度を上げるために30重量%以下である。組成物の上限温度をより上げるために、化合物(2)のさらに好ましい割合は、3〜20重量%である。
【0059】
第二成分が、化合物(3)のみから選択されるとき、化合物(3)の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために3重量%以上であり、組成物の下限温度を下げるために50重量%以下である。組成物の粘度をより下げる、そして下限温度をより下げるために、化合物(3)のさらに好ましい割合は、5〜35重量%である。
【0060】
第二成分が、化合物(2)および化合物(3)の両方から選択されるとき、化合物(2)の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために3重量%以上であり、組成物の上限温度を上げるために30重量%以下である。組成物の上限温度をより上げるために、化合物(2)のさらに好ましい割合は、3〜20重量%である。化合物(3)の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために3重量%以上であり、組成物の下限温度を下げるために50重量%以下である。組成物の粘度をより下げるために、そして下限温度をより下げるために、化合物(3)のさらに好ましい割合は、5〜35重量%である。
【0061】
第三成分の好ましい割合は、組成物の光学異方性を上げるために3重量%以上であり、組成物の下限温度を下げるために65重量%である。組成物の光学異方性をより大きくするために、そして下限温度をより下げるために、第三成分のさらに好ましい割合は、10〜55重量%である。
【0062】
化合物(5)を混合する場合、化合物(5)の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために3重量%以上であり、組成物の粘度を下げるために30重量%以下である。組成物のしきい値電圧をより下げるために、そして粘度をより下げるために、化合物(5)のさらに好ましい割合は5〜25重量%である。
【0063】
化合物(6)を混合する場合、化合物(6)の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために3重量%以上であり、組成物の粘度を下げるために25重量%以下である。組成物の粘度をより下げるために、化合物(6)のさらに好ましい割合は3〜15重量%である。
【0064】
化合物(7)を混合する場合、化合物(7)の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために3重量%以上であり、組成物の粘度を下げるために40重量%以下である。組成物のしきい値電圧をより下げるために、そして粘度をより下げるために、化合物(7)のさらに好ましい割合は5〜30重量%である。
【0065】
化合物(6)および/または化合物(7)を混合する場合、化合物(6)および化合物(7)の合計の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために3重量%以上であり、組成物の粘度を下げるために65重量%以下である。組成物のしきい値電圧をより下げる、および粘度をより下げるために、化合物(6)および(7)の合計のさらに好ましい割合は3〜45重量%である。
【0066】
化合物(8)および/または化合物(9)を混合する場合、化合物(8)および化合物(9)の合計の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために3重量%以上であり、組成物のしきい値電圧を下げるに35重量%以下である。組成物のしきい値電圧をより下げるために、化合物(8)および(9)の合計のさらに好ましい割合は3〜25重量%である。
【0067】
化合物(10)を混合する場合、化合物(10)の好ましい割合は、組成物の上限温度を上げるために2重量%以上であり、組成物の下限温度を下げるために30重量%以下である。組成物の下限温度をさらに下げるために、化合物(10)のさらに好ましい割合は2〜15重量%である。
【0068】
化合物(11)を混合する場合、化合物(11)の好ましい割合は、組成物の上限温度を上げるために3重量%以上であり、組成物の下限温度を下げるために20重量%以下である。組成物の下限温度をさらに下げるために、化合物(11)のさらに好ましい割合は3〜10重量%である。
【0069】
空気中での加熱による比抵抗の低下を防止するために、組成物に酸化防止剤を添加する方法がある。組成物に酸化防止剤を添加する場合、酸化防止剤の好ましい添加量は、効果を発揮させるために1ppm以上が好ましく、初期における組成物の比抵抗を上げるために500ppm以下が好ましい。この添加量は、液晶性化合物の全重量に基づいた割合である。
【0070】
上記の組成物Aにおいて、成分の合計の好ましい割合は、良好な特性を得るために70%以上である。さらに好ましい割合は90重量%以上である。
【0071】
第四に成分化合物の好ましい形態を説明する。成分化合物の化学式において、Rの記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、Rの意味は同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(1)のRがエチルであり、化合物(2)のRがエチルであるケースがある。化合物(1)のRがエチルであり、化合物(2)のRがプロピルであるケースもある。このルールは、R、A、Z、Xなどの記号についても適用される。
【0072】
好ましいRおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルである。好ましいRは炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のフッ素で置換されたアルケニルである。好ましいRは炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルである。好ましいRは炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシである。好ましいRは炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルコキシメチルである。好ましいRは炭素数2〜10のアルケニルである。
【0073】
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度などの観点からエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘプチルである。
【0074】
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度などの観点からビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度などの観点から1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。
【0075】
好ましいフッ素で置換されたアルケニルは、2,2−ジフルオロ−ビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニルである。粘度などの観点でさらに好ましくは、2,2−ジフルオロ−ビニルおよび4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。
【0076】
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。さらに好ましいアルコキシは、粘度などの観点からメトキシまたはエトキシである。
【0077】
好ましいアルコキシメチルは、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、またはペンチルオキシメチルである。さらに好ましいアルコキシメチルは、化合物の粘度などの観点からメトキシメチルである。
【0078】
は1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。組成物の粘度を下げる観点で好ましいAは1,4−シクロヘキシレンである。組成物の光学異方性を上げる観点で好ましいAは1,4−フェニレンである。記号中または構造式中の1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度の観点からシスよりもトランスが好ましい。Zは単結合または−(CHである。XおよびXは独立して水素またはフッ素である。
【0079】
第五に、成分化合物の具体的な例を示す。下記の好ましい化合物において、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、Rは炭素数2〜10のアルケニルである。さらに好ましいアルキルおよびアルケニルは、すでに記載したとおりである。これらの好ましい化合物において1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度の観点からシスよりもトランスが好ましい。
【0080】
化合物(1)におけるRは、下限温度および粘度などの観点からプロピルが好ましい。好ましい化合物(2)は、化合物(2−1)または化合物(2−2)である。化合物(2−1)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがプロピルでRがビニル、RがブチルでRがビニル、RがペンチルでRがビニル、およびRがプロピルでRが1−プロペニルである。化合物(2−2)において、下限温度および粘度などの観点からRは、プロピルまたはペンチルが好ましい。
【0081】
好ましい化合物(3)は、化合物(3−1)〜化合物(3−3)である。化合物(3−1)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがビニルでRがメチル、およびRが2−プロペニルでRがメチルである。化合物(3−2)および化合物(3−3)において、下限温度および粘度などの観点からRは、それぞれメチルが好ましい。
【0082】
好ましい化合物(4)は、化合物(4−1)または化合物(4−2)である。化合物(4−1)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがエチルでRがエチル、RがエチルでRがメチル、RがエチルでRがブチル、RがプロピルでRがエチル、RがプロピルでRがメチル、およびRがプロピルでRがブチルである。化合物(4−2)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがプロピルでRがエチル、RがプロピルでRがプロピル、およびRがプロピルでRがブチルである。
【0083】
好ましい化合物(5)は、化合物(5−1)または化合物(5−2)である。化合物(5−1)において、下限温度および粘度などの観点からRは、エチル、プロピル、ブチル、またはペンチルが好ましい。化合物(5−2)において、下限温度および粘度などの観点からRは、3−ペンテニルおよび3−ブテニルが好ましい。
【0084】
好ましい化合物(6)は、化合物(6−1)または化合物(6−2)である。化合物(6−1)において、下限温度および粘度などの観点からRは、エチル、プロピル、またはペンチルが好ましい。化合物(6−2)において、下限温度および粘度などの観点からRは、3−ペンテニルおよび3−ブテニルが好ましい。
【0085】
化合物(7)におけるRは、下限温度および粘度などの観点からエチルまたはプロピルが好ましい。好ましい化合物(8)は、化合物(8−1)または化合物(8−2)である。化合物(8−1)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがエチルでRがメチル、RがエチルでRがプロピル、およびRがメチルでRがプロピルである。化合物(8−2)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがエチルでRがメチル、RがプロピルでRがメチル、RがブチルでRがメチル、RがブチルでRがエチル、およびRがペンチルでRがメチルである。
【0086】
好ましい化合物(9)は、化合物(9−1)または化合物(9−2)である。化合物(9−1)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがプロピルでRがブチル、RがプロピルでRがペンチル、RがエチルでRがペンチル、およびRがエチルでRがプロピルである。化合物(9−2)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがプロピルでRがエチル、およびRがペンチルでRがエチルである。
【0087】
化合物(10)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがエチルでRがメチル、RがプロピルでRがメチル、およびRがプロピルでRがプロピルである。
【0088】
好ましい化合物(11)は、化合物(11−1)または化合物(11−2)である。化合物(11−1)において、下限温度および粘度などの観点からRは、プロピル、ブチルまたはペンチルが好ましい。化合物(11−2)において、下限温度および粘度などの観点からRとRの好ましい組み合わせは、RがペンチルでRがエチル、およびRがペンチルでRがプロピルである。
【0089】

【0090】

【0091】
第六に、成分化合物の合成法を説明する。これらの化合物は既知の方法によって合成できる。例えば、化合物(1)は、特許第2649339号公報に記載された方法で合成する。合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分である化合物を混合し、加熱によって互いに溶解させる。
【0092】
最後に、組成物の用途を説明する。大部分の組成物は、−20℃以下の下限温度、70℃以上の上限温度を有する。この組成物はSTN素子に適する。この組成物は透過型、反射型、半透過型のSTN素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、またはその他の液晶性化合物を混合することによって、0.07〜0.18の光学異方性を有する組成物、さらには0.06〜0.20の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用、光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。
【0093】
本発明の組成物は、さらにAM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、ECB、OCB、IPS、VAなどのモードを有する素子への使用も可能である。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素子、例えばPN(polymer network)素子にも使用できる。
【実施例】
【0094】
実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例によって限定されない。比較例および実施例における化合物は、下記の表5の定義に基づいて記号により表した。
表5において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。−CH=CH−の結合基に関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は好ましい化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶性化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。
【0095】

【0096】
組成物は、液晶性化合物などの成分の重量を測定してから混合することによって調製される。したがって、成分の重量%を算出するのは容易である。しかし、組成物をガスクロマト分析することによって成分の割合を正確に算出するのは容易でない。補正係数が液晶性化合物の種類に依存するからである。幸いなことに補正係数はほぼ1である。さらに、成分化合物における1重量%の差異が組成物の特性に与える影響は小さい。したがって、本発明においてはガスクロマトグラフにおける成分ピークの面積比を成分化合物の重量%と見なすことができる。つまり、ガスクロマト分析の結果(ピークの面積比)は、補正することなしに液晶性化合物の重量%と等価であると考えてよいのである。
【0097】
試料が組成物のときはそのまま測定し、得られた値を記載した。試料が化合物のときは、15重量%の化合物および85重量%の母液晶を混合することによって試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法よって化合物の特性値を算出した。外挿値=(試料の測定値−0.85×母液晶の測定値)/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶の割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。この外挿法によって化合物に関する上限温度、光学異方性、粘度、および誘電率異方性の値を求めた。
母液晶の組成は下記のとおりである。

【0098】
特性値の測定は下記の方法にしたがった。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
【0099】
ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0100】
ネマチック相の下限温度(T;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、Tを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0101】
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):測定にはE型粘度計を用いた。
【0102】
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0103】
誘電率異方性(Δε;25℃で測定):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0104】
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(矩形波、32Hz)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧である。
【0105】
急峻性(γ;25℃で測定):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ:d)と組成物の光学異方性(Δn)の積(Δn×d)が0.85μmとなるようなdを選択し、ツイスト角が240度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のSTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(矩形波、70Hz)は0Vから5Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。急峻性は、透過率が20%になったときの電圧を透過率が80%になったときの電圧で割った値である。
【0106】
コントラスト最大値時の電圧(V−max;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ:d)と組成物の光学異方性(Δn)の積(Δn×d)が0.85μmとなるようなdを選択し、ツイスト角が240度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のSTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(波形は1/32 duty-1/6 bias、1/64 duty-1/8 bias、1/100 duty-1/11 bias、1/160 duty-1/13 biasまたは1/240 duty-1/16 biasのそれぞれON波形とOFF波形、周波数は70Hz)は5Vから30Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線(ON波形とOFF波形の2つ)を作成した。ON波形とOFF波形の透過率の差が最大になったときの電圧をV−maxとした。
【0107】
コントラストの最大値(Co−max;25℃で測定):コントラスト最大値の電圧測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ:d)と組成物の光学異方性(Δn)の積(Δn×d)が0.85μmとなるようなdを選択し、ツイスト角が240度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のSTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(波形は1/32 duty-1/6 bias、1/64 duty-1/8 bias、1/100 duty-1/11 bias、1/160 duty-1/13 biasまたは1/240 duty-1/16 biasのそれぞれON波形とOFF波形、周波数は70Hz)は5Vから30Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線(ON波形とOFF波形の2つ)を作成した。ON波形とOFF波形の透過率の差が最大になったときの電圧V−maxを求めた。V−max電圧のとき、ON波形の透過率とOFF波形の透過率の比をコントラストの最大値とした。
【0108】
応答時間(τ;25℃で測定;ミリ秒):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は100Hzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ:d)と組成物の光学異方性(Δn)の積(Δn×d)が0.85μmとなるようなdを選択し、ツイスト角が240度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のSTN素子に試料を入れた。この素子に1/32 duty-1/6 bias、1/64 duty-1/8 bias、1/100 duty-1/11 bias、1/160 duty-1/13 biasまたは1/240 duty-1/16 biasのOFF波形(70Hz、V−max、1秒)を印加した。次に、この素子に1/32 duty-1/6 bias、1/64 duty-1/8 bias、1/100 duty-1/11 bias、1/160 duty-1/13 biasまたは1/240 duty-1/16 biasのON波形(70Hz、V−max、1秒)を印加した。次に、この素子に1/32 duty-1/6 bias、1/64 duty-1/8 bias、1/100 duty-1/11 bias、1/160 duty-1/13 biasまたは1/240 duty-1/16 biasのOFF波形(70Hz、V−max、1秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。立ち上がり時間(τr:rise time)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立下がり時間(τf:fall time)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立上がり時間と立下り時間との和である。
【0109】
しきい値電圧の温度依存性(Vth;−20、0、20、40、60、80℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(矩形波、70Hz)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧の温度依存性は、各温度における透過率が90%になったときの電圧で評価した。
【0110】
ピッチ(P;25℃で測定;μm):2枚のガラス基板が有する角度が分かっているくさびセルに、試料を入れて測定した。
【0111】
誘電率異方性の周波数依存性(−20と25℃で測定):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。−20℃では、この素子にサイン波(電圧が10V、周波数が100Hz、500Hz、1kHz、5kHz、10kHzまたは50kHz)を印加し、5秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(電圧が0.5V、周波数が100Hz、500Hz、1kHz、5kHz、10kHzまたは50kHz)を印加し、5秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。25℃では、この素子にサイン波(電圧が10V、周波数が100Hz、500Hz、1kHz、5kHz、10kHzまたは50kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(電圧が0.5V、周波数が100Hz、500Hz、1kHz、5kHz、10kHzまたは50kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。各温度、および各周波数における誘電率異方性(Δε)をε‖−ε⊥の式から計算した。
【0112】
ガスクロマト分析:測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2ml/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μlを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
【0113】
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。成分化合物の重量%は各ピークの面積比と完全には同一ではない。しかし、本発明においては、これらのキャピラリカラムを用いるときは、成分化合物の重量%は各ピークの面積比と同一であると見なしてよい。成分化合物における補正係数に大きな差異がないからである。
【0114】
実施例1
以下の組成物1を調製した。
3−HB(F,F)−C (1) 18%
5−HH−V (2−1) 16%
V−HHB−1 (3−1) 6%
2−H2BTB−2 (4−1) 4%
2−H2BTB−3 (4−1) 4%
2−H2BTB−4 (4−1) 4%
3−H2BTB−2 (4−1) 5%
3−H2BTB−3 (4−1) 5%
3−H2BTB−4 (4−1) 5%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 8%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 8%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 9%
V2−BEB(F,F)−C (5−2) 8%
【0115】
この組成物の特性は、次のとおりであった。NI=97.1℃;Tc≦−30℃;Δn=0.168;η=24.0mPa・s;Vth=1.75V。この組成物の誘電率異方性の周波数依存性は、表6に示すとおりであった。この組成物のしきい値電圧の温度依存性は、表7に示すとおりであった。
【0116】

【0117】

【0118】
組成物1に酸化防止剤を添加し、組成物2を調製した。酸化防止剤は化合物(14)であり、その添加量は100ppmであった。組成物2の特性は、次のとおりであった。NI=97.1℃;Tc≦−30℃;Δn=0.168;η=24.0mPa・s;Vth=1.75V。
【0119】
組成物1に前記の光学活性な化合物(13−2)を添加して、組成物3を調製した。添加量は、組成物1の全重量に基づいて1.02重量%であった。この組成物3をdが5.1μmのSTN素子に注入した。この素子を100℃で、1時間加熱した(アニール処理)。素子を25℃に冷却した後、ストライプドメインおよび低次元ツイストドメインの有無をチェックした。これらのドメインは発生していなかった。組成物3の特性は、ピッチPが10.1μm、急峻性γが1.051であった。その他の特性は、表8のとおりであった。
【0120】

【0121】
組成物1は、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、低いしきい値電圧を有した。表6から分かるように、同一温度で周波数を変動させても誘電率異方性は、ほぼ同じ値である。この結果から、この組成物は誘電率異方性の小さな周波数依存性を有していることが分かる。表7において、各温度におけるしきい値電圧Vthは、ほとんど同じであったことから、この組成物はしきい値電圧の小さな温度依存性を有していることが分かる。急峻性γが小さいので、この組成物は急峻性に優れていることが分かる。表8より、各印加波形において応答時間τは短いので、この組成物は応答時間が短いことが分かる。
【0122】
以下に、その他の組成物の例を挙げる。以下の総ての組成物は、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、低いしきい値電圧、誘電率異方性の小さな周波数依存性、しきい値電圧の小さな温度依存性、優れた急峻性、短い応答時間を有していた。
【0123】
実施例2
3−HB(F,F)−C (1) 17%
5−HH−V (2−1) 4%
V−HHB−1 (3−1) 23%
2−H2BTB−2 (4−1) 4%
3−H2BTB−2 (4−1) 5%
3−H2BTB−3 (4−1) 5%
3−H2BTB−4 (4−1) 5%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 8%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 8%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 8%
V2−BEB(F,F)−C (5−2) 8%
V2−HB−C (6−2) 5%
NI=107.0℃;Tc≦−30℃;Δn=0.167;η=24.9mPa・s;Vth=1.77V.
【0124】
実施例3
3−HB(F,F)−C (1) 13%
3−HH−VFF (2−2) 10%
VFF−HHB−1 (3−2) 10%
VFF2−HHB−1 (3−3) 22%
3−H2BTB−2 (4−1) 4%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 7%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 7%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 7%
2−BEB(F)−C (5−1) 2%
V2−BEB(F,F)−C (5−2) 12%
3−HB(F)−C (7) 6%
NI=91.1℃;Tc≦−30℃;Δn=0.141;η=22.9mPa・s;Vth=1.43V.
【0125】
実施例4
3−HB(F,F)−C (1) 10%
5−HH−VFF (2−2) 15%
VFF−HHB−1 (3−2) 9%
VFF2−HHB−1 (3−3) 19%
3−H2BTB−2 (4−1) 4%
3−H2BTB−3 (4−1) 2%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 6%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 6%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 6%
2−BEB(F)−C (5−1) 4%
3−BEB(F)−C (5−1) 4%
4−BEB(F)−C (5−1) 6%
2−BTB−1 (8−1) 5%
3−HB−O2 (9−2) 4%
NI=92.4℃;Tc≦−30℃;Δn=0.147;η=20.4mPa・s;Vth=1.70V.
【0126】
実施例5
3−HB(F,F)−C (1) 13%
3−HH−VFF (2−2) 3%
VFF−HHB−1 (3−2) 10%
2−H2BTB−2 (4−1) 4%
2−H2BTB−3 (4−1) 4%
2−H2BTB−4 (4−1) 4%
3−H2BTB−2 (4−1) 4%
3−H2BTB−3 (4−1) 4%
3−H2BTB−4 (4−1) 4%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 8%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 8%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 8%
2−BEB(F)−C (5−1) 2%
V2−BEB(F,F)−C (5−2) 12%
3−HB(F)−C (7) 8%
2−BTB−1 (8−1) 4%
NI=89.3℃;Tc≦−30℃;Δn=0.180;η=30.7mPa・s;Vth=1.43V.
【0127】
実施例6
3−HB(F,F)−C (1) 20%
5−HH−VFF (2−2) 6%
VFF2−HHB−1 (3−3) 18%
3−H2BTB−2 (4−1) 4%
3−H2BTB−3 (4−1) 4%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 7%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 7%
2−BEB(F)−C (5−1) 5%
3−BEB(F)−C (5−1) 4%
V2−BEB(F,F)−C (5−2) 4%
1V2−HB−C (6−2) 8%
3−HHB−1 (10) 5%
3−HHB−3 (10) 8%
NI=87.7℃;Tc≦−30℃;Δn=0.140;η=24.7mPa・s;Vth=1.40V.
【0128】
実施例7
3−HB(F,F)−C (1) 10%
VFF−HHB−1 (3−2) 6%
VFF2−HHB−1 (3−3) 21%
3−H2BTB−2 (4−1) 4%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 6%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 3%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 6%
1V2−BEB(F,F)−C (5−2) 10%
V2−BEB(F,F)−C (5−2) 10%
3−HB(F)−C (7) 15%
1O1−HBBH−4 (11−1) 5%
1O1−HBBH−5 (11−1) 4%
NI=92.0℃;Tc≦−20℃;Δn=0.149;η=35.8mPa・s;Vth=1.17V.
【0129】
実施例8
3−HB(F,F)−C (1) 9%
V−HHB−1 (3−1) 12%
3−H2BTB−2 (4−1) 5%
3−H2BTB−3 (4−1) 4%
3−H2BTB−4 (4−1) 4%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 7%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 7%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 7%
V2−BEB(F,F)−C (5−2) 8%
1V2−HB−C (6−2) 12%
2−BTB−1 (8−1) 9%
1−BTB−3 (8−1) 9%
2−BTB−O1 (8−2) 4%
5−HBB(F)B−2 (11−2) 3%
NI=89.9℃;Tc≦−40℃;Δn=0.199;η=24.1mPa・s;Vth=1.79V.
【0130】
実施例9
3−HB(F,F)−C (1) 9%
3−HH−VFF (2−2) 18%
2−H2BTB−2 (4−1) 4%
2−H2BTB−3 (4−1) 4%
2−H2BTB−4 (4−1) 3%
3−H2BTB−2 (4−1) 5%
3−H2BTB−3 (4−1) 5%
3−H2BTB−4 (4−1) 5%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 7%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 7%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 7%
2−BEB(F)−C (5−1) 5%
3−BEB(F)−C (5−1) 5%
V2−BEB(F,F)−C (5−2) 3%
3−HB(F)−C (7) 8%
3−HHB−1 (10) 2%
1O1−HBBH−5 (11−1) 3%
NI=96.6℃;Tc≦−30℃;Δn=0.169;η=23.8mPa・s;Vth=1.65V.
【0131】
実施例10
3−HB(F,F)−C (1) 15%
3−HH−VFF (2−2) 19%
2−H2BTB−2 (4−1) 4%
2−H2BTB−3 (4−1) 4%
2−H2BTB−4 (4−1) 4%
3−H2BTB−2 (4−1) 5%
3−H2BTB−3 (4−1) 5%
3−H2BTB−4 (4−1) 5%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 8%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 8%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 7%
V2−BEB(F,F)−C (5−2) 10%
3−HHB−1 (10) 2%
1O1−HBBH−5 (11−1) 4%
NI=101.3℃;Tc≦−20℃;Δn=0.170;η=23.0mPa・s;Vth=1.73V.
【0132】
実施例11
3−HB(F,F)−C (1) 8%
5−HH−VFF (2−2) 13%
VFF−HHB−1 (3−2) 8%
VFF2−HHB−1 (3−3) 18%
3−H2BTB−2 (4−1) 4%
3−H2BTB−3 (4−1) 4%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 6%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 6%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 6%
3−HB(F)−C (7) 10%
2−BTB−1 (8−1) 8%
3−HB−O2 (9−2) 9%
NI=92.3℃;Tc≦−30℃;Δn=0.147;η=15.7mPa・s;Vth=2.26V.
【0133】
実施例12
3−HB(F,F)−C (1) 10%
5−HH−VFF (2−2) 15%
VFF−HHB−1 (3−2) 8%
VFF2−HHB−1 (3−3) 20%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 6%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 6%
3−HB(F)−C (7) 26%
1O1−HBBH−4 (11−1) 5%
1O1−HBBH−5 (11−1) 4%
NI=91.6℃;Tc≦−40℃;Δn=0.120;η=20.2mPa・s;Vth=1.69V.
【0134】
実施例13
3−HB(F,F)−C (1) 10%
5−HH−VFF (2−2) 4%
VFF−HHB−1 (3−2) 6%
VFF2−HHB−1 (3−3) 17%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 7%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 6%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 6%
3−HB(F)−C (7) 26%
2−BTB−1 (8−1) 9%
1O1−HBBH−4 (11−1) 5%
1O1−HBBH−5 (11−1) 4%
NI=91.0℃;Tc≦−30℃;Δn=0.150;η=23.3mPa・s;Vth=1.68V.
【0135】
実施例14
3−HB(F,F)−C (1) 10%
5−HH−V (2−1) 5%
V−HHB−1 (3−1) 19%
V2−HHB−1 (3−1) 8%
3−H2BTB−2 (4−1) 5%
3−HB(F)TB−2 (4−2) 5%
3−HB(F)TB−3 (4−2) 5%
3−HB(F)TB−4 (4−2) 5%
V2−HB−C (6−2) 5%
3−HB(F)−C (7) 22%
3−HHB−1 (10) 4%
1O1−HBBH−4 (11−1) 3%
1O1−HBBH−5 (11−1) 4%
NI=105.4℃;Tc≦−30℃;Δn=0.139;η=22.1mPa・s;Vth=1.86V.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、第二成分として式(2)および式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、第三成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。

ここで、RおよびRは、独立してアルキルであり;Rはアルケニルまたはフッ素で置換されたアルケニルであり;Zは単結合または−(CH−であり;そして、Xは水素またはフッ素である。
【請求項2】
第一成分が3〜40重量%の範囲であり、第三成分が3〜65重量%の範囲である、請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
第二成分が3〜80重量%の範囲である、請求項1または2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
第二成分が、式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項1または2に記載の液晶組成物。
【請求項5】
式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜30重量%の範囲である、請求項4に記載の液晶組成物。
【請求項6】
第二成分が、式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項1または2に記載の液晶組成物。
【請求項7】
式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜50重量%の範囲である、請求項6に記載の液晶組成物。
【請求項8】
第二成分が、式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項1または2に記載の液晶組成物。
【請求項9】
式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜30重量%の範囲であり、式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜50重量%の範囲である、請求項8に記載の液晶組成物。
【請求項10】
式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルまたはアルケニルであり;そしてXは水素またはフッ素である。
【請求項11】
式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜30重量%の範囲である、請求項10に記載の液晶組成物。
【請求項12】
式(6)および式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項10または11に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;そして、Rはアルキルまたはアルケニルである。
【請求項13】
式(6)および式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜65重量%の範囲である、請求項12に記載の液晶組成物。
【請求項14】
式(8)および式(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項10〜13のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;そして、Rはアルキルまたはアルコキシであり;そしてAは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。
【請求項15】
式(8)および式(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜35重量%の範囲である、請求項14に記載の液晶組成物。
【請求項16】
式(10)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項10〜15のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、RおよびRは独立してアルキルである。
【請求項17】
式(10)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が2〜30重量%の範囲である、請求項16に記載の液晶組成物。
【請求項18】
式(11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項10〜17のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;Rはアルキルまたはアルコキシメチルであり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;そしてXは水素またはフッ素である。
【請求項19】
式(11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜20重量%の範囲である、請求項18に記載の液晶組成物。
【請求項20】
式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶組成物

ここで、Rはアルキルである。
【請求項21】
式(7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜40重量%の範囲である、請求項20に記載の液晶組成物。
【請求項22】
式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項20または21に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルまたはアルケニルである。
【請求項23】
式(6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜25重量%の範囲である、請求項22に記載の液晶組成物。
【請求項24】
式(8)および式(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項20〜23のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;そして、Rはアルキルまたはアルコキシであり;そしてAは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。
【請求項25】
式(8)および式(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜35重量%の範囲である、請求項24に記載の液晶組成物。
【請求項26】
式(10)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項20〜25のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、RはおよびRは独立してアルキルである。
【請求項27】
式(10)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が2〜30重量%の範囲である、請求項26に記載の液晶組成物。
【請求項28】
式(11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項20〜27のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、Rはアルキルであり;Rはアルキルまたはアルコキシメチルであり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;そしてXは水素またはフッ素である。
【請求項29】
式(11)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物が3〜20重量%の範囲である、請求項28に記載の液晶組成物。
【請求項30】
酸化防止剤をさらに含有する、請求項1〜29のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項31】
酸化防止剤が式(14)で表される化合物である、請求項30に記載の液晶組成物。

【請求項32】
化合物の全重量に基づいて、酸化防止剤が10〜500ppmの範囲である、請求項31に記載の液晶組成物。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。


【公開番号】特開2006−111723(P2006−111723A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300488(P2004−300488)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】