説明

液晶組成物

【目的】 液晶素子の低電圧駆動、駆動電圧の温度依存性及び電気光学応答の速度を改善できる液晶組成物の提供。
【構成】 以下の第一ないし第四の各成分を含有する液晶組成物。
第一成分:式I、第二成分:式II、第三成分:式III〜V、第四成分:式VI又はVII
【化1】


式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7及びR9はC1〜8アルキルを、n,m,p,q及びrは0又は1を、R8及びR10はC1〜8のアルキルもしくはアルコキシ又はC2〜8アルコキシメチルを、A1は1,4-シクロヘキシレン、1,4-フエニレン又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイルを、A2及びA5は1,4-シクロヘキシレン、1,4-フェニレン又はピリミジン-2,5-ジイルを、A3、A4、A6及びA7は1,4-シクロヘキシレン又は1,4-フェニレンを、Z1,Z3及びZ6は-COO-又は単結合を、Z2及びZ4は-CH2CH2-,-CH=CH-又は単結合を、Q及びZ5は-CH2CH2-又は単結合を、L,X及びTはF又はHを、SはF,Cl又はCF3をそれぞれ示す。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示用の液晶組成物に関するものであり、さらに詳しくはTN(ツイステッドネマティック)方式あるいはSTN(ス−パ−ツイステッドネマティック)方式を用いた表示素子に使用される液晶組成物とそれを用いた液晶表示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶を利用した表示素子は時計および電卓などに広く利用されている。これらの液晶表示素子は、液晶物質の光学異方性及び誘電率異方性を利用したものである。液晶相にはネマティック液晶相、スメクティック液晶相、コレステリック液晶相があり、その中でもネマティック液晶相を利用したものが最も広く実用化されている。また、液晶表示に応用されている表示方式としては、TN(ツイステッドネマティック)方式、STN(ス−パ−ツイステッドネマティック)方式、DS(動的散乱)方式、ゲスト−ホスト方式、ECB(電界制御複屈折)方式等があげられる。
【0003】現在までに研究段階のものを含め多くの液晶性化合物が現れたが、現在のところ単一の液晶物質として表示素子に封入され使用されている物質は存在しない。なぜならば表示素子材料として期待される液晶物質は、表示素子として最も使用される頻度の高い室温を中心とする、なるべく広い温度範囲で液晶相を示すものが望ましく、使用される環境因子に対して十分安定であり、また表示素子を駆動させるのに十分な物理的性質を持つものでなくてはならないが、単体としてこれらの条件を満たすものが見いだされていないためである。そこで現在では数種の液晶物質、またはさらに非液晶物質を混合して要求されるような特徴をもつ組成物を調製し、表示用材料として実用に供している。これらの液晶組成物は使用される環境下に通常存在する水分、光、熱、空気等に対して、また電界および磁界に対して化学的に安定であり、さらには混合される液晶化合物同志が互いに使用する環境内で化学的に安定であることが、要求されている。
【0004】また液晶組成物は、表示方式や素子の用途に応じて、適度な光学異方性、誘電率異方性、粘度および中間相温度範囲をもたねばならない。現在最も一般的に用いられている表示方式として、ねじれ角が90度である液晶セルの旋光性を用いたTN(ツイストネマティック)方式やねじれ角が180〜270度に設定された液晶セルの複屈折性を用いたSTN(ス−パ−ツイステッドネマティック)方式があげられる。これらの方式を利用した液晶表示素子において近年特に重要な課題として、■低電圧駆動および低消費電力駆動、■電気光学特性の温度依存性の改善、■高速応答等があげられている。これらの問題を解決するために液晶材料に要求される主な特性としては、しきい値電圧、屈折率異方性および粘度等があげられる。しきい値電圧を低減させることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能になり、しきい値電圧の温度依存性を低減させることにより、使用温度範囲におけるコントラスト不足およびクロスト−クといった表示不良を低減させることが出来る。
【0005】また、表示素子においては、表示方式等によってセルに充填される液晶材料の屈折率異方性(Δn)とセル厚(dμm)との積Δn・dをある一定の値に設定する必要がある。この場合、Δnの大きな液晶材料を用いればdの値を小さくすることが出来る。表示素子の応答時間(τ)は液晶材料の粘度(η)に比例しかつセル厚(d)の二乗に比例するため、dおよびηの値が小さければτは著しく低下し高速応答が可能になる。以上のようなことから、低減されたしきい値電圧やその温度依存性、適度に高い屈折率異方性および低い粘度を有する液晶組成物が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、液晶表示素子に求められている低電圧駆動、および駆動電圧の温度依存性を改善しうる液晶材料を提供することにある。また、本発明の別の目的は、適度に高い屈折率異方性および低い粘度を有する液晶組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I)
【化8】


(式中、R1は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、nは0または1を示す。)で表される化合物群から選ばれた少なくとも1つの化合物からなる第一成分、一般式(II)
【化9】


【0008】(式中、R2およびR3は、それぞれ独立して炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、LはFまたはHを示し、Qは−CH2CH2−または単結合を示す)で表される化合物群から選ばれた少なくとも1つの化合物からなる第二成分、下記の一般式(III)〜(V)のいずれかにより表される化合物の群から選ばれた少なくとも一つの化合物からなる第三成分、および後記の一般式(VI)または一般式(VII)により表される化合物の群から選ばれた少なくとも一つの化合物からなる第四成分を含有することを特徴とする液晶組成物である。
【0009】
【化10】


(III)式中、R4は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、これらの基中に存在する1個のCH2基は酸素原子または−CH=CH−基により置き換えられていてもよく、mは0または1を示し、A1はトランス−1,4−シクロヘキシレン,1,4−フェニレンまたはトランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを示し、Z1は−COO−または単結合を示し、XはFまたはHを示す。ただしZ1が−COO−のとき、XはHであることを条件とする。(IV)式中、R5は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、pは0または1を示し、A2はトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはピリミジン−2,5−ジイルを示し、A3はトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Z2は−CH2CH2−、−CH=CH−または単結合を示し、Z3は−COO−または単結合を示し、TはFまたはHを示し、SはFまたはClを示す。(V)式中、R6は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、qは0または1を示し、A4はトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Z4は−CH2CH2−、−CH=CH−または単結合を示し、Z5は−CH2CH2−または単結合を示し、SはFまたはClを示す。
【0010】
【化11】


(VI)式中、R7は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、R8は炭素原子を1〜8個有するアルキル基、アルコキシ基または炭素原子を2〜8個有するアルコキシメチル基を示し、rは0または1を示し、A5はトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはピリミジン−2,5−ジイルを示し、A6およびA7は、それぞれ独立してトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Z6は−COO−または単結合を示す。(VII)式中、R9は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、R10は炭素原子を1〜8個有するアルキル基またはアルコキシ基を示す。
【0011】本発明の液晶組成物において、第三成分の化合物として前記の式(III)でA1がトランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである化合物、または式(IV)でA2がピリミジン−2,5−ジイルである化合物を用いる場合、A1またはA2が後記の式で示される向きを有する基である化合物が好ましく用いられる。
【化12】


また、第四成分として前記の式(VI)においてA5がピリミジン−2,5−ジイルである化合物を用いる場合、A5が前記の式で示される向きを有する基である化合物が好ましく用いられる。
【0012】本発明の液晶組成物の第1成分として好ましい化合物として、以下の式(Ia)および式(Ib)により表される化合物があげられる。
【化13】


式中のR1は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示す。これらの化合物は、得られる液晶混合物のしきい値電圧およびその温度依存性の低減に特に有効である。本発明の液晶組成物において第一成分の好ましい混合割合は第一ないし第四の成分の合計重量の3〜50wt%であり、特に好ましい混合割合は5〜30wt%である。第一成分の混合割合が3%未満では、しきい値電圧の低下が不十分であったり、しきい値電圧の温度依存性の改善が不十分であったりして、発明の課題が解決できないことが生じるので好ましくない。第一成分の混合割合が50%を越えると、得られる液晶組成物の粘度が過大になるので好ましくない。
【0013】本発明の液晶組成物の第二成分として好ましい化合物としては、以下の一般式(IIa)および(IIb)により表される化合物をあげることができる。
【化14】


【0014】これらの式において、R11およびR12は、それぞれ独立して炭素原子1〜8個を有するアルキル基を示す。これらの化合物は、得られる液晶組成物の透明点の上昇、屈折率異方性の増大および粘度の低減に特に有効である。本発明の液晶組成物において第二成分の好ましい混合割合は第一ないし第四の成分の合計重量の3〜35%であり、特に好ましい混合割合は5〜25%の範囲である。第二成分の混合割合が3%未満では、屈折率異方性が十分に大きくならなかったり、粘度が十分に低下しなかったりするので好ましくない。また、第二成分の混合割合が35%を越えると、しきい値電圧が上昇するので好ましくない。
【0015】本発明の第三成分の中、一般式(III)の化合物として好ましい物は、下記の式(IIIa)〜(IIIh)で表される。
【化15】


【0016】これらの式において、Rは炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示す。ただし、式(IIIc)においてはRは水素でもよい。第三成分の一般式(IV)で表される化合物の中で好ましい化合物としては、下記の式(IVa)〜(IVo)で表される化合物をあげることができる。
【0017】
【化16】


【0018】
【化17】


これらの式において、Rは炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示す。
【0019】第三成分の一般式(V)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、以下の式(Va)〜(Vf)で表される化合物をあげることができる。
【化18】


【0020】これらの式において、Rは炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示す。これらの一般式(III)、(IV)または(V)で表される第三成分の化合物は、いずれも比較的大きな正の誘電率異方性をもち、主としてしきい値電圧の調整に有効に用いられる。本発明の液晶組成物において、これらの第三成分に属する一般式(III)、(IV)および(V)の化合物の好ましい混合割合は第一ないし第四の成分の合計重量の10〜60%であり、特に好ましい混合割合は15〜40%である。第三成分の混合割合が10%未満では、得られる組成物のしきい値電圧が十分に低下しないので好ましくない。また、混合割合が60%を越えると、得られる組成物の粘度が過大になるので好ましくない。
【0021】第四成分の一般式(VI)で表される化合物の中で好ましい物として、一般式(VIA)で表される化合物をあげることができる。
【化19】


(VIA)式中、R14は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、R15は炭素原子を1〜8個有するアルキル基、アルコキシ基または炭素原子を2〜8個有するアルコキシメチル基を示し、vおよびwはそれぞれ独立して0または1を示す。ただし、vまたはwのどちらか一方が0である場合、他方は1であることを条件とするさらに、一般式(VI)または一般式(VII)で表される化合物の中で好ましい化合物としては、それぞれ以下の式(VIa)〜(VIh)で表される化合物および式(VIIa)で表される化合物をあげることができる。
【0022】
【化20】


【0023】これらの式において、Rは炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、R’は炭素原子を1〜8個有するアルキル基またはアルコキシ基を示す。これらの第四成分に属する化合物は負あるいは小さい正の誘電率異方性をもち、主として透明点、屈折率異方性および粘度の調整に用いられる。本発明の液晶組成物において、一般式(VI)および一般式(VII)の化合物の好ましい混合割合は第一ないし第四の成分の合計重量の10〜60wt%、特に好ましい混合割合は20〜50wt%である。第四成分の混合割合が10%未満では、得られる組成物の粘度が過大になるので好ましくない。また、混合割合が60%を越えると組成物のしきい値電圧が上昇するので好ましくない。
【0024】すなわち、本発明の好ましい態様として以下の各項をあげることができる。
(1)前記した一般式(Ia)または(Ib)で表される化合物からなる第一成分、一般式(IIa)または(IIb)で表される化合物からなる第二成分、一般式(IIIa)ないし(IIIh)、(IVa)ないし(IVo)または(Va)ないし(Vg)で表される化合物からなる第三成分、および一般式(VIa)ないし(VIh)または(VIIa)で表される化合物からなる第四成分を含有することを特徴とする液晶組成物。
(2)前項において、第一、第二、第三および第四の各成分の混合割合が各成分の合計重量のそれぞれ、3〜50%、3〜35%、10〜60%および10〜60%である液晶組成物。
(3)前記第一項において、第一、第二、第三および第四の各成分の混合割合が各成分の合計重量のそれぞれ、5〜30%、5〜25%、15〜40%および20〜50%である液晶組成物。
また、本発明の別の態様は、(4)前記の(1)ないし(3)項のいずれかに記載される液晶組成物を利用した液晶表示素子、である。
【0025】本発明において式(I)〜式(VII)で示される各化合物は既知であるか、または文献に記載されている標準的方法にもとづいて製造されるものであることから、当業者が従来技術から容易に誘導できる方法により製造することができる。例えば、(Ia)式の化合物と(Ib)式の化合物はそれぞれ特開昭60−184060および特開昭61−33519に、(II)式の化合物は特開昭63−152334に開示されている。また、(IIIa)式の化合物は特開昭58−10552および特開昭59−152362に開示されており、(VIa)式の化合物は特開昭59−70624および特開昭60−16940に、(VIb)式の化合物は特開昭58−167535に、(VIe)式の化合物は特開昭57−165328にそれぞれ開示されている。
【0026】本発明の液晶組成物は、それ自体慣用な方法で調製される。すなわち、一般に的な方法である、種々の成分をその透明点より高い温度で互いに溶解させる方法がとられる。また、本発明の液晶材料は、適当な添加物を添加することによって意図する用途に応じた改良を加えて、その用途に最適化することができる。このような添加物は当業者にはよく知られており、文献にも詳細な記載がみられる。通常、しばしば使用される添加物としては、液晶にらせん構造を誘起してねじれ角を必要な値に調整し、逆ねじれ(リバースツイスト)を防ぐためのカイラルドープ剤などがある。
【0027】また、本発明の液晶組成物には、メロシアニン系、スチリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフタロン系、アントラキノン系、およびテトラジン系等の二色性色素を添加して、これをゲストホスト(GH)モ−ド用の液晶材料として使用することもできる。あるいは、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAPや、液晶中に三次元網目状高分子を作製したポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)に代表されるポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)用の液晶材料としても使用できる。その他、電界制御複屈折(ECB)モードや動的散乱(DS)モード用の液晶組成物としても使用できる。
【0028】
【実施例】次の実施例および比較例は本発明を限定するものではなく、発明をより具体的に説明することを目的とするものである。尚、実施例中において輝度が10%に達したときの電圧をしきい値電圧としV10で示す。また、しきい値電圧の温度依存性を示すパラメーターδを次式で定義する(ただし、輝度の測定はセルの法線方向で行う)。
【0029】
【数1】


【0030】比較例1市販液晶ZLI−1132は、透明点:72.4℃、20℃における粘度:27.0mPa.s、25℃における屈折率異方性:0.137、およびしきい値電圧:1.78V、δ=0.58(%/℃)を示す。
実施例1以下の組成からなる液晶組成物を調製した。
【0031】
【化21】


この組成物は透明点:73.8℃、20℃における粘度:18.3mPa.s、を示し、25℃において屈折率異方性:0.139、およびしきい値電圧:1.53Vを示した。また、しきい値電圧の温度依存性はδ=0.33(%/℃)であった。ここで、実施例1の液晶組成物は比較例1の液晶組成物に比べて屈折率異方性はわずかに増大しているにすぎないが、粘度、しきい値電圧およびδは大幅に低減されており、表示装置用液晶組成物として優れた性質を示していることが判る。
【0032】実施例2以下の組成の液晶組成物を調製した。
【化22】


この液晶組成物は透明点:90.7℃、20℃における粘度:23.2mPa.s、25℃における屈折率異方性:0.136、およびしきい値電圧:1.50V、を示し、δ=0.26(%/℃)であった。
【0033】実施例3以下の組成の液晶組成物を調製した。
【化23】


【0034】
【化24】


この液晶組成物は透明点:90.0℃、20℃における粘度:24.4mPa.s、25℃における屈折率異方性:0.147、およびしきい値電圧:1.68V、δ=0.22(%/℃)を示した。
【0035】実施例4以下の組成の液晶組成物を調製した。
【化25】


この液晶組成物は透明点:73.5℃、20℃における粘度:25.4mPa.s、25℃における屈折率異方性:0.166、およびしきい値電圧:1.49V、δ=0.38(%/℃)を示した。
【0036】実施例5以下の化合物からなる液晶組成物を調製した。
【化26】


【0037】
【化27】


この液晶組成物は透明点:73.4℃、20℃における粘度:28.0mPa.s、25℃における屈折率異方性:0.151、およびしきい値電圧:1.33Vをそれぞれ示した。また、しきい値電圧の温度依存性はδ=0.32(%/℃)であった。
【0038】実施例6以下の化合物からなる液晶組成物を調製した。
【化28】


【0039】
【化29】


この液晶組成物は透明点:80.9℃、20℃における粘度:23.1mPa.s、25℃における屈折率異方性:0.140、およびしきい値電圧:1.46Vをそれぞれ示した。
【0040】実施例7以下の化合物からなる液晶組成物を調製した。
【化30】


【0041】
【化31】


この液晶組成物は透明点:77.8℃、20℃における粘度:26.2mPa.s、25℃における屈折率異方性:0.170、およびしきい値電圧:1.51Vを示した。
【0042】
【発明の効果】比較例および実施例から明らかなように、本発明の液晶組成物はしきい値電圧およびその温度依存性が低減されており、かつ適度に高い屈折率異方性および低い粘度を有するため、これを使用することによって低電圧駆動、温度依存性の改善および高速応答等の要求を満たした液晶表示素子を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(I)
【化1】


(式中R1は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、nは0または1を示す)で表される化合物少なくとも一つからなる第一成分、一般式(II)
【化2】


(式中R2およびR3は、それぞれ独立して炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、LはFまたはHを示し、Qは−CH2CH2−または単結合を示す)で表される化合物少なくとも一つからなる第二成分、下記の一般式(III)〜(V)のいずれかで表される化合物の群から選ばれた少なくとも一つの化合物からなる第三成分、および、下記の一般式(VI)または(VII)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも一つの化合物からなる第四成分を含有することを特徴とする液晶組成物。
【化3】


(III)式中、R4は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、これらの基中に存在する1個のCH2基は酸素原子または−CH=CH−基により置き換えられてもよく、mは0または1を示し、A1はトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはトランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを示し、Z1は−COO−または単結合を示し、XはFまたはHを示す。ただしZ1が−COO−のとき、XはHであることを条件とする。(IV)式中、R5は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、pは0または1を示し、A2はトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはピリミジン−2,5−ジイルを示し、A3はトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Z2は−CH2CH2−、−CH=CH−または単結合を示し、Z3は−COO−または単結合を示し、TはFまたはHを示し、SはFまたはClを示す。(V)式中、R6は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、qは0または1を示し、A4はトランス-1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Z4は−CH2CH2−、−CH=CH−または単結合を示し、Z5は−CH2CH2−または単結合を示し、SはFまたはClを示す。
【化4】


(VI)式中、R7は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、R8は炭素原子を1〜8個有するアルキル基、アルコキシ基または炭素原子を2〜8個有するアルコキシメチル基を示し、rは0または1を示し、A5はトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはピリミジン−2,5−ジイルを示し、A6およびA7は、それぞれ独立してトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し、Z6は−COO−または単結合を示す。(VII)式中、R9は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、R10は炭素原子を1〜8個有するアルキル基またはアルコキシ基を示す。
【請求項2】 第二成分が一般式(IIa)または一般式(IIb)
【化5】


(式中、R11およびR12は、それぞれ独立して炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示す)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1つの化合物である請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】 請求項1または請求項2において、一般式(III)で表される化合物が、下記の一般式(IIIA)
【化6】


(式中、R13は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、XはFまたはHを示す。)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1つの化合物である液晶組成物。
【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、一般式(VI)で表される化合物が下記の一般式(VIA)
【化7】


(式中R14は炭素原子を1〜8個有するアルキル基を示し、R15は炭素原子を1〜8個有するアルキル基、アルコキシ基または炭素原子を2〜8個有するアルコキシメチル基を示し、vおよびwはそれぞれ独立して0または1を示す。ただし、vまたはwのどちらか一方が0である場合、他方は1であることを条件とする)で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1つ化合物である液晶組成物。
【請求項5】 請求項1または請求項2において、第一成分、第二成分、第三成分および第四成分の混合割合が各成分の合計重量のそれぞれ、3−50%、3−35%、10−60%および10−60%である液晶組成物。
【請求項6】 請求項1または請求項2において、第一成分、第二成分、第三成分および第四成分の混合割合が各成分の合計重量のそれぞれ、5−30%、5−25%、15−40%および20−50%である液晶組成物。
【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の液晶組成物を含有することを特徴とする電気光学表示素子。

【公開番号】特開平7−300584
【公開日】平成7年(1995)11月14日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−117629
【出願日】平成6年(1994)5月6日
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)