説明

液晶表示装置及びその駆動方法

【課題】動画であっても表示品位を低下させることなく、比較的少ないメモリ容量でオーバードライブ駆動を可能にする。
【解決手段】現フレームの階調データD(t)と1フレーム前の階調データD(t-1)とを比較して、オーバードライブ期間に応答完了可能と判断される場合は現フレームの階調データD(t)を現フレームの補正階調データDh(t)として出力するとともに、オーバードライブ期間に応答完了不可能と判断される場合は応答完了と判断される到達側設定階調データを現フレームの補正階調データDh(t)として出力し、この出力された現フレームの補正階調データDh(t)に基づいてオーバードライブ駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバードライブにより液晶の応答速度を改善する液晶表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、階調データの変化に対する液晶の応答速度を改善する方法として、いわゆるオーバードライブ駆動が知られている(例えば、特許文献1参照)。オーバードライブ駆動では、表示画素が表示する階調輝度を1フレーム期間で目標階調輝度に到達させるために、1フレーム前の階調データと現在の階調データとを比較して、現在の階調データの方が大きく(例えば明るく)なる場合には現在の階調データがより大きくなるように補正し、現在の階調データの方が小さく(例えば暗く)なる場合には現在の階調データがより小さくなるように補正している。
【0003】
しかし、現在の階調データが最大階調や最小階調のような場合には、階調データを補正する余地がなく、このような場合には、1フレーム期間に目標階調輝度に到達させることができない。このため、表示画素が表示している階調輝度と階調データ間に誤差が生じ、フレーム間の画像が連続的に変化するような場合(例えば動画表示のような場合)には、以後の補正が真に補正すべき値と異なる補正が行われることになり、動画の表示品位が低下するという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献2では、1フレーム前の階調データと現在の階調データにさらに2フレーム前の階調データを加えた3次元のルックアップテーブルにより各階調データを比較し階調データを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−81083号公報
【特許文献2】特開2006−243729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、1フレーム前の階調データと現在の階調データにさらに2フレーム前の階調データを加えた3次元のルックアップテーブルを記憶させておくためには多くのメモリ容量が必要になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、動画であっても表示品位を低下させることなく、比較的少ないメモリ容量でオーバードライブ駆動可能な液晶表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の液晶表示装置は、階調データに対応した表示信号電圧を表示画素の画素電極に供給し、前記表示画素が前記画素電極に供給された表示信号電圧に応じて前記階調データに対応した輝度を表示する液晶表示装置であって、現フレームの階調データと前記現フレームの階調データに対して1フレーム前の階調データとを比較し、前記1フレーム前の階調データに対応した輝度表示から前記現フレームの階調データに対応した輝度表示へオーバードライブ期間に応答完了可能と判断される場合は前記現フレームの階調データを現フレームの補正階調データとして出力し、前記オーバードライブ期間に応答完了不可能と判断される場合は応答完了と判断される到達側設定階調データを前記現フレームの補正階調データとして出力する第1比較手段と、前記現フレームの補正階調データと前記現フレームの補正階調データに対して1フレーム前の補正階調データとを比較し、等しい場合は前記現フレームの階調データに対応した表示信号電圧を前記画素電極に供給し、前記現フレームの補正階調データの方が前記1フレーム前の補正階調データよりも大きい場合は前記現フレームの補正階調データよりも大きい階調データに対応する表示信号電圧を前記画素電極に供給し、前記現フレームの補正階調データの方が前記1フレーム前の補正階調データよりも小さい場合は前記現フレームの補正階調データよりも小さい階調データに対応する表示信号電圧を前記画素電極に供給する第2比較手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の液晶表示装置は、請求項1に記載の液晶表示装置において、前記第1比較手段は、ルックアップテーブルに基づいて前記現フレームの補正階調データを出力することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の液晶表示装置の駆動方法は、階調データに対応した表示信号電圧を表示画素の画素電極に供給し、前記表示画素が前記画素電極に供給された表示信号電圧に応じて前記階調データに対応した輝度を表示する液晶表示装置の駆動方法であって、現フレームの階調データと前記現フレームの階調データに対して1フレーム前の階調データとを比較し、前記1フレーム前の階調データに対応した輝度表示から前記現フレームの階調データに対応した輝度表示へオーバードライブ期間に応答完了可能と判断される場合は前記現フレームの階調データを現フレームの補正階調データとして出力し、前記オーバードライブ期間に応答完了不可能と判断される場合は応答完了と判断される到達側設定階調データを前記現フレームの補正階調データとして出力する第1比較ステップと、前記現フレームの補正階調データと前記現フレームの補正階調データに対して1フレーム前の補正階調データとを比較し、等しい場合は前記現フレームの階調データに対応した表示信号電圧を前記画素電極に供給し、前記現フレームの補正階調データの方が前記1フレーム前の補正階調データよりも大きい場合は前記現フレームの補正階調データよりも大きい階調データに対応する表示信号電圧を前記画素電極に供給し、前記現フレームの補正階調データの方が前記1フレーム前の補正階調データよりも小さい場合は前記現フレームの補正階調データよりも小さい階調データに対応する表示信号電圧を前記画素電極に供給する第2比較ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、動画であっても表示品位を低下させることなく、比較的少ないメモリ容量でオーバードライブ駆動が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】液晶表示装置の説明図
【図2】表示画素の等価回路の説明図
【図3】走査ドライバの動作を説明するためのタイミングチャート
【図4】信号ドライバの機能ブロック構成図
【図5】データ変換部の説明図
【図6】第二ルックアップテーブルの説明図
【図7】液晶の応答特性の説明図であり、(a)はオーバードライブ期間に液晶の応答が完了する例、(b)はオーバードライブ期間には液晶の応答が完了しない例
【図8】第一ルックアップテーブルの説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
本発明に係る液晶表示装置1の概略全体構成は図1に示すように、例えば外部から供給される映像データDinに基づく映像が表示される表示パネル10と、表示パネル10の走査信号線を走査するための走査ドライバ11と、表示パネル10のデータ信号線に表示信号電圧を供給するための信号ドライバ12と、表示パネル10に所望の映像が表示されるように走査ドライバ11や信号ドライバ12を制御する制御部13と、供給される電源Vccを駆動に必要な電圧に調整して各部に供給する電源調整回路14等を有している。
【0015】
表示パネル10は、対向配置され、シール材15により接着された2枚の基板間16、17に液晶が挟持された構成となっている。そして、一方の基板16には、行方向に延伸配設された複数の走査信号線(例えばn本の走査信号線)と、列方向に延伸配設された複数のデータ信号線(例えばm本のデータ信号線)とが形成されている。そして、走査信号線とデータ信号線との各交点近傍には、薄膜トランジスタ(TFT)111と画素電極とからなる表示画素が設けられている。
【0016】
図2は、表示パネル10に設けられた複数の表示画素の内の1つの表示画素に対応する等価回路を示す図である。走査信号線G(j)には薄膜トランジスタ(TFT)111のゲート電極が接続され、データ信号線S(i)にはTFT111のソース電極が接続されている。更に、TFT111のドレイン電極には画素電極が接続されている。そして、画素電極と対向するように、他方の基板17には共通電極18が配され、画素電極と共通電極18との間に液晶が充填されている。さらに、このようにして構成される液晶容量Clcdと並列になるように蓄積容量Ccsが接続されている。このような構成において、画素電極と共通電極との間に電圧が印加されると、この電圧に応じて画素電極と共通電極との間に充填された液晶の配向状態が変化して液晶層中における光の透過率が変化する。これにより、図2に示す表示画素の背面に配置された図示しない光源(バックライト)からの光の透過状態が変化して映像表示が行われる。ここで、i=1,2,3,・・・,m。j=1,2,3,・・・,n。なお、共通電極は、各表示画素間で共通の電位Vcomとなるように設定されている。
【0017】
走査ドライバ11は、各走査信号線G(j)が接続され、制御部13から出力される垂直制御信号Vsに基づいて各フレームにおける走査信号線G(j)の走査を開始するとともに、制御部13から出力される水平制御信号Hsに基づいて各走査信号線G(j)を個別に選択状態にする。
【0018】
具体的には、走査ドライバ11は、図3に示すように、制御部13から出力される垂直制御信号Vsが入力されると、当該フレームにおける走査信号線G(j)の走査を開始する。そして、水平制御信号Hsに基づいて前段側の走査信号線G(1)から後段側の走査信号線G(n)に向かって順に走査信号を所定の時間だけTFTがオフ状態になるゲートオフ電圧VglからTFTがオン状態になるゲートオン電圧Vghに切り換える。
【0019】
信号ドライバ12は、制御部13から出力される垂直同期信号Vs、水平同期信号Hs、各表示画素に対応した階調データDout及び基準クロック信号CLKに基づいて、表示パネル10に設けられた各データ信号線S(i)に対して、各データ信号線S(i)に対応する表示信号電圧を所定のタイミングで出力する。
【0020】
信号ドライバ12の機能ブロック構成は、図4に示すように、サンプリングメモリ121、データラッチ部122、D/A変換回路(DAC)123、及び表示信号電圧生成回路124からなる。
【0021】
サンプリングメモリ121は、制御部13から出力される水平同期信号Hs及び基準クロック信号CLKに同期して、走査信号線一本分の表示画素に対する階調データ(1水平期間分の階調データ)単位で、各表示画素に対応する階調データDoutを前段側の走査信号線に対応するものから順に一時記憶するためのものであり、データ信号線S(i)の数と同数のデータ格納領域を備えている。つまり、サンプリングメモリ121は、走査信号線毎に当該走査信号線に対応した表示画素の階調データを取り込むとともに、当該取り込んだ階調データDoutのそれぞれを、対応するデータ信号線S(i)のデータ格納領域に格納する。ここで、階調データDoutは、各表示画素に表示すべき階調レベル情報であり、この階調レベル情報は、表示画素毎に例えば3ビットのデジタルデータとして表される。そして、各データ格納領域には、この8ビットのデジタルデータが格納される。
【0022】
サンプリングメモリ121が取り込んだ1水平期間分の階調データDoutは、後段のデータラッチ部122からの要求にしたがって、サンプリングメモリ121からデータラッチ部122に転送される。データラッチ部122に階調データDoutが転送されると、サンプリングメモリ121は、次の1水平期間分の階調データDoutとして次の行の走査信号線に対応した階調データDoutの取り込み状態に移る。これは、水平同期信号Hsに同期して行われる。
【0023】
データラッチ部122は、水平同期信号Hsに基づいて、サンプリングメモリ121から1水平期間分の階調データDoutを一斉に取得するとともに、取得した階調データDoutを後段のD/A変換回路123に出力する。
【0024】
D/A変換回路123は、複数のDAC部125及び出力アンプ回路126で構成され、DAC部125により表示信号電圧生成回路124から供給される表示信号電圧が選択されることで、データラッチ部122から出力されてくるそれぞれの階調データDoutが、対応するアナログ信号としての表示信号電圧に変換され、出力アンプ回路126によりデータ信号線S(i)へ出力される。そして、データ信号線S(i)に出力された表示信号電圧は、走査信号線G(j)を介して走査ドライバ11によりオン状態にされているTFT111に対応する表示画素の画素電極に印加されるとともに保持される。
【0025】
制御部13は、図1に示すように、例えば外部から供給される映像データDinを一時記憶するとともに当該映像データに基づいて各表示画素に対応した階調データDoutを生成して信号ドライバ12に出力するデータ変換部20と、データ変換部20により出力される階調データDoutの出力タイミングに同期した垂直同期信号Vs、水平同期信号Hs及び基準クロック信号CLK等の各種制御信号を生成して出力する制御信号生成部21等から構成されている。
【0026】
データ変換部20は、図5に示すように、一時記憶した映像データDinから各表示画素の座標に対応させて現在のフレームの階調データD(t)(以下、「現フレーム階調データD(t)」と記す)を抽出して表示画素毎に出力する第一メモリ201と、第一メモリ201から出力される現フレーム階調データD(t)を取得して当該現フレーム階調データD(t)を1フレーム遅延させることにより現在のフレームに対して1フレーム前の階調データD(t−1)(以下、「1フレーム前階調データD(t−1)」と記す)を出力する第二メモリ202と、現フレーム階調データD(t)と1フレーム前階調データD(t−1)とを各表示画素に対応させて比較し詳細は後述する現在のフレームの補正階調データDh(t)(以下、「現フレーム補正階調データDh(t)」と記す)を出力する第一比較手段203と、第一比較手段203から出力される現フレーム補正階調データDh(t)を取得して当該現フレーム補正階調データDh(t)を1フレーム遅延させることにより現在のフレームに対して1フレーム前の補正階調データDh(t−1)(以下、「1フレーム前補正階調データDh(t−1)」と記す)を出力する第三メモリ204と、現フレーム補正階調データDh(t)と1フレーム前補正階調データDh(t−1)とに基づいた階調データDoutを信号ドライバ12に出力する第二比較手段205等とから構成されている。
【0027】
第二比較手段205は、例えば図6に示すような第一ルックアップテーブルLT1が予め記憶されている。第一ルックアップテーブルLT1は、到達側設定階調データとしての詳細はさらに後述の現フレーム補正階調データDh(t)とスタート側設定階調データとしての1フレーム前補正階調データDh(t−1)とに基づいて当該第二比較手段205から信号ドライバ12に出力する階調データDoutを選択するための比較表であり、表示画素の輝度表示を変化させるために画素電極に印加される表示信号電圧を変化させる際に表示信号電圧が所謂オーバードライブするように設定されている。
【0028】
具体的には、第一ルックアップテーブルLT1では、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベルと1フレーム前補正階調データDh(t−1)が示す階調レベルとが等しい場合は、現フレーム補正階調データDh(t)と等しい階調レベルを示す階調データが選択されるように設定されている。例えば、現フレーム補正階調データDh(t)と1フレーム前補正階調データDh(t−1)とが共に階調レベル「0」を示す場合には、階調レベル「0」を示す階調データが選択されるように設定されている。
【0029】
また、第一ルックアップテーブルLT1では、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベルの方が1フレーム前補正階調データDh(t−1)が示す階調レベルよりも大きい場合は、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベル以上の階調レベルを示す階調データが選択されるように設定されている。例えば、現フレーム補正階調データDh(t)が中間階調レベルである階調レベル「6」を示し、1フレーム前補正階調データDh(t−1)が階調レベル「0」を示す場合には、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベル「6」よりも大きい階調レベル「7」を示す階調データが選択されるように設定されている。また例えば、現フレーム補正階調データDh(t)が最大階調レベルである階調レベル「7」を示し、1フレーム前補正階調データDh(t−1)が「0」を示す場合には、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベル「7」と等しい階調レベル「7」を示す階調データが選択されるように設定されている。
【0030】
さらに、第一ルックアップテーブルLT1では、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベルの方が1フレーム前補正階調データDh(t−1)が示す階調レベルよりも小さい場合には、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベル以下の階調レベルを示す階調データが選択されるように設定されている。例えば、現フレーム補正階調データDh(t)が中間階調レベルである階調レベル「1」を示し、1フレーム前補正階調データDh(t−1)が階調レベル「7」を示す場合には、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベル「1」よりも小さい階調レベル「0」を示す階調データが選択されるように設定されている。また例えば、現フレーム補正階調データDh(t)が最小階調レベルである階調レベル「0」を示し、1フレーム前補正階調データDh(t−1)が「7」を示す場合には、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベル「0」と等しい階調レベル「0」を示す階調データが選択されるように設定されている。
【0031】
即ち、第二比較手段205は、第一ルックアップテーブルLT1に基づいて現フレーム補正階調データDh(t)と1フレーム前補正階調データDh(t−1)とを各表示画素に対応させて比較し、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベルと1フレーム前補正階調データDh(t−1)が示す階調レベルとが等しい場合は現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベルを階調データDoutとして出力し、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベルの方が1フレーム前補正階調データDh(t−1)が示す階調レベルよりも大きい場合は現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベル以上の階調レベルを階調データDoutとして出力し、現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベルの方が1フレーム前補正階調データDh(t−1)が示す階調レベルよりも小さい場合は現フレーム補正階調データDh(t)が示す階調レベル以下の階調レベルを階調データDoutとして出力する。
【0032】
ここで、図6に示す第一ルックアップテーブルLT1において、非斜体文字で示されるものは、当該オーバードライブが実施されることにより、図7(a)に示すようにオーバードライブ期間(1フレーム期間)で当該表示画素における輝度変化が完了するのに十分な液晶の応答速度が得られるスタート側設定階調データと到達側設定階調データとの組み合わせを示している。一方、斜体文字で示されるものは、当該オーバードライブが実施されることにより液晶の応答速度が向上するものの、図7(b)に示すように、1フレーム期間で当該表示画素における輝度変化が完了するのには不十分な液晶の応答速度しか得られないスタート側設定階調データと到達側設定階調データとの組み合わせを示している。換言すると、オーバードライブによって例えば16msの液晶の応答速度を実現することが可能な条件と実現が難しい条件とを文字形態の違いにより表現している。
【0033】
第一比較手段203は、例えば図8に示すような第二ルックアップテーブルLT2が予め記憶されている。第二ルックアップテーブルLT2は、現フレーム階調データD(t)と1フレーム前階調データD(t−1)とに基づいて当該第一比較手段204から出力する現フレーム補正階調データDh(t)を選択するための比較表である。
【0034】
第二ルックアップテーブルLT2では、1フレーム前階調データD(t−1)をスタート側設定階調データとするとともに現フレーム階調データD(t)を到達側設定階調データとして前述の第一ルックアップテーブルLT1に基づいて画素電極に印加される表示信号電圧を仮にオーバードライブさせた際にオーバードライブ期間に当該表示画素における輝度変化が完了するのに十分な液晶の応答速度が得られる組み合わせのもの対して、現フレーム階調データD(t)が示す階調レベルと等しい階調レベルが現フレーム補正階調データDh(t)として選択されるように設定されている。
【0035】
例えば、表示画素での輝度表示を階調レベル「0」から階調レベル「4」に切り換えるために、第一ルックアップテーブルLT1にスタート側設定階調データとして階調レベル「0」が入力されるとともに到達側設定階調データとして階調レベル「4」が入力される場合には、階調レベル「7」を示す階調データDoutが信号ドライバ12に所定の期間出力されることにより、図7(a)に示したように、オーバードライブ期間に当該表示画素における輝度変化が完了するだけの十分な液晶の応答速度が得られるものとする。そして、このような液晶の応答特性の下、第二ルックアップテーブルLT2に1フレーム前階調データD(t−1)が階調レベル「0」を示すものとして入力されるとともに現フレーム階調データD(t)が階調レベル「4」を示すものとして入力された際には、現フレーム階調データD(t)が示す階調レベル「4」に等しい階調レベル「4」が現フレーム補正階調データDh(t)として選択されるように設定されている。
【0036】
また、第二ルックアップテーブルLT2では、1フレーム前階調データD(t−1)をスタート側設定階調データとするとともに現フレーム階調データD(t)を到達側設定階調データとして前述の第一ルックアップテーブルLT1に基づいて画素電極に印加される表示信号電圧を仮にオーバードライブさせた際にオーバードライブ期間に当該表示画素における輝度変化が完了するのには不十分な液晶の応答速度しか得られない組み合わせのもの対しては、当該スタート側階調データに対してのオーバードライブ期間に表示画素の輝度変化を完了させることのできる到達側設定階調データであって、現フレーム階調データD(t)が示す階調レベルに最も近い階調レベルが現フレーム補正階調データDh(t)として選択されるように設定されている。
【0037】
例えば、表示画素での輝度表示を階調レベル「0」から階調レベル「6」に切り換えるために、第一ルックアップテーブルLT1にスタート側設定階調データとして階調レベル「0」が入力されるとともに到達側設定階調データとして階調レベル「6」が入力される場合には、階調レベル「7」を示す階調データDoutが信号ドライバ12に所定の期間出力されることにより液晶の応答速度が向上するものの、図7(b)に示したように、オーバードライブ期間に当該表示画素における輝度変化が完了するのには不十分な液晶の応答速度しか得られないものとする。そして、このような液晶の応答特性の下、第二ルックアップテーブルLT2に1フレーム前階調データD(t−1)が階調レベル「0」を示すものとして入力されるとともに現フレーム階調データD(t)が階調レベル「6」を示すものとして入力された際には、当該スタート側階調データとしての階調レベル「0」に対してオーバードライブ期間に表示画素の輝度変化を完了させることのできる到達側設定階調データであって、現フレーム階調データD(t)が示す階調レベル「6」に最も近い階調レベル「4」が現フレーム補正階調データDh(t)として選択されるように設定されている。
【0038】
即ち、第一比較手段203は、オーバードライブ駆動する際に、現フレーム階調データD(t)と1フレーム前階調データD(t−1)とを比較し、オーバードライブ期間に液晶の応答が完了するように予め到達側設定階調データとしての現フレーム階調データD(t)を現フレーム補正階調データDh(t)に補正している。そしてこのとき、1フレーム前階調データD(t−1)に対応した輝度表示から現フレーム階調データD(t)に対応した輝度表示へオーバードライブ期間に応答完了可能と判断される場合は現フレーム階調データD(t)をそのまま現フレーム補正階調データDh(t)として出力し、オーバードライブ期間に応答完了不可能と判断される場合は応答完了と判断される到達側設定階調データを現フレーム補正階調データDh(t)として出力する。
【0039】
そして、このように階調データを補正することにより、オーバードライブ期間の終了タイミングT1において表示画素が表示している輝度と意図された階調データとの間に誤差を生じさせることがない。従って、たとえフレーム間で画像が連続的に変化するような場合(例えば動画表示のような場合)であっても、累積的に誤差が蓄積されることを防止したオーバードライブ駆動を実施でき表示品位を維持することができる。さらに、2次元からなるルックアップテーブルを予め2つだけ記憶させておけばよいので、3次元からなるルックアップテーブルを予め記憶させておく場合と比較し、ルックアップテーブルを記憶させておくためのメモリ容量を大幅に削減することが可能になる。
【0040】
上述した実施の形態は、本発明の一例に過ぎず、各機能ブロックの具体的な構成は本発明の作用効果を奏する範囲において適宜変更設計できることはいうまでもない。例えば、上述の実施形態では、階調データが3ビットの場合について説明したが、当該ビット数に限定するものではなく、他のビット数に設定されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1:表示装置
10:表示パネル
11:走査ドライバ
12:信号ドライバ
13:制御部
14:電源調整回路
20:データ変換部
21:制御信号生成部
201:第一メモリ
202:第二メモリ
203:第一比較手段
204:第三メモリ
205:第二比較手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調データに対応した表示信号電圧を表示画素の画素電極に供給し、前記表示画素が前記画素電極に供給された表示信号電圧に応じて前記階調データに対応した輝度を表示する液晶表示装置であって、
現フレームの階調データと前記現フレームの階調データに対して1フレーム前の階調データとを比較し、前記1フレーム前の階調データに対応した輝度表示から前記現フレームの階調データに対応した輝度表示へオーバードライブ期間に応答完了可能と判断される場合は前記現フレームの階調データを現フレームの補正階調データとして出力し、前記オーバードライブ期間に応答完了不可能と判断される場合は応答完了と判断される到達側設定階調データを前記現フレームの補正階調データとして出力する第1比較手段と、
前記現フレームの補正階調データと前記現フレームの補正階調データに対して1フレーム前の補正階調データとを比較し、等しい場合は前記現フレームの階調データに対応した表示信号電圧を前記画素電極に供給し、前記現フレームの補正階調データの方が前記1フレーム前の補正階調データよりも大きい場合は前記現フレームの補正階調データよりも大きい階調データに対応する表示信号電圧を前記画素電極に供給し、前記現フレームの補正階調データの方が前記1フレーム前の補正階調データよりも小さい場合は前記現フレームの補正階調データよりも小さい階調データに対応する表示信号電圧を前記画素電極に供給する第2比較手段と、を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1比較手段は、ルックアップテーブルに基づいて前記現フレームの補正階調データを出力することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
階調データに対応した表示信号電圧を表示画素の画素電極に供給し、前記表示画素が前記画素電極に供給された表示信号電圧に応じて前記階調データに対応した輝度を表示する液晶表示装置の駆動方法であって、
現フレームの階調データと前記現フレームの階調データに対して1フレーム前の階調データとを比較し、前記1フレーム前の階調データに対応した輝度表示から前記現フレームの階調データに対応した輝度表示へオーバードライブ期間に応答完了可能と判断される場合は前記現フレームの階調データを現フレームの補正階調データとして出力し、前記オーバードライブ期間に応答完了不可能と判断される場合は応答完了と判断される到達側設定階調データを前記現フレームの補正階調データとして出力する第1比較ステップと、
前記現フレームの補正階調データと前記現フレームの補正階調データに対して1フレーム前の補正階調データとを比較し、等しい場合は前記現フレームの階調データに対応した表示信号電圧を前記画素電極に供給し、前記現フレームの補正階調データの方が前記1フレーム前の補正階調データよりも大きい場合は前記現フレームの補正階調データよりも大きい階調データに対応する表示信号電圧を前記画素電極に供給し、前記現フレームの補正階調データの方が前記1フレーム前の補正階調データよりも小さい場合は前記現フレームの補正階調データよりも小さい階調データに対応する表示信号電圧を前記画素電極に供給する第2比較ステップと、を有することを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−160350(P2010−160350A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2853(P2009−2853)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】