説明

液晶表示装置及び投射型表示装置

【課題】低屈折率層の屈折率の選択幅を拡げることができる液晶表示装置及び投射型表示装置を提供すること。
【解決手段】液晶層13を挟持する素子基板11及び対向基板12を備え、素子基板11が、画素電極21と、画素電極21上に斜方蒸着によって形成された低屈折率層35と、低屈折率層35上に形成されて低屈折率層35よりも屈折率の高い高屈折率層36と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及び投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プロジェクタの光変調手段として液晶表示装置が用いられている。この液晶表示装置には、バックライトからの光を変調して透過光として出射させる透過型と、入射した光を変調して反射光として出射させる反射型と、がある。反射型の液晶表示装置は、液晶層を挟持する一対の基板を備えており、一方の基板には、射した光を反射させる反射電極が形成されている。
【0003】
このような構成の反射型の液晶表示装置において、一方の基板における入射光の反射効果を増大させるため、電極上に低屈折率層と高屈折率層とを積層した増反射層を設けることによって反射光の光量を増大させることが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。ここで、低屈折率層としては、例えば酸化珪素が用いられており、高屈折率層としては、例えば窒化珪素が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−156717号公報
【特許文献2】特開2006−133331号公報
【特許文献3】特開2007−293243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の液晶表示装置においても、以下の課題が残されている。すなわち、低屈折率層として使用可能な材料に制限があるため、低屈折率層の屈折率を変更できないという問題がある。特に、低屈折率層の屈折率を酸化珪素の屈折率である1.4よりも小さい値とすることが困難であるという問題がある。
【0006】
したがって、本発明は、低屈折率層の屈折率の選択幅を拡げることができる液晶表示装置及び投射型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかる液晶表示装置は、液晶層を挟持する第1及び第2基板を備える液晶表示装置であって、前記第1基板が、反射層と、前記反射層上に斜方蒸着によって形成された低屈折率層と、前記低屈折率層上に形成されて前記低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層と、を有することを特徴とする。
【0008】
この発明では、低屈折率層を斜方蒸着で形成して低屈折率層の密度を適宜変更することにより、低屈折率層の屈折率の選択幅を拡げることができる。すなわち、斜方蒸着によって低屈折率層を構成する材料のカラムを反射層上に形成すると、例えばCVD法などによって形成する場合と比較して、低屈折率層の密度が低くなる。これにより、低屈折率層の屈折率を小さくすることが可能となる。そして、カラムの密度を適宜変更することによっても低屈折率層の屈折率を調整できる。したがって、低屈折率層の屈折率の選択幅が広がり、より大きな反射効果を得ることが可能となる。さらに、低屈折率層の層厚だけではなく屈折率にも選択幅が広がるため、反射効果を最適化するための設計自由度が向上する。
【0009】
また、本発明における液晶表示装置は、前記高屈折率層が、斜方蒸着によって形成されていることが好ましい。
この発明では、高屈折率層も斜方蒸着によって形成することで、高屈折率層の屈折率の選択幅が広がり、反射効果を最適化するための設計自由度がさらに向上する。
【0010】
また、本発明における液晶表示装置は、前記液晶層が、負の誘電率異方性を呈する液晶分子によって構成されていることが好ましい。
この発明では、斜方蒸着によって形成される低屈折率層が基板面の法線方向に対して傾斜した二軸性の光学異方性を有する位相差補償層として機能するため、VA(Vertical Alignment)モードで駆動する液晶表示装置のコントラストを向上させることができる。
【0011】
また、本発明における液晶表示装置は、前記反射層が、前記液晶層を構成する液晶分子を駆動する反射電極であることが好ましい。
また、本発明における液晶表示装置は、アルミニウムまたは銀あるいはこれらを含む金属で形成されていることとしてもよい。
この発明では、反射機能を有する材料を用いて電極を形成することにより、反射層を別途形成する必要がなくなる。
【0012】
また、本発明における液晶表示装置は、前記低屈折率層が、酸化珪素によって形成されていることとしてもよい。
また、本発明における液晶表示装置は、前記高屈折率層が、窒化珪素によって形成されていることとしてもよい。
この発明では、低屈折率層を屈折率の低い酸化珪素で形成し、高屈折率層を酸化珪素よりも屈折率が高い窒化珪素で形成する。
【0013】
また、本発明における液晶表示装置は、前記高屈折率層上に保護層が形成されていることが好ましい。
この発明では、保護層を形成することによって表面を平坦化できる。
【0014】
また、本発明における投射型表示装置は、上記記載の液晶表示装置を備えることを特徴とする。
この発明では、上述のように、低屈折率層の屈折率の選択幅が広がり、より大きな反射効果を得ることが可能となり、さらに反射効果を最適化するための設計自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態における液晶表示装置を示す概略平面図である。
【図2】図1の等価回路図である。
【図3】画素領域を示す断面図である。
【図4】低屈折率層の屈折率と反射効果との関係を示すグラフである。
【図5】図1の液晶表示装置を備える投射型表示装置を示す概略構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における液晶表示装置を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における液晶表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
以下、本発明における液晶表示装置の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0017】
〔液晶表示装置〕
本実施形態における液晶表示装置1は、例えば後述するプロジェクタ(投射型表示装置)100において光変調手段として用いられる液晶表示装置であって、図1に示すように、素子基板(第1基板)11及び対向基板(第2基板)12と、素子基板11及び対向基板12の間に挟持された液晶層13と、を備えている。また、液晶表示装置1は、素子基板11及び対向基板12が対向する対向領域の外周部に設けられた枠状のシール材14によって素子基板11と対向基板12とを貼り合わせている。そして、液晶表示装置1におけるシール材の内側に、画像表示領域が形成されている。
【0018】
液晶表示装置1の画像表示領域には、図2に示すように、複数の画素領域がマトリクス状に配置されている。この画素領域それぞれには、画素電極(反射層,反射電極)21及び後述する共通電極43と、画素電極21をスイッチング制御するためのTFT素子22と、が形成されている。また、画像表示領域には、複数のデータ線23及び走査線24が格子状に配置されている。
【0019】
TFT素子22は、ソースがデータ線23に接続され、ゲートが走査線24に接続されると共に、ドレインが画素電極21に接続されている。
データ線23は、図示しないデータ線駆動回路から画像信号S1〜Snが画素領域それぞれに供給される構成となっている。また、走査線24は、図示しない走査線駆動回路から走査信号G1〜Gmがサブ画素領域それぞれに供給される構成となっている。なお、画素電極21に書き込まれた画像信号S1〜Snのリークを防止するため、画素電極21と並列に保持容量25が設けられている。また、液晶表示装置1には、データ線駆動回路及び走査線駆動回路と液晶表示装置1の外部とを接続するための端子(図示略)が形成されている。
【0020】
次に、液晶表示装置1の詳細な構成について説明する。
素子基板11は、図3に示すように、基板本体31と、基板本体31の内側(液晶層13側)の表面に形成された素子形成層32と、素子形成層32上に形成された画素電極21と、画素電極21上に形成された増反射層33と、増反射層33の液晶層13側に形成された配向膜34と、を備えている。
素子形成層32は、絶縁膜や半導体膜、導体膜を適宜積層した構成となっており、データ線23及び走査線24やTFT素子22を構成し、複数の画素領域それぞれに形成された画素電極21を個別に駆動可能となっている。
画素電極21は、例えばAlまたは銀あるいはこれらのいずれかを含む合金など、反射膜としても機能する導電材料で形成されている。
【0021】
増反射層33は、画素電極21上に形成された低屈折率層35と、低屈折率層35よりも屈折率の高い高屈折率層36と、を有している。
低屈折率層35は、例えば酸化珪素(SiO)で形成されており、斜方蒸着によって画素電極21を覆うように形成されている。また、低屈折率層35を構成する酸化珪素のカラムは、素子基板11の基板面の法線方向に対して例えば45度傾けられている。低屈折率層35の屈折率は、酸化珪素のカラム間に空気が入り込んで密度が低くなることにより、例えばプラズマCVD法によって低屈折率層35を密に形成する場合と比較して低くなる。なお、カラムの傾斜角度は、45度に限られない。そして、低屈折率層35の屈折率の調整は、カラムの傾斜角度や低屈折率層35の蒸着速度、蒸着圧力などによって行われる。一般的に、傾斜角度を大きくすること、蒸着速度を遅くすること、及び蒸着圧力を高くすること、によって低屈折率層35の密度を低くすることができる。
【0022】
また、低屈折率層35は、素子基板11の基板面の法線方向に対して傾斜した二軸性光学異方性を有する。なお、低屈折率層35の遅相軸は、所定の膜厚で形成するカラムの傾斜方向や密度に応じて、カラムの傾斜方向に対して直交する方向またはカラムの傾斜方向と平行な方向となる。例えば、低屈折率層35の面内において、カラムの傾斜方向と略直交する方向のカラム間に入り込む空気よりも、カラムの傾斜方向のカラム間に多くの空気が入り込むとカラムの傾斜方向と略直交した方向の屈折率が大きくなり、カラムの傾斜方向と略直交した方向が遅相軸となる。つまり、低屈折率層35が面内において略直交する2方向で膜密度が異なることから屈折率の分布(異方性)が生じ、膜密度の高い方向で屈折率が高くなり遅相軸を発現させている。
【0023】
ここで、低屈折率層35は、屈折率が例えば1.2から1.5であり、膜厚が例えば30nmから100nmである。また、低屈折率層35の複屈折と低屈折率層35の層厚との積であるリタデーション量Δndは、例えば0.01nmから3nmとなっている。
高屈折率層36は、例えば窒化珪素(SiN)で形成されており、例えばプラズマCVD法によって低屈折率層35上に形成されている。ここで、高屈折率層36は、斜方蒸着によって形成された低屈折率層35のカラムの隙間に入り込んで形成されており、屈折率が例えば1.98であり、膜厚が例えば30nmから100nmである。また、高屈折率層36が低屈折率層35の表面を覆って形成されることによって、低屈折率層35の斜方蒸着膜への水分の吸着が抑えられる。
配向膜34は、例えばSiOで形成されており、斜方蒸着によって高屈折率層36上に形成されている。
【0024】
一方、対向基板12は、例えばガラスや石英などの透光性材料からなる基板本体(基体)41と、基板本体41の内側の表面に形成された遮光膜42と、遮光膜42上に形成された共通電極43と、共通電極43上に形成された第2誘電体層44と、第2誘電体層44の液晶層13側に形成された配向膜45と、を備えている。
遮光膜42は、例えば黒色樹脂で構成され、基板本体41の表面において平面視で画素領域の縁部と重なる領域に形成されており、画素領域を縁取っている。
【0025】
共通電極43は、例えばITOやIZOなど透光性の導電材料で形成されている。この共通電極43は、複数の画素領域全体にわたって共通する電極となっている。
誘電体層44は、例えば酸化珪素や窒化珪素で形成されており、共通電極43及び遮光膜42を覆っている。
配向膜45は、配向膜34と同様に、例えばSiOで形成されており、斜方蒸着によって共通電極43上に形成されている。
【0026】
液晶層13は、屈折率異方性Δnが例えば0.1である負の誘電率異方性を有する液晶によって形成されている。この液晶分子は、電圧を印加していない初期配向状態において素子基板11及び対向基板12の液晶層13に隣接する界面に対して概ね垂直に配向している。ここで、初期配向状態における液晶分子は、素子基板11及び対向基板12の基板面内の所定の方位角方向に向けて概ね一様に基板の法線方向から傾斜しておりプレチルトを有している。
【0027】
図4には、高屈折率層36の屈折率を1.98とし、低屈折率層35の屈折率を変更させたときの反射強度が示されている。図4では、増反射層33を設けない場合の反射強度を100としている。
図4からも分かるように、低屈折率層35の屈折率を小さくするにしたがって、赤、緑及び青それぞれの波長における反射強度が増大する。
【0028】
また、低屈折率層35の屈折率を一定とし、高屈折率層36を設けない場合において、低屈折率層35の層厚を変化させたときのコントラストの変化を、以下の表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
表1からも分かるように、低屈折率層35が位相差補償層として機能することにより、コントラストが向上する。
【0031】
〔投射型表示装置〕
そして、上述した液晶表示装置1は、例えば図5に示すようなプロジェクタ100の光変調手段として用いられる。このプロジェクタ100は、図5に示すように、光源101と、ダイクロイックミラー102、103と、本発明の液晶表示装置1からなる赤色光用光変調手段104、緑色光用光変調手段105及び青色光用光変調手段106と、導光手段107と、反射ミラー110〜112と、クロスダイクロイックプリズム113と、投射レンズ114とを備えている。そして、プロジェクタ100から出射したカラー画像光は、スクリーン115上に投影される。
【0032】
光源101は、メタルハライドなどのランプ101aと、ランプ101aの光を反射するリフレクタ101bとを備えている。
ダイクロイックミラー102は、光源101からの白色光に含まれる赤色光を透過させると共に、緑色光と青色光とを反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー103は、ダイクロイックミラー102で反射された緑色光及び青色光のうち青色光を透過させると共に緑色光を反射する構成となっている。
【0033】
赤色光用光変調手段104は、ダイクロイックミラー102を透過した赤色光が入射され、入射した赤色光を所定の画像信号に基づいて変調する構成となっている。また、緑色光用光変調手段105は、ダイクロイックミラー103で反射された緑色光が入射され、入射した緑色光を所定の画像信号に基づいて変調する構成となっている。そして、青色光用光変調手段106は、ダイクロイックミラー103を透過した青色光が入射され、入射した青色光を所定の画像信号に基づいて変調する構成となっている。
【0034】
導光手段107は、入射レンズ107aとリレーレンズ107bと出射レンズ107cとによって構成されており、青色光の光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。
反射ミラー110は、ダイクロイックミラー102を透過した赤色光を赤色光用光変調手段104に向けて反射する構成となっている。また、反射ミラー111は、ダイクロイックミラー103及び入射レンズ107aを透過した青色光をリレーレンズ107bに向けて反射する構成となっている。また、反射ミラー112は、リレーレンズ107bを出射した青色光を出射レンズ107cに向けて反射する構成となっている。
【0035】
クロスダイクロイックプリズム113は、4つの直角プリズムを貼り合わせることによって構成されており、その界面には赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これら誘電体多層膜により3つの色の光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。
投射レンズ114は、クロスダイクロイックプリズム113によって合成されたカラー画像を拡大してスクリーン115上に投影する構成となっている。
【0036】
以上のような構成の液晶表示装置1及びプロジェクタ100によれば、低屈折率層35を斜方蒸着で形成して低屈折率層35の密度を調整することにより、低屈折率層35の屈折率の選択幅が広がり、より大きな反射効果を得ることが可能となる。さらに、低屈折率層35の層厚だけではなく屈折率にも選択幅が広がるため、増反射層33による反射効果を最適化するための設計自由度が向上する。
また、液晶層13がVAモードで駆動する液晶分子によって構成され、低屈折率層35が傾斜した二軸性光学異方性を有する位相差補償層として機能しており、低屈折率層35が液晶層13による位相差を補償するため、液晶表示装置1のコントラストを向上させることができる。
【0037】
[第2の実施形態]
以下、本発明における液晶表示装置の第2の実施形態を、図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と素子基板の構成が異なるため、この点を中心に説明すると共に、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
本実施形態における液晶表示装置200の素子基板201では、図6に示すように、増反射層202を構成する高屈折率層203が斜方蒸着によって形成されている。
高屈折率層203を構成する窒化珪素のカラムは、素子基板201の基板面の法線方向に対して例えば45度傾けられている。そのため、高屈折率層203の屈折率は、第1の実施形態における高屈折率層36のように例えばプラズマCVD法によって形成する場合と比較して低くなる。また、高屈折率層203は、素子基板201の基板面の法線方向に対して傾斜した二軸性光学異方性を有する。なお、面内において、高屈折率層203の光学軸(遅相軸)と低屈折率層35の光学軸(遅相軸)とは、同方向であってもよく、面内で直交する方向であってもよい。また、低屈折率層35及び高屈折率層203のそれぞれに遅相軸を有する場合は、液晶層13における液晶分子の位相差(プレチルトに起因した位相差)を少なからず補償することができように、それぞれの遅相軸が配置設定されている。
ここで、高屈折率層203は、屈折率が例えば1.6から2.1であり、膜厚が例えば30nmから100nmである。また、高屈折率層203の複屈折と高屈折率層203の層厚との積であるリタデーション量Δndは、例えば0.01nmから8nmとなっている。
【0039】
以上のような構成の液晶表示装置200においても、上述と同様の作用、効果を奏するが、高屈折率層203も斜方蒸着によって形成することで、高屈折率層203の屈折率の選択幅が広がり、反射効果を最適化するための設計自由度がさらに向上する。
また、高屈折率層203も位相差補償層として機能しており、増反射層202全体として液晶層13による位相差を補償するため、液晶表示装置1のコントラストをさらに向上させることができる。
【0040】
[第3の実施形態]
以下、本発明における液晶表示装置の第3の実施形態を、図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、第2の実施形態と素子基板の構成が異なるため、この点を中心に説明すると共に、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
本実施形態における液晶表示装置250の素子基板251では、図7に示すように、増反射層202上に保護層252が形成されている。
保護層252は、例えば酸化珪素や窒化珪素で形成されており、増反射層202を覆っている。
以上のような構成の液晶表示装置250においても、上述と同様の作用、効果を奏するが、斜方蒸着によって形成された高屈折率層203上に保護層252を形成することで、表面を平坦化することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、低屈折率層は、酸化珪素以外の他の材料で形成されてもよい。同様に、高屈折率層は、窒化珪素以外の他の材料で形成されてもよい。
増反射層は、所望の反射効果に応じて、2層以上積層してもよい。
液晶層は、VA方式で駆動する液晶分子によって構成されているが、例えばNT(Twisted Nematic)方式で駆動する液晶分子など、他の方式で駆動する液晶分子によって構成されてもよい。
液晶表示装置は、反射型の液晶表示装置に限らず、半透過反射型の液晶表示装置であってもよい。
画素電極は、例えば反射機能を有する導電材料で形成されていれば、アルミニウムまたは銀あるいはこれらを含む金属以外の他の材料で形成されてもよく、反射層を別途設けておけば、透光性を有する導電材料などで形成されてもよい。
【0043】
液晶表示装置は、プロジェクタのような投射型の表示装置に限らず、例えば携帯電話機など直視型の表示装置に用いられてもよい。したがって、液晶表示装置を備える電子機器としては、プロジェクタなどの投射型表示装置に限らず、携帯電話機やPDA(携帯情報端末機)、ハンディターミナル、電子ブック、ノート型パーソナルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末など、種々の電子機器であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,200,250 液晶表示装置、11,201,251 素子基板(第1基板)、12 対向基板(第2基板)、13 液晶層、21 画素電極(反射電極,反射層)、34 配向膜、35 低屈折率層、36,203 高屈折率層、100 プロジェクタ(投射型表示装置)、104 赤色光用光変調手段(液晶表示装置)、105 緑色光用光変調手段(液晶表示装置)、106 青色光用光変調手段(液晶表示装置)、252 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層を挟持する第1及び第2基板を備える液晶表示装置であって、
前記第1基板が、反射層と、前記反射層上に斜方蒸着によって形成された低屈折率層と、前記低屈折率層上に形成されて前記低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層と、を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記高屈折率層が、斜方蒸着によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶層が、負の誘電率異方性を呈する液晶分子によって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記反射層が、前記液晶層を構成する液晶分子を駆動する反射電極であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記反射層が、アルミニウムまたは銀あるいはこれらを含む金属で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記低屈折率層が、酸化珪素によって形成されていることを特徴とする請求項1または5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記高屈折率層が、窒化珪素によって形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記高屈折率層上に保護層が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えることを特徴とする投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−209390(P2011−209390A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74996(P2010−74996)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】