説明

液晶表示装置,テレビジョン受像機

【課題】液晶パネルのエッジ部に配置された光源の発熱による装置内の温度上昇を抑制することのできる液晶表示装置及びテレビジョン受像機を提供すること。
【解決手段】液晶パネルにおける既定の上端部又は下端部のいずれか一方に配置され,前記液晶パネルの背面に設けられた導光板を通じて該液晶パネルを照明する光源を備えてなる液晶表示装置であって,前記液晶パネルにおける前記光源の位置を検出し(S1)、その検出された前記光源の位置が前記既定の上端部又は下端部と上下逆の位置であることを条件に(S2のYes側),その旨の報知(S3)及び前記光源の輝度低下(S7)のいずれか一方又は両方を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,液晶パネルの一辺に並設された複数のLEDにより該液晶パネルを照明する所謂エッジ型バックライトを備えた液晶表示装置及びテレビジョン受像機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,液晶テレビジョン受像機などの液晶表示装置では,光源にLEDを用いることにより省エネルギー化を図るLEDバックライトが用いられる。特に,液晶パネルの上端部及び下端部に複数のLEDを並べて配置する所謂エッジ型バックライトは薄型化が可能である(例えば特許文献1参照)。
また,液晶パネルの上端部又は下端部のいずれか一辺のみにLEDが配置されることがある。ここで,LEDを用いたエッジ型バックライトでは,LEDが高輝度で用いられて高温になる。そのため,液晶パネルの上端部又は下端部のいずれか一辺が高温となることを前提として液晶表示装置全体の放熱設計が行われる。
具体的に,液晶パネルの上端部又は下端部のいずれにLEDが配置される場合であっても,そのLEDの熱を製品のシャーシ(筐体)へ放熱させる構造が望ましい。さらに,液晶パネルの下端部の一辺にLEDが配置される構成では,例えばLEDの熱を自然対流により装置内に分散する構造が好適であり,その場合は装置内は自然対流をスムーズに行うような空気の流れを妨げない構造となる。他方,液晶パネルの上端部の一辺にLEDが配置される構成では,例えばLEDの熱を筐体の上方の開口から放熱させる構造が好適であり,その場合は装置の上部の開口部を大きく取り,熱が下部に伝達しにくい構造となる。このように,LEDの配置位置が液晶パネルの上端部であるか下端部であるかによって好適な放熱構造は異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−79488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,近年では,ワイヤレス通信により無線で映像データなどを送受信する技術が一般化され,電子書籍,PCタブレット及びテレビジョン受像機などを自由に持ち運んで使用する環境が整備されつつある。このような構成では,液晶パネルの上端部又は下端部のいずれか一方に配置されたLEDの位置は,液晶パネルが任意の姿勢で用いられることにより任意に変化することになる。そのため,LEDの位置が本来想定された位置と逆の位置に配置されると,事前に設計された放熱特性を発揮させることができなくなり,装置内部が高温になるおそれがある。
従って,本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,液晶パネルのエッジ部に配置された光源の発熱による装置内の温度上昇を抑制することのできる液晶表示装置及びテレビジョン受像機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明は,液晶パネルにおける既定の上端部又は下端部のいずれか一方に配置され,前記液晶パネルの背面に設けられた導光板を通じて該液晶パネルを照明する光源を備えてなる液晶表示装置であって,前記液晶パネルにおける前記光源の位置を検出する光源位置検出手段と,前記光源位置検出手段により検出された前記光源の位置が前記既定の上端部又は下端部と上下逆の位置であることを条件に,その旨の報知及び前記光源の輝度低下のいずれか一方又は両方を実行する高温対策手段と,を備えてなることを特徴とする液晶表示装置。ここに,例えば前記光源は前記液晶パネルの上端部又は下端部に沿って配列された複数のLEDである。
これにより,例えば当該液晶表示装置の上下(天地)が反転された状態で使用されていることがユーザーに報知される場合には,本来の状態に戻して使用すべきことを促すことができ,当該液晶表示装置の放熱特性を有効に利用して当該液晶表示装置の内部温度の上昇を抑制することができる。また,当該液晶表示装置の上下が反転された状態で使用されている場合に前記光源の輝度を自動的に低下させれば光源の消費電力が減少し,より確実に当該液晶表示装置の内部温度の上昇を抑制することができる。さらに,当該液晶表示装置の上下が反転された状態で使用されていることをユーザーに報知すると共に前記光源の輝度を自動的に低下させれば,液晶パネルの表示映像の輝度の低下の原因を故障と勘違いすることを防止できる。
【0006】
また,前記光源の輝度が自動的に急激に低下すると当該液晶表示装置の故障が疑われる。そこで,前記高温対策手段は,前記光源の輝度を徐々に低下させるものであることが望ましい。
さらに,前記高温対策手段が,前記報知を所定期間ごとに繰り返し実行するものであれば,ユーザーが該報知を見逃した場合でもその後にユーザーに認識させることができる。
ところで,本発明は,上述の映像表示装置を備えてなるテレビジョン受像機の発明として捉えることも可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば,液晶パネルのエッジ部に配置された光源の発熱による装置内の温度上昇を抑制することのできる液晶表示装置及びテレビジョン受像機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機の概略構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機の詳細構成を示すブロック図。
【図3】モニタ部の映像表示部の構成例を示す模式図。
【図4】モニタ部で実行される高温対策処理の手順の一例を示すフローチャート。
【図5】モニタ部で実行される高温対策処理の実行結果の一例を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず,図1を参照しつつ,本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xの外観構成について説明する。なお,本発明は,例えばパーソナルコンピュータ等に用いられるディスプレイ装置や,携帯電話などの携帯型端末などの液晶表示装置にも適用可能である。
図1に示すように,本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xは,映像を表示するモニタ部1(液晶表示装置の一例)と,該モニタ部1が着脱可能なクレードル部2とを備えている。ここに,図1(a)はモニタ部1をクレードル部2にセットした状態,図1(b)はモニタ部1をクレードル部2から取り外した状態を示している。
【0010】
クレードル部2は,テレビジョン放送局からテレビジョン放送信号を受信するための放送受信アンテナ3に接続されている。そして,クレードル部2は,放送受信アンテナ3から受信したテレビジョン放送信号を有線通信又は電波による無線通信でモニタ部1に入力する。これにより,モニタ部1は,入力されたテレビジョン放送信号に基づいてテレビ番組の映像を表示する。
なお,クレードル部2は,商用交流電源4に接続され,該商用交流電源4から供給される電力によって駆動する。一方,モニタ部1は,商用交流電源に接続されず,該モニタ部1に搭載された二次電池などから供給される電力によって駆動する。前記二次電池は,モニタ部1がクレードル部2に装着されることにより充電される。また,クレードル部2からモニタ部1に対して無線で電力を供給する無線電力伝送技術を採用してもよい。もちろん,モニタ部1が商用交流電源に接続可能である構成も考えられる。
【0011】
続いて,図2を参照しつつモニタ部1及びクレードル部2の詳細構成につて説明する。
図2に示すように,クレードル部2は,メイン制御部21,無線送受信部22,有線接続検出部23,映像処理部24,音声処理部25,チューナ26,外部入力部27,信号切換部28,OSD制御部29,有線インターフェース30などを備えている。
メイン制御部21は,CPU,RAM,ROMなどの制御機器を有しており,所定の制御プログラムに従って当該クレードル部2を統括的に制御するものである。なお,メイン制御部21は,ASICなどの電気回路であってもよい。
【0012】
チューナ26は,放送受信アンテナ3から地上デジタル放送やBS・CS放送などの各種テレビジョン放送の複数チャンネル分の映像信号及びその映像と同期した音声信号が重畳された信号(以下,放送信号という)を受信する。そして,チューナ26は,メイン制御部21から指示された放送チャンネルの信号を前記放送信号から抽出(選局)するとともに,その抽出信号の検波によって映像信号及び音声信号を取り出し,その映像信号及び音声信号を信号切換部28に入力する。
また,外部入力部27は,外部から入力されるコンポジット方式の映像信号及び音声信号や,セパレート方式の映像信号及び音声信号(いわゆるS端子の信号)等を信号切換部28に入力するインターフェースである。外部入力部27には,例えばDVDレコーダやブルーレイレコーダ,ハードディスクレコーダなどの映像再生装置Yが接続される。
信号切換部28は,メイン制御部21からの制御指示に従って選択したチューナ26及び外部入力部27のいずれか一方から入力される映像信号及び音声信号を映像処理部24及び音声処理部25に入力する。
【0013】
また,OSD制御部29は,メイン制御部21からの制御指示に従って,メニュー表示や電子番組表,各種のステータス情報(音量,表示チャンネル等)など,モニタ部1で映像に重畳して表示させるOSD情報を映像処理部24に入力する。
映像処理部24は,映像信号から水平同期信号及び垂直同期信号の分離,その同期信号に位相同期したクロック信号の生成,映像信号からの輝度信号及び色信号の分離,所定の画質改善処理などの各種映像処理を行い,その処理後の映像信号を出力するものである。また,映像処理部24は,OSD制御部29からOSD情報が入力されている場合,そのOSD情報を表示映像に重畳して表示するための映像信号を生成するOSD表示機能も有している。
【0014】
音声処理部25は,例えば入力される音声信号に対してイコライズ処理やサラウンド処理等の各種信号処理を施し,その処理後の音声信号を出力するものである。
そして,映像処理部24及び音声処理部25から出力された映像信号及び音声信号は,無線送受信部22及び有線インターフェース30のそれぞれに入力される。
【0015】
無線送受信部22は,アンテナ22aを通じて電波の送受信を行うことによりモニタ部1の無線送受信部12との間で無線データ通信を実現する通信モデム機能を有している。前記通信モデム機能は,例えば無線LAN等にも用いられるIEEE802.11規格などに準拠したOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)無線方式による無線通信を実現する。なお,この無線通信の周波数には,例えば2.4GHz帯や5GHz帯などが用いられる。
具体的に,無線送受信部22は,メイン制御部21からの制御指示に応じて,映像処理部24及び音声処理部25から出力される映像信号や音声信号などのデータを無線通信によりモニタ部1に送信する。例えば,映像信号及び音声信号はMPEG2などの映像圧縮フォーマットで伝送される。
【0016】
有線インターフェース30は,モニタ部1がクレードル部2に装着されることにより,モニタ部1の有線インターフェース18に接続される接続端子を有している。また,有線インターフェース30には,接続端子を介してモニタ部1との間で有線データ通信を実現するモデム機能なども含まれる。具体的に,有線インターフェース30は,メイン制御部21からの制御指示に応じて,映像処理部24及び音声処理部25から出力される映像信号や音声信号などのデータを有線通信によりモニタ部1に送信する。
【0017】
有線接続検出部23は,有線インターフェース30が,モニタ部1の有線インターフェース18に接続されているか否か,即ちモニタ部1及びクレードル部2が有線接続されているか否かを検出する。なお,有線接続検出部23による接続の有無の検出手法は,従来の各種の断線検知技術などを利用することが可能である。そして,有線接続検出部23による検出結果は,メイン制御部21に入力される。前記検出結果は,メイン制御部21において,モニタ部1との間で有線通信及び無線通信のいずれによりデータ通信を行うかなどの判断に利用される。
【0018】
一方,モニタ部1は,メイン制御部11,無線送受信部12,データ処理部13,映像処理部14,音声処理部15,映像表示部16,傾斜角センサ163(傾き検出手段の一例),左スピーカ171,右スピーカ172,有線インターフェース18などを備えている。
メイン制御部11は,CPU,RAM,ROMなどの制御機器を有しており,所定の制御プログラムに従って当該モニタ部1を統括的に制御するものである。なお,メイン制御部11は,ASICなどの電気回路であってもよい。
【0019】
無線送受信部12は,アンテナ12aを通じて電波の送受信を行うことによりクレードル部2の無線送受信部22との間で無線データ通信を実現する通信モデム機能を有している。前記通信モデム機能は,例えば無線LAN等にも用いられるIEEE802.11規格などに準拠したOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)無線方式による無線通信を実現する。なお,この無線通信の周波数には,例えば2.4GHz帯や5GHz帯などが用いられる。具体的に,無線送受信部12は,クレードル部2から送信された映像信号や音声信号などのデータを無線通信により受信し,該データをデータ処理部13に入力する。
データ処理部13は,無線送受信部12から入力されるMPEG2などの映像圧縮フォーマットのデータを復号するデコーダである。そして,データ処理部13で復号された映像信号及び音声信号は,映像処理部14及び音声処理部15に入力される。
【0020】
有線インターフェース18は,モニタ部1がクレードル部2に装着されることにより,クレードル部2の有線インターフェース30に接続される接続端子を有している。また,有線インターフェース18には,接続端子を介してクレードル部2との間で有線データ通信を実現するモデム機能なども含まれる。具体的に,有線インターフェース18は,モニタ部1から送信される映像信号や音声信号などのデータを有線通信により受信し,該映像信号及び音声信号を映像処理部14及び音声処理部15に入力する。
【0021】
音声処理部15は,データ処理部13又は有線インターフェース18から入力された音声信号に対し,ボリューム調整やイコライズ処理,サラウンド処理などの各種の音声処理を施し,その処理後の音声信号を左スピーカ171及び右スピーカ172に入力するものである。これにより,左スピーカ171及び右スピーカ172は,音声処理部15から入力された音声信号に基づいて音声を再生する。
【0022】
一方,映像処理部14は,CPUやMPU等の演算手段を有しており,データ処理部13又は有線インターフェース18から入力される映像信号に対し,例えばスケーリング処理や解像度変換処理などの各種の画像処理を施し,その処理後の映像信号を映像表示部16に入力する。これにより,映像表示部16は,入力された映像信号に基づいて映像を表示する。
【0023】
映像表示部16は,図2及び図3に示すように,液晶パネル161及びバックライト162などを有している。ここに,図3は,映像表示部16の内部構造を示す模式図であって,(a)は正面図,(b)は側面図である。
液晶パネル161は,液晶層と該液晶層に走査信号及びデータ信号を印加するための走査電極及びデータ電極とによって形成され,印加電圧により透過率が変化する複数の液晶素子を有する従来周知のアクティブマトリクス型の液晶パネルである。なお,液晶パネル161の背面にはバックライト162からの光を拡散する拡散板や光学シート等の光学部材161aが設けられている。なお,液晶パネル161のアスペクト比(横縦比)は例えば16:9である。また,映像表示部16には,映像処理部14から入力された映像信号,垂直同期信号及び水平同期信号に基づいて液晶パネル161の液晶素子の駆動を制御する液晶駆動回路(不図示)なども設けられている。
【0024】
バックライト162は,図3に示すように,液晶パネル161の背面に設けられた導光板162dと,液晶パネル161における既定の下端部に沿って並べて配置され,導光板162dを通じて該液晶パネル161を照明する複数のLED162a(光源の一例)とを備えた所謂エッジ型のバックライトである。なお,LED162a各々は,該LED162aが搭載された基板162bを介して,放熱性の高い金属製の放熱板162cに固定されている。ここで,LED162aの発光輝度と消費電力との関係は,ほぼ比例関係であり,LED162aの発光輝度を下げると消費電力も減少し,LED162aの発熱量もそれに応じて減少する。
また,放熱板162cは,モニタ部1の映像表示部16の外装を形成する金属製のシャーシ(筐体)16aに固定されている。シャーシ16aは,放熱性の高い金属製であり,該シャーシ16aと放熱板162cとは熱的に結合されている。従って,LED162aの熱は,放熱板162cを介してシャーシ16aに導かれて効果的に放熱される。また,LED162aがモニタ部1の下端部に配置されているため,該LED162aの熱は,自然対流により上方に向けてモニタ部1内部に分散され,該モニタ部1内の局所的な温度上昇が抑制される。
【0025】
傾斜角センサ163は,例えばバックライト162のLED基板162bに設けられており,液晶パネル161におけるLED162aの位置を検出するものである。もちろん,傾斜角センサ163の設置位置は,液晶パネル161におけるLED162aの位置を検出することのできる位置であればこれに限定されない。なお,傾斜角センサ163は,例えば加速度センサやジャイロセンサ,上下が反転されることによりON/OFFする上下検出スイッチなどの従来周知のセンサである。
具体的に,傾斜角センサ163は,図3(a)に示すように,液晶パネル161における既定の下端部にLED162aが位置しており,LED基板162bが水平方向と平行である状態を0°として,該液晶パネル161の表示面に対向する位置から見たときの該表示面の右回りの回転角を検出するものとする。そして,傾斜角センサ163による検出結果は,メイン制御部11に入力される。
【0026】
なお,映像処理部14は,傾斜角センサ163により検出された液晶パネル161の傾きをメイン制御部11から取得し,該傾きに応じて液晶パネル161に表示させる映像の表示角度を変更する。例えば,液晶パネル161が90°回転している場合,映像処理部14は,表示映像を−90°回転させた状態で液晶パネル161に表示させ,液晶パネル161が180°回転している場合,映像処理部14は,表示映像を−180°回転させた状態で液晶パネル161に表示させる。これにより,液晶パネル161に表示される映像における上下方向は鉛直方向の上下方向と常に一致することになる。
【0027】
ところで,モニタ部1のように液晶パネル161の下端部にのみLED162aが配置された構成では,該LED162aの熱が自然対流によりモニタ部1内に分散されるように放熱特性が設計される。しかしながら,例えば,モニタ部1に接続する電源線や信号線の引き出し位置と,該モニタ部1の左側面又は右側面に設けられた電源線や信号線の接続端子との位置関係によって,ユーザーはモニタ部1の向きを都合のよいように変更することが考えられる。そして,モニタ部1の姿勢が自由に変化されると,LED162aの位置が液晶パネル161の下端部ではなく上下逆の上端部に位置する可能性がある。この場合には当初設計された放熱特性を発揮することができなくなる。
そのため,モニタ部1では,メイン制御部11により後述の高温対策処理を実行することによりモニタ部1内の温度上昇を抑制する。
以下,図4のフローチャートを参照しつつ,メイン制御部11で実行される高温対策処理の手順の一例について説明する。ここに,図4中のS1,S2…は処理手順(ステップ)番号を表す。なお,メイン制御部11は,ユーザーによる操作入力に応じて当該高温対策処理の実行の有無を変更可能である。
【0028】
(ステップS1)
まず,ステップS1において,メイン制御部11は,傾斜角センサ163により検出される現在の液晶パネル161の傾きに応じて,液晶パネル161におけるLED162aの位置を検出する。具体的に,メイン制御部11は,傾斜角センサ163による検出結果に基づいて,LED162aが液晶パネル161の上端部又は下端部のいずれかに位置するかを検出する。ここに,係る検出処理を実行するときのメイン制御部11が光源位置検出手段に相当する。
【0029】
(ステップS2)
そして,ステップS2において,メイン制御部11は,LED162aが液晶パネル161の既定の下端部に位置するか否かを判断する。即ち,メイン制御部11は,モニタ部1においてLED162aが本来の位置と上下逆の位置にあるか否かを判断する。
ここで,図5(a)に示すようにLED162aの位置が上下逆でないと判断されると(S2のNo側),処理は前記ステップS1に戻され,図5(b)に示すようにLED162aの位置が上下逆であると判断されると(S2のYes側),処理はステップS3に移行する。
【0030】
(ステップS3)
ステップS3において,メイン制御部11は,映像処理部14に制御指示を与えることにより,モニタ部1の姿勢が本来の位置と上下逆である旨を通知するための警告を液晶パネル161に表示させる。このとき,警告表示の内容は,例えば「画面上下を反転下さい」であることが考えられる(図5(b)参照)。これにより,ユーザーにモニタ部1の姿勢が上下逆であることを認識させ,モニタ部1を既定の姿勢に戻すことを促すことができる。従って,モニタ部1におけるLED162aの位置が上下正しい状態となり,該モニタ部1のLED162aの放熱特性が活かされ,該モニタ部1内の温度上昇が抑制されることを期待できる。ここに,係る表示処理を実行するときのメイン制御部11が高温対策手段に相当する。
【0031】
(ステップS4〜S5)
次に,ステップS4〜S5において,メイン制御部11は,前記ステップS1〜S2と同様に,液晶パネル161に対するLED162aの位置を検出し,LED162aの位置が既定の位置に対して上下逆であるか否かを判断する。
ここで,LED162aの位置が上下逆であると判断されると(S5のYes側),処理はステップS6に移行し,上下逆でないと判断されると(S5のNo側),処理は前記ステップS51に移行する。
【0032】
(ステップS6〜S7)
ステップS6において,メイン制御部11は,LED162aの位置が上下逆であることが検出された後,予め設定された所定時間(例えば数秒間)が経過したか否かを判断する。なお,このときの計時時間は,後述のステップS7又はステップS51でリセットされる。
ここで,LED162aの位置が上下逆である状態が所定時間継続したと判断すると(S6のYes側),処理はステップS7に移行する。そして,ステップS7では,メイン制御部11はLED162aの輝度を自動的に所定値下げ,処理を前記ステップS3に移行させる。ここに,係るLEDの輝度低下処理を実行するときのメイン制御部11が高温対策手段に相当する。
これにより,LED162aの発熱量が抑制されるため,モニタ部1内の温度上昇を抑制することができる。ここで,前記所定値は,例えば現在のLED162aの輝度の5%程度であることが考えられる。5%程度であれば,視聴を大幅には阻害せず,且つ,発熱量を抑えることができ,ユーザーにLEDの輝度が下がったことを認識させることができる。なお,このときメイン制御部11は,図5(b)に示すように,例えば「画面明るさを自動で下げます」との注意を表示させることが考えられる。これにより,当該モニタ部1の故障と勘違いされることが防止される。ところで,LED輝度の低下は予め定めた下限値を限度に行えばよい。例えば,下限のレベルは,LEDの特性的な発光限界である20%であってもよい。そうすると,発熱量を大幅に削減できると共に,ユーザーは,装置を反転させざるを得なくなる。
また,下限のレベルを最大輝度の50%程度としてもよい。そうすると,視聴には耐えられつつ,ユーザーに十分注意喚起できるからである。このような設定は,モニタ部1の接続ケーブルの関係で,どうしても反転して視聴することを容認する仕様の場合に有効である。
さらに,図5(b)の表示としては,上下反転を容認する表現として,「画面の上下が逆です。このまま視聴続けると,画面の明るさが下がります。」であってもよいし,上下反転を強く勧める表現として,「画面の上下が逆です。このまま使用すると,製品の劣化が早くなることがあります。劣化を軽減するため画面の明るさを下げます。」であってもよい。
【0033】
また,当該高温対策処理では,モニタ部1の上下が反転状態にある場合,メイン制御部11は,前記所定時間ごとに徐々にLED162aの輝度を低下させる(S6のYes側,S7)。そのため,急激にLED162aの輝度を低下させる場合のように当該モニタ部1の故障と勘違いされることが防止される。なお,前記ステップS7におけるLED162aの輝度の低下のタイミングは,モニタ部1において不図示の照度センサ(OPCセンサ)の検出結果に基づいて行われるLED162aの輝度制御と同時であることが考えられる。前記照度センサによる輝度制御と同時に行うことによって,LED162aの輝度変化が一度で完了するので,ユーザーから見た違和感が少なくなる。
さらに,当該高温対策処理では,モニタ部1の上下が反転状態にある場合,メイン制御部11は,前記所定時間ごとに前記ステップS3における警告表示が定期的に繰り返すため(S6のYes側,S3),警告表示を見逃したユーザーに対して警告表示を確実に認識させることができる。
【0034】
(ステップS51)
なお,前記ステップS7においてLED162aの輝度が自動的に低下された後,モニタ部1におけるLED162aの位置が正しい既定の下端部に変化すると(S5のNo側),続くステップS51において,メイン制御部11は,ステップS7で低下させたLED162aの輝度を復旧させ,処理をステップS1に戻す。
【0035】
以上説明したように,モニタ部1では,メイン制御部11によって前記高温対策処理が実行されることにより,モニタ部1におけるLED162aの位置が予め設定された位置でない場合にはその旨が報知され,さらにその状態が所定時間継続するとLED162aの輝度が自動的に低下する。これにより,モニタ部1におけるLED162aの上下の位置が逆になった場合に生じる該モニタ部1内の温度上昇を抑制することができる。もちろん,本実施の形態では,液晶パネル161におけるLED162aの既定の位置が下端部である場合を例に挙げて説明したが,逆にLED162aの既定の位置が上端部である場合も同様である。
また,本実施の形態では,警告表示及びLED162aの輝度の自動低下を共に行う場合を例に挙げて説明したが,いずれか一方のみを実行することも他の実施例として考えられる。
【0036】
さらに,前記高温対策処理では,液晶パネル161におけるLED162aの位置が上端部であるか下端部であるかによってLED輝度を調整することを説明したがこれに限らず,LED基板162bの本来の姿勢に対する傾きに応じてLED輝度を低下させることも考えられる。これは,LED162aの位置が完全に上下逆転していない場合には,予定していた放熱特性の効果が多少期待されるためである。
具体的に,LED基板162bが本来の姿勢にある場合を最大,LED基板162bの向きが上下反対である場合を最小としてLED輝度を調整することが考えられる。例えば,LED基板162bが本来の姿勢に対して例えば45°傾いているときや90°傾いているときには,本来の姿勢にある場合よりも低く,上下が反対している場合よりも高い輝度になるように調整されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は,映像表示装置やテレビジョン受像機への利用が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 :モニタ部(液晶表示装置)
2 :クレードル部
3 :放送受信アンテナ
4 :商用交流電源
11:メイン制御部
12:無線送受信部
12a:アンテナ
13:データ処理部
14:映像処理部
15:音声処理部
16:映像表示部
16a:シャーシ(筐体)
161:液晶パネル
162:バックライト
162a:LED
162b:LED基板
162c:放熱板
162d:導光板
163:傾斜角センサ
171:左スピーカ
172:右スピーカ
18:有線インターフェース
21:メイン制御部
22:無線送受信部
22a:アンテナ
23:有線接続検出部
24:映像処理部
25:音声処理部
26:チューナ
27:外部入力部
28:信号切換部
29:OSD制御部
30:有線インターフェース
X :テレビジョン受像機
Y :映像再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルにおける既定の上端部又は下端部のいずれか一方に配置され,前記液晶パネルの背面に設けられた導光板を通じて該液晶パネルを照明する光源を備えてなる液晶表示装置であって,
前記液晶パネルにおける前記光源の位置を検出する光源位置検出手段と,
前記光源位置検出手段により検出された前記光源の位置が前記既定の上端部又は下端部と上下逆の位置であることを条件に,その旨の報知及び前記光源の輝度低下のいずれか一方又は両方を実行する高温対策手段と,
を備えてなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記高温対策手段が,前記光源の輝度を徐々に低下させるものである請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記高温対策手段が,前記報知を所定期間ごとに繰り返し実行するものである請求項1又は2のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記光源が、前記液晶パネルの上端部又は下端部に沿って配列された複数のLEDである請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置を備えてなるテレビジョン受像機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−181399(P2012−181399A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44834(P2011−44834)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】