説明

液晶表示装置

【課題】導光板等の最適な伸縮可能な構造を提供することにより、照明度を低下させない液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置1は、液晶パネル120と、その背面に設けられた導光板121と、その左右側面に対向して配置された1対の光源搭載基板123と、光源搭載基板123の導光板121側と反対側に接続されたヒートシンク101とを含む。導光板121の前面側に第1の反射シート135、背面側に第2の反射シート136を配する。第1の反射シート135の左右側は立ち上がり部135bは、光源搭載基板123と接着される。又、ヒートシンク101は、第2の反射シート136の側端部136aを受け入れ可能な溝101dを導光板121側に有している。更に、導光板121の前面側に配置される光学シート134とその前面側の液晶パネル120を支持する第2のフレーム138との間には緩衝体133を介設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものであり、特にサイドライト方式バックライトを用いた薄型液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)やプラズマディスプレイパネル等の発光型の表示装置と、液晶表示装置等の非発光型の表示装置に大別できる。
【0003】
非発光型の表示装置としては、画像信号に応じて光の反射光量を調節する反射型の光変調素子を用いるものと、画像信号に応じて光の透過光量を調整する透過型の光変調素子を用いるものがある。特に、透過型の光変調素子として液晶表示パネルを用い、その背面に照明装置(バックライトとも呼ぶ)を備える液晶表示装置は薄型、軽量であることから、コンピュータのモニターやテレビ受像機(TV)等さまざまな表示装置として採用されている。
【0004】
液晶パネルの表示原理としては、主流のTN(ツイステッドネマチック)の他に、広視野角を特徴とするIPS(インプレーンスイッチング)、MVA(マルチドメインバーチカルアライメント)等が用いられるが、いずれも、表示部の背面に設置されたバックライトから光を照射し、液晶パネルはバックライトから照射された光の透過率を制御することにより画像を形成するものである。
近年、これらの液晶表示装置について高輝度化、色再現範囲の拡大の要求が高まっている。又、薄型TVの普及に伴い壁掛けを可能とするTVのニーズが高まっている。
液晶表示装置においては、薄型化を進めるため、バックライト光源を液晶パネル背面に位置するのではなく、サイドに配置するサイドライト方式が提案されている。
【0005】
特許文献1には、光源を導光板の側端面側に、導光板の背面側に反射シートを配置し、前記側端面(光入射面)側を除いて光源をコの字型にリフレクタで囲み、光源からの光を導光板の光入射面に導き、更に、リフレクタの側端面外側と反射シート背面側を囲む放熱板を配置して、光源からの熱をリフレクタから放熱板に伝熱して放熱させるサイドライト方式の液晶表示装置の技術が記載されている(特許文献1、図1参照)。ここで、側端面とは、液晶表示装置の表示画面に向かって左右外側に向く面のことであり、背面とは液晶表示装置の表示画面側を前面とし、その反対側の面である。
【0006】
特許文献2には、サイドライト方式の液晶表示装置において光源としてLED(Light Emitting Diode)を用い、LEDの発熱を除熱するために光源搭載基板を熱伝導シート介してL字形のL型熱伝導部材に接続し、更に、L型熱伝導部材からヒートシンクに熱を伝えて放熱する構成が記載されている(特許文献2、図39〜図41参照)。又、特許文献2には、LEDの周囲に熱伝導反射板を配置して光源搭載基板に固定する構成が記載されている(特許文献2、図48)。
下記特許文献2では、LEDを光源として用い、かつ、サイドライトとして用いた構成が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−114431号公報
【特許文献2】特開2006−156324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、光源と放熱板との間にリフレクタが介在する配置構成となり、光源から放熱板への伝熱における熱抵抗が高く、光源からの熱を効率よく放熱できない問題があった。
又、特許文献2に記載された従来技術では、熱伝導反射板を個々のLEDを囲むように配置しており、光源搭載基板のLEDの列全体を透明の樹脂で覆い、成形してレンズとしているような構成においては、そのような構成をとることはできず、特許文献1のようなリフレクタの構成を採用すると、前記と同様の放熱効率の問題を生じる。
【0009】
又、導光板が光源からの熱により膨張し、反り返ると光学的な軸がずれてバックライトの照明度が下がったり、導光板の前面側及び背面側に配置された第1の反射シート及び第2の反射シートが導光板の伸縮につられて伸縮し光漏れを生じたりする等の問題があった。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、導光板等の最適な伸縮可能な構造を提供することにより、照明度を低下させない液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、第1の発明は、液晶パネルと、液晶パネルの背面に配置した導光板と、導光板の両側面に対向して配置した一対の光源搭載基板と、光源搭載基板の導光板側の面に実装した複数の光源と、導光板の背面側に配置した背面カバーと、を有し、一対の光源搭載基板は液晶パネルの表示画面に対し左右方向に配置した液晶表示装置において、
光源搭載基板の導光板とは反対側の面に設けたヒートシンクと、導光板側の前面側に、導光板の少なくとも左右端側縁部を覆い、液晶表示装置の表示エリア部が開口された第1の反射シートと、導光板に隣接して背面側に配置した板状の第2の反射シートと、を有し、第1の反射シートの左右端側縁部を覆う部分は、光源搭載基板にまで伸びて、L字形に曲がり、光源搭載基板の導光板側の面と接着されていることを特徴とする。
【0012】
第1の発明によれば、光源搭載基板にヒートシンクが配置されているので、光源からの熱が光源搭載基板から効率よくヒートシンクに伝熱される。又、第1の反射シートが光源搭載基板に接着されているので、導光板の熱膨張につられて第1の反射シートの左右端が光源搭載基板の導光板側の面から離れるということが防止できる。
【0013】
又、第2の発明は、第1の発明の構成に加えて、前記導光板の左右端側縁部と重なる領域の左右端側外側に伸縮吸収部を有することを特徴とする。
【0014】
第2の発明によれば、伸縮吸収部を有しているので導光板の熱による伸縮につられて第1の反射シートが左右方向に伸縮しても、伸縮吸収部で吸収され、光源搭載基板との接着部が離れるということが防止できる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明の構成に加えて第1の反射シートは、その左右端側縁部は、更に、光源搭載基板の導光板側の面と平行して前面側に延伸して、ヒートシンクの前記液晶パネルにおける前面側で固定されることを特徴とする。
【0016】
第3の発明によれば、ヒートシンクに伝熱された熱を液晶パネルの前面側に伝えない断熱効果がある。
【0017】
第4の発明は、液晶パネルと、液晶パネルの背面に配置した導光板と、導光板の両側面に対向して配置した一対の光源搭載基板と、光源搭載基板の導光板側の面に実装した複数の光源と、導光板の背面側に配置した背面カバーと、を有し、一対の光源搭載基板は液晶パネルの表示画面に対し左右方向に配置した液晶表示装置において、
光源搭載基板の導光板とは反対側の面に設けたヒートシンクと、導光板側の前面側に、導光板の少なくとも左右端側縁部を覆い、液晶表示装置の表示エリア部が開口された第1の反射シートと、導光板に隣接して背面側に配置した板状の第2の反射シートと、を有し、ヒートシンクの導光板側の面に、第2の反射シートの側端部を受け入れ可能な溝を設けることを特徴とする。
【0018】
第4の発明によれば、ヒートシンクの溝が第2の反射シートの伸縮を吸収するので導光板の熱による伸縮につられて第2の反射シートが左右方向に伸縮しても溝の左右方向の深さで吸収され、第2の反射シートの側端部が光源搭載基板と干渉したり、光源搭載基板の導光板側の面から離れて光が漏れたりするということが防止できる。
【0019】
第5の発明は、前面側から液晶パネルと、少なくとも1枚の光学シートと、導光板と、をこの順番に配置し、導光板の両側面に対向して配置した一対の光源搭載基板と、光源搭載基板の導光板側の面に実装した複数の光源と、導光板の背面側に配置した背面カバーと、を有し、一対の光源搭載基板は液晶パネルの表示画面に対し左右方向に配置した液晶表示装置において、
液晶パネルを前面側と背面側から挟む枠状の第1のフレームと第2のフレームと、光源搭載基板の導光板とは反対側の面に設けたヒートシンクと、導光板側の前面側に、導光板の少なくとも左右端側縁部を覆い、液晶表示装置の表示エリア部が開口された第1の反射シートと、導光板に隣接して背面側に配置した板状の第2の反射シートと、を有し、第2のフレームと光学シートとの間に弾性と滑り性を備えた緩衝体を介設することを特徴とする。
【0020】
第5の発明によれば、第2のフレームと光学シートとの間に弾性と滑り性を備えた緩衝体を介設するので、導光板が熱により伸縮するときにも、緩衝体と光学シートの間で滑りを生じ、光学シートが撓んだり、傷ついたりすることを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、光源をコの字型のリフレクタで囲う構成が取れない場合でも、光源からの光を効率的に導光板に導く構成とすることができ、光源搭載基板の導光板と反対側の面にヒートシンクを配置して、効率よく光源からの熱を伝導させることができる。
又、導光板の熱膨張による反りを抑制するために前面側と背面側とから挟み込んで押圧する場合に、導光板の伸縮につられて、導光板に隣接して配されている第1の反射シート、第2の反射シート、光学シートの左右方向の伸縮が許容される。
【0022】
その結果、導光板の熱膨張に対する最適な伸縮可能な構造を提供することにより、照明度を低下させない液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
《全体構成》
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成斜視図であり、図2は図1のX−X
矢視断面図である。
【0024】
本実施形態では図1に示すように、説明上液晶パネル120の表示画面を基準として上下左右及び前背面を定義する。つまり、液晶表示装置1を観る使用者が液晶パネル120の表示画面に正対したときに、手前側である表示画面側を「前面」、奥側を「背面」とし、使用者に向かって右側を「右」、左側を「左」と定義する。
本実施形態の液晶表示装置1は、主要構成要素として液晶パネル120、導光板121、光源124、光源搭載基板123、ヒートシンク101により構成されている。又、他の構成要素として、第1のフレーム137、第1のゴムクッション131、第2のゴムクッション132、第2のフレーム138、緩衝体133、光学シート134、第1の反射シート135、第2の反射シート136、第3のフレーム139、背面カバー122を有している。
【0025】
次に、前面側から各構成要素の配置と機能を、図2を参照しながら説明する。
(第1のフレーム、液晶パネル及び第2のフレーム)
第1のフレーム137は、液晶パネル120の前面に配置され、液晶表示装置1の前面カバーとしての機能を有する。又、第1のフレーム137は液晶表示装置1の表示エリア部が開口された形状となっている。第1のフレーム137の前記開口の左右端側の縁部前面には、第2のフレーム138、第1の反射シートをヒートシンク101の躯体部101aの前面に設けられた図示しないねじ孔に固定ねじ201で共締めするための図示しない孔が設けられている。
【0026】
第1のフレーム137の背面側に液晶パネル120が配置される。液晶パネル120は2枚の基板間に液晶を挟持した構成をしており、液晶のオン/オフにより導光板121から出射した光の透過/遮断を制御する光シャッタとしての機能を有する。
液晶パネル120は、第1のフレーム137と四角枠状の第2のフレーム138との間に、四角枠状の第1のゴムクッション131及び第2のゴムクッション132を介在させて挟持した構成である。
【0027】
具体的には、第1のフレーム137の前記開口縁部の背面と、液晶パネル120の前面の縁部との間に、第1のゴムクッション131が介設され、同様に、液晶パネル120の背面の縁部と、第2のフレーム138の前面の縁部との間に、第2のゴムクッション132が介設され、液晶パネル120を前面側と背面側との両方から弾性的に押圧して、第1のフレーム137と第2のフレーム138で支持する。
第1及び第2のフレーム137、138は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム(Al)等の金属板からなる。第1及び第2のゴムクッション131、132は緩衝材としての機能も有する。
【0028】
(光学シート、緩衝体)
光学シート134は第2のフレーム138の背面側に、四角枠状の緩衝体133を挟んで配置され、導光板121から出射した光の更なる面内均一化、又は、前面側方向の輝度を向上させる指向性付与機能を有する。図1では、代表的に1枚の光学シート134で表示したが、図2では前面側から3枚の光学シート134A、134B、134Cの順で配置してある。ここでは、光学シート134Aは光の特定の振動面を有する光を反射し、他を透過させる反射偏向板であり、光学シート134Bは前面側方向の輝度を向上させるプリズムシートであり、光学シート134Cは、光の更なる面内均一化を図る拡散シートである。
【0029】
本実施形態では、光学シート134として前記した3枚の光学シート134A、134B、134Cを組み合わせて使用しているが、これに限定されず、1枚の光学シートが多層構造を有し、反射偏向板の機能とプリズム機能と拡散機能の少なくとも2つの機能を併せ持つ光学シートを用いて、光学シート134の枚数を少なくしたものでも良いし、逆に拡散シートを複数枚組み合わせても良い。
【0030】
緩衝体133は、弾性があって、光学シート134と摺動性(低摩擦性、易滑性)があり、光学シート134の表面に摺動による傷をつけないものが好ましい。例えば、内部の芯をウレタンスポンジとし、その外側に銀(Ag)コーティングしたナイロン繊維布で覆い、更にニッケル(Ni)メッキしたものとか、シリコーン(Si)ゴムスポンジの表面をフッ素樹脂コーティング、又は、フッ素樹脂テープで覆ったものが考えられる。
【0031】
(第1の反射シート)
第1の反射シート135は、樹脂製シートであり、光学シート134(134A、134B、134C)の背面側に配置される。
第1の反射シート135は液晶表示装置1の表示エリア部に対応する四角形の開口部を有する四角枠状のシートであり、前記開口部周囲の開口縁部135aは、左右端側が前面側に立ち上がり、その立ち上がり部135bの光源搭載基板123側の面が接着剤、又は、両面テープ等の接着部材173により光源搭載基板123と接着されている。立ち上がり部135bは、ヒートシンク101の前面側まで伸び、そこで更に左右外側に曲がって延伸した固定部135cを有し、前記したヒートシンク101の躯体部101aの図示しないねじ孔に対応する位置に固定ねじ201が挿通可能な図示しない孔が設けられている。
第1の反射シート135は光源124から出た光のうち、導光板121の入射面121aに入射しない光を反射して入射面121aに入射させる機能、及び光源124近傍の導光板121の出射面121bから出た光を再び導光板121に戻すための機能を有する。
なお、光源124近傍の導光板121の出射面121b、つまり、第1の反射シート135の開口縁部135aの左右側部分と重なっている導光板121の領域が、請求項1等に記載の「導光板の左右端側縁部」に対応する。
【0032】
光源124近傍ではRGBの光源124からの出射光が十分混ざっておらず不均一となっており、この部分を表示エリア部にすることはできない。そこで、光源124近傍の光を第1の反射シート135によって導光板121に戻すことにより、色の均一化を図ると共に光のロスを減らすことができる。
第1の反射シート135は、ヒートシンク101と第2のフレーム138との間に介在することで、ヒートシンク101から第2のフレーム138及び第1のフレーム137を伝って、熱を液晶パネル120に伝えないようにする断熱材の機能を有する。
【0033】
《導光板、光源、第2の反射シート、ヒートシンク等》
導光板121は液晶パネル120の背面に配置される。導光板121の左右両側面には、対向して1対の光源搭載基板123が配置される。光源搭載基板123上にはRGBからなる光源124、例えば、LEDが長手方向(上下方向)に一列に複数個搭載される。ヒートシンク101は光源搭載基板123の光源非搭載面、つまり、導光板121の側と反対側に熱伝導接着部材171(図2参照)、例えば、銀ペースト等を用いて接着される。板状の第2の反射シート136は、導光板121の背面側に配置される。
以下にそれぞれの詳細な構成と機能を説明する。
【0034】
(導光板)
導光板121はアクリル等の透明な樹脂からなり、光源124から出た光を面光源に変換する機能を有する。導光板121の入射面121aに入射した光は、導光板121内を全反射して伝播し、導光板121の背面に印刷された図示しない反射ドットにより散乱され、導光板121の出射面121bから前面側に取り出される。導光板121の入射面121aと後記する光源124のレンズ142との間には、横方向の空間が設けてあり、導光板121が光源124に照射されて熱膨張した場合の伸び代となっている。
【0035】
(第2の反射シート)
第2の反射シート136は光源124から出た光のうち、直接に導光板121の入射面121aに入射しない光を反射して入射面121aに入射させることにより、光利用効率を高める機能とともに、前記反射ドットにより散乱され全反射条件から外れて導光板121の背面側に出た光を再び導光板121に戻す機能を有する。そのために、導光板121の背面側に隣接して配置され、その側端部136aの前面側が光源搭載基板123の背面側端面と対向して摺動し、更に、側端部136aがヒートシンク101の後記する溝101d内に挿入され、溝底面101eに当たらないように設定される。
【0036】
(光源)
光源124は表示のための光を発する機能を有する。
光源搭載基板123は、例えば、セラミック基板からなり、光源124を搭載するとともに、光源搭載基板123上に形成した配線パターンを介して光源に電流/電圧を供給する。又、光源搭載基板123は光源から出射した光を効率よく導光板121に導くための反射板としての機能も併せ持つ。又、低熱抵抗のセラミックを用いることにより、光源124で発生した熱を外部に伝導させやすくすることができる。
なお、光源搭載基板123はセラミックに限定されず、光の反射効率が良く、熱伝導性及び電気絶縁性が高いものであれば良く、樹脂板でも良い。
上下方向に1列に配列された光源124は、透明の樹脂により略半円柱状にモールドされ、この成形された略半円柱状の透明樹脂がレンズ142を構成する。
【0037】
(ヒートシンク)
ヒートシンク101は熱伝導性の優れた銅、アルミニウム等の材質からなり、例えば、熱伝導性テープ又は銀ペースト等の熱伝導接着部材171により光源搭載基板123と密着させられ、光源124の発熱を効率よく受熱するための機能を有する。ヒートシンク101は、液晶表示装置1の左右の側端部に平行に配置されて液晶表示装置1の構造部材を兼ね、略直方体の躯体部101aと、背面側でL字型に左右内側に伸び、第3のフレーム139を保持するとともに、放熱用のフィン101cの基部ともなっている保持基部101bとから構成されている。
躯体部101aの前面側には、前記した固定ねじ201に対応した図示しないねじ孔を設けてあり、その前面側に第1の反射シート135の固定部135c、第2のフレーム138、第1のフレーム137の順に重ねて固定ねじ201で共締めできるようになっている。
又、躯体部101aの背面側には、前記した固定ねじ201に対応した図示しないねじ孔を設けてあり、固定ねじ201で背面カバー122を固定できるようになっている。
【0038】
そして、ヒートシンク101の躯体部101aの左右内面側には第2の反射シート136の側端部136aを受け入れる溝101dが上下方向に設けられ、その溝底面101eと側端部136aの端面との間には伸び代の空間が設けられている。
【0039】
(第3のフレーム)
第2の反射シート136の背面側には第3のフレーム139が配置される。第3のフレーム139は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム(Al)等の金属板からなる。第3のフレーム139は、保持基部101bの前面側で保持され、前面側に押圧され、第2の反射シート136を前面側に押圧し、更に、その前面側に配置された導光板121等を前面側に押圧し、導光板121の反り返りを防止する。
なお、第3のフレーム139は背面側への撓みを小さくして反射シート136、導光板121等を均一に押圧できるように、剛性を持たせるために上下端から前面側に延出されたリブを有している。
【0040】
(背面カバー)
背面カバー122はヒートシンク101の背面に配置される。図2に示すように、第3のフレーム139と背面カバー122の間には上下方向に連なった空間が設けられており、その空間にヒートシンク101の放熱部であるフィン101cが保持基部101bから多数伸びている。
背面カバー122は樹脂板からなり、液晶表示装置1の背面の保護カバー及び液晶表示装置1の構造部材の役目をしていると同時に、ヒートシンク101からの熱伝導を阻止する断熱材の機能を有している。
第1のフレーム137及び背面カバー122の下側面には吸気のための、第1のフレーム137及び背面カバー122の上側面には排気のための通気口107を設けてある。
又、第3のフレーム139と背面カバー122との間の上下方向に連なった空間の左右中央部には回路基板140を配置し、背面カバー122に固定してある。
【0041】
《組み立て順》
次に本液晶表示装置1の組み立て順を説明する。
(1)回路基板140を背面カバー122の前面側に固定し、更に背面カバー122に光源搭載基板123を接着済みの左右のヒートシンク101を固定ねじ201で固定して、前面側を上にして水平状態にする。次いで、第3のフレーム139を保持基部101bの前面側に載せ、更にその上に反射面を上にして第2の反射シート136をその側端部136aを溝101dに挿入しながら、かつ、溝底面101eから左右とも等しい伸び代を確保するように載せる。
(2)その後、導光板121を左右の中央になるように配置する。そして、導光板121の上に第1の反射シート135を重ねる。このとき、立ち上がり部135bの光源搭載基板123と対向する領域には接着材が前以て塗布されており、光源搭載基板123側に押圧して接着する。又、第1の反射シート135の固定部135cはヒートシンク101の躯体部101aの前面側に広げられ、ヒートシンク101の図示しないねじ孔に対応するように設定される。
【0042】
(3)次いで、3枚の光学シート134C、134B、134Aが、この順に第1の反射シート135の上に重ねられる。更に、緩衝体133、第2のフレーム138、第2のゴムクッション132、液晶パネル120、第1のゴムクッション131の順に重ねられる。
(4)最後に、第1のフレーム137が液晶表示装置1の前面縁部と左右側面、上下面を覆うように被せられ、躯体部101aの前面に設けられた図示しないねじ孔に前面から固定ねじ201を挿入して締め付ける。
この結果、保持基部101bの前面側と第1のフレーム137の背面側との間に、第1のゴムクッション131、液晶パネル120、第2のゴムクッション132、第2のフレーム、緩衝体133、光学シート134A、134B、134C、第1の反射シート135、導光板121、第2の反射シート136、第3のフレーム139が押圧保持されることになる。
なお、第1のフレーム137、第1のゴムクッション131、液晶パネル120、第2のゴムクッション132、第2のフレーム138は、接着剤で接着されて、あらかじめ組み立てられてサブアセンブリとなっていることが多い。
又、回路基板140を背面カバー122の前面側に固定する代わりに、第3のフレーム139の背面側に固定するようにしても良い。
【0043】
《作用、効果》
光源124で発生した熱は、光源搭載基板123の背面のヒートシンク101の躯体部101aに伝熱され、更に、保持基部101bからフィン101cに伝熱された後、導光板121と背面カバー122との間を流れる空気に放熱される。導光板121と背面カバー122の間を流れる空気は自然対流により下から上へと流れ、第1のフレーム137及び背面カバー122の下側面に形成した通気口107からの吸気が、第1のフレーム137及び背面カバー122上面に形成した通気口107から排出される。
【0044】
導光板121は、光源124からの光を受けることで熱膨張し、反り返ろうとするが、前記保持基部101bの前面側と第1のフレーム137の背面側との間に押圧保持されているので、導光板121の反りを防止でき、導光板121の光軸がずれて照明度が低下することが防止できる。
又、導光板121の反り前記押圧保持により抑制すると、導光板121の前面側と背面側に隣接して重ねられている第1の反射シート135と第2の反射シート136が、導光板121の熱による伸縮に引きずられて、少なくとも左右横方向に伸縮することになる。又、第1の反射シート135が伸縮するとそれに引きずられて、第1の反射シート135の前面側に重ねられている3枚の光学シート134(134A、134B、134C)も少なくとも左右横方向に伸縮の力を受けることになる。
【0045】
本実施形態によれば、第1の反射シート135が左右方向、上下方向に伸縮して、その前面側に配置されている3枚の光学シート134(図2では134A、134B、134C)がそれに引きずられて伸縮しても、光学シート134は滑り易い緩衝体133を介して押圧されているので、光学シート134に皺がよったり、撓んだりして光軸がずれることが防止される。光学シート134に皺がよったり、撓んだりして光軸がずれると、前面側に放出される光の均一性が低下したり等して液晶表示装置1の表示むらを生じる。従って、そのような表示むら防止できる。
又、緩衝体133は光学シート134に対して滑りやすい表面材料の弾性部材であるので、光学シート134が伸縮しても光学シート134の表面を傷めない。
【0046】
又、第1の反射シート135は、立ち上がり部135bが光源搭載基板123に接着されているので、導光板121の伸縮により引きずられて、光源搭載基板123から離れてしまうということがない。従って、光源搭載基板123と第1の反射シート135の側端部との間に隙間を生じて、光源124の光が洩れるということがない。
例えば、図3に示す比較例の液晶表示装置1Aのように第1の反射シート135が導光板121の前面に配置され、その左右側端面Bが光源搭載基板123に付き当たるようにのみ設定されている場合に、伸縮により光源搭載基板123から離れしまい、左右側端面B’で示すように光源124からの光が前面側に漏れてしまう。そうすると導光板121の入射面121aに導かれる光量が減り、照明度が低下する。
【0047】
更に、第1の反射シート135は図2に示すように固定部135cがヒートシンク101の躯体部101aの前面側にまで伸び、ヒートシンク101と第2のフレーム138との間に介在する形となり、ヒートシンク101から第1のフレーム137、第2のフレーム138への熱伝導を遮断する断熱効果があり、ユーザが金属製の第1のフレーム137に触れても熱く感じないで済む。
【0048】
本実施形態によれば、第2の反射シート136は、その側端部136aが図2に示すように光源搭載基板123の背面側端面と摺動し、ヒートシンク101の溝101dに伸び代を確保して挿入されているので、第2の反射シート136が導光板121に引きずられて左右方向に伸縮しても、光源搭載基板123から離れて光が洩れたり、皺が寄ったりすることもない。
例えば、図3に示す比較例の液晶表示装置1Aのように第2の反射シート136が導光板121の背面側に配置され、その左右側端面Aが光源搭載基板123に達するようにのみ設定されている場合に、伸縮により左右側端面A’が光源搭載基板123から離れしまい、光源124からの光が背面側に漏れてしまう。そうすると導光板121の入射面121aに導かれる光量が減り、照明度が低下する。
【0049】
《実施形態の変形例》
次に図4及び図5を参照しながら本実施形態の変形例について説明する。実施の形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図4及び図5は本実施の形態の第1の変形例を示す液晶表示装置の横断面図である。
本変形例が実施形態から異なる点は、第1の反射シート135B、135Cが、開口縁部135aの導光板121と重なる領域より左右外側に少なくとも伸縮吸収部135dを有している点である。
図4の例では、伸縮吸収部135dは波状のフレキシブルな皺を第1の反射シート135Bに予め付けて伸縮吸収部135dとしたものである。図5の例では、伸縮吸収部135dはコの字状のビード皺を第1の反射シート135Cに予め付けて伸縮吸収部135dとしたものである。
導光板121が左右方向に伸縮して第1の反射シートが左右方向に引きずられても、伸縮吸収部135dで伸び縮みを吸収できる。その結果、縮んだときに接着部材173が剥がれず、光源124近傍の良好な反射状態が維持される。
【0050】
なお、伸縮吸収部135dは、開口縁部135aの左右方向側だけでなく上下方向側にも設けて、導光板121の前面側を囲む連続したものとしたほうが、導光板121の面状の伸縮に対しても対処しやすい。
又、前記実施の形態及びその変形例において、第1の反射シート135、135B、135Cと第2の反射シート136の導光板121の上下端側での処理方法の説明を省略したが、導光板121の上下端面からの光の漏洩を抑制するため、図6の導光板と反射シートの縦断面図のように第1の反射シート135の上下端部と第2の反射シート136の上下端部とを重ねて接着部材174で接着しても良い。
【0051】
実施形態及びその変形例において、ヒートシンク101として銅又はアルミニウムを用いたが、銅、アルミニウムに限らず熱伝導度が200(W/m・K)以上、例えば金、銀、銅、アルミニウム、もしくはそれを主成分とした合金、又はカーボングラファイトを用いた場合においても、液晶表示装置1の背面を放熱手段として用いることなくヒートシンク101からの放熱を外部に排出することが可能となる。
【0052】
実施形態及びその変形例において、フィン101cとして銅又はアルミニウムを用いたが、銅、アルミニウムに限らず熱伝導度が200(W/m・K)以上、例えば金、銀、銅、アルミニウム、もしくはそれを主成分とした合金、又はカーボングラファイトを用いた場合においても、液晶表示装置1の背面を放熱手段として用いることなくヒートシンク101からの放熱を外部に排出することが可能となる。
【0053】
なお、本実施の形態及び変形例においては、保持基部101bから放熱用のフィン101cが伸びる構成としたがこれに限定されるものではない。
保持基部101bの背面側において、躯体部101aに伝熱放熱のための別部材材、例えば、ヒートパイプ等を取り付けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成斜視図である。
【図2】図1のX−X横断面図である。
【図3】比較例の液晶表示装置における導光板の伸縮による第1及び第2の反射シートの伸縮作用を説明する図である。
【図4】実施形態の変形例を示す図1のX−X横断面図に対応する横断面図である。
【図5】実施形態の変形例を示す図1のX−X横断面図に対応する横断面図である。
【図6】導光板と反射シートの縦断面図。
【符号の説明】
【0055】
1、1A 液晶表示装置
101 ヒートシンク
101a 躯体部
101b 保持基部
101c フィン
101d 溝
101e 溝底面
107 通気口
120 液晶パネル
121 導光板
121a 入射面
121b 出射面
122 背面カバー
123 光源搭載基板
124 光源
131 第1のゴムクッション
132 第2のゴムクッション
134、134A、134B、134C 光学シート
135、135B、135C 第1の反射シート
135a 開口縁部
135b 立ち上がり部
135c 固定部
135d 伸縮吸収部
136 第2の反射シート
136a 側端部
137 第1のフレーム
138 第2のフレーム
139 第3のフレーム
140 回路基板
142 レンズ
171 熱伝導接着部材
173 接着部材
174 接着部材
201 固定ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、前記液晶パネルの背面に配置した導光板と、前記導光板の両側面に対向して配置した一対の光源搭載基板と、前記光源搭載基板の前記導光板側の面に実装した複数の光源と、前記導光板の背面側に配置した背面カバーと、を有し、前記一対の光源搭載基板は前記液晶パネルの表示画面に対し左右方向に配置した液晶表示装置において、
前記光源搭載基板の前記導光板とは反対側の面に設けたヒートシンクと、
前記導光板側の前面側に、前記導光板の少なくとも左右端側縁部を覆い、液晶表示装置の表示エリア部が開口された第1の反射シートと、
前記導光板に隣接して背面側に配置した板状の第2の反射シートと、を有し、
前記第1の反射シートの前記左右端側縁部を覆う部分は、前記光源搭載基板にまで伸びて、L字形に曲がり、前記光源搭載基板の前記導光板側の面と接着されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1の反射シートは、前記導光板の左右端側縁部と重なる領域の左右端側外側に伸縮吸収部を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1の反射シートは、その左右端側縁部は、更に前記光源搭載基板の前記導光板側の面と平行して前面側に延伸して、前記ヒートシンクの前記液晶パネルにおける前面側で固定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
液晶パネルと、前記液晶パネルの背面に配置した導光板と、前記導光板の両側面に対向して配置した一対の光源搭載基板と、前記光源搭載基板の前記導光板側の面に実装した複数の光源と、前記導光板の背面側に配置した背面カバーと、を有し、前記一対の光源搭載基板は前記液晶パネルの表示画面に対し左右方向に配置した液晶表示装置において、
前記光源搭載基板の前記導光板とは反対側の面に設けたヒートシンクと、
前記導光板側の前面側に、前記導光板の少なくとも左右端側縁部を覆い、液晶表示装置の表示エリア部が開口された第1の反射シートと、
前記導光板に隣接して背面側に配置した板状の第2の反射シートと、を有し、
前記ヒートシンクの前記導光板側の面に、前記第2の反射シートの側端部を受け入れ可能な溝を設けることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
前記ヒートシンクの前記導光板側の面に、前記第2の反射シートの側端部を受け入れ可能な溝を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前面側から液晶パネルと、少なくとも1枚の光学シートと、導光板と、をこの順番に配置し、前記導光板の両側面に対向して配置した一対の光源搭載基板と、前記光源搭載基板の前記導光板側の面に実装した複数の光源と、前記導光板の背面側に配置した背面カバーと、を有し、前記一対の光源搭載基板は前記液晶パネルの表示画面に対し左右方向に配置した液晶表示装置において、
前記液晶パネルを前面側と背面側から挟む枠状の第1のフレーム及び第2のフレームと、
前記光源搭載基板の前記導光板とは反対側の面に設けたヒートシンクと、
前記導光板側の前面側に、前記導光板の少なくとも左右端側縁部を覆い、液晶表示装置の表示エリア部が開口された第1の反射シートと、
前記導光板に隣接して背面側に配置した板状の第2の反射シートと、を有し、
前記第2のフレームと前記光学シートとの間に弾性と滑り性を備えた緩衝体を介設することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
前記液晶パネルを前面側と背面側から挟む枠状の第1のフレームと第2のフレームと、
前記第2のフレームの背面側であって前記導光板の前面側に少なくとも1枚の光学シートと、を有し
前記第2のフレームと前記光学シートとの間に弾性と滑り性を備えた緩衝体を介設することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1の反射シートの背面側に配置された第3のフレームを有し、
前記ヒートシンクが前記背面パネルと前記背面カバーとの間に達するまで延伸しており、該延伸したヒートシンクの先端に放熱部が接続され、
前記第1のフレームと第2のフレームの間に前記液晶パネルを挟んで、前記ヒートシンクの前記液晶パネルにおける前面側にねじ固定することによって前記第3のフレームが前記放熱部の前面側の面から押圧支持されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−299181(P2008−299181A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146745(P2007−146745)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】