説明

液晶表示装置

【課題】静電気を逃がす金属部品2の薄型、及び小型化を達成し、かつ金属部品2の組付けが容易な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】文字板62の開口部62aの奥に取付けられた液晶パネル本体1内の透明導電膜15が金属部品2によって接地される液晶表示装置において、表ガラス3と裏ガラス4の間に液晶層5が封入され、表ガラス3の表面と裏ガラス4の裏面に表側偏光板6と裏面偏光板7が設けられている。表ガラス3と表側偏光板6との端面の位置ずれによって形成された端面のずれ部14に位置し、表ガラス3と表側偏光板6との間に形成された透明導電膜15から引き出された露出部15aを備える。この露出部15aに接触する鋏み込み形状部23a、23b、24a、24bによって透明導電膜15がフレキシブルプリント基板10を介して回路基板32内のアースに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル本体を用いた液晶表示装置に関するものである。特に、TFT液晶等の液晶パネル本体における静電気対策部品の表示装置本体部への締結が容易な液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用メータには、TFT液晶等の液晶ドットマトリクスを使用した表示装置が多数採用されている。TFT液晶とは、液晶ディスプレイの一種で、アクティブマトリクス方式の、薄膜状に加工されたトランジスタを用いるタイプのもので、現在の液晶パネルの主流方式となっている。
【0003】
TFT液晶では、画面を構成する各ドットにトランジスタが表示を制御している。このため、均一でムラのない表示が可能となっている。また、応答速度が速く、コントラストも高く、トランジスタの電圧を変えることによる画面の明るさの調整が可能である。大画面ディスプレイに用いても画質が劣化しない。
【0004】
このような液晶パネル本体は、帯電した運転者の手指等で、外部から静電気が印加された場合に、内部の液晶層の配向が乱れ、本来黒いOFFセグメントの部分が、バックライト光を透過するONセグメント状態に反転してしまい、長時間復帰しない場合がある。
【0005】
この現象を防ぐには、液晶パネル本体表面で受けた静電気を内部の液晶層に到達する前に回路基板内の接地導体を介してアースへ流してやれば、液晶層にダメージが及ぶことが無い。一般的には、液晶パネル本体のガラス表面全面にITO膜(透明導電膜)を設定しておき、このITO膜と金属部品とを接触させ、金属部品を介して回路基板内の接地導体に導通する手法が取られている。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載の液晶表示パネル本体を使用した表示装置が知られている。この特許文献1の装置は、長方形の液晶表示パネル本体と、この液晶表示パネル本体を収納し保持する窪んだトレイ状のホルダーと、このホルダーの背後側に配設され上記液晶表示パネル本体側と電気的にフレキシブル配線板を介して接続される回路基板と、上記液晶パネル本体の表面側に固定される額縁状の導電性枠状フレームとを備えている。
【0007】
そして、上記トレイ状のホルダーの4角の一つに溝状に設けられた誘い込み部を有している。この誘い込み部と対応する位置において、上記導電性枠状フレームから一体に舌片状の通電用腕片が延在している。そして、溝状の誘い込み部の中に通電用腕片が収納される。
【0008】
通電用腕片の先端は回路基板の接地導体に接続される。導電性枠状フレームには通電用腕片より短い長さを有し、係合用の孔を有する複数の固定用腕片が通電用腕片と同じ方向に突出しており、この複数の固定用腕片は、ホルダーの側壁に設けられた爪状の係合部に結合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−237220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、この特許文献1の手法は、導電性枠状フレームを成す金属部品が液晶パネル本体の表面外周を覆うように被せられるため、文字板の開口部から液晶パネル本体まで金属部品が介在する分、文字板の開口部から見える液晶パネル本体の表面が、上記金属部品の厚み分だけ奥の方に見える。よって、ケースの白い部分が斜めから視認される等、見栄えが悪く、外観デザイン性も損ねていた。
【0011】
また、金属部品を正面側から組付けた後に、反対面(裏面側)から金属部品の一部となる通電用腕片等の曲げ加工を行なわなければならない。そして、この曲げ加工を行った上で、回路基板にねじを締め付けるため、上記金属部品の組付け方法が複雑であり、組付け工数が多くかかる。
【0012】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、金属部品の薄型、及び小型化を達成し、かつ金属部品の組付けが容易な液晶表示装置を提供することにある。
【0013】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、平面状に広がる表面板に開口部が形成されこの開口部を通して液晶パネル本体に表示された表示内容が視認される液晶表示装置において、相対向する表ガラスと裏ガラスの間に液晶層が封入され、表ガラスの表面と裏ガラスの裏面に表側偏光板と裏面偏光板とが夫々設けられ、かつ表ガラスと表側偏光板との間に透明導電膜が形成された層構造体から成る液晶パネル本体、液晶パネル本体が取り付けられるケース、表ガラスの平面方向の表ガラス端部と表側偏光板の平面方向の表側偏光板端部との位置ずれによって形成された段差部に位置し、表ガラス表面に形成され透明導電膜から引き出されて成る露出部、露出部に接触する鋏み込み形状部によって少なくとも透明導電膜と表ガラスとを表ガラスの表裏方向から鋏み込んでいる金属部品、ケース内に保持され、接地された導体配線を有する回路基板、及び金属部品を回路基板の導体配線に接続する締結具を備えることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、表ガラスの平面方向の表ガラス端部と表側偏光板の平面方向の表側偏光板端部との位置ずれによって形成された段差部に位置し、表ガラス表面に形成され透明導電膜から引き出されて成る露出部、露出部に接触する鋏み込み形状部によって少なくとも透明導電膜と表ガラスとを表ガラスの表裏方向から鋏み込んでいる金属部品、ケース内に保持され、接地された導体配線を有する回路基板、及び金属部品を回路基板の導体配線に接続する締結具を備えるから、表面板の開口から視認される表側偏光板を含む液晶パネル本体が奥まって見えることが無く、外観デザイン性を損ねることが無い。また、表側偏光板の表面全周上に金属部品を被せる必要が無く、透明導電膜の露出部に接触する鋏み込み形状部によって少なくとも透明導電膜と表ガラスとを鋏み込む金属部品とすればよいため、金属部品の薄型、及び小型化を達成し、かつ金属部品の組付けが容易な液晶表示装置を提供できる。
【0016】
請求項2に記載の発明では、金属部品は、表ガラス端部に当接する当接部を有し、該当接部の長手方向の両サイドに存在する一対の折曲げ形状部を、液晶パネル本体の両端の角部に嵌め込み、液晶パネル本体の長手方向の幅に対し、金属部品の折曲げ形状部相互間の幅は、小さくされており、金属部品には少なくとも表ガラスの厚みに対応した挟込み幅を持つ表ガラスの表裏方向に相対向して形成された一対の挟み込み形状部が設けられており、挟み込み形状部の表ガラスの平面方向への突出長さは、表ガラスの平面方向の位置ずれの長さよりも短く設定されていることを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、一対の折曲げ形状部を、液晶パネル本体の両端の角部に嵌め込み、液晶パネル本体の長手方向の幅に対し、金属部品の折曲げ形状部相互間の幅は、小さくされており、金属部品には少なくとも表ガラスの厚みに対応した挟込み幅を持つ表ガラスの表裏方向に相対向して形成された一対の挟み込み形状部が設けられており、挟み込み形状部の表ガラスの平面方向への突出長さは、表ガラスの平面方向の位置ずれの長さよりも短く設定されているから、液晶パネル本体を金属部品で鋏み込むことが出来、液晶パネル本体と金属部品との挟み込みによる結合力を充分なものとすることが出来る。また、挟み込み形状部によって、露出部を確実に挟み込んで透明導電膜を接地することが出来る。
【0018】
請求項3に記載の発明では、金属部品は、折曲げ形状部相互間の当接部から表ガラスの表裏方向に延在して締結具に至る延在部を有し、当接部と延在部とで金属部品は、T字状形状を有していることを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、金属部品は、T字状形状の小型部品で構成できるから、金属部品の小型化を達成することが出来る。
【0020】
請求項4に記載の発明では、ケースは金属部品の延在部が挿入されるケース穴部を有し、該ケース穴部内の壁面に植立されたガイド突起相互間に挟持されるガイド部を延在部の両脇に有していることを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、ケース穴部内の壁面に植立されたガイド突起相互間に挟持されるガイド部を延在部の両脇に有しているから、このガイド突起に延在部のガイド部を挟持させて、金属部品を強固にケースに取付けることが出来るため、金属部品の肉厚を薄くして剛性を少なくすることが可能であり、金属部品の小型軽量化を達成することが出来、かつ金属部品はガイド突起に案内されて組付けられるため、組付けが容易な液晶表示装置が得られる。
【0022】
請求項5に記載の発明では、金属部品は締結具に隣接して折り曲げ部を有し、回路基板の導体配線に金属部品を接続する締結具は、折り曲げ部を表面板側から回路基板の表面に押し付けて金属部品を導体配線に導通させる締結具から成ることを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、金属部品の折り曲げ部を表面板側から回路基板の表面に押し付ける締結具によって金属部品を回路基板の導体配線に接続するから、表面板側から金属部品を回路基板の導体配線に接続することが出来る。
【0024】
請求項6に記載の発明では、金属部品の挟み込み形状部の肉厚は、表側偏光板の肉厚以下であることを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、金属部品の挟み込み形状部の肉厚は、表側偏光板の肉厚以下としているから、表面板と表側偏光板との間のクリアランスを金属部品の厚さに関係なく小さな隙間とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態における液晶表示装置の液晶パネル本体に静電気放出用の金属部品を組付ける状態を示す斜視図である。
【図2】上記一実施形態において、車両用計器のケース内に、金属部品と液晶パネル本体との一体物を組付ける状態を説明する斜視図である。
【図3】図2のF3−F3線に沿った車両用計器内の液晶表示装置部分の断面図である。
【図4】図2のF4−F4線に沿った上記液晶表示装置部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図4を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の液晶パネル本体1に静電気放出用の金属部品2を組付ける状態を示す斜視図である。
【0028】
なお、この液晶パネル本体1を使用した液晶表示装置はマルチディスプレイとして使用することが可能であり、ディジタル式の走行距離計(オドメータ)、区間距離の積算計(トリップメータ)をはじめ、平均燃費表示、エコ運転表示、故障表示、アラーム表示等に使用される。
【0029】
静電気を後述する回路基板32(図3)に導通させる金属部品2は、図1のように当接部2aと、該当接部2aに直交する延在部2bを有する全体としてT字形状である。液晶パネル本体1は表面ガラス3と裏面ガラス4の2枚構成を有しており、これら2枚のガラス3、4間に液晶層5がミクロン単位の厚みで封入されている。表面ガラス3の厚さは0.5mmから0.7mmである。
【0030】
表面ガラス3の表面には、表面ガラス3より長手方向の長さが短い表側偏光板6が貼付けられている。表側偏光板6は、板厚W32(図3)が0.2mmから0.3mmであり、絶縁物であるが、高電圧の静電気が内部に突き抜ける。
【0031】
裏面ガラス4にも同様に、図1からは見えない裏側偏光板(7)が貼付けられている。これらの表面ガラス3、裏面ガラス4、表側偏光板6、裏側偏光板7、液晶層5を総称して液晶パネル本体1と呼称する。
【0032】
表面ガラス3よりも裏面ガラス4のほうが長手方向(図1の上下方向)の長さが大きく、表面ガラス3と裏面ガラス4との間には、段差部8が設けられている。この段差部8を利用し、ドットマトリクス駆動用のマイクロコンピュータ9が段差部8上に実装されている。
【0033】
同様に、幅W11の段差部8上に、図1では図示されない回路基板32(図3)と接続するためのフレキシブルプリント基板10が導電性ペーストや導電性両面テープで固定されて実装されている。フレキシブルプリント基板10の先端10aは、補強部材で補強されている。
【0034】
これらマイクロコンピュータ9、及びフレキシブルプリント基板10の実装後にマイクロコンピュータ9、及びフレキシブルプリント基板10の接続部は、湿度や取扱い時の外力から保護するために、シリコン樹脂11でコーティングされている。このシリコン樹脂11の高さは、段差部8の表面から表面ガラス3の表面を超えないよう管理されて製造されている。なお、表面ガラス3の厚さは0.5mmから0.7mm程度である。
【0035】
表面ガラス3と裏面ガラス4のずれ部分である上記段差部8と対向する図1の上側には、表面ガラス3と裏面ガラス4が端部12を揃えて重ねられている。この端部12は液晶パネル本体1の端部でもあり、端部12と表側偏光板6の端部13との間には、幅W12の端面の位置ずれによって、ずれ部14を形成している。端面のずれ部14の幅W12は、3〜5mm程度で、この端面のずれ部14によって、表面ガラス3の表面全面に形成されている透明導電膜(ITO膜)15の一部15aが露出している。
【0036】
次に、金属部品2の構造について説明する。金属部品2は、ばね用りん青銅や洋白等の
薄い板厚で、ばね性に優れた金属材料で形成されている。この一実施形態では金属部品2の板厚は、表側偏光板6の厚さに対応して0.2〜0.3mmである。つまり、金属部品2の板厚は、表側偏光板6の厚さ以下に設定されている。
【0037】
金属部品2の両サイドにある折曲げ形状部21、22を、液晶パネル本体1の端部12に端面の位置ずれ方向(矢印A1、A2方向)から嵌め込む。液晶パネル本体1の幅W14に対し、金属部品2の折曲げ部21、22間の幅W13は、若干(0.2〜0.5mm程度)小さくされていて、金属部品2を液晶パネル本体1に嵌めた時に、図1の左右方向のガタつきを無くしている。
【0038】
また、金属部品2の折曲げ部21、22は、互いに先端側に行くに従って離間する方向に、反り返ってカールしている。このカール形状によって、金属部品2の折曲げ部21、22が液晶パネル本体1の端部12に嵌め易いように、かつ、抜けぬくいようにされている。つまり、このカール形状によって、金属部品2を液晶パネル本体1に嵌めるときに、折曲げ形状部21、22の入り口付近の幅が広くなり奥に行くに従って狭くなるようにしてある。
【0039】
更に、金属部品2には液晶パネル本体1の厚みW15(表面ガラス6と裏面ガラス7と液晶層5の厚みの合計)に対応した挟み込み幅を持つ左右上下一対の挟み込み形状部23a、23b、24a、24bが設けられている。
【0040】
この挟み込み形状部23a、23b、24a、24bの突出長さW16、W17は、共に同じ長さであり、上記透明導電膜15の一部15aから成る端面のずれ部14の幅W12よりも若干(0.5mm程度)短く設定して、表側偏光板6への挟み込み形状部23a、23b、24a、24bの乗り上げを防止している。
【0041】
挟み込み形状部23a、23bの間、及び挟み込み形状部24a、24bの図1上下方向の幅は、液晶パネル本体1の厚みW15より若干(0.1〜0.2mm程度)狭く設定している。また上述したように、端面のずれ部14には、表面ガラス3の表面全面に形成されている透明導電膜15の一部15aが露出している。
【0042】
これにより、端面のずれ部14を挟み込み形状部23a、23b、24a、24bで挟み込んだときに、金属部品2と液晶パネル本体1の透明導電膜15とが確実に電気的導通するように構成されている。
【0043】
図1下側に相当する裏側の挟み込み形状部23b、24bは、先端に行くに従って拡開したカール形状をしており、挟み込み形状部23a、23b、24a、24bを液晶パネル本体1の透明導電膜15に挟み込むときに、入り口付近の挟み込み形状部23a、23b、24a、24bの幅は、液晶パネル本体1の厚みW15より若干広くなるように設定して、挟み込み易くしてある。
【0044】
金属部品2の表側の挟み込み形状部23a、24aは、フラットな形状であり、カールしていない。これにより、金属部品2の板厚(0.2〜0.3mm)と表側偏光板6の板厚(0.2〜0.3mm)とをほぼ同等とし、金属部品2の表側の挟み込み形状部23a、24aが表側偏光板6の表面より顕著に飛び出さないように配慮されている。
【0045】
また、金属部品2は液晶パネル本体1に対して、ある程度の保持力(挟持力)を持って把持され固定されている。なおかつ、金属部品2と液晶パネル本体1の透明導電膜15とは、お互いに電気的に導通している。
【0046】
金属部品2と同一のばね材料で連続一体に折り曲げて形成された曲げ部25、26が形成されている。金属部品2から図1の下方向に突出した舌片を、図1の金属部品2の裏側に折曲げることにより、曲げ部25、26が形成されている。
【0047】
以上のようにして、金属部品2と液晶パネル本体1とが一体化された後に、図2のように、一体化された金属部品2と液晶パネル本体1とをメータ本体のケース30へ組付ける。図2は、この一実施形態において、一体化された金属部品2と液晶パネル本体1とをケース30に組付ける状態を説明する斜視図である。図3は、図2のF3−F3線に沿った断面図であり、図4は、図2のF4−F4線に沿った断面図である。
【0048】
図2において、ケース30は、ポリプロピレン樹脂等の白色の樹脂から成る成型品である。長方形の拡散板31をケース3の窪み30k内に圧入固定する。このとき、拡散板31の底面をケース30の第1凹部30aで受け、ポリカーボネート製の拡散板31の側面に一体に射出成型されている突起31a、31b、31c、31dをケース30の凹部内第1側壁30bに圧入保持させる。
【0049】
拡散板31は、ポリカーボネート等に拡散ビーズ等を配合した樹脂成型品から成る。よって、拡散板31は、後述の回路基板32(図3)に実装されている発光ダイオード(LEDとも言う)33、34、35、36、37、38の光を内部の拡散成分で拡散させる。拡散板31を透過したムラの無い発光ダイオード33、34、35、36、37、38の光が、液晶パネル本体1を均一に透過する状態となる。
【0050】
拡散板31をメータ本体のケース30の窪み30k内に圧入固定した後に、金属部品2と一体化された液晶パネル本体1の底面を、図2のケース30の第2凹部30cで受ける。液晶パネル本体1をケース30へ組付ける際に、液晶パネル本体1から出ているフレキシブルプリント基板10は、ケース穴39へ挿入される。
【0051】
図2のフレキシブルプリント基板10の先端は、図3に示すように、回路基板32に実装されているコネクタ40に接続され、回路基板32と液晶パネル本体1とは、フレキシブルプリント基板10を介して電気的に導通している。
【0052】
液晶パネル本体1に取り付けたれた金属部品2には、図1及び図3のように、折り曲げ部(ねじ締め部)41と左右一対のガイド部42、43(図1)が同一の金属材料で連続一体に成形されている。液晶パネル本体1をケース30へ組付けする際に、図3のように、金属部品2の折り曲げ部41をケース穴部45内へ挿入する。
【0053】
図3のように、液晶パネル本体1を成す表面ガラス3、液晶層5、裏面ガラス4、表側偏光板6、裏側偏光板7からなる液晶パネル本体1は、金属部品2と一体化された上で図4の組付け過程を経て、図3のように組付けられる。この場合に、金属部品2のガイド部42、43(図1)は、図2のケース穴部45内のガイド突起51、52、53、54相互間の溝内に保持される。
【0054】
つまり、金属部品2の一方のガイド部42(図1)は、図2において、ケース30に一体に成型されて突出しているガイド突起51、52相互間の溝内に挿入される。同様に、ガイド突起43も図2のようにケース30のケース穴部45の内壁面に植立されたガイド突起53、54相互間の溝内に挿入される。なお、図3は図2のF3−F3線に沿った断面図であるため、金属部品2のガイド部43(図2)が紙面の向こう側に突出しており、ガイド部42は図示されない。
【0055】
図3に示すように、金属部品2の折り曲げ部41は、回路基板32の表面に接して組付けられ、その接する面の回路基板32上には、車体のボディに接続されたアース電位の図示されない銅箔パターンが設けられている。
【0056】
折り曲げ部41に取付けられる締結具を成すねじ60を、ロアカバー61のねじボス部61aへ締め付けることで、金属部品2と回路基板32に設けてある図示されないアース電位の銅箔パターンとを確実に電気的接続することができる。これにより、表面ガラス3表面の透明導電膜15と回路基板32とが電気的に導通する。
【0057】
なお、回路基板32を成すプリント基板は、両面に回路を成す銅箔パターンが形成されている。図3左側の62は、本発明に言う表面板を成す文字板である。63は文字板62の外周を隠す化粧板となる見返し板であり、ポリプロピレン樹脂等の黒色樹脂成型品から成る。
【0058】
上述したように、金属部品2の表側の挟み込み形状部23a、24a(図1)は、フラットな形状であり、カールしていない。これは金属部品2の板厚(挟み込み形状部23a、24aの肉厚0.2〜0.3mmと同じ)と表側偏光板6の板厚W32(肉厚0.2〜0.3mm)とをほぼ同等とさせ、金属部品2の表側の挟み込み形状部23a、24aが表側偏光板6より顕著に飛び出さないように配慮したからである。
【0059】
従って、所定位置に組付けされた表側偏光板6の表面と図3の文字板62の裏面との間のクリアランスW31は、金属部品2の有無に関わらず0.2〜0.5mm程度の公差分だけの最小隙間にすることができる。また、文字板62の開口部62aの端面は、表側偏光板6に寸法W33だけ覆い被さっている。
【0060】
よって、文字板62の開口部62aから表側偏光板6の位置が極端に奥まって見えることは無い。なお、ポリカードネートシート等の透光性材料に印刷を施した文字板62の図示されない部分には、周知のように、指針と該指針を駆動するムーブメントとの間を結ぶ指針軸が貫通している。
【0061】
図4において、液晶パネル本体1をケース30へ組付ける構成を更に説明する。液晶パネル本体1を組付ける前の状態は、1Xの仮想線のように液晶パネル本体1の下端部65をケース30の引っかけ部66a、66b(図2)に引っかけておき、図4の矢印A4の方向に液晶パネル本体1をケース30側に起して液晶パネル本体1をケース30の所定位置に組付ける。
【0062】
この際、金属部品2と同一材料で連続一体に折り曲げて形成されている曲げ部25、26(図1)が、対向するケース壁70に圧接され、曲げ部25、26が圧縮される。この金属部品2の曲げ部25、26が圧縮される量は0.2〜0.3mm程度である。
【0063】
以下、上記第1実施形態の作用について説明する。表面ガラス3と裏面ガラス4が端部12(図1)を揃えて重ねられている。この端部12と表側偏光板6の端部13との間には幅W12の端面のずれ部(端面のズレ)14を形成している。この端面のずれ部14には、表面ガラス3の表面全面に形成されている透明導電膜15の一部15aが露出している。この透明導電膜15は金属部品2の挟み込み形状部23a、23b、24a、24bと電気的に導通してアースされている。
【0064】
従って、帯電した運転者の手指等で、外部から静電気が印加されても静電気がアースに逃げるため、液晶層5の配向が乱れることが無く、本来黒いOFFセグメントの部分が、バックライト光を透過するONセグメント状態に反転してしまうことが無い。
【0065】
次に、図3に示すように、金属部品2の折り曲げ部41は、回路基板32の表面に接して組付けられ、その接する面の回路基板32上には、車体のボディに接続されたアース電位の銅箔パターンが設けられている。
【0066】
よって、表側偏光板6に帯電した指等が触れても、透明導電膜15から金属部品2を通過して上記アース電位の銅箔パターンに高電圧が導かれる。また、金属部品2は、表面ガラス3の表面全面に形成されている透明導電膜15の一部15a(図1)に被せられる程度の小型部品で構成できる。
【0067】
金属部品2の両サイドにある折曲げ形状部21、22(図1)を、液晶パネル本体1の上端部に嵌め込み、金属部品2を液晶パネル本体1に嵌めた時に、図1の左右のガタを無くしている。
【0068】
金属部品2の表側の挟み込み形状部23a、24aは、フラットな形状であり、カールしていない。これは金属部品2の板厚(挟み込み形状部23a、24aの肉厚0.2〜0.3mmと同じ)と表側偏光板6の板厚(肉厚0.2〜0.3mm)とをほぼ同等とさせ、金属部品2の表側の挟み込み形状部23a、24aが表側偏光板6の表面より飛び出さないようにされている。
【0069】
図4において、液晶パネル1をケース3へ組付ける構成を更に説明する。図4において、液晶パネル本体1を組付ける前の状態は、1Xの仮想線のように液晶パネル本体1の下端部65をケース30の引っかけ部66a、66b(2カ所)に引っかけておき、矢印A4の方向に液晶パネル本体1をケース30側に起して液晶パネル本体1をケース3の所定位置に組付ける。
【0070】
この際、金属部品2と同一材料で連続一体に折り曲げて形成されている曲げ部25、26が、対向するケース壁70に圧接され、曲げ部25、26が圧縮される。上記の引っかけ部66a、66bと曲げ部25、26の圧縮でガタの無い液晶パネル本体1のケース30への固定が実現できる。
【0071】
図3のように、所定位置に組付けされた表側偏光板6の表面と文字板62の裏面との間のクリアランスW31は、金属部品2の有無に関わらず0.2〜0.5mm程度の公差分だけの最小隙間にすることができる。よって、文字板62の開口部62aから表側偏光板6の位置が奥まって見えることは無く、ケース30の白色等が運転者から視認されることが無く、美感が損なわれない。
【0072】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の一実施形態では、表面ガラス3、裏面ガラス4の上端面を合わせて、挟み込み形状部23a、23b、24a、24bで挟んだが、表面ガラス3だけを挟んでも良い。つまり、表面ガラス3、裏面ガラス4の上端面をずらせて、突出した表面ガラス3の上端面に下端面の段差部8と同様の段差部を設け、表面ガラス3の上端面のみを挟み込み形状部2B1、2B2、22C1、2C2で挟んでもよい。
【0073】
次に、ねじ8は締結具であれば何でもよく、タッピンねじのほかにも、鋲を使用しても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 液晶パネル本体
2 金属部品
2a 当接部
2b 延在部
3 表面ガラス
4 裏面ガラス
5 液晶層
6 表側偏光板
7 裏側偏光板
8 段差部
10 フレキシブルプリント基板
12 表面ガラスと裏面ガラスの端部となる液晶パネル本体の端部
13 表側偏光板の端部
14 端面のずれ部
15 透明導電膜(ITO膜)
15a 透明導電膜の一部
21、22 折曲げ形状部
23a、23b、24a、24b 挟み込み形状部
25、26 曲げ部
30 ケース
31 拡散板
32 回路基板
39 ケース穴
41 折り曲げ部(ねじ締め部)
42、43 ガイド部
51、52、53、54 ガイド突起
60 締結具を成すねじ
62 表面板を成す文字板
62a 文字板の開口部
70 ケース壁
W31 表側偏光板と文字板との間のクリアランス
W32 表側偏光板の肉厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状に広がる表面板に開口部が形成されこの開口部を通して液晶パネル本体に表示された表示内容が視認される液晶表示装置において、
相対向する表ガラスと裏ガラスの間に液晶層が封入され、前記表ガラスの表面と前記裏ガラスの裏面に表側偏光板と裏面偏光板とが夫々設けられ、かつ前記表ガラスと前記表側偏光板との間に透明導電膜が形成された層構造体から成る前記液晶パネル本体、
前記液晶パネル本体が取り付けられるケース、
前記表ガラスの平面方向の表ガラス端部と前記表側偏光板の平面方向の表側偏光板端部との位置ずれによって形成された段差部に位置し、前記表ガラス表面に形成され前記透明導電膜から引き出されて成る露出部、
前記露出部に接触する鋏み込み形状部によって少なくとも前記透明導電膜と前記表ガラスとを前記表ガラスの表裏方向から鋏み込んでいる金属部品、
前記ケース内に保持され、接地された導体配線を有する回路基板、及び
前記金属部品を前記回路基板の前記導体配線に接続する締結具を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記金属部品は、前記表ガラス端部に当接する当接部を有し、該当接部の長手方向の両サイドに存在する一対の折曲げ形状部を、前記液晶パネル本体の両端の角部に嵌め込み、前記液晶パネル本体の前記長手方向の幅に対し、前記金属部品の前記折曲げ形状部相互間の幅は、小さくされており、
前記金属部品には少なくとも前記表ガラスの厚みに対応した挟込み幅を持つ前記表ガラスの表裏方向に相対向して形成された一対の前記挟み込み形状部が設けられており、
前記挟み込み形状部の前記表ガラスの平面方向への突出長さは、前記表ガラスの平面方向の前記位置ずれの長さよりも短く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記金属部品は、前記折曲げ形状部相互間の前記当接部から前記表ガラスの表裏方向に延在して前記締結具に至る延在部を有し、前記当接部と前記延在部とで前記金属部品は、T字状形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ケースは前記金属部品の前記延在部が挿入されるケース穴部を有し、該ケース穴部内の壁面に植立されたガイド突起相互間に挟持されるガイド部を前記延在部の両脇に有していることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記金属部品は前記締結具に隣接して折り曲げ部を有し、前記回路基板の前記導体配線に前記金属部品を接続する前記締結具は、前記折り曲げ部を前記表面板側から前記回路基板の表面に押し付けて前記金属部品を前記導体配線に導通させる締結具から成ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記金属部品の前記挟み込み形状部の肉厚は、前記表側偏光板の肉厚以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−257654(P2011−257654A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133315(P2010−133315)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】