液晶表示装置
【課題】本発明は、複屈折性を利用せずに、明表示を行うことができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の基板(11a)と、第2の基板(11b)と、反射型偏光板(16)と、偏光板(15)と、第1及び第2の基板間に挟持され、電圧印加によって、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が角度を持って傾く第1のモードと、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が垂直となる第2のモードを有する垂直配向型の液晶層(10)とを有し、垂直配向型の液晶層への電圧印加によって、視認側から視認したときの光透過率が高い明表示と視認側から視認したときの光透過率が低い暗表示とを切り替え、垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定して、明表示を行うことを特徴とする液晶表示装置(100)。
【解決手段】第1の基板(11a)と、第2の基板(11b)と、反射型偏光板(16)と、偏光板(15)と、第1及び第2の基板間に挟持され、電圧印加によって、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が角度を持って傾く第1のモードと、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が垂直となる第2のモードを有する垂直配向型の液晶層(10)とを有し、垂直配向型の液晶層への電圧印加によって、視認側から視認したときの光透過率が高い明表示と視認側から視認したときの光透過率が低い暗表示とを切り替え、垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定して、明表示を行うことを特徴とする液晶表示装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に複屈折を利用せずに、背景の明表示を行うことができる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ性液晶は、複数の光学的な状態を有し、電圧を印加しなくても特定の状態を維持し続ける特性(メモリ特性)を有する。したがって、メモリ性液晶を液晶表示装置に用いた場合、電圧を印加しなくても所定の表示を維持し続けるように制御することが可能である。このような特性を利用し、強誘電性液晶等のメモリ性液晶を用いた表示パネルにおいて、表示を変更する必要がある部分にのみ走査電極の駆動を行い、表示を変更する必要が無い部分については走査電極の駆動を行わないように制御することが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、反射表示と透過表示を行う半透過反射型液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献2)。半透過反射型液晶表示装置では、透過する光を90度旋光するツイストネマティック液晶(TN液晶)を挟持する基板の一方に偏光板を配置し、他方に反射軸と透過軸とを備える反射型偏光板を配置し、反射型偏光板の外側に半透過吸収層を配置し、半透過吸収層の外側に補助光源を配置している。
【0004】
半透過反射型液晶表示装置では、補助光源をOFFした反射表示時に、TN液晶へHレベルの電圧を印加したON状態(TN液晶が透過状態)で暗表示となるように偏光板を配置すると、補助光源をONした透過表示時には、TN液晶へHレベルの電圧を印加したON状態(TN液晶が透過状態)で明表示となってしまう。これは、補助光源をOFFしてTN液晶を透過状態とすると、OFFされた補助光源の表面色が外部から観察されて暗表示となり、補助光源をONしてTN液晶を透過状態とすると、補助光源からの光が外部から観察されて明表示となるからである。即ち、TN液晶へ同じレベルの電圧を印加していても、補助光源のON/OFFによって、暗表示が反転してしまうという問題がある。そこで、補助光源のON/OFFに応じて、TN液晶に印加する電圧を(例えば、HレベルからLレベルに)切換えて、暗表示の反転を防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−131286号公報(第11、12頁、第12図)
【特許文献2】特許第3485541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半透過反射型の液晶表示装置において、用途に応じた反射型偏光板の方向、偏光板の方向及び液晶の液晶分子の配列方向に関する提案はなされていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、適切な反射型偏光板の方向、偏光板の方向及び液晶の液晶分子の配列方向を有する半透過反射型の液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、複屈折性を利用せずに、明表示を行うことができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液晶表示装置は、第1の基板と、第2の基板と、第1の基板上に配置され、それぞれ直交する第1の透過軸と第1の反射軸とを有し、及び第1の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過し且つ第1の反射軸に平行な振動面を有する直線偏光を反射する反射型偏光板と、第2の基板上に配置され、第2の透過軸を有し、及び第2の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過する偏光板と、第1及び第2の基板間に挟持され、複屈折性を利用して入射光の偏光方向を変化させる第1のモードと複屈折性を利用せずに入射光の偏光方向を変化させない第2のモードを有する液晶層とを有し、液晶層への電圧印加によって明表示と暗表示とを切り替え、液晶層を前記第2モードに設定して明表示を行うことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、偏光板の第2の透過軸を通過して液晶層に入射した外光を前記反射型偏光板で反射させ、再び前記液晶層及び前記偏光板外に出射させることによって明表示を行うことが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、第1の透過軸と前記第2の透過軸とは、ほぼ直交に配置されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、液晶層は、電圧無印加時に第1の安定状態又は第2の安定状態の何れか一方の状態を維持し、前記第1の安定状態又は前記第2の安定状態の何れか一方の安定状態が、前記第2のモードに設定されることが好ましい。所謂メモリ性液晶によって本発明による液晶表示装置を構成した。
【0013】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、第2の安定状態における液晶分子の配列方向は前記第2の透過軸とほぼ平行に配置されることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、第1の安定状態における液晶分子の配列方向と前記第2の安定状態における液晶分子の配列方向とは、ほぼ45°の傾きを有するように配置されることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、液晶層は、垂直配向型の液晶層であって、第1及び第2の基板間に液晶分子がほぼ垂直に配向される第1の状態と、液晶分子が前記第2の透過軸に対して所定の角度を持って傾く第2の状態を有し、第1の状態が第2モードに設定されることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、補助光源をOFFさせた状態で、液晶層は第2モードに設定されることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、補助光源をONした状態で、液晶層は第2モードに設定されることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、補助光源からの光を反射型偏光板の第1の透過軸で透過し、液晶層に入射した光を偏光板の第2の透過軸を通過して視認側に出射させることによって明表示を行うことが好ましい。
【0019】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、第1の透過軸と第2の透過軸とは、ほぼ平行に配置されていることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、反射型偏光板と補助光源との間に配置され、一部領域の光を吸収する光吸収層を有することが好ましい。これにより、補助光源がオフし、メモリ性液晶が透過状態となった場合にメモリ性液晶表示装置上で観測される補助光源の表面色をより暗く表示することが可能となった。
【0021】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、反射型偏光板と補助光源との間に配置され、可視光領域の一部の光を吸収する光吸収層を有することが好ましい。これにより、補助光源がオフし、メモリ性液晶が透過状態となった場合にメモリ性液晶表示装置上で観測される補助光源の表面色をより暗く表示することが可能となった。
【0022】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、補助光源には、可視光領域の一部の光を反射する反射層が備えられていることが好ましい。
【0023】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、液晶層は、垂直配向型の液晶層であって、第1及び第2の基板間に液晶分子がほぼ垂直に配向される第1の状態と、液晶分子が第2の透過軸に対して所定の角度を持って傾く第2の状態を有することが好ましい。所謂垂直配向型液晶によって本発明による液晶表示装置を構成した。
【0024】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、液晶層が第1の状態に維持された場合に、液晶層は第2モードに設定されることが好ましい。
【0025】
本発明に係る液晶表示装置は、第1の基板と、第2の基板と、第1の基板上に配置され、それぞれ直交する第1の透過軸と第1の反射軸とを有し、及び第1の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過し且つ第1の反射軸に平行な振動面を有する直線偏光を反射する反射型偏光板と、第2の基板上に配置され、第2の透過軸を有し、及び第2の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過する偏光板と、第1及び第2の基板間に挟持され、電圧印加によって、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が角度を持って傾く第1のモードと、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が垂直となる第2のモードを有する垂直配向型の液晶層とを有し、垂直配向型の液晶層への電圧印加によって、視認側から視認したときの光透過率が高い明表示と視認側から視認したときの光透過率が低い暗表示とを切り替え、垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定して、明表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、液晶の複屈折性を利用せずに、白を表示するように構成したので、白をきれいに表示することが可能となった。したがって、明表示の面積が多い場合(背景色を白に設定する場合)に、特に効果が高い。なお、液晶の複屈折性を利用せずに、黒を表示するようにしても、黒をきれいに表示することは可能であるが、もともと暗表示はムラが目立たないので、白の場合ほど、効果は大きくない。
【0027】
本発明によれば、メモリ性液晶を用いた半透過反射型の液晶表示装置において、補助光源を常時利用しない場合が多い反射重視の表示の場合に、より黒に近い暗表示を行うことができる。
【0028】
また、本発明によれば、メモリ性液晶を用いた半透過反射型の液晶表示装置において、補助光源を常時利用する場合が多い透過重視の表示の場合に、より黒に近い暗表示を行うことができる。
【0029】
さらに、本発明によれば、メモリ性液晶を用いた半透過反射型の液晶表示装置において、補助光源を常時利用しない場合が多い反射重視の表示の場合に、ムラの無い明表示を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る液晶表示装置のブロック構成図である。
【図2】本発明に係わる液晶パネルの構成例を示す図である。
【図3】第1の実施例に係る液晶パネルの偏光板及び反射型偏光板の関係を示す図である。
【図4】(a)は補助光源をOFFした場合の第1の実施例に係る液晶パネルの印加電圧と光透過率との関係を示し、(b)は補助光源をONした場合の第1の実施例に係る液晶パネルの印加電圧と光透過率との関係を示す図である。
【図5】(a)は本発明に係わる液晶パネルを腕時計に利用した場合の表示例を示し、(b)は表示が反転した場合を示す図である。
【図6】(a)は本発明に係わる液晶パネルを携帯電話に利用した場合の表示例を示し、(b)は表示が反転した場合を示す図である。
【図7】(a)は1本の走査電極13aに印加される走査電圧波形の一例を示し、(b)は1本の信号電極13bに印加される信号電圧波形の一例を示し、(c)は(a)及び(b)の合成電圧波形を示す図である。
【図8】第2の実施例に係る液晶パネルの偏光板及び反射型偏光板の関係を示す図である。
【図9】(a)は補助光源をOFFした場合の第2の実施例に係る液晶パネルの印加電圧と光透過率との関係を示し、(b)は補助光源をONした場合の第2の実施例に係る液晶パネルの印加電圧と光透過率との関係を示す図である。
【図10】第3の実施例に係る液晶パネルの偏光板及び反射型偏光板の関係を示す図である。
【図11】液晶分子の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下図面を参照して、本発明に係る液晶表示装置100について説明する。
【0032】
図1に、各実施例に共通する液晶表示装置100の概略ブロック構成図を示す。
【0033】
液晶表示装置100は、液晶パネル20、制御部21、駆動電圧波形制御回路22、液晶パネル20中に配置される各走査電極13aに電圧波形を印加するための走査駆動電圧波形発生回路23、液晶パネル20中に配置される各信号電極13bに電圧波形を印加するための信号駆動電圧波形発生回路24、太陽電池や2次電池等から構成される電源部25、表示データ記憶部27、RAM30、ROM31、時計回路50等を有するように構成した。
【0034】
また、液晶表示装置100は、液晶パネル20の背面側に配置した補助光源60、補助光源60のON/OFFを制御するための補助光源制御回路61、ユーザが補助光源60のON/OFFを設定するための補助光源スイッチ62を有するように構成した。なお、図1には明記していないが、液晶表示装置100の各構成要素は電源部25から電力供給を受けることできるように構成した。
【0035】
制御部21は、RAM30又はROM31に予め記憶されたプログラムに従い、時計回路50から受信した時刻情報等を用いて表示データを作成し、表示データ記憶部27に記憶し、時刻情報と対応した表示データが液晶パネル20に表示されるように、駆動電圧波形制御回路22に制御信号を出力する。
【0036】
また、制御部21は、液晶表示装置100の周囲が暗い場合等に、ユーザが補助光源スイッチ62をONすると、補助光源制御回路61を制御し、補助光源60をONする。
【0037】
さらに、制御部21は、補助光源スイッチ62がONされたことを検知して、駆動電圧波形制御回路22を制御し、強誘電性液晶10の極性反転を行い、補助光源60のON/OFFに拘らず、液晶パネル20の表示が反転しないように制御を行う。
【0038】
第1の実施例について説明する。
【0039】
図2に、第1の実施例に係る液晶パネル20の断面図と補助光源60とを示す。
【0040】
第1の実施例に係る液晶パネル20は、第1の透明ガラス基板11a、第2の透明ガラス基板11b、第1の透明ガラス基板11a上に設けられた走査電極13a、第2の透明ガラス基板11b上に設けられた信号電極13b、走査電極13a上に塗布され且つラビング処理された高分子配向膜14a、信号電極13b上に塗布され且つラビング処理された高分子配向膜14b、シール部材12、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間に挟持されシール部材12によって封入された強誘電性液晶10、第1の透明ガラス基板11aの外側に設けられた反射型偏光板16、及び第2の透明ガラス基板11bの外側に設けられた偏光板15等から構成した。
【0041】
強誘電性液晶10としては、クラリアント社製の「Felix 501」を用いた。また、強誘電性液晶10は、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間に、ほぼ1.7μmの厚さに挟持した。
【0042】
反射型偏光板16は、ポリエステル樹脂等の多層フィルムから構成され、直交する透過軸と反射軸を有する。また、反射型偏光板16は、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過し且つ反射軸に平行な振動面を有する直線偏光を反射する機能を有する。
【0043】
図2中、矢印Aは、外部から液晶パネル20へ入射する外光を示し、矢印Bは補助光源60から液晶パネルへ入射する光を示している。
【0044】
液晶パネル20の反射型偏光板16の下部には、低消費電力と薄さを考慮して、有機ELセルを発光素子として用いたバックライトを補助光源60として配置した。なお、他の発光素子を用いた補助光源を用いることもできる。
【0045】
図2では、便宜上5本の走査電極13aを示したが、本実施形態では、透明導電膜パターンにより構成した40本の走査電極13aを液晶パネル20の全体に渡って配置した。また。図2には明記していないが、透明導電膜パターンにより構成した50本の信号電極13bを、走査電極13aと直行するように液晶パネル20の全体に渡って配置した。したがって、走査電極13aと信号電極13bが交差する各ポイントが、液晶パネル20の各画素(2000画素)となる。
【0046】
図3に、第1の実施例に係る液晶パネル20における偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
【0047】
図3に示すように、偏光板15の透過軸(a1)と反射型偏光板16の透過軸(b1)がほぼ直交するように配置した。強誘電性液晶は、電圧無印加時に第1の安定状態と第2の安定状態の2つの安定状態を有する、図3では、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a1)と一致させるように配置した。この際、どちらの安定状態の液晶分子の長軸の配列方向を透過軸(a1)に一致させてもかまわない。さらに、第1の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を、図3に示すように、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向からコーン角度θ1だけ傾いた位置、即ち液晶コーンに沿った他の位置とした。また、図3において、矢印17は、配向膜の配向方向を示しており、第1の安定状態における配列方向と第2の安定状態の配列方向のちょうど中間となっている。
【0048】
なお、第1の実施例における強誘電性液晶10では、コーン角度を(θ1)ほぼ45°となるように設定した。これは、強誘電性液晶が複屈折性を利用した場合に、強誘電性液晶に入射する光量(Iin)と出射する光量(Iout)との関係が一般に以下の式(1)で表され、コーン角度(θ1)が45°の時に、出射光量(Iout)が最大となるからである。
Iout=Iin・sin22θ・sin2(R/λ)π (1)
ここで、Rはリタデーションを示し、λは強誘電性液晶への入射光の波長を示している。
【0049】
なお、コーン角度(θ1)を45°としても、リタデーションによる減衰が生じるため、複屈折性を利用した場合には、IoutはIinとは等しくならない。
【0050】
図4に、第1の実施例に係る液晶パネル20における強誘電性液晶10に印加する電圧の各極性と光透過率との関係を示す。
【0051】
図4(a)は補助光源60がOFFしている状態を示し、図4(b)は補助光源60がONしている状態を示している。また、それぞれのグラフの横軸は液晶パネル20の走査電極13aを基準として、走査電極13aと信号電極13bとの間に印加される印加電圧(V)(即ち、強誘電性液晶10に印加される印加電圧)を示し、縦軸は液晶パネル20の光透過率を示している。
【0052】
図4(a)を用いて補助光源60をOFFした状態について説明する。
【0053】
第2の安定状態の液晶分子の配列方向を透過軸(a1)と平行に配置したので、印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a1)及び反射型偏光板16の透過軸(b1)の何れとも一致しなくなる。即ち、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、透過軸(a1)に対してθ1(ほぼ45°)の角度を持って傾く。液晶パネル20に入射する偏光板15の透過軸(a1)と平行な振動面を有する外光Aは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、反射型偏光板16の透過軸(b1)とほぼ平行な振動面を有するようになり、液晶パネル20を透過して(透過状態)、補助光源60の表面から反射される。補助光源60の表面は通常暗色であるので、補助光源60をOFFした場合、第1の安定状態では、液晶パネル20に入射した光が、補助光源60の表面の暗色が視認されて、液晶パネル20上では暗表示となる。この時の光透過率を、図4(a)において、Tl1−OFFとする。このように、複屈折性を利用して入射光の偏光方向を変化させるモードを第1のモードと称する。本実施例では、強誘電性液晶が第1の安定状態をとるときに第1のモードとなる。
【0054】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a1)と平行となる。この場合、強誘電性液晶10は入射光をそのまま通過させる。液晶パネル20に入射する透過軸(a1)と平行な振動面を有する外光Aは、反射型偏光板16の透過軸(b1)とほぼ垂直な振動面を有するため、反射型偏光板16の反射軸によって反射される(反射状態)。したがって、補助光源60をOFFした場合、第2の安定状態では、液晶パネル20に入射した光が、反射型偏光板16の反射軸で反射されて、液晶パネル20上では明表示となる。この時の光透過率を、図4(a)において、Th1−OFFとする。このように、複屈折性を利用せずに入射光の偏光方向を変化させないモードを第2モードと称する。本実施例では、強誘電性液晶が第2の安定状態を取るときに、第2のモードとなる。
【0055】
このように、補助光源60をOFFした場合、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は暗表示を維持する。また、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は明表示を維持する。
【0056】
図4(b)を用いて補助光源60をONした状態について説明する。
【0057】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a1)及び反射型偏光板16の透過軸(b1)の何れとも一致しなくなる。補助光源60から液晶パネル20に入射する反射型偏光板16の透過軸(b1)と平行な振動面を有する光Bは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、偏光板15の透過軸(a1)とほぼ平行な振動面を有するようになり、偏光板15を透過して(透過状態)、液晶パネル20上で観測される。したがって、補助光源60をONした場合、第1の安定状態では、補助光源60からの光は、液晶パネル20上では明表示となる。この時の光透過率を、図4(b)において、Th1−ONとする。この時、液晶層は複屈折性を利用しているので第1のモードである。
【0058】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a1)と平行となる。補助光源60から液晶パネル20に入射する透過軸(b1)と平行な振動面を有する光Bは、透過軸(a1)と垂直な振動面を有するため、偏光板15によって吸収され、液晶パネル20の表面で観測されない。したがって、補助光源60をONした場合、第2の安定状態では、液晶パネル20上では暗表示となる。この時の光透過率を、図4(b)において、Tl1−ONとする。この時、液晶層は複屈折性を利用しておらず、第2のモードである。
【0059】
このように、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は明表示を維持する。同様に、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、暗表示を維持する。
【0060】
図4(a)及び(b)から理解されるように、第1の実施例に係る液晶パネル20では、補助光源60をONとOFFを切換えると、強誘電性液晶10が同じ強誘電状態であっても、暗表示が反転されてしまう。そこで、本実施例では、補助光源60のONとOFFとの切換えに応じて、強誘電性液晶10を極性反転(一方の強誘電状態から他方の強誘電状態へ反転)させるように制御して、液晶パネル20の暗表示が変化しないように制御を行う。
【0061】
ところで、複屈折性を利用した表示の場合、液晶パネル20の基板間の微細なギャップの影響を受けやすく、表示ムラが多く現れてしまう。即ち、液晶パネル20全体で基板間(第1及び第2のガラス基板11a及び11b間)のギャップを完全に均一にすることはできないので、液晶パネル20全体で複屈折は完全に均一には生じない。複屈折が均一に生じないと、液晶パネル20全体で表示色が完全に均一にならず、表示ムラが発生してしまう。例えば、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態にした場合の液晶パネル20における暗表示(Tl1−OFF)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているので、表示の背景を黒とすると(図6(b)に示す液晶パネル20参照)、ムラが顕著になり表示の質が悪くなる。これに対して、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第2の安定状態にした場合の液晶パネル20における明表示(Th1−OFF)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しておらず、表示ムラが発生しない。
【0062】
即ち、偏光板15の透過軸(a1)と反射型偏光板16の透過軸(b1)を垂直になるように配置し、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a1)と平行に配置し、且つ背景を白で表示し文字を黒で表示するように設定すると(図5(a)及び図6(a)に示す液晶パネル20参照)、ムラの無い良好な表示を行うことが可能となる。即ち、この場合、複屈折性を利用せずに、背景の白を表示することが可能となる。言い換えれば、背景の白を表示する場合には、複屈折性を利用しないようにすることが重要である。したがって、第1の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源をOFFした状態で、ムラの無い良好な明表示を行うことができるので、補助光源60を常時利用しないタイプで、反射表示を重視するような表示に適している。
【0063】
即ち、第1の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をOFFした状態で、明表示を非常にきれいに表示することができるので(複屈折性の不均等によるムラが無いので)、補助光源60をOFFした状態で背景の白を表示する時計の表示部等に利用するのに適している。なお、腕時計等で補助光源60を通常利用しないのは、電力の消費を避けるためである。
【0064】
図5に、第1の実施例に係る液晶パネル20を腕時計に利用した例を示す。
【0065】
図5(a)は、時計1において、補助光源60を利用せずに、液晶パネル20が、外部光を利用して表示を行っている例を示している。外部が暗くなった場合、ユーザが時計1に配置されている補助光源スイッチ62をONすると、図5(a)において液晶パネル20の裏側に配置されている補助光源60がONする。
【0066】
前述したように、単に補助光源60をONさせると、暗表示が反転してしまい、図5(b)に示すように表示されてしまう。そこで、時計1では、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知する。そして、制御部21は、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転(一方の強誘電状態から他方の強誘電状態へ反転)を行い、液晶パネル20の表示を図5(a)に示すように制御する。
【0067】
前述したように、補助光源60をOFFした状態における背景の白の表示(図4(a)のTl1−OFF)は、複屈折性を利用していないため、複屈折性の不均等によるムラが無い。
【0068】
ところで、補助光源60をOFFし且つ強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示(Tl1−OFF)は、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示(Tl1−ON)よりも、若干光透過率が高い(即ち、暗表示が若干グレーよりとなる)。これは、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しており、若干反射型偏光板16の透過軸(b1)とほぼ平行な振動面を有するよう補正されない外向光Aが発生し、反射型偏光板16で反射されて液晶パネル20側に漏れ出てしまい、光透過率が増加するためである。
【0069】
また、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示(Th1−ON)は、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示(Th1−OFF)よりも、若干光透過率が低い(即ち、明表示が若干グレーよりとなる)。これは、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しており、若干偏光板15の透過軸(a1)とほぼ平行な振動面を有するように補正されない光Bが発生し、偏光板15に吸収されてしまい、光透過率が低下するためである。
【0070】
このように、第1の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をONした状態で、暗表示を非常にきれいに表示することができるので(光透過率がほぼゼロに近い暗表示を行うことができるので)、補助光源60を常時利用する場合が多い透過重視の携帯電話用の表示等に利用するのにも適している。
【0071】
図6に、第1の実施例に係る液晶パネル20を携帯電話に利用した例を示す。
【0072】
図6(a)は、携帯電話2において、補助光源60を利用して、液晶パネル20が、表示を行っている例を示している。なお、省電力のために一定期間、携帯電話が操作されない場合等には補助光源60がOFFされる。しかしながら、ユーザが携帯電話2に配置されている補助光源スイッチ62をONすると、図6(a)において液晶パネル20の裏側に配置されている補助光源60がONする。
【0073】
前述したように、単に補助光源60をONさせると、暗表示が反転してしまい、図6(b)に示すように表示されてしまう。そこで、携帯電話2では、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知する。次いで、制御部21は、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転を行い、液晶パネル20の表示を図6(a)に示すように制御する。
【0074】
前述したように、補助光源60をOFFした状態における暗表示(図6(a)の第1の安定状態)は、若干、補助光源60をONした状態での暗表示(図6(b)の第2の安定状態)より光透過率が増加してしまう。しかしながら、補助光源60がOFFされている状態は、通常携帯電話を利用していない状態であるため、大きな問題とはならない。
【0075】
図7に、液晶パネル20を駆動するための駆動電圧波形の一例を示す。
【0076】
図7(a)は、1本の走査電極13aに印加される走査電圧波形の一例を示し、図7(b)は1本の信号電極13bに印加される信号電圧波形の一例を示し、図7(c)は(a)及び(b)の合成電圧波形を示している。
【0077】
図7には2フレーム分の駆動電圧波形が示されており、図中「ON」は図4(a)で図示した補助光源「OFF」時における明表示、「OFF」は同様に図4(a)における暗表示を示している。ここでは、1回の表示データに基づく表示を実行するために1つの走査期間を利用している。1フレームはリセット期間(Rs)及び走査期間から成り、1走査期間は選択期間(Se)及び非選択期間(NSe)から成る。
【0078】
リセット期間(Rs)において、強誘電性液晶10は、直前の表示状態に拘らず、前半は明表示(透過状態)となる第1の安定状態に、後半は暗表示(非透過状態)となる第2の安定状態に、強制的にリセットされる。リセット期間(Rs)において、走査電圧波形(a)は前半では+20Vが、後半では−20Vが印加されている。また、信号電圧波形(b)は所定間隔で+5Vと−5Vの電圧が繰り返し印加されることとした。この結果、強誘電性液晶10の画素には、合成電圧波形(c)に応じた電圧、即ちリセット期間(Rs)の前半に正の閾値V2(図4(a)参照)以上の電圧が印加されて第1の安定状態に、後半に負の閾値V4(図4(a)参照)以下の電圧が印加されて第2の安定状態にリセットされる。リセット期間を設けることによって、強誘電性液晶を用いた液晶パネルにおいて、良好な表示を持続することが可能となる。
【0079】
補助光源60をOFFした状態で、図7に示すような駆動電圧が印加された場合、第1フレームでは、第1の安定状態にセットされて明表示を行い、第2フレームでは、第2の安定状態にセットされて暗表示を行う場合が示されることとなる。
【0080】
第2の実施例について説明する。
【0081】
第2の実施例に係る液晶パネル20の断面図及び補助光源60は、図2に示した構成と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
第2の実施例においても、強誘電性液晶10としては、クラリアント社製の「Felix 501」を用いた。また、第2の実施例においても、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間隔は、ほぼ1.7μmとした。
【0083】
図8に、第2の実施例に係る液晶パネル20における偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
【0084】
図8に示すように、偏光板15の透過軸(a2)と反射型偏光板16の透過軸(b2)が平行になるように配置した。また、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a2)と一致させるように配置した。さらに、第1の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を、図8に示すように、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向からコーン角度θ2だけ傾いた位置、即ち液晶コーンに沿った他の位置とした。
【0085】
なお、第2の実施例における強誘電性液晶10では、コーン角度(θ2)が45°とならない場合を例としている。前述した式(1)に示されるように、コーン角度(θ2)が45°でないため、コーン角度(θ2)による減衰及びリタデーションによる減衰が相乗されて、複屈折性を利用した場合には、IoutはIinとは等しくならない。
【0086】
図9に、第2の実施例に係る液晶パネル20における強誘電性液晶10の各極性と光透過率との関係を示す。
【0087】
図9(a)は補助光源60がOFFしている状態を示し、図9(b)は補助光源60がONしている状態を示している。また、それぞれのグラフの横軸は液晶パネル20の走査電極13aを基準として、走査電極13aと信号電極13bとの間に印加される印加電圧(V)(即ち、強誘電性液晶10に印加される印加電圧)を示し、縦軸は液晶パネル20の光透過率を示している。
【0088】
図9(a)を用いて補助光源60をOFFした状態について説明する。
【0089】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a2)及び反射型偏光板16の透過軸(b2)の何れとも一致しなくなる。視認側から液晶パネル20に入射する偏光板15の透過軸(a2)と平行な振動面を有する光Aは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、反射型偏光板16の透過軸(b2)とは直交する方向の振動面を有するようになり、反射型偏光板16の反射軸で反射される。したがって、補助光源60をOFFした場合、第1の安定状態では、視認側から液晶パネル20に入射する光Aが、液晶パネル20上で観測されて、液晶パネル20上では明表示となる。この時の光透過率を、図9(a)において、Th2−OFFとする。このように、複屈折性を利用して入射光の偏光方向を変化させるモードを第1のモードと称する。本実施例では、強誘電性液晶が第1の安定状態をとるときに第1のモードとなる。
【0090】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a2)と平行となるため、視認側から液晶パネル20に入射する透過軸(a2)と平行な振動面を有する光Aは、反射型偏光板16の透過軸(b2)とも平行な振動面を有し、反射型偏光板16を通過する。したがって、補助光源60をOFFした場合、第2の安定状態では、外側からの光Aは、偏光板15を通過し、液晶パネル20に入射した光により、補助光源60の表面が視認されて、液晶パネル20上では暗(黒)表示となる。この時の光透過率を、図9(a)において、Tl2−OFFとする。このように、複屈折性を利用せずに入射光の偏光方向を変化させないモードを第2モードと称する。本実施例では、強誘電性液晶が第2の安定状態を取るときに、第2のモードとなる。
【0091】
このように、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の安定状態を維持し、液晶パネル20は明(白)表示を維持する。同様に、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の安定状態を維持し、暗(黒)表示を維持する。
【0092】
図9(b)を用いて補助光源60をONした状態について説明する。
【0093】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a2)及び反射型偏光板16の透過軸(b2)の何れとも一致しなくなる。したがって、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、透過軸(a2)に対してθ2の角度を持って傾く。補助光源60から入射する反射型偏光板16の透過軸(b2)と平行な振動面を有する光Bは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、偏光板15の透過軸(a2)と垂直な方向を有する振動面を有するようになり、偏光板15に吸収される。したがって、補助光源60をONした場合、第1の安定状態では、液晶パネル20上で暗(黒)表示となる。この時の光透過率を、図9(b)において、Tl2−ONとする。この時、複屈折性を利用するので、液晶層は第1のモードである。
【0094】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が反射型偏光板16の透過軸(b2)と平行となる。補助光源60から入射する反射型偏光板16の透過軸(b2)と平行な振動面を有する光Bは、反射型偏光板16の透過軸(b2)とも平行な振動面を有し、反射型偏光板16を透過する(透過状態)。したがって、補助光源60をONした場合、第2の安定状態では、液晶パネル20に入射した光Bにより、液晶パネル20上では明(白)表示となる。この時の光透過率を、図9(b)において、Th2−ONとする。この時、複屈折性を利用しないので、液晶層は第2のモードである。
【0095】
このように、補助光源60をONした場合、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の安定状態を維持し、液晶パネル20は暗表示を維持する。また、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の安定状態を維持し、液晶パネル20は明表示を維持する。
【0096】
図9(a)及び(b)から理解されるように、第2の実施例に係る液晶パネル20では、補助光源60をONとOFFを切換えると、強誘電性液晶10が同じ安定状態であっても、暗表示が反転されてしまう。
【0097】
複屈折性を利用した表示の場合、液晶パネル20の基板間の微細なギャップの影響を受けやすく、表示ムラが多く現れてしまう。即ち、液晶パネル20全体で基板間(第1及び第2のガラス基板11a及び11b間)のギャップを完全に均一にすることはできないので、液晶パネル20全体で複屈折は完全に均一には生じない。複屈折が均一に生じないと、液晶パネル20全体で表示色が完全に均一にならず、表示ムラが発生してしまう。例えば、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態にした場合の液晶パネル20における暗表示(Tl2−ON)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているので、表示の背景を暗とすると(図6(b)に示す液晶パネル20参照)、ムラが顕著になり表示の質が悪くなる。これに対して、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第2の安定状態にした場合の液晶パネル20における明表示(Th2−ON)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しておらず、表示ムラが生じない。
【0098】
即ち、偏光板15の透過軸(a2)と反射型偏光板16の透過軸(b2)を平行になるように配置し、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a2)と平行に配置し、且つ背景を白で表示し文字を黒で表示するように設定すると(図5(a)及び図6(a)に示す液晶パネル20参照)、ムラの無い良好な表示を行うことが可能となる。即ち、この場合、複屈折性を利用せずに、背景の白を表示することが可能となる。言い換えれば、背景の白を表示する場合には、複屈折性を利用しないようにすることが重要である。したがって、第2の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源をONした状態で、ムラの無い良好な明表示を行うことができるので、補助光源60を常時利用する場合の多い、透過表示を重視するような表示にも適している。
【0099】
そこで、第2の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をONした状態で、明表示を非常にきれいに表示することができるので(複屈折性の不均等によるムラが無いので)、補助光源60をONした状態で背景の白を表示する携帯電話の表示部等に利用するのに適している(図6参照)。
【0100】
ところで、第2の実施例において補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示(図9(b)のTl2−ON)は、第1の実施例において補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示(図4(a)のTl1−OFF)よりも、さらに光透過率が高い(即ち、暗表示がさらにグレーよりとなる)。これは、第2の実施例において補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているためである。前述したように、第2の実施例では、コーン角度を45°に設定していないことから、反射型偏光板16の反射軸とほぼ平行な振動面を有するように補正されない外光Aがより発生して、反射型偏光板16によって反射されてしまい、より光透過率が増加するためである。
【0101】
また、第2の実施例における補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示(図9(b)のTh2−OFF)は、第1の実施例における補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示(図4(b)のTh1−ON)よりも、さらに光透過率が低い(即ち、明表示がさらにグレーよりとなる)。これは、第2の実施例における補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているためである。前述したように、第2の実施例では、コーン角度を45°に設定していないことから、反射型偏光板16の反射軸とほぼ平行な振動面を有するよう補正されない光Bがより発生し、反射軸によって反射されず、より光透過率が減少するためである。
【0102】
しかしながら、第2の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をOFFした状態で、暗表示(図9(a)のTl2−OFF)を非常にきれいに表示することができるので(光透過率がほぼゼロに近い暗表示を行うことができるので)、コントラスト重視で、補助光源60を常時利用しない場合が多い、反射重視の時計用の表示等に利用するのに適している。
【0103】
したがって、第2の実施例に係る液晶パネル20は、図6(a)に示す携帯電話2に第1の実施例と同様に用いることができる。第2の実施例においても、第1の実施例と同様に、単に補助光源60をONさせると、暗表示が反転してしまい、図6(b)に示すように表示されてしまうので、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知して、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転を行い、液晶パネル20の表示を図6(a)に示すように制御しても良い。
【0104】
なお、前述したように、補助光源60をONした状態における暗表示(図9(b)のTl2−ON)は、補助光源60をOFFした状態での暗表示(図9(a)のTl2−OFF)より、さらに光透過率が増加してしまうが、補助光源60がONされている状態は、時計を利用する場合の常時ではないため、大きな問題とはならない。
【0105】
また、第2の実施例に係る液晶パネル20を駆動するための駆動電圧波形も、図7に示す第1の実施例に関して示すものと同様であるので、説明を省略する。
【0106】
上記の第1及び第2の実施例において、液晶パネル20を透過状態とした場合、補助光源60の表面の暗/色が液晶パネル20上で観測される。そこで、反射型偏光板16と補助光源60との間に、光吸収層を設けることが可能である。光吸収層を設けれ、液晶パネル20上で観測される補助光源60の表面の色をより暗く表示することが可能となる。
【0107】
さらに、上記の第1及び第2の実施例において、補助光源60をONして、液晶パネル20を透過状態とした場合に、補助光源60からの光Bを減衰させない為に、光吸収層の表面に、一部の領域の光を吸収するように多数の微細な開口部を設けることが好ましい。光吸収層の表面に多数の微細な開口部を設ければ、開口部を通して補助光源60からの光Bが透過するので、液晶パネル20上で観測される光量に大きな影響を与えることはない。なお、光吸収層における微小な開口部による開口率は、30%〜70%の範囲内から好ましい値を選択することができる。また微細な開口部は微小な丸孔状であっても良いし、格子状に形成されても良い、また開口部は規則的に形成される必要はなく、ランダムに形成されていても良い。
【0108】
また、上記の第1及び第2の実施例において、補助光源60の発光側に、可視光領域の一部を反射する反射層を設けることもできる。反射層は、可視光領域の一部の波長を反射し、特定の色を反射光として反射する層であっても良いし、可視光領域の全域にわたって、光量の一部を反射し、他を透過するような半透過反射膜であっても良い。例えば、青色光を反射する反射層を設ければ、液晶パネル20を透過状態とした場合、液晶パネル20上で観測される補助光源60からの反射光を青色とすることができる。即ち、液晶パネル20を透過状態とした場合の表示色を変化させることが可能である。
【0109】
さらに、上記の第1及び第2の実施例において、強誘電性液晶10の極性反転は、制御部21が、駆動電圧波形制御回路22、走査駆動電圧波形発生回路23及び信号駆動電圧波形発生回路24を用い、表示データ記憶部27に通常表示用の表示デーとはネガポジ反転されたネガポジ反転表示データを予め記憶し、記憶されているネガポジ反転表示データを用いて前記走査電極又は前記信号電極に印加される駆動波形の極性をそれ以前の駆動波形と反転するように制御した。しかしながら、強誘電性液晶10の極性反転は、表示データを利用する他に、電源部25から液晶パネル20に供給される電圧の極性を反転させるようにして、行うことも可能である。その場合、制御部21は、極性を反転させるための任意の電子回路を用いることができる。
【0110】
第3の実施例について説明する。
【0111】
第3の実施例を図2を用いて説明する。第3の実施例では、図2の構成を、ほぼそのまま用いることができる。ただし、走査電極13a上には、塗布され且つ垂直配向処理された高分子配向膜14a、信号電極13b上には、塗布され且つ垂直配向処理された高分子配向膜14bが使用される。また、液晶110としては、垂直配向(ホメオトロピック配向)型液晶用として、負の誘電異方性であるMLC−6883(メルク社製)を用いた。また、液晶110は、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間に、ほぼ1.7μmの厚さに挟持した。
【0112】
また、図2中、矢印Aは、外部から第3の実施例の液晶パネルへ入射する外光を示し、矢印Bは補助光源60から第3の実施例の液晶パネルへ入射する光を示している。
【0113】
図10に、第3の実施例に係る液晶パネルにおける偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
【0114】
図10に示すように、偏光板15の透過軸(a3)と反射型偏光板16の透過軸(b3)が直交するように配置した。また、図10において、矢印117は配向膜の配向方向を示しており、θ3は配向膜の配向方向と偏光板15の透過軸(a3)とのなす角度を示している。なお、本実施例において、θ3は約45度となるように設定されている。しかしながら、θ3は45度に限定されるわけではなく、他の角度例えば40度としても良い。
【0115】
図11に、垂直配向(ホメオトロピック配向)型液晶110の液晶分子の動作を示す。
【0116】
第3の実施例の液晶パネルに電圧を印加しない状態では、垂直配向(ホメオトロピック配向)液晶110の液晶分子の長軸(110a参照)は、第1及び第2のガラス基板111a及び111bの間にほぼ垂直に配置されている。また、液晶パネル120に電圧を印加した状態では、垂直配向(ホメオトロピック配向)型液晶110の液晶分子の長軸(110b参照)は、矢印117の方向に一致するように、横に傾くように設定されている。
【0117】
次に、補助電源60をOFFした状態について説明する。
【0118】
第3の実施例の液晶パネルに電圧が印加されていない場合、偏光板15を通過して入射した外光Aは、そのまま液晶110を通過する。液晶110を通過した光の偏光方向は反射型偏光板16の透過軸(b3)とは垂直であるので、液晶110を通過した光は反射型偏光板16の反射軸で反射される。したがって、この場合、第3の実施例の液晶パネルでは明表示となる。この時、複屈折性を利用していないので、液晶層は第2のモードである。
【0119】
第3の実施例の液晶パネルに電圧が印加された場合、偏光板15を通過して入射した外光Aは、液晶110を通過する時に、矢印117の方向に平行に傾いた液晶分子110bによる複屈折性によって、その偏光方向が約90度傾く。したがって、液晶110を通過した光の偏光方向は、反射型偏光板16の透過軸(b3)とほぼ平行になり、反射型偏光板16を通過して、補助光源60で反射される。したがって、この場合、第3の実施例の液晶パネルでは、補助光源60の色が視認され暗表示となる。この時、複屈折性を利用しているので、液晶層は第1のモードである。
【0120】
次に、補助光源60をONした状態について説明する。
【0121】
第3の実施例の液晶パネルに電圧が印加されていない場合、反射型偏光板16を通過した補助光源60の光Bは、そのまま液晶110を通過する。液晶110を通過した光の偏光方向は偏光板15の透過軸(a3)とは垂直であるので、液晶110を通過した光は偏光板16で吸収される。したがって、この場合、液晶パネル120では暗表示となる。この時、複屈折性を利用していないので、液晶層は第2のモードである。
【0122】
第3の実施例の液晶パネルに電圧が印加された場合、偏光板15を通過して入射した補助光源60の光Bは、液晶110を通過する時に、矢印117の方向に平行に傾いた液晶分子110bによって複屈折を受けて、その偏光方向が約90度傾く。したがって、液晶110を通過した光の偏光方向は、偏光板15の透過軸(a3)とほぼ平行な成分を有するようになり、偏光板15を通過する。したがって、この場合、第3の実施例の液晶パネルでは明表示となる。この時、複屈折性を利用しているので、液晶層は第1のモードである。
【0123】
複屈折性を利用した表示の場合、液晶パネル120の基板間の微細なギャップの影響を受けやすく、表示ムラが多く現れてしまう。即ち、液晶パネル20全体で基板間(第1及び第2のガラス基板111a及び111b間)のギャップを完全に均一にすることはできないので、液晶パネル120全体で複屈折は完全に均一には生じない。複屈折が均一に生じないと、液晶パネル120全体で表示色が完全に均一にならず、表示ムラが発生してしまう。例えば、補助光源60をOFFし且つ液晶パネル120へ電圧を印加しない場合、液晶パネル120における明表示は、複屈折性を利用していないので、表示ムラが無い。即ち、この場合、複屈折性を利用せずに、背景の白を表示することが可能となる。言い換えれば、面積の大きい背景の白を表示する場合には、複屈折性を利用しないようにすることが重要である。
【0124】
したがって、第3の実施例に係る液晶パネルは、補助光源をOFFした状態で、ムラの無い良好な明表示を行うことができるので、補助光源60を常時利用しない場合の多い反射表示を重視するような表示に適している。例えば、補助光源60をOFFした状態で背景の白を表示する時計の表示部等に利用するのに適している(図5参照)。なお、腕時計等で補助光源60を通常利用しないのは、電力の消費を避けるためである。
【0125】
また、補助光源をONした状態で、ムラの無い明表示を行うには、偏光板の透過軸(a3)と反射型偏光板の透過軸(b3)を平行に配置すればよい。このように配置すれば、複屈折性を利用しない第2のモードで明表示をすることができるので、面積の大きい背景の白を表示する場合には良好な明(白)表示を行うことができる。このような配置は、常時補助光源をONして使用する透過表示を重視するような表示に適している。例えば、補助光源60をONした状態で背景の白を表示する携帯電話の表示部に利用するのに適している(図6参照)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に複屈折を利用せずに、背景の明表示を行うことができる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ性液晶は、複数の光学的な状態を有し、電圧を印加しなくても特定の状態を維持し続ける特性(メモリ特性)を有する。したがって、メモリ性液晶を液晶表示装置に用いた場合、電圧を印加しなくても所定の表示を維持し続けるように制御することが可能である。このような特性を利用し、強誘電性液晶等のメモリ性液晶を用いた表示パネルにおいて、表示を変更する必要がある部分にのみ走査電極の駆動を行い、表示を変更する必要が無い部分については走査電極の駆動を行わないように制御することが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、反射表示と透過表示を行う半透過反射型液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献2)。半透過反射型液晶表示装置では、透過する光を90度旋光するツイストネマティック液晶(TN液晶)を挟持する基板の一方に偏光板を配置し、他方に反射軸と透過軸とを備える反射型偏光板を配置し、反射型偏光板の外側に半透過吸収層を配置し、半透過吸収層の外側に補助光源を配置している。
【0004】
半透過反射型液晶表示装置では、補助光源をOFFした反射表示時に、TN液晶へHレベルの電圧を印加したON状態(TN液晶が透過状態)で暗表示となるように偏光板を配置すると、補助光源をONした透過表示時には、TN液晶へHレベルの電圧を印加したON状態(TN液晶が透過状態)で明表示となってしまう。これは、補助光源をOFFしてTN液晶を透過状態とすると、OFFされた補助光源の表面色が外部から観察されて暗表示となり、補助光源をONしてTN液晶を透過状態とすると、補助光源からの光が外部から観察されて明表示となるからである。即ち、TN液晶へ同じレベルの電圧を印加していても、補助光源のON/OFFによって、暗表示が反転してしまうという問題がある。そこで、補助光源のON/OFFに応じて、TN液晶に印加する電圧を(例えば、HレベルからLレベルに)切換えて、暗表示の反転を防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−131286号公報(第11、12頁、第12図)
【特許文献2】特許第3485541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半透過反射型の液晶表示装置において、用途に応じた反射型偏光板の方向、偏光板の方向及び液晶の液晶分子の配列方向に関する提案はなされていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、適切な反射型偏光板の方向、偏光板の方向及び液晶の液晶分子の配列方向を有する半透過反射型の液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、複屈折性を利用せずに、明表示を行うことができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液晶表示装置は、第1の基板と、第2の基板と、第1の基板上に配置され、それぞれ直交する第1の透過軸と第1の反射軸とを有し、及び第1の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過し且つ第1の反射軸に平行な振動面を有する直線偏光を反射する反射型偏光板と、第2の基板上に配置され、第2の透過軸を有し、及び第2の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過する偏光板と、第1及び第2の基板間に挟持され、複屈折性を利用して入射光の偏光方向を変化させる第1のモードと複屈折性を利用せずに入射光の偏光方向を変化させない第2のモードを有する液晶層とを有し、液晶層への電圧印加によって明表示と暗表示とを切り替え、液晶層を前記第2モードに設定して明表示を行うことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、偏光板の第2の透過軸を通過して液晶層に入射した外光を前記反射型偏光板で反射させ、再び前記液晶層及び前記偏光板外に出射させることによって明表示を行うことが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、第1の透過軸と前記第2の透過軸とは、ほぼ直交に配置されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、液晶層は、電圧無印加時に第1の安定状態又は第2の安定状態の何れか一方の状態を維持し、前記第1の安定状態又は前記第2の安定状態の何れか一方の安定状態が、前記第2のモードに設定されることが好ましい。所謂メモリ性液晶によって本発明による液晶表示装置を構成した。
【0013】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、第2の安定状態における液晶分子の配列方向は前記第2の透過軸とほぼ平行に配置されることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、第1の安定状態における液晶分子の配列方向と前記第2の安定状態における液晶分子の配列方向とは、ほぼ45°の傾きを有するように配置されることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、液晶層は、垂直配向型の液晶層であって、第1及び第2の基板間に液晶分子がほぼ垂直に配向される第1の状態と、液晶分子が前記第2の透過軸に対して所定の角度を持って傾く第2の状態を有し、第1の状態が第2モードに設定されることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、補助光源をOFFさせた状態で、液晶層は第2モードに設定されることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、補助光源をONした状態で、液晶層は第2モードに設定されることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、補助光源からの光を反射型偏光板の第1の透過軸で透過し、液晶層に入射した光を偏光板の第2の透過軸を通過して視認側に出射させることによって明表示を行うことが好ましい。
【0019】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、第1の透過軸と第2の透過軸とは、ほぼ平行に配置されていることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、反射型偏光板と補助光源との間に配置され、一部領域の光を吸収する光吸収層を有することが好ましい。これにより、補助光源がオフし、メモリ性液晶が透過状態となった場合にメモリ性液晶表示装置上で観測される補助光源の表面色をより暗く表示することが可能となった。
【0021】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、反射型偏光板と補助光源との間に配置され、可視光領域の一部の光を吸収する光吸収層を有することが好ましい。これにより、補助光源がオフし、メモリ性液晶が透過状態となった場合にメモリ性液晶表示装置上で観測される補助光源の表面色をより暗く表示することが可能となった。
【0022】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、補助光源には、可視光領域の一部の光を反射する反射層が備えられていることが好ましい。
【0023】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、液晶層は、垂直配向型の液晶層であって、第1及び第2の基板間に液晶分子がほぼ垂直に配向される第1の状態と、液晶分子が第2の透過軸に対して所定の角度を持って傾く第2の状態を有することが好ましい。所謂垂直配向型液晶によって本発明による液晶表示装置を構成した。
【0024】
さらに、本発明に係る液晶表示装置では、液晶層が第1の状態に維持された場合に、液晶層は第2モードに設定されることが好ましい。
【0025】
本発明に係る液晶表示装置は、第1の基板と、第2の基板と、第1の基板上に配置され、それぞれ直交する第1の透過軸と第1の反射軸とを有し、及び第1の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過し且つ第1の反射軸に平行な振動面を有する直線偏光を反射する反射型偏光板と、第2の基板上に配置され、第2の透過軸を有し、及び第2の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過する偏光板と、第1及び第2の基板間に挟持され、電圧印加によって、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が角度を持って傾く第1のモードと、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が垂直となる第2のモードを有する垂直配向型の液晶層とを有し、垂直配向型の液晶層への電圧印加によって、視認側から視認したときの光透過率が高い明表示と視認側から視認したときの光透過率が低い暗表示とを切り替え、垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定して、明表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、液晶の複屈折性を利用せずに、白を表示するように構成したので、白をきれいに表示することが可能となった。したがって、明表示の面積が多い場合(背景色を白に設定する場合)に、特に効果が高い。なお、液晶の複屈折性を利用せずに、黒を表示するようにしても、黒をきれいに表示することは可能であるが、もともと暗表示はムラが目立たないので、白の場合ほど、効果は大きくない。
【0027】
本発明によれば、メモリ性液晶を用いた半透過反射型の液晶表示装置において、補助光源を常時利用しない場合が多い反射重視の表示の場合に、より黒に近い暗表示を行うことができる。
【0028】
また、本発明によれば、メモリ性液晶を用いた半透過反射型の液晶表示装置において、補助光源を常時利用する場合が多い透過重視の表示の場合に、より黒に近い暗表示を行うことができる。
【0029】
さらに、本発明によれば、メモリ性液晶を用いた半透過反射型の液晶表示装置において、補助光源を常時利用しない場合が多い反射重視の表示の場合に、ムラの無い明表示を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る液晶表示装置のブロック構成図である。
【図2】本発明に係わる液晶パネルの構成例を示す図である。
【図3】第1の実施例に係る液晶パネルの偏光板及び反射型偏光板の関係を示す図である。
【図4】(a)は補助光源をOFFした場合の第1の実施例に係る液晶パネルの印加電圧と光透過率との関係を示し、(b)は補助光源をONした場合の第1の実施例に係る液晶パネルの印加電圧と光透過率との関係を示す図である。
【図5】(a)は本発明に係わる液晶パネルを腕時計に利用した場合の表示例を示し、(b)は表示が反転した場合を示す図である。
【図6】(a)は本発明に係わる液晶パネルを携帯電話に利用した場合の表示例を示し、(b)は表示が反転した場合を示す図である。
【図7】(a)は1本の走査電極13aに印加される走査電圧波形の一例を示し、(b)は1本の信号電極13bに印加される信号電圧波形の一例を示し、(c)は(a)及び(b)の合成電圧波形を示す図である。
【図8】第2の実施例に係る液晶パネルの偏光板及び反射型偏光板の関係を示す図である。
【図9】(a)は補助光源をOFFした場合の第2の実施例に係る液晶パネルの印加電圧と光透過率との関係を示し、(b)は補助光源をONした場合の第2の実施例に係る液晶パネルの印加電圧と光透過率との関係を示す図である。
【図10】第3の実施例に係る液晶パネルの偏光板及び反射型偏光板の関係を示す図である。
【図11】液晶分子の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下図面を参照して、本発明に係る液晶表示装置100について説明する。
【0032】
図1に、各実施例に共通する液晶表示装置100の概略ブロック構成図を示す。
【0033】
液晶表示装置100は、液晶パネル20、制御部21、駆動電圧波形制御回路22、液晶パネル20中に配置される各走査電極13aに電圧波形を印加するための走査駆動電圧波形発生回路23、液晶パネル20中に配置される各信号電極13bに電圧波形を印加するための信号駆動電圧波形発生回路24、太陽電池や2次電池等から構成される電源部25、表示データ記憶部27、RAM30、ROM31、時計回路50等を有するように構成した。
【0034】
また、液晶表示装置100は、液晶パネル20の背面側に配置した補助光源60、補助光源60のON/OFFを制御するための補助光源制御回路61、ユーザが補助光源60のON/OFFを設定するための補助光源スイッチ62を有するように構成した。なお、図1には明記していないが、液晶表示装置100の各構成要素は電源部25から電力供給を受けることできるように構成した。
【0035】
制御部21は、RAM30又はROM31に予め記憶されたプログラムに従い、時計回路50から受信した時刻情報等を用いて表示データを作成し、表示データ記憶部27に記憶し、時刻情報と対応した表示データが液晶パネル20に表示されるように、駆動電圧波形制御回路22に制御信号を出力する。
【0036】
また、制御部21は、液晶表示装置100の周囲が暗い場合等に、ユーザが補助光源スイッチ62をONすると、補助光源制御回路61を制御し、補助光源60をONする。
【0037】
さらに、制御部21は、補助光源スイッチ62がONされたことを検知して、駆動電圧波形制御回路22を制御し、強誘電性液晶10の極性反転を行い、補助光源60のON/OFFに拘らず、液晶パネル20の表示が反転しないように制御を行う。
【0038】
第1の実施例について説明する。
【0039】
図2に、第1の実施例に係る液晶パネル20の断面図と補助光源60とを示す。
【0040】
第1の実施例に係る液晶パネル20は、第1の透明ガラス基板11a、第2の透明ガラス基板11b、第1の透明ガラス基板11a上に設けられた走査電極13a、第2の透明ガラス基板11b上に設けられた信号電極13b、走査電極13a上に塗布され且つラビング処理された高分子配向膜14a、信号電極13b上に塗布され且つラビング処理された高分子配向膜14b、シール部材12、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間に挟持されシール部材12によって封入された強誘電性液晶10、第1の透明ガラス基板11aの外側に設けられた反射型偏光板16、及び第2の透明ガラス基板11bの外側に設けられた偏光板15等から構成した。
【0041】
強誘電性液晶10としては、クラリアント社製の「Felix 501」を用いた。また、強誘電性液晶10は、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間に、ほぼ1.7μmの厚さに挟持した。
【0042】
反射型偏光板16は、ポリエステル樹脂等の多層フィルムから構成され、直交する透過軸と反射軸を有する。また、反射型偏光板16は、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過し且つ反射軸に平行な振動面を有する直線偏光を反射する機能を有する。
【0043】
図2中、矢印Aは、外部から液晶パネル20へ入射する外光を示し、矢印Bは補助光源60から液晶パネルへ入射する光を示している。
【0044】
液晶パネル20の反射型偏光板16の下部には、低消費電力と薄さを考慮して、有機ELセルを発光素子として用いたバックライトを補助光源60として配置した。なお、他の発光素子を用いた補助光源を用いることもできる。
【0045】
図2では、便宜上5本の走査電極13aを示したが、本実施形態では、透明導電膜パターンにより構成した40本の走査電極13aを液晶パネル20の全体に渡って配置した。また。図2には明記していないが、透明導電膜パターンにより構成した50本の信号電極13bを、走査電極13aと直行するように液晶パネル20の全体に渡って配置した。したがって、走査電極13aと信号電極13bが交差する各ポイントが、液晶パネル20の各画素(2000画素)となる。
【0046】
図3に、第1の実施例に係る液晶パネル20における偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
【0047】
図3に示すように、偏光板15の透過軸(a1)と反射型偏光板16の透過軸(b1)がほぼ直交するように配置した。強誘電性液晶は、電圧無印加時に第1の安定状態と第2の安定状態の2つの安定状態を有する、図3では、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a1)と一致させるように配置した。この際、どちらの安定状態の液晶分子の長軸の配列方向を透過軸(a1)に一致させてもかまわない。さらに、第1の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を、図3に示すように、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向からコーン角度θ1だけ傾いた位置、即ち液晶コーンに沿った他の位置とした。また、図3において、矢印17は、配向膜の配向方向を示しており、第1の安定状態における配列方向と第2の安定状態の配列方向のちょうど中間となっている。
【0048】
なお、第1の実施例における強誘電性液晶10では、コーン角度を(θ1)ほぼ45°となるように設定した。これは、強誘電性液晶が複屈折性を利用した場合に、強誘電性液晶に入射する光量(Iin)と出射する光量(Iout)との関係が一般に以下の式(1)で表され、コーン角度(θ1)が45°の時に、出射光量(Iout)が最大となるからである。
Iout=Iin・sin22θ・sin2(R/λ)π (1)
ここで、Rはリタデーションを示し、λは強誘電性液晶への入射光の波長を示している。
【0049】
なお、コーン角度(θ1)を45°としても、リタデーションによる減衰が生じるため、複屈折性を利用した場合には、IoutはIinとは等しくならない。
【0050】
図4に、第1の実施例に係る液晶パネル20における強誘電性液晶10に印加する電圧の各極性と光透過率との関係を示す。
【0051】
図4(a)は補助光源60がOFFしている状態を示し、図4(b)は補助光源60がONしている状態を示している。また、それぞれのグラフの横軸は液晶パネル20の走査電極13aを基準として、走査電極13aと信号電極13bとの間に印加される印加電圧(V)(即ち、強誘電性液晶10に印加される印加電圧)を示し、縦軸は液晶パネル20の光透過率を示している。
【0052】
図4(a)を用いて補助光源60をOFFした状態について説明する。
【0053】
第2の安定状態の液晶分子の配列方向を透過軸(a1)と平行に配置したので、印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a1)及び反射型偏光板16の透過軸(b1)の何れとも一致しなくなる。即ち、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、透過軸(a1)に対してθ1(ほぼ45°)の角度を持って傾く。液晶パネル20に入射する偏光板15の透過軸(a1)と平行な振動面を有する外光Aは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、反射型偏光板16の透過軸(b1)とほぼ平行な振動面を有するようになり、液晶パネル20を透過して(透過状態)、補助光源60の表面から反射される。補助光源60の表面は通常暗色であるので、補助光源60をOFFした場合、第1の安定状態では、液晶パネル20に入射した光が、補助光源60の表面の暗色が視認されて、液晶パネル20上では暗表示となる。この時の光透過率を、図4(a)において、Tl1−OFFとする。このように、複屈折性を利用して入射光の偏光方向を変化させるモードを第1のモードと称する。本実施例では、強誘電性液晶が第1の安定状態をとるときに第1のモードとなる。
【0054】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a1)と平行となる。この場合、強誘電性液晶10は入射光をそのまま通過させる。液晶パネル20に入射する透過軸(a1)と平行な振動面を有する外光Aは、反射型偏光板16の透過軸(b1)とほぼ垂直な振動面を有するため、反射型偏光板16の反射軸によって反射される(反射状態)。したがって、補助光源60をOFFした場合、第2の安定状態では、液晶パネル20に入射した光が、反射型偏光板16の反射軸で反射されて、液晶パネル20上では明表示となる。この時の光透過率を、図4(a)において、Th1−OFFとする。このように、複屈折性を利用せずに入射光の偏光方向を変化させないモードを第2モードと称する。本実施例では、強誘電性液晶が第2の安定状態を取るときに、第2のモードとなる。
【0055】
このように、補助光源60をOFFした場合、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は暗表示を維持する。また、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は明表示を維持する。
【0056】
図4(b)を用いて補助光源60をONした状態について説明する。
【0057】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a1)及び反射型偏光板16の透過軸(b1)の何れとも一致しなくなる。補助光源60から液晶パネル20に入射する反射型偏光板16の透過軸(b1)と平行な振動面を有する光Bは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、偏光板15の透過軸(a1)とほぼ平行な振動面を有するようになり、偏光板15を透過して(透過状態)、液晶パネル20上で観測される。したがって、補助光源60をONした場合、第1の安定状態では、補助光源60からの光は、液晶パネル20上では明表示となる。この時の光透過率を、図4(b)において、Th1−ONとする。この時、液晶層は複屈折性を利用しているので第1のモードである。
【0058】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a1)と平行となる。補助光源60から液晶パネル20に入射する透過軸(b1)と平行な振動面を有する光Bは、透過軸(a1)と垂直な振動面を有するため、偏光板15によって吸収され、液晶パネル20の表面で観測されない。したがって、補助光源60をONした場合、第2の安定状態では、液晶パネル20上では暗表示となる。この時の光透過率を、図4(b)において、Tl1−ONとする。この時、液晶層は複屈折性を利用しておらず、第2のモードである。
【0059】
このように、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の強誘電性状態を維持し、液晶パネル20は明表示を維持する。同様に、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の強誘電性状態を維持し、暗表示を維持する。
【0060】
図4(a)及び(b)から理解されるように、第1の実施例に係る液晶パネル20では、補助光源60をONとOFFを切換えると、強誘電性液晶10が同じ強誘電状態であっても、暗表示が反転されてしまう。そこで、本実施例では、補助光源60のONとOFFとの切換えに応じて、強誘電性液晶10を極性反転(一方の強誘電状態から他方の強誘電状態へ反転)させるように制御して、液晶パネル20の暗表示が変化しないように制御を行う。
【0061】
ところで、複屈折性を利用した表示の場合、液晶パネル20の基板間の微細なギャップの影響を受けやすく、表示ムラが多く現れてしまう。即ち、液晶パネル20全体で基板間(第1及び第2のガラス基板11a及び11b間)のギャップを完全に均一にすることはできないので、液晶パネル20全体で複屈折は完全に均一には生じない。複屈折が均一に生じないと、液晶パネル20全体で表示色が完全に均一にならず、表示ムラが発生してしまう。例えば、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態にした場合の液晶パネル20における暗表示(Tl1−OFF)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているので、表示の背景を黒とすると(図6(b)に示す液晶パネル20参照)、ムラが顕著になり表示の質が悪くなる。これに対して、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第2の安定状態にした場合の液晶パネル20における明表示(Th1−OFF)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しておらず、表示ムラが発生しない。
【0062】
即ち、偏光板15の透過軸(a1)と反射型偏光板16の透過軸(b1)を垂直になるように配置し、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a1)と平行に配置し、且つ背景を白で表示し文字を黒で表示するように設定すると(図5(a)及び図6(a)に示す液晶パネル20参照)、ムラの無い良好な表示を行うことが可能となる。即ち、この場合、複屈折性を利用せずに、背景の白を表示することが可能となる。言い換えれば、背景の白を表示する場合には、複屈折性を利用しないようにすることが重要である。したがって、第1の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源をOFFした状態で、ムラの無い良好な明表示を行うことができるので、補助光源60を常時利用しないタイプで、反射表示を重視するような表示に適している。
【0063】
即ち、第1の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をOFFした状態で、明表示を非常にきれいに表示することができるので(複屈折性の不均等によるムラが無いので)、補助光源60をOFFした状態で背景の白を表示する時計の表示部等に利用するのに適している。なお、腕時計等で補助光源60を通常利用しないのは、電力の消費を避けるためである。
【0064】
図5に、第1の実施例に係る液晶パネル20を腕時計に利用した例を示す。
【0065】
図5(a)は、時計1において、補助光源60を利用せずに、液晶パネル20が、外部光を利用して表示を行っている例を示している。外部が暗くなった場合、ユーザが時計1に配置されている補助光源スイッチ62をONすると、図5(a)において液晶パネル20の裏側に配置されている補助光源60がONする。
【0066】
前述したように、単に補助光源60をONさせると、暗表示が反転してしまい、図5(b)に示すように表示されてしまう。そこで、時計1では、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知する。そして、制御部21は、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転(一方の強誘電状態から他方の強誘電状態へ反転)を行い、液晶パネル20の表示を図5(a)に示すように制御する。
【0067】
前述したように、補助光源60をOFFした状態における背景の白の表示(図4(a)のTl1−OFF)は、複屈折性を利用していないため、複屈折性の不均等によるムラが無い。
【0068】
ところで、補助光源60をOFFし且つ強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示(Tl1−OFF)は、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示(Tl1−ON)よりも、若干光透過率が高い(即ち、暗表示が若干グレーよりとなる)。これは、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しており、若干反射型偏光板16の透過軸(b1)とほぼ平行な振動面を有するよう補正されない外向光Aが発生し、反射型偏光板16で反射されて液晶パネル20側に漏れ出てしまい、光透過率が増加するためである。
【0069】
また、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示(Th1−ON)は、補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示(Th1−OFF)よりも、若干光透過率が低い(即ち、明表示が若干グレーよりとなる)。これは、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しており、若干偏光板15の透過軸(a1)とほぼ平行な振動面を有するように補正されない光Bが発生し、偏光板15に吸収されてしまい、光透過率が低下するためである。
【0070】
このように、第1の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をONした状態で、暗表示を非常にきれいに表示することができるので(光透過率がほぼゼロに近い暗表示を行うことができるので)、補助光源60を常時利用する場合が多い透過重視の携帯電話用の表示等に利用するのにも適している。
【0071】
図6に、第1の実施例に係る液晶パネル20を携帯電話に利用した例を示す。
【0072】
図6(a)は、携帯電話2において、補助光源60を利用して、液晶パネル20が、表示を行っている例を示している。なお、省電力のために一定期間、携帯電話が操作されない場合等には補助光源60がOFFされる。しかしながら、ユーザが携帯電話2に配置されている補助光源スイッチ62をONすると、図6(a)において液晶パネル20の裏側に配置されている補助光源60がONする。
【0073】
前述したように、単に補助光源60をONさせると、暗表示が反転してしまい、図6(b)に示すように表示されてしまう。そこで、携帯電話2では、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知する。次いで、制御部21は、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転を行い、液晶パネル20の表示を図6(a)に示すように制御する。
【0074】
前述したように、補助光源60をOFFした状態における暗表示(図6(a)の第1の安定状態)は、若干、補助光源60をONした状態での暗表示(図6(b)の第2の安定状態)より光透過率が増加してしまう。しかしながら、補助光源60がOFFされている状態は、通常携帯電話を利用していない状態であるため、大きな問題とはならない。
【0075】
図7に、液晶パネル20を駆動するための駆動電圧波形の一例を示す。
【0076】
図7(a)は、1本の走査電極13aに印加される走査電圧波形の一例を示し、図7(b)は1本の信号電極13bに印加される信号電圧波形の一例を示し、図7(c)は(a)及び(b)の合成電圧波形を示している。
【0077】
図7には2フレーム分の駆動電圧波形が示されており、図中「ON」は図4(a)で図示した補助光源「OFF」時における明表示、「OFF」は同様に図4(a)における暗表示を示している。ここでは、1回の表示データに基づく表示を実行するために1つの走査期間を利用している。1フレームはリセット期間(Rs)及び走査期間から成り、1走査期間は選択期間(Se)及び非選択期間(NSe)から成る。
【0078】
リセット期間(Rs)において、強誘電性液晶10は、直前の表示状態に拘らず、前半は明表示(透過状態)となる第1の安定状態に、後半は暗表示(非透過状態)となる第2の安定状態に、強制的にリセットされる。リセット期間(Rs)において、走査電圧波形(a)は前半では+20Vが、後半では−20Vが印加されている。また、信号電圧波形(b)は所定間隔で+5Vと−5Vの電圧が繰り返し印加されることとした。この結果、強誘電性液晶10の画素には、合成電圧波形(c)に応じた電圧、即ちリセット期間(Rs)の前半に正の閾値V2(図4(a)参照)以上の電圧が印加されて第1の安定状態に、後半に負の閾値V4(図4(a)参照)以下の電圧が印加されて第2の安定状態にリセットされる。リセット期間を設けることによって、強誘電性液晶を用いた液晶パネルにおいて、良好な表示を持続することが可能となる。
【0079】
補助光源60をOFFした状態で、図7に示すような駆動電圧が印加された場合、第1フレームでは、第1の安定状態にセットされて明表示を行い、第2フレームでは、第2の安定状態にセットされて暗表示を行う場合が示されることとなる。
【0080】
第2の実施例について説明する。
【0081】
第2の実施例に係る液晶パネル20の断面図及び補助光源60は、図2に示した構成と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
第2の実施例においても、強誘電性液晶10としては、クラリアント社製の「Felix 501」を用いた。また、第2の実施例においても、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間隔は、ほぼ1.7μmとした。
【0083】
図8に、第2の実施例に係る液晶パネル20における偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
【0084】
図8に示すように、偏光板15の透過軸(a2)と反射型偏光板16の透過軸(b2)が平行になるように配置した。また、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a2)と一致させるように配置した。さらに、第1の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を、図8に示すように、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向からコーン角度θ2だけ傾いた位置、即ち液晶コーンに沿った他の位置とした。
【0085】
なお、第2の実施例における強誘電性液晶10では、コーン角度(θ2)が45°とならない場合を例としている。前述した式(1)に示されるように、コーン角度(θ2)が45°でないため、コーン角度(θ2)による減衰及びリタデーションによる減衰が相乗されて、複屈折性を利用した場合には、IoutはIinとは等しくならない。
【0086】
図9に、第2の実施例に係る液晶パネル20における強誘電性液晶10の各極性と光透過率との関係を示す。
【0087】
図9(a)は補助光源60がOFFしている状態を示し、図9(b)は補助光源60がONしている状態を示している。また、それぞれのグラフの横軸は液晶パネル20の走査電極13aを基準として、走査電極13aと信号電極13bとの間に印加される印加電圧(V)(即ち、強誘電性液晶10に印加される印加電圧)を示し、縦軸は液晶パネル20の光透過率を示している。
【0088】
図9(a)を用いて補助光源60をOFFした状態について説明する。
【0089】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a2)及び反射型偏光板16の透過軸(b2)の何れとも一致しなくなる。視認側から液晶パネル20に入射する偏光板15の透過軸(a2)と平行な振動面を有する光Aは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、反射型偏光板16の透過軸(b2)とは直交する方向の振動面を有するようになり、反射型偏光板16の反射軸で反射される。したがって、補助光源60をOFFした場合、第1の安定状態では、視認側から液晶パネル20に入射する光Aが、液晶パネル20上で観測されて、液晶パネル20上では明表示となる。この時の光透過率を、図9(a)において、Th2−OFFとする。このように、複屈折性を利用して入射光の偏光方向を変化させるモードを第1のモードと称する。本実施例では、強誘電性液晶が第1の安定状態をとるときに第1のモードとなる。
【0090】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が偏光板15の透過軸(a2)と平行となるため、視認側から液晶パネル20に入射する透過軸(a2)と平行な振動面を有する光Aは、反射型偏光板16の透過軸(b2)とも平行な振動面を有し、反射型偏光板16を通過する。したがって、補助光源60をOFFした場合、第2の安定状態では、外側からの光Aは、偏光板15を通過し、液晶パネル20に入射した光により、補助光源60の表面が視認されて、液晶パネル20上では暗(黒)表示となる。この時の光透過率を、図9(a)において、Tl2−OFFとする。このように、複屈折性を利用せずに入射光の偏光方向を変化させないモードを第2モードと称する。本実施例では、強誘電性液晶が第2の安定状態を取るときに、第2のモードとなる。
【0091】
このように、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の安定状態を維持し、液晶パネル20は明(白)表示を維持する。同様に、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の安定状態を維持し、暗(黒)表示を維持する。
【0092】
図9(b)を用いて補助光源60をONした状態について説明する。
【0093】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、偏光板15の透過軸(a2)及び反射型偏光板16の透過軸(b2)の何れとも一致しなくなる。したがって、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向は、透過軸(a2)に対してθ2の角度を持って傾く。補助光源60から入射する反射型偏光板16の透過軸(b2)と平行な振動面を有する光Bは、強誘電性液晶10の複屈折性によって、偏光板15の透過軸(a2)と垂直な方向を有する振動面を有するようになり、偏光板15に吸収される。したがって、補助光源60をONした場合、第1の安定状態では、液晶パネル20上で暗(黒)表示となる。この時の光透過率を、図9(b)において、Tl2−ONとする。この時、複屈折性を利用するので、液晶層は第1のモードである。
【0094】
印加電圧の極性を変化させて、強誘電性液晶10を第2の安定状態に反転させた場合、強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向が反射型偏光板16の透過軸(b2)と平行となる。補助光源60から入射する反射型偏光板16の透過軸(b2)と平行な振動面を有する光Bは、反射型偏光板16の透過軸(b2)とも平行な振動面を有し、反射型偏光板16を透過する(透過状態)。したがって、補助光源60をONした場合、第2の安定状態では、液晶パネル20に入射した光Bにより、液晶パネル20上では明(白)表示となる。この時の光透過率を、図9(b)において、Th2−ONとする。この時、複屈折性を利用しないので、液晶層は第2のモードである。
【0095】
このように、補助光源60をONした場合、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が増加し始める電圧値V1を越えて)増加させて、光透過率の増加が飽和する電圧値V2(正の閾値)以上とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第1の安定状態を維持し、液晶パネル20は暗表示を維持する。また、強誘電性液晶10に印加される電圧を(光透過率が減少し始める電圧値V3を越えて)減少させて、光透過率の減少が飽和する電圧値V4(負の閾値)以下とすると、その後電圧を印加せずとも(即ち、0V印加)強誘電性液晶10は第2の安定状態を維持し、液晶パネル20は明表示を維持する。
【0096】
図9(a)及び(b)から理解されるように、第2の実施例に係る液晶パネル20では、補助光源60をONとOFFを切換えると、強誘電性液晶10が同じ安定状態であっても、暗表示が反転されてしまう。
【0097】
複屈折性を利用した表示の場合、液晶パネル20の基板間の微細なギャップの影響を受けやすく、表示ムラが多く現れてしまう。即ち、液晶パネル20全体で基板間(第1及び第2のガラス基板11a及び11b間)のギャップを完全に均一にすることはできないので、液晶パネル20全体で複屈折は完全に均一には生じない。複屈折が均一に生じないと、液晶パネル20全体で表示色が完全に均一にならず、表示ムラが発生してしまう。例えば、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態にした場合の液晶パネル20における暗表示(Tl2−ON)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているので、表示の背景を暗とすると(図6(b)に示す液晶パネル20参照)、ムラが顕著になり表示の質が悪くなる。これに対して、補助光源60をONし強誘電性液晶10を第2の安定状態にした場合の液晶パネル20における明表示(Th2−ON)は、前述したように強誘電性液晶10の複屈折性を利用しておらず、表示ムラが生じない。
【0098】
即ち、偏光板15の透過軸(a2)と反射型偏光板16の透過軸(b2)を平行になるように配置し、第2の安定状態における強誘電性液晶10の液晶分子の長軸の配列方向を偏光板15の透過軸(a2)と平行に配置し、且つ背景を白で表示し文字を黒で表示するように設定すると(図5(a)及び図6(a)に示す液晶パネル20参照)、ムラの無い良好な表示を行うことが可能となる。即ち、この場合、複屈折性を利用せずに、背景の白を表示することが可能となる。言い換えれば、背景の白を表示する場合には、複屈折性を利用しないようにすることが重要である。したがって、第2の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源をONした状態で、ムラの無い良好な明表示を行うことができるので、補助光源60を常時利用する場合の多い、透過表示を重視するような表示にも適している。
【0099】
そこで、第2の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をONした状態で、明表示を非常にきれいに表示することができるので(複屈折性の不均等によるムラが無いので)、補助光源60をONした状態で背景の白を表示する携帯電話の表示部等に利用するのに適している(図6参照)。
【0100】
ところで、第2の実施例において補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示(図9(b)のTl2−ON)は、第1の実施例において補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示(図4(a)のTl1−OFF)よりも、さらに光透過率が高い(即ち、暗表示がさらにグレーよりとなる)。これは、第2の実施例において補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における暗表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているためである。前述したように、第2の実施例では、コーン角度を45°に設定していないことから、反射型偏光板16の反射軸とほぼ平行な振動面を有するように補正されない外光Aがより発生して、反射型偏光板16によって反射されてしまい、より光透過率が増加するためである。
【0101】
また、第2の実施例における補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示(図9(b)のTh2−OFF)は、第1の実施例における補助光源60をONし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示(図4(b)のTh1−ON)よりも、さらに光透過率が低い(即ち、明表示がさらにグレーよりとなる)。これは、第2の実施例における補助光源60をOFFし強誘電性液晶10を第1の安定状態に反転させた場合の液晶パネル20における明表示が、強誘電性液晶10の複屈折性を利用しているためである。前述したように、第2の実施例では、コーン角度を45°に設定していないことから、反射型偏光板16の反射軸とほぼ平行な振動面を有するよう補正されない光Bがより発生し、反射軸によって反射されず、より光透過率が減少するためである。
【0102】
しかしながら、第2の実施例に係る液晶パネル20は、補助光源60をOFFした状態で、暗表示(図9(a)のTl2−OFF)を非常にきれいに表示することができるので(光透過率がほぼゼロに近い暗表示を行うことができるので)、コントラスト重視で、補助光源60を常時利用しない場合が多い、反射重視の時計用の表示等に利用するのに適している。
【0103】
したがって、第2の実施例に係る液晶パネル20は、図6(a)に示す携帯電話2に第1の実施例と同様に用いることができる。第2の実施例においても、第1の実施例と同様に、単に補助光源60をONさせると、暗表示が反転してしまい、図6(b)に示すように表示されてしまうので、補助光源スイッチ62がONされると、ONされたことを制御部21が検知して、駆動電圧波形制御回路22を制御し、液晶パネル20の各画素に対応する強誘電性液晶10の極性反転を行い、液晶パネル20の表示を図6(a)に示すように制御しても良い。
【0104】
なお、前述したように、補助光源60をONした状態における暗表示(図9(b)のTl2−ON)は、補助光源60をOFFした状態での暗表示(図9(a)のTl2−OFF)より、さらに光透過率が増加してしまうが、補助光源60がONされている状態は、時計を利用する場合の常時ではないため、大きな問題とはならない。
【0105】
また、第2の実施例に係る液晶パネル20を駆動するための駆動電圧波形も、図7に示す第1の実施例に関して示すものと同様であるので、説明を省略する。
【0106】
上記の第1及び第2の実施例において、液晶パネル20を透過状態とした場合、補助光源60の表面の暗/色が液晶パネル20上で観測される。そこで、反射型偏光板16と補助光源60との間に、光吸収層を設けることが可能である。光吸収層を設けれ、液晶パネル20上で観測される補助光源60の表面の色をより暗く表示することが可能となる。
【0107】
さらに、上記の第1及び第2の実施例において、補助光源60をONして、液晶パネル20を透過状態とした場合に、補助光源60からの光Bを減衰させない為に、光吸収層の表面に、一部の領域の光を吸収するように多数の微細な開口部を設けることが好ましい。光吸収層の表面に多数の微細な開口部を設ければ、開口部を通して補助光源60からの光Bが透過するので、液晶パネル20上で観測される光量に大きな影響を与えることはない。なお、光吸収層における微小な開口部による開口率は、30%〜70%の範囲内から好ましい値を選択することができる。また微細な開口部は微小な丸孔状であっても良いし、格子状に形成されても良い、また開口部は規則的に形成される必要はなく、ランダムに形成されていても良い。
【0108】
また、上記の第1及び第2の実施例において、補助光源60の発光側に、可視光領域の一部を反射する反射層を設けることもできる。反射層は、可視光領域の一部の波長を反射し、特定の色を反射光として反射する層であっても良いし、可視光領域の全域にわたって、光量の一部を反射し、他を透過するような半透過反射膜であっても良い。例えば、青色光を反射する反射層を設ければ、液晶パネル20を透過状態とした場合、液晶パネル20上で観測される補助光源60からの反射光を青色とすることができる。即ち、液晶パネル20を透過状態とした場合の表示色を変化させることが可能である。
【0109】
さらに、上記の第1及び第2の実施例において、強誘電性液晶10の極性反転は、制御部21が、駆動電圧波形制御回路22、走査駆動電圧波形発生回路23及び信号駆動電圧波形発生回路24を用い、表示データ記憶部27に通常表示用の表示デーとはネガポジ反転されたネガポジ反転表示データを予め記憶し、記憶されているネガポジ反転表示データを用いて前記走査電極又は前記信号電極に印加される駆動波形の極性をそれ以前の駆動波形と反転するように制御した。しかしながら、強誘電性液晶10の極性反転は、表示データを利用する他に、電源部25から液晶パネル20に供給される電圧の極性を反転させるようにして、行うことも可能である。その場合、制御部21は、極性を反転させるための任意の電子回路を用いることができる。
【0110】
第3の実施例について説明する。
【0111】
第3の実施例を図2を用いて説明する。第3の実施例では、図2の構成を、ほぼそのまま用いることができる。ただし、走査電極13a上には、塗布され且つ垂直配向処理された高分子配向膜14a、信号電極13b上には、塗布され且つ垂直配向処理された高分子配向膜14bが使用される。また、液晶110としては、垂直配向(ホメオトロピック配向)型液晶用として、負の誘電異方性であるMLC−6883(メルク社製)を用いた。また、液晶110は、第1及び第2の透明ガラス基板11a及び11bの間に、ほぼ1.7μmの厚さに挟持した。
【0112】
また、図2中、矢印Aは、外部から第3の実施例の液晶パネルへ入射する外光を示し、矢印Bは補助光源60から第3の実施例の液晶パネルへ入射する光を示している。
【0113】
図10に、第3の実施例に係る液晶パネルにおける偏光板15及び反射型偏光板16の配置を示す。
【0114】
図10に示すように、偏光板15の透過軸(a3)と反射型偏光板16の透過軸(b3)が直交するように配置した。また、図10において、矢印117は配向膜の配向方向を示しており、θ3は配向膜の配向方向と偏光板15の透過軸(a3)とのなす角度を示している。なお、本実施例において、θ3は約45度となるように設定されている。しかしながら、θ3は45度に限定されるわけではなく、他の角度例えば40度としても良い。
【0115】
図11に、垂直配向(ホメオトロピック配向)型液晶110の液晶分子の動作を示す。
【0116】
第3の実施例の液晶パネルに電圧を印加しない状態では、垂直配向(ホメオトロピック配向)液晶110の液晶分子の長軸(110a参照)は、第1及び第2のガラス基板111a及び111bの間にほぼ垂直に配置されている。また、液晶パネル120に電圧を印加した状態では、垂直配向(ホメオトロピック配向)型液晶110の液晶分子の長軸(110b参照)は、矢印117の方向に一致するように、横に傾くように設定されている。
【0117】
次に、補助電源60をOFFした状態について説明する。
【0118】
第3の実施例の液晶パネルに電圧が印加されていない場合、偏光板15を通過して入射した外光Aは、そのまま液晶110を通過する。液晶110を通過した光の偏光方向は反射型偏光板16の透過軸(b3)とは垂直であるので、液晶110を通過した光は反射型偏光板16の反射軸で反射される。したがって、この場合、第3の実施例の液晶パネルでは明表示となる。この時、複屈折性を利用していないので、液晶層は第2のモードである。
【0119】
第3の実施例の液晶パネルに電圧が印加された場合、偏光板15を通過して入射した外光Aは、液晶110を通過する時に、矢印117の方向に平行に傾いた液晶分子110bによる複屈折性によって、その偏光方向が約90度傾く。したがって、液晶110を通過した光の偏光方向は、反射型偏光板16の透過軸(b3)とほぼ平行になり、反射型偏光板16を通過して、補助光源60で反射される。したがって、この場合、第3の実施例の液晶パネルでは、補助光源60の色が視認され暗表示となる。この時、複屈折性を利用しているので、液晶層は第1のモードである。
【0120】
次に、補助光源60をONした状態について説明する。
【0121】
第3の実施例の液晶パネルに電圧が印加されていない場合、反射型偏光板16を通過した補助光源60の光Bは、そのまま液晶110を通過する。液晶110を通過した光の偏光方向は偏光板15の透過軸(a3)とは垂直であるので、液晶110を通過した光は偏光板16で吸収される。したがって、この場合、液晶パネル120では暗表示となる。この時、複屈折性を利用していないので、液晶層は第2のモードである。
【0122】
第3の実施例の液晶パネルに電圧が印加された場合、偏光板15を通過して入射した補助光源60の光Bは、液晶110を通過する時に、矢印117の方向に平行に傾いた液晶分子110bによって複屈折を受けて、その偏光方向が約90度傾く。したがって、液晶110を通過した光の偏光方向は、偏光板15の透過軸(a3)とほぼ平行な成分を有するようになり、偏光板15を通過する。したがって、この場合、第3の実施例の液晶パネルでは明表示となる。この時、複屈折性を利用しているので、液晶層は第1のモードである。
【0123】
複屈折性を利用した表示の場合、液晶パネル120の基板間の微細なギャップの影響を受けやすく、表示ムラが多く現れてしまう。即ち、液晶パネル20全体で基板間(第1及び第2のガラス基板111a及び111b間)のギャップを完全に均一にすることはできないので、液晶パネル120全体で複屈折は完全に均一には生じない。複屈折が均一に生じないと、液晶パネル120全体で表示色が完全に均一にならず、表示ムラが発生してしまう。例えば、補助光源60をOFFし且つ液晶パネル120へ電圧を印加しない場合、液晶パネル120における明表示は、複屈折性を利用していないので、表示ムラが無い。即ち、この場合、複屈折性を利用せずに、背景の白を表示することが可能となる。言い換えれば、面積の大きい背景の白を表示する場合には、複屈折性を利用しないようにすることが重要である。
【0124】
したがって、第3の実施例に係る液晶パネルは、補助光源をOFFした状態で、ムラの無い良好な明表示を行うことができるので、補助光源60を常時利用しない場合の多い反射表示を重視するような表示に適している。例えば、補助光源60をOFFした状態で背景の白を表示する時計の表示部等に利用するのに適している(図5参照)。なお、腕時計等で補助光源60を通常利用しないのは、電力の消費を避けるためである。
【0125】
また、補助光源をONした状態で、ムラの無い明表示を行うには、偏光板の透過軸(a3)と反射型偏光板の透過軸(b3)を平行に配置すればよい。このように配置すれば、複屈折性を利用しない第2のモードで明表示をすることができるので、面積の大きい背景の白を表示する場合には良好な明(白)表示を行うことができる。このような配置は、常時補助光源をONして使用する透過表示を重視するような表示に適している。例えば、補助光源60をONした状態で背景の白を表示する携帯電話の表示部に利用するのに適している(図6参照)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置であって、
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板上に配置され、それぞれ直交する第1の透過軸と第1の反射軸とを有し、及び前記第1の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過し且つ前記第1の反射軸に平行な振動面を有する直線偏光を反射する反射型偏光板と、
前記第2の基板上に配置され、第2の透過軸を有し、及び前記第2の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過する偏光板と、
前記第1及び第2の基板間に挟持され、電圧印加によって、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が角度を持って傾く第1のモードと、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が垂直となる第2のモードを有する垂直配向型の液晶層とを有し、
前記垂直配向型の液晶層への電圧印加によって、視認側から視認したときの光透過率が高い明表示と視認側から視認したときの光透過率が低い暗表示とを切り替え、
前記垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定して、明表示を行うことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記偏光板の第2の透過軸を通過して前記垂直配向型の液晶層に入射した外光を前記反射型偏光板で反射させ、再び前記垂直配向型の液晶層及び前記偏光板外に出射させることによって明表示を行う、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1の透過軸と前記第2の透過軸とは、ほぼ直交に配置されている、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記補助光源をOFFさせた状態で、前記垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定する請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記補助光源をONさせた状態で、前記垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定し、前記補助光源からの光を前記反射型偏光板の第1の透過軸で透過し、前記垂直配向型の液晶層に入射した光を前記偏光板の第2の透過軸を透過して視認側に出射させることによって明表示を行う請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1の透過軸と前記第2の透過軸とは、ほぼ平行に配置されている、請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記反射型偏光板と前記補助光源との間に配置され、一部領域の光を吸収する光吸収層を有する請求項1〜6の何れか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記反射型偏光板と前記補助光源との間に配置され、可視光領域の一部の光を吸収する光吸収層を有する請求項1〜6の何れか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記補助光源には、可視光領域の一部の光を反射する反射層が備えられている、請求項1〜6の何れか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
液晶表示装置であって、
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板上に配置され、それぞれ直交する第1の透過軸と第1の反射軸とを有し、及び前記第1の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過し且つ前記第1の反射軸に平行な振動面を有する直線偏光を反射する反射型偏光板と、
前記第2の基板上に配置され、第2の透過軸を有し、及び前記第2の透過軸に平行な振動面を有する直線偏光を透過する偏光板と、
前記第1及び第2の基板間に挟持され、電圧印加によって、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が角度を持って傾く第1のモードと、入射光の偏光方向と液晶分子の長軸方向が垂直となる第2のモードを有する垂直配向型の液晶層とを有し、
前記垂直配向型の液晶層への電圧印加によって、視認側から視認したときの光透過率が高い明表示と視認側から視認したときの光透過率が低い暗表示とを切り替え、
前記垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定して、明表示を行うことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記偏光板の第2の透過軸を通過して前記垂直配向型の液晶層に入射した外光を前記反射型偏光板で反射させ、再び前記垂直配向型の液晶層及び前記偏光板外に出射させることによって明表示を行う、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1の透過軸と前記第2の透過軸とは、ほぼ直交に配置されている、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記補助光源をOFFさせた状態で、前記垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定する請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記補助光源をONさせた状態で、前記垂直配向型の液晶層を前記第2モードに設定し、前記補助光源からの光を前記反射型偏光板の第1の透過軸で透過し、前記垂直配向型の液晶層に入射した光を前記偏光板の第2の透過軸を透過して視認側に出射させることによって明表示を行う請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1の透過軸と前記第2の透過軸とは、ほぼ平行に配置されている、請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記反射型偏光板と前記補助光源との間に配置され、一部領域の光を吸収する光吸収層を有する請求項1〜6の何れか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記反射型偏光板と前記補助光源との間に配置され、可視光領域の一部の光を吸収する光吸収層を有する請求項1〜6の何れか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
さらに、前記反射型偏光板の外側に設けられた補助光源を有し、
前記補助光源には、可視光領域の一部の光を反射する反射層が備えられている、請求項1〜6の何れか一項に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−168559(P2012−168559A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109657(P2012−109657)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【分割の表示】特願2006−519051(P2006−519051)の分割
【原出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【分割の表示】特願2006−519051(P2006−519051)の分割
【原出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】
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