説明

液晶表示装置

【課題】振動による異音の発生を抑えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】
液晶表示パネル1と、この液晶表示パネル1が支持されるホルダー3と、液晶表示パネル1の周縁部を抑えるパネル抑え5と、液晶表示パネル1の前面を覆い、液晶表示パネル1が視認可能なように開口部6Aを有した見返し部材6と、液晶表示パネル1と液晶表示パネル1の背後に配置される回路基板4とを電気的に接続するFPC19とを備えた液晶表示装置において、ホルダー3は、FPC19を回路基板4に案内する第1の傾斜部312を有したFPCガイド部311を備え、見返し部材6は、第1の傾斜部312と対応しFPC19を覆うための第2の傾斜部612を有するFPC保護部611を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車やオートバイに搭載される液晶表示装置に関し、特に可撓性配線板を用いて電気接続された液晶表示器を備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液晶表示装置として例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。この液晶表示装置は、透過型の液晶表示パネルと、この液晶表示パネルが支持されるホルダーと、液晶表示パネルの周縁部を抑えるパネル抑えと、液晶表示パネルを駆動するための駆動回路を有する回路基板とを備え、可撓性配線板の一端が液晶表示パネルに接続され、他端が回路基板の裏面に実装されたコネクタに接続されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−121486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の液晶表示装置は、可撓性配線板をガイドするガイド部がなく、ケース体から引き出された可撓性配線板を回路基板に接続する構造であるため、自動車や建機機械等の振動が生じる虞のある状況下では、可撓性配線板が振動し、異音の発生や、接触不良や、可撓性配線板の断線などが生じるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、振動が発生する虞のある状況下においても、異音の発生や、接続不良や、可撓性配線板の断線を抑えた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1に記載のように、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルが支持される保持部材と、前記液晶表示パネルの周縁部を抑えるパネル抑えと、前記液晶表示パネルの前面を覆い、前記液晶表示パネルが視認可能なように開口部を有した見返し部材と、前記液晶表示パネルと前記液晶表示パネルの背後に配置される回路基板とを電気的に接続する可撓性配線板とを備えた液晶表示装置において、
前記保持部材は、前記可撓性配線板を前記回路基板に案内する第1の傾斜部を有したガイド部を備え、
前記見返し部材は、前記第1の傾斜部と対応し、前記可撓性配線板を覆うための第2の傾斜部を有する保護部を備えていることを特徴とする。
【0007】
このように構成することにより、可撓性配線板をガイド部と保護部との間で挟むように引き回すことにより、可撓性配線板が撓むのを防ぎ、確実に保持することができるため、振動による異音の発生や、接続不良や、可撓性配線板の断線を抑えることが可能となる。
【0008】
また本発明は、請求項2に記載のように、前記保持部材は、前記可撓性配線板が、第1の傾斜部に沿って引き出されるための切り欠き部を有していることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、請求項3に記載のように、前記保護部は、前記第2の傾斜部から前記回路基板の盤面方向に延長されたフランジ部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異音の発生や、接続不良や、可撓性配線板の断線を抑えた液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態による液晶表示装置の中ケース正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】本発明の第1の実施形態による液晶表示装置のA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
液晶表示装置は、矩形の透過型の液晶表示パネル1と、この液晶表示パネル1の裏面側に配置された導光板2と、液晶表示パネル1および導光板2が支持されるホルダー3と、このホルダー3の背後に配置された硬質の回路基板4と、液晶表示パネル1の周縁を抑える金属製のパネル抑え5と、パネル抑え5の周縁を抑える不透過性の見返し部材6とを備えている。これら各部品は液晶表示器としてユニット化されている。
【0013】
また、液晶表示装置には液晶表示器が収納される下ケース8と、この下ケース8の開口側を被う上ケース9と、見返し部材6の前方側に配置された前面カバー10を備えている。
【0014】
液晶表示パネル1は、二枚のガラス基板の間に液晶分子を封入し、各々のガラス基板に例えばスモーク調の偏光膜を貼ったものである。そして、ガラス基板に設けた図示しない電極部に外部測定量に応じた信号(電圧)が印加されると、例えば車両のエンジン回転数や燃料残量などが表示される液晶表示部(図示せず)が黒色で現れるようになっている。
【0015】
ホルダー3は例えば白色の合成樹脂からなり、周壁31と、液晶表示パネル1あるいは導光板2が載置される載置部32と、この載置部32から発光ダイオード(図示せず)側に向かって延びる反射壁33を有している。この反射壁33は導光板2で反射された発光ダイオードの光を再度導光板2側に反射させる役目を有している。
【0016】
また、ホルダー3の周壁31には、後述するFPCが回路基板4側へ案内されるためのFPCガイド部311が設けられ、回路基板4に向かうに従って液晶表示パネル1から離れるように形成された第1の傾斜部312を有している。また、第1の傾斜部312が設けたれた周壁31には、FPC(可撓性配線板)19が、第1の傾斜部312に沿って引き出されるための切り欠き部313が形成されている。
【0017】
回路基板4には、図示しないが電源回路や液晶を駆動させる駆動回路などの制御手段が設けられている。液晶表示パネル1と回路基板4とはFPC19によって電気的に接続されている。FPC19の一端は液晶表示パネル1に固着され、他端はコネクタ20を用いて回路基板4と接続されている。
【0018】
パネル抑え5は、液晶表示パネル1の周縁を覆う枠状の縁部を有する金属性のパネル抑えであり、液晶表示パネル1が視認可能な開口穴(図示せず)を有している。
【0019】
見返し部材6は、例えば黒色の合成樹脂からなり、パネル抑え5の縁部と前面とを覆うように設けられ、液晶表示パネル1が視認可能な開口部6Aを有し、この開口部6Aの周囲でパネル抑え5の周縁を抑える縁部61と、縁部61からパネル抑え5の周囲に延長された前面部62などを有している。そして、FPCガイド部311と対応する箇所の縁部61には、FPCガイド部311の上方を覆うFPC保護部611が形成され、FPCガイド部311の第1の傾斜部312とほぼ同等の第2の傾斜部612が設けられている。
【0020】
また、FPC保護部611は、第2の傾斜部612から回路基板4の盤面方向に延長されたフランジ部613を有している。このフランジ部613は、回路基板4との間に隙間ができるように設けられている。
【0021】
上ケース9は、液晶表示パネル1の前方側に配置され無色透明な合成樹脂からなる前面パネル10と、この前面パネル10の周囲に一体的に形成された覆い部22および側壁23を有している。この覆い部22および側壁23は例えば黒色の合成樹脂からなり、下ケース8の内部が見えないようにしてある。また、下ケース8は例えば白色の合成樹脂からなり、図示しないが、ビスやフックなどによって上ケース9と固定されている。
【0022】
このように構成された液晶表示装置において、FPC19は、第1の傾斜部312と第2の傾斜部612との間を通過し、次に、回路基板4とフランジ部613との間の隙間を通過し、回路基板の裏面側に引き回されコネクタ20に接続される。
【0023】
このように本発明は、液晶表示パネル1と、この液晶表示パネル1が支持されるホルダー3と、液晶表示パネル1の周縁部を抑えるパネル抑え5と、液晶表示パネル1の前面を覆い、液晶表示パネル1が視認可能なように開口部6Aを有した見返し部材6と、液晶表示パネル1と液晶表示パネル1の背後に配置される回路基板4とを電気的に接続するFPC19とを備えた液晶表示装置において、ホルダー3は、FPC19を回路基板4に案内する第1の傾斜部312を有したFPCガイド部311を備え、見返し部材6は、第1の傾斜部312と対応し、FPC19を覆うための第2の傾斜部612を有するFPC保護部611を備えていることによって、FPC19をFPCガイド部311とFPC保護部611との間で挟むように引き回すことにより、FPC19が撓むのを防ぎ、確実に保持することができるため、振動による異音の発生や、接続不良や、FPCの断線を抑えることができる。
【0024】
また、本発明は、ホルダー3は、FPC19が、第1の傾斜部312に沿って引き回すための切り欠き部313を有していることによって、FPC19を回路基板4側に引き回し安くすることができる。
【0025】
また、本発明は、FPC保護部611は、第2の傾斜部612から回路基板4の盤面方向に延長されたフランジ部613を有していることによって、FPC19が撓むのを防ぎ、確実に保持することができる。
【0026】
また、FPC19を傾斜した状態で配置することによって、薄型化した液晶ユニットであっても、必要な長さのFPC19を引き回すスペースを確保することが可能となる。
【0027】
なお、本実施形態では、コネクタ20は、回路基板4の裏面側に実装されているが、回路基板4の表面に実装されていてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 液晶表示パネル
2 導光板
3 ホルダー(保持部材)
4 回路基板
5 パネル抑え
6 見返し部材
8 下ケース
9 上ケース
10 前面カバー
19 FPC(可撓性配線板)
20 コネクタ
311 FPCガイド部(ガイド部)
312 第1の傾斜部
313 切り欠き部
611 FPC保護部(保護部)
612 第2の傾斜部
613 フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、この液晶表示パネルが支持される保持部材と、前記液晶表示パネルの周縁部を抑えるパネル抑えと、前記液晶表示パネルの前面を覆い、前記液晶表示パネルが視認可能なように開口部を有した見返し部材と、前記液晶表示パネルと前記液晶表示パネルの背後に配置される回路基板とを電気的に接続する可撓性配線板とを備えた液晶表示装置において、
前記保持部材は、前記可撓性配線板を前記回路基板に案内する第1の傾斜部を有したガイド部を備え、
前記見返し部材は、前記第1の傾斜部と対応し、前記可撓性配線板を覆うための第2の傾斜部を有する保護部を備えていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記可撓性配線板が、第1の傾斜部に沿って引き回すための切り欠き部を有していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記保護部は、前記第2の傾斜部から前記回路基板の盤面方向に延長されたフランジ部を有していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−37155(P2013−37155A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172465(P2011−172465)
【出願日】平成23年8月7日(2011.8.7)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】