説明

液晶表示装置

【課題】高演色性を持った液晶表示装置を提供する。
【解決手段】青色LEDに蛍光体を組み合わせた白色LED光源を含むバックライト部材、バックライト側偏光板、液晶セル及び画像表示面側偏光板を備える液晶表示装置であって、
前記白色LED光源から画像表示面に至る光路途中の何れかの位置に、光源光に含まれる470nm〜500nm領域の光を減少させる層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDをバックライト光源として用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、低消費電力や小型軽量といった特徴を有することから、パーソナルコンピュータのモニタや携帯情報端末機器のモニタなどに広く用いられており、高演色且つ高輝度が求められている。
【0003】
従来、液晶表示装置では、バックライトの光源としてCCFL(冷陰極蛍光ランプ)光源を用いていた。
近年、液晶表示装置では、低消費電力や色の再現領域の拡大等の観点から、CCFL光源に代えて、白色LED光源の採用が行われている(例えば、特許文献1参照)。
白色LED光源には、青色LED、赤色LED及び緑色LEDを組み合わせて白色光を生成するものや、青色LEDとYAG蛍光体等の蛍光体とを組み合わせて白色光を生成するものが挙げられる。
青色LED、赤色LED及び緑色LEDを組み合わせて白色光を生成する場合に比べて、青色LEDと蛍光体とを組み合わせる方式の方が、白色LED光源を安価及び小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010−103767号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
青色LEDベースの白色LED光源を用いた液晶表示装置は、色温度を上げることで高色純度となって色再現域が広がるため高演色化を実現することができるが、色温度を上げるために理想的な発光スペクトルを持つLEDの作製、カラーフィルターによる透過率の調整等は従来困難であった。
また、青色LEDベースの白色LED光源を用いた液晶表示装置は、色温度を上げることで高演色化が可能となり、色温度を下げる事で高輝度化が可能となるが、高演色と高輝度を併せ持たせることは困難であった。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑み成し遂げられたものであり、高演色性を持った液晶表示装置を提供することを目的とし、さらに好ましくは高演色且つ高輝度の両特性を持った液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、青色LEDに蛍光体を組み合わせた白色LED光源を含むバックライト部材、バックライト側偏光板、液晶セル及び画像表示面側偏光板を備える液晶表示装置であって、
前記白色LED光源から画像表示面に至る光路途中の何れかの位置に、光源光に含まれる470nm〜500nm領域の光を減少させる層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
青色LEDベースの白色LED光源の発光スペクトルは、青色領域にピークを有し、長波長側に蛍光体によるブロードが存在し、さらに、470nm〜500nmの範囲に前記青色領域のピークと前記ブロードの領域との間の移行領域が存在する。本発明は、青色LEDベースの白色LED光源からの光源光に含まれる前記移行領域(470nm〜500nm)の光(成分)を減少させることによって、前記青色領域のピークと前記ブロードの領域を分離し、前記青色領域のピークの発光スペクトルをよりシャープにするので、色純度が上がり、演色性を向上させることができる。
【0008】
上記本発明の実施形態の1つとして、前記の470nm〜500nm領域の光を減少させる層が、470nm〜500nm領域の光を他の波長域の光に変換する色変換層である、液晶表示装置が提供される。
470nm〜500nm領域の光を色変換の方法によって減少させる場合には、470nm〜500nm領域の光を他の波長の可視光に変換して利用できるので、輝度も向上させることができる。
【0009】
上記本発明の実施形態の1つとして、前記色変換層が、前記バックライト側偏光板から前記画像表示面側偏光板の間以外の位置に設けられている、液晶表示装置が提供される。
【0010】
上記本発明の実施形態の1つとして、前記色変換層が470nm〜500nm領域の光を520nm〜560nm領域の光に変換する青/緑変換層と、470nm〜500nm領域の光を570nm〜650nm領域の光に変換する青/赤変換層を含み、当該青/緑変換層及び当該青/赤変換層がそれぞれ前記カラーフィルターの緑画素及び赤画素のパターンに位置合わせして配列されている色変換層である、液晶表示装置が提供される。
【0011】
上記本発明の実施形態の1つとして、前記パターン状に配列された色変換層がバックライト部材の出光面に設けられている、液晶表示装置が提供される。
【0012】
上記本発明の実施形態の1つとして、前記色変換層が470nm〜500nm領域の光を510nm〜550nm領域の光に変換する青/緑変換層を、前記光路の断面全体をカバーするようにソリッドパターン状に設けた青/緑変換層である、液晶表示装置が提供される。
【0013】
上記本発明の実施形態の1つとして、前記バックライト部材が導光板と白色LED光源を備えるバックライト部材であり、前記導光板に色変換物質を含有させてなる前記ソリッドパターン状の青/緑変換層を有する、液晶表示装置が提供される。
【0014】
上記本発明の実施形態の1つとして、前記色変換層が前記画像表示面側偏光板よりも画像表示面側の位置に設けられている、液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、青色領域のピークをよりシャープにすることで、高演色性を持った液晶表示装置を提供することができる。
また、本発明の好ましい実施形態においては、470nm〜500nmの光を色変換することで、青色領域のピークをよりシャープにし、それと同時に、色変換した光を他の色の光として活用することで輝度を向上するので、高演色と高輝度の両特性を持った液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【図2】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【図3】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、青色LEDに蛍光体を組み合わせた白色LED光源を含むバックライト部材、バックライト側偏光板、液晶セル及び画像表示面側偏光板を備える液晶表示装置であって、
前記白色LED光源から画像表示面に至る光路途中の何れかの位置に、光源光に含まれる470nm〜500nm領域の光(成分)を減少させる層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
以下、本発明の構成及び実施態様について詳しく説明する。なお本発明は、図面及び実施例などにより詳しく説明されるが、本発明はこれら図面及び実施例に限定されない。
【0018】
図1は、本発明の液晶表示装置の一例(符号101)を示す概略図(模式的断面図)である。液晶表示装置101は、バックライト側(光源側)から画像表示面側(鑑賞者側)に向かって、バックライト部材1、バックライト側偏光板2、液晶セル3及び画像表示面側偏光板4が順に配置され、バックライト部材1とバックライト側偏光板2の間に色変換層5が設けられている。
図1において、バックライト部材1はエッジライト型面光源であり、導光板1bはある一つの側縁側から対向する側縁に向かって厚みが増えていく楔形状を有し、導光板1bの厚みが大きい側縁部の端面に青色LEDベースの白色LED光源1aを配置し、導光板の背面側、薄い方の端面及び白色LED光源の背面側に反射材1c、1dを配置した構成をとっている。
色変換層5としては、青領域波長の光を緑領域波長の光に変換する青/緑変換層が設けられており、当該変換層5がバックライト部材1の出光面全体を直接被覆している。従って、この例においては、前記白色LED光源から画像表示面に至る光路の断面全体をカバーするようにソリッドパターン状の色変換層が設けられている。なお、この例では色変換層5をバックライト部材の出光面に直接積層しているが、変形例として、色変換層を基材フィルム上に形成した色変換シートを、バックライト部材の出光面から間隔をあけて平行に配置し、固定してもよい。
液晶セル3は、駆動基板3aとカラーフィルター3bの間に液晶層3cを挟み込んで側縁部を封止材3dで封止した構成をとっている。バックライト側偏光板2及び画像表示面側偏光板4は、液晶セル3を光路の前後から挟み込むように、且つ、2つの偏光板の偏光軸が交差するように配置される。
【0019】
図2は、本発明の液晶表示装置の他の例(符号102)を示す概略図である。液晶表示装置102は、上記した液晶表示装置101とほとんど同じ構成であるが、色変換層5が画像表示面側偏光板4よりも、さらに画像表示面側に設けられている。
図2において、色変換層5は、色変換層を基材フィルム5s上に形成した独立のシート形態であり、画像表示面側偏光板4の画像表示面側に間隔をあけて平行に配置されている。図2からは明らかでないが、液晶表示装置102の色変換層5は、青領域波長の光を緑領域波長の光に変換する青/緑変換層と、青領域波長の光を赤領域波長の光に変換する青/赤変換層を有しており、これらの色変換層を液晶セルのカラーフィルター3bの緑画素及び赤画素の配置パターンに一致させて配置している。すなわち、カラーフィルター3bの緑画素パターンに位置合わせして青/緑変換層がパターン状に設けられ、カラーフィルター3bの赤画素パターンに位置合わせして青/赤変換層がパターン状に設けられている。
【0020】
図3は、本発明の液晶表示装置の他の例(符号103)を示す概略図である。液晶表示装置103は、上記した液晶表示装置101とほとんど同じ構成であるが、導光板1bに色変換材を含有させており、導光板が色変換層としても機能する形態である。
図3において、色変換材としては、青領域波長の光を緑領域波長の光に変換する青/緑変換が用いられている。従って、この例においては、前記白色LED光源から画像表示面に至る光路の断面全体をカバーするようにソリッドパターン状の色変換層が設けられている。
【0021】
以下、本発明の液晶表示装置の材料について説明する。
【0022】
(バックライト部材)
本発明におけるバックライト部材は、白色LED光源と、白色LED光源から発する点光または線光を面光へと変換する導光板と、導光板上に配置され導光板から照射された光を拡散及び集光させる光学シート等と、導光板の下部に配置され導光板の下部方向へ進行する光を液晶セル方向へ反射させる反射シートとを含む。バックライト部材は、液晶セルの反視認側に配置され、液晶セルの背面側から光を照射する。
光学シート等は光を拡散させる拡散シートと、光を集光させる集光シートと、前記集光シートを保護するための保護シートとを含んでいても良い。
【0023】
(白色LED光源)
本発明に用いるLED光源としては、青色LEDと赤色・緑色蛍光体(RG蛍光体)とを組み合わせて白色光を生成するLED光源(B−RG方式)及び青色LEDとイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体(YAG蛍光体)とを組み合わせて白色光を生成するLED光源(B−YAG方式)が好ましく挙げられる。
RG蛍光体としては、青色光を吸収して赤色蛍光と緑色蛍光を発光する蛍光体であれば良く、例えば、特開2003−141905号公報に記載の従来公知のRG蛍光体を用いることができる。
YAG蛍光体としては、青色光を吸収して緑色蛍光を発光する蛍光体であれば良く、例えば、特開2008−218486号公報に記載の従来公知のYAG蛍光体を用いることができる。
【0024】
白色LED光源は、導光板の表側と裏側以外の面(端面)に配置(サイドライト型面光源)しても良いし、導光板の裏側に配置(直下型面光源)しても良い。サイドライト型面光源のなかでも、導光板の一側面だけに白色LED光源を配置したエッジライト型面光源は、小型化の可能な観点から好ましい。
【0025】
(導光板)
導光板は、従来公知の熱可塑性樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0026】
(偏光板)
バックライト側偏光板及び画像表示面側偏光板は、特定の振動方向(偏光軸)の直線偏光のみを通過させる機能を有する部材である。通常、バックライト側偏光板と画像表示面側偏光板は、その偏光軸が互いに直交するように配置される。バックライト部材から射出した非偏光のうち特定の振動方向の直線偏光だけがバックライト側偏光板を通過し、射出し、液晶セルに入射する。次いで、液晶セルに入射した偏光のうち一部は、液晶セルを通過中に偏光軸(振動方向)が90°又は−90°変えられた直線偏光になり、射出し、画像表示面側偏光板に入射する。そして、液晶セルを通過中に偏光軸(振動方向)が90°又は−90°変えられた直線偏光だけが画像表示面側偏光板を通過し、画像表示光となって射出される。
偏光板としては、従来公知の液晶表示装置に用いられている偏光板を用いることができる。偏光板は、上述したような偏光特性を有する偏光子のみから構成されている態様や当該偏光子の一面側にのみ保護フィルムが設けられている態様でも良いが、通常、保護フィルム/偏光子/保護フィルムのように偏光子を保護フィルムで挟んだ構成を有する。
【0027】
(液晶セル)
本発明に用いられる液晶セルは、従来の液晶表示装置の液晶セルと同様の構成であり、一般的には、駆動基盤、液晶層、カラーフィルターで構成される。
液晶セルは、例えば、カラーフィルターと、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)基板等の駆動基板とを対向させて1〜10μm程度の間隙部を設け、当該間隙部内に液晶化合物を充填して液晶層を形成し、その周囲をシール材で密封した構造を有する。カラーフィルターと対向する電極基板の内面側には液晶を配向させるための液晶配向膜が設けられる。
【0028】
カラーフィルターは、例えば、赤(R)緑(G)青(B)の画素(着色層)を所定の二次元パターン状に配列し、各画素間をブラックマトリクス(BM)層で仕切った構成を有している。
液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定されず、一般的な液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、上記したTFT方式以外に、例えば、TN(Twisted Nematic)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、OCB(Optically Compensated Bend)方式、及びMVA(Multi−domain Vertical Alignment)方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
液晶層の液晶化合物としては、液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0029】
(光を減少させる層)
本発明における470nm〜500nm領域の光(成分)を減少させる層とは、当該光を減少させる層の一面側から、ある波長スペクトルを有する光が入射し反対面側から出射した時に、入射光に含まれる470nm〜500nm領域の成分の割合と比べて、射出光に含まれる470nm〜500nm領域の成分の割合が小さくなる機能を有するものである。
当該光を減少させる層としては、例えば、470nm〜500nm領域の光を選択的に吸収する吸光材層や、470nm〜500nm領域の光を選択的に他の波長の光に変換する色変換層などが挙げられる。なお、ここで言う「選択的に吸収又は変換する」とは、入射光に含まれる470nm〜500nm領域の成分の割合と比べて、射出光に含まれる470nm〜500nm領域の成分の割合が小さくなる機能を発揮し得る限りにおいて、470nm〜500nm領域以外の光を減少させてもよいことを意味しており、470nm〜500nm領域以外の光を全く減少させないと言う典型的な意味に限定解釈されるものではない。
従って上記光を減少させる層は、470nm〜500nm領域の成分だけでなく、470nm〜500nm領域以外の成分を減少させることを許容するが、本発明の目的を達成する観点から、上記光を減少させる層は、入射光に含まれる470nm〜500nm領域の成分の割合と比べて、射出光に含まれる470nm〜500nm領域の成分の割合を、50%以下にまで減少させ、且つ、それ以外の可視領域の波長領域の成分の割合を、60%以上となるように波長選択的に光を減少させるものであることが好ましい。
光を減少させる層による光の減少率は、可視・紫外分光法(UV−VIS)を用いて、入射光と射出光の吸収波長を比較することで測定することができる。具体的には、測定したい波長領域を含んだ参照光を100とした時に、光を減少させる層に参照光を透過させた時の透過スペクトルの割合を比較して算出することができる。
【0030】
色変換層の中でも、470nm〜500nm領域の光を可視領域の他の波長の光に変換するものは、光源光に含まれる470nm〜500nm領域の光を減少させることによって青色領域のピークをシャープにして画像表示の高演色化を実現すると同時に、光源光に含まれる上記470nm〜500nm領域の光を選択的に他の波長の可視光に変換して利用できるので、画像表示の高輝度化も実現できるので、好ましい。
色変換層の変換効率は、青色を緑色に変換する青/緑変換効率が10%以上、青色を赤色に変換する青/赤変換効率が20%以上、総変換効率が30%以上であることが好ましい。
色変換層による変換効率の測定方法は、上記、光を減少させる層による光の減少率の測定方法と同様に、可視・紫外分光法(UV−VIS)を用いることができる。具体的には、参照光として470nm〜500nm領域を含む参照光を使い、参照光の波長スペクトルを100とし、色変換層に参照光を透過させた時の透過スペクトルの割合を比較し、470nm〜500nm領域の光の減少率を算出し、変換率を調べたい波長領域における光の増加率を減少率と同様の方法で算出し、470nm〜500nm領域の光の減少率を分母とし、変換率を調べたい波長領域における光の増加率を分子とした時の値が変換効率として求められる。
【0031】
光を減少させる層を形成する方法としては、吸光材や色変換材等の470nm〜500nm領域の光を減少させる材料を、バインダー及び必要に応じて他の材料と混合して塗工組成物を調製し、これを樹脂基材等の専用の支持体或いは偏光板等の液晶表示装置に含まれる部材からなる何らかの支持体に塗布することにより光を減少させる層を形成する方法や、上記光を減少させる材料を上記支持体に塗布して上記光を減少させる材料のみからなる層を形成する方法や、上記光を減少させる材料とバインダーの混合物からフィルム(比較的自立性の高いシートを含む)を形成しこれを光を減少させる層として用いる方法や、液晶表示装置に含まれる何らかの部材、例えばバックライト部材の導光板を形成するための樹脂に上記光を減少させる材料を混合し、成形することによって得られた部材を上記光を減少させる層として用いる方法などがある。
【0032】
バインダーとしては、例えば、熱可塑性樹脂、紫外線硬化や電離放射線硬化等のエネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。
例えば、アクリル系ポリマーに代表されるエチレン性二重結合を有するモノマーの重合体、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
アルカリ可溶性のバインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸及びこれらの酸無水物等の酸基を有するエチレン性二重結合を有するモノマーの重合体を挙げることができる。
アクリル系ポリマーとしては、例えば、特開2010−2746号公報に記載されているようなグリシジル基等のエポキシ基を有するアクリル系ポリマーが好ましく用いられる。
それ以外にも、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を挙げることができる。
また、重合可能な多官能又は単官能モノマーであるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリルレートのいずれかであることを意味する。
樹脂基材としては光学部材に従来使用されている透明樹脂基材を用いることができる。また、光を減少させる層を直接形成する光学部材としては、例えば、導光板、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光層保護フィルム、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等を挙げることができる。
【0033】
光を減少させる層は、液晶表示装置の各色の画素に位置合わせして所定のパターン状に形成する場合がある。光を減少させる層を所定のパターン状に形成する場合には、従来公知のフォトリソグラフィー法等の画素の形成方法に準じて形成すれば良く、例えば、上記光を減少させる材料とバインダー樹脂とを、必要に応じ、溶剤、希釈剤、もしくはモノマー等、さらには、適宜な添加剤と共に混合して感光性樹脂組成物とし、当該感光性樹脂組成物を塗布対象面(領域)にスピンコーティング法により塗布し、フォトマスクを介して紫外線による露光(パターン露光)を行い、未露光部分を溶剤や、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液等で洗浄(現像)することを、各色毎に繰返すことにより形成することができる。
別の方法としては、上記光を減少させる材料を含有するインキ組成物を、インクジェット法や印刷等の方法で塗布対象面(領域)に各色の画素パターン毎に位置選択的に付着させてもよい。この場合には、非感光性インキ組成物を用いることも可能である。
【0034】
吸光材としては、例えばピロガロールレッド(PR)・Mo錯体、林原生物化学研究所社製「NK5705」、Fluka社製「Atto 475 NHSester」等が挙げられる。
【0035】
色変換材としては、例えば、青色を緑色に変換する青/緑色変換蛍光色素や、青色を赤色に変換する青/赤色変換蛍光色素等の色変換蛍光色素を用いることができる。
青/緑色変換蛍光色素としては、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、もしくは3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素、ベーシックイエロー51等のクマリン色素系染料、または、ソルベントイエロー11、もしくはソルベントイエロー116等のナフタルイミド系色素等を例示することができる。
青/赤色変換蛍光色素としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン骨格を有するシアニン系色素、1−エチル-2-[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート骨格を有するピリジン系色素、ローダミンB、もしくはローダミン6G等のローダミン系色素、またはオキサジン系色素等を例示することができる。
色変換蛍光色素としては、さらに、直接染料、酸性染料、塩基性染料、もしくは分散染料等の各種染料のうちからも蛍光性のあるものを選択して使用することができ、色変換蛍光色素を一種のみ用いるか若しくは二種以上併用してもよい。
【0036】
これらの色変換蛍光色素を溶解もしくは分散させるバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、もしくはポリアミド樹脂等の透明樹脂を例示することができる。または、樹脂としては、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する電離放射線硬化性樹脂(実際には、電子線硬化性樹脂もしくは紫外線硬化性樹脂であって、後者であることが多い。)を使用することもできる。
【0037】
色変換層におけるバインダー樹脂と、色変換蛍光色素の割合は、例えば、樹脂/色変換蛍光色素=100/0.5〜100/5(質量基準)程度である。また、色変換層の厚みは5μm〜20μm程度であることが好ましい。
【0038】
光を減少させる層の光路方向での配置場所は、白色LED光源から画像表示面に至る光路途中の何れかの位置に設けられていればよい。
光を減少させる層として色変換層を用いる場合は、バックライト側偏光板を通過した偏光の色変換に伴う、偏光の振動方向の変化による画像表示面での黒色表示時の光漏れ等の発生防止の観点から、バックライト側偏光板から画像表示面側偏光板の間以外の位置に設けるのがより好ましい。
【0039】
光を減少させる層を、カラーフィルターに含まれるRGB等全ての色の画素に対してソリッドパターン状に設ける場合には、青/緑色変換層を設けることが、輝度および色みのバランスの観点から好ましい。
また、青/緑色変換層と青/赤色変換層を組み合わせて用いる場合には、緑画素に対して青/緑色変換層を位置合わせし、赤画素に対して青/赤色変換層を位置合わせして設け、青画素の上には色変換層を設けないか、或いは、青画素と緑画素に対して青/緑色変換層を位置合わせし、赤画素に対して青/赤色変換層を位置合わせして設けることによって輝度および色みのバランスの観点から、より好ましい。
【実施例】
【0040】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
青/赤色変換蛍光色素として4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン骨格をもつシアニン系色素、青/緑色変換蛍光色素として(2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリンを使用した。
色変換蛍光色素を溶解させるバインダー樹脂の調合は以下の通りに行った。
重合槽中にメチルメタクリレート(MMA)を63質量部、アクリル酸(AA)を12質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を6質量部及び溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を7質量部加え、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、さらにグリシジルメタクリレート(GMA)を7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部及びハイドロキノンを0.2質量部加え、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
また、下記の材料を室温で混合、攪拌してバインダーとしての硬化性樹脂組成物とした。
前記共重合樹脂溶液(固形分50%):16質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製の商品名SR399):24質量部
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート180S70):4質量部
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名イルガキュア907):4質量部
ジエチレングリコールジメチルエーテル:52質量部
次に、樹脂と色変換蛍光色素の割合が、バインダー樹脂/色変換蛍光色素=70/30(質量基準)、となるように色変換蛍光色素とバインダー樹脂を各色毎に混合した。また、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/3−メトキシブチルアセテート(MBA)を80/20(質量基準)の割合で混合して使用し、変換色素1質量部に対して25質量部とした。添加剤として、メガファックを使用した。当該混合物をフォトリソグラフィー法で、バックライト部材の出向面にカラーフィルターの緑画素及び赤画素のパターンに位置合わせして各色毎に塗布形成することにより、470nm〜500nm領域の光を520nm〜560nm領域の光に変換する青/緑変換層と、470nm〜500nm領域の光を570nm〜650nm領域の光に変換する青/赤変換層を含み、当該青/緑変換層及び当該青/赤変換層がそれぞれカラーフィルターの緑画素及び赤画素のパターンに位置合わせして配列されている色変換層を作製した。色変換層の厚みは1.5〜1.7μmとなるようにした。
エッジライト型B−YAG方式白色LED光源を用いた液晶表示装置の導光板の上部に当該色変換層を挿入し、可視・紫外分光法を用いて青色波長域(470nm〜500nm)における光の減少率と、緑色波長域(520nm〜560nm)および赤色波長域(570nm〜650nm)における光の増加率を測定し、青色波長域における光の減少率に対する緑色波長域(520nm〜560nm)および赤色波長域(570nm〜650nm)における光の増加率からそれぞれの変換効率を算出し、さらに総変換効率を算出した。測定結果を表1に示した。
また、WHITE輝度Y及びNTSC(National Television System Committee)比を測定した。測定結果を表2に示した。
【0042】
(比較例1)
光を減少させる層(青/緑変換層及び青/赤変換層)を含まないこと以外は実施例1と同様の液晶表示装置を用いてWHITE輝度Y及びNTSC比を測定した。測定結果を表2に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
(測定結果)
表1に示すように、実施例1の青色波長域における光の減少率は、78.4%であり、青色波長域における光の減少率に対する緑色波長域および赤色波長域における光の変換効率は、それぞれ10.5%、38.8%であり、さらに総変換効率は49.3%であり、青色波長域における光が減少し、緑色波長域および赤色波長域に変換されていることがわかる。
表2に示すように、比較例1と比較して実施例1は、WHITE輝度Yが33.3から33.9に向上し、NTSC比が62%から68%に向上し、高輝度・高演色化されていることがわかる。
【符号の説明】
【0046】
1 バックライト部材
1a 光源
1b 導光板
1c 反射材
1d 反射材
2 バックライト側偏光板
3 液晶セル
3a 駆動基盤
3b カラーフィルター
3c 液晶層
3d 封止材
4 画像表示面側偏光板
5 色変換層
5s 基材フィルム
101 液晶表示装置
102 液晶表示装置
103 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色LEDに蛍光体を組み合わせた白色LED光源を含むバックライト部材、バックライト側偏光板、液晶セル及び画像表示面側偏光板を備える液晶表示装置であって、
前記白色LED光源から画像表示面に至る光路途中の何れかの位置に、光源光に含まれる470nm〜500nm領域の光を減少させる層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記の470nm〜500nm領域の光を減少させる層が、470nm〜500nm領域の光を他の波長域の光に変換する色変換層である、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記色変換層が、前記バックライト側偏光板から前記画像表示面側偏光板の間以外の位置に設けられている、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記色変換層が470nm〜500nm領域の光を520nm〜560nm領域の光に変換する青/緑変換層と、470nm〜500nm領域の光を570nm〜650nm領域の光に変換する青/赤変換層を含み、当該青/緑変換層及び当該青/赤変換層がそれぞれ前記カラーフィルターの緑画素及び赤画素のパターンに位置合わせして配列されている色変換層である、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記パターン状に設けられた色変換層がバックライト部材の出光面に設けられている、請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記色変換層が470nm〜500nm領域の光を510nm〜550nm領域の光に変換する青/緑変換層を、前記光路の断面全体をカバーするようにソリッドパターン状に設けた青/緑変換層である、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記バックライト部材が導光板と白色LED光源を備えるバックライト部材であり、前記導光板に色変換物質を含有させてなる前記ソリッドパターン状に設けた青/緑変換層を有する、請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記色変換層が前記画像表示面側偏光板よりも画像表示面側の位置に設けられている、請求項3に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−64926(P2013−64926A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204404(P2011−204404)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】