説明

液晶配向処理剤及びそれを用いた液晶素子並びに液晶の配向方法

【課題】均一な光照射配向を発現し高い安定性と耐光性を有する液晶配向処理剤の提供。
【解決手段】高分子主鎖中に下記一般式(1)〜(7)


(R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリル基またはプロパルギル基を表す。)で表されるいずれかの結合を有する液晶配向処理剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶の配向処理剤及びそれを用いた液晶素子に関するものであり、更に詳しくはラビング処理を必要とすることなく、高分子薄膜表面に光を照射することにより液晶分子を配向させる方法に於いて用いられる新規な液晶配向処理剤、液晶素子及び液晶の配向方法に関するものであり、特定の単位構造を有する高分子を含有する液晶配向処理剤を用いることにより、上記方法の従来の技術に対して、高感度化を実現し、且つ液晶配向の高い熱的安定性、高い耐光性を達成することを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、液晶の電気光学的変化を利用した表示素子であり、装置的に小型軽量であり、消費電力が小さい等の特性が注目され、近年、各種ディスプレイ用の表示装置として目覚ましい発展を遂げている。中でも正の誘電率異方性を有するネマティック液晶を用い、相対向する一対の電極基板のそれぞれの界面で液晶分子を基板に対し平行に配列させ、且つ、液晶分子の配向方向が互いに直交するように両基板を張り合わせた、ツイステッドネマティック型(TN型)の電界効果型液晶表示素子はその代表的なものである。
【0003】
このようなTN型の液晶表示素子に於いては、液晶分子の長軸方向を基板表面に均一且つ平行に配向させること、更に液晶分子を基板に対して一定の傾斜配向角(以下、プレチルト角という)をもって配向させることが重要である。このように液晶分子を配向させる方法としては、従来より2つの方法が知られている。
【0004】
第一の方法は、酸化珪素等の無機物を基板に対して斜めから蒸着することにより基板上に無機膜を形成し、蒸着方向に液晶分子を配向させる方法である。この方法では、一定のプレチルト角を有する安定した配向は得られるものの工業的に効率的ではない。
【0005】
第二の方法は、基板表面に有機被膜を設け、その表面を綿、ナイロン、ポリエステル等の布で一定方向にラビングし、ラビング方向に液晶分子を配向させる方法である。有機被膜は、通常、液晶配向処理剤を基板表面に塗布することにより形成される。この方法は、比較的容易に安定した配向が得られるため、工業的には専らこの方法が採用されている。有機被膜(液晶配向膜または配向膜という。)としては、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリアミド、ポリイミド等の高分子化合物からなる膜が挙げられるが、機械的強度,化学的安定性、熱的安定性等の点からポリイミド膜が最も一般的に使用されている。このような液晶配向膜に使用されているポリイミドの代表的な例としては、特開昭61−47932号公報に開示されるものがある。
【0006】
ポリイミド膜をラビングする液晶配向処理方法は、簡便で生産性に優れた工業的に有用な方法である。しかし、液晶表示素子の高性能化、高精細化への要求は益々高まり、それに対応した新しい表示方式が開発されるに伴って、ラビング法の様々な問題が指摘されるようになった。例えば、TN型液晶表示のツイスト角を高くしたSTN(スーパーツイステッドネマティック)方式、強誘電性液晶、反強誘電性液晶を用いたFLC(フェロエレクトリック)、AFLC(アンチフェロエレクトリック)方式、個々の電極にスイッチング素子を形成したAM(アクティブマトリクス)方式等がそれである。STN方式ではコントラストが高いためラビングによって生じた配向膜表面の傷が表示欠陥となってしまい、FLC、AFLC方式では単純なラビング処理だけではスメクチック液晶の均一配向と高速応答を両立させることが難しく、AM方式ではラビングによる機械的な力や静電気がスイッチング素子を破壊したり、ラビングによる発塵が表示欠陥を誘発したり、または液晶の汚染を引き起こし表示品位の低下を招くこともある等、ラビング法の様々な問題が明
らかになってきている。特にAM方式は液晶をTFT(薄膜トランジスタ)等の半導体素子で駆動する方式であり、元来極めてクリーンさ(清浄性)が要求される半導体技術に於いて、ラビングのようなプロセスは厳密には最適とは言えない。
【0007】
これらの問題を解決する目的で、ラビングなしで液晶を配向させるいわゆる「ラビングレス」配向法が検討され、様々な方法が提案されている。例えば、配向膜表面にフォトクロミック分子を導入し、光によって配向膜表面の分子を配向させる方法(特開平4−2844号公報)、LB膜(ラングミュアブロジェット膜)を用いて配向膜を構成する分子膜配向させる方法(小林等、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス、27巻、475ページ(1998年))(S.Kobayashi et.al.,Jpn
.J.Appl.Phys.,27,475(1998))、あらかじめ配向処理された基板上に配向膜を圧着して配向を移し取る方法(特開平6−43458号公報)等が検討されているが、工業的な生産性を考慮した場合に、ラビング法の代替となりうるものとは言えない。
【0008】
これに対して、配向膜表面の周期的な凹凸を人為的に形成し、この凹凸に沿って液晶分子を配向させる様々な方法も提案されている。その最も単純な方法は、予め周期的な凹凸を有するレプリカを作製し、その上に熱可逆的な膜を加熱圧着し、膜上に凹凸を移し取る方法である。(特開平4−172320号公報、特開平4−296820号公報、特開平4−311926号公報等。)この方法では確かに表面に周期的な凹凸を有する膜を効率的に作製することは可能であるが、ラビング法で用いられているポリイミド膜ほどの実用上の信頼性を得ることは出来なかった。これに対して、信頼性の高いポリイミド膜に高エネルギーの光、例えば電子線(特開平4−97130号公報)、α線(特開平2−19836号公報)、X線(特開平2−2515号公報)、エキシマレーザー(特開平5−53513号公報)等を照射し、膜表面に周期的な凹凸を形成する方法が提案されている。しかし、これらの高エネルギーの光源を用いることは、大型の基板全面に均一に配向処理を連続的に行うという工業的な生産性を考慮した場合、効率的な配向処理方法とは言い難いものであった。
【0009】
一方、信頼性の高いポリイミド膜表面に周期的な凹凸を形成する効率的な方法として、フォトリソグラフィー法がある。即ち、近年開発された光硬化性ポリイミドを用いてフォトリソグラフィー法により周期的な凹凸を形成しようとする試みである。この方法によって、確かにポリイミド膜表面に凹凸を形成することはできるものの、元来光硬化性のポリイミドは絶縁膜として開発されたものであるため、液晶を配向させるための特性は不十分なものとなり、更にバッファー層をコーティングする等の必要性を生じ(特開平4−245224号公報)、結果的にプロセスが複雑となり、工業的な生産性を考慮するとラビング法の代替となり得るだけの効率的な配向処理方法とはなり得なかった。
【0010】
最近見いだされた新たな配向処理方法として、偏光した紫外線等を高分子膜表面に照射し、ラビング処理することなく液晶分子を配向させる方法が提案されている。その例として以下の報告がある。
【0011】
ギボンズ等、ネーチャー、351巻、49ページ(1991年)(W.M.Gibbons et.al.,Nature,351,49(1991))、川西等、モレキュラ
ー クリスタル アンド リキッド クリスタル、218巻、153ページ(1992年)(Y.Kawanishi et.al.,Mol.Cryst.Liq.Cryst.,
218,153(1992))、シャト等、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス、31巻、2155ページ(1992年)(M.Shadt et.al.
,Jpn.J.Appl.Phys.,31,2155(1992))、飯村等、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス、32巻、L93ページ(1993年
)(Y.Iimura et.al.,Jpn.J.Appl.Phys.,32,L9
3(1993))。
【0012】
これらの方法は、従来のラビング処理を必要とせず、偏光した光照射により一定方向に液晶を配向させることが特徴である。この方法によれば、ラビング法による膜表面の傷や静電気等の問題がなく、また工業的な生産性を考慮した際の製造プロセスとしてより簡便であることが利点である。即ち、ここに提案されている偏光した光照射を利用する液晶配向処理方法は、未だ基礎的な研究段階ではあるが、今後ラビング処理を用いない新たな液晶配向処理方法として注目される方法と目される。
【0013】
これまでの報告においては、液晶配向膜材料として、偏光した光に対する光化学的感度を得る必要性から、高分子の側鎖に光反応性基を導入した高分子化合物を用いることが提案されている。その代表的な例としてポリビニルシンナメートが挙げられており、この場合光照射による側鎖部分での二量化により高分子膜中に異方性を発現し液晶を配向させるものと考えられている。また、その他として高分子材料中に低分子の二色性アゾ系色素を分散し、この膜表面に対して偏光した光を照射することで一定の方向に液晶分子を配向させうることが述べられている。また更には、特定のポリイミド膜に偏光した紫外線等を照射することによって液晶分子が配向することが報告されている。この場合光照射により、一定方向のポリイミド主鎖が分解することにより液晶の配向を発現しているものと考えられる。
【0014】
ポリビニルシンナメート等に代表される高分子側鎖に光反応性基を導入した高分子材料系では、配向の熱的安定性が十分ではなく実用の面では未だ十分な信頼性が得られていない。また低分子の二色性色素を高分子中に分散した場合には、液晶を配向させる色素自体が低分子であり、実用的な観点から考えて、その分散系は熱的または光に対する安定性の面に課題が残されている。更に、特定のポリイミドに偏光した紫外線を照射する方法に於いては、ポリイミド自体としては耐熱性等の信頼性は高いものの、その配向機構が光による分解に起因していると考えられることから、今後実用面に於いて必ずしも十分な信頼性が得られない可能性がある。更に、十分な液晶配向を得るための光照射エネルギーが高くなってしまい、生産性が低下するといった問題を有している。
【0015】
これらの点で、従来の光照射による液晶配向に対して提案されている材料は配向力及びその安定性、更に感度という面で必ずしも十分ではなく、光照射によるラビングレス配向を実用化する上で大きな課題となっているのが実状である。
【特許文献1】特開昭61−47932号公報
【特許文献2】特開平4−2844号公報
【特許文献3】特開平6−43458号公報
【特許文献4】特開平4−172320号公報
【特許文献5】特開平4−296820号公報
【特許文献6】特開平4−311926号公報等
【特許文献7】特開平4−97130号公報
【特許文献8】特開平2−19836号公報
【特許文献9】特開平2−2515号公報
【特許文献10】特開平5−53513号公報
【特許文献11】特開平4−245224号公報
【非特許文献1】小林等、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス、27巻、475ページ(1998年)(S.Kobayashi et.al.,Jpn.J.Appl.Phys.,27,475(1998))
【非特許文献2】ギボンズ等、ネーチャー、351巻、49ページ(1991年)(W.M.Gibbons et.al.,Nature,351,49(1991))、
【非特許文献3】川西等、モレキュラー クリスタル アンド リキッド クリスタル、218巻、153ページ(1992年)(Y.Kawanishi et.al.,Mol.Cryst.Liq.Cryst.,218,153(1992))、
【非特許文献4】シャト等、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス、31巻、2155ページ(1992年)(M.Shadt et.al.,Jpn.J.Appl.Phys.,31,2155(1992))、
【非特許文献5】飯村等、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス、32巻、L93ページ(1993年)(Y.Iimura et.al.,Jpn.J.Appl.Phys.,32,L93(1993))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、液晶配向膜への光照射により液晶配向膜のラビングを必要とせずに液晶を配向させる液晶配向処理剤であって、特定の単位構造を有する高分子材料系で、均一且つ安定な液晶配向を効率的に発現し、更に発現した配向が高い熱的安定性及び耐光性を有するものである液晶配向処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意努力検討した結果本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、液晶配向処理剤を用いて基板上に形成された高分子薄膜に光または電子線を基板面に対して照射し、次いで該基板上にラビング処理なしに液晶を配向させる方法において用いられるところの液晶配向処理剤であって、高分子主鎖中に下記一般式(1)〜(7)
【0018】
【化1】

【0019】
(R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリル基
またはプロパルギル基を表す。)
で表されるいずれかの結合を有し、上記結合の両端に2価または3価の芳香族基が直接結合するか、または上記結合の片端に2価または3価の芳香族基が直接結合しかつもう一方の片端に2価または3価の脂環式炭化水素基が直接結合する数平均分子量が1000〜300000の高分子化合物からなる、液晶配向処理剤及びそれを用いた液晶素子、並びに該液晶配向処理剤を用いる液晶の配向方法に関する。
【発明の効果】
【0020】
上述したように、偏光照射を用いた液晶配向を実際に応用する場合には、液晶を単に初期的配向させるだけでなく、信頼性且つ生産性の観点から、より効率的に且つ安定な配向を発現させることが必要とされる。また、実際の工業的な応用を考えた場合、熱的にまたは光にも高い安定性をもった高分子構造を選択することが望まれ、且つより幅広い構造選択幅をもつ高分子材料系を使用した液晶処理剤を見いだすことが望まれる。
【0021】
本発明に於ける液晶配向処理剤とは、液晶の配向、プレチルト角等の制御を行うために、ガラスまたはプラスチック等の電極基板に塗布して該基板上に高分子薄膜を形成するものを意味する。即ち、本発明の液晶配向処理剤は、透明電極のついたガラスまたはプラスチックフィルム等の電極基板上に、本発明の液晶配向処理剤を塗布、焼成することにより高分子薄膜を形成し、次いで膜面に光または電子線を照射することによりラビング処理を必要としない液晶配向膜を作製するために使用するものである。本発明の液晶配向処理剤は、通常、溶液の形で使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の液晶配向処理剤で形成される高分子薄膜としては、該高分子薄膜を形成する高分子化合物が主鎖中に上記一般式(1)〜(7)で表されるいずれかの結合を有し、且つ上記結合の両端に2価または3価の芳香族基が直接結合するか、または上記結合の片端に2価または3価の芳香族基が直接結合し、もう一方の片端に2価または3価の脂環式炭化水素基が直接結合した構造が導入されていることが、光または電子線照射時の効率的且つ均一安定な液晶配向の発現等、本発明の効果を奏する上で重要である。また、この構造を含有する高分子の単位構造が20から100モル%含まれることが、効率的に液晶を配向させる観点から好ましい。上記の芳香族基及び脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。更に、高分子の持つガラス転移点が200℃以上であることが配向の熱的安定性を得る上で好ましい。基板上に形成された高分子薄膜が光照射によって化学的に変化し、その反応生成物が200℃以上のガラス転移点を有するものであってもよい。なお、光または電子線の照射により二量化反応または異性化反応が誘起される下記一般式(8)〜(17)
【0023】
【化2】

【0024】
(R4、R5、R6、R7、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、置換アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表す。)
で表される置換基を含有する必要はない。
【0025】
前記一般式(1)〜(7)中R1〜R3で表される置換基のうちアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、s−プロピル及びt−ブチル等の低級アルキル基に加え、通常用いられる炭素数24程度までの長鎖アルキル基が好適な例として挙げられる。また、置換アルキル基としては、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ペルフルオロプロピル、ヘキサフルオロ−i−プロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル及びペルフルオロブチル等の低級含フッ素アルキル基、通常用いられる炭素数24程度までの長鎖含フッ素アルキル基、ベンジル基、及びベンゼン環上にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が置換したベンジル基等が好適な例として挙げられる。
【0026】
本発明に於ける高分子化合物としては、上記一般式(1)〜(7)で表されるいずれかの結合を有し、上記結合の両端に2価または3価の芳香族基が直接結合するか、または上記結合の片端に2価または3価の芳香族基が直接結合しかつもう一方の片端に2価または3価の脂環式炭化水素基が直接結合する構造を含有していれば特に限定されないが、上記の観点から、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、または上記一般式(1)〜(7)で表されるいずれかの結合を含有するポリイミド前駆体またはそのポリイミド前駆体を化学的または熱的にイミド化して得られるポリイミド等が好ましい。
【0027】
例えば、高分子化合物として下記一般式(18)または、一般式(19a)および(19b)
【0028】
【化3】

【0029】
(R10、R11、R12及びR13は一般式(20)〜(23)
【0030】
【化4】

【0031】
(X1、X2、X3、X4、X5及びX6はそれぞれ独立に単結合、O、CO2、OCO、CH2O、NHCOまたはCONHを表し、R14、R15、R16、R17、R18及びR19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1〜C24のアルキル基、C1〜C24の含フッ素アルキル基、アリル基、プロパルギル基、フェニル基または置換フェニル基を表し、Y1はO、S
、CO、CO2SO2、CH2、NH、NHCO、Y2−Ar1−Y3、Y4−(CH2)n1
5またはY6−Ar2−R20−Ar3−Y7を表し、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6及びY7はそ
れぞれ独立にO、S、CO、CO2、SO2、CH2、NHまたはNHCOを表し、n1は1〜10の整数を表し、R20はC1〜C5の直鎖状または分岐状の低級アルキレン基、フルオロアルキレン基もしくはアルキレンジオキシ基を表し、更に、Ar1、Ar2及びAr3
それぞれ独立に下記一般式(24)、(25)または(26)
【0032】
【化5】

【0033】
(X7、X8、X9、X10及びX11はそれぞれ独立に単結合、O、CO2、OCO、CH2
、NHCOまたはCONHを表し、R21、R22、R23、R24及びR25はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1〜C24のアルキル基、C1〜C24の含フッ素アルキル基、アリル基、プロパルギル基、フェニル基または置換フェニル基を表し、m1は1〜4の整数を
表し、m2は1〜3の整数を表す。ただし、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R21
、R22、R23、R24及びR25が水素原子またはハロゲン原子を表す場合には、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10及びX11は単結合を表す。)
で表される基を示す。)
で表される2価の有機基を示し、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリル基またはプロパルギル基を表す。)
で表される繰り返し単位よりなるポリアミドを挙げることができる。
【0034】
更に、実用性及び汎用性を考慮すれば、上記一般式(18)に於けるR10及びR11、または一般式(19a)及び(19b)に於けるR12及びR13がそれぞれ独立に下記式(27)〜(41)
【0035】
【化6】

【0036】
で表される基から選ばれるものであることが好ましい。
【0037】
上記一般式(20)〜(26)中、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R21、R22、R23、R24、及びR25で表されるC1〜C24のアルキル基としては、メチル、エチル、
プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、s−ブチル及びt−ブチル等の低級アルキル基に加え、通常用いられる長鎖アルキル基、及びシクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基を含むアルキル基が挙げられる。C1〜C24の含フッ素アルキ
ル基としては、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ペルフルオロプロピル、ヘキサフルオロ−i−プロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル及びペルフルオロブチル等の低
級含フッ素アルキル基に加え、通常用いられる長鎖含フッ素アルキル基が挙げられる。
【0038】
また、置換フェニル基における置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、含フッ素アルキル基、アルコキシ基、含フッ素アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、含フッ素アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
【0039】
上記一般式中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4で表される基は前記一般式(1)中のR1
表される基と同様である。Ra1、Ra2、Ra3及びRa4で表される基が水素原子以外の基を含む上記ポリアミドは、以下に示す方法で得られる。
【0040】
a1、Ra2、Ra3及びRa4で表される基が水素原子であるポリアミドのアミド基のN位に既知の高分子反応(モーレイ等、ジャーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス、45巻、1983ページ(1992年)(T.H.Mourcy et.al.,J.A
ppl.Polym.Sci.,45,1983(1992))、高柳等、ジャーナル
オブ ポリマー サイエンス、ポリマー ケミストリー エディション、19巻、1133ページ(1981年)(M.Takayanagi et.al.,J.Polym.Sc
i.,Polym.Chem.Ed.,19,1133(1981))等参照)を利用して所望の置換基を所望の割合で導入することにより得られる。
【0041】
また、以下に例示するジアミンモノマー化合物のN位にあらかじめ所望の置換基を導入し、得られた化合物をモノマーとして用いて重合反応を行うことにより製造することも可能である。
【0042】
上記一般式(18)中のR10に対応するジカルボン酸成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2−メチル−イソフタル酸、4−メチル−イソフタル酸、5−メチル−イソフタル酸、5−アリルオキシイソフタル酸、5−アリルオキシカルボニルイソフタル酸、5−プロパルギルオキシイソフタル酸、5−アセチルオキシイソフタル酸、5−ベンゾイルアミノイソフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、メチルテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、1,6−アントラセンジカルボン酸、4,4′−ジカルボキシビフェニル、3,4′−ジカルボキシビフェニル、2,3′−ジカルボキシビフェニル、2,4′−ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジメチル−3,3′−ジカルボキシビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′−ジカルボキシビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジメトキシ−3,3′−ジカルボキシビフェニル、2,2′−ジメトキシ−4,4′−ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジカルボキシベンゾフェノン、3,4′−ジカルボキシベンゾフェノン、3,3′−ジカルボキシベンゾフェノン、4,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、3,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3′−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2′−ジメチル−4,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4′−ジメチル−3,3′−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2′−ジメトキシ−4,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4′−ジメトキシ−3,3′−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4′−ジカルボキシベンズアニリド、3,4′−ジカルボキシベンズアニリド、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,3′−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼ
ン、1,3−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−カルボキシベンズアミド)ベンゼン、1,4−ビス(4−カルボキシベンズアミド)ベンゼン、ビス(4−カルボキシフェノキシフェニル)メタン、4,4′−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,5−ビス(4−カルボキシフェニル)ペンタン、1,4−ビス(4−カルボキシフェニル)ブタン、1,3−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、ジ(4−カルボキシフェニル)ペンタン−1,5−ジオエート、ジ(4−カルボキシフェニル)ヘキサン−1,6−ジオエート、ジ(4−カルボキシフェニル)ヘプタン−1,7−ジオエート等の芳香族または芳香族含有ジカルボン酸及びこれらの酸ハロゲン化物並びにアルキルエステル化物、更には1,3−ジカルボキシシクロヘキサン、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、1,2−ジカルボキシシクロブタン、1,3−ジカルボキシシクロブタン、ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4−カルボキシ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)エーテル、ビス(4−カルボキシ−3−メチルシクロヘキシル)エーテル等の脂環式ジカルボン酸及びこれらの酸ハロゲン化物並びにアルキルエステル化物が挙げられ、またこれらの2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0043】
更に、光反応の感度の観点および原料の入手し易さ等から、1,3−ジカルボキシシクロヘキサン、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、イソフタル酸、テレフタル酸、4−メチルイソフタル酸、メチルテレフタル酸、4,4′−ジカルボキシビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、3、4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4′−ジカルボキシジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジカルボキシジフェニルメタン等のジカルボン酸およびその誘導体を使用することが好ましい。
【0044】
上記一般式(18)中のR11に対応するジアミン成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2−メチル−m−フェニレンジアミン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、5−メチル−m−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、5−アリルオキシ−m−フェニレンジアミン、5−アリルオキシメチル−m−フェニレンジアミン、メチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、1,6−ナフタレンジアミン、2,6−アントラセンジアミン、1,6−アントラセンジアミン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,4′−ジアミノビフェニル、2,3′−ジアミノビフェニル、2,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,3′−ジアミノジフェニルエーテル、2,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジメチル−3,3′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジメトキシ−3,3′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジメチル−3,3′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジメトキシ−3,3′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−
ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエタン、4,4′−ジアミノジフェニルアミン、3,4′−ジアミノジフェニルアミン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,4′−ジアミノベンズアニリド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、2,2′−ジアミノジフェニルプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンズアミド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンズアミド)ベンゼン、4,4′−(4−アミノフェノキシフェニル)メタン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ブタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ジ(4−アミノフェニル)ペンタン−1,5−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘキサン−1,6−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘプタン−1,7−ジオエート等の芳香族または芳香族含有ジアミン化合物が挙げられる。また、プレチルト角を高める目的で、4,4′−ジアミノ−3−ドデシルジフェニルエーテル、1−ドデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン等に代表される長鎖アルキル基を有するジアミンを使用することもできる。これらの2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0045】
更に、光反応の感度の観点および原料の入手し易さ等から、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、メチル−p−フェニレンジアミン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等のジアミン化合物を使用することが好ましい。
【0046】
上記一般式(19a)および(19b)中のR12及びR13に対応するアミノカルボン酸成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、4−メチル−m−アミノ安息香酸、3−メチル−p−アミノ安息香酸、2−アミノ−6−カルボキシナフタレン、1−アミノ−5−カルボキシナフタレン、1−アミノ−6−カルボキシアントラセン、2−アミノ−7−カルボキシアントラセン、4−(4−アミノフェニル)安息香酸、3−(4−アミノフェニル)安息香酸、4−(3−アミノフェニル)安息香酸、4−(4−アミノフェノキシ)安息香酸、3−(4−アミノフェノキシ)安息香酸、4−(3−アミノフェノキシ)安息香酸、4−アミノ−4′−カルボキシベンゾフェノン、3−アミノ−4′−カルボキシベンゾフェノン、4−アミノ−3′−カルボキシベンゾフェノン、4−(4−アミノ−3−メチルフェニル)o−トルイル酸、4−(4−アミノ−2−メチルフェニル)o−トルイル酸、4−アミノフェニル−4−カルボキシフェニルメタン、3−アミノフェニル−4−カルボキシフェニルメタン、4−アミノフェニル−3−カルボキシフェニルメタン、4−アミノ−4′−カルボキシジフェニルメタン、4−アミノフェニル−4−カルボキシフェニルスルホン、3−アミノフェニル−4−カルボキシフェニルスルホン、4−アミノフェニル−3−カルボキシフェニルスルホン、2,2−(4−アミノフェニル−4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−(3−アミノフェニル−4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−(4−アミノフェニル−3−カルボキシフェニル)プロパン、4−アミノフェニル−4−カルボキシベンズアニリド、3−アミノ−4′−カルボキシベンズアニリド、4−アミノ−3′−カルボキシベンズアニリド、4−[3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]安息香酸、4−[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]安息香酸、1−(4−アミノベンズアミド)−
3−(4−カルボキシベンズアミド)ベンゼン、1−(4−アミノベンズアミド)−4−(4−カルボキシベンズアミド)ベンゼン、4−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]安息香酸、4−[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}フェノキシ]安息香酸、4−[4−[2−{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}イソプロピリデン]フェノキシ]安息香酸、4−[4−[2−{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロイソプロピリデン]フェノキシ]安息香酸、4−[4−(4−アミノフェノキシ)ブトキシ]安息香酸、4−[5−(4−アミノフェノキシ)ペンチロキシ]安息香酸、4−[6−(4−アミノフェノキシ)ヘキシロキシ]安息香酸、4−[5−(4−アミノフェノキシ)−1,5−ジオキソペンチル]安息香酸、4−[6−(4−アミノフェノキシ)−1,6−ジオキソヘキシル]安息香酸、4−[7−(4−アミノフェノキシ)−1,7−ジオキソヘプチル]安息香酸等の芳香族または芳香族含有アミノカルボン酸、更には3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、1−アミノシクロブタンカルボン酸、2−アミノシクロブタンカルボン酸、4−(4−アミノシクロヘキシルメチル)シクロヘキサンカルボン酸、4−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシルメチル)−3−メチル−シクロヘキサンカルボン酸、4−(4−アミノシクロヘキシロキシ)シクロヘキサンカルボン酸、4−(4−アミノ−3−メチルシクヘキシロキシ)−3−メチル−シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式アミノカルボン酸が挙げらる。また、これらの2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0047】
更に、光反応の感度の観点および原料の入手し易さ等から、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、メチル−p−アミノ安息香酸、4−メチル−m−アミノ安息香酸、4−(4−アミノフェノキシ)安息香酸、3,3′−ジメチル−4−(4′−アミノフェニル)安息香酸、4−(4−アミノフェニル)安息香酸、(4−アミノフェニル−4′−カルボキシフェニル)メタン、3,3′−ジメチル−(4−アミノフェニル−4′−カルボキシフェニル)メタン、4−アミノフェニル−4−カルボキシフェニルスルホン等のアミノカルボン酸化合物を使用することが好ましい。
【0048】
アミド基の両端に2価または3価の芳香族基が直接結合するか、または上記結合の片端に2価または3価の芳香族基が直接結合しかつもう一方の片端に2価または3価の脂環式炭化水素基が直接結合する構造を含有する繰り返し単位は液晶の配向安定性の観点から全ポリマー成分の20〜100モル%含むことが好ましく、50〜100モル%が更に好適である。
【0049】
また、本発明に係る高分子化合物としてのポリアミドは、アミド基の両端に2価または3価の芳香族基が直接結合するか、または上記結合の片端に2価または3価の芳香族基が直接結合しかつもう一方の片端に2価または3価の脂環式炭化水素基が直接結合する構造を含有していればよく、芳香族基または脂環式炭化水素基を有しないジカルボン酸、ジアミン、アミノカルボン酸でも上記の成分と組み合わせることにより併用することもできる。敢えてその具体例をあげるならば、ジカルボン酸成分として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、マゼライン酸、セバチン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸等のジカルボン酸及びこれらの酸ハロゲン化物、酸無水物並びにアルキルエステル化物等が挙げられ、またこれらの2種以上の混合物を使用することもできる。更に、ジアミン成分としては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン等の脂肪族ジアミン、更には、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンまたは、
【0050】
【化7】

【0051】
(式中、mは1〜10の整数を表す。)
等のジアミノシロキサンが挙げられる。これらのジアミン成分の1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
【0052】
また、アミノカルボン酸成分としては、3−アミノプロピオン酸、4−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸成分が挙げられ、これらのアミノカルボン酸成分の2種類以上を混合して使用することもできる。
【0053】
このようなポリアミドの合成法は特に限定されるものではない。一般にはジカルボン酸またはその誘導体とジアミンを等モル量仕込み、有機溶剤中で重縮合反応を行うか、または1種類のアミノカルボン酸の重縮合反応または2種類以上のアミノカルボン酸の共重合反応を行うことによって得ることができる。
【0054】
これらの重縮合反応は縮合剤の存在下好適に進行するが、ここで用いられる縮合剤としては、モノマーとしてジカルボン酸またはアミノカルボン酸を用いる場合には、亜リン酸トリフェニル、テトラクロロシラン、ジメチルクロロシラン等を、モノマーとしてジカルボン酸ハロゲン化物を用いる場合には、トリメチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等を例示することができる。
【0055】
また、この反応は有機溶媒中で行うことが好ましく、使用される溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプラクタム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、及びブチルラクトン、クレゾール等を挙げることができる。
【0056】
この縮合反応に於ける反応温度は、通常−100℃から200℃程度の温度範囲が好ましい。
【0057】
一方、モノマーとして上記のジカルボン酸無水物またはアルキルエステル化合物を用いる場合には、一般に上記の縮合剤及び溶媒を用いずに、ジアミン化合物を混合し、真空中、加熱溶解することにより好適に重縮合反応が進行する。
【0058】
以上述べたような製造方法により得られるポリアミドの数平均分子量は1000〜300000であることが重要であり、より好ましくは3000〜300000であることがポリマーの特性を生かす上で好ましい。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー、浸透圧法、光分散法、粘度法等の公知の方法により測定される。
【0059】
また、ポリアミド塗膜を形成する際には通常は上記重合溶液をそのまま基板に塗布し、基板上で加熱してポリアミド塗膜を形成することができる。また、生成したポリアミド溶液を大過剰の水、メタノールのごとき貧溶媒中に投入し、沈殿回収した後に溶媒に再溶解して用いてもよい。上記ポリアミド溶液の希釈溶液及び/または沈殿回収したポリアミドの再溶解溶媒は、ポリアミドを溶解するものであれば特に限定されない。
【0060】
それらの溶媒の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチルラクトン等を挙げることができる。これらは単独でまたは混合して使用してよい。更に、単独では均一溶液が得られない溶媒であっても、均一溶液が得られる範囲でその溶媒を加えて使用してもよい。その例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール等が挙げられる。
【0061】
この溶液を基板上に塗布し、溶媒を蒸発させることにより基板上にポリアミド被膜を形成させることができる。この際の温度は溶媒が蒸発すれば十分であり、通常は80〜200℃が好ましい。
【0062】
上記のようにして得られた本発明の液晶配向処理剤溶液を、スピンコート、転写印刷法等の方法を用いて基板上に塗布し、これを上記の条件で加熱焼成して高分子薄膜を形成する。この際の高分子薄膜の厚みとしては、特に限定されるものではないが、通常の液晶配向膜として使用される上で10〜3000nmが適当である。
【0063】
次いで、該高分子薄膜表面に光または電子線が照射される。使用する光の波長としては特に限定されないが、一般には100nm〜400nmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは、使用する高分子の種類によってフィルター等を介して適宜波長を選択することが好ましい。また、光の照射時間は、一般には数秒から数時間の範囲であるが、使用する高分子により適宜選択することが可能である。
【0064】
更に、光を照射する方法は特に限定されないが、偏光を用いることが均一な液晶配向を得る上で好ましい。この場合、偏光した紫外線を照射する方法は特に限定されない。偏光面を回転させて照射してもよく、また偏光紫外線の入射角を変えて2回以上照射してもよい。また、実質的に偏光が得られればよく、無偏光の紫外線を基板の法線から一定角度傾けて照射してもよい。
【0065】
このようにして偏光した紫外線を照射した2枚の基板を作成した後、膜面を互いに対向させ液晶を狭持することにより液晶分子を配向させることができ、且つその配向は熱的にも安定である。
【0066】
本発明に係る高分子化合物として、更に下記一般式(42a)及び(42b)
【0067】
【化8】

【0068】
(R26は4価の有機基を表し、R26′は3価の有機基を表し、R27は2価または3価の芳香族基または脂環式炭化水素基と結合したアミド基を含有する2価の有機基を表す。)
で示されるポリイミド前駆体及びそれを化学的または熱的にイミド化して得られるポリイミドを他の好適な例として挙げることができる。
【0069】
また、上記一般式(42a)及び(42b)中のR27が下記一般式(43)〜(48)
【0070】
【化9】

【0071】
(X12〜X30はそれぞれ独立に単結合、O、CO2、OCOまたはCH2Oを表し、R28〜R46はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1〜C24のアルキル基、C1〜C24の含フッ素アルキル基、アリル基、プロパルギル基、フェニル基または置換フェニル基を表し、Ra5〜Ra15はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリル基また
はプロパルギル基を表し、Y8及びY9はO、S、SO2、CH2、NH、NHCOまたはC
ONHを表し、m1は1〜4の整数を表す。ただし、R28〜R46が水素原子またはハロゲ
ン原子である場合には、X12〜X30は単結合である。)
で表される基から選ばれるものであることがより好ましい。
【0072】
上記一般式中のR28〜R46のC1〜C24のアルキル基としては、メチル、エチル、プロ
ピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、s−ブチル及びt−ブチル等の低級アルキル基に加え、通常用いられる長鎖アルキル基及びシクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基を含むアルキル基が挙げられる。C1〜C24の含フッ素アルキル基と
しては、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ペルフルオロプロピル、ヘキサフルオロ−i−プロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル及びペルフルオロブチル等の低級含フッ素アルキル基に加え、通常用いられる長鎖含フッ素アルキル基が挙げられる。また、置換フェニル基における置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、含フッ素アルキル基、アルコキシ基、含フッ素アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、含フッ素アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
【0073】
上記一般式中、Ra5〜Ra15で表される基は前記一般式(1)中のR1で表される基と同様である。Ra5〜Ra15で表される基が水素原子以外の基を含む上記ポリイミド前駆体及
びポリイミドは、以下に例示するジアミンモノマー化合物のアミド基のN位にあらかじめ所望の置換基を導入し、得られた化合物をモノマーとして用いて重合反応を行うことにより製造することができる。
【0074】
また、R27の更に好ましい例として、下記式(49)〜(56)
【0075】
【化10】

【0076】
(式(51)中のR47はハロゲン原子、C1〜C24のアルキル基、C1〜C24のアルコキシ基またはC1〜C24のアルコキシカルボニル基を表す。)
で表される基が挙げられる。
【0077】
上記式(51)中のR47のC1〜C24のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピ
ル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、s−ブチル及びt−ブチル等の低級アルキル基に加え、通常用いられる長鎖アルキル基、及びシクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基を含むアルキル基が挙げられる。C1〜C24のアルコキシ基としては
、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、i−プロポキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ及びt−ブトキシ等に加え、長鎖アルコキシ基及びシクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基を含むアルコキシ基が挙げられる。C1〜C24のアルコキ
シカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、i−ブトキシカルボニル、s−ブトキシカルボニル及びt−ブトキシカルボニルに加え、長鎖アルキコキシカルボニル基、及びシクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基を含むアルコキシカ
ルボニル基が挙げられる。
【0078】
上記一般式(42a)中のR26に対応するテトラカルボン酸成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1−(3,4−ジカルボキシシクロヘキシル)コハク酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸及びこれらの2無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族テトラカルボン酸及びこれらの2無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物等が挙げられる。また、これらのテトラカルボン酸及びその誘導体の1種または2種以上を混合して使用することもできる。
【0079】
上記一般式(42b)中のR26′に対応するトリカルボン酸成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、1,2.3−シクロブタントリカルボン酸、1,2,3−シクロペンタントリカルボン酸、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸、2,3,4−テトラヒドロフラントリカルボン酸、2,3,5−テトラヒドロフラントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1−(3−カルボキシシクロヘキシル)コハク酸、1−(4−カルボキシシクロヘキシル)コハク酸、トリメリット酸、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ナフタレントリカルボン酸、1,2,6−ナフタレントリカルボン酸、1,4,8−ナフタレントリカルボン酸、2,3,6−アントラセントリカルボン酸、1,2,5−アントラセントリカルボン酸、4−(3,4−ジカルボキシフェニル)安息香酸、3−(3,4−ジカルボキシフェニル)安息香酸、4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)安息香酸、3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)安息香酸、3,4,4′−ベンゾフェノントリカルボン酸、4−カルボキシフェニル−3′,4′−ジカルボキシフェニルスルホン、4−カルボキシフェニル−3′,4′−ジカルボキシフェニルメタン、及びこれらの無水物並びにこれらのジカルボン酸酸ハロゲン化物、1,2,4−ブタントリカルボン酸等の脂肪族トリカルボン酸及びこれらの酸無水物並びにこれらのジカルボン酸酸ハロゲン化物等が挙げられる。また、これらのトリカルボン酸及びその誘導体の1種または2種以上を混合して使用することもできる。
【0080】
上記一般式(42a)及び(42b)中のR27のジアミン成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,4′−ジアミノベンズアニリド、1,3−ジ[4−アミノベンズアミド]ベンゼン、1,4−ジ[4−アミノベンズアミド]ベンゼン、及び下記式で表されるジアミン成分等が挙げられる。
【0081】
【化11】

【0082】
また、これらのジアミン成分の2種類以上を混合して使用することもできる。
更に液晶配向の安定性の観点から、4,4′−ジアミノベンズアニリド、1,3−ジ[4−アミノベンズアミド]ベンゼン、及び下記式で示されるジアミン成分を含有することが好ましい。
【0083】
【化12】

【0084】
以上のアミド基の両端に2価または3価の芳香族基が直接結合するか、または片端に2価または3価の芳香族基が直接結合しかつもう一方の片端に2価または3価の脂環式炭化水素基が直接結合する構造を含有する繰り返し単位は、液晶の配向安定性の観点から全ポリマー成分の20〜100モル%含むことが好ましく、50〜100モル%が更に好適である。
【0085】
更に、本発明の効果を発現しうる範囲であれば、一般的にポリイミド合成に使用されるジアミン成分を使用することもできる。その具体例を挙げるならば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ジ(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン及びビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン及び1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン等の脂肪族ジアミン、更には、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンまたは、
【0086】
【化13】

【0087】
(式中、mは1〜10の整数を表す。)
等のジアミノシロキサンが挙げられる。
【0088】
また、プレチルト角を高める目的で、4,4′−ジアミノ−3−ドデシルジフェニルエーテル、1−ドデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン等に代表される長鎖アルキル基を有するジアミンを使用することができる。これらのジアミン成分の1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
【0089】
このようなポリイミドの製造方法は特に限定されるものではない。一般にはテトラカルボン酸及びそのその誘導体とジアミンを反応・重合させポリイミド前駆体とした後、これを閉環イミド化するが、この際用いるテトラカルボン酸及びその誘導体としてはテトラカルボン酸二無水物を用いるのが一般的である。テトラカルボン酸二無水物のモル数とジアミンの総モル数との比は0.8から1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1に近いほど生成する重合体の重合度は大きくなる。
【0090】
重合度が小さすぎると配向膜として使用する際にポリイミド膜の強度が不十分で、液晶の配向が不安定になる。また、重合度が大きすぎるとポリイミド膜形成時の作業性が悪くなる場合がある。従って、本反応に係るポリイミド前駆体の数平均分子量は1000〜300000であることが重要であり、より好ましくは3000〜300000であることがポリマーの特性を生かす上で好ましい。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー、浸透圧法、光分散法、粘度法等の公知の方法により測定される。
【0091】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンの反応・重合させる方法は、特に限定されるものではなく、一般的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機極性溶媒中で1級ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させてポリイミド前駆体を合成した後、脱水閉環イミド化する方法がとられる。
【0092】
テトラカルボン酸及びその誘導体とジアミンの反応重合温度は−20〜150℃の任意の温度を採用することができるが、特に−5〜100℃の範囲が好ましい。更に、このポリイミド前駆体を100〜400℃で加熱脱水するか、または通常用いられているトリエチルアミン/無水酢酸等のイミド化触媒を用いて化学的イミド化を行うことにより、イミド化することができる。
【0093】
また、ポリイミド塗膜を形成する際には通常はポリイミド前駆体溶液をそのまま基板に塗布し、基板上で加熱イミド化してポリイミド塗膜を形成することができる。この際に用いられるポリイミド前駆体溶液は、上記重合溶液をそのまま用いてもよく、また、生成したポリイミド前駆体溶液を大過剰の水、メタノールのごとき貧溶媒中に投入し、沈殿回収した後に溶媒に再溶解して用いてもよい。上記ポリイミド前駆体溶液の希釈溶液及び/または沈殿回収したポリイミド前駆体の再溶解溶媒は、ポリイミド前駆体を溶解するものであれば特に限定されない。
【0094】
それらの溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これらは単独でまたは混合して使用してよい。更に、単独では均一溶液が得られない溶媒であっても、均一溶液が得られる範囲でその溶媒を加えて使用してもよい。その例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール等が挙げられる。
【0095】
また、基板上で加熱イミド化させる温度は100〜400℃の任意の温度を採用することができるが、特に150〜350℃の範囲が好ましい。
一方、ポリイミドが溶媒に溶解する場合には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られたポリイミド前駆体溶液を溶液中でイミド化し、ポリイミド溶液とすることができる。
【0096】
このようにして得られたポリイミド溶液はそのまま使用することもでき、また、メタノール、エタノール等の貧溶媒に沈殿させ、単離した後、適当な溶媒に再溶解させて使用することもできる。
【0097】
再溶解させる溶媒は、得られたポリイミドを溶解するものであれば特に限定されないが、その例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチルラクトン等を挙げることができる。
【0098】
その他、単独ではポリイミドを溶解させない溶媒であっても溶解性を損なわない範囲であれば上記溶媒に加えてもかまわない。均一溶液が得られない溶媒であっても、均一溶液が得られる範囲でその溶媒を加えて使用してもよい。その例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール等が挙げられる。
【0099】
この溶液を基板上に塗布し、溶媒を蒸発させることにより基板上にポリイミド被膜を形成させることができる。この際の温度は溶媒が蒸発すれば十分であり、通常は80〜200℃が好ましい。
【0100】
上記のようにして得られた本発明の液晶配向処理剤溶液を、スピンコート、転写印刷法等の方法を用いて基板上に塗布し、これを上記の条件で加熱焼成して高分子薄膜を形成する。この際の高分子薄膜の厚みとしては、特に限定されるものではないが、通常の液晶配向膜として使用される上で10〜3000nmが適当である。
【0101】
次いで、該高分子薄膜表面に、光または電子線が照射される。使用する光の波長としては特に限定されないが、一般には100nm〜400nmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは、使用する高分子の種類によってフィルター等を介して適宜波長を選択することが好ましい。また、光の照射時間は、一般には数秒から数時間の範囲であるが、使用する高分子により適宜選択することが可能である。
【0102】
更に、光を照射する方法は特に限定されないが、偏光を用いることが均一な液晶配向を得る上で好ましい。更に、偏光した紫外線を照射する方法は特に限定されない。偏光面を回転させて照射してもよく、また偏光紫外線の入射角を変えて2回以上照射してもよい。また、実質的に偏光が得られればよく、無偏光の紫外線を基板の法線から一定角度傾けて照射してもよい。
【0103】
このようにして偏光した紫外線を照射した2枚の基板を作成した後、膜面を互いに対向させ液晶を狭持することにより液晶分子を配向させることができ、且つその配向は熱的に
も安定である。
【0104】
本発明に係る高分子化合物として、更に下記一般式(57)
【0105】
【化14】

【0106】
(R48及びR49はそれぞれ独立に下記式(58)〜(69)
【0107】
【化15】

【0108】
で表される基から選ばれ、Ra16及びRa17はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリル基またはプロパギル基を表す。)
で表される繰り返し単位を含むポリウレタンを他の好適な例として挙げることができる。
【0109】
上記一般式中、Ra16及びRa17で表される基は前記一般式(2)中のR1で表される基
と同様である。Ra16及びRa17で表される基が水素原子以外の基を含む上記ポリウレタンは、以下に示す方法で得られるRa16及びRa17で表される基が水素原子であるポリウレタンのウレタン基のN位に既知の高分子反応(モーレイ等、ジャーナル オブ アプライド
ポリマー サイエンス、45巻、1983ページ(1992年)(T.H.Mourey
et.al.,J.Appl.Polym.Sci.,45,1983(1992))、高柳等、ジャーナル オブ ポリマー サイエンス、ポリマー ケミストリー エディション
、19巻、1133ページ(1981年)(M.Takayanagi et.al.,
J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,19,1133(1981))等参照)を利用して所望の置換基を所望の割合で導入することにより得られる。
【0110】
上記一般式(57)中のR48に対応するジイソシアネート成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、5−メチル−1,4−フェニレンジイソシアネート、2,2−ビス(イソシアネートフェニル)プロパン、4,4′−ジイソシアネートビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアネートビフェニル、4,4′−ジイソシアネートジフェニルエーテル、3,4′−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4′−ジイソシアネートジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアネートジフェニルメタン、4,4′−ジイソシアネートジフェニルスルホン、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等を好適な例として挙げられる。また、これらの2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0111】
一方、上記一般式(57)中のR49に対応するジオール成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、レゾルシノール、ハイドロキノン、4−メチルレゾルシノール、5−メチルハイドロキノン、ビスフェノールA、4,4′−ビフェノール、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等を好適な例として挙げられる。また、これらの2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0112】
また、本発明に係る高分子化合物としてのポリウレタンは、ウレタン基の両端に2価または3価の芳香族基が直接結合するか、または上記結合の片端に2価または3価の芳香族基が直接結合しかつもう一方の片端に2価または3価の脂環式炭化水素基が直接結合する構造を含有していればよく、芳香族基または脂環式炭化水素基を有しないジイソシアネート化合物、ジオール化合物でも上記の成分と組み合わせることにより併用することもできる。その具体例をあげるならば、ジイソシアネート化合物として、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等が挙げられ、またこれらの2種以上の混合物を使用することもできる。更に、ジオール化合物としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール等が挙げられる。これらのジオール成分の1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
【0113】
このようなポリウレタンの合成法は特に限定されるものではない。一般にはジイソシアネートとジオールを等モル量仕込み、有機溶媒中で重付加反応を行うことによって得ることができる。これらの重付加反応は触媒の存在下好適に進行するが、ここで用いられる触媒としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジブチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン等を例示することができる。
【0114】
また、この反応は有機溶媒中で行うことが好ましく、使用される溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピ
ロリドン、N−メチルカプラクタム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、ブチルラクトン、クレゾール等を挙げることができる。
【0115】
この重付加反応に於ける反応温度は、通常−20℃から200℃程度の温度範囲が好ましい。
【0116】
以上述べたような製造方法により得られるポリウレタンの数平均分子量は1000以上、300000以下であることが重要であり、より好ましくは3000以上、300000以下であることがポリマーの特性を生かす上で好ましい。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー、浸透圧法、光分散法、粘度法等の公知の方法により測定される。
【0117】
また、ポリウレタン塗膜を形成する際には通常は上記重合溶液をそのまま基板に塗布し、基板上で加熱してポリウレタン塗膜を形成することができる。また、生成したポリウレタン溶液を大過剰の水、メタノールのごとき貧溶媒中に投入し、沈殿回収した後に溶媒に再溶解して用いてもよい。上記ポリウレタン溶液の希釈溶液及び/または沈殿回収したポリウレタンの再溶解溶媒は、ポリウレタンを溶解するものであれば特に限定されない。
【0118】
それらの溶媒の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチルラクトン等を挙げることができる。これらは単独でまたは混合して使用してよい。更に、単独では均一溶液が得られない溶媒であっても、均一溶液が得られる範囲でその溶媒を加えて使用してもよい。その例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール等が挙げられる。
【0119】
この溶液を基板上で塗布、溶媒を蒸発させることにより基板上にポリウレタン被膜を形成させることができる。この際の温度は溶媒が蒸発すれば十分であり、通常は80〜200℃が好ましい。
【0120】
上記のようにして得られた本発明の液晶配向処理剤溶液を、スピンコート、転写印刷法等の方法を用いて基板上に塗布し、これを上記の条件で加熱焼成して高分子薄膜を形成する。この際の高分子薄膜の厚みとしては、特に限定されるものではないが、通常の液晶配向膜として使用される上で10〜3000nmが適当である。
【0121】
次いで、該高分子薄膜表面に光または電子線が照射される。使用する光の波長としては特に限定されないが、一般には100nm〜400nmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは、使用する高分子の種類によってフィルター等を介して適宜波長を選択することが好ましい。また、光の照射時間は、一般には数秒から数時間の範囲であるが、使用する高分子により適宜選択することが可能である。
【0122】
更に、光を照射する方法は特に限定されないが、偏光を用いることが均一な液晶配向を得る上で好ましい。この場合、偏光した紫外線を照射する方法は特に限定されない。偏光面を回転させて照射してもよく、また偏光紫外線の入射角を変えて2回以上照射してもよい。また、実質的に偏光が得られればよく、無偏光の紫外線を基板の法線から一定角度傾けて照射してもよい。
【0123】
このようにして偏光した紫外線を照射した2枚の基板を作成した後、膜面を互いに対向させ液晶を狭持することにより液晶分子を配向させることができ、且つその配向は熱的にも安定である。
【0124】
本発明に係る高分子化合物として、更に下記一般式(70)
【0125】
【化16】

【0126】
(R50及びR51はそれぞれ独立に上記式(58)〜(69)で表される基から選ばれ、Ra18〜Ra21はそれぞれ水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリル基またはプロパルギル基を表す。)
で表される繰り返し単位を含むポリウレアを他の好適な例として挙げることができる。
【0127】
上記一般式中、Ra18〜Ra21で表される基は前記一般式(3)中のR1及びR2で表される基と同様である。Ra18〜Ra21で表される基が水素原子以外の基を含む上記ポリウレアは、以下に示す方法で得られる。Ra18〜Ra21で表される基が水素原子であるポリウレアのウレア基のN位に既知の高分子反応(モーレイ等、ジャーナル オブ アプライド ポリ
マー サイエンス、45巻、1983ページ(1992年)(T.H.Mourey et.al.,J.Appl.Polym.Sci.,45,1983(1992))、高柳等、ジャーナル オブ ポリマー サイエンス、ポリマー ケミストリー エディション、1
9巻、1133ページ(1981年)(M.Takayanagi et.al.,J.
Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,19,1133(1981))等参照)を利用して所望の置換基を所望の割合で導入することにより得られる。
【0128】
上記一般式(70)中のR50に対応するジイソシアネート成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、5−メチル−1,4−フェニレンジイソシアネート、2,2−ビス(イソシアネートフェニル)プロパン、4,4′−ジイソシアネートジフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアネートジフェニル、4,4′−ジイソシアネートジフェニルエーテル、3,4′−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4′−ジイソシアネートジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアネートジフェニルメタン、4,4′−ジイソシアネートジフェニルスルホン、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等を好適な例として挙げられる。また、これらの2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0129】
一方、上記一般式(70)中のR51に対応するジアミン成分を構築するためのモノマー化合物の具体例としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、5−メチル−p−フェニレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4′−ジアミンジフェニル、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4、4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、1,3−シクロヘキサンジアミン等を好適な例として挙げることができる。また、これらの2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0130】
また、本発明に係る高分子化合物としてのポリウレアは、ウレア基の両端に2価または3価の芳香族基が直接結合するか、または上記結合の片端に2価または3価の芳香族基が直接結合しかつもう一方の片端に2価または3価の脂環式炭化水素基が直接結合する構造
を含有していればよく、芳香族基または脂環式炭化水素基を有しないジイソシアネート化合物、ジアミン化合物でも上記の成分と組み合わせることにより併用することもできる。その具体例をあげるならば、ジイソシアネート化合物として、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等が挙げられ、またこれらの2種以上の混合物を使用することもできる。更に、ジアミン化合物としては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン等の脂肪族ジアミン、更には、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等が挙げられる。これらのジアミン成分の1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
【0131】
このようなポリウレアの合成法は特に限定されるものではない。一般にはジイソシアネートとジアミンを等モル量仕込み、有機溶媒中で重付加反応を行うことによって得ることができる。使用される溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプラクタム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、ブチルラクトン、クレゾール等を挙げることができる。
【0132】
この重付加反応に於ける反応温度は、通常−20℃から150℃程度の温度範囲が好ましい。
【0133】
以上述べたような製造方法により得られるポリウレアの数平均分子量は1000〜300000であることが重要であり、より好ましくは3000〜300000であることがポリマーの特性を生かす上で好ましい。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー、浸透圧法、光分散法、粘度法等の公知の方法により測定される。
【0134】
また、ポリウレア塗膜を形成する際には通常は上記重合溶液をそのまま基板に塗布し、基板上で加熱してポリウレア塗膜を形成することができる。また、生成したポリウレア溶液を大過剰の水、メタノールのごとき貧溶媒中に投入し、沈殿回収した後に溶媒に再溶解して用いてもよい。上記ポリウレア溶液の希釈溶液及び/または沈殿回収したポリウレアの再溶解溶媒は、ポリウレアを溶解するものであれば特に限定されない。
【0135】
それらの溶媒の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチルラクトン等を挙げることができる。これらは単独でまたは混合して使用してよい。更に、単独では均一溶液が得られない溶媒であっても、均一溶液が得られる範囲でその溶媒を加えて使用してもよい。その例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール等が挙げられる。
【0136】
この溶液を基板上で塗布、溶媒を蒸発させることにより基板上にポリウレア被膜を形成させることができる。この際の温度は溶媒が蒸発すれば十分であり、通常は80〜200℃が好ましい。
【0137】
上記のようにして得られた本発明の液晶配向処理剤溶液を、スピンコート、転写印刷法等の方法を用いて基板上に塗布し、これを上記の条件で加熱焼成して高分子薄膜を形成する。この際の高分子薄膜の厚みとしては、特に限定されるものではないが、通常の液晶配向膜として使用される上で10〜3000nmが適当である。
【0138】
次いで、該高分子薄膜表面に光または電子線が照射される。使用する光の波長としては特に限定されないが、一般には100nm〜400nmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは、使用する高分子の種類によってフィルター等を介して適宜波長を選択することが好ましい。また、光の照射時間は、一般には数秒から数時間の範囲であるが、使用する高分子により適宜選択することが可能である。
【0139】
更に、光を照射する方法は特に限定されないが、偏光を用いることが均一な液晶配向を得る上で好ましい。この場合、偏光した紫外線を照射する方法は特に限定されない。偏光面を回転させて照射してもよく、また偏光紫外線の入射角を変えて2回以上照射してもよい。また、実質的に偏光が得られればよく、無偏光の紫外線を基板の法線から一定角度傾けて照射してもよい。
【0140】
このようにして偏光した紫外線を照射した2枚の基板を作成した後、膜面を互いに対向させ液晶を狭持することにより液晶分子を配向させることができ、且つその配向は熱的にも安定である。
【実施例】
【0141】
以下に実施例、参考例、及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0142】
実施例1〜3
【化17】

【0143】
窒素気流下、4−(4−アミノフェノキシ)安息香酸(以下APBAと略す)とm−アミノ安息香酸(以下MABAと略す)をそれぞれ所定のモル比になるように混合し、N−メチルピロリドン(以下NMPと略す)及び総モノマーの1,2当量のピリジン(以下Pyと略す)、更に同じく1.2当量の亜リン酸トリフェニル(以下TPPと略す)を加え、100℃に加熱した後、所定の時間攪拌した。実際に用いた上記のモノマー、試薬及び溶媒の量、及び反応時間を以下の表1に示す。得られた反応溶液にNMPを加え総固形分7%になるよう希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行い、上記構造式PA−1〜PA−3で表されるポリアミドをそれぞれ得た。得られたポリアミドの収量、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた数平均分子量及び重量平均分子量を表2に示す。
【0144】
【表1】

【0145】
【表2】

【0146】
実施例4
【化18】

【0147】
窒素気流下、APBA0.92g(4mmol)と4−メチル−m−アミノ安息香酸(以下Me−MABAと略す)0.60g(4mmol)をNMPに4.75mlに溶解し、この溶液にPy0.78ml及びTPP2.52mlを加え、100℃に加熱した後19時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP11.6mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−4で表されるポリアミド1.49gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−4の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.06×104及び1.89×104であった。
【0148】
実施例5
【化19】

【0149】
アルゴンガス雰囲気下、p−アミノ安息香酸(以下PABAと略す)0.20g(1.458mmol)とMABA0.30g(2.188mmol)をNMPに1.31mlに溶解し、この溶液にPy0.31ml及びTPP1.00mlを加え、100℃に加熱した後18時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP4mlで希釈した後、過剰のメタノール50mlにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−5で表されるポリアミド0.412gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−5の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ6.74×103及び1.26×104であった。
【0150】
実施例6
【化20】

【0151】
アルゴンガス雰囲気下、PABA0.27g(2.0mmol)とMe−MABA0.30g(2.0mmol)をNMPに1.33mlに溶解し、この溶液にPy0.39ml及びTPP1.26mlを加え、100℃に加熱した後18時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP4mlで希釈した後、過剰のメタノール50mlにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−6で表されるポリアミド0.480gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−6の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ7.56×103及び2.
52×104であった。
【0152】
実施例7
【化21】

【0153】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.00g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて30分攪拌した。得られた反応溶液をNMP30mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−7で表されるポリアミド3.85gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−7の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.40×104及び2.90×
104であった。
【0154】
実施例8
【化22】

【0155】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)と3,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.00g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて15分攪拌した。得られた反応溶液をNMP30mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−8で表されるポリアミド3.82gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−8の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.32×104及び2.98×
104であった。
【0156】
実施例9
【化23】

【0157】
アルゴンガス雰囲気下、テレフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)と3,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.00g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて1時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP30mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−9で表されるポリアミド3.71gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−9の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.33×104及び2.59×
104であった。
【0158】
実施例10
【化24】

【0159】
窒素気流下、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル1.29g(5.0mmol)とm−フェニレンジアミン0.54g(5.0mmol)をNMP5.55mlに溶解し、この溶液にPy0.97ml及びTPP3.14mlを加え、80℃に加熱した後6時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP14mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−10で表されるポリアミド1.72gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−10の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.32×104及び2.88×104であった。
【0160】
実施例11
【化25】

【0161】
窒素気流下、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル1.29g(5.0mmol)と4−メチル−m−フェニレンジアミン0.61g(5.0mmol)をNMP6.09mlに溶解し、この溶液にPy0.97ml及びTPP3.14mlを加え、100℃に加熱した後17時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP14.5mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−11で表されるポリアミド1.84gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−11の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.24×104及び2.47×104であった。
【0162】
実施例12
【化26】

【0163】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルメタン1.98g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて30分攪拌した。得られた反応溶液をNMP30mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−12で表されるポリアミド3.61gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−12の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ3.81×103及び5.41
×103であった。
【0164】
実施例13
【化27】

【0165】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)と4,4′−ジアミノベンゾフェノン2.12g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて30分攪拌した。得られた反応溶液をNMP32mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−13で表されるポリアミド3.90gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−13の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ3.31×103及び5.55×
103であった。
【0166】
実施例14
【化28】

【0167】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルスルホン2.48g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて3時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP35mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−14で表されるポリアミド4.19gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−14の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ3.98×103及び8.1
8×103であった。
【0168】
実施例15
【化29】

【0169】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド4.06g(20.0mmol)と3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル4.25g(20.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて30分攪拌した。得られた反応溶液をNMP64mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−15で表されるポリアミド7.65gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−15の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ6.67×103及び1.23×104であった。
【0170】
実施例16
【化30】

【0171】
アルゴンガス雰囲気下、テレフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)と2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン4.10g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて1時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP47mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−16で表されるポリアミド5.58gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−16の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ4.42×104及び8.17×104であった。
【0172】
実施例17
【化31】

【0173】
アルゴンガス雰囲気下、テレフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)と4−メチル−m−フェニレンジアミン1.22g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて1時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP25mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−17で表されるポリアミド2.99gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−17の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ9.33×103及び1.74
×104であった。
【0174】
実施例18
【化32】

【0175】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジ(クロロカルボニル)ビフェニル2.79g(10.0mmol)と4−メチル−m−フェニレンジアミン1.22g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて30分攪拌した。得られた反応溶液をNMP30mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−18で表されるポリアミド3.73gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−18の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ5.04×103及び8.61×103であった。
【0176】
実施例19
【化33】

【0177】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジ(クロロカルボニル)ジフェニルエーテル2.95g(10.0mmol)と2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン1.50g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて1時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP35mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−19で表されるポリアミド3.56gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−19の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ9.48×103及び1.55×104であった。
【0178】
参考例1
【化34】

【0179】
ジメチル5−ヒドロキシイソフタル酸2.400g(11.42mmol)、3−ブロモプロペン1.4g(11.6mmol)および炭酸カリウム1.6g(11.6mmol)をアセトン40mLに分散し、還流温度で15時間撹拌した。室温まで冷却後、ジエチルエーテル150mLを加えて不溶の塩を炉別した。炉液を濃縮しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジエチルエーテル/ヘキサン=1/2)で精製したところ、上記構造式1で表されるジメチル5−アリロキシイソフタル酸2.612gを無色固体粉末として得た(収率:94.1%)。
【0180】
IR(KBr,cm-1):2955(w),1736(s),1595(w),1458(w),1437(w),1341,1318(w),1252(s),1115(w),1044,1011(w),928(w),876(w),756.
1H−NMR δ(250MHz,CDCl3,ppm):3.94(6H,s),4.6
(2H,dt),5.4(2H,m),6.0(1H,m),7.77(2H,s),8.3(1H,s).
【0181】
上記の反応で得られたジメチル5−アリロキシイソフタル酸1.109g(4.432mmol)をメタノール50mLに溶解し、ここへ水酸化バリウム(8水和物)2.8g(8.9mmol)を加えて2.5日室温で撹拌した。1N塩酸を加えて酸性化した後、メタノールを留去した。析出物を濾別後水洗し乾燥したところ、上記構造式2で表される
5−アリロキシイソフタル酸0.924gを無色粉末として得た。(収率:93.8%)
【0182】
IR(KBr,cm-1):3100−2500(br),1692(s),1592,1462,1420,1316,1277(s),1127(w),1038,939,912,762,694.
1H−NMR δ(500MHz,Acetone−d6,ppm):4.744(2H,
dt,J=1.5,5.1Hz),5.299(1H,dd,J=1.5,10.6Hz),5.474(1H,dd,J=1.7,17.3Hz),6.12(1H,m),7.787(2H,d,J=1.4Hz),8.285(1H,t),11.5(1H,bs).
元素分析結果:(分子式:C11105、分子量:222.20)
計算値(%);C:59.46,H:4.54.
実測値(%);C:59.53,H:4.51.
【0183】
実施例20
【化35】

【0184】
窒素気流下、参考例1で得られた5−アリロキシイソフタル酸0.44g(2.0mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル0.40g(2.0mmol)をNMP2.84mlに溶解し、この溶液にPy0.39ml及びTPP1.26mlを加え、100℃に加熱した後6時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP6.4mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−20で表されるポリアミド0.80gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−20の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ5.99×103及び1.33×104であった。
【0185】
実施例21
【化36】

【0186】
窒素気流下、参考例1で得られた5−アリロキシイソフタル酸0.44g(2.0mmol)とm−フェニレンジアミン0.22g(2.0mmol)をNMP1.82mlに溶解し、この溶液にPy0.39ml及びTPP1.26mlを加え、100℃に加熱した後6時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP5.0mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−21で表されるポリアミド0.64gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−21の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ8.20×103及び1.42×104であった。
【0187】
実施例22
【化37】

【0188】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)と3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン2.26g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて4時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP32mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−22で表されるポリアミド3.90gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−22の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.76×104及び6.71×104であった。
【0189】
実施例23
【化38】

【0190】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジ(クロロカルボニル)ジフェニルエーテル2.95g(10.0mmol)と3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン2.26g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて4時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP39mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−23で表されるポリアミド4.95gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−23の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.58×104及び4.01×104であった。
【0191】
実施例24
【化39】

【0192】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド2.03g(10.0mmol)、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン1.13g(5.0mmol)及び4,4′−ジアミノジフェニルエーテル1.00g(5.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて4時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP31mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−24で表されるポリアミド3.91gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−24の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.72×104及び4
.39×104であった。
【0193】
参考例2
【化40】

【0194】
2−アミノ−4−ニトロトルエン5.16g(3.9mmol)をNMP10mLに溶解し、氷浴にて冷却した。ここへ4,4′−ジ(クロロカルボニル)ジフェニルエーテル5.00g(16.9mmol)のNMP20mL溶液を20分かけて滴下し、更に室温に戻しながら1時間半撹拌した。この溶液を氷水500mLに投入し、生じた沈殿を回収し、充分に水洗した。この沈殿をNMP20mLとエタノール100mLの混合溶媒中に分散させ80℃で加熱洗浄して濾別したところ、上記構造式3で表される4,4′−ジ[N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)カルボニルアミノ]ジフェニルエーテル7.38gを白色粉末として得た(収率:82.7%)。
【0195】
IR(KBr,cm-1):3274,1655(s),1595,1524(s),1499,1476(w),1350(s),1321,1252(s),1170(w),1076(w),1013(w),885(w),822(w),739(w),658(w).
1H−NMR δ(500MHz,DMSO−d6,ppm):2.51(6H,s),7
.24(4H,d,J=8.7Hz),7.58(2H,d,J=8.5Hz),8.04(2H,dd,J=2.4,8.4Hz),8.10(4H,d,J=8.7Hz),8.35(2H,d,J=2.3Hz),10.15(2H,s).
元素分析結果:(分子式:C282247、分子量:526.50)
計算値(%);C:63.87,H:4.22,N:10.64.
実測値(%);C:63.83,H:4.15,N:10.56.
【0196】
上記の反応で得られた4,4′−ジ[N−(2−メチル−5−ニトロフェニル)カルボニルアミノ]ジフェニルエーテル3.00g(5.70mmol)をエタノール50mLおよびNMP80mLの混合溶媒に溶解し、そこへ5%Pd−カーボン粉末0.240gを分散させた。−78℃で充分に減圧脱気した後、系内を水素ガスで置換し温度を室温まで上げて6時間撹拌した。セライトを用いて触媒を除去した後、減圧下溶液を留去して生じた沈殿をエタノール50mLに分散させ80℃で加熱洗浄して濾別したところ、上記構造式(I)で表される4,4′−ジ[N−(2−メチル−5−アミノフェニル)カルボニルアミノ]ジフェニルエーテル2.50gを白色粉末として得た(収率:94.0%)。
【0197】
IR(KBr,cm-1):3427,3345,3275(br),1655(s),1601,1586,1543(s),1505(s),1493,1454,1327(w),1281,1258(s),1169,1107(w),1011(w),897(w),856(w),843,681.
1H−NMR δ(500MHz,DMSO−d6,ppm):2.06(6H,s),4
.90(4H,s),6.40(2H,dd,J=2.2,8.1Hz),6.60(2H,d,J=2.1Hz),6.88(2H,d,J=8.1Hz),7.17(4H,d,J=8.7Hz),8.03(4H,d,J=8.7Hz),9.63(2H,s).
元素分析結果:(分子式:C282643、分子量:466.53)
計算値(%);C:69.68,H:6.28,N:17.41.
実測値(%);C:69.90,H:6.40,N:17.14.
【0198】
実施例25
【化41】

【0199】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド1.02g(5.0mmol)と参考例2で得られた化合物(I)で表される4,4′−ジ[N−(2−メチル−5−アミノフェニル)カルボニルアミノ]ジフェニルエーテル2.33g(5.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて4時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP25.0mlを加えて希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−25で表されるポリアミド3.15gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−25の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.61×104及び3.05×104であった。
【0200】
参考例3
【化42】

【0201】
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル5.00g(25.0mmol)をNMP30mLに溶解し、氷浴にて冷却した。ここへ4−ニトロ安息香酸クロリド9.78g(52.7mmol)のNMP30mL溶液を1時間かけて滴下し、更に室温に戻しながら2時間撹拌した。この溶液を氷水500mLに投入し、生じた沈殿を回収、充分に水洗した。この沈殿を酢酸エチル/THF混合溶媒で再結晶精製したところ、上記構造式4で表される4,4′−ジ(4−ニトロベンズアミド)ジフェニルエーテル11.63gを白色粉末として得た(収率:93.4%)。
【0202】
IR(KBr,cm-1):3360,2924,1649(s),1603(s),1539(s),1507(s),1408(w),1350,1327,1253,1225,1096(w),1015(w),870,853,826,698(w).
1H−NMR δ(500MHz,DMSO−d6,ppm):7.06(4H,d,J=
8.9Hz),7.80(4H,d,J=8.9),8.19(4H,d,J=8.8Hz),8.38(4H,d,J=8.8Hz),10.61(2H,s).
元素分析結果:(分子式:C261847、分子量:498.45)
計算値(%);C:62.65,H:3.65,N:12.84.
実測値(%);C:62.60,H:3.54,N:12.19.
【0203】
上記の反応で得られた4,4′−ジ(4−ニトロベンズアミド)ジフェニルエーテル3.50g(7.02mmol)をエタノール100mLおよびTHF300mLの混合溶媒に溶解し、そこへ5%Pd−カーボン粉末0.38gを分散させた。−78℃で充分に減圧脱気した後、系内を水素ガスで置換し温度を室温まで上げて18時間撹拌した。セライトを用いて触媒を除去した後、減圧下溶液を留去して生じた沈殿をエタノール/THF混合溶媒で再結晶精製したところ、上記構造式(II)で表される4,4′−ジ(4−アミノベンズアミド)ジフェニルエーテル2.98gを白色粉末として得た(収率:96.8%)。
【0204】
IR(KBr,cm-1):3440,3347,3288(br),3210,1609(s),1570(w),1501(s),1406,1310,1269,1223(s),1182,876(w),841,766(w),689(w).
1H−NMR δ(500MHz,DMSO−d6,ppm):5.73(4H,s),6
.59(4H,d,J=8.6Hz),6.96(4H,d,J=9.0Hz),7.72(8H,m),9.76(2H,s).
元素分析結果:(分子式:C262243、分子量:438.48)
計算値(%);C:71.21,H:5.07,N:14.60.
実測値(%);C:71.01,H:5.24,N:14.33.
【0205】
実施例26
【化43】

【0206】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド1.02g(5.0mmol)と参考例3で得られた化合物(II)で表される4,4′−ジ(4−アミノベンズアミド)ジフェニルエーテル2.19g(5.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて4時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP24.0mlを加えて希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−26で表されるポリアミド2.92gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−26の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.91×104及び4.08×104であっ
た。
【0207】
実施例27
【化44】

【0208】
窒素気流下、1,3−ジカルボキシシクロヘキサン1.72g(10.0mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.00g(10.0mmol)をNMP24.67mlに溶解し、この溶液にPy3.56ml及びTPP7.45mlを加え、80℃に加熱した後6時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP28mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−27で表されるポリアミド3.15gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−27の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ4.45×104及び8.23×104であった。
【0209】
実施例28
【化45】

【0210】
窒素気流下、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン1.72g(10.0mmol)と3,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.00g(10.0mmol)をNMP24.67mlに溶解し、この溶液にPy3.56ml及びTPP7.45mlを加え、80℃に加熱した後6時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP28mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−28で表されるポリアミド3.05gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−28の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ2.14×104及び4.35×104であった。
【0211】
実施例29
【化46】

【0212】
窒素気流下、1,3−ジカルボキシシクロヘキサン0.86g(5.0mmol)、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン0.86(5.0mmol)及び4,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.00g(10.0mmol)をNMP24.67mlに溶解し、この溶液にPy3.56ml及びTPP7.45mlを加え、80℃に加熱した後6時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP28mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−29で表されるポリアミド2.98gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−29の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ3.76×104及び5.96×104であった。
【0213】
実施例30
【化47】

【0214】
窒素気流下、1,3−ジカルボキシシクロヘキサン0.86g(5.0mmol)、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン0.86(5.0mmol)及び3,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.00g(10.0mmol)をNMP24.67mlに溶解し、この溶液にPy3.56ml及びTPP7.45mlを加え、80℃に加熱した後6時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP28mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−30で表されるポリアミド2.79gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−30の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.87×104及び4.64×104であった。
【0215】
実施例31
アルゴンガス雰囲気下、実施例1で得られたPA−1、0.30gをジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す)6mlに溶解し、この溶液に1N−水酸化カリウムメタノール溶液2mlを加え、室温で1時間撹拌した。その後ヨードメタン0.4mlを加え更に室温で30分攪拌した。得られた反応溶液を過剰のメタノールにあけ析出した高分子を濾過し乾燥したところ、ポリマー0.27gを得た。得られたポリマーの1H−NMRスペ
クトルを測定したところ、PA−1で表される構造中のアミド基のN位のうち31モル%がメチル基に置換されたポリアミド(以下PA−31と称する)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−31の数平均分子量及び重量平均分子量はそ
れぞれ1.43×104及び2.96×104であった。
【0216】
実施例32
アルゴンガス雰囲気下、実施例6で得られたPA−6、0.80gをDMSO13mlに溶解し、この溶液に1N−水酸化カリウムメタノール溶液7mlを加え、室温で1時間撹拌した。その後ヨードメタン1.2mlを加え更に室温で30分攪拌した。得られた反応溶液を過剰のメタノールにあけ析出した高分子を濾過し乾燥したところ、ポリマー0.88gを得た。得られたポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、PA−6
で表される構造中のアミド基のN位のうち24モル%がメチル基に置換されたポリアミド(以下PA−32と称する)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−32の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ5.63×103及び8.4
7×103であった。
【0217】
実施例33
アルゴンガス雰囲気下、水素化ナトリウム(油性、60%)110mg(2.75mmol)をDMSO20ml中に分散させ、70℃で1時間撹拌し淡黄色の均一溶液を得た。室温に冷却した後、この溶液に実施例6で得られたポリアミドPA−6、0.86gを加えて溶解させ、更に室温にて4時間撹拌した。次に、ヨードメタン0.5ml(8.03mmol)を加え、室温にて更に15時間撹拌し、この溶液を過剰のメタノールにあけ析出した高分子を濾過し乾燥したところ、ポリマー0.69gを得た。得られたポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、PA−6で表される構造中のアミド基のN
位のうち37モル%がメチル基に置換されたポリアミド(以下、PA−33と称する)であった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−33の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ6.21×103及び9.34×103であった。
【0218】
参考例4
【化48】

【0219】
2−アミノトルエン4.788g(44.68mmol)をNMP14mLに溶解し、氷浴にて冷却した。ここへ3,5−ジニトロ安息香酸クロリド10.396g(45.10mmol)のNMP30mL溶液を20分かけて滴下し、更に室温に戻しながら1時間撹拌した。この溶液を水500mLに投入し、生じた沈殿を回収、充分に水洗した。クロロホルム/THF混合溶媒で再結晶精製したところ、上記構造式5で表される3,5−ジニトロ−2′−メチルベンズアニリド10.20gを黄色針状結晶として得た(収率:75.8%)。
【0220】
IR(KBr,cm-1):3256,3104,1649(s),1586(w),1537(s),1491(w),1456,1343(s),1312,1275,1165(w),1076,914,762,729,706.
1H−NMR δ(500MHz,DMSO−d6,ppm):2.26(3H,s),7
.25(2H,m),7.34(2H,m),9.02(1H,t,J=2.0Hz),9.17(2H,d,J=1.9Hz),10.61(1H,s).
元素分析結果:(分子式:C141135、分子量:301.25)
計算値(%);C:55.81,H:3.69,N:13.94.
実測値(%);C:55.94,H:3.53,N:13.83.
【0221】
上記の反応で得られた3,5−ジニトロ−2′−メチルベンズアニリド7.00g(23.3mmol)をエタノール200mLおよびTHF150mLの混合溶媒に溶解し、そこへ5%Pd−カーボン粉末0.938gを分散させた。−78℃で充分に減圧脱気した後、系内を水素ガスで置換し温度を室温まで上げて17時間撹拌した。セライトを用いて触媒を除去した後、溶液を濃縮して析出した沈殿を酢酸エチル中に分散させて洗浄し濾別したところ、上記構造式(III)で表される3,5−ジアミノ−2′−メチルベンズアニリド5.52gを白色粉末として得た(収率:98.4%)。
【0222】
IR(KBr,cm-1):3455,3401,3328(s),3237(br),2924(s),2855,1634(s),1593(s),1512(s),1491(s),1368,1273,1198,1117(w),992(w),839,758,683,610.
1H−NMR δ(500MHz,DMSO−d6,ppm):2.21(3H,s),4
.91(2H,s),5.99(1H,t,J=1.9Hz),6.33(2H,d,J=1.9Hz),7.11 (1H,m),7.18(1H,m),7.23(1H,d
,J=7.4Hz),7.32(1H,d,J=7.3Hz),9.40(1H,s).元素分析結果:(分子式:C14153O、分子量:241.29)
計算値(%);C:69.68,H:6.28,N:17.41.
実測値(%);C:69.69,H:6.41,N:16.99.
【0223】
実施例34
【化49】

【0224】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド1.02g(5.0mmol)と参考例4で得られた化合物(III)で表される3,5−ジアミノ−2′−メチルベンズアニリド1.20g(5.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて4時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP17mlを加えて希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−34で表されるポリアミド2.11gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−34の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ2.43×104及び4.45×104であった。
【0225】
実施例35
【化50】

【0226】
アルゴンガス雰囲気下、テレフタル酸ジクロライド1.02g(5.0mmol)と参考例4で得られた化合物(III)で表される3,5−ジアミノ−2′−メチルベンズアニリド1.20g(5.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて1時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP17mlを加えて希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−35で表されるポリアミド2.15gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−35の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.57×104及び3.63×104であった。
【0227】
実施例36
【化51】

【0228】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジ(クロロカルボニル)ジフェニルエーテル1.48g(5.0mmol)と参考例4で得られた化合物(III)で表される3,5−ジアミノ−2′−メチルベンズアニリド1.20g(5.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて1時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP19mlを加えて希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−36で表されるポリアミド2.63gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−36の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ2.24×104及び4.28
×104であった。
【0229】
参考例5
【化52】

【0230】
2−アミノトルエン1.743g(16.10mmol)をNMP6mLに溶解し、氷浴にて冷却した。ここへ4−ニトロ安息香酸クロリド3.019g(16.27mmol)のNMP10mL溶液を5分かけて滴下し、更に室温に戻しながら30分間撹拌した。この溶液を水500mLに投入し、生じた沈殿を回収、充分に水洗した。乾燥後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製し、更にクロロホルム/ヘキサン混合溶媒で再結晶精製したところ、上記構造式6で表される4−ニトロ−2′−メチルベンズアニリド3.604gを淡黄色針状結晶として得た(収率:87.4%)。
【0231】
IR(KBr,cm-1):3304,1649,1603(w),1586(w),1520(s),1454,1343,1308,1109(w),856(w),841(w),758,710(w).
1H−NMR δ(250MHz,CDCl3,ppm):2.35(3H,s),7.1
8(1H,m),7.29(2H,m),7.7(1H,bs),7.9(1H,bd),8.05(2H,d),8.36(2H,d).
【0232】
上記の反応で得られた4−ニトロ−2′−メチルベンズアニリド3.00g(11.7mmol)をエタノール20mLおよびTHF20mLの混合溶媒に溶解し、そこへ5%Pd−カーボン粉末0.25gを分散させた。−78℃で充分に減圧脱気した後、系内を水素ガスで置換し温度を室温まで上げて18時間撹拌した。セライトを用いて触媒を除去した後、溶液を濃縮したところ、上記構造式7で表される4−アミノ−2′−メチルベンズアニリド2.51gを淡褐色固体として得た(収率:95.5%)。
【0233】
IR(KBr,cm-1):3476(w),3349,3289(w),1624(s),1603,1568(w),1526(w),1501(s),1453(w),1292,1271,1182,843(w),747,588(w).
1H−NMR δ(250MHz,CDCl3,ppm):2.33(3H,s),4.0
3(2H,bs),6.71 (2H,d),7.1(1H,m),7.2(2H,m)
,7.6(1H,bs),7.72(2H,d),7.95(1H,d).
【0234】
上記の反応で得られた4−アミノ−2′−メチルベンズアニリド4.76g(21.0mmol)をNMP20mLに溶解し、氷浴にて冷却した。ここへ3,5−ジニトロ安息香酸クロリド4.86g(21.1mmol)のNMP10mL溶液を滴下した。室温に
戻しながら30分間撹拌した後、氷水800mLに溶液を投入した。沈殿物を濾取し水洗した後、重曹水600mLに分散した。再び沈殿を濾取し充分に水洗した。この沈殿をNMP50mLとエタノール150mLの混合溶媒中に分散させ80℃で加熱洗浄して濾別したところ、上記構造式8で表される3,5−ジニトロ−4′−[N−(2−メチルフェニル)カルバモイル]ベンズアニリド7.30gを白色粉末として得た(収率:82.3%)。
【0235】
IR(KBr,cm-1):3461,3308,3090(w),1684,1651(s),1597,1535(s),1454,1400(w),1345,1319,1273,1190(w),916(w),858(w),764,731,588(w).
1H−NMR δ(500MHz,DMSO−d6,ppm):2.26(3H,s),7
.12(1H,m),7.22(1H,m),7.28(1H,d,J=7.3Hz),7.36(1H,d,J=7.3Hz),7.95(2H,d,J=8.7Hz),8.05(2H,d,J=8.7Hz),9.04(1H,t,J=2.1Hz),9.21(2H,d,J=2.0Hz),9.84(1H,s),11.07(1H,s).
元素分析結果:(分子式:C211646、分子量:420.38)
計算値(%);C:59.99,H:3.84,N:13.32.
実測値(%);C:59.85,H:3.73,N:13.27.
【0236】
上記の反応で得られた3,5−ジニトロ−4′−[N−(2−メチルフェニル)カルバモイル]ベンズアニリド5.00g(11.9mmol)をエタノール100mLおよびNMP200mLの混合溶媒に溶解し、そこへ5%Pd−カーボン粉末0.500gを分散させた。−78℃で充分に減圧脱気した後、系内を水素ガスで置換し温度を室温まで上げて6時間撹拌した。セライトを用いて触媒を除去した後、減圧下溶液を留去して生じた沈殿を酢酸エチル50mLとエタノール150mLの混合溶媒中に分散させて洗浄し濾別したところ、上記構造式(IV)で表される3,5−ジアミノ−4′−[N−(2−メチルフェニル)カルバモイル]ベンズアニリド4.03gを白色粉末として得た(収率:94.0%)。
【0237】
IR(KBr,cm-1):3410,3324(br),3218,1645(s),1591(s),1518(s),1460,1402,1362,1318,1252,1192(w),853,750,689(w).
1H−NMR δ(500MHz,DMSO−d6,ppm):2.24(3H,s),4
.95(4H,s),6.02(1H,t,J=1.9Hz),6.32(2H,d,J=1.9Hz),7.15(1H,m),7.21(1H,m),7.26(1H,d,J=7.2Hz),7.34(1H,d,J=7.3Hz),7.89(2H,d,J=8.8Hz),7.95(2H,d,J=8.8Hz),9.72(1H,s),10.19(1H,s).
元素分析結果:(分子式:C212042、分子量:360.41)
計算値(%);C:69.98,H:5.59,N:15.54.
実測値(%);C:69.47,H:5.66,N:15.36.
【0238】
実施例37
【化53】

【0239】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド1.02g(5.0mmol)と参考例5で得られた化合物(IV)で表される3,5−ジアミノ−4′−[N−(2−メチルフェニル)カルバモイル]ベンズアニリド1.80g(5.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて後4時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP21.0mlを加えて希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−37で表されるポリアミド1.24gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−37の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ5.44×103及び9.69×103であった。
【0240】
実施例38
【化54】

【0241】
アルゴンガス雰囲気下、トリメシン酸1.05g(5.0mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル1.00g(5.0mmol)をNMP50mlに溶解し、この溶液にPy6.0ml及びTPP8.0mlを加え、80℃に加熱した後4時間攪拌した。この操作により上記構造式で表されるポリアミド(*)(構造式は便宜上(*)のように表記したが、実際には多分岐構造を有している)が得られる。次いで、反応溶液にアニリン0.5gを加え、更に80℃で13時間攪拌した。得られた反応溶液を過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−38(構造式は便宜上このように表記したが、実際には多分岐構造を有している)で表される多分岐型ポリアミド2.15gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−38の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.94×104及び1.96×105であった。
【0242】
実施例39
【化55】

【0243】
実施例38と同様な手法で得られた分岐状ポリアミド(*)の反応溶液にo−トリジン0.6gを加え、80℃で14時間攪拌した。得られた反応溶液を過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−39(構造式は便宜上このように表記したが、実際には分岐状構造を有している)で表される多分岐型ポリアミド2.07gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−39の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.51×104及び1.02×105であった。
【0244】
実施例40
【化56】

【0245】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジ(クロロカルボニル)ジフェニルエーテル2.95g(10.0mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルメタン1.98g(10.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて4時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP37mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−41で表されるポリアミド4.68gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−41の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.62×104及び3.77×104であった。
【0246】
参考例6
【化57】

【0247】
4−アセトキシ安息香酸3.000g(16.65mmol)および塩化チオニル5mLを混合し、DMF1滴を加えて50℃で2時間撹拌した。減圧下塩化チオニルを溜去した後、氷冷下NMP5mLを加えた。2−アミノトルエン1.784g(16.65mmol)を加えて氷冷のまま10分間撹拌した後、溶液を400mLの氷水に投入した。生じた沈殿を充分水洗したところ、上記構造式9で表される4−アセトキシ−2′−メチルベンズアニリド3.634gを無色固体として得た(収率:81.04%)。
【0248】
IR(KBr,cm-1):3285,1759,1649(s),1603(w),1586(w),1524,1505,1456,1370(w),1314,1202(s),1169,1019(w),914(w),750(w),685(w).
1H−NMR δ(250 MHz,CDCl3,ppm):2.36(3H,s),2.37(3H,s),7.15(1H,m),7.2−7.3(4H,m),7.63(1H,bs),7.93−7.96(3H,m).
【0249】
上記の反応で得られた4−アセトキシ−2′−メチルベンズアニリド3.625g(13.46mmol)をアセトン30mLおよびメタノール10mLの混合溶媒に溶解し0℃に冷却した。ここへナトリウムメトキシドのメタノール溶液(1mol/l)15mLを滴下した。1N塩酸で弱酸性化した後、溶媒を溜去した。析出物を充分に水洗後、乾燥したところ、上記構造式10で表される4−ヒドロキシ−2′−メチルベンズアニリド1.592gを無色固体として得た(収率:52.04%)。
【0250】
IR(KBr,cm-1):3264(bs),1620(s),1599(s),1576,1537,1505,1441,1377(w),1312,1273(s),1229,1173,1111(w),847(w),750,588(w).
1H−NMR δ(250 MHz,CDCl3,ppm):2.35(3H,s),6.96(2H,d,J=8.8Hz),7.1−7.3(3H,m),7.6(1H,d),
7.95(2H,d,J=8.8Hz),8.83(1H,bs),8.95(1H,s).
【0251】
上記の反応で得られた4−ヒドロキシ−2′−メチルベンズアニリド0.990g(4.356mmol)および2,4−ジニトロフルオロベンゼン0.811g(4.358mmol)をアセトン20mLに溶解した。ここへ炭酸カリウム0.6g(4.3mmol)を加えて、還流温度で1時間撹拌した。反応溶液をろ過し、濾物を充分にアセトンで洗浄した。濾液を濃縮しカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製したところ、上記構造式11で表される4−(2,4−ジニトロフェノキシ)−2′−メチルベンズアニリド1.553gを淡黄色固体として得た(収率:90.63%)。
【0252】
IR(KBr,cm-1):3281(w),3086(s),1649(s),1603,1526(s),1458(w),1372,1356,1318(w),1281,1198(w),909(w),866(w),837(w),743(w),503(w).
1H−NMR δ(250 MHz,Acetone−d6,ppm):2.37(3H,s),7.13−7.32(3H,m),7.4−7.5(3H,m),7.60(1H,d,J=7.5Hz),8.22(2H,d,J=8.8Hz),8.58(1H,dd,J=2.8,9.0Hz),8.94(1H,d,J=2.8Hz),9.16(1H,bs).
【0253】
4−(2,4−ジニトロフェノキシ)−2′−メチルベンズアニリド1.55g(3.90mmol)をTHF70mLおよびエタノール30mLの混合溶媒に溶解し、ここへ5%Pd−カーボン粉末0.166gを加えた。−78℃で充分に減圧脱気した後、系内を水素ガスで置換し温度を室温まで上げて15時間撹拌した。セライトを用いて触媒を除去した後、溶液を濃縮したところ、上記構造式(V)で表される4−(2,4−ジアミノフェノキシ)−2′−メチルベンズアニリド1.26gを淡褐色固体として得た(収率:96.7%)。
【0254】
IR(KBr,cm-1):3349(br),2955(w),1626(s),1605(s),1499(s),1456,1314(w),1231(s),1167,851,754,596(w).
1H−NMR δ(250 MHz,CDCl3,ppm):2.14(3H,s),4.52(2H,bs),4.68(2H,bs),5.78(1H,dd,J=2.5,8.4Hz),5.99(1H,d,J=2.5Hz),6.50(1H,d,J=8.4Hz),6.84(2H,d,J=8.8Hz),7.05−7.26(4H,m),7.86(2H,d,J=8.8Hz),9.64(1H,s).
EI−MS(m/z):333(M+),227(M−toluylamino)+,199(M−CONHC77+,123(2,4−Diaminophenoxyl)+,106(toluylanilino)+
元素分析結果:(分子式:C201932、分子量:333.39)
計算値(%);C:72.05,H:5.74,N:12.60.
実測値(%);C:71.78,H:6.14,N:11.62.
【0255】
実施例41
【化58】

【0256】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジ(クロロカルボニル)ジフェニルエーテル1.48g(5.0mmol)と参考例6で得られた化合物(V)で表される4−(2,4−ジアミノフェノキシ)−2′−メチルベンズアニリド1.67g(5.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて1時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP24mlを加えて希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ上記構造式PA−41で表されるポリアミド2.84gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−41の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.02×104及び1.92×104であった。
【0257】
実施例42
アルゴンガス雰囲気下、水素化ナトリウム(油性、60%)36.3mg(0.91mmol)をDMSO12ml中に分散させ、70℃で1時間撹拌し淡黄色の均一溶液を得た。室温に冷却した後、この溶液に実施例1で得られたポリアミドPA−1、0.60gを加えて溶解させ更に室温にて4時間撹拌した。次に、ヨードエタン0.52g(3.33mmol)を加え室温にて更に2時間撹拌し、この溶液を過剰のメタノールにあけ析出した高分子を濾過し乾燥したところ、ポリマー0.57gを得た。得られたポリマーの1
H−NMRスペクトルを測定したところ、PA−1で表される構造中のアミド基のN位のうち27モル%がエチル基に置換されたポリアミド(以下、PA−42と称する)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−42の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.36×104及び2.66×104であった。
【0258】
実施例43
アルゴンガス雰囲気下、水素化ナトリウム(油性、60%)48.4mg(1.21mmol)をDMSO10ml中に分散させ、70℃で1時間撹拌し淡黄色の均一溶液を得た。室温に冷却した後、この溶液に実施例1で得られたポリアミドPA−1、0.50gを加えて溶解させ更に室温にて4時間撹拌した。次に、2−ヨードプロパン0.57g(3.35mmol)を加え50℃にて更に4時間撹拌し、この溶液を過剰のメタノールにあけ析出した高分子を濾過し乾燥したところ、ポリマー0.53gを得た。得られたポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、PA−1で表される構造中のアミド基
のN位のうち7.8モル%がイソプロピル基に置換されたポリアミド(以下、PA−43と称する)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−43の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.45×104及び3.04×104であった。
【0259】
実施例44
アルゴンガス雰囲気下、水素化ナトリウム(油性、60%)36.3mg(0.91mmol)をDMSO12ml中に分散させ、70℃で1時間撹拌し淡黄色の均一溶液を得た。室温に冷却した後、この溶液に実施例1で得られたポリアミドPA−1、0.60gを加えて溶解させ更に室温にて4時間撹拌した。次に、アリルブロミド0.44g(3.63mmol)を加え室温にて更に2時間撹拌し、この溶液を過剰のメタノールにあけ析出した高分子を濾過し乾燥したところ、ポリマー0.58gを得た。得られたポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、PA−1で表される構造中のアミド基のN位
のうち23モル%がアリル基に置換されたポリアミド(以下、PA−44と称する)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−44の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.66×104及び3.40×104であった。
【0260】
実施例45
アルゴンガス雰囲気下、水素化ナトリウム(油性、60%)36.3mg(0.91mmol)をDMSO12ml中に分散させ、70℃で1時間撹拌し淡黄色の均一溶液を得た。室温に冷却した後、この溶液に実施例1で得られたポリアミドPA−1、0.60gを加えて溶解させ更に室温にて4時間撹拌した。次に、ベンジルブロミド0.62g(3.63mmol)を加え室温にて更に2時間撹拌し、この溶液を過剰のメタノールにあけ析出した高分子を濾過し乾燥したところ、ポリマー0.64gを得た。得られたポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、PA−1で表される構造中のアミド基のN
位のうち23モル%がベンジル基に置換されたポリアミド(以下、PA−45と称する)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−45の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.60×104及び3.26×104であった。
【0261】
実施例46
【化59】

【0262】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジ(クロロカルボニル)ジフェニルエーテル1.48g(5.0mmol)と3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン1.57g(5.0mmol)をそれぞれ1.0mol/lの濃度となるようにNMPに溶解し、−78℃の温度で混合し凍結させた。次に、室温までゆっくりと加温して溶液を融解させ、室温にて4時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP38mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−46で表されるポリアミド2.68gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−46の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.43×104及び2.49×104であった。
【0263】
実施例47
アルゴンガス雰囲気下、水素化ナトリウム(油性、60%)36.3mg(0.91mmol)をDMSO12ml中に分散させ、70℃で1時間撹拌し淡黄色の均一溶液を得
た。室温に冷却した後、この溶液に実施例1で得られたポリアミドPA−1、0.60gを加えて溶解させ更に室温にて4時間撹拌した。次に、1−ヨードヘキサデカン1.28g(3.63mmol)を加え室温にて更に4時間撹拌し、この溶液を過剰のメタノール/ヘキサン混合溶媒にあけ析出した高分子を濾過し乾燥したところ、ポリマー0.59gを得た。得られたポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、PA−1で表さ
れる構造中のアミド基のN位のうち19モル%がヘキサデシル基に置換されたポリアミド(以下、PA−47と称する)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−47の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.59×104及び3.
36×104であった。
【0264】
実施例48
【化60】

【0265】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル1.37g(5.31mmol)、1−オクタドデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン0.40(1.06mmol)及び4−メチル−m−フェニレンジアミン0.52g(4.25mmol)をNMP6.00mlに溶解し、この溶液にPy1.30ml及びTPP4.20mlを加え、100℃に加熱した後17時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP10mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−48で表されるポリアミド2.04gを得た。PA−48の1H−NMRスペクトルを測定したところ、x/y共重合比は8
1.5/18.5であった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−48の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ9.30×103及び2.02×
104であった。
【0266】
実施例49
【化61】

【0267】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル1.36g(5.26mmol)、4−(4−トランス−n−ヘプチルシクロヘキシルフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン0.40(1.05mmol)及び4−メチル−m−フェニレンジアミン0.51g(4.20mmol)をNMP6.00mlに溶解し、この溶液にPy1.30ml及びTPP4.20mlを加え、100℃に加熱した後17時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP10mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高
分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−49で表されるポリアミド2.05gを得た。PA−49の1H−NMRスペクトルを
測定したところ、x/y共重合比は79.9/20.1であった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−49の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ7.19×103及び1.47×104であった。
【0268】
実施例50
【化62】

【0269】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル0.30g(1.16mmol)、4−メチル−m−フェニレンジアミン0.14g(1.14mmol)、及び上記ジアミン化合物(**)0.012g(0.02mmol)をNMP1.20mlに溶解し、この溶液にPy0.30ml及びTPP0.90mlを加え、100℃に加熱した後6時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP3mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PA−50で表されるポリアミド0.38gを得た。PA−50の1H−NMRスペクトルを測定したところ、x/y共重合比は98.4/1.6であった
。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPA−50の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ8.49×103及び1.58×104であった。
【0270】
例51
【化63】

【0271】
窒素気流中、1,3−ジ[4−アミノベンズアミド]ベンゼン1.04g(3.0mmol)と1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物0.59g(3.0mmol)をNMP9.13ml中で、室温で3時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−1を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−1の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ3.35×103及び5.21×103であ
った。
【0272】
例52
【化64】

【0273】
窒素気流中、1,4−ジ[(4−アミノフェニル)カルバモイル]ベンゼン3.46g(10mmol)と1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下CBDAと略す)1.92g(9.8mmol)をNMP30.62ml中で、室温で6時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−2を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−2の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ7.12×103及び1.65×104であった。
【0274】
例53
【化65】

【0275】
窒素気流中、1,3−ジ[4−アミノベンズアミド]ベンゼン1.04g(3mmol)とCBDA0.58g(2.94mmol)をNMP9.16ml中で、室温で6時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−3を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−3の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ3.13×104及び5.45×104であった。
【0276】
例54
【化66】

【0277】
窒素気流中、参考例3で得られた化合物(II)で表される4,4′−ジ(4−アミノベンズアミド)ジフェニルエーテル1.01g(2.3mmol)とCBDA0.44g(2.25mmol)をNMP8.00ml中で、室温で6時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−4を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−4の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.50×104及び
3.04×104であった。
【0278】
例55
【化67】

【0279】
窒素気流中、参考例2で得られた化合物(I)で表される4,4′−ジ[N−(2−メチル−5−アミノフェニル)カルボニルアミノ]ジフェニルエーテル0.98g(2.1mmol)とCBDA0.40g(2.06mmol)をNMP7.84ml中、室温で6時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−5を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−5の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ6.64×104及び1.08×105であった。
【0280】
参考例7
【化68】

【0281】
アルゴンガス雰囲気下、水素化ナトリウム(油性、60%)1.64g(40mmol)をDMSO100mL中に分散させ、70℃で1時間撹拌し淡黄色の均一溶液を得た。室温に冷却した後、この溶液に参考例3で得られたジニトロ化合物4、7.00g(14.0mmol)を加え室温にて4時間撹拌した。次に、ヨードメタン6.08g(40mmol)を加え室温にて更に18時間撹拌し、この溶液を200mLの水にあけ、析出した沈殿を濾過し乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル)で精製したところ、上記構造式12で表される4,4′−ジ(N−メチル−4−ニトロベンズアミド)ジフェニルエーテル3.56gを淡黄色粉末として得た(収率:48.3%)。
【0282】
1H−NMR δ(250MHz,CDCl3,ppm):3.52(6H,s),6.8
2(4H,d),7.00(4H,d),7.48(4H,d),8.08(4H,d).
【0283】
上記の反応で得られた4,4′−ジ(N−メチル−4−ニトロベンズアミド)ジフェニルエーテル2.10g(3.99mmol)をエタノール50mLおよびTHF25mLの混合溶媒に溶解し、そこへ二塩化錫・二水和物10.0g(44.4mmol)を加えた。混合物を65℃に加熱した後、水素化ホウ素ナトリウム378mg(10mmol)のエタノール50mL溶液を滴下し4時間撹拌した。次に、反応液を300mLの水にあけ10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中性にした後、得られた沈殿を濾取した。この沈殿にTHFを加え一晩還流させることにより可溶分を抽出し、THFを留去した後エタノールで洗浄したところ、上記構造式(VI)で表される4,4′−ジ(N−メチル−4−アミノベンズアミド)ジフェニルエーテル1.15gを白色粉末として得た(収率:62.0%)。
【0284】
IR(KBr,cm-1):3452,3333,3120,2937,1363,1620,1600.
1H−NMR δ(250MHz,DMSO−d6,ppm):3.26(6H,s),5
.40(4H,bs),6.30(4H,d),6.80(4H,d),6.94(4H,d),7.10(4H,d).
元素分析結果:(分子式:C282643、分子量:466.53)
計算値(%);C:72.08,H:5.62,N:12.00.
実測値(%);C:71.60,H:5.65,N:11.76.
【0285】
例56
【化69】

【0286】
窒素気流中、参考例7で得られた化合物(VI)で表される化合物4,4′−ジ(N−メチル−4−アミノベンズアミド)ジフェニルエーテル0.66g(1.5mmol)とCBDA0.29g(1.47mmol)をNMP5.38ml中で、室温で6時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−6を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−6の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ2.31×104及び3.60×105であった。
【0287】
例57
【化70】

【0288】
窒素気流中、1,3−ジ[4−アミノベンズアミド]ベンゼン1.04g(3.0mmol)と3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物0.96g(2.97mmol)をNMP11.31ml中で、室温で3時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−7を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−7の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.60×104及び3
.08×104であった。
【0289】
例58
【化71】

【0290】
窒素気流中、1,3−ジ[4−アミノベンズアミド]ベンゼン1.04g(3.0mmol)とビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物0.93g(3.0mmol)をNMP11.16ml中で、室温で3時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−8を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−8の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.82×104及び3.33×
104であった。
【0291】
例59
【化72】

【0292】
窒素気流中、1,3−ジ[4−アミノベンズアミド]ベンゼン1.04g(3.0mmol)と1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物1.33g(3.0mmol)をNMP13.44ml中で、室温で3時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−9を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−9の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ2.37×104及び4.22×104であった。
【0293】
例60
【化73】

【0294】
窒素気流中、1,3−ジ[4−アミノベンズアミド]ベンゼン1.04g(3.0mmol)とビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物1.07g(3.0mmol)をNMP11.98ml中で、室温で3時間反応させて上記構造式で表されるポリアミド酸PAA−10を調製した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−10の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.81×104及び3.4
0×104であった。
【0295】
例61
【化74】

【0296】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン2.26g(10mmol)とトリメリット酸一無水物酸クロライド2.10g(10mmol)をNMP24.71mlに溶解し、100℃に加熱した後6時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP45.6mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PAA−11で表されるポリイミド3.88gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPAA−11の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ6.81×103
及び1.15×104であった。
【0297】
例62
【化75】

【0298】
アルゴンガス雰囲気下、4,4′−ジアミノジフェニルメタン1.98g(10mmol)とトリメリット酸一無水物酸クロライド2.10g(10mmol)をNMP溶液22.53ml中で、室温で6時間反応させて、記構造式で表されるポリアミド酸PAA−12を調製した。次いで、この反応溶液にNMP73mlを加えて希釈し、これに無水酢酸9.50ml及びPy4.90mlを加え、40℃に加熱した後3時間攪拌した。得られた反応溶液をメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PI−12で表されるポリイミド3.26gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPI−12の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ5.89×103及び1.06×104であった。
【0299】
例63
【化76】

【0300】
アルゴンガス雰囲気下、ビスフェノールAビス(クロロフォルメート)1.77g(5.0mmol)と4−メチル−m−フェニレンジアミン0.61g(5.0mmol)をNMP13.14mlに溶解し、これを室温で14時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP18mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PU−1で表されるポリウレタン1.14gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−1の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ4.26×103及び5.64×103であった。
【0301】
例64
【化77】

【0302】
アルゴンガス雰囲気下、ビスフェノールAビス(クロロフォルメート)1.77g(5.0mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル1.00g(5.0mmol)をNMP15.30mlに溶解し、これを−78℃〜室温にかけて2時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP21mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PU−2で表されるポリウレタン1.83gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで
求めたPU−2の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ5.63×103及び8.
70×103であった。
【0303】
例65
【化78】

【0304】
アルゴンガス雰囲気下、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート1.74g(10.0mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.00g(10.0mmol)をDMSO23.60mlに溶解し、60℃に加熱後15分攪拌した。得られた反応溶液をDMSO26mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PU−3で表されるポリウレア2.77gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−3の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.83×104及び5.40
×104であった。
【0305】
例66
アルゴンガス雰囲気下、水素化ナトリウム(油性、60%)85.5mg(2.14mmol)をDMSO20ml中に分散させ、70℃で1時間攪拌し淡黄色の均一溶液を得た。室温に冷却した後、この溶液に例65で得られたポリウレアPU−3、1.0g(2.67mmol)を加えて溶解させ、更に室温にて4時間攪拌した。次に、ヨードメタン0.91g(6.41mmol)を加え室温にて、更に2時間攪拌し、この溶液を過剰のメタノールにあけ析出した高分子をろ過し乾燥したところ、ポリマー0.93gを得た。得られたポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、PU−3で表される構造
中のウレア基のN位のうち19モル%がメチル基に置換されたポリウレア(以下、PU−4と称する)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−4の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ9.79×103及び2.04×104であった。
【0306】
例67
【化79】

【0307】
アルゴンガス雰囲気下、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート3.05g
(17.5mmol)と1,3−ジアミノシクロヘキサン2.00g(17.5mmol)をDMSO17mlに溶解し、60℃に加熱後15分攪拌した。得られた反応溶液をDMSO17mlで希釈して、上記構造式PU−5で表されるポリウレア5.05gを含むDMSO溶液約35mlを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−5の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ8.91×103及び1.73×104であった。
【0308】
例68
【化80】

【0309】
アルゴンガス雰囲気下、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート1.74g(10.0mmol)とイソフタル酸ジアジド1.64g(10.0mmol)をDMSO15mlに溶解し、この溶液に触媒としてトリエチルアミン8.36mlを加え、120℃に加熱した後14時間攪拌した。得られた反応溶液をDMSO24mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PU−6で表されるポリマー2.67gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−6の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ2.41×103及び3.40×103であった。
【0310】
例69
【化81】

【0311】
アルゴンガス雰囲気下、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート1.74g(10.0mmol)とテレフタル酸ジアジド1.64g(10.0mmol)をDMSO15mlに溶解し、この溶液に触媒としてトリエチルアミン8.36mlを加え、120℃に加熱した後14時間攪拌した。得られた反応溶液をDMSO24mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PU−7で表されるポリマー2.54gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−7の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ2.39×103及び3.11×103であった。
【0312】
例70
【化82】

【0313】
アルゴンガス雰囲気下、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート1.74g(10.0mmol)とイソフタル酸ジヒドラジド1.94g(10.0mmol)をDMSO22.30mlに溶解し、120℃に加熱した後30分攪拌した。得られた反応溶液をDMSO26mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PU−8で表されるポリマー3.50gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−8の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ4.54×103及び7.96×103であった。
【0314】
例71
【化83】

【0315】
アルゴンガス雰囲気下、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート1.74g(10.0mmol)とテレフタル酸ジヒドラジド1.94g(10.0mmol)をDMSO22.30mlに溶解し、120℃に加熱した後20分攪拌した。得られた反応溶液をDMSO26mlで希釈した後、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PU−9で表されるポリマー3.46gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−9の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ3.55×103及び6.03×103であった。
【0316】
例72
【化84】

【0317】
アルゴンガス雰囲気下、イソフタル酸ジクロライド0.523g(2.57mmol)とテレフタル酸ジヒドラジド0.500g(2.57mmol)をNMP5.0mlに溶解し、これを−78℃〜室温にかけて4時間攪拌した。次いで、過剰のメタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行ったところ、上記構造式PU−10で表されるポリマー0.58gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−10の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ5.07×103及び8.15×103であった。
【0318】
例73
アルゴンガス雰囲気下、水素化ナトリウム(油性、60%)168mg(7.01mmol)をDMSO20ml中に分散させ、70℃で1時間攪拌し淡黄色の均一溶液を得た。室温に冷却した後、この溶液に例67で得られたポリウレアPU−5のDMSO溶液17mlを加えて、更に室温にて4時間攪拌した。その後ヨードメタン2.98g(21.0mmol)を加え室温にて、更に2時間攪拌し、この溶液を過剰のメタノールにあけ析出した高分子をろ過し乾燥したところ、ポリマー1.93gを得た。得られたポリマーの1H−NMRスペクトルを測定したところ、PU−5で表される構造中のウレア基のN位
のうち16モル%がメチル基に置換されたポリウレア(以下、PU−11と称する)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めたPU−11の数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.33×104及び2.82×104であった。
【0319】
実施例74〜123
実施例1から実施例50で得られたポリアミドPA−1〜PA−50を所定の混合比(重量比)のNMPとブチルセロソルブ(以下BCと略す)の混合溶媒に溶解させ、それぞれ所定の固形分濃度になるように溶液を調製した。この溶液をガラス基板上に所定の回転数でスピンコートし、80℃で5分乾燥させた後、180℃で1時間加熱処理を行ったところ、いずれのポリアミド溶液でも膜厚1000Åの均一なポリアミド樹脂膜を得ることができた。このようにして得た各ポリアミド樹脂膜にバンドパスフィルター及び偏光板を介して、出力700Wの超高圧水銀灯から波長240nm〜280nmまたは300nm〜330nmの偏光紫外線を所定の時間照射した。偏光紫外線を同一の条件で照射した2枚1組の基板をポリアミド面が内側を向き、照射した偏光紫外線の方向が互いに平行になるように、6μmのポリマー微粒子を挟んで張り合わせ、液晶セルを作製した。これらのセルをホットプレート上で液晶のアンソトロピック温度以上に保ち、液晶(メルク社製ZLI−2293)を注入した。これらの液晶セルを室温まで冷却後偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、いずれのポリアミド樹脂膜を用いた場合でも明瞭な明暗を生じ、且つ欠陥も全く観測されず、液晶が均一に配向していることが確認された。表3にPA−1〜PA−50の各ポリアミド溶液のNMPとBCの混合比、総固形分及びスピンコート回転数を示し、表4には各ポリアミド樹脂膜を用いた液晶セル作製時の偏光紫外線の照射時間を示す。
【0320】
更に上記ポリアミドPA−1〜PA−50の各条件で作製した液晶セルを120℃のオ
ーブン中で1時間熱処理を行った後、室温まで冷却した。これらの液晶セルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、いずれのセルに於いても、明瞭な明暗を生じ、且つ欠陥は観測されず、加熱処理前の均一な液晶の配向が保たれていることが確認された。
【0321】
【表3】

【0322】
【表4】

【0323】
【表5】

【0324】
【表6】

【0325】
【表7】

【0326】
【表8】

【0327】
例124〜135
例51から例61で得られたポリアミド酸PAA−1〜PAA−11をNMPとBCの混合溶媒(重量比80:20)に溶解させ、それぞれ所定の固形分濃度になるように溶液を調製した。この溶液をガラス基板上に所定の回転数でスピンコートし、80℃で5分乾燥させた後、250℃で1時間加熱処理を行いポリイミドPI−1〜PI−11に転化させ、膜厚1000Åの均一なポリイミド樹脂膜を得ることができた。一方、例62で得られたポリイミドPI−12についても180℃で1時間加熱処理をした以外は全て同様な手法により膜厚1000Åの均一なポリイミド樹脂膜を形成することができた。このようにして得た各ポリイミド樹脂膜に対し実施例74〜123と全く同様にして波長240nm〜280nmまたは300nm〜330nmの偏光紫外線を所定の時間照射し、液晶セルを作製した。これらの液晶セルをクロスニコル下で回転させたところ、いずれのポリイミド樹脂膜を用いた場合でも明瞭な明暗を生じ、且つ欠陥も全く観測されず、液晶が均一に配向していることが確認された。表5にPAA−1〜PAA−11、PI−12の各ポ
リアミド酸またはポリイミド溶液の総固形分及びスピンコート回転数を示し、表6には各ポリイミド樹脂膜を用いた液晶セル作製時の偏光紫外線の照射時間を示す。
【0328】
更に上記ポリイミドPI−1〜PI−12の各条件で作製した液晶セルを120℃のオーブン中で1時間熱処理を行った後、室温まで冷却した。これらの液晶セルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、いずれのセルに於いても、明瞭な明暗を生じ、且つ欠陥は観測されず、加熱処理前の均一な液晶の配向が保たれていることが確認された。
【0329】
【表9】

【0330】
【表10】

【0331】
例136〜146
例63から例73で得られたポリウレタンやポリウレア等のアミド類似基を含有するポリマーPU−1〜PU−11をNMPとBCの混合溶媒(重量比80:20)に溶解させ、それぞれ所定の固形分濃度になるように溶液を調製した。この溶液をガラス基板上に所定の回転数でスピンコートし、80℃で5分乾燥させた後、180℃で1時間加熱処理を行うことにより膜厚1000Åの均一なポリマー樹脂膜を得ることができた。このようにして得た各ポリマー樹脂膜に対し実施例74〜123、例124〜135と全く同様にして波長240nm〜280nmの偏光紫外線を所定の時間照射し、液晶セルを作製した。これらの液晶セルをクロスニコル下で回転させたところ、いずれのポリマー樹脂膜を用いた場合でも明瞭な明暗を生じ、且つ欠陥も全く観測されず、液晶が均一に配向していることが確認された。表7にPU−1〜PU−11の総固形分及びスピンコート回転数を示し、表8には各ポリマーを用いた液晶セル作製時の偏光紫外線の照射時間を示す。
【0332】
更に上記ポリマーPU−1〜PU−11の各条件で作製した液晶セルを120℃のオーブン中で1時間熱処理を行った後、室温まで冷却した。これらの液晶セルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、いずれのセルに於いても、明瞭な明暗を生じ、且つ欠陥は観測されず、加熱処理前の均一な液晶の配向が保たれていることが確認された。
【0333】
【表11】

【0334】
【表12】

【0335】
比較例1
6・6ナイロン(分子量約20000、ガラス転移温度約45℃)をm−クレゾール中に溶解させ、総固形分4%の溶液を調製した。この溶液をガラス基板上に5000rpmでスピンコートし、ついで120℃で5分乾燥した後、180℃で1時間熱処理を行うことにより、厚さ1000Åのポリアミド樹脂膜を作製した。この6・6ナイロンの膜に実施例と同様に、偏光紫外線波長240nm〜280nmを1時間または300nm〜330nmを15分間照射した後、液晶セルを作製した。これらのセルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、明暗を生じず、液晶は全く配向しなかった。
【0336】
比較例2
窒素気流下、アジピン酸クロライド1.83g(10.0mmol)とm−フェニレンジアミン1.08g(10.0mmol)をNMP20.29mlに溶解し、この溶液にPy1.94mlを加え、これを−78℃〜室温にかけて3時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP15mlで希釈した後、メタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行い、ポリアミド2.18gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ1.09×104及び2.62×104であった。
【0337】
このポリアミドをNMP及びBCの混合溶媒(重要比9:1)により総固形分5%の溶液に調製した。この溶液をガラス基板上に3000rpmでスピンコートし、ついで80℃で5分乾燥した後、180℃で1時間熱処理を行うことにより、厚さ1000Åのポリ
アミド樹脂膜を作製した。実施例と同様に、ポリアミド樹脂膜に偏光紫外線波長240nm〜280nmを1時間または300nm〜330nmを15分間照射した後、液晶セルを作製した。これらのセルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、明暗を生じず、液晶は全く配向しなかった。
【0338】
比較例3
窒素気流下、イソフタル酸クロライド2.03g(10.0mmol)と1,4−ジアミノブタン0.88g(10.0mmol)をNMP20.29mlに溶解し、この溶液にPy1.94mlを加え、これを−78℃〜室温にかけて3時間攪拌した。得られた反応溶液をNMP15mlで希釈した後、メタノールにあけ、析出した高分子をろ過し乾燥した。上記操作を再度繰り返し、精製を行い、ポリアミド2.07gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ6.53×103及び1.30×103であった。
【0339】
このポリアミドをm−クレゾールにより総固形分4%の溶液に調製した。この溶液をガラス基板上に5000rpmでスピンコートし、ついで120℃で5分乾燥した後、180℃で1時間熱処理を行うことにより、厚さ1000Åのポリアミド樹脂膜を作製した。実施例と同様に、ポリアミド樹脂膜に偏光紫外線波長240nm〜280nmを1時間または300nm〜330nmを15分間照射した後、液晶セルを作製した。これらのセルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、明暗を生じず、液晶は全く配向しなかった。
【0340】
比較例4
窒素気流下、ピロメリット酸二無水物2.14g(9.8mmol)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.00g(10.0mmol)をNMP27.60ml中、室温で2時間反応させポリイミド前駆体溶液を調製した。重合反応は容易且つ均一に進行した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた数平均分子量及び重量平均分子量がそれぞれ3.45×104および5.73×104のポリイミド前駆体を得ることができた。
【0341】
このポリイミド前駆体をNMP及びBCの混合溶媒(重量比4:1)により総固形分4%の溶液に調製した。この溶液をガラス基板上に4000rpmでスピンコートし、ついで80℃で5分乾燥した後、250℃で1時間熱処理を行うことにより、厚さ1000Åのポリイミド樹脂膜を作製した。実施例と同様に、ポリイミド樹脂膜に偏光紫外線波長240nm〜280nmを1時間または300nm〜330nmを15分間照射した後、液晶セルを作製した。これらのセルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、若干の明暗を生じるものの、多数の欠陥が観測され、液晶は均一に配向しなかった。
【0342】
比較例5
ポリビニルシンナメート(分子量約20000)をモノクロロベンゼンとジクロロメタンの混合溶媒に溶解させ、総固形分2重量%の溶液を調製した。この溶液をガラス基板上に2000rpmでスピンコートし、ついで80℃で5分乾燥した後、100℃で1時間加熱処理を行うことにより、厚さ1000Åの塗膜を作製した。このポリビニルシンナメート膜に、実施例と同様に波長300nm〜330nmの偏光紫外線を60秒間照射し、液晶セルを作製した。このセルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、明瞭な明暗を生じ、且つ欠陥も観測されず、均一な液晶の配向が得られるものの、液晶セルを120℃のオーブン中で加熱処理を1時間行い、室温まで冷却した後偏光顕微鏡のクロスニコル下で液晶セルを観測したところ、多数の欠陥が観測され、加熱処理前の液晶の配向は保持されず、配向が乱れていることが確認された。
【0343】
比較例6
窒素気流下、CBDA1.92g(9.8mmol)と2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン4.10g(10.0mmol)を、NMP40.13ml中、室温で3時間反応させポリイミド前駆体溶液を調製した。重合反応は容易且つ均一に進行した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた数平均分子量及び重量平均分子量がそれぞれ2.74×104及び4.19×104のポリイミド前駆体を得ることができた。
【0344】
このポリイミド前駆体をNMP及びBCの混合溶媒(重要比4:1)により総固形分4%の溶液を調製した。この溶液をガラス基板上に4300rpmでスピンコートし、ついで80℃で5分乾燥した後、250℃で1時間熱処理を行うことにより、厚さ1000Åのポリイミド樹脂膜を作製した。実施例と同様に、ポリイミド樹脂膜に波長240nm〜280nmの偏光紫外線を12分間照射した後、液晶セルを作製した。このセルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、明瞭な明暗を生じ、且つ欠陥も観測されず、均一な液晶の配向が得られるものの、液晶セルを120℃のオーブン中で加熱処理を1時間行い、室温まで冷却した後偏光顕微鏡のクロスニコル下で液晶セルを観測したところ、多数の欠陥が観測され、加熱処理前の液晶の配向は保持されず、配向が乱れていることが確認された。
【0345】
比較例7
窒素気流下、CBDA1.92g(9.8mmol)と実施例34に表記したジアミン化合物(III)2.40g(10.0mmol)を、NMP23.86ml中、室温で6時間反応させポリイミド前駆体溶液を調製した。重合反応は容易且つ均一に進行した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた数平均分子量及び重量平均分子量がそれぞれ6.64×104及び1.08×105のポリイミド前駆体を得ることができた。
【0346】
このポリイミド前駆体をNMP及びBCの混合溶媒(重要比4:1)により総固形分4%の溶液を調製した。この溶液をガラス基板上に4300rpmでスピンコートし、ついで80℃で5分乾燥した後、250℃で1時間熱処理を行うことにより、厚さ1000Åのポリイミド樹脂膜を作製した。実施例と同様に、ポリイミド樹脂膜に偏光紫外線波長240nm〜280nmを1時間または300nm〜330nmを15分間照射した後、液晶セルを作製した。これらのセルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、若干の明暗を生じるものの、多数の欠陥が観測され、液晶は均一に配向しなかった。
【0347】
比較例8
窒素気流下、CBDA1.92g(9.8mmol)と実施例38に表記したジアミン化合物(IV)3.60g(10.0mmol)を、NMP24.96ml中、室温で6時間反応させポリイミド前駆体溶液を調製した。重合反応は容易且つ均一に進行した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた数平均分子量及び重量平均分子量がそれぞれ6.73×103及び1.17×104のポリイミド前駆体を得ることができた。
【0348】
このポリイミド前駆体をNMP及びBCの混合溶媒(重要比4:1)により総固形分6%の溶液に調製した。この溶液をガラス基板上に2400rpmでスピンコートし、ついで80℃で5分乾燥した後、250℃で1時間熱処理を行うことにより、厚さ1000Åのポリイミド樹脂膜を作製した。実施例と同様に、ポリイミド樹脂膜に偏光紫外線波長240nm〜280nmを1時間または300nm〜330nmを15分間照射した後、液晶セルを作製した。これらのセルを偏光顕微鏡のクロスニコル下で回転させたところ、若干の明暗を生じるものの、多数の欠陥が観測され、液晶は均一に配向しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0349】
本発明の液晶配向処理剤を用いて基板上に形成された高分子薄膜は、光または電子線を照射することにより、従来の液晶配向処理方法であるラビング処理を行うことなしに、液晶分子を均一且つ安定に配向させることができる。更に、その配向は熱的安定性及び耐光性を有するものである。従って、本発明の液晶配向処理剤により、液晶素子の工業的生産性の向上が計れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶配向処理剤を用いて基板上に形成された高分子薄膜に光または電子線を基板面に対して照射し,次いで該基板上にラビング処理なしに液晶を配向させる方法において用いられるところの液晶配向処理剤であって、高分子主鎖中に下記一般式(1)〜(7)
【化1】

(R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリル基
またはプロパルギル基を表す。)
で表されるいずれかの結合を有し、上記結合の両端に2価または3価の芳香族基が直接結合するか、または上記結合の片端に2価または3価の芳香族基が直接結合しかつもう一方の片端に2価または3価の脂環式炭化水素基が直接結合する数平均分子量が1000〜300000であり、かつ下記一般式(18)または、一般式(19a)及び(19b)で表される繰り返し単位を含むポリアミドからなる、液晶配向処理剤。
【化2】

(R10、R11、R12及びR13は一般式(20)〜(23)で表される2価の有機基を示し、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリル基またはプロパルギル基を表す。)
【化3】

(X1、X2、X3、X4、X5及びX6はそれぞれ独立に単結合、O、CO2、OCO、CH2O、NHCOまたはCONHを表し、R14、R15、R16、R17、R18及びR19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1〜C24のアルキル基、C1〜C24の含フッ素アルキル基、アリル基、プロパルギル基、フェニル基または置換フェニル基を表す。ただし、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素原子またはハロゲン原子を表す場合には、X1
、X2、X3、X4、X5及びX6は単結合を表す。 Y1はO、S、CO、CO2、SO2、CH2、NH、NHCO、Y2−Ar1−Y3、Y4−(CH2n1−Y5、またはY6−Ar2
20−Ar3−Y7を表し、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6及びY7はそれぞれ独立にO、S、CO、CO2、SO2、CH2、NHまたはNHCOを表し、n1は1〜10の整数を表し、R20はC1〜C5の直鎖状もしくは分岐状の低級アルキレン基、フルオロアルキレン基もしくはアルキレンジオキシ基を表し、更に、Ar1、Ar2及びAr3はそれぞれ独立に下記一
般式(24)、(25)または(26)で表される基を示す。)
【化4】

(X7、X8、X9、X10及びX11はそれぞれ独立に単結合、O、CO2、OCO、CH2
、NHCOまたはCONHを表し、R21、R22、R23、R24及びR25はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1〜C24のアルキル基、C1〜C24の含フッ素アルキル基、アリル基、プロパルギル基、フェニル基または置換フェニル基を表し、m1は1〜4の整数を
表し、m2は1〜3の整数を表す。ただし、R21、R22、R23、R24及びR25が水素原子
またはハロゲン原子を表す場合には、X7、X8、X9、X10及びX11は単結合を表す。)
【請求項2】
上記一般式(18)に於けるR10及びR11、または一般式(19a)及び(19b)に於けるR12及びR13がそれぞれ独立に下記式(27)〜(41)で表される基から選ばれるものである、請求項1に記載の液晶配向処理剤。
【化5】

【化6】

【請求項3】
光または電子線の照射により二量化反応または異性化反応が誘起される置換基として、下記一般式(8)〜(17)
【化7】

(R4、R5、R6、R7、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、置換アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはシアノ基を表す。)
で表される官能基を高分子主鎖または側鎖中に持たない請求項1又は請求項2に記載の液晶配向処理剤。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いてなる液晶素子。
【請求項5】
液晶配向処理剤を用いて基板上に形成された高分子薄膜に光または電子線を基板面に対して照射し、次いで該基板上にラビング処理なしに液晶を配向させる方法に於いて、請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の液晶配向処理剤を用いることを特徴とする液晶の配向方法。

【公開番号】特開2008−70893(P2008−70893A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267836(P2007−267836)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【分割の表示】特願2000−567985(P2000−567985)の分割
【原出願日】平成11年8月25日(1999.8.25)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】