説明

液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、新規マレイミド系高分子、及び新規ビスマレイミド

【課題】良好な特性を有する液晶配向膜等の形成にも用いることができる、マレイミド系高分子を含有する新規な樹脂組成物、及びそれに係る液晶配向膜等、並びに新規化合物を提供する。
【解決手段】マレイミド系高分子と溶剤とを含有する樹脂組成物において、マレイミド系高分子に、主鎖に断続する複数の剛直な直線構造を有するマレイミド系高分子を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスマレイミドとジアミンとの重合、すなわちビスマレイミドの不飽和結合へのジアミンのアミノ基の付加反応によって生じる、マイケル付加反応によるマレイミド系高分子と溶剤とを含有する樹脂組成物、及び新規のマレイミド系高分子並びにビスマレイミドに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の応用分野の一つには、液晶表示素子が挙げられる。液晶表示素子は、ノートパソコンやデスクトップパソコンのモニターをはじめ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型のディスプレイ等の様々な液晶表示装置に使われており、最近ではテレビとしても用いられるようになってきた。さらに液晶表示素子は、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子としても利用されている。
【0003】
液晶表示素子は、通常は、1)対向配置されている一対の基板、2)前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極、3)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、及び4)前記一対の基板間に形成された液晶層、を有する。
【0004】
液晶表示素子はネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、液晶表示素子としては、例えば、1)90度ツイストしたTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子、2)通常180度以上ツイストしたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、3)薄膜トランジスタを使用したいわゆるTFT(Thin
Film Transistor)型液晶表示素子が知られている。また、これらの液晶表示素子における視野角の広さをさらに改良した液晶表示素子としては、例えば、4)光学補償フィルムを用いたTN−TFT型液晶表示素子、5)垂直配向と光学補償フィルムを用いたVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子、6)垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi Domain Vertical
Alignment)型液晶表示素子、7)横電界方式のIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、8)ECB(Electrically Controlled Birefringence)型液晶表示素子、及び、9)光学補償ベンド(Optically Compensated Bend又はOptically
self−Compensated Birefringence:OCB)型液晶表示素子が知られている。
【0005】
液晶表示素子の技術の発展は、単にこれらの駆動方式や素子構造の改良のみならず、液晶表示素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は、液晶表示素子の表示品位に係わる重要な要素の一つであり、液晶表示素子の高品質化に伴って液晶配向膜の役割が年々重要になってきている。
【0006】
液晶配向膜は、液晶配向剤より調製される。従来より用いられてきた代表的な液晶配向剤としては、テトラカルボン酸無水物又はその誘導体と、ジアミン又はその誘導体とを反応させて得られる、ポリアミック酸又は可溶性のポリイミドを有機溶剤に溶解させた溶液が知られている。
【0007】
一方、ポリイミド(すなわちポリアミック酸又は可溶性のポリイミド)以外にも、ビスマレイミドとジアミンとを反応させて得られるマレイミド系高分子も、良好な電気光学特性を有する液晶配向膜を形成する液晶配向剤として使用できることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
前記ポリイミドは、焼成によって、フィルム、基板、繊維、及び粒子等の種々の形態の成形物を形成することができ、また必要に応じてさらに機能性を付加することによって、接着剤や、分離膜及び電解質膜等の機能膜を形成することができる。マレイミド系高分子についても、このような種々の用途への適用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平07−110483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、良好な特性を有する液晶配向膜の形成にも用いることができる、マレイミド系高分子を含有する新規な樹脂組成物、及びそれに係る液晶配向膜、液晶表示素子、並びに新規化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意研究を行った。その結果、マレイミド系高分子の主鎖に剛直な直線構造と柔軟な構造とを組み合わせることによって、液晶配向剤として使用したときに、液晶配向膜中におけるマレイミド系高分子の配向性が向上することを見出し、本発明を完成させた。本発明は以下の構成からなる。
【0012】
[1] ビスマレイミドとジアミンとのマイケル付加反応による反応生成物の構造を有するマレイミド系高分子と、溶剤とを含有する樹脂組成物において、
前記マレイミド系高分子が主鎖に断続する複数の剛直な直線構造を有する樹脂組成物。
【0013】
[2] 前記マレイミド系高分子の重量平均分子量が3,000〜500,000である、[1]に記載の樹脂組成物。
【0014】
[3] 前記ビスマレイミドが剛直な直線構造を有するビスマレイミドを含み、
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが下記式(MA)で表されるビスマレイミドを含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
【0015】
【化1】

【0016】
式(MA)において
13は独立して単結合又は炭素数1〜30のアルキレンを表し、
14は独立して1,4−フェニレン、環を構成する原子数が8〜22の縮合環、又は1,4−シクロヘキシレンを表し、
15は独立して単結合又は−(CH2CH2ab2−を表し、
ab1は0〜4の整数を表し、ab2は0〜4の整数を表す。
ただしab1が0の時は、X14は環を構成する原子数が8〜22の縮合環を表す。
マレイミド基の−CH=CH−上の−Hは独立して炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてよく、
13のアルキレン中の−CH2−は、独立して−NH−、−NY2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中のマレイミド基の窒素原子と隣接しない−CH2−は独立して−O−、−CO−、−S−、−SO−、又は−SO2−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中のマレイミド基の窒素原子と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
15の−(CH2CH2ab2−中の−CH2−は、独立して−O−、−NH−、−CO−、−NY2−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、
15の−(CH2CH2ab2−中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、
13のアルキレン若しくは置き換えられたアルキレン上、又はX15の−(CH2CH2ab2−若しくは置き換えられた−(CH2CH2ab2−上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜20のアルキル、又は任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
14の1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、及び前記縮合環上の−Hは、それぞれ独立して、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜3のアルキル、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜3のアルコキシ、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよく、
前記アルキル及びアルコキシの−CH2−は独立して−O−、−CO−又は−S−に置き換えられていてもよく、
(MA)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、Y22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよい。
【0017】
[4] 前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが下記式(MA−1−1−1)、(MA−1−2−1)、(MA−1−3−1)、(MA−1−4−1)、(MA−1−5−1)、(MA−2−1−1)、(MA−2−1−2)、(MA−2−1−4)、(MA−2−1−9)、(MA−2−1−15)、(MA−2−2−1)、(MA−2−3−1)、(MA−2−4−1)、(MA−2−5−1)、(MA−2−6−1)、(MA−2−7−1)、(MA−2−8−1)、(MA−2−9−1)、(MA−3−1−1)、(MA−3−2−1)、(MA−3−2−2)、(MA−3−3−1)、 (MA−3−3−3)、(MA−3−3−4)、(MA−3−4−1)、(MA−3−5−1)、(MA−3−11−3)〜(MA−3−11−14)、(MA−4−1−1)、(MA−4−2−1)、(MA−4−11−1)〜(MA−4−11−9)、及び(MA−5−11−1)の群から選択される一以上を含む、[3]に記載の樹脂組成物。
【0018】
【化2】

【0019】
【化3】

【0020】
【化4】

【0021】
【化5】

【0022】
【化6】

【0023】
【化7】

【0024】
【化8】

【0025】
[5] 前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが前記式(MA−2−1−2)、(MA−2−1−4)、又は(MA−2−1−9)を含む、[4]に記載の樹脂組成物。
【0026】
[6] 前記ビスマレイミドが前記式(MA−2−1−2)で表されるビスマレイミドである、[5]に記載の樹脂組成物。
【0027】
[7] 前記ジアミンが脂肪族ジアミンを含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0028】
[8] ジアミンが、下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(VI−1−40)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0029】
【化9】

【0030】
【化10】

【0031】
[9] 前記脂肪族ジアミンが前記式(IV−1−1)又は(II−1−22)を含む、[8]に記載の樹脂組成物。
【0032】
[10] 前記ジアミンが剛直な直線構造を有するジアミン及び脂肪族ジアミンの一方又は両方を含む、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0033】
[11] 前記剛直な直線構造を有するジアミンが下記式(VII−13)で表されるジアミンを含む、[10]に記載の樹脂組成物。
【0034】
【化11】

【0035】
式(VII−13)において、X11は独立して炭素数1〜12のアルキレンを表し、
環Rは独立して、骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、aは独立して0〜4の整数を表し、bは独立して0〜12の整数を表し、
11におけるアルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、このアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して炭素数1〜20のアルキル又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
環Rとアミノ基との間のアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
このアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
アミノ基の−Hは独立して炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてよく、このアルキル中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、このアルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
このアルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
式(VII−13)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表す。ただし前記−CHY2−及び−C(Y22−において、Y2は−Hではない。
【0036】
[12] 前記剛直な直線構造を有するジアミンが下記式(VII−13−1)〜(VII−13−4)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、[11]に記載の樹脂組成物。
【0037】
【化12】

【0038】
[13] 前記ジアミンが、剛直な直線構造を有するジアミン及び他の脂肪族ジアミンの両方を含む、[10]〜[12]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0039】
[14] 前記他の脂肪族ジアミンが、下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(VI−1−40)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、[13]に記載の樹脂組成物。
【0040】
【化13】

【0041】
【化14】

【0042】
[15] 前記他の脂肪族ジアミンが前記式(IV−1−1)又は(II−1−22)を含む、[14]に記載の樹脂組成物。
【0043】
[16] 前記マレイミド系高分子が、前記ビスマレイミドとジアミンとを含むモノマー混合物を、水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択されるいずれか一種以上を含む溶剤中で重合させたものである、[1]〜[16]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0044】
[17] 前記水酸基を有する溶剤がアルコール性水酸基を有する溶剤である、[16]に記載の樹脂組成物。
【0045】
[18] 前記アルコール性水酸基を有する溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族モノアルコール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール等の芳香族アルコール、エチレングリコール、グリセロール等の脂肪族ポリオール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコキシモノアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、並びに、1)アルコール性水酸基、並びに2)アミド、エステル、及び環状エーテルからなる群から選択されるいずれか一種以上の基、を有する高極性アルコールからなる群から選択されるいずれか一種以上である、[17]に記載の樹脂組成物。
【0046】
[19] 前記高極性アルコールが、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール等の水酸基含有エステル、及び下記式(1)〜(21)で表される一以上であり、前記プロトン性アミド系溶剤が下記式(22)〜(26)で表される一以上である、[18]に記載の樹脂組成物。
【0047】
【化15】

【0048】
【化16】

【0049】
[20] 前記マレイミド系高分子のモノマーの重合溶剤が、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール等の水酸基含有エステル、及び前記式(1)〜(21)で表される高極性アルコールからなる群から選択されるいずれか一種以上を含む、[19]に記載の樹脂組成物。
【0050】
[21] 前記マレイミド系高分子のモノマーの重合溶剤が、前記式(3)で表される高極性アルコールを含む、[20]に記載の樹脂組成物。
【0051】
[22] 前記溶剤が、水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を含有する、[
1]〜[21]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0052】
[23] 水酸基を有する溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び、前記式(1)〜(21)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つであり、
プロトン性アミド系溶剤が前記式(22)〜(26)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つである、[22]に記載の樹脂組成物。
【0053】
[24] 前記溶剤が、極性溶剤と塗布性改善性溶剤とをさらに含む、[22]又は[23]に記載の樹脂組成物。
【0054】
[25] 前記極性溶剤が、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N’−ジメチルイミダゾリジノンからなる群から選択される少なくとも一つである、[24]に記載の樹脂組成物。
【0055】
[26] 前記塗布性改善性溶剤が、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、前記式(1)〜(17)で表される溶剤、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキル又はフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びこれらのエステル化合物からなる群から選ばれる溶剤である、[24]又は[25]に記載の樹脂組成物。
【0056】
[27] 前記水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤の含有量が、前記溶剤の全量に対して20重量%以上である、[22]〜[26]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0057】
[28] 前記マレイミド系高分子は、重合後に溶剤置換する工程を含まない方法で製造された、[1]〜[27]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0058】
[29] 前記ジアミンが側鎖構造を有するジアミンを含まない、IPS用の液晶配向剤である、[1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0059】
[30] 前記ジアミンが側鎖構造を有するジアミンをさらに含む、TN用の液晶配向剤である、[1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0060】
[31] 前記ジアミンが側鎖構造を有するジアミンをさらに含む、VA用の液晶配向剤である、[1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0061】
[32] [1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する被覆材料。
【0062】
[33] [1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する絶縁材料。
【0063】
[34] [1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する接着剤。
【0064】
[35] [1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する封止材。
【0065】
[36] [1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有するプリント配線基板用材料。
【0066】
[37] [1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する成形材料。
【0067】
[38] [1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成したガス分離材用材料。
【0068】
[39] [1]〜[28]のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成した線材用材料。
【0069】
[40] [29]〜[31]のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成された液晶配向膜。
【0070】
[41] [40]に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
【0071】
[42] ビスマレイミドとジアミンとのマイケル付加反応による反応生成物の構造を有するマレイミド系高分子において、
前記マレイミド系高分子が、主鎖に断続する複数の剛直な直線構造を有し、かつ前記ビスマレイミドとジアミンとを含むモノマー混合物をアルコール性水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択されるいずれか一種以上を含む溶剤中で重合させたものである、マレイミド系高分子。
【0072】
[43] 前記マレイミド系高分子の重量平均分子量が3,000〜500,000である、[42]に記載のマレイミド系高分子。
【0073】
[44] 前記ビスマレイミドが剛直な直線構造を有するビスマレイミドを含み、
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが前記式(MA)で表されるビスマレイミドを含む、[42]又は[43]に記載のマレイミド系高分子。
【0074】
[45] 前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが前記式(MA−1−1−1)、(MA−1−2−1)、(MA−1−3−1)、(MA−1−4−1)、(MA−1−5−1)、(MA−2−1−1)、(MA−2−1−2)、(MA−2−1−4)、(MA−2−1−9)、(MA−2−1−15)、(MA−2−2−1)、(MA−2−3−1)、(MA−2−4−1)、(MA−2−5−1)、(MA−2−6−1)、(MA−2−7−1)、(MA−2−8−1)、(MA−2−9−1)、(MA−3−1−1)、(MA−3−2−1)、(MA−3−2−2)、(MA−3−3−1)、 (MA−3−3−3)、(MA−3−3−4)、(MA−3−4−1)、(MA−3−5−1)、(MA−
3−11−3)〜(MA−3−11−14)、(MA−4−1−1)、(MA−4−2−1)、(MA−4−11−1)〜(MA−4−11−9)、及び(MA−5−11−1)の群から選択される一以上を含む、[44]に記載のマレイミド系高分子。
【0075】
[46] 前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが前記式(MA−2−1−2)、(MA−2−1−4)、及び(MA−2−1−9)の群から選択される一以上を含む、[45]に記載のマレイミド系高分子。
【0076】
[47]前記ビスマレイミドが前記式(MA−2−1−2)で表されるビスマレイミドである、[46]に記載のマレイミド系高分子。
【0077】
[48] 前記ジアミンが脂肪族ジアミンを含む、[42]〜[47]のいずれか一項に記載のマレイミド系高分子。
【0078】
[49] 前記脂肪族ジアミンが、前記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(VI−1−40)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、[48]に記載のマレイミド系高分子。
【0079】
[50] 前記脂肪族ジアミンが前記式(IV−1−1)又は(II−1−22)を含む、[49]に記載のマレイミド系高分子。
【0080】
[51] 前記ジアミンが剛直な直線構造を有するジアミン及び脂肪族ジアミンの一方又は両方を含む、[42]〜[50]のいずれか一項に記載のマレイミド系高分子。
【0081】
[52] 前記剛直な直線構造を有するジアミンが前記式(VII−13)で表されるジアミンを含む、[51]のいずれか一項に記載のマレイミド系高分子。
【0082】
[53] 前記剛直な直線構造を有するジアミンが前記式(VII−13−1)〜(VII−13−4)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、[52]に記載のマレイミド系高分子。
【0083】
[54] 前記ジアミンが剛直な直線構造を有するジアミン及び他の脂肪族ジアミンの両方を含む、[51]〜[53]のいずれか一項に記載のマレイミド系高分子。
【0084】
[55] 前記他の脂肪族ジアミンが、前記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(VI−1−40)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、[54]に記載のマレイミド系高分子。
【0085】
[56] 前記脂他の脂肪族ジアミンが、前記式(IV−1−1)又は(II−1−22)を含む、[55]に記載のマレイミド系高分子。
【0086】
[57] 前記マレイミド系高分子が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ
−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1)アルコール性水酸基、並びに2)アミド、エステル、及び環状エーテルからなる群から選択されるいずれか一種以上の基を有する高極性アルコール、及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択されるいずれか一種以上を含む溶剤中で重合させたものである、[42]〜[56]のいずれか一項に記載のマレイミド系高分子。
【0087】
[58] 前記高極性アルコールが、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び前記式(1)〜(21)で表される一以上であり、前記プロトン性アミド系溶剤が前記式(22)〜(26)で表される一以上である、[57]に記載のマレイミド系高分子。
【0088】
[59] 前記マレイミド系高分子のモノマーの重合溶剤が、前記式(1)〜(21)で表される高極性アルコールからなる群から選択されるいずれか一種以上を含む、[58]に記載のマレイミド系高分子。
【0089】
[60] 前記マレイミド系高分子が、前記式(3)で表される高極性アルコールを含む溶剤中で重合させたものである、[59]に記載のマレイミド系高分子。
【0090】
[61]
下記式(MA−1−1)〜(MA−1−3)、(MA−2−2)〜(MA−2−6)、(MA−3−1)、(MA−3−2)、(MA−2−1−19)〜(MA−2−1−27)、(MA−2−7−2)、(MA−2−7−3)、(MA−1−4−2)、及び(MA−1−5−1)のいずれかで表されるビスマレイミド。
【0091】
【化17】

【0092】
【化18】

【0093】
式(MA−1−1)中、R111は−H、−OH、又は−Fを表し、R112は独立して−OH、−F、又は−Clを表し、a1は0〜5の整数を表す。ただしR111が−Hを表すとき、a1は1〜5の整数を表す。
式(MA−1−2)中、R121は独立して−CH3、−OH、−OCH3、−SCH3、又は−Fを表し、a2は1〜5の整数を表す。
(式(MA−1−3)中、R131及びR132はそれぞれ−H、−CH3、又は−OHを表す。
式(MA−2−2)中、R221は独立して−CH3、−CF3、−OH、−F、−Cl、又は−OCH3を表し、a4は独立して0〜4の整数を表す。ただしa4の総和は1以上である。
式(MA−2−3)中、R231は独立して−CF3、−OH、−F、又は−OCH3を表し、a5は独立して0〜4の整数を表す。ただしa5の総和は1以上である。
式(MA−2−4)中、R241は独立して−CH3、−CF3、−OH、−Cl、−Br、−OCH3、又は−OCH2CH3を表し、R242は−H又は炭素数1〜3の直鎖のアルキルを表し、a6は独立して0〜4の整数を表す。ただしR242が炭素数1〜3の直鎖のアルキルを表すとき、R241は独立して−Hを表すことがあり、a6の総和は1以上である。
【0094】
式(MA−2−5)中、R251は独立して−CH3、−OH、−Cl、又は−OCH3を表し、a7は独立して0〜4の整数を表す。ただしa7の総和は1以上である。
式(MA−2−6)中、R261は独立して−CH3、−CF3、又は−Fを表し、a8は独立して0〜10の整数を表す。
式(MA−3−1)中、R311は独立して−CH3、−CF3、−OH、−F、−Cl、又は−OCH3を表し、a9は独立して0〜4の整数を表す。ただしa9の総和は1以上である。
式(MA−3−2)中、R321は独立して−CH3又は−CH(CH32を表し、R322は独立して−CH3又は−CH2CH3を表し、a10は独立して0〜4の整数を表す。
【0095】
【化19】

【0096】
【化20】

【発明の効果】
【0097】
本発明によれば、本発明におけるマレイミド系高分子がマレイミド系高分子の主鎖中に剛直な直線構造と柔軟な構造とを交互に有することから、樹脂組成物とした時に溶液中での取扱いが容易であり、しかも成膜後は、例えば液晶配向膜に使用した時には、耐ラビング性や配向安定性に優れ、流動配向が生じない等、良好な特性を有する液晶配向膜、このような膜を有する液晶表示素子、このような膜を形成する液晶配向剤として用いられる樹脂組成物、このような樹脂組成物に用いられる新規なマレイミド系高分子を提供することができる。また、本発明によれば、このようなマレイミド系高分子を構成する新規なビスマレイミドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施例2のPM2の膜と製造例1で得られたMA−2−1−2とのそれぞれのIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本発明の樹脂組成物は、剛直な直線構造を主鎖に断続して複数有するマレイミド系高分子と溶剤とを含有する。
【0100】
本発明において、アルキレン中の−CH2−が−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、−NY2−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてもよく、アルキレン中の−CH2CH2−が−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH32−O−Si(CH32−、又は−N=N−で置き換えられてもよく、と定義されている場合は、以下の態様を含む。
【0101】
例えばアルキレンが−(CH24−である場合、1つ又は複数の−CH2−が−O−で置き換えられて−O−(CH23−若しくは−O−CH2−O−CH2−となってもよく、1つ又は複数の−CH2CH2−がーCH=CH−で置き換えられて−CH=CH−(CH22−若しくは−CH=CH−CH=CH−となってもよく、又は−CH2−及び−CH2CH2−が同時に−O−及び−CH=CH−で置き換えられて−O−CH2−CH=CH−となってもよい。
【0102】
上記の例でアルキレンがアルキルである場合も同様であり、例えばアルキルが−(CH23CH3である場合、1つ又は複数の−CH2−が−O−で置き換えられて−O−(CH22CH3−若しくは−O−CH2−O−CH3となってもよく、1つ又は複数の−CH2CH2−がーCH=CH−で置き換えられて−CH=CH−CH2−CH3−若しくは−CH=CH−CH=CH2となってもよく、又は−CH2−及び−CH2CH2−が同時に−O−及び−CH=CH−で置き換えられて−O−CH2−CH=CH2となってもよい。
【0103】
上記のアルキレン中の−CH2−若しくは−CH2CH2−が置き換えられてもよい場合、又はアルキル中の−CH2−若しくは−CH2CH2−が置き換えられてもよい場合において、各基によって置き換えられてもよい基の選択肢の数又は種類が異なる場合においても、同様に考えるものとする。
【0104】
上記のアルキレン中の−CH2−又は−CH2CH2−が置き換えられた基を、本発明においては「置き換えられたアルキレン」と記載することがあり、上記のアルキル中の−CH2−又は−CH2CH2−が置き換えられた基を、本発明においては「置き換えられたアルキル」と記載することがある。
【0105】
なお、本発明においては、連続する2つの−CH2−が−O−で置き換えられて、−O−O−のようになることは好ましくない。
【0106】
本発明における「剛直な直線構造」とは、二価の基であって、液晶配向膜のような加熱処理後の成形体としたときに、剛直な構造の両端に位置する二つの基を、その間の構造を介して一様の位置関係で対向させる構造を言う。このような剛直な直線構造としては、例えばビフェニル、ターフェニル、トラン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、及びステロイド骨格のような環状の構造、二重結合や三重結合を有する不飽和基及び環状の基等の群から選択される単位構造が、単結合、−CH2CH2−、−COO−、トランス−CH=CH−、−CH2O−、−C≡C−、−CONH−、−N=N−、及びこれらの基の上の任意の−Hが−F、−Cl、又は炭素数1〜3のアルキル等で置き換えられた基等の群から選択される単位構造によって結合してなる構造、並びに液晶性又はメソゲン性を有する構造等が挙げられる。
【0107】
液晶性又はメソゲン性を有する構造とは、液晶相を誘起する性質を有する構造、例えば棒状、円盤状、又は板状の構造を指す。したがって本発明においては、剛直な直線構造を有する化合物の例としては、液晶性又はメソゲン性を有する構造を有する化合物も挙げられる。液晶性又はメソゲン性を有する構造を有する化合物とは、液晶相を誘起する性質を有する構造、例えば棒状、円盤状、又は板状の構造を分子中に少なくとも一つ有する化合物を指す。剛直な直線構造を有する化合物は、液晶性又はメソゲン性を有する構造を有していたとしても、その化合物自体が液晶相を発現しなくてもよい。
【0108】
本発明における「剛直な直線構造を主鎖に断続して複数有する」とは、剛直な直線構造が、主鎖中に連続して配置されず、剛直な直線構造以外の他の構造を介して主鎖中に配置されていることを言う。このような配置は、本発明の効果をより強力に得る観点から好ましい。但し、前記剛直な直線構造及び他の構造は、本発明の効果が得られる範囲で、主鎖中に連続して配置されていてもよい。
【0109】
なお、本発明において、分子構造に剛直な直線構造を有するビスマレイミドを特に「剛直な直線構造を有するビスマレイミド」とも呼び、分子構造に剛直な直線構造を有するジアミンを特に「剛直な直線構造を有するジアミン」とも呼ぶ。また、分子構造に剛直な直線構造を有さないビスマレイミドを「他のビスマレイミド」とも呼び、分子構造に剛直な直線構造を有さないジアミンを「他のジアミン」とも呼ぶ。
【0110】
本発明のマレイミド系高分子を構成するビスマレイミド及びジアミンの組合せとして、表1に示した組合せが挙げられる。
【0111】
【表1】

【0112】
例えば、組合せ番号8は、剛直な直線構造を有するビスマレイミド、剛直な直線構造を有するジアミン、他のビスマレイミド(剛直な直線構造を有するビスマレイミド以外のビスマレイミド)、及び他のジアミン(剛直な直線構造を有するジアミン以外のジアミン)を用いた本発明のマレイミド系高分子を表す。
【0113】
前記剛直な直線構造は、前記マレイミド系高分子において、前記マレイミド系高分子を
形成する全モノマーに対して、剛直な直線構造を有するモノマーの割合が10〜90モル%となるように含まれていることが好ましく、20〜80モル%となるように含まれていることがより好ましく、30〜70モル%となるように含まれていることがさらに好ましい。
【0114】
なお、本願発明において、左右が非対称である基は、左右がどちらの方向を向いていてもよいものと定義する(例えば、−COCH=CH−は、「−COCH=CH−」又は「−CH=CHCO−」のいずれかを意味する)。アルキル又はアルキレン中の−CH2−が−O−で置き換えられる場合、−O−が連続することはない。アルキル又はアルキレンは、直鎖又は分岐のどちらでもよいものとする。また、本願発明において、同一の記号が、同一の一般式又は異なる一般式に使用されているときは、それぞれの記号がその定義の範囲内で互いに独立した意味を有するものとする。
【0115】
本発明の樹脂組成物における前記マレイミド系高分子の含有量は、マレイミド系高分子の溶剤に対する溶解度や前記樹脂組成物の用途に応じて0.05〜80重量%の範囲から決めることができる。例えば樹脂組成物が液晶配向剤である場合では、前記マレイミド系高分子の含有量は0.1〜40重量%であることが好ましい。
【0116】
前記樹脂組成物の粘度は、その用途や採用する作業手段、マレイミド系高分子の濃度、マレイミド系高分子の種類、溶剤の種類と割合等の諸条件によって適宜に決めることができる。例えば樹脂組成物の用途が液晶配向剤であって、印刷機によって塗膜を形成する場合は、塗膜の十分な膜厚を得る観点及び印刷ムラの発生の抑制の観点から、樹脂組成物の粘度は5〜100mPa・sであることが好ましく、10〜80mPa・sであることがより好ましい。また、スピンコートによって塗膜を形成する場合は、樹脂組成物の粘度は5〜200mPa・sであることが好ましく、10〜100mPa・sであることがより好ましい。
【0117】
前記樹脂組成物の粘度は、回転粘度測定法により測定することができ、例えば回転粘度計(東機産業製TVE−20L型)を用いて25℃の測定温度で測定することができる。
【0118】
前記マレイミド系高分子は、ビスマレイミドとジアミンとの反応生成物の構造であって、ビスマレイミドのイミド環の開環を伴って生じるポリアミック酸ではなく、ビスマレイミドの不飽和結合へのジアミンのアミノ基の付加反応によって生じる、マイケル付加反応による重合体の構造を有する。
【0119】
前記マレイミド系高分子の重量平均分子量は、樹脂組成物を取り扱う際の作業性や品質(例えば溶解性、攪拌性、塗布性、印刷性等)の観点から、3,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜500,000であることがより好ましく、8,000〜250,000であることがさらに好ましく、10,000〜200,000であることがより一層好ましく、20,000〜150,000であることが特に好ましい。
【0120】
前記重量平均分子量は、測定機器にAlliance2695、WATERS社製を用い、展開溶剤に1%リン酸含有N,N−ジメチルホルムアミドを用い、標準試料として(ポリスチレン)を用い、カラムにHSPgel(登録商標) RTMB−M、WATERS社製を用いて液体クロマトグラフィー分析を行うことによって測定することができる。
【0121】
前記マレイミド系高分子は、剛直な直線構造を有するビスマレイミドとジアミンとの付加反応による重合体の構造を有していてもよいし、剛直な直線構造を有するジアミンとビスマレイミドとの付加反応による重合体の構造を有していてもよい。高分子量化の観点から、前記マレイミド系高分子は、剛直な直線構造を有するビスマレイミドとジアミンとの
付加反応による重合体の構造を多く有することが好ましい。本発明に使用するマレイミド系高分子は、二重結合同士の反応に起因する、高分子鎖の枝分かれ、架橋、又は着色が顕著な単位を多く有する高分子よりも、ビスマレイミドとジアミンとのマイケル付加反応による、直鎖状で着色の少ない単位を多く(例えばマレイミド系高分子の全量に対して50モル%以上)有する高分子であることが好ましい。
【0122】
前記マレイミド系高分子をビスマレイミドとジアミンとの付加反応によって調製する場合には、反応時(重合時)における副反応(二重結合同士の反応による高分子鎖の枝分かれ若しくは架橋に起因する、反応液の固化若しくはゲル化又は着色)を抑制する観点から、アルコール性又はフェノール性水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤を含む溶剤を、重合時に使用する溶剤として用いることが好ましい。
【0123】
これらの溶剤を、重合時に使用する溶剤として用いることにより得られたマレイミド系高分子は、比較的狭い分子量分布(分散度:Mw/Mn)を有する。例えば重量平均分子量が20,000の時の分子量分布が1.0〜3.0である高分子が挙げられ、重量平均分子量が200,000の時の分子量分布(分散度:Mw/Mn)が1.0〜5.0である高分子が挙げられる。
【0124】
重合時に使用する溶剤に用いるアルコール性又はフェノール性水酸基を有する溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族モノアルコール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール等の芳香族アルコール、エチレングリコール、グリセロール等の脂肪族ポリオール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコキシモノアルコール、並びにエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、フェノール、(o−、m−、又はp−)クレゾール及びこれらの混合物、(o−、m−、又はp−)クロロフェノール及びこれらの混合物等のフェノール類、或いは1)アルコール性水酸基及び2)アミド、エステル、及び環状エーテルからなる群から選択される一以上の基とを有する、高極性アルコールを含有する溶剤等を用いることができる。高極性アルコールとして、具体的には、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール等の水酸基含有エステル、及び下記式(1)〜(21)で表される化合物等が挙げられる。
【0125】
【化21】

【0126】
上記プロトン性アミド系溶剤として、具体的には下記式(22)〜(26)で表される化合物等が挙げられる。
【0127】
【化22】

【0128】
重合時に使用する溶剤に、前記アルコール性又はフェノール性水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤を用いる場合、その使用量は重合時に使用する溶剤の総和に対して10〜100重量%となる量であることが、反応時(重合時)における副反応(二重結合同士の反応による高分子鎖の枝分かれ又は架橋に起因する、反応液の固化若しくはゲル化又は着色)を抑制する観点から好ましい。また、これらの溶剤は一種でも、二種以上組み合わせてもよい。なお、重合反応後に反応液を、前記アルコール性又はフェノール性水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤以外の溶剤で希釈し、その結果、溶液中の前記アルコール性又はフェノール性水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤が、溶剤の総和に対して10重量%を下回ることになっても、何等問題は無い。
【0129】
前記溶剤のうち、前記アルコール性又はフェノール性水酸基を有する溶剤を含む溶剤を重合溶剤に用いることは、前記付加反応の過程における副反応による反応液の固化又はゲル化を抑制する観点から好ましい。
【0130】
重合時に使用する溶剤に、前記アルコール性水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤を用いる場合、臭気が少ないために重合時に使用する溶剤を含んだまま樹脂組成物として使用できるため、好ましい。これらの溶剤を用いる場合、反応時(重合時)における副反応(マレイミド基の開環)を抑制する観点からも好ましい。
【0131】
これらの溶剤を用いる場合、反応時(重合時)に触媒、例えばプロトン供与体、三級アミン、又はそれらを組み合わせた成分を反応系内に使用しなくても、高重合度のマレイミド系高分子が得られるため、好ましい。また、反応時(重合時)に触媒を反応系内に添加しなくてもよいため、不純物の混入が少ないマレイミド系高分子を得ることができ、品質の点で好ましい。さらに、重合後にマレイミド系高分子を精製する工程が不要であり、重合後の反応液をそのまま所望の用途に使用することができるため、工数の点で好ましい。
【0132】
なお、前記プロトン供与体としては無機酸(例えば塩化水素、硫酸、燐酸、若しくは過塩素酸等)、カルボン酸(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、若しくはトリフルオロ酢酸等)、フェノール類(例えばフェノール、クレゾール類、クロロフェノール類、キシレノール類、若しくはヒドロキノン等)、又は酸性の塩類(例えば塩化アンモニウム、硫化アンモニウム、塩化トリブチルアンモニウム、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、若しくは塩化アルミニウム等)等が挙げられ、三級アミン類としては例えばトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、又はジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。
【0133】
重合時に使用する溶剤に、前記高極性アルコール、又はプロトン性アミド系溶剤を用いる場合、高分子の溶解力が高く重合時の操作性及び樹脂組成物の保存安定性が良好であるため、好ましい。
【0134】
重合時に使用する溶剤に、前記ベンジルアルコール、又は2−フェニルエチルアルコール等の芳香族アルコールを用いる場合、剛直な構造の比率が高い組成の高分子の溶解力が高く重合時の操作性及び樹脂組成物の保存安定性が良好であるため、このような組成を使用する際には好ましい。
【0135】
前記重合溶剤に前記アルコール性又はフェノール性水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤を用いる場合、その使用量は、前記付加反応における原料であるビスマレイミド及びジアミンと前記溶剤との総和に対する前記原料の濃度が0.5〜70重量%となる量であることが前記付加反応の過程における反応液の固化又はゲル化を抑制する観点から好ましく、1〜50重量%となる量であることがより好ましい。
【0136】
前記マレイミド系高分子を得る際の反応(重合)温度は、モノマーの反応性等に応じて適宜変更してよい。好ましくは、−50℃〜溶剤の沸点である。より好ましくは、−20℃〜溶剤の沸点である。
【0137】
反応時間は、モノマーの反応性等に応じて適宜変更してよい。好ましくは1〜200時間である。より好ましくは、2〜100時間である。また、重合時の圧力としては常圧であることが好ましい。
【0138】
本発明のマレイミド系高分子は、上記ビスマレイミドと上記ジアミンとを等モル比で原
料として用いることで、マレイミド系高分子を上記高分子として含有する組成物を得ることができる。本発明でいう等モル比とは、原料中のビスマレイミドとジアミンのモル比が0.8:1.2〜1.2:0.8の割合で存在する原料を反応に供することで得ることが好ましく、原料のモル比が0.9:1.1〜1.1:0.9であることがより好ましい。原料中のビスマレイミドとジアミンのモル比が、等モル比又はジアミンのモル数が過剰である場合は、製造した高分子自体の安定性が良好であるため、好ましい。また、原料中のビスマレイミドとジアミンのモル比が、ビスマレイミドのモル数が過剰である場合は、製造した高分子をさらに重合用材料に使用する際には好ましい。
【0139】
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドは、剛直な直線構造とその両端に結合するマレイミド基とを有する。前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドは、下記式(MA)で表されるビスマレイミドを含む。前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドは、一種でも二種以上でもよい。
【0140】
【化23】

【0141】
前記式(MA)において
13は独立して単結合又は炭素数1〜30のアルキレンを表し、
14は独立して1,4−フェニレン、環を構成する原子数が8〜22の縮合環、又は1,4−シクロヘキシレンを表し、
15は独立して単結合又は−(CH2CH2ab2−を表し、
ab1は0〜4の整数を表し、ab2は0〜4の整数を表す。
ただしab1が0の時は、X14は環を構成する原子数が8〜22の縮合環を表す。
マレイミド基の−CH=CH−上の−Hは独立して炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてよく、
13のアルキレン中の−CH2−は、独立して−NH−、−NY2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中のマレイミド基の窒素原子と隣接しない−CH2−は独立して−O−、−CO−、−S−、−SO−、又は−SO2−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中のマレイミド基の窒素原子と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
15の−(CH2CH2ab2−中の−CH2−は、独立して−O−、−NH−、−CO−、−NY2−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、
15の−(CH2CH2ab2−中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、
13のアルキレン若しくは置き換えられたアルキレン上、又はX15の−(CH2CH2ab2−若しくは置き換えられた−(CH2CH2ab2−上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜20のアルキル、又は任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
14の1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、及び前記縮合環上の−Hは、それぞれ独立して、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜
3のアルキル、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜3のアルコキシ、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよく、
前記アルキル及びアルコキシの−CH2−は独立して−O−、−CO−又は−S−に置き換えられていてもよく、
(MA)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、Y22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよい。
【0142】
原子数が8〜22の縮合環は、炭素原子及びヘテロ原子の一方又は両方で構成される、二以上の環のそれぞれが隣接する個々の環と一辺を共有する環である。ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子が挙げられる。前記の縮合環としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、クマリン、テトラセン、クリセン、ピレン、ペンタセン、ピセン、ペリレン、及びアクリジンが挙げられる。
【0143】
なお、本発明において「置換基」とは、有機化合物上に化学的に結合した水素原子、例えばC−Hにおける−Hを「別の基」で置き換えた状態における、当該「別の基」を意味する。−Hの置換基としては、例えば−CH3等のアルキル又は−F等のハロゲンが挙げられる。
【0144】
前記式(MA)で表される剛直な直線構造を有するビスマレイミドとしては、例えば下記式(MA−1−1)〜(MA−1−3)、(MA−2−2)〜(MA−2−6)、(MA−3−1)、及び(MA−3−2)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0145】
【化24】

【0146】
式(MA−1−1)中、R111は−H、−OH、又は−Fを表し、R112は独立して−OH、−F、又は−Clを表し、a1は0〜5の整数を表す。ただしR111が−Hを表すとき、a1は1〜5の整数を表す。
【0147】
【化25】

【0148】
式(MA−1−2)中、R121は独立して−CH3、−OH、−OCH3、−SCH3、又は−Fを表し、a2は1〜5の整数を表す。
【0149】
【化26】

【0150】
式(MA−1−3)中、R131及びR132はそれぞれ−H、−CH3、又は−OHを表す。
【0151】
【化27】

【0152】
式(MA−2−2)中、R221は独立して−CH3、−CF3、−OH、−F、−Cl、又は−OCH3を表し、a4は独立して0〜4の整数を表す。ただしa4の総和は1以上である。
【0153】
【化28】

【0154】
式(MA−2−3)中、R231は独立して−CF3、−OH、−F、又は−OCH3を表し、a5は独立して0〜4の整数を表す。ただしa5の総和は1以上である。
【0155】
【化29】

【0156】
式(MA−2−4)中、R241は独立して−CH3、−CF3、−OH、−Cl、−Br、−OCH3、又は−OCH2CH3を表し、R242は−H又は炭素数1〜3の直鎖のアルキルを表し、a6は独立して0〜4の整数を表す。ただしR242が炭素数1〜3の直鎖のアルキルを表すとき、R241は独立して−Hを表すことがあり、a6の総和は1以上である。
【0157】
【化30】

【0158】
式(MA−2−5)中、R251は独立して−CH3、−OH、−Cl、又は−OCH3を表し、a7は独立して0〜4の整数を表す。ただしa7の総和は1以上である。
【0159】
【化31】

【0160】
式(MA−2−6)中、R261は独立して−CH3、−CF3、又は−Fを表し、a8は独立して0〜10の整数を表す。
【0161】
【化32】

【0162】
式(MA−3−1)中、R311は独立して−CH3、−CF3、−OH、−F、−Cl、又は−OCH3を表し、a9は独立して0〜4の整数を表す。ただしa9の総和は1以上である。
【0163】
【化33】

【0164】
式(MA−3−2)中、R321は独立して−CH3又は−CH(CH32を表し、R322は独立して−CH3又は−CH2CH3を表し、a10は独立して0〜4の整数を表す。
【0165】
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドとしては、例えば、下記式(MA−1−1−1)〜(MA−1−1−7)、(MA−1−2−1)〜(MA−1−2−12)、(MA−1−3−1)〜(MA−1−3−3)、(MA−1−4−1)、(MA−1−4−2)、(MA−1−5−1)、(MA−2−1−1)〜(MA−2−1−27)、(MA−2−2−1)〜(MA−2−2−10)、(MA−2−3−1)〜(MA−2−3−5)、(MA−2−4−1)〜(MA−2−4−24)、(MA−2−5−1)〜(MA−2−5−7)、(MA−2−6−1)〜(MA−2−6−7)、(MA−2−7−1)〜(MA−2−7−3)、(MA−2−8−1)、(MA−2−9−1)、(MA−3−1−1)〜(MA−3−1−14)、(MA−3−2−1)〜(MA−3−2−6)、(MA−3−3−1)〜(MA−3−3−4)、(MA−3−4−1)、(MA−3−5−1)、(MA−4−1−1)、及び(MA−4−2−1)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0166】
【化34】

【0167】
【化35】

【0168】
【化36】

【0169】
【化37】

【0170】
【化38】

【0171】
【化39】

【0172】
【化40】

【0173】
【化41】

【0174】
【化42】

【0175】
【化43】

【0176】
【化44】

【0177】
【化45】

【0178】
【化46】

【0179】
【化47】

【0180】
【化48】

【0181】
前記式(MA−1−1)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−1−1−1)〜(MA−1−1−7)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0182】
前記式(MA−1−2)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−1−2−1)〜(MA−1−2−12)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0183】
前記式(MA−1−3)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−1
−3−1)〜(MA−1−3−3)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0184】
前記式(MA−2−2)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−2−2−1)〜(MA−2−2−10)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0185】
前記式(MA−2−3)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−2−3−1)〜(MA−2−3−5)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0186】
前記式(MA−2−4)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−2−4−1)〜(MA−2−4−24)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0187】
前記式(MA−2−5)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−2−5−1)〜(MA−2−5−7)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0188】
前記式(MA−2−6)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−2−6−1)〜(MA−2−6−7)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0189】
前記式(MA−3−1)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−3−1−1)〜(MA−3−1−14)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0190】
前記式(MA−3−2)で表されるビスマレイミドとしては、例えば前記式(MA−3−2−1)〜(MA−3−2−6)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0191】
また前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドとしては、例えば、アルキレン基と液晶性又はメソゲン性とを有する構造を有するビスマレイミドも挙げられる。このようなビスマレイミドとしては、下記式(MA−3−11−1)〜(MA−3−11−14)、(MA−4−11−1)〜(MA−4−11−9)、及び(MA−5−11−1)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0192】
【化49】

【0193】
【化50】

【0194】
【化51】

【0195】
【化52】

【0196】
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドは、高分子を構成した時の作業性や品質(例えば溶解性、液晶配向剤に使用した際の耐ラビング性、リタデーション変化の経時安定性等)の観点から、前記式(MA−2−1−1)、(MA−2−1−2)、(MA−2−
1−4)、(MA−2−1−9)、(MA−2−1−15)、(MA−3−1−1)、(MA−2−2−1)、(MA−2−3−1)、(MA−2−4−1)、(MA−2−5−1)、(MA−2−6−1)、(MA−3−2−2)、(MA−2−7−2)、(MA−3−3−1)、(=MA−3−2−1)、(MA−3−3−3)、(MA−3−3−4)、(MA−3−4−1)、(MA−4−1−1)、(MA−2−8−1)、(MA−4−2−1)、(MA−3−5−1)、(MA−2−9−1)、(MA−1−1−1)、(MA−1−2−1)、(MA−1−3−1)、(MA−1−4−1)、(MA−1−5−1)、(MA−3−11−3)〜(MA−3−11−14)、(MA−4−11−1)〜(MA−4−11−9)、及び(MA−5−11−1)の群から選択される一以上を含むことが好ましく、前記式(MA−2−1−2)、(MA−2−1−4)、又は(MA−2−1−9)を含むことがより好ましい。
【0197】
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドは、市販品として、又は、前述した剛直な直線構造とその両端に結合するアミノ基とを有する、剛直な直線構造を有するジアミン(前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドのマレイミド基をアミノ基に置き換えてなるジアミン)と、このジアミンに対して2モル比以上の無水マレイン酸とを付加反応させ、次いで酸の存在下で脱水イミド化させる方法等の公知の方法(例えば特開平05−140096号公報に記載の方法等)によって、又はそれに準ずる合成方法によって得ることができる。
【0198】
本発明において、前記ビスマレイミドに剛直な直線構造を有するビスマレイミドを用いる場合、前記ビスマレイミドは、本発明の効果が得られる範囲において、前記剛直な直線構造を有するビスマレイミド以外の他のビスマレイミドによる構成単位を含んでいてもよい。前記他のビスマレイミドは、マレイミド系高分子の一種の構成単位として、前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドと併用することができる。また、本発明において、前記脂肪族ジアミン(VII−13)を用いる場合、前記ビスマレイミドに剛直な直線構造を有するビスマレイミドに加え、又はそれに代えて、他のビスマレイミドによる構成単位を含んでいてもよい。これらの発明において、前記他のビスマレイミドは、一種でも二種以上でもよい。
【0199】
前記他のビスマレイミドとしては、例えば、下記式(m−1)〜(m−6)で表されるビスマレイミドが挙げられる。
【0200】
【化53】

【0201】
前記ジアミンは、一級アミン及び二級アミンのいずれもよく、一種でも二種以上でもよい。前記ジアミンとしては、例えば下記式(I)で表されるジアミンが挙げられる。
【0202】
20−HN−X1−X1−X1−X1−X1−X1−X1−NH−Y20 (I)
【0203】
一般式(I)において、Y20は独立して下記一般式(XXIV)を表す。
〜A1−A1−A1−A1−A1−A1−A2 (XXIV)
【0204】
一般式(XXIV)において、
1は独立して単結合、炭素数1〜12のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
1がアルキレンである場合、
アルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NHと隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NHと隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよく、
1が環である場合、
環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、−N(Y22、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよい。
〜A3−A3−A3−A2 (XXII)
【0205】
一般式(XXII)において、
3は独立して単結合、直鎖又は分岐の炭素数1〜30のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
3がアルキレンである場合、
アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、
アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
3が環である場合、
環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよい。
【0206】
一般式(XXIV)又は一般式(XXII)において、
2は独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜40のアルキルを表し、
2がアルキルである場合、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0207】
式(I)中、X1は独立して単結合、炭素数1〜30のアルキレン、又は、骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を有する二価の基を表す。但し、X1の少なくとも一つは前記炭素数1〜30のアルキレン、又は前記骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表す。
【0208】
炭素数3〜30の環として、シクロアルカンとしては、好ましくは炭素数3〜10のシクロアルカンが挙げられる。具体例としては、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、及びジメチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0209】
炭素数3〜30の環として、ヘテロ原子を含むシクロアルカンとしては、好ましくは炭素数1〜10のヘテロ原子を含むシクロアルカンが挙げられる。具体例としては、例えばオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ジオキソオキサゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、ジオキソチアゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、及びヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フランが挙げられる。
【0210】
炭素数3〜30の環として、芳香族炭化水素環としては、好ましくは炭素数6〜18の芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜14の芳香族炭化水素環であり、さらに好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。
【0211】
具体的な芳香族炭化水素環としては、例えば単環系芳香族炭化水素環であるベンゼン、縮合二環系芳香族炭化水素環であるナフタレン、縮合三環系芳香族炭化水素環である、アントラセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、縮合四環系芳香族炭化水素環であるトリフェニレン、ピレン、ナフタセン、クリセン、縮合五環系芳香族炭化水素環であるペリレン、ピセン、及びペンタセンが挙げられる。
【0212】
炭素数3〜30の環として、ヘテロ芳香族炭化水素環としては、好ましくは炭素数2〜20のヘテロ芳香族炭化水素環、より好ましくは炭素数2〜15のヘテロ芳香族炭化水素環、特に好ましくは炭素数2〜10のヘテロ芳香族炭化水素環が挙げられる。また、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環基等が挙げられる。
【0213】
ヘテロ芳香族炭化水素環としては、例えば、フラン、チオフェン、ピラン、クロメン、イソクロメン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、インドリジン、フラザン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、9H−キサンテン、ベンゾ[b]チオフェン、フェノキサチイン、及びチアントレンが挙げられる。
【0214】
また、これらの環は、さらに1つ又は複数の環が組み合わされ又は架橋されて、縮合環、スピロ環、又はビシクロ環等を形成してもよい。これらの環としては、例えばシクロペンタ[a]フェナントレン(ステロイド)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、及びビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。
【0215】
前記X1における前記炭素数1〜30のアルキレン中の−CH2−は、独立して−NH−、−CHY1−、−C(Y12−、又は−NY1−で置き換えられてよく、前記アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NHY20と隣接しない−CH2−は独立して−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、Y22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよく、
アルキレン中の−NHY20と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
前記アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0216】
前記X1における前記骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を有する二価の基上の−Hは、独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、又はY1で置き換えられてよい。
【0217】
前記Y1は、独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は下記式(XXI)で表される基を表す。
【0218】
〜A1−A1−A1−A1−A1−A1−A2 (XXI)
式(XXI)中、A1は独立して単結合、炭素数1〜12のアルキレン、又は、骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表す。前記A1における炭素数1〜12のアルキレンにおいて、−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、前記アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよ
い。前記A1における、骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、−N(Y22、又は下記式(XXII)で表される基で置き換えられてよい。
【0219】
〜A3−A3−A3−A2 (XXII)
前記式(XXII)中、A3は独立して単結合、炭素数1〜12のアルキレン、又は骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表す。前記A3の前記炭素数1〜12のアルキレンにおいて、−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、前記アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよい。前記A3の前記骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよい。
【0220】
前記式(XXI)及び式(XXII)中、A2は独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜40のアルキルを表す。前記A2の前記炭素数1〜40のアルキルにおいて、−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、前記アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。また、前記式(I)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表す。ただし前記−CHY2−及び−C(Y22−において、Y2は−Hではない。
【0221】
なお、前記式(I)において、Y20は、他方のアミノ基のY20に、又は独立してX1に結合して環を形成してもよい。
【0222】
前記ジアミンとしては、例えば下記式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、及び(IX)で表されるジアミンが挙げられる。
【0223】
【化54】

【0224】
なお、本発明において「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基に脂肪族基が直接結合しているアミンを言う。このような脂肪族ジアミンとしては、例えば式(II)〜(IV)で表されるジアミンが挙げられる。
【0225】
前記式(II)中、X2は独立して炭素数1〜12のアルキレンを表す。前記X2の前記炭素数1〜12のアルキレンにおいて、−CH2−は独立して−NH−で置き換えられてよく、−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NHY21と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NHY21と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
前記アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてよい。
【0226】
前記式(II)〜(VIII)中、Y1は前記式(I)のY1と同じである。
前記式(IX)中、Y22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよい。
【0227】
前記式(II)中、Y21は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数1〜20のアルキレンを表し、前記アルキル又はアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキル又はアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えら
れてよく、
アルキル又はアルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキル又はアルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
このアルキル若しくはアルキレン、又は置き換えられたアルキル若しくは置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、Y21が前記の炭素数1〜20のアルキレンである場合は、Y21は、他方のアミノ基のY21に、又は独立してY1に結合して環を形成する。
【0228】
前記式(II)〜(VIII)中、aは独立して0〜4の整数を表す。
【0229】
前記式(IV)及び(VI)〜(VIII)中、X3は、独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−COO−、−NH−、−N(CH3)−(CH2m−N(CH3)−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、−S−(CH2m−S−(mは1〜6の整数を表す)、−COCH=CH−、−N=N−、又は−C≡C−を表す。
【0230】
前記式(IX)中、X4は独立して炭素数1〜6のアルキレン又はフェニレンを表し、lは1〜10の整数を表す。X4のフェニレン上の−Hは独立して炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよい。
【0231】
なお、前記式(III)〜(IX)中、−NH2は独立して二つの−Hのうちの一つの−Hが炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてよい。
【0232】
前記アルキル中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、アルキル中の−NH−と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−NH−と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、このアルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、で置き換えられてよい。
【0233】
また前記式(V)〜(VIII)中、ベンゼン環は独立してピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロリジン環、1H−1−ピリンジン環、1H−2−ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ステロイド環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾフラン環、クロメン環、イソクロメン環、9H−キサンテン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、又はフルオレン環等で置き換えられてよい。
【0234】
前記式(III)〜(VIII)中、−NH2と、シクロヘキサン環、ベンゼン環、又はベンゼン環が置き換えられたピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロリジン環、1H−1−ピリンジン環、1H−2−ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ステロイド環、ビシクロ[2
.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾフラン環、クロメン環、イソクロメン環、9H−キサンテン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、又はフルオレン環との間の単結合は、炭素数1〜12のアルキレンで置き換えられてよく、
このアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、
2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、
アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0235】
前記式(II)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(II−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0236】
【化55】

【0237】
前記式(II−1)中、X11は、0〜4個のY3を置換基として有する炭素数1〜12のアルキレンを表す。X11の前記炭素数1〜12のアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよい。
2は前記式(I)のY2と同じである。
アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NHY21と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NHY21と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてよい。
【0238】
前記式(II−1)中、Y3は独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、又は炭素数1又は2のアルキルを表す。Y3の炭素数1又は2のアルキルにおいて、−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、複数のY3が互いに結合して環を形成してもよい。
【0239】
式(II−1)中、Y21は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数1〜20のアルキレンを表し、
前記アルキル又はアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、
アルキル又はアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキル又はアルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキル又はアルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、このアルキル若しくはアルキレン、又は置き換えられたアルキル若しくは置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、Y21が前記の炭素数1〜20のアルキレンである場合は、Y21は、他方のアミノ基のY21に、又は独立してY3に結合して環を形成する。
【0240】
前記式(II−1)中、aは0〜4の整数を表す。
【0241】
前記式(III)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(III−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0242】
【化56】

【0243】
前記式(III−1)中、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。
【0244】
前記式(IV)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(IV−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0245】
【化57】

【0246】
前記式(IV−1)中、X6は独立して単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−COO−、−NH−、−C(CH32−、−C(CF32−、−COCH=CH−、−N=N−、−C≡C−、又は、Y3を置換基として0〜4有する−N(CH3)−(CH2m−N(CH3)−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、或いは−S−(CH2m−S−(mは1〜6の整数を表す)、を表す。前記式(IV−1)中、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。
【0247】
前記式(V)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(V−1)、(V−2)、及び(V−11)で表されるジアミンが挙げられる。
【0248】
【化58】

【0249】
前記式(V−1)中、Y4は独立してベンジル、−H、−F、−Cl、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、−NHY5、又は−N(Y52を表す。前記式(V−1)中、aは前記式(II−1)のaと同じである。Y5は独立して炭素数1〜30のアルキル又は炭素数2〜30のアルケニルを表す。
【0250】
前記式(V−2)中、X10は単結合、−O−、−COO−、−CO−、−CONH−、−(CH2m−(mは1〜6の整数を表す)、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−を表す。Y2は前記式(I)のY2と同じである。
【0251】
前記式(V−2)中、Y11はステロイド骨格、サクシニミド骨格、又はフタルイミド骨格を有する基、又は下記式(XXIII)で表される基を表す。
【0252】
【化59】

【0253】
前記式(XXIII)中、環Sは独立してシクロペンタン環、シクロヘキサン環、1,3−ジオキサン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、フェニレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、ナフタレン環、アントラセン環、インドール環、ステロイド環、又はヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン環を有する基を表す。環S上の−Hは独立して−F、−Cl、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、炭素数1〜30のアルキル、又はフェニルで置き換えられてよく、環S上の−Hがアルキルで置き換えられた場合、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。また、環S上の−Hがフェニルで置き換えられた場合、フェニル上の−Hは独立して、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられていてもよい。
【0254】
前記式(XXIII)中、Y12は独立して−F又は−CH3、又はサクシニミド環を有する基を表す。前記式(XXIII)中、Y13は−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルを表す。Y13の前記炭素数1〜30のアルキルにおいて、−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH32−O−Si(CH32−又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0255】
前記式(XXIII)中、A4は独立して、単結合、又は炭素数1〜12のアルキレンを表す。A4の前記炭素数1〜12のアルキレンにおいて、−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0256】
前記式(XXIII)中、bは独立して0又は1の整数を表し、c、d、及びeはそれぞれ0〜3の整数を表し、fは独立して0〜4の整数を表す。ただしc+d+e≧1でかつ6≧b+c+d+eである。
【0257】
前記式(V−11)中、Y14は独立して前記式(XXI)を表す。前記式(V−11)中、aは前記式(II−1)のaと同じである。
【0258】
前記式(VI)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VI−1)〜(VI−3)、(VI−11)、及び(VI−12)で表されるジアミンが挙げられる。
【0259】
【化60】

【0260】
前記式(VI−1)中、X6は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。
【0261】
前記式(VI−2)中、X6は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。前記式(VI−2)中、Y7は独立して炭素数1〜30のアルキル、シクロヘキシル、又はビシクロヘキシルを表す。Y7の前記シクロヘキシル又はビシクロヘキシル上の−Hは独立して炭素数1〜30のアルキルで置き換えられてもよい。
【0262】
前記式(VI−3)中、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を「−Y10−Y11を置換基として有する」とする以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じであり、X10及びY11は前記式(V−2)のX10及びY11と同じである。
【0263】
前記式(VI−11)中、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。前記式(VI−11)中、X5は−COCH=CH−、−N=N−、又は−C
≡C−を表す。
【0264】
前記式(VI−12)中、X6は、「Y3」を「Y14」とする以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じであり、Y14は前記式(V−11)のY14と同じである。
【0265】
前記式(VII)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VII−1)〜(VII−3)、(VII−11)、(VII−12)、及び(VII−13)で表されるジアミンが挙げられる。
【0266】
【化61】

【0267】
前記式(VII−1)中、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。
【0268】
前記式(VII−2)中、Y17は独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜20のアルキルを表す。Y17の前記炭素数1〜20のアルキルにおいて、−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。前記式(VII−2)中、aは前記式(II−1)の
aと同じである。
【0269】
前記式(VII−3)中、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、aは前記式(II−1)のaと同じであり、Y2は前記式(I)のY2と同じである。
【0270】
前記式(VII−11)中、X5は前記式(VI−11)のX5と同じであり、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。
【0271】
前記式(VII−12)中、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じであり、Y14は前記式(V−11)のY14と同じである。
【0272】
式(VII−13)中、X11は独立して炭素数1〜12のアルキレンを表し、環Rは独立して、骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、aは独立して0〜4の整数を表し、bは独立して0〜12の整数を表す。
【0273】
式(VII−13)のX11におけるアルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、このアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよい。
【0274】
式(VII−13)の環Rとアミノ基との間のアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
このアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0275】
式(VII−13)のアミノ基の−Hは独立して炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてよく、このアルキル中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、このアルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
このアルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
式(VII−13)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表す。ただし前記−CHY2−及び−C(Y22−において、Y2は−Hではない。
【0276】
式(VII−13)の環Rとしては、例えばシクロヘキサン環、ベンゼン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾー
ル環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロリジン環、1H−1−ピリンジン環、1H−2−ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ステロイド環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾフラン環、クロメン環、イソクロメン環、9H−キサンテン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、及びフルオレン環が挙げられる。
【0277】
前記式(VIII)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VIII−1)〜(VIII−4)、及び(VIII−11)で表されるジアミンが挙げられる。
【0278】
【化62】

【0279】
前記式(VIII−1)中、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。
【0280】
前記式(VIII−2)中、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。前記式(VIII−2)中、X8は単結合又は炭素数1〜3のアルキレンを表し、X9は単結合、1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンを表す。前記(VIII−2)中、Y8は−H又は炭素数1〜30のアルキルを表す。Y8の前記炭素数1〜30のアルキルにおいて、−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置
き換えられてよい。
【0281】
前記式(VIII−3)中、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。前記式(VIII−3)中、Y9は炭素数6〜30のアルキルを表し、Y10は炭素数1〜30のアルキルを表す。
【0282】
前記式(VIII−4)中、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y2は前記式(I)のY2と同じであり、aは前記式(II−1)のaと同じである。
【0283】
前記式(VIII−11)中、X5は前記式(VI−11)のX5と同じであり、X6は、「Y3を置換基として0〜4有する」を除く以外は前記式(IV−1)のX6と同じであり、Y3及びaは前記式(II−1)のY3及びaと同じである。
【0284】
前記式(IX)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(IX−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0285】
【化63】

【0286】
前記式(IX−1)中、X7は独立して炭素数1〜6のアルキレン又はフェニレンを表す。X7におけるフェニレン上の−Hは独立して炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよい。前記式(IX−1)中、Y6は独立して炭素数1〜3のアルキル又はフェニルを表し、lは1〜10の整数を表す。
【0287】
前記式(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(V−2)、(V−11)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)、(VI−11)、(VI−12)、(VII−1)、(VII−2)、(VII−3)、(VII−11)、(VII−12)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−3)、(VIII−4)、(VIII−11)、及び(IX−1)において、−NH2は独立して二つの−Hのうちの一つの−Hが炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてよい。前記−NH2上における前記炭素数1〜12のアルキルにおいて、−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は前記式(I)のY2と同じであり、
−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0288】
また、前記式(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(V−2)、(V−11)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)、(VI−11)、(VI−12)、(VII−1)、(VII−2)、(VII−3)、(VII−11)、(VII−12)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−3)、(VIII−4)、(VIII
−11)、及び(IX−1)において、一つの−NH2とシクロヘキサン環、ベンゼン環、又はX7とは、炭素数1〜12のアルキレンを介して結合してもよい。
−NH2と、シクロヘキサン環、ベンゼン環、又はベンゼン環が置き換えられたピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロリジン環、1H−1−ピリンジン環、1H−2−ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ステロイド環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾフラン環、クロメン環、イソクロメン環、9H−キサンテン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、又はフルオレン環との間の単結合は、炭素数1〜12のアルキレンで置き換えられてよく、
アルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は前記式(I)のY2と同じであり、
アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
【0289】
前記式(II−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(II−1−1)〜(II−1−14)及び(II−1−21)〜(II−1−30)で表されるジアミンが挙げられる。
【0290】
【化64】

【0291】
前記式(III−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(III−1−1)〜(III−1−5)で表されるジアミンが挙げられる。
【0292】
【化65】

【0293】
前記式(IV−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(IV−1−1)〜(IV−1−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0294】
【化66】

【0295】
前記式(V−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(V−1−1)〜(V−1−22)で表されるジアミンが挙げられる。
【0296】
【化67】

【0297】
前記式(V−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(V−2−1)〜(V−2−54)で表されるジアミンが挙げられる。
【0298】
【化68】

【0299】
【化69】

【0300】
【化70】

【0301】
【化71】

【0302】
前記式(V−2−1)〜(V−2−17)、及び(V−2−24)〜(V−2−40)中、Y2は前記式(I)のY2と同じである。
【0303】
前記式(V−2−41)中、Y5は炭素数1〜30のアルキル又は炭素数2〜30のアルケニルを表す。
【0304】
前記式(V−2−48)及び式(V−2−50)〜(V−2−52)中、Y16は独立して−H、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜29のアルコキシ、又は炭素数2〜30のアルケニルを表す。
【0305】
前記式(V−11)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(V−11−1)〜(V−11−19)で表されるジアミンが挙げられる。
【0306】
【化72】

【0307】
【化73】

【0308】
【化74】

【0309】
前記式(VI−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VI−1−1)〜(VI−1−41)で表されるジアミンが挙げられる。
【0310】
【化75】

【0311】
【化76】

【0312】
【化77】

【0313】
前記式(VI−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VI−2−1)〜(VI−2−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【0314】
【化78】

【0315】
前記式(VI−2−1)〜(VI−2−4)中、Y15は独立して炭素数3〜30のアルキル、炭素数3〜29のアルコキシ、又は炭素数3〜30のアルケニルを表す。また前記式(VI−2−5)〜(VI−2−8)中、Y16は前記式(V−2−48)及び式(V−2−50)〜(V−2−52)のY16と同じである。
【0316】
前記式(VI−3)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VI−3−1)及び(VI−3−2)で表されるジアミンが挙げられる。
【0317】
【化79】

【0318】
前記式(VI−3−1)中、Y15は前記式(VI−2−1)〜(VI−2−4)のY15と同じであり、前記式(VI−3−2)中、Y16は前記式(V−2−48)及び式(V−2−50)〜(V−2−52)のY16と同じである。
【0319】
前記式(VI−11)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VI−11−1)〜(VI−11−16)で表されるジアミンが挙げられる。
【0320】
【化80】

【0321】
【化81】

【0322】
前記式(VI−12)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VI−12−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0323】
【化82】

【0324】
前記式(VII−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VII−1−1)〜(VII−1−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【0325】
【化83】

【0326】
前記式(VII−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VII−2−1)〜(VII−2−15)で表されるジアミンが挙げられる。
【0327】
【化84】

【0328】
【化85】

【0329】
前記式(VII−3)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VII−3−1)〜(VII−3−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0330】
【化86】

【0331】
前記式(VII−11)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VII−11−1)〜(VII−11−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【0332】
【化87】

【0333】
前記式(VII−12)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VII−12−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0334】
【化88】

【0335】
前記式(VII−13)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VII−13−1)〜(VII−13−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0336】
【化89】

【0337】
前記式(VIII−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VIII−1−1)〜(VIII−1−16)で表されるジアミンが挙げられる。
【0338】
【化90】

【0339】
前記式(VIII−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VIII−2−1)〜(VIII−2−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【0340】
【化91】

【0341】
【化92】

【0342】
前記式(VIII−2−1)〜(VIII−2−8)中、Y16は前記式(V−2−48)及び式(V−2−50)〜(V−2−52)のY16と同じである。
【0343】
前記式(VIII−3)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VIII−3−1)〜(VIII−3−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0344】
【化93】

【0345】
前記式(VIII−3−1)〜(VIII−3−3)中、Y16は前記式(V−2−48)及び式(V−2−50)〜(V−2−52)のY16と同じであり、Y9は前記式(VIII−3)のY9と同じである。
【0346】
前記式(VIII−4)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VIII−4−1)〜(VIII−4−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【0347】
【化94】

【0348】
前記式(VIII−11)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VIII−11−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0349】
【化95】

【0350】
前記式(IX−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(IX−1−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0351】
【化96】

【0352】
さらに前記ジアミンとしては、例えばナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、及びフルオレン構造を有するフルオレン系ジアミンが挙げられる。
【0353】
前記ジアミンには、剛直な直線構造を有するジアミン又は他のジアミンを適宜に用いることができる。このような他のジアミンとしては、例えば側鎖構造を有するジアミンが挙げられる。側鎖構造を有するジアミンとしては、例えば、下記式(II−2)で表されるジアミン、及び下記式(V−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0354】
【化97】

【0355】
式(II−2)において、X11は−X12−Y11を置換基として一つ有する炭素数1〜12のアルキレンを表し、式(V−3)において、X11は独立して炭素数1〜12のアルキレンを表し、X11のアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
11のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてよい。
【0356】
式(II−2)において、Y11はステロイド骨格、サクシニミド骨格、又はフタルイミド骨格を有する基、又は前記式(XXIII)で表される基、を表す。
また式(II−2)において、X12は単結合又は二価の有機基を表す。
【0357】
式(V−3)において、X13は独立して単結合、又は炭素数1〜30のアルキレンを表し、X13がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、−NY2−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、Y22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよく、X13のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、X13のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよい。
【0358】
式(II−2)及び(V−3)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表す。ただし前記−CHY2−及び−C(Y22−において、Y2は−Hではない。
【0359】
式(II−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(II−2−1)〜(II−2−4)で表されるジアミンが挙げられる。また式(V−3)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(V−3−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0360】
【化98】

【0361】
前記ジアミンは、脂肪族ジアミンを含むことが、ビスマレイミドとの反応性の観点から好ましい。前記脂肪族ジアミンは、適度な柔軟性を高分子に付与する観点から一般式(II−1−1)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、(VI−1−40)であることが好ましい。
【0362】
特にマレイミド系高分子を構成するモノマーとしてジアミンに脂肪族ジアミンを用いる場合には、反応時(重合時)に触媒、例えばプロトン供与体、三級アミン、又はそれらを組み合わせた成分を反応系内に使用しなくても、高重合度のマレイミド系高分子が得られるため、好ましい。また、反応時(重合時)に触媒を反応系内に添加しなくてもよいため、不純物の混入が少ない高分子を得ることができ、品質の点で好ましい。さらに、重合後に高分子を精製する工程が不要であり、重合後の反応液をそのまま所望の用途に使用することができるため、工数の点で好ましい。あるいは、高分子溶液を使用して被膜を形成する際に、臭気、毒性、又は腐食性のある蒸気の発生が抑制されるため、好ましい。
【0363】
なお、前記プロトン供与体としては無機酸(例えば塩化水素、硫酸、燐酸、若しくは過塩素酸等)、カルボン酸(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、若しくはトリフルオロ酢酸等)、フェノール類(例えばフェノール、クレゾール類、クロロフェノール類、キシレノール類、若しくはヒドロキノン等)、又は塩類(例えば塩化アンモニウム、硫化アンモニウム、塩化トリブチルアンモニウム、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、若しくは塩化アルミニウム等)等が挙げられ、三級アミン類としては例えばトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、又はジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。
【0364】
また、前記脂肪族ジアミンは、剛直性を高分子に付与する観点から、前述した剛直な直線構造を有するジアミン、例えば前記式(VII−13)で表されるジアミン、を含むことが好ましく、より具体的には、一般式(VII−13−1)〜(VII−13−4)の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0365】
前記ジアミンは、液晶配向剤において要求される特性に応じて適宜使用できる。例えば、IPS型液晶表示素子用の液晶配向剤には、側鎖構造を有さないジアミンの使用が好ましい。一方、TN型又はVA型液晶表示素子用の液晶配向剤には、側鎖構造を有するジアミンの使用が好ましい。配向性側鎖構造を有するジアミンとは、例えば二つのアミノ基を結ぶ二価の基を主鎖としたときに、主鎖から分岐する置換基(側鎖)を有し、かつ液晶に対して垂直配向性又はプレチルト角を発現させる性質を有するジアミンである。側鎖は、要求される配向性に応じて適宜選択すればよい。このような特性に応じたジアミンは、前記マレイミド系高分子の構成単位として一種又は二種以上のジアミンとして用いることができる。
【0366】
前記ジアミンでは、二つのアミノ基が同じ六員環の炭素に結合している場合は、例えば、剛直な構造の導入を重視する場合は互いにパラに結合していることが好ましく、柔軟な構造の導入を重視する場合は互いにメタに結合していることが好ましく、その目的に応じて適宜選択することが出来る。
【0367】
前記ジアミンは、脂肪族ジアミンを含むことが好ましい。具体的には、前記ジアミンが一般式(II−1−1)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、(VI−1−40)、及び(VII−13−1)〜(VII−13−4)の群から選択される一つ以上のジアミンを含むことが好ましい。剛直でない構造であるビスマレイミドの比率が高い場合は、前記ジアミンは、(VII−13−1)〜(VII−13−4)の群から選択される一つ以上のジアミンを含むことが好ましい。
【0368】
IPS型液晶表示素子用の液晶配向剤用に用いられるジアミンとしては、例えば前記式(II−1−1)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、(VI−1−40)、及び(VII−13−1)〜(VII−13−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0369】
TN型液晶表示素子用の液晶配向剤用に用いられるジアミンとしては、例えば前記式(前記式(II−1−1)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、(VI−1−40)、及び(VII−13−1)〜(VII−13−4))で表されるジアミン)、及びこれに加えて(II−2−1)〜(II−2−4)、及び(V−3−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0370】
VA型液晶表示素子用の液晶配向剤用に用いられるジアミンとしては、例えば前記式(前記式(II−2−1)〜(II−2−4)、及び(V−3−1)で表されるジアミン、及びこれに加えて(II−1−1)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、(VI−1−40)、及び(VII−13−1)〜(VII−13−4))で表されるジアミンが挙げられる。
【0371】
本発明のマレイミド系高分子は、上記ビスマレイミドと上記ジアミンとをマイケル付加反応によって反応させて得ることができるが、ビスマレイミドの一部をビスビニルスルホン系化合物で、ジアミンの一部をビスチオール系化合物で置き換えてもよい。
【0372】
ビスビニルスルホン系化合物は、具体的には下記式(VS−1)及び(VS−2)で示された化合物が挙げられる。
【0373】
【化99】

【0374】
ビスビニルスルホン系化合物の添加量は、適切な分子量の高分子を得る観点から、ビスマレイミド/ビスビニルスルホン系化合物のモル比が100/0〜10/90であることが好ましい。
【0375】
ビスチオール系化合物は、具体的には下記式(HS−1)及び(HS−2)で示された化合物が挙げられる。
【0376】
【化100】

【0377】
ビスチオール系化合物の添加量は、適切な分子量の高分子を得る観点から、ジアミン/ビスチオール系化合物のモル比が100/0〜50/50であることが好ましい。
【0378】
本発明の樹脂組成物に使用する溶剤は、一種でも二種以上を混合してもよい。前記溶剤は、種々の観点から適宜選択され得る。例えば、前記溶剤は組成物の粘度等の物性の調整、取り扱いの容易さ、工程の簡略化等の観点から用いることができる。前記溶剤としては、本発明の組成物に使用する高分子の調製に用いられる水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤が挙げられる。これらの中でも、樹脂の溶解力が高く、重合時に使用する溶剤として副反応(ゲル化、着色)を抑制する効果を有し、臭気が少ないために重合時に使用する溶剤を含んだまま樹脂組成物として使用できる観点から、前記高極性アルコール、又はプロトン性アミド系溶剤を含むことが好ましい。前記高極性アルコールは、1)アルコール性水酸基、並びに、2)環状アミド、鎖状エステル、鎖状アミド及び環状エーテルからなる群から選択される一以上の基を有する。
【0379】
本発明の組成物には、上記マレイミド系高分子と上記水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を含有することが好ましいが、それらに加えて又はそれらに代えて、さらなる成分を含有してもよい。このようなさらなる成分としては、例えば溶剤、及び各種添加剤が挙げられる。
【0380】
前記溶剤は、種々の観点から適宜選択され得る。例えば前記溶剤は、組成物の粘度等の物性の調整、取り扱いの容易さ、工程の簡略化等の観点から用いることができる。溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。前記溶剤としては、例えば上記マレイミド系高分子を溶解させる能力の高い極性溶剤、及び表面張力を変えて組成物の塗布性を改善する能力の高い塗布性改善溶剤が挙げられ、前記溶剤はこれらを含む混合溶剤であることも好ましい。本発明の組成物を塗布用組成物として用いる場合には、本発明の組成物に上記塗布性改善溶剤を含有する態様が好ましく例示できる。
【0381】
前記極性溶剤としては、例えば前記プロトン性アミド系溶剤が挙げられるが、それ以外にN−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N
,N−ジエチルアセトアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトン等が挙げられる。前記極性溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N’−ジメチルイミダゾリジノンからなる群から選ばれる一以上であることが好ましい。
【0382】
前記塗布性改善溶剤としては、例えば前記高極性アルコールが挙げられるが、それ以外に3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキル又はフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びこれらにおけるアセテート類等のエステル化合物が挙げられる。前記塗布性改善溶剤は、前記高極性アルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる一以上が挙げられる。
【0383】
前記溶剤として、極性溶剤又は塗布性改善溶剤の他にも、構造別に以下の例を挙げることができる。
ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、及びテトラヒドロフラン等のエーテル系、
酢酸エチル、酢酸ブチル等の鎖状エステル系、
アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系、
トルエン、キシレン等の芳香族系。
【0384】
上記極性溶剤と塗布性改善溶剤を併用する場合、上記極性溶剤と上記塗布性改善溶剤の種類及び割合は、例えば、その印刷性、塗布性、溶解性及び保存安定性等を考慮して、適宜に設定することができる。極性溶剤は、塗布性改善溶剤よりも相対的に高分子の溶解性及び高分子溶液の保存安定性に優れる。これに対し、塗布性改善溶剤は極性溶剤よりも印刷性及び塗布性に優れる。
【0385】
前記添加剤は、樹脂組成物を各種用途に用いる際の特定の性質を向上させる目的で用いられる成分であればよく、一種を用いても、二種以上を混合して用いてもよい。上記添加剤としては、それぞれの目的に応じて用いられるマレイミド系高分子以外の高分子化合物及び低分子化合物が挙げられる。上記高分子化合物としては、例えばポリアミド及びポリイミドが挙げられる。また、上記低分子化合物としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。
【0386】
溶剤全重量に対する前記高極性アルコールの含有量は、取扱い性(高分子の溶解性、及び塗布性等)のバランスの観点から、1〜100重量%であることが好ましく、2〜100重量%であることがより好ましく、4〜100重量%であることがさらに好ましく、20〜100重量%であることが特に好ましい。
【0387】
溶剤全重量に対する、アルコール性水酸基を有する溶剤の含有量は、取扱い性(高分子の溶解性、及び塗布性等)のバランスの観点から、0.5〜70重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることがより好ましく、2〜50重量%であることがさらに好ましい。
【0388】
前記のフェノール性水酸基を有する溶剤は、前記マレイミド系高分子を溶解させる能力が高いため、臭気及び毒性を問題としない場合は使用することができる。使用する場合、溶剤全重量に対する前記フェノール性水酸基を有する溶剤の含有量は、高分子を溶解させる能力の観点から、0〜100重量%であることが好ましく、1〜100重量%であることがより好ましく、10〜100重量%であることがさらに好ましい。
【0389】
溶剤全重量に対する前記極性溶剤の含有量は、マレイミド系高分子を溶解させる能力の観点から、0〜95重量%であることが好ましく、1〜90重量%であることがより好ましく、5〜80重量%であることがさらに好ましい。
【0390】
溶剤全重量に対する前記塗布性改善性溶剤の含有量は、表面平滑性等の印刷性の観点から、5〜95重量%であることが好ましく、10〜90重量%であることがより好ましく、20〜80重量%であることがさらに好ましい。
【0391】
溶剤全重量に対するエーテル系、エステル系、ケトン系、又は芳香族系溶剤の含有量は、作業性の観点から、前記溶剤の全量に対して0〜70重量%であることが好ましく、0.5〜50重量%であることがより好ましく、1〜50重量%であることがさらに好ましい。
【0392】
本発明の樹脂組成物は、その用途に応じた添加剤を、その用途に応じた適量でさらに含有していてもよい。例えば前記樹脂組成物は、前記の剛直な直線構造を主鎖に断続して複数含まない他のマレイミド系高分子を、本発明の効果が得られる範囲でさらに含有していてもよい。
【0393】
本発明の液晶配向膜は、前述した液晶配向剤としての本発明の樹脂組成物から形成される。前記液晶配向膜は、ポリイミド系の液晶配向剤からの液晶配向膜の作製と同様の方法、すなわち塗膜を形成する工程、形成された塗膜を加熱処理する工程、及び必要により配向処理を行う工程を含む方法によって作製することができる。
【0394】
前記塗膜の形成工程は、例えば液晶表示素子用の基板、又はフッ化カルシウムやシリコン等の測定用の基板に本発明の液晶配向剤を塗布することによって行うことができる。また前記加熱処理工程は、得られた塗膜を例えば50〜400℃、好ましくは120〜280℃に1分間〜3時間、好ましくは1分間〜1時間、加熱することによって行うことができる。ここで液晶配向膜の膜厚は、10〜300nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。
【0395】
また、前記液晶配向膜の作製は、用途に応じたさらなる工程を含んでいてもよい。このようなさらなる工程としては、例えば、IPS型用の液晶配向膜又はTN型用の液晶配向膜を作製する場合における、加熱処理して得られた液晶配向膜中の高分子の主鎖を一方向に配向させるラビング処理する工程が挙げられる。
【0396】
また、前記液晶配向膜の作製は、材料に応じたさらなる工程を含んでいてもよい。このようなさらなる工程としては、例えば、前記マレイミド系高分子が前記剛直な直線構造がアゾ基、炭素間二重結合、炭素間三重結合のような光配向性を有する基を含む場合、このようなマレイミド系高分子を含有する液晶配向剤の塗膜に紫外線等の放射線を照射して塗膜中のマレイミド系高分子を一方向に配向させる工程が挙げられる。このような光配向工程を適用できる前記液晶配向剤としては、前記マレイミド系高分子の全構成単位に対して前記光配向性を有する基を含む構成単位の割合が5%以上であるマレイミド系高分子を含有する液晶配向剤が挙げられる。このような光配向工程は、例えば特開2007−248637号公報や特開2007−279691号公報に記載されているように行うことができる。
【0397】
前記液晶配向膜の膜厚は、液晶配向剤の粘度や液晶配向剤の塗布方法によって調整することができる。また液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。さらに液晶配向膜中の成分は、必要に応じて加水分解等の処理を行い、IRやMS等の通常の分析手段を利用して分析することができる。
【0398】
本発明の液晶表示素子は、前述した本発明の液晶配向膜を有する。本発明の液晶表示素子の構成は、液晶配向膜が前述した本発明の液晶配向膜である以外は、特に限定されない。
【0399】
例えば前記液晶表示素子は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極と、前記一対の基盤それぞれの対向している面に形成されている本発明の液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成されている液晶層を有する。
【0400】
前記対向配置された一対の電極付き基板は、透明基板(例えばガラス基板)であることが好ましい。
【0401】
前記一対の基板の少なくとも一方又は両方の基板の表面には、液晶表示素子の形態に応じて電極が設けられる。前記電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。電極は、基板の表面の全体に形成されていてもよいし、例えばパターン化されている所定の形状に形成されていてもよい。また電極は一対の基板の一方のみに設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。
【0402】
本発明の液晶配向膜は、電極の表面又は基板の表面に形成される。本発明の液晶配向膜の形成については前述したとおりである。
【0403】
前記一対の基板間に挟持された液晶層は液晶組成物を含む。ここで液晶組成物は特に制限はされず、駆動モードに応じて、誘電率異方性が正の液晶組成物及び誘電率異方性が負の液晶組成物のいずれの組成物も用いることができる。前記誘電率異方性が正又は負の液晶組成物に、一つ以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
【0404】
本発明の液晶表示素子は、もちろんその他の部材を有していてもよい。
【0405】
本発明の液晶表示素子は任意の方法で製作され得るが、例えば前述の方法をまとめると、1)前記二枚の透明基板上に液晶配向剤を塗布する工程(塗膜形成工程)、2)塗布された液晶配向剤を加熱処理により乾燥する工程、3)必要に応じて得られた液晶配向膜を配向処理する工程、4)二枚の基板を張り合わせた後に、基板の間に液晶組成物を封入する工程、又は一方の基板に液晶組成物を滴下させた後に、もう一方の基板と張り合わせる工程を含む方法で製作される。
【0406】
前記液晶配向剤を塗布する工程における塗布方法としては、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。
【0407】
また、前記加熱処理工程を施す方法として、オーブン又は赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。加熱処理は一回で行う方法、複数回に分けて行う方法、徐
々に温度を上昇させながら行う方法のいずれでもよいが、発泡を防ぐための低温での乾燥と、溶剤を十分に除くための高温での乾燥とを組み合わせる方法が好ましい。すなわち、一回目の加熱処理の工程は、溶剤の緩やかな蒸発が可能な範囲内の比較的低温(50〜140℃)で実施することが好ましい。二回目の加熱処理の工程は残存した溶剤をできるだけ除く目的で比較的高温(140〜400℃)で行うことが好ましい。また、比較的低温(50〜140℃)で加熱処理を開始し、その後徐々に温度を上昇させて比較的高温(140〜400℃)で加熱処理を終了する方法も好ましい。
【0408】
配向処理工程は、IPS型液晶表示素子又はTN型液晶表示素子では例えばラビング処理を行う。
【0409】
次いで、一方の基板上に接着剤を塗布し貼りあわせ真空中で液晶を注入する。滴下注入法の場合には、貼りあわせる前に液晶組成物を基板上に滴下し、その後もう一方の基板で貼りあわせる。貼りあわせに使用した接着剤を熱又は紫外線で硬化させて本発明の液晶表示素子が作製される。
【0410】
本発明の液晶表示素子には、偏光板(偏光フィルム)、波長板、光散乱フィルム、駆動回路等が実装されてもよい。
【0411】
本発明の樹脂組成物は、そのまま用いて、あるいは他の公知の成分を加え、従来公知の方法を用いて被覆材料、絶縁材料、プリント配線基板用材料、又はガス分離材用材料とすることができる。被覆材料としては、塗料、印刷用インキ、表面保護材料等のコーティング剤等が挙げられる。このような用途で前記組成物を用いる場合、各用途に応じても異なるが、前記組成物中のマレイミド系高分子の含有量は、各用途の材料全量に対して0.5〜50重量%であることが好ましい。
【0412】
被覆材料、絶縁材料、プリント配線基板用材料、又はガス分離材用材料とする場合には、他の成分を加える場合、例えば、着色剤、鉱油、充填剤、エラストマー、酸化防止剤、安定剤、消泡剤、伸展剤、可塑剤、触媒、顔料、顔料ペースト、補強材、流動制御剤、レベリング剤、粘稠化剤、燃焼遅延剤、硬化剤、硬化可能な化合物、他の樹脂を加えることができる。他の樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられる。
【0413】
これらの材料は、前記組成物中のマレイミド系高分子を該材料全量に対して0.5〜50重量%含有することが作業性の観点から好ましい。また、これらの材料は、前記組成物を原料として用い、例えば、各材料を添加した後、攪拌・混練の操作を経ることで得られる。
【0414】
本発明のマレイミド系高分子は、前記式(MA)で表されるビスマレイミドとジアミンとの反応生成物の構造を有する。又は、本発明のマレイミド系高分子は、前記式(MA)で表されるか又は他のビスマレイミドと、前記式(VII−13)で表されるジアミンとの反応生成物の構造を有する。
【0415】
本発明のマレイミド系高分子としては、例えば、前記式(MA−2−1−2)で表されるビスマレイミドと、前記式(IV−1−1)で表されるビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン又は前記式(II−1−22)で表されるN,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサンとの反応生成物の構造を有するマレイミド系高分子が挙げられる。
【0416】
本発明のマレイミド系高分子は、対応するビスマレイミドとジアミンとの前述した付加反応によって製造することができる。原料である前記ビスマレイミドは、前述したジアミンと無水マレイン酸との酸化還元反応及び脱水縮合反応によって製造することができる。
また本発明のマレイミド系高分子は、NMR、IR、及びMS等の通常の分析手段を利用して確認することができる。
【0417】
本発明のビスマレイミドは、前記式(MA−1−1)〜(MA−1−3)、(MA−2−2)〜(MA−2−6)、(MA−3−1)、(MA−3−2)、(MA−2−1−19)〜(MA−2−1−27)、(MA−2−7−2)、(MA−2−7−3)、(MA−1−4−1)、及び(MA−1−5−1)のいずれかで表される。本発明のビスマレイミドは、前述したジアミンと無水マレイン酸とを付加反応させ、次いで酸の存在下で脱水イミド化させることによって製造することができる。また本発明のビスマレイミドは、NMR、IR、及びMS等の通常の分析手段を利用して確認することができる。
【実施例】
【0418】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例において用いる化合物は次の通りである。
・ビスマレイミド
3,3’−ジメチル−4,4’−ビスマレイミドビフェニル:(MA−2−1−2)
ビス(4−マレイミド−3−メチル−5−エチルフェニル)メタン:(m−2)(大和化成工業株式会社製)
・ジアミン
ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン:(IV−1−1)
N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン:(II−1−22)
ピペラジン:(II−1−24)
3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン:(VI−1−41)
・溶剤
テトラヒドロフルフリルアルコール:S1
N−メチル−2−ピロリドン:S2
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル):S3
【0419】
【化101】

【0420】
[製造例1](MA−2−1−2)の製造
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた500mLの四つ口フラスコにS2を100mL及び(VI−1−41)を18.362g(86.495mmol)入れ、乾燥窒素気流下、攪拌、溶解した。次いで、得られた溶液に、氷冷下、無水マレイ
ン酸を18.659g(190.29mmol)加えて、室温で3時間反応させた。反応中に反応温度が上昇する場合は、反応温度を約70℃以下に抑えて反応させた。3時間後、3.0gのp−トルエンスルホン酸を300mLのキシレンに溶解した溶液を反応液に加え、徐々に加熱し昇温した。還流が始まったら、生成した水を系外に除きながら反応を7時間継続した。反応終了後室温まで冷却して、析出した固体を濾取した。固体を水で洗浄し、S2を用いて再結晶を行い、(MA−2−1−2)を19.325g(51.897mmol、収率60%)得た。
【0421】
[実施例1]マレイミド系高分子溶液PM1の製造
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに(IV−1−1)を1.591g(7.565mmol)、及びS1を23.5g入れ、乾燥窒素気流下、攪拌、溶解した。次いで、得られた溶液に、(MA−2−1−2)を4.409g(7.565mmol)、及びS1を23.5g加えて、室温環境下で24時間反応させた。24時間後、S2を反応液に47.0g加えて均一になるまで攪拌して、濃度が6重量%のマレイミド系高分子の溶液を得た。この高分子溶液をPM1とする。PM1の組成及び物性を表1に示す。
【0422】
なお、PM1の粘度は回転粘度測定法によって測定した。より詳しくは、PM1の粘度は、回転粘度計(東機産業製TVE−20L型)を用いて25℃にて測定した。また、PM1の重量平均分子量Mwは、測定機器にAlliance2695、WATERS社製を用い、展開溶剤に1%リン酸含有N,N−ジメチルホルムアミドを用い、標準試料として(ポリスチレン)を用い、カラムにHSPgel(登録商標) RTMB−M、WATERS社製を用いて液体クロマトグラフィー分析を行うことによって測定した。
【0423】
[実施例2]マレイミド系高分子溶液PM2の製造
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに(II−1−22)を1.191g(8.253mmol)、及びS1を23.5g入れ、乾燥窒素気流下、攪拌、溶解した。次いで、得られた溶液に、(MA−2−1−2)を4.809g(8.253mmol)、及びS1を23.5g加えて、室温環境下で24時間反応させた。24時間後、S2を反応液に47.0g加えて均一になるまで攪拌して、濃度が6重量%のマレイミド系高分子の溶液を得た。この高分子溶液をPM2とする。さらにPM2の物性をPM1と同様に測定した。PM2の組成及び物性を表1に示す。
【0424】
[比較例1]マレイミド系高分子溶液PM3の製造
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコに(II−1−24)を0.978g(11.35mmol)、及びS1を23.5g入れ、乾燥窒素気流下、攪拌、溶解した。次いで、得られた溶液に、(m−2)を5.022g(11.35mmol)、及びS1を23.5g加えて、室温環境下で24時間反応させた。24時間後、S2を反応液に47.0g加えて均一になるまで攪拌して、濃度が6重量%のマレイミド系高分子の溶液を得た。この高分子溶液をRPM1とする。さらにRPM1の物性をPM1と同様に測定した。PM3の組成及び物性を表2に示す。
【0425】
【表2】

【0426】
実施例1及び2では、液体クロマトグラフィー分析により高分子量のマレイミド系高分子が得られ、またそのピークは単一であり、かつ狭い分子量分布(低い分散度)を有するものであった。
【0427】
[実施例3]液晶配向剤の作製
実施例1で得られた6重量%の高分子溶液PM1に、S2/S3=1/1(重量比)の混合溶剤を加えて、全体を高分子の濃度が4重量%となるように希釈して液晶配向剤Aを得た。
【0428】
[比較例2]
高分子溶液PM1に代えて高分子溶液RPM1を用いた以外は実施例3と同様にして、液晶配向剤Bを得た。
【0429】
[実施例4]液晶配向膜及び液晶表示素子の作製
液晶配向剤Aを、二枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、210℃にて20分間加熱処理を行い、液晶配向膜Aを形成した。
【0430】
次いで、液晶配向膜が形成された基板の表面をラビング装置にてラビング処理して配向処理を行った。まず、得られた液晶配向膜Aを株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置を用いて、ラビング布(毛足長1.8mm:レーヨン)の毛足押し込み量0.40mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1,000rpmの条件でラビング処理した。その後、液晶配向膜を超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
【0431】
一方のガラス基板に7μmのギャップ材を散布し、液晶配向膜を形成した面を内側にしてラビング方向が逆平行になるように対向配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ7μmのアンチパラレルセルを作製した。該セルに、下記に示す液晶組成物を注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子Aを作製した。
【0432】
【化102】

【0433】
<耐ラビング性の評価>
基板の表面に形成された液晶配向膜Aの表面をラビング装置にてラビング処理して、表面の傷を目視で観察した。傷の無いものが、耐ラビング性が良好といえる。結果を表3に示す。
【0434】
<配向性の評価(流動配向の確認)>
液晶表示素子Aをクロスニコルに配置した偏光板の間に挟み、液晶パネルの製造工程で発生する、液晶パネルの表示不良の一種として、液晶分子が液晶パネルに注入される際、注入時の流動方向に固定される現象である流動配向が見られるかどうかを目視にて確認した。結果を表3に示す。
【0435】
さらにリタデーションを測定するために、リタデーション測定用基板を作製した。まず液晶配向剤Aを透明ガラス基板上にスピンナーにて塗布した。塗布条件は2,000rpm、15秒間であった。塗膜後80℃にて約3分間、一段目の加熱処理を行った後、210℃にて20分間、二段目の加熱処理を行い、膜厚がおよそ70nmの液晶配向膜A’を形成した。得られた液晶配向膜A’を株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置を用いて、ラビング布(毛足長1.8mm:レーヨン)の毛足押し込み量0.40mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1,000rpmの条件でラビング処理し、リタデーション測定用基板Aを得た。
【0436】
分光エリプソメーターM−2000U(J.A.Woollam Co.Inc.製)を使用して、リタデーション測定用基板Aの配向膜のリタデーション(R)を求めた。Rの値が大きいほど、液晶配向膜がラビング方向により延伸されており、高い一軸配向性を
有していることになり、結果、黒表示が良好であると言える。本発明の実施例の試験方法において、リタデーションは0.1nm以上が好ましい。結果を表3に示す。
【0437】
また、リタデーション測定用基板Aを100℃で500時間保存した後、同様に測定を行い、経時安定性を求めた。経時安定性(%)は、(500時間保存後のリタデーション値)/(初期のリタデーション値)×100の式で算出した。経時変化が少ない方が好ましい。結果を表3に示す。
【0438】
【表3】

【0439】
[比較例3]
マレイミド系高分子溶液PM1に代えてRPM1を用いる以外は実施例4と同様にして液晶配向膜、液晶表示素子、及びリタデーション測定用基板を作製し、実施例4と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0440】
表3から明らかなように、本発明の液晶配向膜は、耐ラビング性、耐流動配向性、及びリタデーションの経時安定性に優れていることが分かる。
【0441】
[参考例1]
<IR(赤外吸収)スペクトルの測定>
実施例2で得られた6重量%の高分子溶液PM2を、ガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、膜を得た。得られた膜のIRスペクトルをKBr錠剤法で測定した。測定はFT−IR装置(日本分光FT−IR610)を用い、測定温度25℃、積算100回の条件で実施した。
【0442】
[参考例2]
製造例1で得られたMA−2−1−2を用い、IRスペクトルをKBr錠剤法で測定した。測定は参考例1と同じ条件で実施した。参考例1及び参考例2のIRスペクトルを図1に示す。
【0443】
図1で示した通り、本発明の高分子であるPM2(参考例1)では、重合前のモノマーであるMA−2−1−2(参考例2)が3,100cm-1付近に有していた、アルケンのC−H伸縮に起因する吸収が消失し、一方では1,710cm-1及び1,780cm-1付近にはイミド基のC=O伸縮に起因する吸収が観測される。この分析結果から、本発明の高分子は、反応時にイミド環を保持したまま、ビスマレイミドの二重結合へのアミノ基の付加反応(マイケル付加反応)が起こることにより重合して得られたものであることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0444】
マレイミド系高分子は、ビスマレイミドとジアミンとの付加反応によって形成されることから、テトラカルボン酸二無水物を原料とするポリアミック酸由来のポリイミド系高分子では形成困難な構成を実現することができる。したがって、機能性材料において、機能
のさらなる向上や新たな機能の発現が期待され、従来ではポリイミド系高分子由来でしか実現できなかった機能性材料のさらなる多様化が期待される。
【0445】
特に、マレイミド系高分子は前記ポリイミドとは異なり、成形物を形成する際に、イミド化させるための高温での焼成、所望のイミド化率を得るための焼成条件の厳密な制御、又は可溶性ポリイミドを得るための溶液中でのイミド化反応等の煩雑な工程が不要である。このため、例えばポリイミドに代えてマレイミド系高分子を使用することにより、工程の短縮、作業時間の短縮、作業の容易性の向上、又は品質の安定化等の改善が期待され、さらにそれらが改善された結果として、製造にかかるエネルギーの低減、又はコストの削減等の効果も期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスマレイミドとジアミンとのマイケル付加反応による反応生成物の構造を有するマレイミド系高分子と、溶剤とを含有する樹脂組成物において、
前記マレイミド系高分子が主鎖に断続する複数の剛直な直線構造を有する樹脂組成物。
【請求項2】
前記マレイミド系高分子の重量平均分子量が3,000〜500,000である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記ビスマレイミドが剛直な直線構造を有するビスマレイミドを含み、
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが下記式(MA)で表されるビスマレイミドを含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【化1】

(式(MA)において
13は独立して単結合又は炭素数1〜30のアルキレンを表し、
14は独立して1,4−フェニレン、環を構成する原子数が8〜22の縮合環、又は1,4−シクロヘキシレンを表し、
15は独立して単結合又は−(CH2CH2ab2−を表し、
ab1は0〜4の整数を表し、ab2は0〜4の整数を表す。
ただしab1が0の時は、X14は環を構成する原子数が8〜22の縮合環を表す。
マレイミド基の−CH=CH−上の−Hは独立して炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてよく、
13のアルキレン中の−CH2−は、独立して−NH−、−NY2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中のマレイミド基の窒素原子と隣接しない−CH2−は独立して−O−、−CO−、−S−、−SO−、又は−SO2−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中のマレイミド基の窒素原子と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
15の−(CH2CH2ab2−中の−CH2−は、独立して−O−、−NH−、−CO−、−NY2−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、
15の−(CH2CH2ab2−中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、
13のアルキレン若しくは置き換えられたアルキレン上、又はX15の−(CH2CH2ab2−若しくは置き換えられた−(CH2CH2ab2−上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜20のアルキル、又は任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
14の1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、及び前記縮合環上の−Hは、それぞれ独立して、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜3のアルキル、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜3のアルコキシ、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよく、
前記アルキル及びアルコキシの−CH2−は独立して−O−、−CO−又は−S−に置き換えられていてもよく、
(MA)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、Y22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよい。)
【請求項4】
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが下記式(MA−1−1−1)、(MA−1−2−1)、(MA−1−3−1)、(MA−1−4−1)、(MA−1−5−1)、(MA−2−1−1)、(MA−2−1−2)、(MA−2−1−4)、(MA−2−1−9)、(MA−2−1−15)、(MA−2−2−1)、(MA−2−3−1)、(MA−2−4−1)、(MA−2−5−1)、(MA−2−6−1)、(MA−2−7−1)、(MA−2−8−1)、(MA−2−9−1)、(MA−3−1−1)、(MA−3−2−1)、(MA−3−2−2)、(MA−3−3−1)、 (MA−3−3−3)、(MA−3−3−4)、(MA−3−4−1)、(MA−3−5−1)、(MA−3−11−3)〜(MA−3−11−14)、(MA−4−1−1)、(MA−4−2−1)、(MA−4−11−1)〜(MA−4−11−9)、及び(MA−5−11−1)の群から選択される一以上を含む、請求項3に記載の樹脂組成物。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【請求項5】
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが前記式(MA−2−1−2)、(MA−2−1−4)、又は(MA−2−1−9)を含む、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記ビスマレイミドが前記式(MA−2−1−2)で表されるビスマレイミドである、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記ジアミンが脂肪族ジアミンを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成
物。
【請求項8】
ジアミンが、下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(VI−1−40)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【化9】

【化10】

【請求項9】
前記脂肪族ジアミンが前記式(IV−1−1)又は(II−1−22)を含む、請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記ジアミンが、剛直な直線構造を有するジアミンを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記剛直な直線構造を有するジアミンが下記式(VII−13)で表されるジアミンを含む、請求項10に記載の樹脂組成物。
【化11】

(式(VII−13)において、X11は独立して炭素数1〜12のアルキレンを表し、
環Rは独立して、骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、aは独立して0〜4の整数を表し、bは独立して0〜12の整数を表し、
11におけるアルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、
このアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して炭素数1〜20のアルキル又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
環Rとアミノ基との間のアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換え
られてよく、
このアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
アミノ基の−Hは独立して炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてよく、このアルキル中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、このアルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
このアルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
式(VII−13)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表す。ただし前記−CHY2−及び−C(Y22−において、Y2は−Hではない。)
【請求項12】
前記剛直な直線構造を有するジアミンが下記式(VII−13−1)〜(VII−13−4)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、請求項11に記載の樹脂組成物。
【化12】

【請求項13】
前記ジアミンが、剛直な直線構造を有するジアミン及び他の脂肪族ジアミンの両方を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
前記他の脂肪族ジアミンが、請求項7に記載の式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(VI−1−40)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、請求項13に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
前記他の脂肪族ジアミンが前記式(IV−1−1)又は(II−1−22)を含む、請求項14に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
前記マレイミド系高分子が、前記ビスマレイミドとジアミンとを含むモノマー混合物を、水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択されるいずれか一種以上を含む溶剤中で重合させたものである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項17】
前記水酸基を有する溶剤がアルコール性水酸基を有する溶剤である、請求項16に記載の樹脂組成物。
【請求項18】
前記アルコール性水酸基を有する溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及び、1)アルコール性水酸基、並びに2)アミド、エステル、及び環状エーテルからなる群から選択されるいずれか一種以上の基、を有する高極性アルコールからなる群から選択されるいずれか一種以上である、請求項17に記載の樹脂組成物。
【請求項19】
前記高極性アルコールが、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び下記式(1)〜(21)で表される一以上であり、前記プロトン性アミド系溶剤が下記式(22)〜(26)で表される一以上である、請求項18に記載の樹脂組成物。
【化13】

【化14】

【請求項20】
前記マレイミド系高分子のモノマーの重合溶剤が、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び前記式(1)〜(21)で表される高極性アルコールからなる群から選択されるいずれか一種以上を含む、請求項19に記載の樹脂組成物。
【請求項21】
前記マレイミド系高分子のモノマーの重合溶剤が、前記式(3)で表される高極性アルコールを含む、請求項20に記載の樹脂組成物。
【請求項22】
前記溶剤が、水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を含有する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項23】
水酸基を有する溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び、下記式(1)〜(21)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つであり、
プロトン性アミド系溶剤が下記式(22)〜(26)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項22に記載の樹脂組成物。
【化15】

【化16】

【請求項24】
前記溶剤が、極性溶剤と塗布性改善性溶剤とをさらに含む、請求項22又は23に記載の樹脂組成物。
【請求項25】
前記極性溶剤が、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N’−ジメチルイミダゾリジノンからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項24に記載の樹脂組成物。
【請求項26】
前記塗布性改善性溶剤が、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、下記式(1)〜(17)で表される溶剤、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキル又はフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びこれらのエステル化合物からなる群から選ばれる溶剤である、請求項24又は25に記載の樹脂組成物。
【化17】

【請求項27】
前記水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤の含有量が、前記溶剤の全量に対して20重量%以上である、請求項22〜26のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項28】
前記マレイミド系高分子は、重合後に溶剤置換する工程を含まない方法で製造された、請求項1〜27のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項29】
前記ジアミンが側鎖構造を有するジアミンを含まない、IPS用の液晶配向剤である、請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項30】
前記ジアミンが側鎖構造を有するジアミンをさらに含む、TN用の液晶配向剤である、請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項31】
前記ジアミンが側鎖構造を有するジアミンをさらに含む、VA用の液晶配向剤である、請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項32】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する被覆材料。
【請求項33】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する絶縁材料。
【請求項34】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する接着剤。
【請求項35】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する封止材。
【請求項36】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有するプリント配線基板用材料。
【請求項37】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する成形材料。
【請求項38】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成したガス分離材用材料。
【請求項39】
請求項1〜28のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成した線材用材料。
【請求項40】
請求項29〜31のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成された液晶配向膜。
【請求項41】
請求項40に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
【請求項42】
ビスマレイミドとジアミンとのマイケル付加反応による反応生成物の構造を有するマレイミド系高分子において、
前記マレイミド系高分子が、主鎖に断続する複数の剛直な直線構造を有し、かつ前記ビスマレイミドとジアミンとを含むモノマー混合物をアルコール性水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択されるいずれか一種以上を含む溶剤中で重合させたものである、マレイミド系高分子。
【請求項43】
前記マレイミド系高分子の重量平均分子量が3,000〜500,000である、請求項42に記載のマレイミド系高分子。
【請求項44】
前記ビスマレイミドが剛直な直線構造を有するビスマレイミドを含み、
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが下記式(MA)で表されるビスマレイミドを含む、請求項42又は43に記載のマレイミド系高分子。
【化18】

(式(MA)において
13は独立して単結合又は炭素数1〜30のアルキレンを表し、
14は独立して1,4−フェニレン、環を構成する原子数が8〜22の縮合環、又は1,4−シクロヘキシレンを表し、
15は独立して単結合又は−(CH2CH2ab2−を表し、
ab1は0〜4の整数を表し、ab2は0〜4の整数を表す。
ただしab1が0の時は、X14は環を構成する原子数が8〜22の縮合環を表す。
マレイミド基の−CH=CH−上の−Hは独立して炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてよく、
13のアルキレン中の−CH2−は、独立して−NH−、−NY2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中のマレイミド基の窒素原子と隣接しない−CH2−は独立して−O−、−CO−、−S−、−SO−、又は−SO2−で置き換えられてよく、
13のアルキレン中のマレイミド基の窒素原子と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
15の−(CH2CH2ab2−中の−CH2−は、独立して−O−、−NH−、−CO−、−NY2−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、
15の−(CH2CH2ab2−中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、
13のアルキレン若しくは置き換えられたアルキレン上、又はX15の−(CH2CH2ab2−若しくは置き換えられた−(CH2CH2ab2−上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜20のアルキル、又は任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
14の1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、及び前記縮合環上の−Hは、それぞれ独立して、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜3のアルキル、任意の−Hが独立してハロゲンで置き換えられていてもよい炭素数1〜3のアルコキシ、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよく、
前記アルキル及びアルコキシの−CH2−は独立して−O−、−CO−又は−S−に置き換えられていてもよく、
(MA)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、Y22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよい。)
【請求項45】
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが下記式(MA−1−1−1)、(MA−1−2−1)、(MA−1−3−1)、(MA−1−4−1)、(MA−1−5−1)、(MA−2−1−1)、(MA−2−1−2)、(MA−2−1−4)、(MA−2−1−9)、(MA−2−1−15)、(MA−2−2−1)、(MA−2−3−1)、(M
A−2−4−1)、(MA−2−5−1)、(MA−2−6−1)、(MA−2−7−1)、(MA−2−8−1)、(MA−2−9−1)、(MA−3−1−1)、(MA−3−2−1)、(MA−3−2−2)、(MA−3−3−1)、 (MA−3−3−3)、(MA−3−3−4)、(MA−3−4−1)、(MA−3−5−1)、(MA−3−11−3)〜(MA−3−11−14)、(MA−4−1−1)、(MA−4−2−1)、(MA−4−11−1)〜(MA−4−11−9)、及び(MA−5−11−1)の群から選択される一以上を含む、請求項44に記載のマレイミド系高分子。
【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【請求項46】
前記剛直な直線構造を有するビスマレイミドが前記式(MA−2−1−2)、(MA−2−1−4)、及び(MA−2−1−9)の群から選択される一以上を含む、請求項45に記載のマレイミド系高分子。
【請求項47】
前記ビスマレイミドが前記式(MA−2−1−2)で表されるビスマレイミドである、請求項46に記載のマレイミド系高分子。
【請求項48】
前記ジアミンが脂肪族ジアミンを含む、請求項42〜47のいずれか一項に記載のマレイミド系高分子。
【請求項49】
前記脂肪族ジアミンが、下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(VI−1−40)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、請求項48に記載のマレイミド系高分子。
【化26】

【化27】

【請求項50】
前記脂肪族ジアミンが前記式(IV−1−1)又は(II−1−22)を含む、請求項49に記載のマレイミド系高分子。
【請求項51】
前記ジアミンが、剛直な直線構造を有するジアミンを含む、請求項42〜50のいずれか一項に記載のマレイミド系高分子。
【請求項52】
前記剛直な直線構造を有するジアミンが下記式(VII−13)で表されるジアミンを含む、請求項51に記載のマレイミド系高分子。
【化28】

(式(VII−13)において、X11は独立して炭素数1〜12のアルキレンを表し、
環Rは独立して、骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、aは独立して0〜4の整数を表し、bは独立して0〜12の整数を表し、
11におけるアルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、
このアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して炭素数1〜20のアルキル又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
環Rとアミノ基との間のアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換え
られてよく、
このアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
アミノ基の−Hは独立して炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてよく、このアルキル中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、このアルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、
アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
このアルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
式(VII−13)を構成する各基において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表す。ただし前記−CHY2−及び−C(Y22−において、Y2は−Hではない。)
【請求項53】
前記剛直な直線構造を有するジアミンが下記式(VII−13−1)〜(VII−13−4)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、請求項52に記載のマレイミド系高分子。
【化29】

【請求項54】
前記ジアミンが剛直な直線構造を有するジアミン及び他の脂肪族ジアミンの両方を含む、請求項51〜53のいずれか一項に記載のマレイミド系高分子。
【請求項55】
前記他の脂肪族ジアミンが、下記式(II−1−1)〜(II−1−14)、(II−1−21)〜(II−1−30)、(IV−1−1)〜(IV−1−4)、(V−1−20)〜(V−1−22)、及び(VI−1−40)の群から選択される一つ以上のジアミンを含む、請求項54に記載のマレイミド系高分子。
【化30】

【化31】

【請求項56】
前記他の脂肪族ジアミンが、前記式(IV−1−1)又は(II−1−22)を含む、請求項55に記載のマレイミド系高分子。
【請求項57】
前記マレイミド系高分子が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1)アルコール性水酸基、並びに2)アミド、エステル、及び環状エーテルからなる群から選択されるいずれか一種以上の基を有する高極性アルコール、及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択されるいずれか一種以上を含む溶剤中で重合させたものである、請求項42〜56のいずれか一項に記載のマレイミド系高分子。
【請求項58】
前記高極性アルコールが、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び下記式(1)〜(21)で表される一以上であり、前記プロトン性アミド系溶剤が下記式(22)〜(26)で表される一以上である、請求項57に記載のマレイミド系高分子。
【化32】

【化33】

【請求項59】
前記マレイミド系高分子のモノマーの重合溶剤が、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び前記式(1)〜(21)で表される高極性アルコールからなる群から選択されるいずれか一種以上を含む、請求項58に記載のマレイミド系高分子。
【請求項60】
前記マレイミド系高分子のモノマーの重合溶剤が、前記式(3)で表される高極性アルコールを含む、請求項59に記載のマレイミド系高分子。
【請求項61】
下記式(MA−1−1)〜(MA−1−3)、(MA−2−2)〜(MA−2−6)、(MA−3−1)、(MA−3−2)、(MA−2−1−19)〜(MA−2−1−27)、(MA−2−7−2)、(MA−2−7−3)、(MA−1−4−2)、及び(MA
−1−5−1)のいずれかで表されるビスマレイミド。
【化34】

(式(MA−1−1)中、R111は−H、−OH、又は−Fを表し、R112は独立して−OH、−F、又は−Clを表し、a1は0〜5の整数を表す。ただしR111が−Hを表すとき、a1は1〜5の整数を表す。)
【化35】

(式(MA−1−2)中、R121は独立して−CH3、−OH、−OCH3、−SCH3、又は−Fを表し、a2は1〜5の整数を表す。)
【化36】

(式(MA−1−3)中、R131及びR132はそれぞれ−H、−CH3、又は−OHを表す。)
【化37】

(式(MA−2−2)中、R221は独立して−CH3、−CF3、−OH、−F、−Cl、又は−OCH3を表し、a4は独立して0〜4の整数を表す。ただしa4の総和は1以上である。)
【化38】

(式(MA−2−3)中、R231は独立して−CF3、−OH、−F、又は−OCH3を表し、a5は独立して0〜4の整数を表す。ただしa5の総和は1以上である。)
【化39】

(式(MA−2−4)中、R241は独立して−CH3、−CF3、−OH、−Cl、−Br
、−OCH3、又は−OCH2CH3を表し、R242は−H又は炭素数1〜3の直鎖のアルキルを表し、a6は独立して0〜4の整数を表す。ただしR242が炭素数1〜3の直鎖のアルキルを表すとき、R241は独立して−Hを表すことがあり、a6の総和は1以上である。)
【化40】

(式(MA−2−5)中、R251は独立して−CH3、−OH、−Cl、又は−OCH3を表し、a7は独立して0〜4の整数を表す。ただしa7の総和は1以上である。)
【化41】

(式(MA−2−6)中、R261は独立して−CH3、−CF3、又は−Fを表し、a8は独立して0〜10の整数を表す。)
【化42】

(式(MA−3−1)中、R311は独立して−CH3、−CF3、−OH、−F、−Cl、又は−OCH3を表し、a9は独立して0〜4の整数を表す。ただしa9の総和は1以上である。)
【化43】

(式(MA−3−2)中、R321は独立して−CH3又は−CH(CH32を表し、R322は独立して−CH3又は−CH2CH3を表し、a10は独立して0〜4の整数を表す。)
【化44】

【化45】


【図1】
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【公開番号】特開2012−180484(P2012−180484A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45697(P2011−45697)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(596032100)JNC石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】