説明

液晶配向用基板およびその製造方法

【課題】これまでの液晶ディスプレイの製造法をほぼそのまま利用して実現可能な転移核形成法に基づく液晶配向用基板を提供する。
【解決手段】配向膜面内に、一定方向に配向処理した主領域11と、下記軌跡A、Bのいずれかからなる1つまたは複数の副領域12とを形成した。(軌跡A) 前記主領域内で、任意の形状の面分121が曲線、折れ線もしくはこれらを組み合わせた線からなる移動方向指示線12Aに沿って移動した軌跡。(軌跡B) 前記主領域内で、任意の形状の面分131が回転した軌跡。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向用基板およびその製造方法に関し、詳しくは、OCBモードLCDに有利に適用しうる液晶配向用基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OCBモードLCD(非特許文献1〜3)は、広視野角、高速応答を有することから高品位、動画用液晶ディスプレイとして注目されている。OCBモードのセル(略してOCBセル)の構造は、図1に示すように2枚の偏光子1、4、二軸性位相差フィルム3、ベンド配向型液晶セル2を用いて形成される。なお、5は液晶分子、6は下基板、7は上基板である。これら上、下基板は、透明基板(材質はガラスまたはプラスチック)上に電気的駆動手段(共通電極、TFT、ゲート電極、信号電極など)の層(あるいはさらに該層直下に予め光学素子の層)を形成し、さらにその上に、液晶と接触させて該液晶を配向させる配向膜の層を形成してなる。なお、上基板6の電気的駆動手段の層と下基板7の電気的駆動手段の層のうち一方の層には、液晶に電圧を印加するために対向させるべき二種の電気的駆動手段のうちのいずれか一種が用いられ、他方の層には他種が用いられる。
【0003】
ベンド配向型液晶セルは、図2(a)のようなベンド配向の状態で駆動されるが、電圧無印加状態において図2(b)のようなスプレイ配向となることから、OCBモードでは、駆動前にスプレイ配向からベンド配向への転移が必要である。しかし、液晶パネルの全画素をすばやく確実に転移させることは困難であった。
確実に転移を誘起する核を形成するために, 左右のツイスト配向領域の境界に生じる配向欠陥を用いた転移核形成法(ツイストディスクリネーション法)が考案された(非特許文献4)。この方法はOCBモードLCDに用いられる通常の駆動電圧範囲において確実に転移を誘起することが可能である。
【0004】
この左右のツイスト配向を形成するため、これまでに様々な方法が考案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−330326号公報
【非特許文献1】Y.Yamaguchi,T.Miyashita and T.Uchida:1993 SID International Symposium Digest Technical Papers,277(1993)
【非特許文献2】P.J.Bos,P.A.Johnson,Jr.,and K.Rickey Koehler/Beran:1983 SID International Symposium Digest Technical Papers,30(1983)
【非特許文献3】Rolf Vatne,Philip A.Johnson,Jr.,and Philip J. Bos: 1993 SID International Symposium Digest Technical Papers,30(1993)
【非特許文献4】K.Kuboki, T.Miyashita,T.Ishinabe and T.Uchida:Proc.of 23rd IDRC,80(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の転移核形成法には、主に製造プロセスの困難化を伴うという課題があった。
本発明はこの課題を解決し、製造プロセスが容易な、つまりこれまでの液晶ディスプレイの製造法をほぼそのまま利用して実現可能な転移核形成法に基づく液晶配向用基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、配向膜面内に、一方向配向処理した主領域と、該主領域内を、任意の形状の面分が曲線、折れ線もしくはこれらを組み合わせた線に沿って移動した軌跡、または任意の非円形状の面分が回転した軌跡からなる一または二以上の副領域とを形成した液晶配向用基板は、液晶のスプレイ‐ベンド転移(スプレイ配向からベンド配向への転移)を促すものとなり、しかも、前記副領域の形成過程は、これまでの液晶ディスプレイの製造法をほぼそのまま利用して実現可能であることを見出し、本発明をなした。
【0007】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.液晶を配向させる配向膜の層を有する液晶配向用基板において、配向膜面内に、一定方向に配向処理した主領域と、下記軌跡A、Bのいずれかからなる1つまたは複数の副領域とを形成してなる液晶配向用基板。

(軌跡A) 前記主領域内で、任意の形状の面分が曲線、折れ線もしくはこれらを組み合わせた線からなる移動方向指示線に沿って移動した軌跡。
(軌跡B) 前記主領域内で、任意の形状の面分が回転した軌跡。
【0008】
2.液晶を配向させる配向膜の層を有する液晶配向用基板の製造方法であって、透明基板上に電気的駆動手段の層、配向膜の層を順次配置した後、前記配向膜に一定方向に配向処理を施してなる素基板を、片面側に1つまたは複数の突起を有する突起付き基板に、前記素基板の配向膜側が前記突起付き基板の突起側と対面するように、貼り合わせて、前記素基板もしくは前記突起付き基板を対面相手方の基板に対し、移動方向指示線に沿ってずらすことを特徴とする液晶配向用基板の製造方法。
【0009】
3.液晶を配向させる配向膜の層を有する液晶配向用基板の製造方法であって、透明基板上に電気的駆動手段の層、配向膜の層を順次配置した後、前記配向膜に一定方向に配向処理を施してなる素基板を、片面側に1つまたは複数の上から押されると上部が下部に対して前記押された方向の周りに回転する突起を有する突起付き基板に、前記素基板の配向膜側が前記突起付き基板の突起側と対面するように、貼りあわせることを特徴とする液晶配向用基板の製造方法。
【0010】
4.液晶セル形成に関与しないダミー基板に前記突起を設けて前記突起付き基板とすることを特徴とする前項2または3に記載の液晶配向用基板の製造方法。
5.前記液晶配向用基板の対向基板になるものに前記突起を設けて前記突起付き基板とすることを特徴とする前項2に記載の液晶配向用基板の製造方法。
6.前記液晶配向用基板の対向基板になるものに前記突起の先端端面形状を非円形状としたものを設けて前記突起付き基板とすることを特徴とする前項3に記載の液晶配向用基板の製造方法。
【0011】
なお、前項2〜6のいずれかにおいて、前記素基板は前記突起付き基板との対面側の面に突起を有するものとしてもよい。また、前項2〜6のいずれかにおいて、前記電気的駆動手段の層を配置する前に前記透明基板上に予め光学素子の層を配置してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スプレイ‐ベンド転移を促し、しかも通常の液晶セル製造プロセスをほぼそのまま使用して製造できる液晶配向用基板が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図3は、本発明の液晶配向用基板(本発明基板)20の1例を示す模式図である。この例では、ガラス基板8上に電気的駆動手段(共通電極、TFT、ゲート電極、信号電極など)の層9を有し、その上に配向膜の層10を有する。配向膜の液晶対面側の表面は、一定方向11Aに配向処理された主領域11と、主領域11内で面分121を移動方向指示線12Aに沿って移動させた軌跡(軌跡A)からなる複数の副領域12とに分かれている。
【0014】
ここで、ガラス基板の代りに他の透明基板(透明プラスチック基板等)を用いてもよい。面分の形状は円形、楕円形、多角形、いずれの形状であってもよい。移動面分を沿わせる線は、曲線に代えて折れ線あるいは曲線と折れ線を組み合わせた線としてもよいが、一直線とするのはOCBセル作製時に左右ツイスト配向を確実に形成することが困難となってスプレイ‐ベンド転移の促進効果が低下するため、本発明から除外される。副領域の個数は1つであってもよいが、好ましくは複数である。
【0015】
図4は、本発明の液晶配向用基板の前挙例とは別の1例を示す模式図である。この例では、液晶配向用基板20の層構造は図3の例と同じであるが、配向膜の液晶対面側の表面は、一定方向11Aに配向処理された主領域11と、主領域11内で面分131を面分回転方向指示線13Aに沿うように回転させた軌跡(軌跡B)からなる副領域13とに分かれている。
ここで、ガラス基板の代りに他の透明基板(透明プラスチック基板等)を用いてもよい。面分の形状は円形、楕円形、多角形、いずれの形状であってもよいが、円形であると製造プロセスによっては軌跡Bの全部が面分で覆われてスプレイ‐ベンド転移の促進効果が低下するため、非円形状が好ましい。副領域の個数は1つであってもよいが、好ましくは複数である。
【0016】
本発明の液晶配向用基板(略して本発明基板)は、OCBセルにおける上下いずれかの基板として用いられる。本発明基板を用いない従来のOCBセルでは上下の従来基板(配向膜の液晶対面側の表面は全部一定方向に配向処理されている)は互いの配向処理方向が平行となるように対向配置される。一方、本発明基板を上下いずれかの基板に用い、対向基板に従来基板を用いるOCBセルでは、本発明基板の主領域の配向処理方向と従来基板の配向処理方向が平行となるように対向配置される。
【0017】
いま、下基板が本発明基板、上基板が従来基板であるとすると、本発明基板の主領域と従来基板の間(すなわち主領域を底とする直柱状領域内)の液晶の配向は図2(b)のようなスプレイ配向となる。一方、本発明基板の副領域と従来基板の間(すなわち副領域を底とする直柱状領域内=副領域の真上の液晶領域内)の液晶の配向は、副領域の部分によって左ツイスト配向、右ツイスト配向のいずれかが優勢になり、左ツイスト配向が優勢な液晶領域と右ツイスト配向が優勢な液晶領域との境界に容易に配向欠陥が形成される。この配向欠陥がOCBセルの駆動電圧印加時に広がり始め、その広がりと共にスプレイ配向がベンド配向へ転移する。
【0018】
ここで、従来基板の配向処理方向(本発明基板の主領域の配向処理方向と同じ)を基準配向処理方向と呼ぶことにし、また、本発明基板の副領域の部分は移動方向指示線12A(あるいは回転方向指示線13A)の接線方向に配向処理されるので、該接線方向を部分配向処理方向と呼ぶことにする。
例えば図5(a)のように、上基板とした従来基板21の上面から透視したとき基準配向処理方向15Aに対して下基板とした本発明基板20の副領域12の部分配向処理方向16Aが反時計回りに回転した状態にあり、その回転角φが0度超〜90度未満である場合、図5(a)に示すような左ツイスト配向が優勢になり、また、回転角φが90度超〜180度未満である場合、図5(a)に示さない右ツイスト配向が優勢になる。また、例えば図5(b)のように、上基板とした従来基板21の上面から透視したとき基準配向処理方向15Aに対して下基板とした本発明基板20の副領域12の部分配向処理方向16Aが時計回りに回転した状態にあり、その回転角ψが0度超〜90度未満である場合、図5(b)に示すような右ツイスト配向が優勢になり、また、回転角ψが90度超〜180度未満である場合、図5(b)に示さない左ツイスト配向が優勢になる。
【0019】
なお、従来基板を下基板とし、本発明基板を上基板とした場合は、図5に係る前記記述において左と右、反時計回りと時計回りをそれぞれ互換した記述により説明される。
よって、本発明では、副領域は、主領域配向処理方向(=基準配向処理方向)から部分配向処理方向への時計回りの回転角度が、0度超〜90度未満になる回転中心点と、90度超〜180度未満になる回転中心点とを、少なくとも1点ずつ含むという条件(条件K)を満たすものとすることが好ましい。例えば図6の副領域12は、同領域内の点P1を中心とする主領域配向処理方向11A(=基準配向処理方向15A)から部分配向処理方向16Aへの時計回りの回転角度αが90度超〜180度未満であり、かつ同領域内の点P2を中心とする主領域配向処理方向11Aから部分配向処理方向16Aへの時計回りの回転角度βが0度超〜90度未満であるから前記条件Kを満たしている。
【0020】
もっとも、液晶にカイラル剤が添加され、液晶のねじれ配向性向が助長されると、前記条件Kの成否に拘らず、本発明基板の副領域と従来基板の間の液晶領域(副領域の真上(または真下)の液晶領域)内に同様の配向欠陥が容易に形成されることがあるので、本発明基板は、前記条件Kを満たすものに限定されない。
本発明基板をOCBセルの下基板(または上基板)に用いたとき、副領域の真上(または真下)の液晶は上述のように配向欠陥を含むからOCBセル駆動中の光漏れの原因になる。これを回避するために、副領域の配置箇所を、OCBセルの各画素の境界に設けられる格子線(縦横線)状の遮光部の配置箇所に合わせ、副領域の寸法を、副領域1個の全部が前記遮光部で隠蔽される(副領域1個を内包する最小円の直径が前記遮光部の幅よりも小さくなる)ような寸法(例えば前記最小円の直径で表して数μm〜数10μm)とすることが好ましい。
【0021】
次に、本発明基板の製造方法について述べる。本発明基板の製造方法において出発素材になる素基板は、透明基板上に電気的駆動手段の層、配向膜の層を順次配置した後、前記配向膜に一定方向の配向処理を施したものであり、これは従来の基板製造プロセスで作られる。ここで、前記一定方向の配向処理方法としては、図9に示すラビング処理のほか、イオンビーム法、光配向法などが挙げられる。この一定方向の配向処理により、配向膜全面に前記主領域が形成される。
【0022】
なお、前記素基板は前記突起付き基板との対面側の面に突起を有するものとしてもよい。また、前記電気的駆動手段の層を配置する前に前記透明基板上に予め光学素子の層を配置してもよい。
前記素基板に移動軌跡(軌跡A)からなる副領域を形成する方法(A法)では、図7に示すような突起付き基板、または図8に示すような突起付き基板を用いる。図7の突起付き基板は、液晶セル形成に関与しないダミー基板23上に突起25を設けたものである。一方、図8の突起付き基板は、本発明基板を用いた液晶セルにおいて本発明基板の対向基板用基板24(素基板と同様、透明基板8上に電気的駆動手段の層9、配向膜の層10をこの順に有する基板)の配向膜上に突起25を配設してなる。
【0023】
図7、図8の突起付き基板は、片面側に複数(1個でもよい)の突起25を有する。突起25は、その先端の端面形状を前記副領域形成に用いる面分の形状に適合させたものとする。突起25の立体形状は直柱状がよい。突起25の材質は特に限定されないが、ガラス、プラスチックもしくは熱硬化性樹脂等の材質が好まれる。突起25の配置箇所は前記遮光部と整合可能な箇所とする(例えば図7、図8中の点線を前記遮光部と整合可能なものとする)のがよい。突起25の高さは数μm程度であればよい。
【0024】
そして、例えば図10に示すように、素基板22の配向膜10面を突起付き基板の突起25側の面と貼り合わせる(22Aは貼り合わせ方向である)。この貼り合わせ状態のまま、移動方向指示線12Aに沿って、素基板22全体をずらす(突起付き基板は固定)。あるいは、突起付き基板全体をずらしてもよい(素基板22は固定)。これにより、素基板22の配向膜が突起25で擦られて、該配向膜面には、主領域内を突起25の先端面形状の面分が移動した軌跡Aからなる前記副領域が容易に形成され、本発明基板ができあがる。この本発明基板は、貼り合わされた突起25付きのダミー基板23を剥がした上で、別の対向基板とともに液晶セル形成に供される。
【0025】
この製造工程では、従来の液晶セル製造工程に対し、「突起付き基板の準備⇒素基板との貼り合わせ⇒素基板のずらし(素基板が本発明基板に進化)⇒本発明基板からの剥がし」という簡単な工程(工程A)が付加されるにすぎない。
また、突起付き基板として図8のように対向基板用基板24に突起25を設けたものを用いれば、前記工程Aからさらに、本発明基板からの剥がしの工程を削除することができる。さらに、素基板に突起が設けられている場合には、対向基板用基板も本発明基板とすることができる。
【0026】
前記素基板に回転軌跡(軌跡B)からなる副領域を形成する方法(B法)では、図7、図8に示した突起付き基板において、突起として、該突起が上から押されると該突起の上部が該突起の下部に対して前記押された方向の周りに回転する機能をもたせたもの(回転機能突起)を用いる。これの例を図11に示す。この例の回転機能突起25Rは、柱状突起の側面にらせん溝状切欠30を設けたものであり、このらせん溝状切欠30沿いに前記上部が前記下部に対して回転しやすくなっている。
【0027】
そして素基板の配向膜面を、回転機能突起25R付きダミー基板23の突起25R側の面と貼り合わせる。この貼り合わせ時に突起25Rに作用する上からの力で突起25Rの上部が下部に対して回転し、その結果素基板の配向膜が突起25Rで擦られて、該配向膜面には、主領域内を突起25Rの先端面形状の面分が回転した軌跡Bからなる前記副領域が容易に形成され、本発明基板ができあがる。この本発明基板は、貼り合わされた突起25R付きのダミー基板23を剥がした上で、別の対向基板とともに液晶セル形成に供される。
【0028】
この製造工程では、従来の液晶セル製造工程に対し、「回転機能突起付き基板の準備⇒素基板との貼り合わせ(素基板が本発明基板に進化)⇒本発明基板からの剥がし」という簡単な工程(工程B)が付加されるにすぎない。
また、突起付き基板として対向基板用基板24に回転機能突起25Rを設けた(例えば図8において突起25に代えて回転機能突起25Rとした)ものを用いれば、前記工程Bからさらに、本発明基板からの剥がしの工程を削除することができる。さらに、素基板に突起が設けられている場合には、対向基板用基板も本発明基板となる。
【0029】
もっとも、この剥がしの工程削除の場合は、回転機能突起の先端端面形状が円形状であると、該円形中心の回りに突起先端面分が回転した場合、その場合の回転軌跡Bからなる副領域の全部が突起先端面分で隠蔽され、副領域と液晶との接触がなくなって液晶に左右のツイスト配向を生じさせるのが困難となるので、これを回避するために、工程Bから剥がし工程を削除する場合は、突起先端の端面形状を非円形状としておくことが好ましい。
【実施例】
【0030】
前記工程Aにより本発明基板を作製した。透明基板の材料はガラス、電気的駆動手段の材料はITO(インジウム錫酸化物)、配向膜の材料は日産化学工業(株)製SE7992とした。
[突起付きダミー基板] ガラス基板の片面上にガラス突起(直径20μm、高さ3μmの円柱状突起)を配設してなる突起付きダミー基板を作成した。突起の配設位置は、素基板と貼り合わせたときに素基板の電気的駆動手段の層の遮光部に対向する領域内の、ほぼ等間隔(約0.6mm)の9点の位置とした。
[素基板] ガラス基板上に電気的駆動手段の層を形成し、その上に配向膜材料を塗布し、該塗布してなる配向膜の層表面全体にラビング法により一方向の配向処理を施して、該配向処理面を主領域とする素基板を製造した。
[貼り合わせとずらし] 突起付きダミー基板と素基板とを図10(a)のように貼り合わせ、素基板を突起付き基板に対して図10(b)のようにずらすことにより、素基板の主領域内に突起で擦られてなる副領域を形成し、本発明基板となした。なお、ずらしの移動方向指示線(図10(b)の移動方向指示線12A)は、そのずらしによって生じる副領域が前記条件Kを満たすものとなるように設定した。
[剥がし] その後本発明基板を突起付きダミー基板から剥がした。
【0031】
前記剥がした後の本発明基板を、別途作製の対向基板と、これら二基板の配向膜側の面を対向面として対向させ、該対向した二面間に液晶を封入し、液晶セルを形成した。この液晶セルに二軸性位相差フィルムと偏光子を組み合わせてOCBモードLCDを構成し、駆動電圧(6V)を印加して、該印加後速やかにスプレイ‐ベンド転移が起こることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】OCBセルの概要を示す模式図である。
【図2】OCBセルの液晶配向状態を示す模式図であり、(a)はベンド配向(駆動電圧印加時)、(b)はスプレイ配向(電圧無印加時)である。
【図3】本発明基板の1例を示す模式図である。
【図4】本発明基板の前挙例とは別の1例を示す模式図である。
【図5】液晶の左ツイスト配向(a)と右ツイスト配向(b)の例を示す模式図である。
【図6】条件Kを満たす副領域の1例を示す模式図である。
【図7】突起付き基板(ダミー)の例を示す模式図である。
【図8】突起付き基板(対向基板用)の例を示す模式図である。
【図9】ラビング処理の概念図である。
【図10】本発明基板の製造過程の1例を示す模式図である。
【図11】回転機能突起の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0033】
1 偏光子
2 ベンド配向型液晶セル
3 二軸性位相差フィルム
4 偏光子
5 液晶分子
6 下基板
7 上基板
8 ガラス基板(透明基板)
9 電気的駆動手段の層
10 配向膜の層
11 主領域
11A 一定方向(主領域配向処理方向)
12 副領域(軌跡Aからなる)
12A 移動方向指示線
13 副領域(軌跡Bからなる)
13A 回転方向指示線
15A 基準配向処理方向
16A 部分配向処理方向
20 液晶配向用基板(本発明基板)
21 従来基板
22 素基板
22A 貼り合わせ方向
23 ダミー基板
24 対向基板用基板
25 突起
25R 突起(回転機能突起)
26 ラビングローラ
121 面分
131 面分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶を配向させる配向膜の層を有する液晶配向用基板において、配向膜面内に、一定方向に配向処理した主領域と、下記軌跡A、Bのいずれかからなる1つまたは複数の副領域とを形成してなる液晶配向用基板。

(軌跡A) 前記主領域内で、任意の形状の面分が曲線、折れ線もしくはこれらを組み合わせた線からなる移動方向指示線に沿って移動した軌跡。
(軌跡B) 前記主領域内で、任意の形状の面分が回転した軌跡。
【請求項2】
液晶を配向させる配向膜の層を有する液晶配向用基板の製造方法であって、透明基板上に電気的駆動手段の層、配向膜の層を順次配置した後、前記配向膜に一定方向に配向処理を施してなる素基板を、片面側に1つまたは複数の突起を有する突起付き基板に、前記素基板の配向膜側が前記突起付き基板の突起側と対面するように、貼り合わせて、前記素基板もしくは前記突起付き基板を対面相手方の基板に対し、移動方向指示線に沿ってずらすことを特徴とする液晶配向用基板の製造方法。
【請求項3】
液晶を配向させる配向膜の層を有する液晶配向用基板の製造方法であって、透明基板上に電気的駆動手段の層、配向膜の層を順次配置した後、前記配向膜に一定方向に配向処理を施してなる素基板を、片面側に1つまたは複数の上から押されると上部が下部に対して前記押された方向の周りに回転する突起を有する突起付き基板に、前記素基板の配向膜側が前記突起付き基板の突起側と対面するように、貼りあわせることを特徴とする液晶配向用基板の製造方法。
【請求項4】
液晶セル形成に関与しないダミー基板に前記突起を設けて前記突起付き基板とすることを特徴とする請求項2または3に記載の液晶配向用基板の製造方法。
【請求項5】
前記液晶配向用基板の対向基板になるものに前記突起を設けて前記突起付き基板とすることを特徴とする請求項2に記載の液晶配向用基板の製造方法。
【請求項6】
前記液晶配向用基板の対向基板になるものに前記突起の先端端面形状を非円形状としたものを設けて前記突起付き基板とすることを特徴とする請求項3に記載の液晶配向用基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−233492(P2008−233492A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72350(P2007−72350)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(503354044)財団法人21あおもり産業総合支援センター (27)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】