説明

液滴センサ

【課題】浮遊容量を抑制し、ノイズ電流を低減して、液滴をより確実に検出する。
【解決手段】液漏れの発生が予想される位置に配置される液滴センサ1であって、間隔をあけて配置された2つの検出用電極4,5と、これら検出用電極4,5の間に配置され接地されたグラウンド電極6と、検出用電極4,5間に交流電圧を加える電源7と、検出用電極5に流れる電流iを検出する電流検出部8とを備える液滴センサ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、間隔をあけて配置された2本の電極を備え、一方の電極に加えた交流電圧信号が、2つの電極間に形成される静電容量によって他方の電極に交流電流信号として伝達されることを利用して、油、水あるいは空気のように誘電率の異なる物質を識別する静電容量センサが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−153751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、微細な液滴を検出するセンサとして静電容量センサを使用する場合、2本の電極間の間隔を小さくして近接配置する必要があり、両電極間に形成される浮遊容量によりノイズ電流信号が増大するという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、浮遊容量を抑制し、ノイズ電流を低減して、液滴をより確実に検出することができる液滴センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、液漏れの発生が予想される位置に配置される液滴センサであって、間隔をあけて配置された2つの検出用電極と、これら検出用電極の間に配置され接地されたグラウンド電極と、前記検出用電極間に交流電圧を加える電源と、前記検出用電極に流れる電流を検出する電流検出部とを備える液滴センサを提供する。
【0006】
本発明によれば、液漏れの発生により、間隔をあけて配置された2つの検出用電極に跨るように液滴が付着すると、該液滴の誘電率に応じた静電容量が2つの検出用電極間に形成されるので、これらの検出用電極に電流が流れ、電流検出部により検出される。これにより、液漏れが発生したことを検出することができる。
【0007】
この場合において、2つの検出用電極の間には接地されたグラウンド電極が配置されているので、該グラウンド電極によって2つの検出用電極間の浮遊容量の発生が抑制され、2つの検出用電極を十分に近接させることができる。
すなわち、検出用電極間の浮遊容量によるノイズ電流の発生が抑制されるので、液滴の付着をより確実に検出できる。また、検出用電極を近接させることにより、十分に微細な液滴まで検出することができる。
【0008】
上記発明においては、前記2つの検出用電極および前記グラウンド電極を被覆する絶縁材料からなる保護膜を備えていてもよい。
このようにすることで、保護膜によって検出用電極およびグラウンド電極を液滴その他の外部環境から保護し、耐久性を向上することができる。また、保護膜に付着した液滴を拭き取ることで、迅速に、かつ、耐久的に再利用することができる。
【0009】
また、上記発明においては、前記検出用電極が、相互に噛み合う櫛歯状に形成されていてもよい。
このようにすることで、液滴の検出範囲を広げ、より確実に液漏れを検出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、浮遊容量を抑制し、ノイズ電流を低減して、液滴をより確実に検出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる液滴センサ1について、図1〜図3を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る液滴センサ1は、図1に示されるように、センサ部2と回路基板3とを備えている。
【0012】
センサ部2には、平行間隔をあけて配置された直線状に延びる2本の検出用電極4,5と、これら検出用電極4,5の間に配置され接地された直線状に延びるグラウンド電極6とが備えられている。また、回路基板3には、センサ部2の一方の検出用電極4に接続され、交流電圧を発生する交流電源7と、他方の検出用電極5に接続され、該検出用電極5に流れる電流を検出する電流検出部8とを備えている。
【0013】
センサ部2の2本の検出用電極4,5およびグラウンド電極6は、例えば、ソルダーレジストのような絶縁材料からなる保護膜9によって被覆されている。これにより、保護膜9に液滴Aが付着しても、検出用電極4,5およびグラウンド電極6に液滴Aが直接付着しないように保護されるとともに、液滴Aを拭き取ることにより、即座に、かつ、耐久的に再利用することができるようになっている。
【0014】
また、電極4,5,6の配列方向に直交する方向の保護膜9の厚さは、図2に示されるように、十分に薄く形成されている。これにより、2つの検出用電極4,5間に発生するグラウンド電極6を迂回した浮遊容量は無視できるほどに小さく抑えられている。
電流検出部8は、電流−電圧変換回路10を備えている。検出用電極5に電流iが流れると、電流−電圧変換回路10により、電流i信号が電圧V信号に変換され検出されるようになっている。
【0015】
このように構成された本実施形態に係る液滴センサ1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る液滴センサ1を用いて液漏れを検出するには、液漏れの発生が予想される場所に、本実施形態に係る液滴センサ1のセンサ部2を配置する。液滴Aは通常、発生箇所から落下するものであるため、発生予想箇所の鉛直下方に、2本の検出用電極4,5およびグラウンド電極6が略水平に並ぶようにセンサ部2を配置する。
【0016】
そして、一方の検出用電極4に交流電圧を加え、他方の検出用電極5に流れる電流iを検出する。
液漏れが発生していない場合には、2本の検出用電極4,5間に、グラウンド電極6が配置されているので、検出用電極4,5とグラウンド電極6との間には浮遊容量Cが形成されるが、検出用電極4,5間に形成される浮遊容量は極めて小さくなる。その結果、電流検出部8が接続されている検出用電極5への電圧信号の伝達が阻害され、電流検出部8に検出される電流iは十分に抑制されている。
【0017】
一方、液漏れが発生して液滴Aが落下し、図1および図3に示されるように、2本の検出用電極4,5に跨るように液滴Aが付着すると、グラウンド電極6を迂回して、液滴A内に2本の検出用電極4,5を連絡する静電容量Cが発生し、その静電容量Cによって一方の検出用電極4からの電圧信号が他方の検出用電極5に伝達されて、当該検出用電極5に電流iが流れ、電流検出部8により電圧信号Vとして検出される。
【0018】
すなわち、本実施形態に係る液滴センサ1によれば、液滴Aが付着していないときのノイズ電流を抑制し、液滴Aが付着したときにのみ電流信号iが検出されるので、液漏れをより確実に検出することができる。
【0019】
また、本実施形態に係る液滴センサ1によれば、2本の検出用電極4,5およびグラウンド電極6が保護膜9によって覆われているので、液滴Aは保護膜9を介して検出用電極4,5間に静電容量Cを形成する。したがって、検出用電極4,5およびグラウンド電極6は保護膜9によって液滴Aに直接接触しないように保護される。
したがって、液滴Aが腐食性の液体であっても、電極4,5,6が劣化することが防止されるとともに、液滴Aを拭き取ることにより、次の液漏れ検出に再利用することができる。
【0020】
例えば、生理用食塩水等を流通させるチューブや継ぎ手を結合した使い捨ての配管組立体と、該配管組立体を装着する装置において、配管組立体のチューブあるいは継ぎ手からの液漏れを検出する用途に本実施形態に係る液滴センサ1を使用する場合には、チューブあるいは継ぎ手の鉛直下方の装置側に液滴センサ1を備えることにすればよい。このようにすることで、液漏れが発生したときは液滴センサ1によって、微細な液滴であってもより確実に液漏れを検出し、配管組立体の使用後は、配管組立体を取り外して液滴センサ1に付着していた液滴Aを拭き取ることにより、次の配管組立体を装着した場合の液漏れ検出を行うことが可能となる。
【0021】
なお、本実施形態においては、検出用電極4,5およびグラウンド電極6が直線状の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図4に示されるように、櫛歯状に形成された2つの検出用電極11,12を、櫛歯を噛み合わせるようにして配置し、それらの電極11,12間の隙間に、接地されたグラウンド電極13を配置することにしてもよい。このようにすることで、微細な液滴Aを広い範囲にわたって液漏れ検出することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る液滴センサを示す図面である。
【図2】図1の液滴センサの電極部分の横断面を示す図面である。
【図3】図1の液滴センサに液滴が付着した場合に形成される静電容量を説明する図面である。
【図4】図1の液滴センサの電極の変形例を示す図面である。
【符号の説明】
【0023】
i 電流
1 液滴センサ
2 センサ部
3 回路基板
4,5,11,12 検出用電極
6,13 グラウンド電極
7 交流電源(電源)
8 電流検出部
9 保護膜
10 電流−電圧変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液漏れの発生が予想される位置に配置される液滴センサであって、
間隔をあけて配置された2つの検出用電極と、
これら検出用電極の間に配置され接地されたグラウンド電極と、
前記検出用電極間に交流電圧を加える電源と、
前記検出用電極に流れる電流を検出する電流検出部とを備える液滴センサ。
【請求項2】
前記2つの検出用電極および前記グラウンド電極を被覆する絶縁材料からなる保護膜を備える請求項1に記載の液滴センサ。
【請求項3】
前記検出用電極が、相互に噛み合う櫛歯状に形成されている請求項1または請求項2のいずれかに記載の液滴センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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