説明

液滴吐出装置の制御方法

【課題】効率的にワーク処理可能な液滴吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】描画エリアでワークを移動してワークに描画動作を実施し、描画エリアからワークの移動方向の両外側の2つの検査エリアにおいて吐出検査を交互に実施し、各検査エリアから移動方向の外側の2つの除給材エリアでワークの除給材を交互に実施し、一対のワークステージ22と、一対のワークステージ22間で検査吐出を受ける単一の検査ステージ53と、検査ステージ53を画像認識する一対の画像認識手段と、を用い、一対のワークステージ22を描画エリアと各除給材エリアとの間で交互に移動させて、描画動作を交互に実施すると共に、検査ステージ53を一対の検査エリアの間で交互に移動させて行う吐出検査と、を交互に実施することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のワークステージを備え、ワークへの描画を交互に実施する液滴吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液滴吐出装置として、固定的に配置した一対の描画ステージ(ワークステージ)と、ライン形式の機能液滴吐出ヘッドを搭載し、機能液滴吐出ヘッドを一対の描画ステージ間で移動させるヘッド移動機構と、一対の描画ステージ間に固定的に配設された検査シートと、検査シートへの着弾結果を画像認識する検査カメラユニットと、を有し、検査シートに吐出・着弾した液滴を検査カメラユニットにより撮像して吐出検査する液滴吐出装置が知られている(特許文献1参照)。
この液滴吐出装置では、一対の描画ステージを跨いだ機能液滴吐出ヘッドの移動軌跡下に検査シートが臨み、機能液滴吐出ヘッドからの検査吐出が行われると検査シートが下降し、検査シート近傍の描画ステージよりも低い位置に備えていた検査カメラが検査シートの撮像位置に移動して撮像を開始する。撮像が終了すると、検査カメラが退避し検査シートが上昇して吐出検査位置に戻る。すなわち、吐出検査装置、特に検査カメラが、機能液滴吐出ヘッドの描画動作に干渉しない構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−225348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような吐出検査装置では、ワークへの描画とワークの除給材とを並行して行うことができるため、ワーク処理のサイクルタイムを短縮することができるものの、機能液滴吐出ヘッドを水平方向に移動させるヘッド移動機構と、検査シートと検査カメラユニットとを昇降させる昇降手段が必要であり、装置の構造・制御が複雑化するという問題がある。
【0005】
本発明は、単純な構成でワーク処理のサイクルタイムを短縮することができる液滴吐出装置の制御方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出装置の制御方法は、描画エリアにおいて、ワークを移動させながら機能液滴吐出ヘッドを駆動してワークに描画動作を実施し、描画エリアからワークの移動方向の両外側に外れた2つの検査エリアにおいて、画像認識による機能液滴吐出ヘッドの吐出検査を交互に実施し、各検査エリアから移動方向の外側に外れた2つの除給材エリアにおいて、ワークの除給材を交互に実施する液滴吐出装置の制御方法であって、ワークをセットした一対のワークステージと、一対のワークステージ間に配設され、機能液滴吐出ヘッドからの検査吐出を受ける単一の検査ステージと、各検査エリアに配設され、検査ステージへの検査吐出結果を画像認識する一対の画像認識手段と、を用い、一方のワークステージを描画エリアおよび一方の除給材エリア間で移動させ、且つ他方のワークステージを描画エリアおよび他方の除給材エリア間で移動させるように、一対のワークステージを描画エリアと各除給材エリアとの間で交互に移動させて、描画動作を交互に実施すると共に、検査ステージを一対の検査エリアの間で交互に移動させて、描画動作に併せて行う検査吐出と、続く描画動作が実施されている間に行う検査吐出結果の吐出検査と、を交互に実施することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ワークをセットした一対のワークステージを、描画エリアに交互に臨ませることができ、ワークの描画(ワーク処理)を連続して効率良く行うことができる。また、一方のワークステージにより描画を実施している間に、検査ステージを他方のワークステージ側の検査エリアに移動しておけば、描画動作中に、画像認識手段による吐出検査を実施することができる。すなわち、ワークへの描画中に、先行する検査吐出に対する吐出検査を実施することができ、全体として、ワーク処理の効率化を図ることができ、サイクルタイムを短縮することができる。さらに、描画に際しワーク側を移動させるため、移動ストロークが長くなっても高い機械的精度を維持することができ、都度の吐出検査と併せて高い描画品質を維持することができる。しかも、2箇所での吐出検査に対し、検査系の検査ステージが1つで済むため、構造を単純化することができる。また、描画動作に併せて検査吐出を行うため、検査吐出にかかる時間的なロスを抑えることができると共に、実際のワークへの吐出に即した検査吐出を得ることができる。また、検査吐出に対すると検査を当該描画動作実施中に行うため、描画動作中に並行して全ての吐出検査動作を行うことができる。また、連続した描画動作に並行して、連続した吐出検査を行うことができ、ワーク処理の効率化を図ることができる。
【0008】
この場合、描画エリアにおいて、各ワークステージを移動方向に複数回往復動させて描画動作を実施し、往復動の最終復動動作に同期して、検査ステージを一方の検査エリアから他方の検査エリアに移動させ、かつこの移動に同期して検査吐出を実施することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、一方のワークステージの最終復動動作に同期して、検査ステージが描画エリアを通過して検査吐出を受けるため、一方のワークステージへの描画動作の直後および他方のワークステージへの描画動作の直前に、検査吐出を行うことができる。すなわち、検査ステージへの検査吐出が、連続した描画動作を滞らせることなく、ワーク処理の効率化を図ることができる。
【0010】
この場合、描画動作が実施されている間に行う吐出検査を、描画動作が完了するまでに完了することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、一方のワークステージへの描画動作と吐出検査を同時に実施して終了させることができるため、吐出検査に要する時間を十分に執ることができると共にワーク処理の効率化を図ることができる。
【0012】
同様に、検査ステージの、一方の検査エリアから他方の検査エリアへの移動が完了するまでの間に、次の描画動作を実施する一方のワークステージを、描画開始位置に移動させておくことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ワークステージの移動を効率良く行うことができ、ワーク処理の効率化を図ることができる。
【0014】
一方、各徐給材エリアに移動してきた各ワークステージに対し、ワークの除給材を実施することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、一方のワークステージが描画エリアに臨み描画動作を行っている間に、他方のワークステージは、除給材エリアに臨みワークの除給材を実施することができるため、ワーク処理の効率化を図ることができる。
【0016】
この場合、ワークの除給材には、ワークの搬出および搬入と、搬入したワークのワークステージへの位置決めセットと、が含まれており、一方のワークステージにおける描画動作が完了するまでに、他方のワークステージにおける除給材を完了することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、一方のワークステージにおける描画動作が完了するまでに、他方のワークステージにおける除給材が完了しているため、一方のワークステージにおける描画完了直後から、他方のワークステージにおける描画動作を開始できるため、連続したワークへの描画動作を行うことができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係る液滴吐出装置の外観斜視図である。
【図2】液滴吐出装置の上面図である。
【図3】液滴吐出装置の側面図である。
【図4】キャリッジユニットを模式的に示した平面図である。
【図5】機能液滴吐出ヘッドの表裏外観斜視図である。
【図6】機能液吐出装置の一連の動作を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成(描画)するものである。
【0020】
図1ないし図3に示すように、液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース21上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在して、ワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル2(ステージ移動手段)と、複数本の支柱33を介してX軸テーブル2を跨ぐように架け渡された一対のY軸支持ベース31上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル3と、複数の機能液滴吐出ヘッド44が搭載された複数の(例えば10個)キャリッジユニット4と、を備えている。本発明の液滴吐出装置1は、ワークWがセットされるワークステージを2つ(一対)有し、X軸テーブル2によって、2つのワークステージをX軸方向に個別に移動させて交互に描画動作を行う。
【0021】
また、液滴吐出装置1は、機能液滴吐出ヘッド44から機能液を吸引する吸引ユニット72と、機能液滴吐出ヘッド44のノズル面NFを払拭するワイピングユニット73と、を有するメンテナンス装置7(メンテナンス手段)を有している。さらに、液滴吐出装置1は、機能液滴吐出ヘッド44から機能液の捨て吐出を受けると共に、吐出された機能液の重量を測定する重量測定・フラッシングユニット51と、機能液滴吐出ヘッド44から検査吐出を受けるロール紙ユニット52(検査ステージ)と、ロール紙ユニット52の吐出結果を画像認識する一対の画像認識ユニット6(画像認識手段)と、ワークWのアライメントを行う一対のアライメントユニット8と、ワークWの除給を行う一対の除給材ユニット9(除給材手段)と、を備えている。
【0022】
また、液滴吐出装置1は、これらの装置を、温度および湿度が管理された雰囲気内に収容するチャンバー(図示省略)と、チャンバを貫通して各機能液滴吐出ヘッド44に機能液を供給する機能液供給ユニット(図示省略)と、装置全体を統括制御する制御装置10と、を備えている。チャンバの側壁の一部には、機能液供給ユニットの主要部を為す複数のメインタンクユニット(図示省略)が配設されている。
【0023】
X軸テーブル2およびY軸テーブル3の交差領域には、ワークWに描画処理を行う描画エリア11が設定され、描画エリア11からY軸方向に外れたY軸テーブル3の移動領域には、吸引ユニット72およびワイピングユニット73を配設したメンテナンスエリア12が設定されている。また、描画エリア11からX軸方向の両外側には、機能液滴吐出ヘッド44からの検査吐出結果を検査する第1検査エリア13aおよび第2検査エリア13bが設定され、さらに、X軸方向の両外側には、ワークWを除給するための第1除給材エリア14aおよび第2除給材エリア14bが設定されている。すなわち、液滴吐出装置1は、X軸方向において、中心に設けられた描画エリア11の両外側に、一対の検査エリア13および除給材エリア14が設けられている。
【0024】
描画エリア11は、X軸方向に少なくともワークW2枚分(ワークステージ2枚分)の長さを有し、複数のキャリッジユニット4(複数の機能液滴吐出ヘッド44)が臨む位置を中心として、ワークWがX軸方向に複数回往復動して描画処理が行われる。第1検査エリア13aおよび第2検査エリア13bは、X軸方向に少なくともロール紙ユニット52および重量測定・フラッシングユニット51が配置可能な幅を有し、第1画像認識ユニット6aおよび第2画像認識ユニット6bが上方からそれぞれ配設され、機能液滴吐出ヘッド44(キャリッジユニット4)から検査吐出を受けたロール紙ユニット52が、第1検査エリア13aおよび第2検査エリア13bに移動し、ロール紙ユニット52の吐出結果を画像認識して吐出検査が行われる。第1除給材エリア14aおよび第2除給材エリア14bは、X軸方向に少なくともワークW1枚分(ワークステージ1枚分)の大きさを有し、Y軸方向に外れた位置に第1除給材ユニット9aおよび第2除給材ユニット9bがそれぞれ配設され、当該エリアに移動してきた第1ワークステージ22aおよび第2ワークステージ22b上のワークWを除給材する。すなわち、液滴吐出装置1は、X軸方向に、少なくともワークステージ4枚分、ロール紙ユニット52、重量測定・フラッシングユニット51および機能液吐出ヘッド44(ヘッドユニット40)の幅と同等の長さを有している。
【0025】
X軸テーブル2は、第1除給材エリア14aから第2除給材エリア14bまで、X軸方向に延在する一対のX軸ガイドレール25を有し(実際には、X軸支持ベース21の両側面で構成されている。)、一対のX軸ガイドレール25に搭載された第1ワークステージ22aおよび第2ワークステージ22bと、第1ワークステージ22aおよび第2ワークステージ22bをX軸ガイドレール25に沿って移動させる第1ステージスライダ23aおよび第2ステージスライダ23bと、ロール紙ユニット52をX軸ガイドレール25に沿って移動させるロール紙スライダ24と、を有している。第1ワークステージ22aおよび第2ワークステージ22bは、ワークWを吸着セットすると共に、θ回転および昇降可能な機構を有している。本実施形態では、ロール紙スライダ24に重量測定・フラッシングユニット51が搭載され、重量測定・フラッシングユニット51はロール紙ユニット52と同期して移動する。
【0026】
第1ステージスライダ23aは、リニアモーター駆動で第1ワークステージ22aを、描画エリア11と第1除給材エリア14aとの間で移動させる。一方、第2ステージスライダ23bは、リニアモーター駆動で第2ワークステージ22bを、描画エリア11と第2除給材エリア14bとの間で移動させる。さらに、ロール紙スライダ24は、リニアモーター駆動でロール紙ユニット52および重量測定・フラッシングユニット51を、第1検査エリア13aと第2検査エリア13bの間で移動させる。すなわち、リニアモーターのステーターがX軸ガイドレール25に沿って延在し、リニアモーターの複数のスライダが各ステージに対応しており、このリニアモーターにより、請求項に言う移動軸が構成されている。このように、第1ワークステージ22a、第2ワークステージ22bおよびロール紙ユニット52は、個別に移動可能に構成されている。
【0027】
Y軸テーブル3は、X軸テーブル2を跨いでY軸方向に延在し、描画エリア11を横断してメンテナンスエリア12まで延びた一対のY軸支持ベース31上に設けられたY軸ガイドレール(図示省略)と、一対のX軸ガイドレール25に掛け渡すように搭載され、各キャリッジユニット4をそれぞれ吊設した複数のブリッジプレート32と、各ブリッジプレート32を介して複数のキャリッジユニット4をY軸ガイドレールに沿って移動させるキャリッジスライダ(図示省略)と、を有している。キャリッジスライダは、リニアモーター駆動で、各キャリッジユニット4を個別に移動可能に構成されている(複数のキャリッジユニット4を一体として移動させることも可能)。キャリッジスライダは、機能液滴吐出ヘッド44(キャリッジユニット4)を、描画動作中に描画エリア11内をY軸方向に走査するほか、描画エリア11とメンテナンスエリア12との間を移動させる。この場合も、リニアモーターのステーターがY軸ガイドレールに沿って延在し、リニアモーターの複数のスライダが各キャリッジスライダに対応している。
【0028】
図3および図4に示すように、各キャリッジユニット4は、12個の機能液滴吐出ヘッド44を搭載したヘッドユニット40と、ヘッドユニット40をY軸テーブル3にθ回転および昇降自在に支持するヘッド回転機構41と、を備えている。各キャリッジユニット4を吊設した各ブリッジプレート32上には、各メインタンクユニットに連なるサブタンクユニット(図示省略)が配設されている。サブタンクユニットは、自然水頭を利用して各機能液滴吐出ヘッド44に機能液を供給するようになっている。
【0029】
図4に示すように、ヘッドユニット40は、略方形のキャリッジプレート43に対し、機能液滴吐出ヘッド44が、左右に6個ずつ二分して組み付けられている。左右1組(2個)の機能液滴吐出ヘッド44は、同一種類の機能液を吐出し、上下に6組の機能液滴吐出ヘッド44が相互に階段状に位置ずれして配設されている。なお、各組内の同色の2つの機能液滴吐出ヘッド44は、そのノズル列NLがY軸方向に連続して1の部分描画ラインを構成している。なお、キャリッジユニット4の個数およびキャリッジユニット4に搭載される機能液滴吐出ヘッド44の数は任意である。
【0030】
図5に示すように、機能液滴吐出ヘッド44は、いわゆる2連のインクジェットヘッドであり、2連の接続針45aを有する機能液導入部45と、機能液導入部45の側方に連なる2連のヘッド基板46と、ヘッド基板46の下方に連なる2連のポンプ部47と、ポンプ部47に連なるノズルプレート48と、を備えている。ノズルプレート48のノズル面NFには、2列のノズル列NLが相互に平行に列設されており、各ノズル列NLは、等ピッチで並べた複数の吐出ノズル49で構成されている(図5(b)参照)。ヘッド基板46は、上記した制御装置10が接続されており、制御装置10から出力された駆動波形が各ポンプ部47(の圧電素子)に印加されることで、各吐出ノズル49から機能液が吐出される。
【0031】
図1および図2に示すように、吸引ユニット72は、メンテナンスエリア12に臨む複数のキャリッジユニット4の直下に固定的に配設されており、複数のキャリッジユニット4と同数の個別吸引ユニット72aから構成されている。各個別吸引ユニット72aは、12個の機能液滴吐出ヘッド44に対応する12個のヘッドキャップを有するキャップユニットと、キャップユニットに連なる吸引機構と、キャップユニットを昇降させる昇降機構(いずれも図示省略)と、を備えている。個別吸引ユニット72aは、保管用・機能液吸引用の密接位置と、フラッシング用の離間位置と、ヘッドユニット40の交換やキャップユニットの消耗品交換用の交換位置と、の間でキャップユニットを3段階に昇降させる。
【0032】
ワイピングユニット73は、吸引ユニット72の描画エリア11側近傍に、吸引ユニット72と同様、固定的に配設されており、ワイピングシートをロール状に巻回した繰出しリールと、繰出しリールから繰出されたワイピングシートを巻取る巻取りリールと、両リール間に掛け渡されたワイピングシートを機能液滴吐出ヘッド44に押し付ける押圧ローラー(いずれも図示省略)と、を有している。ワイピングユニット73は、押圧ローラーを介して機能液滴吐出ヘッド44にワイピングシートを押し付けながら、ワイピングシートを走行させ、さらに全体をX軸方向に移動させて、各キャリッジユニット4の機能液滴吐出ヘッド44のノズル面NFを払拭する。
【0033】
図1ないし図3に示すように、重量測定・フラッシングユニット51は、一対のワークステージ22間において、ロール紙ユニット52の第1除給材エリア14a側近傍に配設されており、ロール紙スライダ24によりX軸ガイドレール25に対してロール紙ユニット52と同期してスライド自在に支持されている。重量測定・フラッシングユニット51は、機能液滴吐出ヘッド44から吐出された機能液を受けるフラッシングボックスと、機能液の重量を測定する天秤ユニットと、を一体的に併設したものであり、ロール紙ユニット52側にフラッシングボックスが配設されている。
【0034】
フラッシングボックスは、機能液滴吐出ヘッド44からの捨て吐出(フラッシング)を受けて、機能液滴吐出ヘッド44の機能液吐出を安定させる。また、天秤ユニットは、複数の電子天秤と、電子天秤を受ける複数枚の受皿(共に、図示省略)と、を有し、機能液滴吐出ヘッド44から吐出された機能液の重量を測定する。なお、重量測定・フラッシングユニット51をX軸方向に移動させる移動機構を設け、ロール紙ユニット52と独立して移動させるようにしてもよい。なお、フラッシングボックスは、吐出検査でNGとなった場合等の描画動作を一時的に停止する場合に用い、天秤ユニットは、ヘッドユニット40の交換時等に用いる。なお、本実施形態では、重量測定・フラッシングユニット51は、機能液滴吐出ヘッド44から機能液の捨て吐出を受ける機能と、吐出された機能液の重量を測定する機能とを有するようにしたが、重量測定・フラッシングユニット51は、少なくとも一方の機能を有してもよい。
【0035】
ロール紙ユニット52は、第1ワークステージ22aおよび第2ワークステージ22bの間に配設されており、ロール紙スライダ24によりX軸ガイドレール25に対してスライド自在に支持されている。ロール紙ユニット52は、ロール状の検査シート53を繰出す繰出し機構と、検査後の使用済みの検査シートを巻取る巻取り機構(共に図示省略)と、繰出し機構から繰り出された検査シート53を吸着載置する吸着ステージ54と、を備えている。ロール紙ユニット52は、繰出し機構により繰出された検査シート53を、吸着ステージ54に吸着させた状態で、機能液滴吐出ヘッド44からの検査吐出を受ける。そして、ロール紙ユニット52は、巻取り機構により、検査後の検査シートを巻取ると共に、新たな検査シート53を吸着ステージ54に繰出す。実際には、検査吐出を数回受け検査シート53に余白が無くなった後、検査シート53が巻取り機構により巻取ると共に、新たな検査シート53が吸着ステージ54に繰出される。ロール紙ユニット52は、第1検査エリア13aと第2検査エリア13bとの間を移動し、この移動中に描画エリア11において機能液滴吐出ヘッド44から検査吐出を受けて、第1検査エリア13aおよび第2検査エリア13bに交互に臨んで、画像認識による吐出検査を受ける。
【0036】
画像認識ユニット6は、第1検査エリア13aに配設された第1画像認識ユニット6aと、第2検査エリア13bに配設された第2画像認識ユニット6bと、を有している。第1画像認識ユニット6aは、第1検査エリア13aに移動したロール紙ユニット52(検査シート53)を画像認識し、第2画像認識ユニット6bは、第2検査エリア13bに移動したロール紙ユニット52(検査シート53)を画像認識する。第1画像認識ユニット6aおよび第2画像認識ユニット6bは同様の構成を有しており、ロール紙ユニット52に上方から臨む複数(例えば5台)の検査カメラ61と、複数の検査カメラ61を支持する複数のカメラ台(図示省略)と、X軸テーブル2を跨ぐように架け渡され、複数のカメラ台をY軸方向にスライド自在に支持するカメラフレーム62と、複数のカメラ台を介して各検査カメラ61をカメラフレーム62に沿ってY軸方向に移動させるカメラ移動機構(カメラテーブル;図示省略)と、を有している。
【0037】
カメラフレーム62は、X軸テーブル2の両側方に配設された支柱63と、支柱63に支持され、Y軸方向に延在する一対のカメラガイド64と、から構成されており、全体として門型に形成されている。画像認識ユニット6は、複数のカメラ台を介して各検査カメラ61をY軸方向に移動させながら、検査シート53に検査吐出された液滴を数個ずつ連続して画像認識する。検査カメラ61が、複数台設けられているため、画像認識時間を短縮することができる。画像認識された検査結果は、制御装置10に送られ、ドット抜けや飛行曲がり等を検査し、機能液滴吐出ヘッド44の吐出性能を検査する。
【0038】
除給材ユニット9は、第1除給材エリア14aにメンテナンスエリア12側から臨む第1除給材ユニット9aと、同様に、第2除給材エリア14bにメンテナンスエリア12側から臨む第2除給材ユニット9bと、を有している。第1除給材ユニット9aは、第1除給材エリア14aに移動してきた第1ワークステージ22a上のワークWを除給材し、第2除給材ユニット9bは、第2除給材エリア14bに移動してきた第2ワークステージ22b上のワークWを除給材する。第1除給材ユニット9aおよび第2除給材ユニット9bは、同様の構成を有しており、ワークWの除給材動作を行うアームロボット91と、アームロボット91を支持するロボット支持ベース92を有している。アームロボット91は、昇降機能を有するワークステージ22と協働し、チャンバに形成された除給材開口(図示省略)を介して、一方のワークWの描画動作中に他方のワークWの除給材を行う。なお、図3においては、除給材ユニット9の図示を省略している。
【0039】
アライメントユニット8は、第1除給材エリア14aに第1除給材ユニット9aとは反対側から臨む第1アライメントユニット8aと、同様に、第2除給材エリア14bに第2除給材ユニット9bとは反対方向から臨む第2アライメントユニット8bと、を有している。第1アライメントユニット8aは、第1除給材エリア14aに移動した第1ワークステージ22a上に給材されたワークWをアライメントし、第2除給材ユニット9bは、第2除給材エリア14bに移動した第2ワークステージ22b上に給材されたワークWをアライメントする。第1アライメントユニット8aおよび第2アライメントユニット8bは、同様の構成を有しており、ワークWに形成されたアライメントマークMに上方から臨む2台のアライメントカメラ81と、アライメントカメラ81を支持する2台のカメラ台(図示省略)と、X軸テーブル2に沿って架け渡され、カメラ台を支持するカメラフレーム82と、を有している。カメラフレーム82は、X軸テーブル2に沿ってワークステージ22の長さに対応した位置に配設された一対の支柱83と、支柱83に支持されY軸方向に延在するカメラガイド84と、から構成されており、全体として門型に形成されている。2台のアライメントカメラ81は、ワークWのアライメントマークMに対応する位置にカメラフレーム82からワークW側に突き出すように固定支持されている。
【0040】
アライメントユニット8は、ワークステージ22に給材され吸着セットされたワークWのアライメントマークMを画像認識し、制御装置10によりその認識結果のずれ量に応じて、X軸テーブル2、Y軸テーブル3およびワークステージ22を各々駆動してX軸方向、Y軸方向およびθ軸方向の各々のずれを修正する。具体的には、除給材エリア14においてワークステージ22のθ軸方向補正機能およびステージスライダ23によりθ軸方向およびX軸方向の修正を行った後、ワークステージ22が移動した描画エリア11において、Y軸テーブル3により複数のキャリッジユニット4をY軸方向にずれ量だけ移動させることで修正する。なお、ワークステージ22には、給材されたワークWをプリアライメントするための一対の位置規制突起(図示省略)が配設されている。なお、請求項における「除給材」とは、上記の除給材ユニット9によるワークWの搬入・搬出と、除給材エリア14(第1除給材エリア14aおよび第2除給材エリア14b)において行われるアライメントユニット8によるワークWのアライメントを含んでいる。
【0041】
続いて図6を参照し、液滴吐出装置1の一連のワーク処理動作について説明する。図6は、図1においてAの方向から見た第1ワークステージ22a、第2ワークステージ22bおよびロール紙ユニット52の、X軸方向の位置関係を模式的に表している。なお、ロール紙ユニット52の近傍に配設された重量測定・フラッシングユニット51は、図示を省略している。
【0042】
先ず、液滴吐出装置1(制御装置10)は、第1除給材エリア14aに位置し、第1除給材ユニット9aおよび第1アライメントユニット8aによりワークWを給材、アライメントした第1ワークステージ22aを描画エリア11の描画開始位置に移動させる(同図(a))。そして、描画開始位置に待機した第1ワークステージ22aを、描画エリア11内を数回(N回)往復動させ、機能液滴吐出ヘッド44(キャリッジユニット4)からワークWに機能液滴を吐出し、描画動作を実施する(同図(b))。この間、ロール紙ユニット52を第2検査エリア13bに待機させ、第2ワークステージ22bを第2除給材エリア14bにおいて、第2除給材ユニット9bおよび第2アライメントユニット8bにより、別のワークWを給材、アライメントする。
【0043】
続いて、第1ワークステージ22aの最終往動動作(N回目の往動動作)が終了すると、第1ワークステージ22aを、最終復動動作(N回目の復動動作)に続いて描画エリア11を出て第1検査エリア13aを通過させ、第1除給材エリア14aに移動させる。この第1ワークステージ22aの最終復動動作(N回目の復動動作)および第1除給材エリア14aへの移動に同期して、ロール紙ユニット52を、第1ワークステージ22aに追従するように、第2検査エリア13bから描画エリア11を通過させ、第1検査エリア13aに移動させる(図6(c))。この描画エリア11を通過中(移動中)、機能液滴吐出ヘッド44によりロール紙ユニット52に検査吐出を行う。この検査吐出は、ロール紙ユニット52が第1ワークステージ22aを追従して描画エリア11を通過することにより、第1ワークステージ22aにおける描画の最終吐出に連続した吐出となり、吐出検査に要する時間的ロスを無くすと共に、ワークWへの吐出と同様の検査吐出が得られるため、検査意義の高い吐出検査を行うことができる。
【0044】
図6(c)の第1ワークステージ22aとロール紙ユニット52の移動に同期して、別の新しいワークWがセットされた第2ワークステージ22bを、描画エリア11の描画開始位置に移動させる(図6(d))。実際には、図6の(c)および(d)の移動を同時に実施する。そして、描画開始位置に待機した第2ワークステージ22bを、描画エリア11内を数回(N回)往復動させ、機能液滴吐出ヘッド44(キャリッジユニット4)からワークWに機能液滴を吐出し、描画動作を実施する(同図(e))。一方、第1除給材エリア14aに移動した第1ワークステージ22aに対し、第1除給材ユニット9aにより描画処理されたワークWを除材し、新しいワークWを給材、アライメントする。さらに、第1検査エリア13aに移動したロール紙ユニット52に対し、描画エリア11を通過した際に受けた検査吐出結果を第1画像認識ユニット6aによって吐出検査する。すなわち、第1除給材エリア14aにおいて除給材動作が、第1検査エリア13aにおいて吐出検査が、描画エリア11において描画動作が、それぞれ並行して行われる。
【0045】
続いて、第2ワークステージ22bの最終往動動作(N回目の往動動作)が終了すると、第2ワークステージ22bを、最終復動動作(N回目の復動動作)に続いて描画エリア11を出て第2検査エリア13bを通過させ、第2除給材エリア14bに移動させる。この第2ワークステージ22bの最終復動動作(N回目の復動動作)および第2除給材エリア14bへの移動に同期して、ロール紙ユニット52を、第2ワークステージ22bを追従するように、第1検査エリア13aから描画エリア11を通過させ第2検査エリア13bに移動させる(図6(f))。この描画エリア11を通過中(移動中)、機能液滴吐出ヘッド44によりロール紙ユニット52に検査吐出を行う。すなわち、第1検査エリア13aにおけるロール紙ユニット52の吐出検査は、第2ワークステージ22bの最終往動動作(N回目の往動動作)が終了するまでに、完了している。言い換えれば、第1検査エリア13aにおける吐出検査に、図6(e)の第2ワークステージ22bにおける描画動作の、最終復動動作のみを除いた時間を費やすことができる。すなわち、第2ワークステージ22bにおける描画動作に要する時間の略全てを、吐出検査に執ることができるため、精度のよい検査、また、複雑な吐出検査を行うことができる。また、最初の吐出検査が、3枚目のワークWに対する描画動作を開始するまでに完了するため、ワーク処理の最初に発生するミスパネルは、多くとも2枚で済ませることができる。
【0046】
図6(f)の第2ワークステージ22bとロール紙ユニット52の移動に同期して、別の新しいワークWがセットされた第1ワークステージ22aを、描画エリア11の描画開始位置に移動させる(図6(g))。すなわち、第1除給材エリア14aにおける第1ワークステージ22aの除給材動作は、第2ワークステージ22bにおける描画動作、正確には、最終往動動作(N回目の往動動作)を終えるまでに、完了している。実際には、図6の(f)および(g)の移動を同時に実施する。そして、描画エリア11において、第1ワークステージ22aに対する描画動作を行い、第2除給材エリア14bに移動した第2ワークステージ22bにおいてワークWを除給材し、第2検査エリア13bに移動したロール紙ユニット52において、描画エリア11を通過した際に受けた検査吐出結果を、第2画像認識ユニット6bにより吐出検査する。すなわち、第2除給材エリア14bにおいて除給材動作が、第2検査エリア13bにおいて吐出検査が、描画エリア11において描画動作が、それぞれ並行して行われる。なお、本実施形態では、各ワークステージ22が、描画動作の開始に際して描画エリア11の描画開始位置に一度待機したが、各ワークステージ22は描画開始位置に待機せず、除給材エリア14からの移動に続いてダイレクトに描画エリア11における往復動動作(描画動作)を開始するようにしてもよい。
【0047】
このようにして、第1ワークステージ22aおよび第2ワークステージ22bへの描画動作と除給材動作とが、交互に行われる。このため、常にワークWに対して描画動作を行うことができ、全体としてのサイクルタイムを短縮することができる。また、第1ワークステージ22aおよび第2ワークステージ22bの間に、独立して移動可能な単一のロール紙ユニット52を設け、描画エリア11の両側に2つの検査エリア13(画像認識ユニット6)を設けることで、描画処理を受けているワークステージ22に応じて検査エリア13を使い分けることができ、描画動作および除給材動作と並行して吐出検査を行うことができる。すなわち、よりワーク処理を効率的に実施し、さらに全体としてのサイクルタイムを短縮することができる。
【符号の説明】
【0048】
1:液滴吐出装置 2:X軸テーブル 6:画像認識ユニット 6a:第1画像認識ユニット 6b:第2画像認識ユニット 9:除給材ユニット 9a:第1除給材ユニット 9b:第2除給材ユニット 10:制御装置 11:描画エリア 13:検査エリア 13a:第1検査エリア 13b:第2検査エリア 14:除給材エリア 14a:第1除給材エリア 14b:第2除給材エリア 22:ワークステージ 22a:第1ワークステージ 22b:第2ワークステージ 52:ロール紙ユニット W:ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画エリアにおいて、ワークを移動させながら機能液滴吐出ヘッドを駆動して前記ワークに描画動作を実施し、
前記描画エリアから前記ワークの移動方向の両外側に外れた2つの検査エリアにおいて、画像認識による前記機能液滴吐出ヘッドの吐出検査を交互に実施し、
前記各検査エリアから前記移動方向の外側に外れた2つの除給材エリアにおいて、前記ワークの除給材を交互に実施する液滴吐出装置の制御方法であって、
前記ワークをセットした前記一対のワークステージと、前記一対のワークステージ間に配設され、前記機能液滴吐出ヘッドからの検査吐出を受ける単一の検査ステージと、前記各検査エリアに配設され、前記検査ステージへの検査吐出結果を画像認識する一対の画像認識手段と、を用い、
一方の前記ワークステージを前記描画エリアおよび一方の前記除給材エリア間で移動させ、且つ他方の前記ワークステージを前記描画エリアおよび他方の前記除給材エリア間で移動させるように、前記一対のワークステージを前記描画エリアと前記各除給材エリアとの間で交互に移動させて、前記描画動作を交互に実施すると共に、
前記検査ステージを前記一対の検査エリアの間で交互に移動させて、前記描画動作に併せて行う前記検査吐出と、続く前記描画動作が実施されている間に行う前記検査吐出結果の前記吐出検査とを交互に実施することを特徴とする液滴吐出装置の制御方法。
【請求項2】
前記描画エリアにおいて、前記各ワークステージを前記移動方向に複数回往復動させて前記描画動作を実施し、
前記往復動の最終復動動作に同期して、前記検査ステージを一方の前記検査エリアから他方の前記検査エリアに移動させ、且つこの移動に同期して前記検査吐出を実施することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置の制御方法。
【請求項3】
前記描画動作が実施されている間に行う前記吐出検査を、当該描画動作が完了するまでに完了することを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置の制御方法。
【請求項4】
前記検査ステージの、一方の前記検査エリアから他方の前記検査エリアへの移動が完了するまでの間に、次の描画動作を実施する一方の前記ワークステージを、描画開始位置に移動させておくことを特徴とする請求項2または3に記載の液滴吐出装置の制御方法。
【請求項5】
前記各徐給材エリアに移動してきた前記各ワークステージに対し、前記ワークの除給材を実施することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出装置の制御方法。
【請求項6】
前記ワークの除給材には、前記ワークの搬出および搬入と、搬入した前記ワークの前記ワークステージへの位置決めセットと、が含まれており、
一方の前記ワークステージにおける描画動作が完了するまでに、他方の前記ワークステージにおける前記除給材を完了することを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−177642(P2011−177642A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43794(P2010−43794)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】