説明

液漏れを防止する飲料容器用の蓋

飲料が容器から飲み口を経由して吸飲され、一方吸飲が行われない時は液漏れを防止する液体飲料容器を密閉する蓋が記載されている。蓋にはデマンド弁が設けられ、デマンド弁は容器内部と接続する入口と、飲み口と接続する排出口と、周辺大気と蓋の穴を介して接続する制御口を有する。弁は弁シートと、入口から排出口への流れを制御する閉鎖要素を有し、閉鎖要素は制御圧力が排出口の圧力を上回る差分の圧力に依存して開放位置に移動され、この動きは流れと逆の方向であり、また容器内の圧力により弁シートに対し密閉する方向に移動される。本発明では、デマンド弁は、蓋の内部表面に装着される2つの部位により構成される。第1の部位は剛性で弁入口と弁シートを画定する。第2の部位は閉鎖要素と弾性膜からなり、弾性膜は閉鎖要素を含み圧力感応型ダイアフラムとして機能する。第2の部位はまた蓋の孔の周りと飲み口の周りを、第1部位に対して密閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液漏れを防止する飲料容器用の蓋に関し、飲料容器に取り外し可能にまたは永久に係合した場合の、蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
幼児や虚弱者に使用されるような、液漏れを防止するカップに対する必要性は周知である。これらのカップは液体密閉で好適には空気密閉であり、カップが子供により傾けられたり逆さにされた場合、あるいは横に倒されたり、ひっくり返されたりした場合にも液漏れしないように設計されている。子供がカップを不注意に持ち歩く場合に起きる、横に振られたり、振り回されたりした場合にも好適には液漏れしないことが求められている。
【0003】
この目的のため幾つかの既知の設計がある。第1の設計ではカップを密閉および/または開封するのに注意深い動作が必要とされ、このようなカップは幼児に密閉を任せられない点で明らかに不利である。第2の設計は飲み口での減圧に対応して自動的に開き、吸引が終了すると再密封するように意図された圧力操作弁を有する。このような弁は容器内の高圧と飲み口での低圧とを識別できないという一般的な問題を有する。従ってこのような弁は液漏れの防止が効率的でないか、吸引に望まないレベルの抵抗を有するかのいずれかである。
【0004】
圧力操作弁を有するカップのさらなる問題は、それが炭酸飲料あるいは温飲料に対し安全に使用できないことである。後者の場合、カップが逆さになると、出口は液体によって覆われているので液体が空間の空気を熱し容器内の圧力を増加させ、その後液体を放出する。
【0005】
上記の不利な点を避けるため本発明では、自己密閉式デマンド弁として既知の弁を使用している。自己密閉とは容器内部の圧力が弁を開放するよりはむしろ閉鎖するように作動するところから来ている。このような弁の更なる利点は弁が非常に低い吸引圧で開けられるように設計可能であることである。
【0006】
自己密閉式デマンド弁を実現する単純で一般的な方法は、弁の開放時に弁閉鎖部位が液流方向と反対に作動するように弁を組み立てることである。この種の弁の例は特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載されている。
弁は1つのダイアフラムを有し、それは第1の側では一定圧、一般には大気圧を受け、第2の側で弁閉鎖部位に作用する。弁閉鎖部位は弁シートに対し密閉する閉鎖位置に偏っている。カップの出口側の圧力はダイアフラムの第2の側に作用し、飲み口で吸引が行われたときに、ダイアフラムは、弁閉鎖部位を弁シートから乖離させる方向に持ち上げ、弁を開放する。飲み口で吸引が行われないときは、弁閉鎖部位の偏移した力は弁閉鎖部位を閉鎖位置に戻し、閉鎖を維持し、そして弁入口の正の圧力はいずれも閉鎖する力を増大させる。
【0007】
この種の弁は、ある要求に適合する必要性から、幼児向けに大量使用される液漏れ防止カップには適用されていない。特に、以下の全ての基準に適合することが重要である:
・全ての部位の全ての側面は十分な掃除のため接触可能であること
・ダイアフラムは、取り付け時に、大気に晒されるが、カップの外側から偶然であっても接触可能であってはならないこと
・分離された部位の数は最小にされ、その形は製造原価を最小化し、取扱いを容易にする形状にすること
・掃除のための分解は容易で再組立の方向は1方向のみで可能であること
・安全のため、特定の最小寸法より小さい寸法の部位を使用してはならないこと
【0008】
液漏れ防止カップ内でのデマンド弁の組み込みは、弁と飲み口との間の容積が最小に維持される必要があるという困難を伴う。この容積は、料飲後、液体に満たされ、そして結果的に液漏れし、あるいは横振りにより液漏れする。従来技術では小さな穴を間に挟むことが提案されてきたが、この方法はカップからの料飲をより困難にする。またそれは弁の部位の成形と掃除の容易さに対し逆効果となる。
【0009】
特許文献4は本発明に最も近い従来技術であり、飲料が容器から1つの飲み口を経由して吸飲され、一方吸飲されない時は液漏れを防止する、飲料容器を閉鎖する蓋を開示している。デマンド弁は蓋に取り込まれ、デマンド弁は容器の内部に接続する1つの入口と、飲み口と接続する1つの排出口と、蓋内の1つの穴を経由して周辺大気と接続する1つの制御口を有する。弁は1つの弁シートと入口から排出口への流れを制御する1つの閉鎖要素を有し、その閉鎖要素は容器内の圧力により弁シートに対し密閉する方向に駆動され、また排出口と比較した制御口の圧力の余剰圧力に依存して、開放位置に駆動される。弁を開放する閉鎖要素の動きは、弁を通過する液流の向きと逆方向である。デマンド弁は、蓋の飲み口の中に組み込まれた2つの部位から形成される。第1の部位は剛性で弁の入口と弁シートを画定する。第2の部位は弁の閉鎖要素と圧力感応型ダイアフラムとして機能する1つの弾性膜からなり、第2の部位は第1の部位に対し、また蓋の穴の周りを密閉する。
【0010】
後者の特許仕様の液漏れ防止カップは満足に動作するようには作製されず、商品化されてはいない。その設計に固有の特性により、デマンド弁の第2の部位は第1の部位を信頼性を持って密閉できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許 5,409、035
【特許文献2】米国特許 3,493,011
【特許文献3】米国特許 6,554,023
【特許文献4】国際特許公報 WO03/068036
【発明の概要】
【0012】
(発明の目的)
そこで本発明は、デマンド弁を有し、そのデマンド弁の構成要素である剛性および弾性部位の間で信頼性のある密封がされる液漏れ防止カップ用の蓋を提供することを目的とする。
【0013】
本発明によれば、1つの液体飲料容器を密閉するための蓋(10)であって、飲料が容器から飲み口(20)を経由して吸飲されることを可能にし、一方吸飲が行われない時には液漏れを防止し、ここにおいて1つのデマンド弁(16,18)が蓋(10)に組み込まれ、デマンド弁は、容器内部に接続する1つの入口(184、186)と、飲み口(20)と接続する1つの排出口と、蓋内の1つの穴(101)を介して周辺大気と接続する1つの制御口を有し、弁は、1つの弁シート(184)と入口から排出口への流れを制御する1つの閉鎖要素(164)を備え、閉鎖要素(164)は容器内の圧力により弁シート(184)を密閉する方向に駆動され、また制御口の圧力の排出口の圧力に対する余剰分に依存して1つの開放位置に駆動され、閉鎖要素(164)の弁を開放する動きは弁を経由する液体の流れの方向と逆方向であり、ここにおいてデマンド弁は蓋の内側表面に搭載される2つの部位からなり、第1の部位(18)は剛性で弁入口と弁シート(184)を画定し、第2の部位(16)は弁閉鎖要素(164)と弁閉鎖要素に接続し圧力感応ダイアフラムとして機能する1つの弾性膜を含み、第2の部位(16)は、第1の部位(18)に対しまた蓋内の穴(101)の周囲を密閉し、第2の部位(16)は第1の部位(18)の全外縁を囲み、かつ密閉することを特徴とする蓋が提供される。
【0014】
特許文献4における弾性部位は、剛性部位の前面と後面の両方を密閉接触する必要がある。密閉接触線は一方の面の剛性部位の外部縁の一部にしか存在しない。接触線はさらに剛性部位の縁を横切り反対側に至る。実際には、このような密閉は、掃除のため分解されまた再組立されるように設計された弁では困難である(不可能ではないとしても)。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、弾性部位はまた飲み口の延長部を密閉する。
本発明の蓋は飲料カップの縁に適合するようにもともと意図されているが、それはあるいはボトルやプラスチック・バッグに適合してもよい。さらに、第1と第2の部位が掃除と殺菌のため蓋から分離可能で、蓋と飲料容器を再使用可能とすることは重要な利点であるが、あるいは蓋は使い捨て容器の一部を構成してもよく、そのような用途では第1と第2の部位が蓋から分離可能である必要はない。
好適には、第2の部位は蓋と第1の部位の間に捕捉される。
【0016】
好適には偏在手段が閉鎖要素を閉鎖位置に駆動するのに用いられる。一度閉鎖要素が弁シートと接触すると、どの方向に対しても弁が閉鎖を維持するために、偏在力が残存している必要は無い。何故ならば、容器が逆さにまたは一部逆さになり、容器の液体が排出される可能性がある場合にのみ、弁は閉鎖される必要があり、そのような場合は弁シートと閉鎖要素との間に働く液体の表面張力が弁の閉鎖を維持するからである。一度カップの液体が閉鎖要素のところで滞留すると、本質的に静止した状態または緩慢な運動においては閉鎖を維持するのに他の力は必要ない。逆さまたは一部逆さになったカップが激しい横運動にさらされた場合のため、非常に小さな偏在力を加えておくことが望ましい。
【0017】
弁シートと排出口との間の容積は最小でなければならず、従ってダイアフラムと第1の部位との間の空間は最小化されなければならない。ダイアフラムが飲み口からの吸い込みにより第1部位の方向に引き込まれるので、この空間はダイアフラムの動作を調節する必要がある。その時ダイアフラムは一般的には浅いお椀状に変形される。ダイアフラムを引張する正味の力は、ダイアフラムの直径と弁シートの直径(後者は適正な流れを可能にするため十分に大きくなければならない)との間の環状部分にのみ働く吸引力によりもたらされる。従って第1部位の形状は、第1部位とダイアフラムとの間で環状部分に捕捉された液体、および表面張力が吸飲を受ける実効正味面積を更に減少させないような形状でなければならない。その目的のため、一般的には円錐形に凹んだ第1部位の上部表面は、表面が僅かに薄い縁より凹むように、急な傾斜のリップをその縁周囲に備えている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は付帯する図面を参照して、例示によりさらに説明される。
【図1】本発明に基づく、組立後で閉鎖状態のデマンド弁を有する液漏れ防止蓋の断面図である。
【図2】デマンド弁の弾性部位を下から見た鳥瞰図である。
【図3】デマンド弁の剛性部位を上から見た鳥瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(好ましい実施形態の詳細説明)
説明の全般に渡って、「下方に」のような方向について述べる場合は、カップは図1の位置にあり、カップの底は水平面に置かれ、蓋は最上部にあることを前提とする。
図1は、カップ(不図示)の上にネジ締めされるように内側にねじを切った、1つの輪縁12を有する1つの液漏れ防止飲料カップの、蓋10のみを示す。蓋は1つのデマンド弁を構成する2つの部位16と18を受持する1つの楕円の溝14を含む。好適には蓋10と統合的に形成される、1つの飲み口20は溝14の中に開口している。
【0020】
部位16は弾性材料から作られ、一方部位18と蓋10は、その中に柔らかいまたは弾性の部分を含むが、剛性である。3つの部位10,16,18が容易に識別できるように図1では弾性部位16のみ斜線が施されている。弁の3つの部位は掃除が可能なように互いに分離可能で、また弾性部位16を最初に剛性部位18に適合させ、しかる後2つの部位16,18を一緒に蓋の溝14に挿入することにより組立可能である。剛性部位18と蓋との間における弾性部位16の縁の圧縮力により弾性部位16と剛性部位18は溝14の中に保持される。同時に、密閉リング163が飲み口延長部201とチャンバ181との間の圧縮力により保持される。
【0021】
図3に示すとおり、剛性部位18は1つの通路183により接続される、2つのチャンバ181,182を画定する。
弁の組立後チャンバ181は飲み口20と密閉されて連結し、チャンバ182は全体的に漏斗型で弁シート184に囲まれる開口部186を介してカップ内部と連結している。通路183は、チャンバ182の圧力が飲み口20での吸い込みにより減圧されることを可能にし、またカップから液体が飲み口20に流れることを可能にする。
円柱型に曲がったハンドル185は部位18の下方から片手を伸ばして親指と人差指の間で簡単につまめる。これにより部位18は、弾性部位16がその上に取り付けられる間も、あるいはそこから外される間も、保持され、さらに剛性部位18が蓋10の溝14に押し込まれ、あるいは押し出されることを可能にする。
【0022】
弾性部位16は、剛性部位18の縁の全周を囲む、下方に向いた縁161を有する。この構成により、弾性部位16と剛性部位18の効果的密閉が実現される。
弾性部位16は、縁161に囲まれた領域の中に、下方に突出した密閉リング163に囲まれた1つの孔162を有し、密閉リング163は、短く内側に突出する管状の飲み口延長部201を取り囲み密閉する。デマンド弁の組立後、密閉リング163はチャンバ181内に配置され、チャンバ181の内壁と管状の飲み口延長部201との間に押し付けられ密閉を実現し、これにより飲み口20と弾性部位16の下方の面(図1の方向で見て)のみとの間での液体の交通が可能となる。
【0023】
弾性部位16はまた下方に突出したきのこ型の1つの弁閉鎖部位164を有し、その寸法は剛性部位18の開口部186を押し通らされ、また、引き出されることが出来るような寸法になっている。その弾性のため、剛性部位のチャンバ182の上方に位置する部位18の領域は1つのダイアフラムの働きをし、閉鎖部位上で引きあがり、開口部186を囲む弁シート184と密閉接触を維持する。
1つの小さな開口部101がダイアフラムの上方の蓋に設けられ、大気圧が弾性部位16の上面に作用するようになっている。
【0024】
液体が飲み口20より吸われてカップ内に真空が生ずるのを防ぐため、空気がカップ内に進入することを可能にする換気装置が必要となる。もちろんこの換気の間に液体がカップより漏れることは許されず、この理由により、1つの1方向弁を使用することが一般的である。このような弁の既知の形は括約筋弁であり、それは、1つ以上のスリットにより2つ以上の薄板に分割された1つの凸型弾性表面からなり、その薄板は分離して1方向への空気の流れを可能にし、一方で圧搾されて互いに密閉し逆方向への液体の流れを防止する。
【0025】
図2はこのような括約筋弁が側面に伸長する腕部167の端で弾性部位と統合されて形成されるさまを示す図である。弁166は蓋からカップの内部に突出する短い管に適合する。しかしその管も括約筋弁166も図1の断面図には表示されていない。
使用されないとき、デマンド弁の各部位は図1に示す配置をとる。即ち、きのこ型弾性部位16の頭部は弁シート184に対し密閉し、液体がカップの内側から飲み口20を経由して漏れるのを防止する。弁シート184は平面ではなく、頭頂点が下方を向くわずかに円錐形をしており、これにより閉鎖部位164と弁シート184とが線接触を実現している。弁シートの周りの密閉を向上させる以外に、この頭頂点の形状はベンチュリ(ベルヌーイ)効果を低減する。この時に、弾性部位16のダイアフラム部分は完全に弛緩した状態にあってよい、あるいは僅かに弛緩状態から外れて弾性偏在力を閉鎖部位164にかけてもよい。
【0026】
カップが逆さにされた場合、頭部弁閉鎖部位164にかかる圧力は弁閉鎖部位をより強く弁シートに押し付け、この効果は閉鎖部位164と円錐形弁シート184との間の表面張力によりさらに助長される。従って密閉はカップの逆転のみならず、横ぶれや、炭酸飲料や温飲料で起こりうるカップ内の高圧蓄積にも耐えることが可能である。
弁が使用されていないときに、弁閉鎖部位164と弁シート184との間の密閉を保つため弾性部位16の自然弾性が必要に応じて付加され、あるいは磁気により補助される。例えば、弾性部位16は磁気または鉄の粉を含む材料で作られ、カップ10または第1部位に磁石が埋め込まれる。他の形の偏在方法が選択肢として可能である。例えばバネが使用可能で、これらのバネは第1部位または第2部位に埋め込み成形可能である。またさらに第1部位の上部表面に直線、曲線または角度のついた弾性の「ひれ」を設けることも可能である。あるいは、第2部位の内部面に直線、曲線または角度のついた下方に突き出た弾性の「ひれ」を設けることも可能である。
【0027】
カップの使用中、使用者は飲み口20で吸飲し、これがチャンバ181内部の圧力を大気圧以下に下げる。この減圧は通路183を通じてチャンバ182の上方に位置する弾性部位16の部分に伝えられ、1つのダイアフラムとして機能する。ダイアフラムの反対側の気圧は開口部101により大気圧に保たれているため、正味圧力が弁閉鎖部位164に弁シート184から離れる方向に働き、これにより液体が、今や逆さにされたカップから第1にチャンバ182に流れ、次に通路183を通ってチャンバ181に流れ、飲み口20からカップ外に吸い出されることを可能にする。液体に接触する弁閉鎖部位164の小さな面積に比較して低圧に晒されたダイアフラムが広い面積を有するため、弁を開けるための飲み口での吸い込み圧は大きい必要はない。
【0028】
液体が飲み口より吸われるに従い、空気が換気括約筋弁166を通って流入し、カップからの料飲が加速的に困難にはならない。
従って、デマンド弁は、弁シートからなる吸引口と、飲み口と繋がる排出口と、液体容器の内部から独立し蓋の開口部101を通じて周辺大気と連結する制御口と、を有し、弁は排出口と制御口との差圧により開かれると見ることも出来る。
上記に記載された設計の種々の詳細についての重要性は十分に評価されるべきであることを特記しておく。
デマンド弁を開けるためには、閉鎖部位164が液体の流れと逆方向に移動されなければならない。従って弁はカップ内の圧力では開けることは出来ず、飲み口の吸引によってのみ開けられる。
カップ内の圧力は弾性ダイアフラムの上部面とは連結せず換気用開口部101を通じての圧力漏れは起こらない。
【0029】
後者の開口部101は小さくダイアフラムはカップの外部から接触することはできない。ダイアフラムが物理的にカップの外側から押し潰されれば、ダイアフラム全体が大気に暴露され圧力漏れが発生する。本発明のこの実施形態ではこの状態は細い物体を開口部101から慎重に突いた場合にのみ起こる。
弁の各部位は、掃除や消毒に重要である、分解が出来ること以外に、各部位は不正確に再組立が出来ないようになっている。全ての部位の左右対称な楕円形の周囲の形により、1つの方向でのみ互いに適合することが保証されている。
使い捨て容器の蓋として使用する場合は、各部位は分解可能である必要は無く、どのような形の接着によっても組み立てられうる。
カップの全ての部品は「小部品」規制に適合する程度に、十分大きい寸法である。
【0030】
使用者が飲み口での料飲を終えた時に、幾らかの量の液体が、飲み口、チャンバ182および通路183に残されている。飲み口は、液体がそこから出て行く時には同時には空気は下方に入り込めないように寸法を決められているため、液体が漏れることはない。
それでも横に振ればこの体積の液体は漏れ出す可能があり、上記の設計の中で重要な点は、「小部品」規制に適合する部位を使用しても弁シートより下流の液体体積は3mlより少なく維持することと、弁シートと飲み口の間の通路のいずれにおいても断面積が0.9平方ミリより小さい場所が無いことである。
【0031】
剛性部位18の漏斗型上部表面には急な角度で傾斜したリップがその周辺部に備わっていて、剛性部位がダイアフラムの下部へ接近することを制限している。これは2つの間の接触を防止すると共に2つの間に捕捉された薄い液体の層による表面張力効果を防止するためであり、これら2つの現象は吸引を受けるダイアフラムの実行面積を大幅に減少させる。
本発明の好ましい実施形態によれば、蓋以外に2つだけの部品を使用する。これは掃除を単純化するだけでなく、製造原価を最小にする。
さらにこの観点から、3つの部位のそれぞれは2部位の鋳型で成形でき、高価な製造機械が不要な点が指摘される。
【0032】
本発明の他の実施形態によれば、蓋の開口部101はダイアフラムの逆側と同一平面にはない。そのかわり蓋は周辺大気に接続する穴を1つの換気穴により画定する。ダイアフラムの逆側を周辺大気と換気する他、その穴は、前記の括約筋弁166に類似した1つの弁を経由して、飲料カップの内部を換気する機能を果たす。
【0033】
本発明はカップでの使用に限定されず、ボトル用蓋あるいは柔軟壁の容器においても使用可能であることが明確にされなければならない。さらに、蓋は容器から分離可能である必要は無く、恒久的に一体化されて容器全体を使い捨て用にすることもできる。さらに飲み口部分は柔軟でストローのような伸長された延長部を有してもよい。
【符号の説明】
【0034】
10:蓋 12:輪縁 14:溝
16:弾性部位 18:剛性部位 20:飲み口
101:開口部 161:縁、周辺縁 162:孔
163:密閉リング 164:弁閉鎖要素
166:括約筋弁 181,182:チャンバ
183:通路 184:弁シート 185:ハンドル
186:開口部 201:飲み口延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体飲料の1つの容器を密閉するための1つの蓋(10)であって、前記飲料が前記容器から1つの飲み口(20)を経由して吸飲されることを可能にし、一方吸飲が行われない時には液漏れを防止し、
ここにおいて前記蓋(10)には1つのデマンド弁(16、18)が組み込まれ、前記デマンド弁は、前記容器内部に接続する1つの入口(184、186)と、前記飲み口(20)と接続する1つの排出口と、前記蓋内の1つの穴(101)を介して周辺大気と接続する1つの制御口を有し、前記弁は、1つの弁シート(184)と前記入口から前記排出口への流れを制御する1つの閉鎖要素(164)を備え、前期閉鎖要素(164)は、前記容器内の圧力により前記弁シート(184)を密閉する方向に駆動され、また前記制御口の圧力の前記排出口の圧力に対する余剰差分に依存して1つの開放位置に駆動され、前記閉鎖要素(164)の前記弁を開放する動きは前記弁を経由する液体の流れの方向と逆方向であり、
ここにおいて前記デマンド弁は前記蓋の内側表面に搭載される2つの部位からなり、第1の部位(18)は剛性で前記弁入口と前記弁シート(184)を画定し、第2の部位(16)は前記弁閉鎖要素(164)と前記弁閉鎖要素に接続し圧力感応ダイアフラムとして機能する1つの弾性膜を含み、前記第2の部位(16)は、前記第1の部位(18)および前記蓋内の前記穴(101)の周囲を密閉し、前記第2の部位(16)は前記第1の部位(18)の全外縁を囲み、かつ密閉することを特徴とする蓋。
【請求項2】
前記第2の部位(16)は前記飲み口(20)の1つの延長部(201)の周囲を密閉することを特徴とする請求項1に記載の蓋。
【請求項3】
前記第1の部位(18)および前記第2の部位(16)は前記蓋(10)の内側に分離可能に搭載されることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋。
【請求項4】
前記第2の部位(16)の縁が前記蓋(10)と前記第1の部位(18)との間に捕捉されることを特徴とする請求項3に記載の蓋。
【請求項5】
前記第2の部位(16)は、前記飲み口の延長部(201)と前記第1の部位(18)の1つの表面との間に密閉のため捕捉される、1つの弾性リング(163)を有する
ことを特徴とする請求項2に追加された場合の請求項4に記載の蓋。
【請求項6】
前記蓋(10)は前記デマンド弁の前記2つの部位(16、18)を受容するための1つの溝(14)からなり、ここにおいて前記第2の部位(16)は1つの周辺縁(161)を有し、前記周辺縁(161)は、前記デマンド弁の前記2つの部位(16、18)を前記溝(14)の内部に保持するために前記第1の部位(18)と前記溝(14)の側面との間に捕捉され、また前記制御口を前記カップの内部より孤立させるために密閉を果たす、ことを特徴とする請求項4に記載の蓋。
【請求項7】
偏在手段が前記閉鎖要素を閉鎖位置に向かって移動させるために提供されることを特徴とする請求項1−6のいずれかに記載の蓋。
【請求項8】
前記第2の部位は、前記デマンド弁が閉じられている場合、前記閉鎖要素を前記弁シートに対して維持するための力を及ぼすため、その休止位置より偏移されることを特徴とする請求項7に記載の蓋。
【請求項9】
前記第1の部位の上部面は、前記閉鎖要素を前記弁シートに対して維持する力を及ぼすための、弾性の直立する「ひれ」を有することを特徴とする請求項7に記載の蓋。
【請求項10】
前記弾性の「ひれ」は、前記閉鎖要素を前記弁シートに対して維持する力を及ぼすため、前記第2の部位の内部面から下方に伸長することを特徴とする請求項7に記載の蓋。
【請求項11】
前記閉鎖要素を前記弁シートに対して維持するため、前記第2の部位に磁気力を及ぼす手段が提供されることを特徴とする請求項7−10のいずれか1項に記載の蓋。
【請求項12】
前記圧力感応型ダイアフラムの面積が前記弁シートの面積より格段に大きいことを特徴とする請求項1−11のいずれか1項に記載の蓋。
【請求項13】
前記第1の部位は、1端が前記ダイアフラムで覆われ、他の端が前記弁シートで終わる円錐形に先細る表面を有する1つのチャンバを画定し、ここにおいて前記円錐形表面は、前期ダイアフラムが前期円錐形表面に接触しそれらの間に捕捉される液体の量が表面張力により減少させられることを防止するため、その周辺部に鋭く傾く1つのリップを有することを特徴とする請求項1−12のいずれか1項に記載の蓋。
【請求項14】
前記弁シートから前記飲み口までの通路の合計容積は3mlより小さく、より好適には2mlより小さいことを特徴とする請求項1−13のいずれか1項に記載の蓋。
【請求項15】
前記ダイアフラムは前記容器の外部から手で接触できないことを特徴とする請求項1−14のいずれか1項に記載の蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−523422(P2010−523422A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502583(P2010−502583)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050249
【国際公開番号】WO2008/125877
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(302026438)
【Fターム(参考)】