説明

液状またはペースト状の物質用の再シール不能な熱成形包装体

本発明は、ユーザに圧力を加えさせることによって変形できる剛性のシェルであって、液状またはペースト状の物質を収容する収納スペース(1)を形成するシェルと;液状またはペースト状の物質を前記包装体から排出するためにアプリケータ(3)を解放する切断領域(6)と;前記液状またはペースト状の物質のための排出通路(7)を含む把持領域(5)であって、排出通路が、液状またはペースト状の物質が排出されるのを防止するために、包装体を開封した後で、ユーザが圧力を加えていないときは自然に封止される、把持領域(5)と、を備える包装体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状またはペースト状の物質を治療または供給を受ける利用箇所に均一かつ非外傷的に送出するための、食料品、化粧品、薬品、または獣医用製品のための特に子供に対して安全な製品用の再シール不能な熱成形包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
子供は本質的に、好奇心が強く、学ぶ経験を求めている。したがって、子供が大人の監視下にいない場合には、新しい物体を発見することは、非常に危険な可能性がある。実際に、具体的には乳幼児は、新しい物体を発見すると、つかむだけでなく、舐めたり噛んだりする。
【0003】
したがって、活性物質または有害物質を収容することが意図され、具体的には「チャイルドレジスタント」基準が必要な製品または包装品、すなわち、子供用の安全製品または包装品は、5歳未満の子供によって簡単に開封可能であってはならない。しかし、こうした包装品を開封するのが子供にとって難しいことにより、そのシステムを複雑にし過ぎてはならず、前記開封によって、ユーザにとって、具体的には高齢者による、使用の利便性を犠牲にしてはならない。
【0004】
現在では、液状またはペースト状の物質を均一に送出するように設計された、現行の子供用の安全包装品は、使用するのに実用的ではなく、製品すなわち包装した内容物に適合されていないことが多い。
【0005】
様々な技術的解決策がすでに実施されている。既知の例には、軸方向にずれた2つのねじ山を外面に有するネック部と、容器の外面のねじ山とそれぞれ合致する軸方向にずれた2つのねじ山を内面に有するストッパとを含む、子供に安全な容器ストッパデバイスが含まれ、ストッパのねじ山間の離隔距離が、ネック部のねじ山間の離隔距離よりも小さく、したがって、容器を開封するために複数の動きを組み合わせる必要が生じる。ネック部の各ねじ山間に含まれる領域およびストッパはさらにリング形の溝を備え、そのため、容器を開封するためにストッパを強く引っ張る必要が生じる。他の解決策、具体的には、Klocke Verpackungs−Service GmbHという名称の特許文献1に示されるような解決策は、具体的には追加のオーバーラップ中に隔離することによって、子供にとって安全な包装体を作製することを含む。したがって、それが、「チャイルドレジスタント」と称されるこのオーバーラップした包装体である。
【0006】
しかし、これらの解決策は、常に完全に満足できるものではない。実際に、このようなストッパまたはオーバーラップされた包装品は、環境的にも経済的にも魅力的ではない。さらに、それらの操作、具体的にはオーバーラップを開封するのが難しいことにより、その使用が難しく実用的でなくなることがある。
【0007】
動物の毛、例えばイヌおよびネコの毛のための局所的に製品を送出するシステムの場合の獣医薬分野では、包装体は、具体的にはユーザおよび/または供給対象もしくは治療対象に対して他の欠点を有することもある。したがって、例えばMerial(登録商標) companyから市販されているFRONTLINE(登録商標) Spot on Chien(フィプロニル10%plv)Productの包装体、または特許文献2に記載の包装品など、現行の包装品は、一旦開封されると、ユーザが包装体に注意を払わないかまたは包装体を落とす場合は、内容物の流出が制御不能になる恐れがある。
【0008】
実際に、熱成形されたノズルを有する医薬品投与システムの存在により、一旦包装体を開封すると、物質が単に重力だけで流れることが可能である。これにより、上記で言及した製品を操作すると、不注意によるユーザ、治療対象、または環境の汚染のリスクが高くなる。さらに、開封時にノズルにある製品の一部が制御されずに排出されることがある。これは、薬品または獣医用製品が関係するときは、ユーザはもはや送出する投与量が正確には分からないので、重大なコンプライアンスの(すなわち処方された投与量に関する)問題につながる恐れがある。さらに、熱成形されたノズルは、剛性であり、ノズルがそれから作製される材料の性質およびノズルの長さに応じて、望ましくないひび割れを有することがある。したがって、切断ラインの上流で破損し、そのため製品損失およびユーザの指の汚染のリスクが高くなることがある。
【0009】
したがって、本出願人が詳述する第1の目的は、具体的には子供にとって安全性が確保され、一旦開封すると使用するのに実用的であり、漏出しにくく、内容物、すなわち液状またはペースト状の物質が、ユーザの制御下でのみ均一に流出できる、再シール不能な包装体を提供することである。
【0010】
発明の現行の技術を示す現在市販されている包装品の他の欠点は、開封システムに関連している。実際に、いくつかのタイプの剛性の包装体は、開封後に対象の治療箇所または供給箇所で利用する間は、包装体の開封中にアプリケータの近くに鋭利な縁部があるので、例えば皮膚または粘膜上に小さい擦傷をつける恐れがある。
【0011】
したがって、本出願人が詳述する他の目的は、非外傷性、すなわち、鋭利な縁部が存在しても、治療または供給する対象の投与箇所へのアプリケータによる擦傷または負傷を避ける包装体を提供することである。
【0012】
最後に、本発明による包装体は、収容する内容物に適合されたものでなければならない。
【0013】
実際に、内容物の安定性は、部分的には、包装体がそれから作製される材料の性質および完全性に左右される。完全性は、内容物との相互作用、ならびに水またはさらに酸素の漏出などの外部のやりとりに影響を及ぼす恐れがある。事実上、包装体の開口部または切断領域の近傍に弱い領域がある場合は、包装体材料の完全性は、弱い領域が開封を容易にするシェルの物理的脆弱さに相当するだけでなく包装体保護の質も低下させるので必ずしも均一とは限らない。内容物の安定性は、さらに、内容物と接触する空気の量を決定する死体積(dead volume)と、任意の予想される光による劣化の結果に影響を及ぼす透明性との両方に応じて変わる。
【0014】
したがって、本出願人が詳述する他の目的は、その内容物に適合された包装体を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国実用新案第202004003781U号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/030821号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記の事項を考えると、本発明の目的によって解決すべき問題は、安全であり、使用するのに実用的であり、内容物に適合されており、経済的および環境的に有利な包装体、ならびにこうした包装体を用意する方法を提供することであり、その包装体および方法は、上記で言及した欠点の全てまたは一部を有しない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によって提案される、この問題に対処する解決策の第1の目的は、液状またはペースト状の物質を送出するための再シール不能な熱成形包装体であって、
ユーザが加える圧力によって変形できる剛性のシェルであって、収納スペースを形成し、前記収納スペースが前記液状またはペースト状の物質を収容する、シェルと、
液状またはペースト状の物質を前記包装体から排出するためにアプリケータを解放する切断領域と、
前記液状またはペースト状の物質のための排出通路を含む把持領域であって、前記液状またはペースト状の物質の排出をブロックするために、包装体を開封した後で、ユーザが加える圧力がないと排出通路が自然に封止され、すなわち通常前記液状またはペースト状の物質が排出されるのが防止される、把持領域と、
を備える、包装体を提供することである。
【0018】
包装体が熱成形されていることにより、包装体は、底部複合体を熱成形し、シーリング複合体を熱シーリングまたは接着し、最終の形状を得るために切断することによって製造されると理解される。
【0019】
排出通路は、通常、底部複合体をシーリング複合体に熱シーリングまたは接着することによって、排出通路の縁部と境界を接する底部複合体とシーリング複合体との間の未シールの細い接触領域から形成される。排出通路により、ユーザが変形可能な剛性の収納スペースに加える圧力が排出通路に伝わり、その排出通路を変形させ、それにより、排出通路の封止の原因であった底部複合体とシーリング複合体との間の密接な接触が消失するときに、液状またはペースト状の物質の排出が可能になる。
【0020】
第2の目的は、上記の説明に従って包装体に収容される、食品、化粧品、薬品、または獣医用組成物を提供することである。
【0021】
最後に、第3の目的は、異なるかまたは同一の組成物と、前記組成物を一緒に使用すべきかまたは一定の間隔で使用すべきかを指定するユーザマニュアルとを含み、上記で説明したような少なくとも2つの安全包装品を組み合わせたパッケージを提供することである。
【0022】
本発明の他の目的、利点、および特性は、添付の図を参照することで、本特許出願の目的および範囲の、以下の非限定的な説明および好ましい実施形態からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による封止された包装品の実施形態を概略上面図に示す(見えている面がシーリング複合体に相当する)。
【図2】本発明による封止された包装品の実施形態を概略上面図に示す(見えている面がシーリング複合体に相当する)。
【図3】本発明による封止された包装品の実施形態を概略上面図に示す(見えている面がシーリング複合体に相当する)。
【図4】本発明による開封済みの包装体を概略上面図に示す(見えている面がシーリング複合体に相当する)。
【図5】本発明による開封済みの包装体を概略上面図に示す(見えている面がシーリング複合体に相当する)。
【図6a】本発明による封止された包装品を概略下面図に示す(見えている面が、底部複合体、すなわち突出した収納スペース1に相当する)。
【図6b】本発明による封止された包装体の概略側面図を示す。
【図7a】本発明による開封済みの包装体を概略下面図に示す(見えている面が、底部複合体、すなわち突出した収納スペースに相当する)。
【図7b】本発明による開封済みの包装体の概略側面図を示す。
【図8】本発明による包装体の収納スペースの概略断面図を示す。
【図9】本発明による包装体の開口部を概略図に示す。
【図10】本発明による開封後に傾けた包装体を概略図に示す。
【図11】本発明による使用時の開封済みの包装体の概略側面図を示す。
【図12A】本発明による包装体の代替的実施形態を概略下面図に示す(見えている面が、底部複合体、すなわち突出した収納スペース1に相当する)。
【図12B】図12Aに示す包装体の長手方向断面を概略側面図に示す。
【図13A】本発明による包装体の代替的実施形態を概略下面図に示す(見えている面が、底部複合体、すなわち突出した収納スペース1に相当する)。
【図13B】図13Aに示す包装体の長手方向断面を概略側面図に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1、図2、図3、図4、および図5に、本発明による可能な包装体の代替的実施形態を3つ示す。前記包装体は、開封済み(図4および図5)かまたは封止されている(図1、図2、および図3)。包装体の下側部分は、その中央部に、収納スペース1を形成するシェルを備え、その収納スペース1は、液状またはペースト状の内容物を収容する。
【0025】
包装体の上側部分は、収納スペース1の上端部とアプリケータ3との間に排出通路7を備え、包装体が開封され使用されているときには取り除かれている。この排出通路7により、液状またはペースト状の物質が収納スペースからアプリケータに向かって流れることが可能になり、排出通路7は、収納スペース1に加えられる圧力がないと自然に封止される。
【0026】
第1の代替的実施形態によれば、収納スペース1は、その上端部に、剛性の隆起部2を有する(図7aおよび図7b)。この剛性の隆起部2は、液状またはペースト状の物質を排出通路7に集中して到達させるものである。
【0027】
好ましくは、包装体の上側部分は把持領域5を備え、その把持領域5は2つの把持用ラグ51および52から形成されている。前記把持領域5の上側部分、すなわち、把持用ラグ51を、切断領域6で切り離し、したがってアプリケータ3を解放することができる。前記把持用ラグ51および52が存在するおかげで、無意識に収納スペース1を押圧し、開封中に製品を漏出させるリスクを、ゼロでなければ大幅に低減する。
【0028】
当業者は、把持用ラグ51および52がユーザによって把持されるように適切に適合されたままであり、アプリケータ3を解放するために切断領域6を切断できる限り、把持領域5の2つの把持用ラグ51および52の形状およびサイズを適合させることができる。
【0029】
本発明の有利な一実施形態によれば、上側把持用ラグ51を前後に動かすことによって、切断領域6を切断することができる。そのために、ユーザは、ピペットを下側把持領域52に維持しなければならない。あるいは、ユーザが一方の手で、好ましくは親指と人差し指との間で把持用ラグ51を把持して枢動させることによって、切断領域を切り離すことができる。ユーザは、同様に把持用ラグ52に他方の手を使って、アプリケータ3を解放するために切断領域6を切り離す。全ての開封モードにおいて、手を把持用ラグ上、具体的には把持用ラグ52上に配置することにより、排出通路7に圧縮力を加え、それにより、収納スペース1にある液状またはペースト状の物質を偶発的に解放することが防止される。
【0030】
本発明による開封済みの(図7a)または封止された(図6a)包装体の底面図である図6aおよび図7aに示すように、事実上平坦な包装体の底部もその中央部に収納スペース1を備える。その収納スペース1は、変形可能な剛性のシェルを形成し、そのシェルは、液状またはペースト状の内容物を収容する。この収納スペース1は、排出通路7を通して包装体の上部に連結されており、その排出通路7は、収納スペース1に加えられる圧力がないときは自然に封止される。
【0031】
あるいは、切断領域6上には、剥離可能なラベル8が配置されている(図3参照)。適位置にあるときは、剥離可能なラベル8により、切断領域の構造が大幅に強化される。そのときは、ユーザは、切断領域6の把持領域5を切り離すかまたは切断する前に、剥離可能なラベル8を取り外さなければならない。この剥離可能なラベル8により、操作を加えることで包装体を開封するのに必要になる一続きの追加の作業が生じるので、包装体の安全性、具体的には子供に対する安全性が強化される。
【0032】
さらに、あるいは、切断領域6を、把持用ラグ51と52との間にある厚さが薄くかつ/または幅が狭い連結領域から構成することができ、その連結領域は、切断可能または切り離し可能な弱い領域を簡単に形成する。こうした弱い領域は、底部複合体を形成する材料の厚さ内の切断ラインから構成することができる。切断ラインまたは溝は、ブレード、レーザ装置、または高圧ウォータジェットなどのプレカットツールで従来通りに作製される。好ましくは、製品が用いられる位置で擦傷を引き起こす恐れがある鋭利な縁部の存在を制限するために、切断ラインは凸形である。通常、アプリケータの形状は、切断ラインの形状によって決定される。
【0033】
切断領域が切断ラインを備える場合に排出通路によってもたらされる利点の1つは、製品がこの弱い領域と接触しないことである。というのは、収納スペース1に圧力が加えられないように、通常排出通路がその長さ全体にわたって封止されているからである。これは、内容物に適切な安定性をもたらす一因となっている。
【0034】
弱い領域が少なくとも部分的にラグ51と52との間の細い部分によって形成される場合は、切断領域をその頂点が画定する角を形成することでさらに弱くすることができ、そのように形成された角度αは、互いに同じかまたは異なり、好ましくは120°未満、さらに好ましくは90°未満である(図2参照)。
【0035】
はさみを使用し同時にラグ52を保持して切断領域を切断することも推奨される。
【0036】
包装体の外側部分、すなわち収納スペース1および排出通路7の外側部分は、シール領域4を含む。好ましくは、接着、熱溶着、ダイヤモンドポイント溶着(diamond point welding)、またはさらには下向き溶着(downhand welding)によって領域4のシーリングが行われる。このシール領域4の幅は包装体の縁部まで延びてよい。
【0037】
図8に示すように、本発明による包装体は、少なくとも2つの異なる材料から形成される。具体的には、底部複合体9とも呼ばれる、収納スペース1が突出している底部は、好ましくは熱成形可能な剛性のフィルムから形成される。さらに、シーリング複合体10から構成される平坦な上部は、好ましくは可撓性のフィルムから形成される。本発明によれば、包装体の組立ては、好ましくは領域4の前記部分の熱溶着によって実現される。収納スペース1および排出通路7の輪郭、サイズ、および形状は、シール領域4によって決定される。
【0038】
排出通路7は、ユーザが収納スペースに加える圧力の作用で、容器内に収容された液状またはペースト状の物質が底部複合体および/またはシーリング複合体を通るときに、その底部複合体および/またはシーリング複合体が変形することによって開く。
【0039】
図12Aおよび図12Bに示す本発明の一実施形態によれば、排出通路は、液状またはペースト状の物質が収納スペース1とアプリケータ3との間を通るのを助けるために、熱成形された導管13と一体形成することができる。そのように形成された導管は、ユーザが収納スペースに加える圧力がないと排出通路7によって自然に封止される。
【0040】
有利なことに、図12Aおよび図13Aに示すように、底部複合体は凹所11を有し、その凹所11は、事実上指先の形状である。ユーザは、親指を、例えば凹所11に配置して、シェルを収納スペースの近くで押圧し、したがって、液状またはペースト状の物質の排出を制御することができる。
【0041】
包装体の上側部分の剛性を改善するために、図12Aに示すように排出通路7の両側でその近くに補強材12を配置することができる。
【0042】
有利なことに、剛性のフィルムは、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、またはそれらの誘導体から選択される材料を単独でまたは混合して形成される。
【0043】
より好ましくは、剛性のフィルムは、Alcan Packaging(登録商標)から販売されているPolybar(登録商標)であり、Polybar(登録商標)は、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルムを2つのポリプロピレン(PP)層の間で共押し出したものから構成される。次いで、Polybar(登録商標)を、Barex(登録商標)フィルムに接着または積層する。それらは全体として底部複合体を形成する。
【0044】
剛性のフィルムの特性は、液状またはペースト状製品を収納スペース1から排出通路7を通してアプリケータ3に向かって追い出すために、収納スペース1の近くに変形可能なシェルを形成しなければならず、すなわち、ユーザが加える圧力の作用で変形できるようにしなければならないことである。収納スペース1の形状は、理想的には、ユーザが加える圧力の作用で収納スペースを完全に空にできるようにすべきである。
【0045】
有利なことに、可撓性のフィルムは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド、アルミニウム、もしくは商標名Barex(登録商標)としてBP Chemicals(登録商標)から販売されているポリアクリロニトリル、またはそれらの誘導体から選択される材料を単独でまたは混合して含む。
【0046】
本発明はまた、安全な、具体的には子供にとって安全な包装体を製造する方法にも関する。この方法は、収納スペース1とアプリケータ3に向かった排出通路7とを備える、上記で説明したように熱成形された剛性の部分と可撓性の部分とをシールするステップを含む。
【0047】
本発明による包装体の収納スペース1は液状またはペースト状の組成物を含み、その液状またはペースト状の組成物は、切断領域が開封した後に、ユーザがスペース1に十分な圧力を加えることで排出通路7を通してアプリケータ3まで排出されやすくなっている。その液状またはペースト状組成物は、食品、化粧品、薬品、および獣医学分野を含む多くの分野に用途を有することができる。したがって、その液状またはペースト状組成物は、ヒトもしくは動物が直接口に入れるかまたは食品もしくは飲料水に混合して摂取することが意図された食料品(食品用の液体もしくはペースト)とすることができる。個人の手、皮膚、顔面、または毛髪に使用する(溶液、懸濁液、ゲル、またはペーストの形態の)化粧品製品を含むこともできる。ヒトおよび獣医用に使用する医薬品を含むことができ、獣医用に使用する医薬品のカテゴリでは、本発明の包装体に理想的に適した組成物の例には、すぐに使えるスポットオン溶液の形態で、家庭で飼育する動物、具体的にはイヌおよびネコの害虫の防止または体内侵入の治療のための組成物が含まれる。これは、通常、肩の間で局所的に5cm未満の表面積にわたって1または2箇所用いられる。こうした組成物は、有利にはフィプロニル、ピリプロキシフェン、イミダクロプリド、ペルメトリン、ニテンピラムから選択される、少なくとも1つの有効成分を含むことができる。有効成分がフィプロニルである好ましい場合には、その組成物は別の害虫駆除剤を含むこともでき、それは、ダニ駆除剤、例えばアミトラズ、ペルメトリン、またはシミアゾール、ピリプロキシフェンまたはエトキサゾールなどのノミまたはダニに対する昆虫成長抑制剤すなわちIGR、イベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、またはミルベマイシンなどの内部寄生虫に作用するエバーメクチンまたはその誘導体など、フィプロニルの作用範囲に広がる。本発明による組成物は、一般に、当業者に知られた技法に従って単に有効殺虫成分を溶媒系に溶かすことで用意される。
【0048】
図9、図10、および図11に、使用時の包装体を概略的に示す。さらに具体的に言うと、図9に、包装体を、切断領域6で最適に切り取って開封するようにユーザが指を配置している様子を示す。
【0049】
図10に、開封時の包装体を示す。この図から分かるように、包装体は、ユーザがそれを保持しているときは、単に重力だけでは内容物を排出することができない。したがって、内容物は収納スペース1内に留まっている。実際に、排出通路7を有するシステムにより、開封システムが漏出させないので開口部に注意する必要なしに包装体を保持するかまたは単純に横向きに置くことができる。したがって、内容物はユーザの制御下で包装体から排出される。収納スペース内に収容された液体またはペーストは、ユーザが収納スペースに加える圧力で排出される。この圧力により、ペーストまたは液体が可撓性の部分が変形する排出通路7に沿って追い出され、ユーザが収納スペース1に加える圧力の影響で内容物を排出することができる(図11)。
【0050】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、切断領域が一旦切り離されるかまたは切断されると、把持用ラグ51は包装体から完全に取り外される。したがって、他の従来技術の包装品の場合のように、この把持用ラグ51が包装体を使用する場所で残りの包装体へのアクセスを妨害しないので、液体またはペーストを使用または利用する箇所へのアクセスが単純化される。
【0051】
ユーザが収納スペース1を押圧するときの包装体の側面図を示す図11に示すように、その内容物は、ユーザが収納スペース1を形成する変形可能なシェルを押圧するときにのみ、排出通路7に沿って流れる。
【0052】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、開封後に、使用箇所、例えば皮膚上、動物の毛の間、または粘膜上に、内容物を投与するときは、開封済みの包装体は非外傷性であるべきである。2つの把持用ラグの間の薄い領域を切り離すかまたは切断することによって開封される排出通路7を有するシステムは、アプリケータ3の近くに鋭利な縁部(図5)を有しない。しかし、アプリケータ3の近くに鋭利な縁部が存在しても、包装体に収容された組成物が圧力によって排出されると、利用箇所をアプリケータ3に直接接触するように配置する必要なしに、前記利用箇所に到達できることが認められている。これは、具体的には液体の害虫駆除製品をスポットオンの形態でイヌまたはネコの皮膚に投与するときの事例である。液体の出力圧により、皮膚までバリアを形成することができる動物の毛髪を通して、製品がその皮膚に到達することが可能になる。したがって、皮膚は擦傷もつかず、損傷も受けない。
【0053】
要約すると、本発明による包装体は、好ましい実施形態では、熱成形された小型の、例えば高さ10cm、幅5cm、厚さ2cm未満のプラスチック製包装体であり、
少なくとも1つのラグおよびプレカット領域を備える把持領域と、
ある程度粘性のある液体を収容することが意図された、指圧で変形可能な収納スペースと、
少なくとも前記格納領域から前記プレカット領域まで延びる、前記液体用の排出通路と
を有し、
前記包装体が開封されるときに、ユーザの指で加える圧力の作用によって前記収納スペースが変形した後で、プレカット領域では、収納スペースに収容された液体を前記排出通路に沿って流して追い出すことができるようになっている。排出通路のサイズ、具体的には直径は、収納スペースが圧力の作用で変形しなければ液体を追い出すことができないように計算されている。
【0054】
本発明は、上記で説明したような包装体中の食品、化粧品、薬品、または獣医用組成物にも関する。
【0055】
本発明によれば、こうした組成物を混ぜ合わせて単一のパッケージにすることもできる。そのパッケージは、同一であっても異なっていても前記組成物を一緒に使用すべきか一定の間隔で使用すべきかを指定するユーザマニュアルを含むこともできる。
【0056】
したがって、好ましくは、本発明は、獣医用に使用することが意図された組成物を収容する包装品を4つ備えるパッケージにも関する。最初の2つの包装品は、一緒に使用されるものであり、互いに異なる2つの組成物を含む。第3および第4の包装品は、最初の2つの組成物のうちの一方を含み、それぞれ1から4か月の期間内に、好ましくは1か月以内に使用される。使用する包装品の数、それらの使用頻度、および製剤に含まれる有効成分の性質は、治療する病状および処方される投与量に応じて変わる。
【0057】
勿論、本発明は、添付の図面で説明および図示した実施形態に限定されるものではなく、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなしに、明示的に説明されていない追加の実施形態を通常の作業によって実施することができる。
【実施例1】
【0058】
獣医用のピペットを、図1に示す図に従って作製する。底部複合体をPolybar(登録商標)から作製する。そのPolybar(登録商標)は、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルムを2つのポリプロピレン(PP)層の間で共押し出しして、それをBarex(登録商標)フィルムに積層したものから構成されている。シーリング複合体を、PET/アルミニウム/Barex(登録商標)の複合体から構成する。底部複合体をシーリング複合体に熱溶着することで包装体を組み立てる。切断領域6のブレードによって切断ラインを形成する。内容物は、以下の配合成分を有する溶液から構成される。
【0059】
【表1】

【0060】
各ピペットの定格体積は、0.5ml、0.67ml、1.34ml、2.68ml、および4.02mlである。ピペットはそれぞれ、同じ切断形状を有し、収納スペースの深さだけがその容量に適合するようになっている。
【0061】
「底部複合体」(突出した収納スペース)がユーザに向いた状態でピペットを保持することによってピペットを開封することができる。ラグ52をしっかりと保持し、底部複合体が切断されるまでラグ51を押す。そのときに、収納スペースに加えられた圧力ではまだ製品を追い出すことができないことが認められている。ラグ51が分離されアプリケータ3を解放するようにラグ51をユーザに向かって完全に折り畳むことが必要である。次いで、収納スペース1に加える圧力によって製品を排出することができる。液体が連続した強力なジェットとして流れることも分かっており、したがって、局所的に用いる間に奥に隠れた領域に動物の毛の中にある皮膚まで到達できる利点を有する。
【0062】
安定性の点からは、各ピペットは、室温で、薬物規制に従ってその配合成分に含有された有効成分に対して優れた安定性を有する。
【0063】
結論:アプリケータが解放されるまで、製品を排出できないことが認められる。こうした包装体の使用の安全性を高める一因となっている。さらに、液体ジェットを追い出すのに圧力が必要であることは、前記治療領域とアプリケータとの間での接触なしに治療領域に到達することができるという利点を有する。
【0064】
[テスト]
熱成形されたノズルをアプリケータの近くに含む従来技術のピペットに対する本発明によるピペットの利益を示すためにテストを行った。
【0065】
[テスト1]
これらのテストは、最初に、使用中に起きる可能性がある状況で開封する間または開封した後のピペットの性能に注目した。テストしたピペットの数は各モデルごとに5個である。
【0066】
【表2】

【0067】
最後に、本発明によるピペットにより、開封中および(ピペットを落下または酷使した場合に)一旦開封すると製品の漏出が防止される。
【0068】
[テスト2]
これらのテストは年齢が25歳と59歳の間のサンプルのユーザ10人に対して行われ、そのテスト中には、収納スペースを押圧したときに回収された製品の割合を検討した。さらに、各ユーザは、ピペットおよびその使用の品質に関するコメントを残した。
【0069】
【表3】

【0070】
これらの結果によれば、収納スペースが押圧されたときの製品送出は優れており、回収率は91.3から95%であった。
【0071】
[テスト結果]
本発明によるピペットに収容された製品の送出は、ユーザの排他的制御下で行われている。本発明によるピペットは、ユーザが認識する通り、ユーザにとっても環境にとっても優れた安全性を有する。5歳未満の子供に対して行われた追加のテストにより、子供による開封を防止するという点で、本発明によるピペットの安全性が優れていることが確認された。さらに、高齢者に与えた本発明による同じピペットは、簡単に開封および使用された。
【符号の説明】
【0072】
1 収納スペース
3 アプリケータ
5 把持領域
6 切断領域
7 排出通路
8 剥離可能なラベル
9 底部複合体
10 シーリング複合体
51 把持用ラグ
52 把持用ラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状またはペースト状の物質を送出するための再シール不能な熱成形包装体であって、
ユーザが加える圧力によって変形できる剛性のシェルであって、収納スペース(1)を形成し、前記収納スペースが前記液状またはペースト状の物質を収容する、剛性のシェルと、
前記液状またはペースト状の物質を前記包装体から排出するためにアプリケータ(3)を解放する切断領域(6)と、
前記液状またはペースト状の物質のための排出通路(7)を含む把持領域(5)であって、前記液状またはペースト状の物質の排出をブロックするために、前記包装体を開封した後で、前記ユーザが加える圧力がないと前記排出通路が自然に封止される、把持領域(5)と、
を備える、包装体。
【請求項2】
一旦開封されると、前記排出通路が、前記ユーザが前記収納スペース(1)に加える圧力の作用で変形し開封され、したがって、前記収納スペース(1)に収容された前記液状またはペースト状の物質が前記アプリケータ(3)に向かって追い出されることを特徴とする、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記アプリケータ(3)が非外傷性であることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記切断領域(6)が、剥離可能なラベル(8)によって補強されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項5】
前記切断領域(6)が、直線または凸形の切断ラインによって弱くなっていることを特徴とする、請求項1または2に記載の包装体。
【請求項6】
前記収納スペース1の近くで熱成形によってエンボス加工された底部複合体(9)と、シーリング複合体(10)とを熱溶着することで組み立てられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項7】
熱成形された底部複合体(9)が、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、またはそれらの誘導体から選択される材料を単独でまたは混合して作製される剛性のフィルムによって形成され、前記シーリング複合体(10)が、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド、アルミニウム、もしくはポリアクリロニトリル、またはそれらの誘導体から選択される材料を単独でまたは混合して作製される可撓性のフィルムであることを特徴とする、請求項6に記載の包装体。
【請求項8】
前記把持領域(5)が、前記切断領域(6)によって分離される少なくとも2つの把持用ラグ(51、52)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項9】
前記収納スペース(1)が、前記液状またはペースト状の物質として、フィプロニル、ピリプロキシフェン、イミダクロプリド、ペルメトリン、ニテンピラムから選択される少なくとも1つの有効成分を単独でまたは混合して含む組成物を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の包装体に加えられる、食品、化粧品、薬品、または獣医用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2012−527380(P2012−527380A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511316(P2012−511316)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000384
【国際公開番号】WO2010/133778
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(507329424)ヴィルバック・ソシエテ・アノニム (2)
【Fターム(参考)】