説明

液状体貯留容器

【課題】本発明は、止水用のパッキンを備え、螺着により容器本体に取り付けた栓体を、容器本体に対してスムーズに回動させて取り外すことのできる液状体貯留容器の提供することを目的とする。
【解決手段】上部に注ぎ口12を備えた容器本体13と、上記注ぎ口12を閉塞可能に上記容器本体13に螺着される栓体14を備え、該栓体14に、止水用のパッキン34を備えた液状体貯留容器11であって、上記栓体14と上記パッキン34との間に、上記栓体14に対して回動自在に介装される介装部材37を備え、さらに、介装部材37には、必要に応じて通気性を確保するための切欠き切断部23を形成した液状体貯留容器11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上部に注ぎ口を備えた容器本体に止水用のパッキンが取り付けられた栓体を螺着することにより、注ぎ口を閉塞することのできる、保温容器をはじめとする液状体貯留容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液状体貯留容器は、栓体にパッキンを備えた構成のものが多く、このような液状体貯留容器は、栓体を容器本体に螺着することにより注ぎ口に取り付けたとき、パッキンが容器本体における注ぎ口の口縁部に圧接し、内部に貯留した液状体の止水機能を確保することができる。
【0003】
ところが、パッキンが注ぎ口の口縁部に圧接されているため、容器本体から栓体を取り外す際には、容器本体に対して螺着されている栓体を、スムーズに回すことができないといった事態が生じてしまうことがある。
【0004】
殊に、液状体貯留容器が例えば、魔法瓶などの保温容器である場合、保温容器の内部に熱いお茶を貯留したとき、長時間経過するとともにお茶の温度が低下することにより、容器本体の内部の圧力降下が生じてしまう。このような容器本体の内側と外側との圧力差により栓体自体には容器本体の内部への吸引される吸引力が作用するため、栓体を回すことがますます困難になってしまうという課題があった。
【0005】
このような課題に対して「ぐい飲みボトル」といわれる液状体貯留容器が下記特許文献1において開示されている。
【0006】
上記「ぐい飲みボトル」は、容器本体(2)の上部に螺着される栓体(3)を備え、該栓体(3)の下部外周には、シールパッキン(16)が装着されている。さらに、栓体(3)の内部には、空間部(21)が構成され、上記栓体(3)の底壁部(14a)の中央には、容器本体(2)内部の貯留空間(2a)と栓体(3)内部の空間(21)とを連通する連通孔(14f)が形成されている。上記栓体(3)の連通孔(14f)には、負荷防止弁(17)が取り付けられている。
【0007】
上述した構成の「ぐい飲みボトル」は、容器本体(2)の内部に圧力降下が生じた場合であっても、その内部圧力により負荷防止弁(17)の周縁が下側に変形することにより、容器本体(2)内部の貯留空間(2a)と栓体(3)内部の空間(21)とが連通孔(14f)を通じて連通することになる。よって、容器本体(2)の内側と外側との圧力差を解消することができ、スムーズな開栓操作を確保することができるといえる。
【0008】
しかし、特許文献1における「ぐい飲みボトル」は、たとえ、上述したように容器本体(2)の内側と外側との圧力差を解消することができたとしても、例えば、栓体(3)を閉めすぎる、或いは、シールパッキン(16)がねじれた状態で容器本体(2)に取り付けた場合は、シールパッキン(16)が容器本体(2)に過度に圧接され、開操作を行う際に栓体(3)を回動することが困難になってしまうという課題については解決されていないままである。
【0009】
さらに、上述した構成の「ぐい飲みボトル」は、容器本体(2)の内側と外側との圧力差を解消するために、栓体(3)に負荷防止弁(17)を具備し、栓体(3)自体に空間(21)を構成し、さらに、連通孔(14f)を構成している。これにより、栓体(3)の構成が複雑になる分、栓体(3)に付着した茶カスなどを水洗いしにくくなることや、製造コストが上がるといった難点も有する。
【0010】
【特許文献1】特開2002−125868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこでこの発明は、止水用のパッキンを備え、螺着により容器本体に取り付けた栓体を、容器本体に対してスムーズに回動させて取り外すことのできる液状体貯留容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の液状体貯留容器は、上部に注ぎ口を備えた容器本体と、上記注ぎ口を閉塞可能に上記容器本体に螺着される栓体を備え、該栓体に、止水用のパッキンを備えた液状体貯留容器であって、上記栓体と上記パッキンとの間に、上記栓体に対して回動自在に介装される介装部材を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記構成により、容器本体から栓体を取り外す際に、容器本体に螺着された栓体を回動させたとき、栓体とパッキンとの間に介在部材を介在させているため、パッキンが容器本体に圧接された状態であっても、栓体とともにパッキンが共回りせず、栓体のみを回動させることができる。最終的に、注ぎ口の開操作の際には、パッキン、及び、介在部材を含めて容器本体から容易に取り外すことができる。
【0014】
上記液状体貯留容器は、例えば、魔法瓶などの保温容器をはじめとする液体を貯留可能な容器を含む。さらに、固形状の物(具材)を混入したスープや粥などの液状体を貯留可能な容器も含む。
【0015】
また、上記栓体には、主に直飲み式において用いられ、蓋としても併用可能に形成された栓体を含む。さらに、上記栓体には、蓋と別体で形成した、例えば、液体流出路が形成された中栓をも含む。
【0016】
本発明の液状体貯留容器は、上記介装部材をパッキンよりも摩擦抵抗の低い部材により形成することが好ましい。
【0017】
上記構成により、容器本体に螺着された栓体を回動させたとき、介装部材に対して栓体が積極的に摺動することにより、栓体を容器本体から容易に取り外すことができる。
【0018】
上記パッキンは、ゴムなどの弾性部材で形成することができ、この場合、上記介装部材は、例えば、合成樹脂、金属などで形成することができる。
【0019】
本発明の液状体貯留容器は、上記介装部材に切欠き部を形成したことを特徴とする。
【0020】
上記構成により、切欠き部を通じて容器本体の内側と外側との通気性を確保することができる。
【0021】
このため、保温機能を有する液状体貯留容器に例えば、熱い茶や粥を貯留した場合であっても、容器本体の内側と外側との圧力差により、注ぎ口の開操作の際に栓体の回動が困難になるといった事態を回避することができるため、より一層スムーズに、栓体を回動させることができる。
【0022】
また、栓体に通気性を確保するために、例えば、弁などの別部材を別途、設ける必要もないため、栓体をシンプルな構成で構成することができる。よって、水洗いし易く、製造コストもかからない。
【0023】
さらに、上記介装部材は、撓み変形し易くなるため、栓体に対しての着脱を容易になり、互いにそれぞれを分離させて水洗いなどし易くなる。
【0024】
本発明の液状体貯留容器は、上記介装部材を円環状に形成し、上記栓体に、上記介装部材を嵌着可能な介装部材嵌着部を形成し、上記介装部材を、上記介装部材嵌着部よりも大径に形成したことを特徴とする。
【0025】
上記構成により、上記介装部材嵌着部と上記介装部材との間に隙間を構成することができるため、この間においても通気性を確保し易くなり、より一層、容器本体の内側と外側とに生じた圧力差を解消することができる。
【0026】
さらにまた、上記介装部材は、上記介装部材嵌着部よりも大径であるため、栓体に対しての着脱を容易になり、互いにそれぞれを分離させて水洗いなどし易くなる。
【0027】
なお、目安として上記介装部材は、上記介装部材嵌着部よりも1パーセントから10パーセント大径に形成することができる。
【0028】
本発明の液状体貯留容器は、上記介装部材を円環状に形成し、上記栓体に、上記介装部材を嵌着可能な介装部材嵌着部を形成し、上記介装部材を、上記介装部材嵌着部よりも小径に形成し、上記切欠き部を、上記介装部材の周方向における一部分が分断される切断形態で形成することもできる。
【0029】
上記構成により、上記介装部材を介装部材嵌着部に嵌着したとき、介装部材嵌着部よりも上記介装部材は小径であるため、上記介装部材が撓み変形し、切欠き部の切断幅が広がった状態となる。
【0030】
これにより、上記介装部材は、切欠き部において通気用の隙間を確保することができ、該切欠き部を通じて容器本体の内側と外側とに生じた圧力差を解消することができる。
【0031】
なお、目安として上記介装部材は、上記介装部材嵌着部よりも1パーセントから10パーセント小径に形成しすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の液状体貯留容器は、止水用のパッキンを備え、螺着により容器本体に取り付けた栓体を、容器本体に対してスムーズに回動させて取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
(第一実施形態)
第一実施形態における保温容器11は、図1(a),(b)、図2(a),(b)、及び、図3に示すように構成している。
なお、図1(a),(b)、図2(a),(b)、図3は、それぞれ第一実施形態における保温容器11の外観図、中央縦断面図、保温容器11の上部における中央拡大縦断面図、図2(a)におけるA−A矢視図、各部材の構成説明図を示している。
【0034】
本実施形態における保温容器11は、主に、内部に液体を貯留可能な貯留空間13Aが構成され、上部に注ぎ口12が開口した有底筒状に構成した容器本体13と、該容器本体13に対して上記注ぎ口12を閉塞した状態で螺着可能な栓体14とで構成している。
【0035】
さらに、上記容器本体13は、外容器15と内容器16とで真空二重構造により保温効果を有して構成している。なお、外容器15と内容器16とは、いずれも薄肉のステンレス鋼で構成している。
【0036】
容器本体13の胴部13aは、上下方向の中途部から注ぎ口12の手前部分に至るまで上部に進むに従って滑らかに半径方向へ膨出した形態で構成している。
【0037】
容器本体13における注ぎ口12の口縁部13b(口金部)は、上方へ突出し、直飲み可能に構成している。上記口縁部13bの内周側には、容器本体13に栓体14を螺着可能に一対の螺着ネジ部17a,17bにおける一方の側の螺着ネジ部17aが形成されている。さらに、上記口縁部13bにおける上記螺着ネジ部17aの下側には、内周全体が中心に向けて凸状に突出した環状突部18を形成している。
【0038】
続いて、上記栓体14は、ポリプロピレンなどの合成樹脂製であり、上部に蓋部25を備えるとともに、蓋部25の下側(裏面)側中央部から下部へ円柱状に突出した栓本体部24とを備えて構成している。
【0039】
蓋部25は、その上面を、平面視円形、且つ、略平滑状に構成し、その外周部を、注ぎ口12の口縁部13bを隠蔽可能に末広がり状に垂下させて構成している。
【0040】
さらに、上記蓋部25の上面には、中央部に対して外周側で対向する所定の各部位に把持部26を立設している。上記把持部26は、上方へ円弧状(弓状)に突出した形態で形成している。
【0041】
また、上記栓本体部24の内部は、中空状に構成し、その中空状の内部空間27には、断熱部材32を具備している。
【0042】
さらに、上記栓本体部24の外周部は、一対の螺着ネジ部17a,17bにおける他方の側の螺着ネジ部17bを構成し、上記一方の側の螺着ネジ部17aと螺着可能に構成している。
【0043】
上記栓本体部24の下部外周には、ゴムなどの弾性部材で円環状(リング状)に形成した止水用のパッキン34を具備している(図3参照)。パッキン34は、介装部材37を介在させて上記栓本体部24に嵌着している。
【0044】
具体的に、栓本体部24の下部には、上記介装部材37を嵌着可能な介装部材嵌着部35を形成している。パッキン34は、介装部材嵌着部35の外周側で介装部材37を介在させて嵌着している。介装部材嵌着部35は、栓本体部24の下部中央部から一回り小径の円柱状に垂下させた形態で構成している。さらに、介装部材嵌着部35の下端部には、嵌着した介装部材37を支持可能に外周全体が半径方向外側へ突出した介装部材支持用鍔部36を形成している(図2(a)の要部拡大図参照)。
【0045】
上記介装部材37は、上記介装部材支持用鍔部36に支持された状態で介装部材嵌着部35に嵌着されている。
【0046】
ここで、上記介装部材37は、上記パッキン34よりも摩擦抵抗の低い例えば、合成樹脂などの材質で形成し、上記介装部材嵌着部35の外周側に嵌着可能に上記介装部材嵌着部35よりも、一回り大径に形成している。
【0047】
すなわち、上記介装部材37は、その内周長が上記介装部材嵌着部35の外周長さよりも、長くなるよう形成している。
【0048】
これにより、上記介装部材37は、栓体14に対して回動自在に上記介装部材嵌着部35に嵌着することができる。
【0049】
一方、上記介装部材37は、パッキン34を外周側から嵌着可能な外周径で形成し、該介装部材37の外周側下部には、パッキン34を支持可能に半径方向外側へ鍔状に突出したパッキン支持用鍔部38を形成している(図2(a)の要部拡大図参照)。
【0050】
上述した構成の保温容器11は、以下のような作用、効果を奏することができる。
まず、容器本体13に栓体14を螺着して注ぎ口12の閉操作を行う際には、まず、栓体14を、栓本体部24を注ぎ口12に挿入するとともに、一対の螺着ネジ部17a,17bどうしが互いに係合されるよう時計回りに回動させることにより、注ぎ口12を閉塞することができる。
【0051】
このとき、パッキン34が容器本体13の環状突部18に圧接され、容器本体13の止水性を確保することができる。
【0052】
そして、容器本体13から栓体14を取り外す注ぎ口12の開操作においては、図4(a),(b)に示すように容器本体13に対して栓体14を反時計回りすることにより行う。
なお、図4(a),(b)は、いずれも第一実施形態における保温容器11の作用説明図であり、殊に、図4(b)は、図4(a)におけるB−B矢視図である。
【0053】
介装部材37は、栓体14に対して回動自在に取り付いているため、栓体14を回したとき、図4(a),(b)中、一点鎖線で示した栓体14のように、栓体14とともにパッキン34が共回りしてしまうことがない。
すなわち、栓体14のみを回動させて容器本体13からパッキン34、及び、介装部材37を含めて取り外すことができる。
【0054】
よって、第一実施形態における栓体14は、パッキン34が容器本体13に圧接されているに関らず、スムーズに回動させることができ、仮に、栓体14を強く閉めすぎたり、パッキン34の一部が捩れた状態で環状突部18に強く圧接されたりした場合であっても、栓体14自体をスムーズに回動させて開操作を容易に行うことができる。
【0055】
殊に、例えば、容器本体13に熱いお茶やお粥を貯留した場合、栓体14には、容器本体13の内部に引っ張られる吸引力が作用することになる。ところが、栓体14にこのような吸引力が作用しても、介装部材37によりパッキン34が栓体14とともに共回りせず、パッキン34と環状突部18との接触抵抗を受けない分、栓体14の開操作をスムーズに行うことができる。
【0056】
また、上記介装部材37における内周長さは、上記介装部材嵌着部35の外周長さよりも、長くなるよう形成しているため、上記介装部材嵌着部35に対する介装部材37の着脱を容易に行うことができる。よって、栓体14から上記介装部材37を取り外してそれぞれを水洗いすることもできる。
【0057】
以下では、他の実施形態における保温容器21,31,41,51,61について説明する。
但し、以下で説明する保温容器21,31,41,51,61の構成のうち、第一実施形態における保温容器11と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
(第二実施形態)
第二実施形態における保温容器21は、第一実施形態とは異なる介装部材22を具備し、それ以外の部分は、基本的に第一実施形態と同様の構成で構成している。
【0059】
具体的に、第二実施形態における介装部材22は、図5(a),(b)に示すように、周方向における少なくとも一部位に、切欠き切断部23を形成している。
なお、図5(a)は、第二実施形態における保温容器21の外観図であり、図5(b)は、図4(b)に相当する第二実施形態における保温容器21の構成説明図である。
【0060】
上記切欠き切断部23は、介装部材22の半径方向の内側と外側とが互いに連通するような切断形態、すなわち、介装部材22の周方向における一部分を完全に分離したスリット状(溝状)の切断形態をしている(図5(a),(b)中、要部拡大図参照)。上記切欠き切断部23の幅(間隙)は、例えば、1mm程度、或いは、1mm以下の僅かな隙間で形成している。
【0061】
なお、第二実施形態における介装部材22も、第一実施形態の介装部材37と同径で形成している。すなわち、上記介装部材22における内周長さは、上記介装部材嵌着部35の外周長さよりも、長くなるよう上記介装部材嵌着部35よりも、一回り大径に形成している。
【0062】
これにより、介装部材22は、上記介装部材嵌着部35に嵌装したとき、該介装部材嵌着部35から不測に取り外れないよう上記介装部材支持用鍔部36によって支持された状態で上記介装部材嵌着部35に対して回動自在に嵌装されている。
【0063】
第二実施形態における保温容器21も、このような介装部材22を介装部材嵌着部35とパッキン34との間に介装しているため、第一実施形態の保温容器21と同様に、栓体14を容器本体13に対してスムーズに回動させることができ、注ぎ口12の開操作を容易に行うことができる。
【0064】
特筆すべきは、例えば、保温容器21に熱いお茶やお粥を貯留した場合、通常は容器本体13の内側と外側との圧力差により栓体14には、容器本体13の内部に引っ張る吸引力が作用することになる。しかし、第二実施形態における保温容器21は、介装部材22に上記切欠き切断部23を形成しているため、容器本体13に対して内側と外側とが連通した状態なり、上記切欠き切断部23を通じて容器本体13の内側と外側との間の通気性を確保することができる。結果的に容器本体13の内側と外側との圧力差を解消することができ、このような保温容器21であってもスムーズに栓体14を容器本体13から取り外すことができる。
【0065】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態における保温容器31について図6(a),(b)を用いて説明する。
なお、図6(a)は、第三実施形態における保温容器31の要部を示す縦端面図であり、図6(b)は、図6(a)のC−C端面図である。
【0066】
介装部材32は、図6(a),(b)に示すように、介装部材嵌着部35に嵌着したとき、介装部材32と介装部材嵌着部35との間に例えば、上述した実施形態における大きな隙間(d1)が構成されるよう介装部材嵌着部35よりも大径に形成してもよい。
上記構成により、介装部材32を介装部材嵌着部35に嵌着したとき、介装部材32の内周部と介装部材嵌着部35の外周部とは、密着せず、この間に隙間(d1)を確保することができる。
【0067】
これにより、切欠き切断部23とともに、容器本体13の通気性をより一層、確保し易くなり、さらに、介装部材32は、栓体14に対してより一層、回動自在となるため、栓体14の開操作をスムーズに行うことができる。
【0068】
(第四実施形態)
次に、第四実施形態における保温容器41について図7を用いて説明する。
なお、図7は、図6(b)に相当する第四実施形態における保温容器41の構成説明図である。
【0069】
第四実施形態における保温容器41は、上述した実施形態とは異なる介装部材42を具備し、それ以外の部分は、基本的に第一実施形態と同様の構成で構成している。
【0070】
具体的に、本実施形態における介装部材42は、第二実施形態における介装部材42のように周方向の一部分に切欠き切断部43を備えているが、第二実施形態における介装部材42よりも一回り小径に形成している。
【0071】
すなわち、第四実施形態における介装部材42は、介装部材嵌着部35よりも一回り小径に形成しているため、介装部材嵌着部35に嵌着したとき、図7の要部拡大図中、矢印で示したように、切欠き切断部43の間隙が広がる方向へ撓み変形した状態となる。
【0072】
これにより、第四実施形態における介装部材42は、介装部材嵌着部35に嵌着したとき、切欠き切断部43において間隙(d2)を確実に構成することができ、該切欠き切断部43を通じて容器本体13の内側と外側との通気性を確実に確保することができる。
なお、切欠き切断部43は、僅かな間隙(d2)であるため、該切欠き切断部43を形成することにより、容器本体13の保温性能が損なわれることもない。
(第五実施形態)
次に、第五実施形態における保温容器51について図8を用いて説明する。
なお、図8は、第五実施形態における保温容器51の要部を縦端面により示した構成説明図である。
【0073】
第五実施形態における栓体55は、図8に示すように、蓋部25の裏面(下面)側であって外周側に介装部材嵌着部54を具備している。介装部材嵌着部54には、パッキン53が介装部材52を介して装着されている。
【0074】
具体的に、図8中、要部拡大図に示すように、介装部材嵌着部54は、介装部材52を嵌め込み可能に外周部を下方に向けて突状に形成している。
また、介装部材52の上面部は、その周方向全体に上記介装部材嵌着部54に嵌め込み可能な第一嵌着用凹部52aを形成している。一方、介装部材52の下面部は、その周方向全体にパッキン53を嵌め込み可能な第二嵌着用凹部52bを形成している。さらにまた、パッキン53の上面部は、その周方向全体に上記介装部材52の第二嵌着用凹部52bに嵌め込み可能に凸状に形成している。
【0075】
上記構成により、介装部材52は、介装部材嵌着部54に対して回動自在に、その下側に嵌着することができ、さらに、パッキン53は、介装部材52の下側で嵌着することができる。
【0076】
上述した栓体55を容器本体13に螺着したとき、パッキン53は、図8に示すように容器本体13の注ぎ口12の口縁部13bにおける上端部に圧接した状態となり、確実に止水機能を確保することができる。
【0077】
しかも、このように容器本体13の上端部にパッキン53が圧接された状態であっても、図8中一点鎖線で示した栓体55のみが、介装部材52に対して回動自在に摺動するため、パッキン53と口縁部13bとの摩擦力により開操作が阻害されることがなく、最終的に図8中仮想線で示したように栓体55を、介装部材52、及び、パッキン53も含めてスムーズに容器本体13から取り外すことができる。
【0078】
また、栓体55を容器本体13から取り外した後、容器本体13の口縁部13bには、パッキン53が残らないため、口縁部13bに口をつけて直飲みすることができる。
【0079】
なお、パッキン53は、栓体55の下端外周部に限らず、本実施形態のように栓体55における下端外周部以外の部分に取り付けてもよい。例えば、図示しないが、パッキン53を、口縁部13bの外周側に取り付けることもできる。
この構成であっても、パッキン53は、容器本体13の止水機能を確保しつつ、介装部材52を介して栓体55に取り付けることで栓体55は、介装部材52に対して回動自在となるため、注ぎ口12の開閉操作を容易に行うことができる。
【0080】
(第六実施形態)
最後に、第六実施形態における保温容器61について図9を用いて説明する。
なお、図9は、第六実施形態における保温容器61の要部を示す縦端面図である。
【0081】
第六実施形態における介装部材62は、上述した介装部材62のようにパッキン支持用鍔部38は形成しておらず、薄肉の円環板状で形成している。
【0082】
また、栓本体部24における介装部材嵌着部35には、その下端外周部に嵌着したパッキン34が支持可能とするパッキン支持用鍔部65を形成している。
【0083】
上記構成により、上記介装部材62を介装部材嵌着部35に取り付けたとき、栓体55本体部の下端部、すなわち、介装部材嵌着部35の外周側に有する段状部に当接した取り付け状態となり、介装部材嵌着部35に対して回動自在に取り付けることができる。
【0084】
さらに、パッキン34は、上記介装部材62の下側であって、介装部材嵌着部35の外周側にパッキン支持用鍔部65に支持された状態で取り付けられる。
【0085】
これにより、栓体55を容器本体13に螺着したとき、パッキン34は、容器本体13の環状突部18と栓体55本体部とで上下方向において圧接(挟持)された状態となるが、さらに、パッキン34と栓体55本体部との間には、パッキン34よりも摩擦抵抗の低い介装部材62を介在しているため、栓体55を容器本体13に対して回動させたとき、介装部材62に対して栓体55が滑らかに摺動し、栓体55のみを回動させてパッキン34、及び、介装部材62も含めて栓体55を容器本体13から容易に取り外すことができる。
なお、第六実施形態における介装部材62にも、切欠き切断部23,43を形成してもよい。
【0086】
また、上述した実施形態と、この発明の構成との対応において、この実施形態の保温容器11,21,31,41,51,61は、この発明の液状体貯留容器に対応し、同様に、
切欠き切断部23,43は、切欠き部に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第一実施形態における保温容器の外観図(a)、中央縦断面図(b)。
【図2】第一実施形態における保温容器の要部拡大図(a)、図2(a)のA−A矢視図(b)。
【図3】第一実施形態における保温容器の構成説明図。
【図4】第一実施形態における保温容器の作用説明図。
【図5】第二実施形態における介装部材の外観図(a)、第二実施形態における保温容器の構成説明図(b)。
【図6】第三実施形態における保温容器の構成説明図(a)、図6(a)のC−C端面図(b)。
【図7】第四実施形態における保温容器の構成説明図。
【図8】第五実施形態における保温容器の構成説明図。
【図9】第六実施形態における保温容器の構成説明図。
【符号の説明】
【0088】
11,21,31,41,51,61…保温容器
12…注ぎ口
13…容器本体
13b…口縁部
14,55…栓体
34,53…パッキン
35,54…介装部材嵌着部
37,22,32,42,52,62…介装部材
23,43…切欠き切断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に注ぎ口を備えた容器本体と、上記注ぎ口を閉塞可能に上記容器本体に螺着される栓体を備え、該栓体に、止水用のパッキンを備えた液状体貯留容器であって、
上記栓体と上記パッキンとの間に、上記栓体に対して回動自在に介装される介装部材を備えた
液状体貯留容器。
【請求項2】
上記介装部材をパッキンよりも摩擦抵抗の低い部材により形成した
請求項1に記載の液状体貯留容器。
【請求項3】
上記介装部材に切欠き部を形成した
請求項1、又は、請求項2に記載の液状体貯留容器。
【請求項4】
上記介装部材を円環状に形成し、
上記栓体に、上記介装部材を嵌着可能な介装部材嵌着部を形成し、
上記介装部材を、上記介装部材嵌着部よりも大径に形成した
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の記載の液状体貯留容器。
【請求項5】
上記介装部材を円環状に形成し、
上記栓体に、上記介装部材を嵌着可能な介装部材嵌着部を形成し、
上記介装部材を、上記介装部材嵌着部よりも小径に形成し、
上記切欠き部を、上記介装部材の周方向における一部分が分断される切断形態で形成した
請求項3に記載の液状体貯留容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−273560(P2008−273560A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118410(P2007−118410)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000112233)ピーコック魔法瓶工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】