説明

液状材料塗布方法、封鎖構造、および清掃装置

【課題】液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料の塗布量の制御が容易な液状材料塗布方法、この液状材料塗布方法を適用した封鎖構造、および、この封鎖構造を有する清掃装置を提供する。
【解決手段】部材上に、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を線状に塗布する線状塗布過程aと、前記線状塗布過程で液状材料が塗布される線上に、該線状塗布過程の前あるいは後で、前記液状材料を点状に塗布する点状塗布過程eとを有することを特徴とする液状材料塗布方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状材料塗布方法、封鎖構造、および清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像装置の構成部材間に液状エラストマを塗布しておくことで、部材間からのトナーの流出を防ぐ構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−208552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料の塗布量の制御が容易な液状材料塗布方法、この液状材料塗布方法を適用した封鎖構造、および、この封鎖構造を有する清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る液状材料塗布方法は、
部材上に、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を線状に塗布する線状塗布過程と、
上記線状塗布過程で液状材料が塗布される線上に、この線状塗布過程の前あるいは後で、上記液状材料を点状に塗布する点状塗布過程とを有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る液状材料塗布方法は、
上記部材が、塗布された液状材料を別の部材との間に挟んで、この別の部材との隙間をこの液状材料で封鎖するものであるとともに、この部材とこの別の部材との隙間の間隔が不均一なものであり、
上記点状塗布過程が、上記線上の箇所のうち上記隙間の間隔が他の箇所よりも広い箇所に上記液状材料を塗布する過程であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る液状材料塗布方法は、
上記点状塗布過程における点状の塗布が失敗したか否かを検知する失敗検知過程を有し、
上記点状塗布過程が、上記失敗検知過程で失敗が検知された場合には点状の塗布をやり直す過程であることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る封鎖構造は、
第1部材と、
液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料が上記第1部材に線状に塗布されて形成された線状物と、
上記線状物が形成される線上に、この線状物が形成される前あるいは後で、上記液状材料が点状に塗布されて形成された点状物と、
上記線状物と上記点状物とを上記第1部材との間に挟んでこの第1部材との隙間がこの線状物とこの点状物とで封鎖された第2部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る清掃装置は、
請求項4記載の封鎖構造を有する、被清掃体の表面の付着物を除去して内部に収容する、この封鎖構造でこの付着物の漏出が防止されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る液状材料塗布方法によれば、液状材料の塗布量の制御が容易である。
【0011】
請求項2に係る液状材料塗布方法によれば、部材間の隙間を確実に封鎖することができる。
【0012】
請求項3に係る液状材料塗布方法によれば、部材間の隙間への液状材料の塗布が確実に行える。
【0013】
請求項4に係る封鎖構造によれば、部材間の隙間の封鎖性が向上する。
【0014】
請求項5に係る清掃装置によれば、部材間の隙間からの収容物の漏出が確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置の概略断面図である。
【図2】クリーニング装置の一部の正面図である。
【図3】ブレードを支持した状態のブレード支持板を示す図である。
【図4】クリーニング枠体を示す図である。
【図5】クリーニング装置の組付方法の流れを示す図である。
【図6】クリーニング枠体の狭められた入口を示す図である。
【図7】クリーニング枠体の保持部に感光体ドラムが組み付けられた様子を示す図である。
【図8】感光体ドラムが組み付けられたクリーニング装置の断面図である。
【図9】本発明の液状材料塗布方法の一実施形態を示す図である。
【図10】本発明の液状材料塗布方法の一実施形態を示す図である。
【図11】このシール材塗布方法を実施する際に実行されるプログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、画像形成装置の概略断面図である。
【0018】
図1に示す画像形成装置1では、帯電ロール11により所定の電荷が付与された、矢印Aの向きに回転する感光体ドラム10の表面に、外部から送信されてきた画像データに基づいて露光器12で生成した露光光が照射されることで静電潜像が形成され、矢印Cの向きに回転する現像ロール131を有する現像器13に収容されたトナーでこの静電潜像が現像される。この現像により得られた現像像は、不図示の用紙カセットから引き出され、矢印Bの向きに搬送されてきた記録用紙上に、矢印Dの向きに回転する転写ロール14によって転写され、定着器15により定着されることにより記録用紙上に画像形成が行われる。尚、この画像形成装置1は、モノクロ画像専用機である。
【0019】
また、図1には、感光体ドラム10の、記録用紙への現像像の転写を終えた部分に接触し、感光体ドラム10の表面に付着した付着物を除去するクリーニング装置2が示されている。
【0020】
図2は、クリーニング装置の一部の正面図である。
【0021】
図2には、図1に示されるクリーニング装置2を現像器13側から感光体ドラム10越しに見た場合の、このクリーニング装置2の端部が示されている。クリーニング装置2は左右対称であるので、以下では、ここに示す端部についてのみ説明する。
【0022】
クリーニング装置2は、クリーニング枠体21、ブレード22、ブレード支持板23、フィルム部材24、およびフェルト部材25を備えている。
【0023】
ブレード22は、先端221が接触する感光体ドラム10の表面に付着した付着物を除去するゴム製のものである。
【0024】
ブレード支持板23は、ブレード22を支持する金属製の板材であり、留めネジ230によりクリーニング枠体21に固定されている。
【0025】
クリーニング枠体21は、感光体ドラム10の表面から除去した付着物を収容する凹部空間を有し、この凹部空間の入口210a(図4参照)の周縁の一部に、ブレード22を支持するブレード支持板23がネジ止めされる本体部210、および、感光体ドラム10の両端を回転自在に保持する保持部211を備えている。尚、本体部210には、ブレード支持板23の位置決めに使用するボス2101に加え、このクリーニング枠体21を画像形成装置1における所定位置に配備するための位置決めに使用するボス2102も備えられている。また、詳しくは後述するが、ブレード22を支持したブレード支持板23のクリーニング枠体21へのネジ留めは、クリーニング枠体21の入口210aの周縁に液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料の一例である熱可塑性エラストマで構成されるシール材20(図6参照)を挟み込みながら行われ、これにより、凹部空間に収容した付着物がクリーニング枠体21やブレード支持板23との隙間から漏れないようにされている。
【0026】
フェルト部材25は、フェルト層251と弾性層252(図7参照)との2層からなり、弾性層252は、クリーニング枠体21の保持部211に保持された状態の感光体ドラム10により僅かに押し潰される厚みにされている。これにより、フェルト層251は感光体ドラム10に密着し、感光体ドラム10の回転方向に垂直な方向への付着物の漏れが防止されている。
【0027】
また、このフェルト部材25には、クリーニング枠体21の入口210aの中央に向かって突出した突出部250が備えられている。図2には、突出部250の側面と、フェルト部材25の、突出部250以外の部分のブレード側の側面とがブレード22の角に添わされている様子が示されている。これにより、付着物の、ブレード22の角を辿る漏出が防止されている。尚、ここでは、感光体ドラム10との接触部分にフェルト層251を用いたが、感光体ドラム10との接触によっても感光体ドラム10の回転を妨げない、摩擦係数が小さい材料であればフェルト材以外の材料を使用してもかまわない。
【0028】
フィルム部材24は、ポリウレタン製のシート状のものであり、クリーニング枠体21の保持部211に保持された状態の感光体ドラム10に先端241が接触することで、ブレード22の反対側からの付着物の漏れが防止されている。
【0029】
図3は、ブレードを支持した状態のブレード支持板を示す図である。
【0030】
図3には、クリーニング装置2のクリーニング枠体21にネジ留めされる前の、ブレード22を支持した状態のブレード支持板23が示されており、ここには、クリーニング枠体21にネジ留めされた状態では、クリーニング枠体21と対向する側の面を上に向けた状態で示されている。尚、図3には、図2に示す留めネジ230が貫通する孔23aと、クリーニング枠体21のボス2101が貫通する孔23bが設けられている様子が示されている。
【0031】
図4は、クリーニング枠体を示す図である。
【0032】
図4には、ブレード支持板23、フェルト部材25、およびフィルム部材24が本体部210に取りつけられる前の状態のクリーニング枠体21が示されており、ここには、付着物を収容する凹部空間の入口210aが露出した様子が示されている。尚、図4では、凹部空間の入口210aの周縁を形成する各周縁部分に符号Aから符号Dまでが付されているが、これは、以下に行う説明の便宜のために付されたものであり、クリーニング枠体21に実際に付されているわけではない。また、周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cは、同一面上に存在するのに対し、この周縁部分Dは、その面と交わる面上に存在する。
【0033】
ここで、クリーニング装置2の組付方法について図4〜図8を参照しながら簡単に説明する。
【0034】
図5は、クリーニング装置の組付方法の流れを示す図である。
【0035】
図5には、ステップS1として、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化して部材間の隙間を塞ぐシール材20が、図4に示すクリーニング枠体21の開口210aの周縁を形成する周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cに塗布される。
【0036】
次に、ステップS2として、ブレード22を支持するブレード支持板23がクリーニング枠体21にネジ留めされて固定される。この段階で、入口210aの周縁のうちの、周縁部分A、および、周縁部分Bと周縁部分Cの各一部が、ブレード22を支持するブレード支持板23に覆われた状態となり、入口210aは、図4に示される状態と比べ狭められた状態となる。
【0037】
図6は、クリーニング枠体の狭められた入口を示す図である。尚、図6では、入口210aの縁のうち、部材に覆われて見えない部分の縁については1点差線で示され、周縁部分に塗布されたシール材20のうち、部材に覆われて見えない部分のシール材20については点線で示されている。
【0038】
図6には、ブレード22等に覆われてせばめられた入口210aの他、入口210aの周縁を構成する、周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cに塗布されているシール材20のうち、ブレード22を支持するブレード支持板23に覆われている部分のシール材20が、ブレード22を支持するブレード支持板23のクリーニング枠体21への固定により押し潰されて拡がっている様子が示されている。図5に戻って説明を続ける。
【0039】
次に、ステップS3として、フェルト部材25がフェルト貼付面2103(図4参照)に貼り付けられる。さらに、ステップS4として、周縁部分Dへフィルム部材24が貼り付けられる。ここでは、フィルム部材24の下部が、不図示の両面テープによって周縁部分Dに貼り付けられる。さらに、ステップS5として、クリーニング枠体21の保持部211に感光体ドラム10が組み付けられる。
【0040】
図7は、クリーニング枠体の保持部に感光体ドラムが組み付けられた様子を示す図である。尚、図7では、煩雑さを避けるためにフィルム部材24の図示は省略されている。
【0041】
図7には、周縁部分Bを図6中の矢印Xの方向に見た状態が示されており、ここには、フェルト部材25が両面テープ26によってフェルト貼付面2103に貼り付けられている様子が示されている。前述したように、クリーニング枠体21の保持部211に感光体ドラム10が組み付けられる際にはフェルト部材25の弾性層252は多少圧縮されるため、フェルト層251は感光体ドラム10に密着する。また、この時、周縁部分Bに塗布されているシール材20も両面テープ26と周縁部分Bとの間で圧縮される。また、図7には、図2において説明した、フェルト部材25の凸部250が、フェルト貼付面2103よりも入口210aの中央側に突出している様子が示されている。
【0042】
図8は、感光体ドラムが組み付けられたクリーニング装置の断面図である。
【0043】
図8には、図7中の一点鎖線で示す断面を矢印Yの方向に見た状態が示されており、周縁部分Dに両面テープ26によって貼り付けられているフィルム部材24の先端241がフェルト部材25側に巻き込まれている様子が示されている。
【0044】
また、図8には、斜線で示されるシール材20が、クリーニング枠体21と、このクリーニング枠体21に固定され、あるいは貼り付けられた部材との間を隙間なく塞いでいる様子が示されている。
【0045】
以上が、クリーニング装置2の組付方法の大まかな流れである。
【0046】
ところで、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化するシール材20の、図4に示される周縁部分A、B、およびCへの塗布を、開閉弁の開閉を制御してノズル先端301からの一定の吐出速度(mm/s)でのシール材20の吐出開始と吐出停止を制御するノズル部300、クリーニング枠体21を所定の姿勢で保持するクリーニング枠体保持台、ノズル部300にシール材20を供給するシール材供給部、ノズル部300に開閉弁の開放又は閉鎖を指示する指示部、および、ノズル部300を保持し、入力された3次元座標値に応じて、このノズル部300を移動させる移動アームを備えた自動シール材塗布システムに、ノズル先端301のホームポジションの3次元座標位置、各周縁部分についての塗布開始点、塗布終了点のホームポジションに対する相対的な3次元座標位置、および、各点間の相対的な3次元座標位置は登録したものを使用して行うことが考えられる。しかしながら、周縁部分B、Cは周縁部分Aに比べて対向部材との隙間の形状が複雑であり、この様な周縁部分B、Cに対して、対向する部材との隙間に合わせた量のシール材を、ノズル先端301がその箇所に差し掛かった際に塗布装置の移動速度を制御することで確保することは困難である。しかし、これを放っておくと、回収した付着物が周縁部分B、Cから漏出するおそれがある。
【0047】
そこで、このクリーニング装置2では、入口210aの周縁を構成する、周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cへのシール材20の塗布について以下に示すような工夫がなされている。
【0048】
図9および図10は、本発明の液状材料塗布方法の一実施形態を示す図である。
【0049】
図9および図10には、クリーニング枠体21に対してシール材20を塗布するノズル先端301の移動軌跡が示されている。
【0050】
また、図9および図10には、略図化されたクリーニング枠体21と、液状で塗布されて硬化する液状材料の一例である熱可塑性エラストマで構成されるシール材20をノズル先端301から吐出するノズル部300が示されている。また、ノズル部300には、詳しくは後述するが、ノズル部300に空気が紛れ込み、ノズル先端301からシール材20ではなく紛れ込んだ空気が吐出された瞬間に発生する振動を検出する振動センサ40が取り付けられている。この振動センサ40は、自動シール材塗布システムに備えられている振動波形解析部に繋がれており、振動波形解析部には、振動センサ40で検出された信号が送信されている。振動波形解析部には、シール材20が正常に吐出されている際に検出される信号の周波数成分の分布(基準分布)を表すデータが予め記憶されている。振動センサ40は、振動センサ40から送信されてくる信号の周波数成分の分布を解析すると共に、この基準分布と比較し、比較した結果、分布が一定以上異なる信号が送信されてきている場合には、メモリにその信号の受信時刻を記録する。尚、図9には、図4に示される入口210aの図示は省略されている。また、図9では、クリーニング枠体21の入口210aの周縁のうちの周縁部分A、周縁部分B、および周縁部分Cを含む面を、図9に示されるXY座標におけるXY面に平行な面であるとして話を進める。
【0051】
まず、図9(a)に示すように、図4に示される入口210aの周縁のうちの周縁部分Bに、第1始点S1から第1終点D1にかけて、つまり、図9に示されるY軸と平行にノズル301の先端を移動させながらシール材20を塗布する。
【0052】
周縁部分Bへのシール材20の塗布を終了した後、図9(b)に示すように、ノズル301がYZ面と平行な面上をZ軸方向に移動して、第1終点D1から第1経由点V1まで移動する。
【0053】
次に、図9(c)に示すように、ノズル先端301が、第1経由点V1から、YZ面と平行な面上をY軸方向に移動して第2経由点V2を経由し、さらに、XY面と平行な面上をX軸方向に移動して第3経由点V3にまで移動する。
【0054】
次に、図9(d)に示すように、ノズル先端301が、第3経由点V3から、YZ面と平行な面上をZ軸方向に移動して第2始点S2にまで移動した後、第2始点S2から第2終点D2にかけて、つまり、図9に示されるY軸方向にノズル先端301の先端を移動させながら周縁部分Cにシール材20を塗布する。
【0055】
次に、図9(e)に示されるように、ノズル先端301が、第2終点D2から、YZ面と平行な面上をZ軸方向に移動して第4経由点V4を経由し、XY面と平行な面上をX軸方向に移動して第5経由点V5を経由し、YZ面と平行な面上をY軸方向に移動して第6経由点V6を経由し、YZ面と平行な面上をZ軸方向に移動して第3始点S3に到達した後、XY面と平行な面上をX軸方向に移動して第3終点D3に移動しながら周縁部分Aにシール材20が塗布される。以上に説明したシール材20の連続的な塗布過程が、本発明にいう線状塗布過程の一例である。
【0056】
図10(a)には、図9(e)に示される状態にあるノズル部300を図9に示されるX軸についてのマイナスの向きに見た状態が示されている。また、図10(a)には、図9(a)に示される周縁部分Bへのシール材20の塗布の第1始点S1と第1終点d1とが示されている。また、図10(a)に示される段階においては、ノズル先端301は、実際には、第1始点S1よりも図10における奥側に位置していることになる。以下、図9に示されるように線状に塗布されたシール材20の上に、さらに、対向する部材との隙間の大きい箇所およびシール材20が入り込みにくい箇所にシール材20を充当するために、以下に示すように、シール材20が点状で塗布される。
【0057】
まず、図10(b)に示すように、ノズル先端301が、図9(e)に示される第3終点D3から、図9に示されるYZ面と平行な面上をZ軸方向に移動して第7経由点V7を経由し、その後、図10(c)に示すように、XZ面と平行な面上をX軸方向に移動して第8経由点V8を経由し、図10(d)に示すように、YZ面と平行な面上をY軸方向に移動して第1点塗布点P1に移動する。尚、この第1点塗布点P1は、第1始点S1と第1終点D1との双方が存在する面上に存在する。
【0058】
ノズル先端301は、この第1点塗布点P1において、図10(e)に示すように、シール材20を点状に塗布する。
【0059】
次に、ノズル先端301は、図10(f)に示すように、第1点塗布点P1からYZ面と平行な面上をY軸方向に移動して第2点塗布点P2に移動し、この第2点塗布点P2でシール材20を点状に塗布する。ノズル先端301がこれら第1点塗布点P1および第2点塗布点P2で塗布した点状のシール材20は、ブレード22を支持するブレード支持板23と周縁部分Bとの隙間が大きく、また、隙間の形状が複雑なためにシール材が充当されにくい箇所に充当されるために塗布されている。以上に説明したシール材20の点状の塗布過程が、本発明にいう点状塗布過程の一例である。
【0060】
以上に説明したシール材塗布方法では、シール材20を一律に周縁部分に塗布した後、対向する部材との隙間が大きい箇所やシール材20が回り込み難い箇所に対向する箇所には、点状のシール材20を追加して塗布されて不足分が補われる。このため、容易にシール性が確保される。
【0061】
また、このシール材塗布方法では、ノズル部300には振動センサ40が取り付けられており、点状にシール材20を塗布する際にシール材の空打ちが発生した場合でも、メカニズムは後述するが、ノズル先端301はその場に留まって再び点状のシール材20の塗布を行う。この空打ちの発生を振動センサ40で検知する過程が、本発明にいう失敗検知過程の一例に相当する。また、このクリーニング枠体21が、本発明にいう第1部材の一例に相当し、ブレード22とブレード支持板23とを併せたものが、本発明にいう第2部材の一例に相当する。
【0062】
図11は、このシール材塗布方法を実施する際に実行されるプログラムのフローチャートである。
【0063】
図11には、前述の自動シール材塗布システムにおいて実行されるルーチンのフローチャートが示されている。尚、図9および図10に示される始点、経由点、終点、点塗布点それぞれの、このノズル先端301のホームポジションに対する相対的な3次元座標位置、および、各点間の相対的な3次元座標位置は既に登録されているとして話を進める。
【0064】
図11に示すステップS1では、シール材塗布作業の開始の合図を受けて、ノズル部300のノズル先端301を、特定のホームポジションから、第1始点S1まで移動させる。ステップS2では、ノズル先端301が第1始点S1に到達するのを待って、ノズル部300に対しシール材20の吐出開始を指示すると共に、ノズル先端301の、第1始点S1から第1終点D1に向けた移動を指示する。ステップS3では、ノズル先端301の第1終点D1への到達を待って、ノズル部300に対しシール材20の吐出停止を指示する。ステップS4では、第1終点D1に到達したノズル先端301の、第1終点D1から第1経由点V1、第2経由点V2、第3経由点V3を経た第2始点S2への移動を指示する。ステップS5では、ノズル先端301の第2始点S2への到達を待って、ノズル部300に対しシール材20の吐出開始を指示すると共に、ノズル先端301の、第2始点S2から第2終点D2に向けた移動を指示する。ステップS6では、ノズル先端301の第2終点D1に到達をまって、ノズル部300に対しシール材の吐出停止を指示する。ステップS7では、第2終点D2に到達したノズル先端301の、第2終点D2から、第4経由点V4、第5経由点V5、第6経由点を経た第3始点S3への移動を指示する。ステップS8では、ノズル先端301の第3始点S3への到達を待って、ノズル部300に対しシール材20の吐出開始を指示すると共に、ノズル先端301の、第3始点S3から第3終点D3に向けた移動を指示する。ステップS9では、ノズル先端301の第3終点D3に到達を待って、ノズル部300に対しシール材20の吐出停止を指示する。ステップS10では、第3終点D3に到達したノズル先端301の、第3終点D3から、図10に示される第7経由点V7、第8経由点V8を経た第1点塗布点P1への移動を指示する。ステップS11では、ノズル先端301の第1点塗布点P1に到達するのを待って、ノズル部300にシール材20の吐出開始を指示する。ステップS12では、シール材20の点状塗布の為に予め設定されている時間が経過したか否かを判定し、その時間の経過を待って、ステップS13では、ノズル部300にシール材20の吐出停止を指示する。ステップS14では、ステップS12における時間の経過中に振動センサ40によって空打ちによる振動が検出されたか否かを前述のメモリに記録されている時刻を判定することで確認する。空打ちの振動を検出していた場合はステップS11に戻り、空打ちの振動を検出していない場合には、ステップS15に進み、第1点塗布点P1から第2点塗布点P2への移動を指示する。ステップS16では、ノズル先端301が第2点塗布点P2に到達するのを待って、ノズル部300にシール材20の吐出開始を指示する。ステップS17では、シール材20の点状塗布の為に要する時間が経過したか否かを判定し、時間の経過を待って、ステップS18では、ノズル部300にシール材20の吐出停止が指示される。ステップS19では、この時間の経過中に空打ちによる振動が検出されたか否かを判定し、空打ちによる振動が検出された場合にはステップS16に戻り、検出されなかった場合にはステップS20に進む。ステップS20からステップS29までは、周縁部分C上の点状のシール材の塗布位置である第3点塗布点P3および第4点塗布点P4への塗布過程であり、ステップS10からステップS19までと同じ内容であるので説明は省略する。以上に説明したようなプログラム制御により、自動シール材塗布システムでは、線状塗布および点状塗布がクリーニング枠体21に対して行われる。
【0065】
尚、以上に説明した実施形態では、本発明をクリーニング装置又は現像器に適用した例を挙げて説明したが、本発明は、部材間の隙間を液状材料を挟み込むことで封鎖する装置であれば、これらに限らず適用できる。
【0066】
また、以上に説明した実施形態では、液状材料を吐出する側を塗布面に対し移動させる例を挙げて説明したが、本発明では、液状材料を吐出する側に対し塗布面を移動させてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
2 クリーニング装置
21 クリーニング枠体
22 ブレード
23 ブレード支持板
300 ノズル先端
301 ノズル部
40 振動センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材上に、液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料を線状に塗布する線状塗布過程と、
前記線状塗布過程で液状材料が塗布される線上に、該線状塗布過程の前あるいは後で、前記液状材料を点状に塗布する点状塗布過程とを有することを特徴とする液状材料塗布方法。
【請求項2】
前記部材が、塗布された液状材料を別の部材との間に挟んで、該別の部材との隙間を該液状材料で封鎖するものであるとともに、該部材と該別の部材との隙間の間隔が不均一なものであり、
前記点状塗布過程が、前記線上の箇所のうち前記隙間の間隔が他の箇所よりも広い箇所に前記液状材料を塗布する過程であることを特徴とする請求項1記載の液状材料塗布方法。
【請求項3】
前記点状塗布過程における点状の塗布が失敗したか否かを検知する失敗検知過程を有し、
前記点状塗布過程が、前記失敗検知過程で失敗が検知された場合には点状の塗布をやり直す過程であることを特徴とする請求項1または2記載の液状材料塗布方法。
【請求項4】
第1部材と、
液状で塗布され、硬化しても弾性を持ち、外的な力により形状変化する液状材料が前記第1部材に線状に塗布されて形成された線状物と、
前記線状物が形成される線上に、該線状物が形成される前あるいは後で、前記液状材料が点状に塗布されて形成された点状物と、
前記線状物と前記点状物とを前記第1部材との間に挟んで該第1部材との隙間が該線状物と該点状物とで封鎖された第2部材とを備えたことを特徴とする封鎖構造。
【請求項5】
請求項4記載の封鎖構造を有する、被清掃体の表面の付着物を除去して内部に収容する、該封鎖構造で該付着物の漏出が防止されていることを特徴とする清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−221199(P2010−221199A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74693(P2009−74693)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】