説明

液面レベルセンサ

【課題】信号配線等の簡略化を可能とした液面レベルセンサを提供すること。
【解決手段】本液面レベルセンサは容器内の液面レベルを検出するセンサ部と、このセンサ部の検出信号を特定小電力無線で送信可能な信号形態に処理する処理部と、上記処理部で処理された信号を電波送信するアンテナとを具備する。上記センサ部は、好ましくは容器内の液面レベルの変位方向に延在した1つの電極あるいは、互いに間隔をおいて対向配置された少なくとも一対の電極からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の液体の液面レベルを検出する液面レベルセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2005−224418には点滴施療における点滴の終了を報知する方法およびその装置として、使用前の点滴容器を装置に吊下げて、該点滴容器の重量を荷重センサで検出し、この検出から点滴残量が終りに近いとき、自動的に点滴終了予告信号をIDと共に出力して、無線で、医師や看護師に報知することができる技術が開示されている。
【0003】
上記の場合、液面レベルセンサとして荷重センサを用いるが、これ以外にも特開2006−10597号で光学式、特開2003−307447で静電容量式の液面レベルセンサが開示されている。しかしながら、このような従来技術の液面レベルセンサではその検出信号を配線を引き回して受信側に入力させる必要があり、配線接続が複雑化し、配線引き回しが困難な箇所では採用し難い。一方、特開2004−24267には液面レベルセンサと無線とを組み合わせた技術が、特開2001−221672には超音波センサと無線とを組み合わせた技術が開示されている。しかしながら、この無線送信する従来技術では液面レベルセンサそれ自体に無線装置を内蔵させたものではなく、液面レベルセンサと無線装置とを配線接続する必要があり、上記と同様、配線引き回しを要し配線引き回しが困難な箇所では採用し難いことには変わりない。また、複数の容器に液面レベルセンサを取り付け、それら各液面レベルセンサから検出信号を無線送信させる場合、混信が発生するものでは例えば点滴等の医療設備には採用し難い。
【特許文献1】特開2005−224418
【特許文献2】特開2006−10597
【特許文献3】特開2003−307447
【特許文献4】特開2004−24267
【特許文献5】特開2001−221672
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明により解決すべき課題は、液面レベルセンサの検出信号の送信に対する配線省略を可能とし、かつ、混信が発生しない液面レベルセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による液面レベルセンサは、容器内の液面レベルを検出するセンサ部と、このセンサ部の検出信号を特定小電力無線で送信可能な信号形態に処理する処理部と、上記処理部で処理された検出信号を電波送信するアンテナを具備したことを特徴とするものである。
【0006】
上記容器は特に限定しない。容器は点滴装置の点滴チューブ、ビールサーバーのビール容器、自動販売機の飲料水タンク等を例示することができる。あるいは上記容器は自動車等の車両の燃料タンクに適用することができる。この場合、センサ部は、フロート式でもよい。フロート式ではフロートの移動に応じて回動するフロートアームの動きを、電気抵抗値の変化として捉え、この変化量に応じた電圧をセンサ部出力とすることができる。あるいはフロートの移動に応じて回動するマグネットの磁界変化を検知する磁電変換素子によってセンサ部を構成することができる。センサ部は、例えば容器内における薬液の液面レベルの低下を光学的に検出する光学式でもよい。センサ部は、容器内液中に浸漬あるいは容器外周に沿設した電極対からなる静電容量式でもよい。また、センサ部は容器内の液面レベルそのもの、あるいは液面レベルの変位(上昇、下降)速度を検出することができるセンサが好ましい。
【0007】
本発明によると、処理部で処理した検出信号をアンテナから電波送信するので、容器内に検出信号の出力配線等の引き回しを要しなくなり、配線引き回しが困難な箇所では採用し易い液面レベルセンサを提供することができる。また、特定小電力無線で無線送信するので、混信を有効に防止することが可能となり、例えば点滴等の医療設備には採用し易い液面レベルセンサを提供することができるようになる。
【0008】
好ましくは上記センサ部は、容器内の液面レベルの変位方向に延在し1つの電極あるいは互いに間隔をおいて対向配置された少なくとも一対の電極からなる。この電極は容器の液体中に浸漬してもよいし容器の外周に沿って配置してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液面レベルセンサの検出信号の送信に対する配線省略を可能とし、かつ、混信が発生しない液面レベルセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。実施の形態では容器として点滴チューブに適用するが、本発明はこの容器に限定されない。この容器に入る液体はこの場合は点滴用の薬液である。図1は実施の形態の液面レベルセンサを用いた点滴医療システムの概略構成を示す図、図2は液面レベルセンサのブロック回路図、図3は液面レベルセンサの検出部の動作説明に供する図、図4は送受信機の電気的な概略構成を示す図である。
【0011】
点滴用薬液容器2と、この容器2内から薬液が入れられてその薬液の液面レベルが検出される容器としての点滴チューブ4は、病室内ベッド近傍に置かれて患者に点滴するための点滴装置である。この点滴チューブ4に実施の形態の液面レベルセンサ6が取り付けられている。液面レベルセンサ6は、点滴チューブ4の点滴用薬液8の液面レベル10を検出しその検出信号を特定小電力無線で送信することができるようにしたものである。特定小電力無線は後ほど詳しく説明する。液面レベルセンサ6からの液面レベル検出信号はナースセンター12が備える送受信機14で受信され、この送受信機14に有線接続された、コンピュータからなる情報管理装置16に入力される。
【0012】
情報管理装置16では点滴用薬液容器2に薬液残量が少なくなったことを上記検出信号から判断することができ、その判断に基づいて看護婦等にコンピュータ画像や音声等で警報することにより点滴警報装置とすることができる。通常、点滴装置には手元押ボタンがあり、患者から看護婦への通報のため、殆どの病院で設備されているものであり、電線コードで患者のベッドの枕元装置とつながれ、ナースセンターへとつながれている。患者は薬液残量を監視していて、少なくなったら手元押ボタンを押し、看護婦に対して警報を発することが要求されている。しかし、このような警報操作では、患者に負担であり、また手元押ボタンの押し忘れもある。実施の形態では情報管理装置16で点滴状態を管理することにより上記課題を解消している。
【0013】
以上の点滴医療システムでは、液面レベルセンサ6から無線で液面レベル検出信号をナースセンター12内の送受信機14に送信するので、上記点滴装置のある病室内からナースセンター12まで液面レベル検出信号の出力配線等の引き回しを要しなくなり、配線引き回しが困難な箇所では採用し易い液面レベルセンサ6を提供することができる。また、特定小電力無線で無線送信するので、混信を有効に防止することが可能となり、例えば点滴等の医療設備には採用し易い液面レベルセンサ6を提供することができるようになる。
【0014】
図2を参照して液面レベルセンサ6を説明すると、この液面レベルセンサ6は、センサ部18と、処理部20と、アンテナ22とから構成されている。
【0015】
センサ部18は、検出部24と、発振部26と、検波部28と、出力部30と、感度調整部32と、を有する。発振部26は検出部24の検出信号の変化により発振振幅や発振周波数が変化する。検波部28は、発振部26の発振振幅を検出し、この検出の結果である検出信号が出力部30から処理部20に出力される。
【0016】
ここで検出部24の検出動作を図3(a)(b)(c)を参照して説明する。検出部24は、点滴チューブ4を取り囲む一対の電極24a,24bで構成される。この電極24a,24bは点滴チューブ4内の点滴用薬液8の液面レベル10の変位方向に対向延在している。なお、実施の形態では検出部24は一対の電極24a,24bで構成したが、一方の電極で構成してもよい。
【0017】
図3(a)は点滴チューブ4内の点滴用薬液8の液面レベル10が高く対向電極24a,24b間全体に点滴チューブ4内部の点滴用薬液8が存在している。図3(b)は点滴チューブ4内部の点滴用薬液8の液面レベル10が低下し対向電極24a,24b間のおよそ半分程度で点滴用薬液8が対向している。図3(c)は点滴チューブ4内部の点滴用薬液8の液面レベル10がさらに低下して対向電極24a,24b間には点滴用薬液8が存在していない。上記において、点滴用薬液8と空気部分9とで誘電率がε1、ε2と相異なるので、図3(a)から図3(c)での対向電極24a,24bの静電容量は、点滴用薬液8の液面レベルの低下に伴いCa,Cb,Ccへと変化することとなる。この静電容量は電気信号に変換され、この電気信号が検出部24からの液面レベル検出に対応する検出信号となる。上記図3(c)の検出信号が送受信機14から入力された場合では情報管理装置16は警報をコンピュータ画面に表示したりないしスピーカから音声で報知する。これより看護婦等は患者の病室へ行き点滴装置を調整することができるようになる。このコンピュータ画面ではIDデータから病室番号、ベッド番号、患者名、病名、処置歴、等を認識して的確、迅速に点滴に対処することができる。
【0018】
一方、処理部20は、センサ部18で検出された液面レベル検出信号を電波法施行規則第6条に定める特定小電力無線の形態で電波送信できる信号に処理するものであり、マイクロコンピュータ34と、送受信処理部36と、ディップスイッチ38とを備える。
【0019】
マイクロコンピュータ34は、検出信号に含むセンサデータの演算やその他の制御をするCPU34aと、他の液面レベルセンサを識別するIDコードやその他のデータを記憶しているRAM34bと、制御プログラムを記憶しているROM34cとからなる。
【0020】
送受信処理部36は、マイクロコンピュータ34からの出力データ(送信周波数(キャリア)、IDコード(識別コード)、センサ部18の検出信号)を入力し、IDコードと検出信号で上記キャリアを変調して送信信号を生成するようになっている。
【0021】
ディップスイッチ38は、特定小電力無線における送信周波数のnチャネルの組み合わせから送受信機14との間で予め使用するチャネルを調整するチャネル調整部として機能する。
【0022】
上記センサ部18と処理部20には電池40から電源が供給される。センサ部18は電源スイッチ42のオンオフを通じて電池40から電源が供給されるようになっている。この電池40に代えて通常の直流電源を供給してもよい。
【0023】
この処理部20における無線送信は、特定小電力無線通信方式による。特定小電力無線通信は、電波法で定めた周波数帯(例えば、426.025〜426.1375MHz帯10波、429.250〜429.7375MHz帯 40波)を使用するものであり、その送信強度はそれぞれ1mW、10mWである。また、この送信では、定められた周波数帯で互いに電波干渉を防止するために送信前に同一電波の使用が無いかを確認するキャリアセンスは、上記10波1mWでは義務付けられておらず、上記40波10mWでは義務付けられている。すなわち、送信前には同一電波が周囲に無いか使用周波数帯域の周波数スキャンを行い、周波数が存在する場合には、別の周波数へ移行し、周波数干渉が無い場合はその周波数で送信する。そのため、これら液面レベルセンサでは他の液面レベルセンサからの送信信号との電波干渉を防止することができる。
【0024】
処理部20からの送信信号は、アンテナ22から空中へ電波の形で放射される。処理部20におけるCPU34は、電池40の寿命を長くするため、センサ部18から検出信号を入力した場合、無線通信を0.5秒間だけワンショット送信し、上記以外は待機状態(ストップモード)にして電池40の消費を抑制するようになっている。
【0025】
図4を参照して送受信機14を説明する。この送受信機14は、液面レベルセンサ6から送信された電波を捕捉するアンテナ50と、送受信の切替を行うスイッチ52と、フィルタ54と、アンテナ50で受信したセンサデータの処理とアンテナ50を介してセンサデータを送信するための送信処理とを行う送受信処理部56と、全体の制御を行うマイクロコンピュータ58と、受信周波数を調整するディップスイッチ60と、出力部62とから構成されている。マイクロコンピュータ58は、演算制御を行うCPU64と、IDコード等のデータを記憶するRAM66と、制御プログラムを記憶するROM68とから構成されている。送受信機14内部の各回路部には直流電源部70から電源が供給されるようになっている。
【0026】
送受信処理部56は、スイッチ52が受信側に切り替わっている場合、アンテナ50を介して受信した信号から特定小電力無線電波を選択し、復調して、IDコードを含むセンサデータを得て、マイクロコンピュータ58に入力する。この場合、送受信処理部56にはマイクロコンピュータ58からディップスイッチ60で調整した受信周波数データが与えられており、この受信周波数により上記復調を行う。この復調したデータを出力部62を介して情報管理装置16に送信する。情報管理装置16は、このデータに従い、上記したように、コンピュータ画面上に病室番号、ベッド番号、患者名、病名、処置歴、等を認識して的確、迅速に点滴に対処することができる。
【0027】
以上説明したように実施の形態では、液面レベルセンサ6からは液面レベル信号を電波送信するので、液面レベル検出信号の出力配線等を病室からナースセンターまで引き回しする必要がなくなり、配線引き回しが困難な箇所では採用し易い液面レベルセンサを提供することができる。また、特定小電力無線で無線送信するので、混信を有効に防止することが可能となり、例えば点滴等の医療設備には採用し易い液面レベルセンサを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る点滴医療システムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は液面レベルセンサのブロック回路図である。
【図3】図3は液面レベルセンサの検出部の動作説明に供する図である。
【図4】図4は送受信機の電気的な概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
2 点滴容器
4 点滴チューブ
6 液面レベルセンサ
8 点滴用薬液
10 液面レベル
12 ナースセンター
14 送受信機
16 管理装置
18 センサ部
20 処理部
22 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の液面レベルを検出するセンサ部と、このセンサ部の検出信号を特定小電力無線で送信可能な信号形態に処理する処理部と、上記処理部で処理された信号を電波送信するアンテナと、を具備したことを特徴とする液面レベルセンサ。
【請求項2】
上記センサ部は、容器内の液面レベルの変位方向に延在した1つの電極あるいは、互いに間隔をおいて対向配置された少なくとも一対の電極からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の液面レベルセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−216165(P2008−216165A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56636(P2007−56636)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】