説明

液面検出器

【課題】酸洗槽等の高濃度、高温の薬液を使用する槽や、消石灰液等の粘性の高い液を使用する槽において、簡単な構成で、誤検出が少なく、保全性に優れた液面検出器を提供する。
【解決手段】液面検出器10において、スイッチ14、及び、該スイッチ14の下方の位置にスイッチ14用のストライカ18が付いたダイヤフラム20が内蔵された容器12と、該容器12の下部に鉛直方向に接続された本体エアー配管22と、該本体エアー配管22の下端に接続された、例えば内側面に溝50aが設けられたベル型開口部50と、該ベル型開口部50の側方に接続された元圧エアー配管24と、前記本体エアー配管22内のベル型開口部50の上部に取付けられた上下開閉式の蓋52とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面検出器に係り、特に、ステンレス酸洗槽等の高濃度、高温の薬液を循環する槽を有する製造分野や、消石灰槽等を有する廃液処理設備等に用いるのに好適な、簡単な構成で、誤検出が少なく、保全性に優れた液面検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
酸のヒュームが充満した槽や、消石灰等が投入された粘度の高い液を貯蔵した槽等においては、従来から、特許文献1の図4に示されるように、図3に示す如く、マイクロスイッチ等の近接スイッチ(以下単にスイッチと称する)14、及び、該スイッチ14の下方の位置にスイッチ14用のストライカ18が付いたダイヤフラム20が内蔵された容器12と、該容器12の下部に鉛直方向に接続された、液面接触用の本体エアー配管22と、該本体エアー配管22の上部側面に接続された検出用エアー配管28と、元圧エアー配管24から供給される元圧エアー24aの圧力を減圧して、検出用エアー28aとして該検出用エアー供給管28に供給するための圧力調節弁26とを備えた液面検出器10が知られている。
【0003】
この液面検出器10は、通常、本体エアー配管22の下端が、例えば酸洗槽40の酸洗液42上方の所定の高さに設置される。従って、液面が上昇すると、本体エアー配管22の下端開口22aを塞ぎ、本体エアー配管22内の圧力が高まって、ダイヤフラム20を押し上げ、ストライカ18によりスイッチ14が作動する。よって、スイッチ14の接点をスイッチ配線16を介して制御装置(図示省略)に取り込み、液面検出の信号としている。
【0004】
ところが、酸の蒸気(酸ヒュームと称する)が充満している槽においては、酸ヒュームが本体エアー配管22内部にも当然侵入し、配管内壁に付着し、固形化する。その固形物が成長し、本体エアー配管22の下端開口22aを塞ぎ、検出用エアー配管28から供給される検出用エアー28aを本体エアー配管22内に閉じ込めることになる。これにより、本体エアー配管22内部の圧力が高まり、ダイヤフラム20を押し上げ、スイッチ14が作動して、液面が本体エアー配管22に接触しない状態で、液面検出器10が液面上昇を誤検出してしまうという問題点を有していた。
【0005】
この問題を解決するために、出願人は、前記特許文献1の図1に示したように、図4に示す如く、図3に示した従来技術と同様の構成において、前記本体エアー配管22の途中に絞り部22bを設けると共に、下端開口22aをラッパ状に広げ、更に、圧力調整弁26の上流側と本体エアー配管22の下端直近上部の側面を連通する接触部洗浄用エアー配管30を設けることを提案している。
【0006】
この図4の構成によれば、接触部洗浄用エアー配管30により、圧力調整弁26上流側の元圧エアー24aの一部を洗浄用エアー30aとして本体エアー配管22の開口部直近上部に供給することで、本体エアー配管22の内部に酸ヒュームの侵入を防ぎ、本体エアー配管22の詰りによる液面検出器10の誤検出を防止することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2003−222550号公報(図1,図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図4に示した先行技術では、エアー配管の構成が複雑になるだけでなく、検出用エアー28aの圧力調整が難しい。又、元圧エアー24aの圧力が高すぎると、洗浄用エアー30aの一部が絞り部22bを抜けて、本体エアー配管22の上方に流れ、本体エアー配管22内部の圧力を高めて、ダイヤフラム20を押し上げ、スイッチ14が誤動作する問題がある。逆に、元圧エアー24aの圧力が低いと、洗浄用エアー30aの圧力が不十分となり、粘性の高い液が本体エアー配管22の下端開口22aに飛散付着した場合に十分な除去ができず、定期的な頻度の高い清掃等の保全作業が必要となる等の問題点を有する。
【0009】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、簡単な構成で、誤検出が少なく、保全性に優れた液面検出器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スイッチ、及び、該スイッチの下方の位置にスイッチ用のストライカが付いたダイヤフラムが内蔵された容器と、該容器の下部に鉛直方向に接続された本体エアー配管と、該本体エアー配管の下端に接続されたベル型開口部と、該ベル型開口部の側方に接続された元圧エアー配管と、前記本体エアー配管内のベル型開口部の上部に取付けられた上下開閉式の蓋と、を備えたことを特徴とする液面検出器により、前記課題を解決したものである。
【0011】
前記ベル型開口部の内側面に溝を設けて、洗浄効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、酸洗槽等の高濃度、高温の薬液を使用する槽や、消石灰液等の粘性の高い液を使用する槽等において、エアー配管を増やすことなく、簡単な構成で、誤検出が少なく、保全性に優れた液面検出器を提供することが可能となる。
【0013】
従って、槽からの液溢れを未然に防止し、液(特に酸)溢れによる設備損害の発生や、環境汚染の問題を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の液面検出器10は、図1に示す如く、マイクロスイッチ等の近接スイッチでなるスイッチ14、及び、該スイッチ14の下方の位置にスイッチ14用のストライカ18が付いたダイヤフラム20が内蔵された容器12と、該容器12の下部に鉛直方向に接続された本体エアー配管22と、該本体エアー配管22の下端に接続された、内側面に例えば螺旋状の溝50aが設けられたベル型開口部50と、該ベル型開口部50の側方に接続された元圧エアー配管24と、前記本体エアー配管22内のベル型開口部50の上部に取付けられた上下開閉式の蓋52と、を備えている。
【0016】
前記ベル型開口部50の内側面には、図2の底面図に例示するような螺旋状の溝50aが形成されている。
【0017】
前記ダイヤフラム20の直径は、例えば90±10mmφとし、前記本体エアー配管22の内径は、例えば25〜35mmφとすることができる。又、元圧エアー24aの圧力は、例えば0.05〜0.1Mpaとすることができる。
【0018】
前記液面検出器10は、本体エアー配管22下端のベル型開口部50の下端が、通常操業時の酸洗槽40の酸洗液42の液面高さよりも50〜100mm上方になるようにし、且つ、液面検出器10が、液面検出直後、酸洗液42が酸洗槽40からオーバーフローしない余裕の位置に設置する。
【0019】
このような構成において、元圧エアー配管24から供給される元圧エアー24aがベル型開口部50に吹き込まれ、内部の螺旋状の溝50aに沿って、絶えずベル型開口部50の下方に流れ、開口部付近に付着した、酸や廃液等のヒューム、露を外部に押し流す。酸洗槽40の液面が上昇し、液面検出器10の下端に接触するまでは、蓋52が自重により閉じられているので、元圧エアー配管24から供給される元圧エアー24aは、ベル型開口部50内の溝50aに沿って下方に流れ、本体エアー配管22内に侵入することはない。
【0020】
一方、酸洗液42の液面が液面検出器10の下端に到達すると、ベル型開口部50内の圧力が高まり、その上部蓋52を開ける。従って、元圧エアー配管24から供給される元圧エアー24aが蓋52を通って本体エアー配管22内に侵入し、本体エアー配管22内の圧力を高め、ダイヤフラム20を上昇させ、ストライカ18によりスイッチ14が動作して、液面が検出される。
【0021】
本実施形態によれば、従来技術の液面検出器に対して、誤作動の発生は皆無であり、保全作業も50%軽減された。
【0022】
本実施形態においては、ベル型開口部50の内面に螺旋状の溝50aを形成しているので、ベル型開口部50の内面がむらなく洗浄される。なお、溝の形状は螺旋状に限定されず、例えば複数の斜線状の溝を設けたり、あるいは、溝を省略しても良い。
【0023】
又、前記実施形態においては、ダイヤフラム20の上昇を検出するスイッチ14として、マイクロスイッチが設けられていたが、ダイヤフラム20の上昇によるストライカ18の接近を検出するスイッチの種類は、これに限定されず、他の近接スイッチを用いても良い。
【0024】
なお、前記実施形態では、本発明が酸洗槽の酸洗液の液面検出器に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、排水処理設備の廃液の液面等、液面検出一般に適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す断面図
【図2】同じくベル型開口部を下方から見た状態を示す底面図
【図3】特許文献1に記載された従来技術を示す断面図
【図4】特許文献1で出願人が提案した先行技術を示す断面図
【符号の説明】
【0026】
10…液面検出器
12…容器
14…スイッチ
18…ストライカ
20…ダイヤフラム
22…本体エアー配管
24…元圧エアー配管
24a…元圧エアー
40…酸洗槽
42…酸洗液
50…ベル型開口部
50a…溝
52…蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ、及び、該スイッチの下方の位置にスイッチ用のストライカが付いたダイヤフラムが内蔵された容器と、
該容器の下部に鉛直方向に接続された本体エアー配管と、
該本体エアー配管の下端に接続されたベル型開口部と、
該ベル型開口部の側方に接続された元圧エアー配管と、
前記本体エアー配管内のベル型開口部の上部に取付けられた上下開閉式の蓋と、
を備えたことを特徴とする液面検出器。
【請求項2】
前記ベル型開口部の内側面に溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液面検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−232669(P2008−232669A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69360(P2007−69360)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】